Excel で学ぶ 実験計画法データ処理入門 坂元保秀
まえがき 本テキストは, 大学の統計解析演習や研究室ゼミ生の教育の一環として, 実験計画法を理解するための序論として, 工業系の分野で収集される特性データを Microsoft Excel を用いて実践的に処理する方法を記述したものである. 当初は, 完全ランダム実験で二元配置法まで Excel 関数を利用して実施していたが, 企業の皆様から身近に解析ができる Excel プログラムの開発を勧められ Excel VBA を利用しプログラムを先行させた. 以後, 現在までの過程で不足分であるテキストや Excel 演習ファイル等を随時作成し提供に至った. 実験計画法の理論を理解するためには, 統計学の基礎知識や数学的基礎知識を理解し, 実験の計画はもちろんのこと, 実験の実施やランダム性など統計的方法を修得する必要がある. 実験の結果, 得られた特性データの処理法が何を目的としたデータ処理なのかを理解して解析の方法論を習得して欲しいと願っている. 本書は, 実験計画法の入門書として記述しており, 特に解析においては, 時間を十分にかければ Microsoft Excel を用いて実験データの処理は可能であることをポイントとしている. また各章に Excel 演習問題ワークシートおよび Excel 演習問題解答を配置している. プログラムでは, ボタンクリックで実験の計画に基づき得られたデータを貼付けるだけで結果が得られるよう配慮した. 特に解析に重点をおき, 高度な統計的解析については言及していないので利用者のさらなる解析を望みたい. 提供したファイルは次のとおりである. 第 1 章実験計画法とは第 2 章分散分析とは第 3 章一元配置法による実験 第 4 章繰返しのない一元配置法による実験 第 5 章繰返しのある一元配置法による実験 第 6 章三元配置法による実験 第 7 章乱塊法 ( 一元配置法による実験 ) 第 8 章乱塊法 ( 二元配置法による実験 ) 第 9 章分割法 (A1 次,B2 次による実験 ) 第 10 章分割法 (A1 次,B2 次,C2 次による実験 ) 第 11 章分割法 (A1 次,B1 次,C2 次による実験 ) 7 第 12 章直交配列表 2 水準系 L 8 2 第 13 章直交配列表 2 水準系 L 16 2 第 14 章直交配列表 1 因子多水準作成法 2 水準系 L 16 2 13 第 16 章直交配列表 3 水準系 27 3 第 章直交配列表 1 因子擬水準法 2 水準系 L 16 2 L 第 17 章計数値の分散分析 ( ロジット変換法 ) 第 18 章単回帰分析 ( 繰返しなし ) 第 19 章単回帰分析 ( 繰返しあり ) 本書で示した Excel 演習問題ワークシートおよび Excel 演習問題解答については, ホームページで公開した. 公開先の URL は http://www.page.sannet.ne.jp/yo-skmt/ である. また他に開発を試み後日公開したいと思っている. 本内容について企業の社内研修等でご使用いただき利用者のご意見を賜れば幸いである. 2017/03/09 坂元保秀 ( 元 TGU 教授 )
目 次 まえがき 第 1 章実験計画法とは 1.1 因子と水準 1 1.2 実験の配置の種類 1 1.3 実験計画法の解析としての分散分析 2 1.4 実験計画法の要点 3 第 2 章分散分析とは 2.1 平方和の分解 5 2.2 データの構造 7 2.3 要因の自由度 8 2.4 平均平方 8 2.5 分散分析表の作成と検定 9 2.6 最適条件の決定と母平均の推定 10 2.7 平均平方の期待値 11 第 2 章 Excel 演習問題 13 第 3 章一元配置法による実験 3.1 実験データ表とデータの構造式 14 3.2 平方和と自由度 14 3.3 分散分析表と検定 3.4 最適条件の決定と母平均の推定 3.5 繰返し数が異なる場合 16 3.6 例題 18 第 3 章 Excel 演習問題 25 第 4 章繰返しのない二元配置法による実験 4.1 実験データ表とデータの構造式 26 4.2 平方和と自由度 26 4.3 分散分析表と検定 28 4.4 最適条件の決定と母平均の推定 28 4.5 推定値の分散と期待値 29 4.6 例題 31 第 4 章 Excel 演習問題 35 第 5 章繰返しのある二元配置法による実験 5.1 実験データ表とデータの構造式 36 5.2 平方和と自由度 37 5.3 分散分析表と検定 40 5.4 プーリング 40 5.5 最適条件の決定と母平均の推定 41 5.5.1 交互作用 A B をプーリングしない場合 41 5.5.2 交互作用 A B をプーリングする場合 43 5.6 推定値の分散と期待値 44 5.7 例題 45 第 5 章 Excel 演習問題 50 -i-
第 6 章三元配置法による実験 6.1 実験データ表とデータの構造式 51 6.2 平方和と自由度 52 6.3 分散分析表と検定 54 6.4 プーリング 55 6.5 最適条件の決定と母平均の推定 55 6.5.1 交互作用が無視できる場合の最適条件 56 6.5.2 交互作用が無視できない場合の最適条件 59 6.6 推定値の分散と期待値 63 6.7 例題 64 第 6 章 Excel 演習問題 73 第 7 章乱塊法 ( 一元配置法による実験 ) 7.1 乱塊法による実験とは 74 7.2 実験データとデータの構造式 75 7.3 平方和と自由度 75 7.4 分散分析表と検定 76 7.5 最適条件の決定と母平均の推定 77 7.6 例題 79 第 7 章 Excel 演習問題 86 第 8 章乱塊法 ( 二元配置法による実験 ) 8.1 乱塊法による二元配置実験とは 87 8.2 実験データとデータの構造式 87 8.3 平方和と自由度 88 8.4 分散分析表と検定 89 8.5 最適条件の決定と母平均の推定 90 8.6 例題 95 第 8 章 Excel 演習問題 105 第 9 章分割法 (A1 次,B2 次による実験 ) 9.1 分割法による実験の計画とは 106 9.2 実験データとデータの構造式 107 9.3 平方和と自由度 108 9.4 分散分析表と検定 109 9.5 最適条件の決定と母平均の推定 110 9.6 因子 AB の水準間の組合せによる母平均の差の推定 116 9.7 例題 119 9.8 分割法の要点の整理 125 第 9 章 Excel 演習問題 138 第 10 章分割法 (A1 次,B2 次,C2 次による実験 ) 10.1 三元配置分割法による実験の計画とは 139 10.2 実験データとデータの構造式 139 10.3 平方和と自由度 142 10.4 分散分析表と検定 144 10.5 最適条件の決定と母平均の推定 145 10.6 因子 ABC の水準間の組合せによる母平均の差の推定 149 10.7 例題 0 第 10 章 Excel 演習問題 166 -ii-
第 11 章分割法 (A1 次,B1 次,C2 次による実験 ) 11.1 1 次単位に二つの因子を割り当てる三元配置分割法による実験の計画とは 167 11.2 実験データとデータの構造式 167 11.3 平方和と自由度 170 11.4 分散分析表と検定 172 11.5 最適条件の決定と母平均の推定 174 11.6 因子 ABC の水準間の組合せによる母平均の差の推定 177 11.7 例題 178 第 11 章 Excel 演習問題 191 7 第 12 章直交配列表 2 水準系 L 8 2 12.1 直交配列表とは 192 7 12.2 直交配列表 8 2 L を利用する実験 194 12.2.1 交互作用が無視できる場合の実験の計画 194 12.2.2 交互作用が無視できない場合の実験の計画 194 7 12.3 直交配列表 L 8 2 を利用した実験の解析 ( 交互作用が 無視できる場合 ) 195 12.3.1 データの構造式とデータの分解 195 12.3.2 平方和と自由度 198 12.3.3 分散分析表と検定 199 7 12.4 直交配列表 L 8 2 を利用した実験の解析 ( 交互作用が 無視できない場合 ) 200 12.4.1 データの構造式とデータの分解 200 12.4.2 平方和と自由度 202 12.4.3 分散分析表と検定 202 12.5 最適条件の決定と推定 203 12.5.1 交互作用が無視できる場合の最適条件 203 12.5.2 交互作用が無視できない場合の最適条件 205 12.6 平方和の期待値 206 12.7 例題 208 第 12 章 Excel 演習問題 212 第 13 章直交配列表 2 水準系 L 13.1 実験の計画の立案 213 13.2 線点図を利用した実験の計画 213 13.2.1 線点図とは 213 13.2.2 実験の計画と実施 2 13.3 直交配列表 L を利用した実験の解析 216 13.3.1 データの構造式 216 13.3.2 平方和と自由度 216 13.3.3 分散分析表と検定 220 13.4 最適条件の決定と推定 221 13.4.1 最適条件の決定 221 13.4.2 最適条件における推定 221 第 13 章 Excel 演習問題 225 -iii-
第 14 章直交配列表 1 因子多水準作成法 2 水準系 L 14.1 多水準作成法としての実験の計画の立案 226 14.2 直交配列表 L を利用した多水準作成法による 実験の解析 228 14.2.1 データの構造式 228 14.2.2 平方和と自由度 228 14.2.3 分散分析表と検定 230 14.3 最適条件の決定 231 14.4 最適条件における推定 232 第 14 章 Excel 演習問題 236 第 章直交配列表 1 因子擬水準法 2 水準系 L.1 擬水準法としての実験の計画の立案 237.2 直交配列表 L を利用した擬水準法による実験の 解析 239.2.1 データの構造式 239.2.2 平方和と自由度 239.2.3 分散分析表と検定 243.3 最適条件の決定 244.4 最適条件における推定 244 第 章 Excel 演習問題 251 13 第 16 章直交配列表 3 水準系 L 27 3 16.1 実験の計画の立案 252 16.2 線点図を利用した実験の計画 252 16.2.1 線点図とは 252 16.2.2 実験の計画と実施 255 13 16.3 直交配列表 L を利用した実験の解析 255 27 3 16.3.1 データの構造式 255 16.3.2 平方和と自由度 255 16.3.3 分散分析表と検定 258 16.4 最適条件の決定と推定 259 16.4.1 最適条件の決定 259 16.4.2 最適条件における推定 259 第 16 章 Excel 演習問題 266 第 17 章計数値の分散分析 ( ロジット変換法 ) 17.1 二項分布に従う特性 267 17.2 二項分布の正規分布近似法 267 17.3 ロジット変換法による正規分布近似法とは 268 17.4 ロジット変換法による分散分析 269 17.4.1 実験データ表とデータの構造式 269 17.4.2 平方和と自由度 271 17.4.3 分散分析表と検定 271 17.5 最適条件の決定と母不良率の推定 272 17.5.1 交互作用を無視する場合 272 17.5.2 交互作用を無視しない場合 273 17.6 例題 273 第 17 章 Excel 演習問題 280 -iv-
第 18 章単回帰分析 ( 繰返しなし ) 18.1 回帰分析とは 281 18.2 単回帰モデル 281 18.3 回帰母数の推定 282 18.4 単回帰分析における平方和の分解 284 18.5 単回帰分析における分散分析法 285 18.6 回帰母数の検定と推定 285 18.6.1 回帰母数に関する検定 286 18.6.2 回帰母数に関する区間推定 287 18.7 母回帰直線の区間推定 288 18.8 個々のデータの予測限界 289 18.9 例題 290 第 18 章 Excel 演習問題 303 第 19 章単回帰分析 ( 繰返しあり ) 19.1 実験の配置 304 19.2 繰返しのある単回帰モデル 304 19.3 回帰母数の推定 306 19.4 繰返しのある単回帰分析における分散分析法 307 19.5 回帰母数の検定と推定 309 19.5.1 回帰母数に関する検定 309 19.5.2 回帰母数に関する区間推定 310 19.6 母回帰直線の区間推定 311 19.7 個々のデータの予測限界 312 19.8 例題 1 312 19.9 例題 2 320 第 19 章 Excel 演習問題 329 参考文献 -v-