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2.2 既存文献調査に基づく流木災害の特性 調査方法流木災害の被災地に関する現地調査報告や 流木災害の発生事象に関する研究成果を収集し 発生源の自然条件 ( 地質 地況 林況等 ) 崩壊面積等を整理するとともに それらと流木災害の被害状況との関係を分析した 事例数 :1965 年 ~20

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資料 -5 第 5 回岩木川魚がすみやすい川づくり検討委員会現地説明資料 平成 28 年 12 月 2 日 東北地方整備局青森河川国道事務所

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Q3 現在の川幅で 源泉に影響を与えないように河床を掘削し さらに堤防を幅の小さいパラペット ( 胸壁 ) で嵩上げするなどの河道改修を行えないのですか? A3 河床掘削やパラペット ( 胸壁 ) による堤防嵩上げは技術的 制度的に困難です [ 河床掘削について ] 県では 温泉旅館の廃業補償を行っ

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図 -3.1 試験湛水実績図 平成 28 年度に既設堤体と新設堤体が接合された抱土ゾーンにおいて調査ボーリングを実施し 接合面の調査を行った 図 -2.2に示すように 調査ボーリングのコア観察結果からは 新旧堤体接合面における 材料の分離 は認められなかった また 境界面を含む透水試験結果により得ら

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iric を用いた土石流解析 エンジニアリング本部防災 環境解析部水圏解析グループ田中春樹 1. はじめに降雨による斜面崩壊には 大きく分けて深層崩壊と表層崩壊の二種類ある 深層崩壊とは長期間の降雨により土壌中に雨水が蓄積し 基盤上までの土層が崩壊する現象である 一方 表層崩壊とは降雨強度が大きい場

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2018/3/5 河川災害シンポジウム ( 岡山大学 ) 謝辞 九州大学矢野真一郎 ( 土木学会水工学委員会 2017 年九州北部豪雨災害調査団幹事 ) 本講演は現段階での見解であり, 今後変わる場合もあります. 赤谷川 (2017/7/8 アジア航測撮影 ) 土木学会水工学委員会 2017 年九州北部豪雨災害調査団 九州地方を中心に 12 大学の研究者や民間企業 6 社を含む総勢 46 名で河川災害を中心に調査をしている 調査において協力いただいた行政機関 : 国交省九州地方整備局, 福岡県, 大分県, 朝倉市, 日田市, 東峰村, 水資源機構の関係者 画像データを提供いただいた地元住民 マスコミ各社 (NHK 福岡放送局, 朝日新聞社など ) アジア航測 調査団に財政的支援をいただいた財団法人河川財団 土木学会水工学委員会調査団メンバー 以上の関係機関 関係者の皆様に感謝いたします. 内容 1. 平成 29 年 7 月九州北部豪雨災害の特徴 2 今回の河川の被災メカニズムを解明し, 将来への提言を行う 2. 気象条件について 3. 河川災害の特徴について 団長 : 島谷幸宏 ( 九州大学 ) 顧問 : 小松利光 ( 九州大学 ) 幹事 : 矢野真一郎 ( 九州大学 ) 団員 : 橋本晴行, 三谷泰浩, 塚原健一, 田井明, 清野聡子, 西山浩司, 林博徳, 寺村淳, 佐藤辰郎 ( 九州大学 ) 大本照憲, 辻本剛三, 皆川朋子, 石田圭 ( 熊本大学 ) 神谷大介 ( 琉球大学 ) 大串浩一郎, 押川英夫 ( 佐賀大学 ) 橋本彰博, 伊豫岡宏樹 ( 福岡大学 ) 森山聡之 ( 福岡工業大学 ) 二瓶泰雄 ( 東京理科大学 ) 赤松良久, 小室隆, 乾隆帝 ( 山口大学 ) 山口弘誠 ( 京都大学 ) 石田義明 ( 北海道大学 ) 鵜崎賢一 ( 群馬大学 ) 永野博之 ( 群馬高専 ) 藤山秀章 ( 河川財団 ) 竹本進, 助川直人, 劉義涛, 中島克人, 野頼成嘉, 牧野健太郎 ( 建設環境研究所 ) 森川浩, 黒田兆次, 木梨行宏 ( 建設技術研究所 ) 福岡尚樹 ( 西日本技術開発 ) 松下朋哉, 清水純生, 萩原崇, 川越典子 ( 日本工営 ) 峯浩二 ( 日本ミクニヤ ) 3 4. 流木発生要因について 5. 防災効果について 6. まとめ 4

1. 平成 29 年 7 月九州北部豪雨災害の特徴 線状降水帯による集中的な豪雨 大量の土砂 流木を含んだ大規模土石流の同時多発 谷底平野を流れる中小河川に被害が集中 死者 40 名 ( うち 1 名が関連死 ), 行方不明者 2 名 (H30.2 現在 ) 筑後川本川で氾濫危険水位 L 4 を超過 堤防決壊 4 箇所 ( 桂川 ) 特徴的な事象の発生 : ( 荒瀬 :7.23m[L 4 =6.30m], 片ノ瀬 10.14m[L 4 =8.5m]) - 天然ダムの発生 ( 日田市小野地区 ) 日田市は H24 と H29 で計 3 回の既往最大洪水を経験 - JR 橋の落橋 ( 日田市花月川 ) - 溜め池の決壊 ( 朝倉市奈良ヶ谷川 ) 防災インフラの効果 : - 寺内ダムによる下流の防御 - 不透過型砂防えん堤による大量の流木捕捉 - 改良復旧した河川改修の効果 ( 花月川 ) 5 2. 気象条件について : 気象庁 (2017): 平成 29 年 7 月九州北部豪雨についてより 6 気象条件について : 降水量時系列 ( 朝倉 日田 ) 気象条件について : 降水分布 (H29.7/5 6) 9 時間 (13~21 時 ) 気象庁 (2012): 平成 24 年 7 月九州北部豪雨より 6 時間 (16~21 時 ) 気象庁 (2017): 平成 29 年 7 月九州北部豪雨についてより 7 気象庁 (2017): 平成 29 年 7 月九州北部豪雨についてより 8

気象条件について : 国交省 福岡県データ 大雨の発生要因について : 9 気象庁 (2017): 平成 29 年 7 月 5 6 日の福岡県 大分県での大雨の発生要因についてより 10 気象条件について : 最大 1 時間雨量 (CX 合成雨量 ) 気象条件について : 最大 3 時間雨量 (CX 合成雨量 ) 11 12

気象条件について : 最大 6 時間雨量 (CX 合成雨量 ) 気象条件について : 最大 12 時間雨量 (CX 合成雨量 ) 13 14 気象条件について : 最大 24 時間雨量 (CX 合成雨量 ) 15 降雨予報の検証 時間雨量 [mm/hour] 時間雨量 [mm/hour] 140 120 100 80 60 40 20 140 120 100 80 60 40 20 妙見川 実績値予報値 12 時 14 時 16 時 17 時 0 3 6 9 12 15 18 21 24[h] 北川 0 3 6 9 12 15 18 21 24[h] 東京理科大学二瓶先生の解析 140 120 100 80 60 40 20 140 120 100 80 60 40 20 奈良ヶ谷川 0 3 6 9 12 15 18 21 24[h] 赤谷川 0 3 6 9 12 15 18 21 24[h] 日本ミクニヤ 森氏作成 16

3. 河川災害の特徴 : 被災エリア 被災河川の推定情報 : ピーク流量 寺内ダム 奈良ヶ谷 ( ならがや ) 川 寒水 ( そうず ) 川は普通河川. その他は一級河川. 花月川 佐田川は国直轄区間あり. 17 18 人的被害の発生状況 死者 40 名 ( 福岡県 37 名 ( 関連死 1 名 ), 大分県 3 名 ) 行方不明者 2 名 ( 福岡県 ) 物的被害の状況 死者は, 福岡県で 37 人 ( 朝倉市で 34 人, 東峰村で 3 人 ), 大分県日田市で 3 人の計 40 人が確認され, 行方不明者は, 福岡県朝倉市で 2 人となっている. ( 災害関連死 1 人を含む ) 平成 29 年九州北部豪雨では, 死者 行方不明者は計 42 人に達した. ( 出典 : 時事通信社 2018.1.5) 奈良ヶ谷川 黒川乙石川寒水川北川 赤谷川 宝珠山川 小野川 主な被害状況 ( 福岡県 2017.9.26, 大分県 2017.8.31) 全壊 ( 棟 ) 半壊 ( 棟 ) 床上浸水 ( 棟 ) 床下浸水 ( 棟 ) 道路被害 ( 箇所 ) 河川被害 ( 箇所 ) 土砂災害 ( 箇所 ) 福岡県 244 826 22 557 769 460 207 大分県 48 269 150 843 663 1382 45 被害額 ( 福岡県 2017.8.20, 大分県 2017.8.22) 農業 ( 億円 ) 林業 ( 億円 ) 道路 ( 億円 ) 河川 ( 億円 ) 砂防 ( 億円 ) 商工 ( 億円 ) 被害総額 ( 億円 ) 福岡県 389 302 375 545 161 106 1941 大分県 60.4 30.5 40.3 143.9 13.5 7 299.8 合計 2240.8 億円 死者の発生分布 ( 出典 : 福岡県, 大分県 ) 20

気象 : 調査団メンバーの発表報告 石田ら 平成 29 年 7 月九州北部豪雨における降水特性の統計的 物理的検討 3/7 S08 水文統計 / 水文情報 (2) 河川災害 : 長谷部ら 平成 29 年九州北部豪雨における福岡県朝倉市の洪水氾濫被害と避難に関する検討 3/5 S01 水災害 防災 減災 (1) 鈴木ら 平成 29 年九州北部豪雨による福岡県朝倉市山の神ため池の決壊 洪水氾濫状況 3/5 S01 水災害 防災 減災 (1) 小室ら 平成 29 年九州北部豪雨における筑後川水系寒水川の土砂氾濫の実態解明 3/5 S01 水災害 防災 減災 (1) 守屋ら 平成 29 年九州北部豪雨による福岡県北川の流木災害の実態解明 3/5 S01 水災害 防災 減災 (1) 石田ら 2017 年九州北部豪雨における赤谷川の被害状況 ~2016 年北海道豪雨災害との比較 ~ 3/7 S06 洪水リスク管理 (3) 21 松末小学校体育館 (2017/7/24) 赤谷川の被災状況 22 赤谷川地形改変 ( 建設技術研究所撮影 ) 赤谷川 : 河道の 2Way 化 ( 直線化 ) 23 24

赤谷川 : 垂直避難による被災 H24 年豪雨との比較 平成 24 年 7 月九州北部豪雨では, 赤谷川の推定ピーク流量が,7/3 に 290m 3 /s,7/14 に 270m 3 /s を記録.( 今次豪雨 :520m 3 /s) 朝倉市全域で死者 2 名. 赤谷川流域で家屋全壊 半壊 0 戸, 床上浸水のべ 18 戸, 床下浸水のべ6 戸の被害を記録していた. ( 今次豪雨 :136 戸,26 戸,29 戸.) 原形復旧で改修が行われた. 自宅の 2 階などに垂直避難していた方が家ごと流されて亡くなっているケースがあった. 25 26 赤谷川をモデル河川とした復旧方針の策定 九州地方整備局 HP: http://www.qsr.mlit.go.jp/bousai_joho/h29 hokubugouu/taisaku.html 最も被害の大きかった赤谷川をモデル河川に選定し, 復旧の基本方針を策定した. 河道は 1/50(Q=330m 3 /s) 対応. ただし, 今次の 520m 3 /s まで流せる断面を確保. 砂防は 1/100 対応. 堆積土砂の中期的 (5~10 年 ) な流下対策. 砂防施設については, 順応的に不透過型から透過型へ変更可能な設計. 流木については山林に残存するものへの対策が中心. 新規流出分については, 砂防施設である程度対応. 住宅などは今回の浸水エリア外に配置. 花月川の被災状況 27 JR 久大本線橋梁 (2017/7/9) 28

日田市小野地区の大規模斜面崩壊 ( 天然ダム ) の状況 (2017/7/14) 日田市小野地区の大規模斜面崩壊 ( 天然ダム ) の状況 大規模斜面崩壊地 ( 下流側から ): 一部広葉樹と見られる樹木のみ残っていた. 大規模斜面崩壊地 ( 上流側から ) 推定崩壊土量 :20.6 万 m 3 土砂と流木の撤去を行い, 河道の維持を図っている 天然ダム堤体上流端 大規模崩壊地上流側の斜面崩壊 さらに上流の斜面崩壊 :3 連の砂防ダムが満砂状態 29 天然ダム堤体下流 : 長さ 22.3m の流木. ほぼ立木のままの状態. 天然ダム堤体下流 : 家屋の倒壊. 30 日田市小野地区の大規模斜面崩壊 ( 天然ダム ) の状況 ダム湖 ( 左岸側から ) ダム湖 ( 上流側から ) ダム湖右岸側 ( 上流側から ): 家屋の半壊 ダム湖右岸側 ( 上流側から ): 道路が護岸ごと流出している 31 32

日田市 JR 橋の被災状況 (2017/7/9) 河道に落下している橋桁部折れた橋脚 (4 基 ) 奈良ヶ谷川の被災状況 右から 3 番目の橋脚 右から 1,2 番目の橋脚 現状, 倒壊は水位が桁に到達し, モーメントで無筋橋脚が倒れたか, 右岸側の洗掘により倒壊が始まったかのどちらかと考えられる. 33 山の神ため池 (2017/7/21) 34 山田地区の概況 国道 386 号線山田交差点周辺では,7/5 夕方ごろ奈良ヶ谷川に沿って大量の流木と土砂が流下し, 家屋の破壊が発生.3 名の犠牲者 (7/12 現在 ) が出た. 通堂川の上流には 2 つの溜池が直列で配置されている. 上流側の山の神溜池は決壊しており, 現在は貯水機能がない状態. 下流側の鎌塚溜池は排水施設の損壊が起こった. 地元住民 ( 山田地区 ) からの聴き取りでは, 5 日夕方当初は水だけが流れていたが, 流木が一気に流れてきた とのこと. 山の神溜池の状況 (2017/7/8) コンクリートの堤体 ( ゲートがついていた. 上面には洪水吐 ) と周辺の堤防 ( 土 ) が崩壊し決壊したと考えられる. 右岸側斜面が崩壊し, 土石流が発生したと考えられる 流木発生源エリア 被災エリア 鎌塚溜池 山の神溜池 : 総貯水量 67,849m 3 奈良ヶ谷川山田交差点 山の神溜池

山の神溜池 0.85m 山の神溜池の被災状況 (2017/7/8) 余裕高 1.37m 0.6m HWL 0.8m 0.7m 2m 1.5m 5.514m 5.514m 山の神溜池の被災前の状況 (Street View より ) コンクリート製の堤体があり, 上部に洪水吐き, その上が橋梁となっている. 堤体下部に排水ゲートがある ( 聴き取りより ). 想定される発災状況 : ため池そばの住民が撮影した携帯写真からの解析 ( 鈴木ら,2018) 16:30 設計洪水位を越え 17:30 流木は少量のみ確認 17:30 以降堤体天端に到達 18:16 水位ピーク, 大量の流木が漂流 鈴木ら (2018) より その直後に水位低下し, 決壊. 水位は 23 分間で 4m 以上と急激に低下し, 堤体形状の破壊が進行した. 流木が洪水吐にどの程度捕捉さたかは不明 水位 [T.P.m] 越流水深 69 約 50cm堤体天端 68 67 越流 ( 最大 40~50 分 ) 66 設計洪水位 (HWL) 65 洪水吐 64 実測値 ( 写真 ) 推定される水位変化 63 16:00 17:00 18:00 19:00 鈴木ら (2018) より 溜池堤体左岸と下流 溜池右岸側の護岸の損傷 溜池堤体右岸側断面 溜池上流側 鎌塚溜池 溜池上流側 左岸側に流木の集積 橋梁の流失 山田地区被害状況 (2017/7/8) 山田交差点より北側の高台から 山田交差点 山田 SA 鎌塚溜池 この位置に洪水吐があり, 奈良ヶ谷川へ流下 溜池下流側 : 山の神ため池決壊から 10 分で山田地区に到達と推定 ( 鈴木ら,2018) 山田交差点店舗の駐車場 山田交差点西側の国道沿い とても広い範囲に大きな流木 ( 長さ 10m 以上 ) が散乱している.

北川の被災状況 杷木志波地区 北川の概況 (2017/07/8) 北川の筑後川合流部直上の, 国道 386 号線本陣橋において, 大量の流木が桁下に集積し, 河道が完全に閉塞. 堰上げが生じ, 上流で両岸が浸水. 流木とともに流下し, 家屋等を破壊した. その上流域では, 土砂が大量に堆積し, 家屋 1 階部分は埋没, 河道が不明瞭な状態. 土砂堆積 氾濫水の流下 流木による閉塞 氾濫水の流下 流木堆積 北川下流から (2017/7/6) 41 42 杷木志波地区 北川の被災状況 (2017/7/8) 杷木志波地区 北川の被災状況 (2017/7/8) 北川右岸の氾濫状況 : 矢印は氾濫水 国道橋梁上流側の流木集積 北川橋梁上流の家屋埋没状況 北川橋梁上流の家屋埋没状況 国道橋梁上流側から : 大量の土砂と流木の堆積 橋梁下流側 : 土砂の堆積 43 北川橋梁上流の家屋埋没状況 北川上流の土砂堆積状況 44

北川中下流域における土砂堆積マップ ドローンを用いてレーザー測量を実施, 被災前の標高 (DEM) と測定値より土砂堆砂量を算出 使用したドローン ( ルーチェサーチ ) 東京理科大学二瓶先生の解析 本陣橋 神田橋から本陣橋の区間で土砂堆積が卓越 正 :282,129m 3 負 : -61,643m 3 神田橋 -4~ 北川河道 土砂変化量 [m] 調査範囲内で 22 万 m 3 の土砂が堆積 0 5~ 標高 [T.P.m] 縦断変化 本陣橋神田橋 130 土砂堆積深 110 浸水深 90 70 北川の痕跡水深 土砂堆積深の縦断分布 浸水深 [m] 3~ 土砂堆積深 = 実測標高値 -DEM 合流点 50-2 痕跡水位 30-4 0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 筑後川合流点からの距離 [km] 2 1 0 6 4 2 0 深さ [m] 北川下流流木堆積 流木 神田橋 本陣橋 神田橋より下流で土砂 流木が大量に堆積 東京理科大学二瓶先生の解析 北川下流の氾濫シミュレーション 流木捕捉効果をiRICを用いて検証 Case1 流木捕捉なし Case2 7/5 17:00に本陣橋で流木が捕捉されたことを仮定 Case1 流木なし 本陣橋 Case2 流木あり 流木 7/6 時事通信社 医王山南淋寺縁起 ( 享保 5(1720) 年, 山汐洪水被害地域 ) 下郷には山田 古毛 田中 長渕その外何れも損失多し 上郷には白木 池田 松末 赤谷 志波 里城永々の荒所多く その他も山辺川辺流れ, 田地流れ, 家も所々これある この時筑後一国中大破のあらまし伝え聞くも甚だ恐ろし 長渕 田中 古毛 下郷 南淋寺 山田 志波 上郷 浸水域 : 約 3.7 倍に拡大浸水深 : 最大 3m 上昇 流木捕捉により被害拡大 東京理科大学二瓶先生の解析 地理院地図 ( 電子国土 web) ドローン撮影場所 ( 国土地理院 ) 九州大学西山先生の調査 48

南淋寺の被災状況 (H29 九州北部豪雨 ) 今回の豪雨では, 昔千人橋があった付近の家が被災し, 1 名の方がお亡くなりになった 300 年前の享保 5 年 (1720 年 ) に千人橋が流された 現地の方の話では, 過去の災害の記憶が途絶えていた 九州大学西山先生の調査 49 4. 流木発生要因について 今次水害では渓流の流域面積当たり流木流出量が, 過去の最大値である1,000m 3 /km 2 と比べて, 最大 20 倍の20,000m 3 /km 2 を記録している. この要因としては, 集中的な降水が発生したことがあげられるが, 特に流木被害の大きかった5 河川 ( 赤谷川 ~ 奈良ヶ谷川 ) においてもバラツキが見られている. そこで,CX 合成雨量に基づく各時間雨量最大値の空間分布特性と他の要因 ( ここでは, 地形傾斜角のみ ) についての重回帰分析により流出量 ( ここでは, 流木量と比例すると考えてよい斜面崩壊率 ) との関係性について調べた. 50 流木発生量の大きさ : 渓流単位の発生量 朝倉山田地区奈良ヶ谷川 (H29.7/8) 杷木志波地区北川 (H29.7/8) 杷木林田地区赤谷川 (H29.7/24) 松末小付近赤谷川 (H29.7/24) 国土交通省 (2017): 平成 29 年 7 月九州北部豪雨は過去最大級の流木災害より 51 52

流木関連情報のまとめ 土砂崩壊エリアの分布 ( 国土地理院データより ) 河川 流域面積 (km 2 ) 1) ピーク流量推定値 (m 3 /s) 2) ピーク流量推定値 (m 3 /s) 3) ピーク流量推定値 (RRI) (m 3 /s) 4) 推定流木量 (m 3 ) 1) 山林からの流木量 (m 3 ) 1) 流木発生量中の山林由来分の割合 (%) 斜面崩崩壊率壊面積 (km 2 ) 5) (%) 推定発生土砂量 ( 万 m 3 ) 1) 推定堆積土砂量 ( 万 m 3 ) 1) 流木流出係数 (m 3 /km 2 ) 山林由来流木流出係数 (m 3 /km 2 ) 平均河床勾配 1) 地質 1) 被災形態 小石原川 87.4 1522 550 7,009 4,513 64.4 9 3 80 52 0.0124 変成岩 被災小 佐田川 72.7 1266 1000 19,010 10,886 57.3 1.35 1.86 173 182 261 150 0.0096 変成岩 流水 桂川 45.4 790 560 28,815 15,066 52.3 0.90 2.38 93 96 635 332 0.0027 変成岩 流水 奈良ヶ谷川 3.8 66 110 60 19,601 13,427 68.5 0.48 12.71 46 37 5,158 3,533 0.0354 変成岩 土砂 + 流木 北川 7.0 122 180 154 27,616 18,085 65.5 0.59 8.74 66 67 3,945 2,584 0.0389 花崗閃緑岩 土砂 + 流木 寒水川 3.7 64 110 57 22,660 13,244 58.4 0.29 7.73 55 55 6,124 3,579 0.0577 花崗閃緑岩 土砂 + 流木 白木谷川 3.9 68 90 82 12,520 8,225 65.7 0.35 9.67 59 50 3,210 2,109 0.0300 花崗閃緑岩 土砂 + 流木 寺内ダム 変成岩, 赤谷川 20.1 350 520 473 39,230 27,581 70.3 1.36 6.77 290 222 1,952 1,372 0.0148 花崗閃緑岩 土砂 + 流木 大肥川 77.6 1338 510 27,163 16,189 59.6 1.04 1.34 178 103 353 211 0.0108 火山岩 流木 花月川 130.2 1700 6,753 6,108 90.4 0.39 0.30 96 47 52 47 0.0292 火山岩 流水 寺内ダム 51.0 888 13,000 注 :1) 筑後川右岸流域河川 砂防復旧技術検討委員会報告書 (2017) より,2) 寺内ダム実績値から比流量で換算.3) 国土交通省が合理式で推定した値.4) 東京理科大学二瓶教授グループの推定値. 5) 国土地理院 HPより. 赤谷川 白木谷川 寒水 ( そうず ) 川 北川 奈良ヶ谷 ( ならがや ) 川の 5 河川が特に流木流出が顕著である. 53 54 最大 3 時間雨量 (CX 合成 ) と斜面崩壊地との重なり 最大 6 時間雨量 (CX 合成 ) と斜面崩壊地との重なり 55 56

土砂崩壊の分布 : 赤谷川 奈良ヶ谷川の渓流単位での状況 赤谷川の渓流と崩壊斜面の分布奈良ヶ谷川の渓流と崩壊斜面の分布 57 斜面崩壊と傾斜角 雨量との相関 全体的には決定係数 R 2 はあまり高くないが, 白木谷川, 北川, 奈良ヶ谷川, 妙見川はやや高い値を示していた. 桂川についてのみ偏回帰係数に負値が見られたが, その他の河川は全て正値であった. 妙見川の 3 時間雨量の場合を除き, 全ての河川において斜面傾斜角より雨量が効いていた. 各河川の斜面崩壊率 ( 渓流の流域面積あたり ) と渓流流域の傾斜角と 3 時間 6 時間最大雨量との重回帰分析結果 河川名 斜面崩壊を含む渓流数 ( 総渓流数 ) 傾斜角 3 時間雨量 R 2 係数 R 2 傾斜角 6 時間雨量 赤谷川 * 75(107) 0.14 崩壊地傾斜角 0.28 0.22 崩壊地傾斜角 0.30 3 時間雨量 0.28 6 時間雨量 0.39 寒水川 * 23(35) 0.06 崩壊地傾斜角 0.03 0.05 崩壊地傾斜角 0.04 3 時間雨量 0.24 6 時間雨量 0.21 白木谷川 * 17(20) 0.59 崩壊地傾斜角 0.06 0.58 崩壊地傾斜角 0.03 3 時間雨量 0.74 6 時間雨量 0.74 北川 * 41(49) 0.39 崩壊地傾斜角 0.21 0.40 崩壊地傾斜角 0.22 3 時間雨量 0.52 6 時間雨量 0.52 奈良ヶ谷川 * 41(44) 0.41 崩壊地傾斜角 0.27 0.40 崩壊地傾斜角 0.28 3 時間雨量 0.45 6 時間雨量 0.43 妙見川 28(35) 0.48 崩壊地傾斜角 0.48 0.59 崩壊地傾斜角 0.31 ( 桂川支川 ) 3 時間雨量 0.34 6 時間雨量 0.55 桂川上流 38(51) 0.03 崩壊地傾斜角 -0.01 0.00 崩壊地傾斜角 0.02 ( 本川上流域 ) 3 時間雨量 -0.18 6 時間雨量 -0.02 切片 0.04 切片 -0.01 乙石川 18(31) 0.16 崩壊地傾斜角 0.00 0.16 崩壊地傾斜角 0.00 ( 赤谷川支川 ) 3 時間雨量 0.00 6 時間雨量 0.00 切片 0.01 切片 0.02 黒川 68(99) 0.10 崩壊地傾斜角 0.08 0.15 崩壊地傾斜角 0.08 ( 佐田川支川 ) 3 時間雨量 0.32 6 時間雨量 0.39 疣目川 9(54) 0.31 崩壊地傾斜角 0.45 0.26 崩壊地傾斜角 0.41 ( 佐田川支川 ) 3 時間雨量 0.60 6 時間雨量 0.53 大肥川 69(172) 0.14 崩壊地傾斜角 0.31 0.21 崩壊地傾斜角 0.34 3 時間雨量 0.31 6 時間雨量 0.41 全河川 409(666) 0.24 崩壊地傾斜角 0.23 0.23 崩壊地傾斜角 0.19 3 時間雨量 0.46 6 時間雨量 0.44 Top5 [* がついた 197(252) 0.27 崩壊地傾斜角 0.28 0.19 崩壊地傾斜角 0.24 58 5 河川 ] 3 時間雨量 0.41 6 時間雨量 0.31 係数 5. 防災効果の発揮 : 寺内ダムの防災操作の効果 平成 29 年 7 月 5 日の梅雨前線に伴う豪雨において佐田川流域では総雨量が400mmを超える記録的な降雨となり 寺内ダムでは管理開始以降最大の流入量を記録しました 寺内ダムの防災操作によって ダム下流に流す流量を最大約 99% 低減し 下流河川の水位低減を図りました 仮に 寺内ダムが整備されていなければ 佐田川において堤防高を大きく上回る洪水となり 佐田川の氾濫により浸水面積約 1,500ha 浸水世帯数約 1,100 世帯の被害が発生していたと推定されます また ダム貯水池で大量の流木及び土砂を補足しました 寺内ダム防災操作の状況 寺内ダムが無かった場合の浸水想定 ダムへの流入量ダムからの放流量貯水位 洪水時最高水位 (EL.131.50m) 平常時最高貯水位 (EL.121.50m) 最大流入量約 888m 3 /s 最大流入時放流量約 10m 3 /s 下流に流す流量を 99% 低減 最高貯水位 EL.130.93m ダムに貯めた水量約 1,170 万 m3 7 月 5 日 7 月 6 日 寺内ダム集水域上流で斜面崩壊が多数発生しており 寺内ダム流入量に斜面崩壊に伴う土砂等の影響が含まれている可能性がある ダムがなかった場合の推定最高水位 6.88m ダムに水を貯めたことによる効果約 3.38m 低減 はん濫危険水位 3.87m 避難判断水位 3.50m はん濫注意水位 2.50m 水防団待機水位 1.50m 観測最高水位 3.50m 金丸橋水位観測所付近横断図 数値は速報値です 水資源機構作成 流木及び土砂の補足状況 浸水深 0.0~0.5m 0.5~1m 1~2m 2~5m >=5m 浸水面積 : 約 1,500ha 浸水世帯数 : 約 1,100 世帯 筑後川 地盤高は 国土地理院が公表している基盤地図情報のデータを使用しています ダムが無かった場合の浸水深についてはシミュレーション ( 堤防越水氾濫 ) 結果より推定しています 浸水面積及び浸水世帯数は朝倉市域及び大刀洗町域を対象 (H22 国勢調査 ) 数値は速報値であり 今後の精査により変更する可能性があります 寺内ダム 今回氾濫なし 浸水面積 (ha) 浸水世帯数 ( 世帯 ) 1500 1200 約 1,500ha 約 1,100 世帯 1250 1000 1000 800 750 600 500 400 250 200 被害無し被害無し 0 0 ダム無しダム有りダム無しダム有り ダムが無かった場合の被害についてはシミュレーション結果より推定しています ダム有りについては 今回出水で佐田川からの越水による被害が無かったことから被害無しとしています 数値は速報値であり 今後の精査により変更する可能性があります 平成 29 年 7 月九州北部豪雨寺内ダムの防災操作 寺内ダムには計画高水流量 (300m 3 /s) の約 3 倍の規模の洪水が流入 最大流入時 (888m 3 /s) に その約 99%(878m 3 /s) の水を貯め込んだ 今回の洪水調節でダムに貯めた水は 約 1,170 万 m 3 ( 福岡ヤフオクドーム約 6.5 杯分に相当 ) 洪水時最高水位 EL.131.50m ( 洪水時にダムによって一時的に貯留することとした流水の最高水位 ) 放流量 最大流入時の放流量約 10m 3 /s ( ダムから下流の河川へ流した水の量 ) 水資源機構作成 流入量 ダムに流れ込んだ水の量最大約 888m 3 /s < 計画高水流量 (300m 3 /s) の約 3 倍の流入 > 防災操作後最高水位 EL.130.93m 約 1,170 万 m 3 の水ををダムに貯めました 防災操作前の貯水位 EL.111.09m 平常時の貯水位 EL.121.50m ( 今回の洪水前に水道用水 農業用水などに利用するために貯めていた水の量 ) 60

寺内ダムによる流木の捕捉状況について 平成 29 年 7 月九州北部豪雨で寺内ダム上流より大量の流木や土砂が貯水池に流れ込みました 寺内ダムで流木及び土砂を捕捉したことで 下流河川への流木や土砂の流出を防ぎました 寺内ダム貯水池上流側の流木及び土砂の流入状況 7 月 7 日時点 平成 29 年 7 月 6 日時点 写真 1 流木面積 : 約 37,500m 2 寺内ダム貯水池 写真 2 流木面積 : 約 30,000m 2 合計流木面積 : 約 67,500m 2 撮影方向 写真 3 写真 4 あまぎ水の文化村 撮影範囲 寺内ダム : 流木 水資源機構作成 撮影 : 国土交通省 はるかぜ号 水資源機構作成 防災効果の発揮 : 花月川の激特事業 防災効果の発揮 : 砂防施設による流木捕捉 63 64

6. まとめ : 今次水害からの教訓 ( 詳細は次の団長の講演で.) 中小河川における災害情報の充実 : 山間地の降雨予測の高精度化 ソフト対策へ直結 簡易型水位計 監視カメラの拡充 被災後の解析にも重要 山間地 谷底平野における洪水時の避難のあり方 : 住民の共助が発揮された. コミュニティのレジリエンス. 垂直避難で被災. 集落ごとの安全な避難対策. 被災住民が撮影した映像のアーカイブ化 : 携帯電話に普及により位置 時間情報が正確なデータとして 貴重な資料となった.Google Street View も貴重. 河川計画と砂防 治山計画における整合 流域一貫した流木対策 水 土砂 流木が同時流出することを前提とした計画論 : 各流出に対する L1 L2 概念 ( ハード ソフト対策 ) の整理が必要 65