■● 糖尿病

Similar documents
< 糖尿病療養指導体制の整備状況 > 療養指導士のいる医療機関の割合は増加しつつある 図 1 療養指導士のいる医療機関の割合の変化 平成 20 年度 8.9% 平成 28 年度 11.1% 本糖尿病療養指導士を配置しているところは 33 医療機関 (11.1%) で 平成 20 年に実施した同調査

中間とりまとめ素案(公的賃貸住宅のあり方について)

図表 糖尿病の患者の状況等 宮城県全国出典 メタボリックシンドローム該当者 予備群割合糖尿病の総患者数 ( 人口比 ) 29.3% 26.2% 62,000 人 3,166,000 人 (2.7%) (2.5%) 特定健康診査 特定保健指導の実施状況に関するデータ ( 平成 27(2

練馬区国保における糖尿病重症化 予防事業について 平成 29 年 3 月 6 日練馬区区民部国保年金課 1 東京都糖尿病医療連携協議会配布資料

第3章「疾病の発症予防及び重症化予防 1がん」

第4章:施策と目標 2:生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(3)糖尿病(4)COPD

都道府県単位での肝炎対策を推進するための計画を策定するなど 地域の実情に応じた肝炎対策を推進することが明記された さらに 近年の状況等を踏まえ 平成 28 年 6 月に基本指針の改正を行い 肝炎対策の全体的な施策目標を設定すること等が追記された 都は 肝炎をめぐる都内の状況や基本指針の改正を踏まえ

1. 趣旨 目的 香川県糖尿病性腎症等重症化予防プログラム 香川県医師会香川県糖尿病対策推進会議香川県国民健康保険団体連合会香川県 本県では 糖尿病患者の人口割合が全国上位にあり 糖尿病対策が喫緊 の課題となっている 糖尿病は放置すると網膜症や腎症 歯周病などの合 併症を引き起こし 患者の QOL

県計画

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

第2期データヘルス計画について

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

リハビリテーションを受けること 以下 リハビリ 理想 病院でも自宅でも 自分が納得できる 期間や時間のリハビリを受けたい 現実: 現実: リ ビリが受けられる期間や時間は制度で リハビリが受けられる期間や時間は制度で 決 決められています いつ どこで どのように いつ どこで どのように リハビリ

1. まとめ 1 糖尿病の現状と課題 予備群を含め 2000 万人を超える生活習慣病 糖尿病 医療体制の整備に匹敵する治療の鍵は 患者の行動変容 である そのために必要なのが (1) 予防から合併症予防まで切れ目のない対策 (2) エビデンスに基づくチーム医療 ( 3) データを活用して様々なステー

Microsoft Word - 1 糖尿病とは.doc

<8E9197BF31817C32208E6292E892BC8BDF8EC090D1926C2E786C73>

岡山県糖尿病性腎症 重症化予防プログラム 平成 30 年 3 月 岡山県医師会岡山県糖尿病対策推進会議岡山県糖尿病医療連携体制検討会議岡山県糖尿病対策専門会議岡山県 CKD CVD 対策専門会議岡山県国民健康保険団体連合会岡山県

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

1 保健事業実施計画策定の背景 北海道の後期高齢者医療は 被保険者数が増加し 医療費についても増大している 全国的にも少子高齢化の進展 社会保障費の増大が見込まれる このような現状から 一層 被保険者の健康増進に資する保健事業の実施が重要となっており 国においても 保健事業実施計画 ( データヘルス

メディフィットプラスパンフ_通販用_ ai

平成26年患者調査 新旧対照表(案)

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF315F817582C782B182C582E0826C C B4C985E82C98AD682B782E98DEC8BC EF92868AD495F18D902E B8CDD8AB B83685D>

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

Microsoft Word - 02 H28肝炎対策推進基本指針改訂(溶け込み)

地域医療構想の概要 1 地域医療構想の位置づけ 平成 25 年 3 月に 医療法に基づき 本県の疾病対策及び医療提供体制の基本方針である第 6 期岐阜県保健医療計画を策定した 平成 27 年 4 月に施行された改正医療法に基づき 保健医療計画の一部として 将来 (2025 年 ) あるべき医療提供体

複製 転載禁止 The Japan Diabetes Society, 2016 糖尿病診療ガイドライン 2016 CQ ステートメント 推奨グレード一覧 1. 糖尿病診断の指針 CQ なし 2. 糖尿病治療の目標と指針 CQ なし 3. 食事療法 CQ3-2 食事療法の実践にあたっての管理栄養士に

第 2 章計画の推進及び進行管理 1 計画の推進 県 市町村及び県民が 関係機関等と相互に連携を図りながら 県民の歯 口腔の健康づくりを推進します 県における推進 (1) 全県的な推進 県全域の課題を踏まえた基本的施策や方向性を示すとともに 取組の成果について継続的な評価を行い 県民の生涯を通じた歯

Microsoft Word - 資料の表紙.doc

【最終版】医療経営学会議配付資料 pptx

認知症医療従事者等向け研修事業要領


000-はじめに.indd

第三期 特定健康診査等実施計画 ウシオ電機健康保険組合 平成 30 年 4 月

スライド 1

特定健康診査等実施計画 東京スター銀行健康保険組合 平成 25 年 4 月

小松市医師会糖尿病連携推進協議会の取り組み 受診につなげる取り組み 1) 特定健診後 小松市からの受診勧奨 2) 地区別健康懇談会 等 3) 一般社団法人小松能美薬剤師会が主導した 薬局での血糖測定のモデル事業 合併症発症予防の取り組み 4) 診療所における栄養指導 運動指導の強化ー小松市の試みー

Microsoft PowerPoint - 2.医療費プロファイル 平成25年度(長野県・・

国民健康保険制度改革の施行に向けて

(目的)

計画改訂の趣旨 社会構造が大きく変化し 少子高齢化が進む中 生活環境の改善や医療の進歩などにより 平均寿命が延びている一方で 肥満や糖尿病などの生活習慣病が増加しており 健康づくりや疾病予防の重要性はますます高まっています 子どもから高齢者まで すべての県民が 健やかな生活をおくるために ヘルスプロ

Microsoft Word - M 平成30年度診療報酬改定の基本方針

特定健康診査等実施計画 ( 第 2 期 ) ベルシステム 24 健康保険組合 平成 25 年 3 月 1 日

心疾患患による死亡亡数等 平成 28 年において 全国国で約 20 万人が心疾疾患を原因として死亡しており 死死亡数全体の 15.2% を占占め 死亡順順位の第 2 位であります このうち本県の死亡死亡数は 1,324 人となっています 本県県の死亡率 ( 人口 10 万対 ) は 概概ね全国より高

市原市国民健康保険 データヘルス計画書

2

第2次「健康くるめ21」計画

宗像市国保医療課 御中


調書のの見方 新規 新規事業の実施 現行どおり 事業をする 充実 事業の充実 強化を図る 改善 事業の見直し 改善を図る 縮小 事業規模を縮小する 廃止 事業を廃止する 2

特定健康診査等実施計画 ( 第 3 期 ) ベルシステム 24 健康保険組合 平成 30 年 3 月 1 日 ( 最終更新日 : 平成 30 年 7 月 27 日 )


07佐渡

福井県糖尿病性腎症重症化予防プログラム福井県医師会福井県糖尿病対策推進会議福井県 1 趣旨 目的本プログラムは福井県医師会 福井県糖尿病対策推進会議および福井県の三者で策定し 県内の医療保険者 ( 以下 保険者 という ) が医療機関と連携して糖尿病性腎症等の重症化予防の対策が容易となるよう基本的な

表 糖尿病が強く疑われる者 ( 年齢調整後 ) の割合推移 (%) 糖尿病が強く疑われる者 ( 糖尿病有病者 ( 成

看護師の注射指導スキルを高め 治療介入が容易となる環境を整える これらを効率的に安全に達成するためには地域内での情報交換も必須であり 医療者の 顔のみえる 関係も重要である また正しい知識を共有しそれに基づいた指導をすること 他職種の業務範囲を厳密に把握することも必要である また このようなネットワ

2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者

糖尿病型と判定する 血糖値が糖尿病型でかつ HbA1c が 6.5% 以上で糖尿病型であれば 糖尿病と診断できる 血糖値が糖尿病型でかつ糖尿病の典型的症状があるか確実な糖尿病網膜症が確認された場合も 糖尿病と診断できる 血糖値は糖尿病型であるが HbA1c6.5% 未満で上記の症状や確実な網膜症がな

資料 4 現行の保健医療計画と 疾病 事業及び在宅医療に係る医療体制について に示された糖尿病医療体制構築に係る指針 現行の保健医療計画 第 1 糖尿病医療の概況糖尿病は インスリンの働きが悪いことによって 血液中にブドウ糖があふれた状態が永く続いた結果 全身に様々な悪影響が生じる疾患であり その原

Microsoft Word - (セット案とれ)【閣議後会見用】取組ペーパー

<4D F736F F F696E74202D2090B68A888F4B8AB CE8DF482CC918D8D C C982C282A282C E93AE92C789C1816A2E707074>

Microsoft Word - 44-第4編頭紙.doc

歯科中間報告(案)概要

Ⅰ 目標達成

対象疾患名及び ICD-10 コード等 対象疾患名 ( 診療行為 ) ICD-10 等 1 糖尿病 2 脳血管障害 3 虚血性心疾患 4 動脈閉塞 5 高血圧症 6 高尿酸血症 7 高脂血症 8 肝機能障害 9 高血圧性腎臓障害 10 人工透析 E11~E14 I61 I639 I64 I209 I

表紙@C

京都府がん対策推進条例をここに公布する 平成 23 年 3 月 18 日 京都府知事山田啓二 京都府条例第 7 号 京都府がん対策推進条例 目次 第 1 章 総則 ( 第 1 条 - 第 6 条 ) 第 2 章 がん対策に関する施策 ( 第 7 条 - 第 15 条 ) 第 3 章 がん対策の推進

<4D F736F F F696E74202D E81798E9197BF33817A8FAC8E998B7E8B7D88E397C391CC90A782CC8CBB8FF32E >

資料1-1 HTLV-1母子感染対策事業における妊婦健康診査とフォローアップ等の状況について

Microsoft PowerPoint - 参考資料

山梨県地域医療再生計画 ( 峡南医療圏 : 救急 在宅医療に重点化 ) 現状 社保鰍沢病院 (158 床 ) 常勤医 9 名 実施後 社保鰍沢病院 峡南病院 (40 床 ) 3 名 市川三郷町立病院 (100 床 ) 7 名 峡南病院 救急の重点化 県下で最も過疎 高齢化が進行 飯富病院 (87 床

正誤表 正誤箇所 誤 正 医科 - 基本診療料 -35/47 注 3 診療に係る費用 ( 注 2 及び注 4に規定する加算 注 3 診療に係る費用 ( 注 2 及び注 4に規定する加算 注の見直し 当該患者に対して行った第 2 章第 1 部医学管理等の 当該患者に対して行った第 2 章第 1 部医学

01 【北海道】

結果の概要

14栄養・食事アセスメント(2)

スライド 1

11 平成 21 年度介護予防事業実施状況について 平成 22 年 7 月 大阪市健康福祉局健康づくり担当

肥満者の多くが複数の危険因子を持っている 肥満のみ約 20% いずれか 1 疾患有病約 47% 肥満のみ 糖尿病 いずれか 2 疾患有病約 28% 3 疾患すべて有病約 5% 高脂血症 高血圧症 厚生労働省保健指導における学習教材集 (H14 糖尿病実態調査の再集計 ) より

【資料1】結核対策について

地域医療連携における 医師会の役割

結果の概要 Ⅱ 結果の概要第 1 部糖尿病等の状況 1. 糖尿病 表 1 解析対象者 ( 人 ) 総数 20~29 歳 30~39 歳 40~49 歳 50~59 歳 60~69 歳 70 歳以上 ( 再掲 )40-74 歳 総数 4, ,008 2,

<4D F736F F F696E74202D202888F38DFC AB38ED28FEE95F182CC8BA4974C82C98AD682B782E B D B2E >

また リハビリテーションの種類別では 理学療法はいずれの医療圏でも 60% 以上が実施したが 作業療法 言語療法は実施状況に医療圏による差があった 病型別では 脳梗塞の合計(59.9%) 脳内出血 (51.7%) が3 日以内にリハビリテーションを開始した (6) 発症時の合併症や生活習慣 高血圧を

一般会計負担の考え方

平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

(この実施計画は「高齢者の医療の確保に関する法律」第19条の規定に基づき作成し、

特定健康診査等実施計画 ( 第二期 : 平成 25 年度 ~ 平成 29 年度 ) リクルート健康保険組合 平成 25 年 4 月 1

第 1 章 ヘルスプランぎふ 21 の基本的な考え方 1 計画策定の趣旨 ヘルスプランぎふ 21 は 岐阜県健康増進計画として平成 14 年 3 月に策定し その後平成 20 年度には 国が策定した 健康日本 21 と連動しながら メタボリックシンドロームに着目した生活習慣病の一次予防に重点をおいた

求する診療報酬明細書の件数 ( 入院以外 ) は 糖尿病や高血圧 心疾患などの生活習 慣病が約 4 割を占めている 生活習慣病患者が増加することにより 医療費は年々増 大していくことが考えられる 図 2 戸田市の医療費の推移 ( ウ ) 健康寿命の延伸県は健康寿命を 65 歳に達した県民が自立した生

第28回介護福祉士国家試験 試験問題「社会の理解」

<4D F736F F D C AB90748FC78F648FC789BB975C D834F E646F6378>

生活福祉研レポートの雛形

NEW版下_健診べんり2016_01-12

特定健康診査等実施計画


特定健康診査等実施計画

1 基本健康診査基本健康診査は 青年期 壮年期から受診者自身が自分の健康に関心を持ち 健康づくりに取り組むきっかけとなることを目的に実施しています 心臓病や脳卒中等の生活習慣病を予防するために糖尿病 高血圧 高脂血症 高尿酸血症 内臓脂肪症候群などの基礎疾患の早期発見 生活習慣改善指導 受診指導を実

背景及び趣旨 我が国は国民皆保険のもと世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた しかし 急速な少子高齢化や国民の意識変化などにより大きな環境変化に直面しており 医療制度を持続可能なものにするために その構造改革が急務となっている このような状況に対応するため 高齢者の医療の確保に関する法律

日本の糖尿病患者数は増え続けています (%) 糖 尿 25 病 倍 890 万人 患者数増加率 万人 690 万人 1620 万人 880 万人 2050 万人 1100 万人 糖尿病の 可能性が 否定できない人 680 万人 740 万人

第三期特定健康診査等実施計画 ニチアス健康保険組合 最終更新日 : 平成 30 年 02 月 20 日

Transcription:

(4) 糖尿病 施策の現状 課題 本県の糖尿病疾患による死亡者数は 平成 23 年は654 人で 人口 10 万対の年齢調整死亡率 * は10.7と 全国平均 11.6を下回っていますが 平成 23 年度には死因順位の第 9 位となり 年々増加傾向にあります 千葉県の糖尿病患者数は男性が58 万人 女性が45 万人 ( 平成 14 年度糖尿病実態調査からの推計値 ) で増加傾向にあります 糖尿病の重症例は重篤な合併症 * ( 失明 腎不全 足の切断等 ) を引き起こし 本人や家族の生活の質を著しく低下させる恐れがあります 合併症である糖尿病性腎症 * により 新たに人工透析を導入した患者は 千葉県 802 人 全国 16,247 人 (2011 年日本透析医学会患者調査 ) で 人工透析導入となる原因疾患の第 1 位を占めています また 全国で糖尿病を主原因とする視力障害で身体障害者手帳 1 級を新規交付されている者は 1,622 人 ( 平成 23 年度福祉行政報告例 ) で増加傾向にあり 糖尿病の発症や重症化を防ぐことは健康障害の予防に直結する重要な健康課題です 糖尿病の発症を予防するためには 適正な食生活と運動習慣 適正体重の維持が大切です 医療保険者は生活習慣病予防に向けて特定健診 * 特定保健指導* を実施するとともに 医師の判断に基づき 眼底検査 * 等の詳細な健診を追加実施するなど 糖尿病やその合併症の早期発見に努める必要があります 健診結果に応じて医療機関への受診勧奨やそのレベルに応じて 一人ひとりの生活習慣の改善に主眼を置いた保健指導を実施するなど 糖尿病の発症予防に努める必要があります 糖尿病合併症の重症化を予防するため 病院から診療所へ糖尿病診療技術の移転を積極的に進め 病院と診療所との医療連携を基盤とする地域ぐるみの糖尿病診療体制の整備を進める必要があります 増加する糖尿病性腎症 慢性腎不全患者に対応するための診療体制を整備し 人工透析導入患者を減らすことが必要です 糖尿病にかかると歯周病菌に対する抵抗性が落ちて細菌が増殖し歯周病は極度に悪化します 歯周病は糖尿病の合併症のひとつと言われており その予防のためには定期的な歯周病検診 歯科医師 歯科衛生士 * による機械的清掃を受け セルフケアで除去できない部位に付着している細菌を除去することが重要です - 83 -

循環型地域医療連携システムの構築 糖尿病の循環型地域医療連携システム * は 県民が身近な地域で質の高い糖尿病医療を受けることができるよう 糖尿病の専門的な管理を行う医療機関 合併症の治療機能を有する病院 かかりつけ医 * かかりつけ歯科医 * 在宅療養支援診療所 * 訪問看護ステーション * 薬局等など 糖尿病医療を提供する各機関に加え 居宅介護支援事業所 * 等の連携により構築します また 行政 保険者による特定健診 特定保健指導 生活習慣の改善指導や啓発活動といった予防対策も含まれます かかりつけ医は 尿糖陽性など糖尿病が疑われる患者については 病状に応じて 近隣の糖尿病の専門的な管理を行う医療機関を紹介するとともに 退院後は 専門医と連携をとりながら 患者の継続的な治療や指導を行います 糖尿病の専門的な管理を行う医療機関は 千葉県保健医療計画策定に関する調査 ( 平成 22 年 8 月 ) の回答をもとに位置づけます 当該医療機関については 糖尿病専門外来 * 糖尿病教育入院 * 糖尿病日帰り教室 * の対応状況について明示します 糖尿病専門医と連携して腎症等の合併症の治療が可能であると回答した医療機関についても 網膜症 神経症状 腎症 等の合併症ごとに 対応可能な医療機関リストを掲載します また 地域におけるかかりつけ医 かかりつけ歯科医 在宅療養支援診療所のリストを掲載し 地域での連携を進めます なお 在宅療養支援診療所については 糖尿病性腎症にかかる機能として 在宅自己腹膜灌流指導管理 * 在宅血液透析指導管理* への対応状況について明示します 高度の糖尿病の治療等に対応可能な医療機関を 全県 ( 複数圏域 ) 対応型連携拠点病院として 専門的な管理を行う医療機関と連携し 県内の糖尿病の医療水準の向上等に取り組んでいきます なお 全県 ( 複数圏域 ) 対応型連携拠点病院は 1 特定機能病院 * 2 県立病院 3 国立病院 ( 国立病院機構 * 独立行政法人を含む) へ対応可能な医療機能について確認し 位置付けを行っています 今後 千葉県共用地域医療連携パス * の普及が進み 糖尿病の循環型地域医療連携システムが円滑に運用されることで かかりつけ医と糖尿病の専門的な管理を行う医療機関との機能分担と連携が推進され 1 早期からの適切な薬物療法の開始 2 血糖コントロールの改善による腎症を含めた合併症の発症 進展の防止 人工透析導入患者の減少を図ります - 84 -

糖尿病の循環型地域医療連携システムのイメージ図 全県 ( 複数圏域 ) 対応型糖尿病連携拠点病院 - 85 - 発症後発症前(予備軍)重症化阻止 合併症阻止 発症阻止 予防 専門的な管理を行う医療機関 1 例示 専門外来教育入院日帰り教室 糖尿病専門医と連携して網膜症を扱う医療機関 専門機関との連携重症化 7 8 かかりつけ医 かかりつけ歯科医 定期的な通院 自己管理 特定保健指導ハイリスク者 各種保険者 ) 特定健診 糖尿病専門医と連携して神経症状を扱う医療機関 合併症の治療機能を有する病院 継続的な療養管理指 在宅 糖尿病専門医と連携して腎症を扱う医療機関 糖尿病専門医と連携して壊疽 壊死を扱う医療機関 合併症の発症 糖尿病専門医と連携して歯周病治療を行う医療機関 ( 歯科含む ) 2 3 4 5 6 在宅療養支援診療所 9 在宅自己腹膜灌流指導管理 10 発症予防の取組 健診 異常なし 健康教育等の実施 在宅血液透析指導管理 在宅療養支援機関 訪問看護ステーション 薬局調剤 訪問衛生材料提供 生活習慣 ( 食事 運動等 ) の改善指導 地域住民への糖尿病予防のための啓発活動 行政 ( 県 保健所 市町村 ) 等による情報提供 相談窓口の紹介例 : 運動施設 患者会専門職 若年時からの教育学校保健 母子保健 市町村の健康相談健康教室 居宅介護支援事業所 連携 連携 行政機関 注 :Ⅱ 型糖尿病を主体とした連携図です 二次保健医療圏

施策の具体的展開 生活習慣と糖尿病の関係についての周知 生活習慣と糖尿病の関係についての周知を徹底します 糖尿病は 自覚症状が乏しいことから年 1 回の健診で健康管理を行う必要性を周知します 特定健康診査 特定保健指導の効果的な実施を支援 特定健康診査 特定保健指導の効果的な実施に向け 受診率を高めることができるよう医療保険者を支援します 今後の取組に生かせるよう県内の特定健診データを収集 分析しその結果を情報発信します 特定保健指導の実施率を高めるため 指導者のスキルアップをはじめ保健指導の向上を図るための人材育成を実施します 効果的な実践例の紹介 広域的な関係機関の調整 情報提供などにより医療保険者を支援します 重症化防止に向けた取組を支援 重症化予防の先駆的事例に関する情報提供とともに 糖尿病に係る医療連携について充実を図ります ハイリスク者へのアプローチ * として 特定保健指導において一人ひとりの状態にあった運動指導や食事指導が効果的に実施できるよう 従事者に対する研修を実施します 糖尿病療養指導の推進 糖尿病発症予防と治療中断防止のため糖尿病患者への療養指導を行う 千葉県糖 * 尿病療養指導士制度の普及啓発を促進します 評価指標 基盤 ( ストラクチャー ) 指標名現状目標 糖尿病専門外来を有する病 院の数 94 箇所 ( 平成 22 年 6 月 ) 129 箇所 ( 平成 27 年度 ) - 86 -

過程 ( プロセス ) 指標名現状目標 運動習慣者の割合 日常生活における歩数 40~64 歳男性 18.1% 女性 16.7% 65 歳以上男性 27.8% 女性 23% ( 平成 22 年度 ) 男性 7,360 歩女性 6,203 歩 ( 平成 22 年度 ) 40~64 歳男性 28% 女性 27% 65 歳以上男性 38% 女性 33% 男性 8,800 歩以上女性 7,700 歩以上 適正体重を維持している者の増加 ( 肥満 BMI25 以上 やせ BMI18.5 未満の減少 ) 20~60 歳代男性の 肥満者割合 33.2% 40~60 歳代女性の 肥満者割合 22.1% 20 歳代女性のやせの 者の割合 19.0% ( 平成 22 年 ) 20~60 歳代男性の肥満者割合 28.0% 40~60 歳代女性の肥満者割合 19.0% 20 歳代女性のやせの者の割合 15.0% 特定健康診査 特定保健指導の実施率 糖尿病の診療を行う病院における地域医療連携パス ( 糖尿病 ) 導入率 健康診査 34.9% 保健指導 19.0% ( 平成 22 年度 ) 4% ( 平成 22 年 6 月 ) 千葉県共用地域医療連携パスのみの実績 健康診査 70% 保健指導 45% ( 平成 29 年度 ) 50% ( 平成 27 年度 ) 千葉県共用地域医療連携パス以外のパスを含む 結果 ( アウトカム ) 指標名現状目標 合併症 ( 糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数 ) の減少 802 人 ( 平成 22 年 ) 738 人 - 87 -

図表 2-1-1-2-4-1 糖尿病による死亡者数と年齢調整死亡率の推移 12.0 11.5 人口 10 万対 11.1 11.5 11.1 11.4 11.6 660 650 640 11.0 10.8 10.8 630 10.5 10.0 10.6 10.6 10.3 10.4 10.3 10.7 620 610 600 9.5 9.0 9.9 632 638 617 599 632 634 654 17 年 18 年 19 年 20 年 21 年 22 年 23 年 死亡者数 ( 千葉県 ) 年齢調整死亡率 ( 全国 ) 年齢調整死亡率 ( 千葉県 ) 590 580 570 資料 : 人口動態統計 ( 厚生労働省 ) - 88 -