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[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

29 歳以下 3~39 歳 4~49 歳 5~59 歳 6~69 歳 7 歳以上 2 万円未満 2 万円以 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 29 年度 21 年度 211 年度 212 年度 213 年度 214 年度 215 年度 216 年度

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土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

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( 参考 ) と直近四半期末の資産構成割合について 乖離許容幅 資産構成割合 ( 平成 27(2015) 年 12 月末 ) 国内債券 35% ±10% 37.76% 国内株式 25% ±9% 23.35% 外国債券 15% ±4% 13.50% 外国株式 25% ±8% 22.82% 短期資産 -

Transcription:

税制 2018 年 6 月 21 日全 10 頁 平成の 30 年間 家計の税 社会保険料はどう変わってきたか 消費税よりも社会保険料の負担が増大 金融調査部研究員是枝俊悟 [ 要約 ] 本レポートでは平成が始まる直前の 1988 年から直近の 2017 年までの間 ( 以下 平成の間 ) 家計が負担する税 社会保険料がどのように変化してきたのか家計調査などをもとに振り返る 二人以上の勤労者世帯 ( 全国平均 ) が負担する税 社会保険料の勤め先収入に占める割合 ( 以下 税 社会保険料負担率 ) は 平成の間に 20.6% から 25.7% に上昇した その上昇幅 5.1%pt のうちの 4.2%pt は直近 10 年間 (2007 年 ~2017 年 ) に生じている また 上昇幅 5.1%pt のうち 4.7%pt は社会保険料負担の増加によるものであり 平成の間の家計負担増は ほぼ社会保険料の増加によってもたらされたものと言える 所得階級別の税 社会保険料負担率の変化を見ると 平成の間の上昇幅はより所得の低いグループほど大きかった これは 直接税負担率が所得の高いグループで低下したが所得の低いグループでは上昇していたこと および間接税負担率の上昇幅が所得の低いグループほど大きかったことによる 1988 年時点ではある程度あった最下位グループと中位グループの税 社会保険料負担率の差が 2017 年時点ではほぼなくなっている [ 目次 ] はじめに~データの特性 2 ページ 1. 全国平均値で見た税 社会保険料負担の変化 3 ページ 2. 所得階級別の税 社会保険料の負担率の変化 6 ページおわりに~ 新しい時代 の改革に向けて 10 ページ 本レポートは 朝日新聞 平成経済第 4 部老いる国縮む社会 (2018 年 6 月 3 日付朝刊 1 面 4 面 ) に提供した試算をもとに再構成したものです 株式会社大和総研丸の内オフィス 100-6756 東京都千代田区丸の内一丁目 9 番 1 号グラントウキョウノースタワー このレポートは投資勧誘を意図して提供するものではありません このレポートの掲載情報は信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが その正確性 完全性を保証するものではありません また 記載された意見や予測等は作成時点のものであり今後予告なく変更されることがあります 大和総研の親会社である 大和総研ホールディングスと大和証券 は 大和証券グループ本社を親会社とする大和証券グループの会社です 内容に関する一切の権利は 大和総研にあります 無断での複製 転載 転送等はご遠慮ください

2 / 10 はじめに ~ データの特性 家計調査 などをもとに家計の負担を振り返る 2019 年 5 月 1 日に行われる改元まで残り 1 年を切り 平成 の時代が終わろうとしている 本レポートでは 平成元年の前年である 1988 年から直近の 2017 年までの間 現役世代の家計が負担する税 社会保険料がどのように変化してきたのかを振り返る ( 以下 本レポートでは 1988 年から 2017 年までのことを 平成の間 と呼ぶ ) 分析に用いる統計は 主に総務省 家計調査 における 二人以上の勤労者世帯 (1999 年以前は農林漁家世帯を除き 2000 年以後は農林漁家世帯を含む 以下同じ ) のものを利用する 1 家計調査 では 家計が実際に負担した直接税( 所得税 住民税 固定資産税など ) と社会保険料 ( 健康保険料 年金保険料など ) の各年の金額が集計されている 家計が負担した間接税 ( 消費税 酒税 たばこ税 1988 年度まで存在した物品税など ) については集計されていないが 家計の各年の消費支出に 各年における間接税の実効税率を乗じることで推計できる 各年における間接税の実効税率については 1988 年 ~2003 年までは上村 (2006) 2 の先行研究において推計された各年の値 ( 暦年換算値 ) を用いた 2004 年 ~2017 年については 上村 ( 2006) における推計最終年度である 2003 年度の値をそのまま用いた ( ただし 消費税率の 5% から 8% への引き上げ後の 2014~2017 年については 消費税率引き上げによる実効税率上昇分を加味した ) 3 二人以上の勤労者世帯 のすがたの変化 二人以上の勤労者世帯 は 家計調査 の中で 現役世代につき収入と支出を確認でき かつ平成の間 一貫して利用できる統計の中で 最もカバーする世帯の範囲が広い このため 家計調査 を用いて現役世代の一般的な世帯の平均的な収入 支出( 税 社会保険料負担含む ) を推計するためには 二人以上の勤労者世帯 の平均値を用いるのが適当と考えられる もっとも 二人以上の勤労者世帯 はあくまで日本の総世帯数の一部を占めるにすぎず かつ その割合も低下傾向にある 日本の総世帯数に占める 二人以上の勤労者世帯 の割合は 1988 年は 49.52% であったが 2017 年には 32.49% に低下している ( 図表 1) このため ミクロでみた 家計調査 における 二人以上の勤労者世帯 の家計収支の動向と マクロでみた日本の全世帯の家計収支の動向は必ずしも連動しない 1 家計調査における 勤労者世帯 とは 世帯主が会社 官公庁 学校 工場 商店などに勤めている世帯をいう ( ただし 世帯主が社長 取締役 理事など会社団体の役員である世帯を除く ) 2 上村敏之 家計の間接税負担と消費税の今後 - 物品税時代から消費税時代の実効税率の推移 - ( 会計検査研究 33 号, pp.11-29, 会計検査院 2006 年 以下 上村 (2006) ) 家計調査の支出品目や各間接税の税収等をもとに 1960 年度から 2003 年度までの家計の消費支出に対する間接税の実効税率を推計している 3 2003 年度以後の個別品目への間接税 ( 酒税 たばこ税など ) の改正は反映していない ( ただし これによる間接税負担額の誤差は 2017 年時点の平均で 1 世帯月額 1,000 円程度と推定される )

3 / 10 また 二人以上の勤労者世帯 のすがたも平成の間に 大きく変わっている 世帯主の平 均年齢は高齢化や晩婚化により 43.7 歳から 49.1 歳に上昇し 少子化により平均世帯人員は 3.74 人から 3.35 人に減少した 他方 女性の就業率上昇により平均有業人員は 1.63 人から 1.74 人 に増加している 図表 1 二人以上の勤労者世帯 のすがたの変化 日本の総世帯数に占める割合二人以上の勤労者世帯の統計値 1988 年 2017 年 変化幅 単身世帯 23.09% 34.53% 11.45%pt 二人以上の世帯 76.91% 65.47% -11.45%pt 二人以上の勤労者世帯 49.52% 32.49% -17.03%pt 二人以上の 勤労者世帯以外の世帯 27.39% 32.98% 5.58%pt 世帯主の平均年齢 ( 歳 ) 43.7 49.1 5.4 平均世帯人員 ( 人 ) 3.74 3.35-0.39 平均有業人員 ( 人 ) 1.63 1.74 0.11 ( 注 ) 日本の総世帯数に占める単身世帯と二人以上の世帯に占める割合の按分は最も近い年 (1988 年 1990 年 2017 年 2015 年 ) の総務省 国勢調査 による 二人以上の世帯の勤労者世帯と 勤労者世帯以外の世帯 の按分は総務省 家計調査 による ( 出所 ) 総務省 家計調査 および総務省 国勢調査 をもとに大和総研作成 1. 全国平均値で見た税 社会保険料負担の変化 二人以上の勤労者世帯 の全国平均値について 1988 年と 2017 年の収支 ( 月額 ) を比較し たものが図表 2 平成の間の各年の推移をグラフにしたものが図表 3 である 図表 2 家計 ( 二人以上の勤労者世帯 の全国平均値 ) の収支 ( 月額 単位 : 円 ) 1988 年 2017 年 変化額 変化率 1 実収入 481,250 533,820 52,570 10.9% 勤め先収入 453,320 493,834 40,514 8.9% うち世帯主 394,956 419,435 24,479 6.2% うち世帯主の配偶者 ( 女 ) 43,195 64,323 21,128 48.9% 社会保障給付 10,237 27,970 17,733 173.2% 2 直接税 44,091 42,479-1,612-3.7% 3 社会保険料 30,923 56,869 25,946 83.9% 4 可処分所得 ( 1-2-3)( 注 ) 405,938 434,415 28,477 7.0% 5 消費支出 ( 税込み ) 307,204 313,057 5,853 1.9% 6 うち間接税 18,147 27,618 9,471 52.2% うち消費税 0 19,711 19,711 7 消費支出 ( 税抜き )(=5-6) 289,057 285,439-3,618-1.3% 8 黒字 (=4-5) 98,733 121,358 22,625 22.9% 黒字率 (=8/4) 24.3% 27.9% 平均消費性向 (=5/4) 75.7% 72.1% 9 税負担 (=2+6) 62,238 70,097 7,859 12.6% 10 負担合計 (=2+3+6) 93,161 126,966 33,805 36.3% 税 社会保険料負担率 (=10/ 勤め先収入 ) 20.6% 25.7% ( 注 ) 家計調査 の 可処分所得 は上記 1から2と3のほかに 直接税 社会保険料以外の非消費支出 ( 借入 金の利子など ) を控除した金額 直接税 社会保険料以外の非消費支出 は1988 年 ~2017 年のうち最も 多い年でも全国平均で月額 452 円である ( 出所 ) 総務省 家計調査 および上村 (2006) をもとに大和総研作成

4 / 10 家計の収支金額図表 3 ( 二人以上の勤労者世帯 の全国平均値 ( 実額 ) の推移 ) の収支の推移 ( 月額 円 ) 600,000 500,000 400,000 300,000 200,000 1 実収入 4 可処分所得 5 消費支出 ( 税込み ) 7 消費支出 ( 税抜き ) 3 社会保険料 2 直接税 6 間接税 10 負担合計 9 税負担 100,000 8 黒字 0 1988 1993 1998 2003 2008 2013 ( 暦年 ) ( 注 )1~10 は図表 2 に対応 図表 3 では 直接税 社会保険料以外の非消費支出 は 2 に含めた ( 出所 ) 総務省 家計調査 および上村 (2006) をもとに大和総研作成 収入の変化 4 平成の間に 家計の実収入は 5.3 万円増加している もっとも 実収入はこの間単調に増加傾向にあったわけではない 1988 年から 1997 年までは増加傾向にあり 1997 年の実収入は 59.5 万円となる 1998 年から 2011 年までは減少傾向に変わり 2011 年には 1997 年以後の最低である 51.0 万円となる 2012 年以後は再び増加傾向に変わった 平成の間の実収入の増加額の大部分は 勤め先収入 の増加 (4.1 万円増加 ) で説明される 増加額の内訳は 世帯主 と 世帯主の配偶者 ( 女 ) によるものがほぼ半々である 平成の間に社会保障給付も 1.8 万円増加しているが これは児童手当の給付対象者や給付額が拡充されたことのほか 二人以上の勤労者世帯 の中に年金の給付を受けながら働く高齢者の割合が増えたことによる影響も考えられる 直接税 社会保険料の変化平成の間に家計の実収入は増えているが 直接税は 0.2 万円減少している 他方 社会保険料は 2.6 万円増加した 家計の負担は 1988 年においては社会保険料 (3.1 万円 ) より直接税 (4.4 万円 ) の方が多かったが 2017 年では逆転して社会保険料 (5.7 万円 ) の方が直接税 (4.2 万円 ) より多くなっている 平成の時代における家計の負担増は 主に社会保険料の増加によってもたらされたものと言える 4 以下 本レポート 1. の中で特に断りがない場合 金額は全て月額で 千円未満を四捨五入し千円単位で表示 している

5 / 10 可処分所得 消費 間接税の変化平成の間の可処分所得の増加は 2.8 万円である 家計が負担する社会保険料が大きく増えたため 実収入の増加額よりも可処分所得の増加額は少ない 消費支出 ( 税込み ) は 0.6 万円増加しているが 消費支出 ( 税込み ) に占める間接税が 0.9 万円増加しているため 税抜きの消費支出は 0.4 万円減っている 5 家計が負担する消費税は 1988 年はゼロであったが 2017 年は 2.0 万円となっている ただし 物品税の廃止など消費税以外の間接税が減っているため 平成の間の間接税の増加は 0.9 万円にとどまっている 可処分所得の伸びに比べ消費支出 ( 税込み ) の伸びが緩やかなため 平均消費性向 ( 可処分所得に占める消費支出 ( 税込み ) の割合 ) は 75.7% から 72.1% に低下している 税 社会保険料負担率の変化 勤め先収入 に占める税 社会保険料の割合 ( 税 社会保険料負担率 ) 6 と 1988 年比の変 化幅の内訳を示したものが図表 4 である 図表 4 家計 ( 二人以上の勤労者世帯 全国平均 ) の税 社会保険料負担率の推移 ( 税 社会保険料負担率 ) 28% 27% 26% 25% 24% 23% 22% 21% 20% 19% 18% 税 社会保険料負担率 ( 左軸 ) (1988 年比の変化幅 ) 7%pt 6%pt 5%pt 4%pt 3%pt 2%pt 1%pt 0%pt -1%pt -2%pt -3%pt 17% -4%pt 1988 1993 1998 2003 2008 2013 ( 暦年 ) ( 注 ) 税 社会保険料負担率 =( 直接税 + 間接税 + 社会保険料 )/ 勤め先収入 ( 出所 ) 総務省 家計調査 および上村 (2006) をもとに大和総研作成 1988 年比の税 社会保険料負担率の変化幅の内訳 ( 右軸 ) 間接税 直接税 社会保険料 税 社会保険料負担率は 平成の間に 20.6% から 25.7% に上昇している ただし その上昇 幅 5.1%pt のうちの 4.2%pt は直近 10 年間 (2007 年 ~2017 年 ) に生じており 近年急速に家 5 世帯人員 1 人あたりでは税抜きの消費支出は増えている (1988 年 :7.7 万円 2017 年 :8.5 万円 ) 6 社会保障給付の多くが非課税となることなどを考慮し ここでは ( 実収入 ではなく ) 勤め先収入 に占め る税や社会保険料の割合を 負担率 とした

6 / 10 計負担が増加していることが分かる 社会保険料は平成の間ほぼ一貫して増加しており 平成の間の税 社会保険料負担率の上昇幅 5.1%pt のうち 4.7%pt は社会保険料の増加分である もっとも 2007 年ごろまでは直接税の減少分が社会保険料の増加分のほとんどを打ち消していたため 2007 年時点の税 社会保険料負担率は 21.5% と 1988 年と比べて 0.9%pt 高い水準にとどまっていた 2. 所得階級別の税 社会保険料の負担率の変化 1. では 二人以上の勤労者世帯 の収入 支出 ( 税 社会保険料負担 ) の平均値の推移を見てきたが 所得水準の高低により収入に占める税 社会保険料の割合は異なる 所得の多い順に 5 つのグループに分けた 所得五分位別の 勤め先収入 に占める税 社会保険料の負担率の推移を示すと次の図表 5 の通りとなる 図表 5 所得五分位別の家計の税 社会保険料負担率の推移 ( 税 社会保険料負担率 ) 29% 27% 25% 23% 21% 19% 二人以上の勤労者世帯 : 所得五分位 最上位グループ 上位から 2 番目 中位のグループ 下位から 2 番目 最下位グループ 17% 15% 1988 1993 1998 2003 2008 2013 ( 暦年 ) ( 注 ) 税 社会保険料負担率 =( 直接税 + 間接税 + 社会保険料 )/ 勤め先収入 ( 出所 ) 総務省 家計調査 および上村 (2006) をもとに大和総研作成 1988 年と 2017 年の税 社会保険料負担率を比較すると いずれのグループでも上昇しているが その上昇幅は所得のより低いグループほど大きい 最上位グループの上昇幅が 3.7%pt(24.2% 27.9%) であるのに対し 中位のグループの上昇幅は 5.5%pt(18.9% 24.4% ) 最下位グループの上昇幅は 7.8%pt(16.4% 24.2%) である 最上位グループと中位のグループの税 社会保険料負担率の差は 5.3%pt から 3.5%pt に 中位のグループと最下位グループの税 社会保険料負担率の差は 2.5%pt から 0.2%pt に縮まっている

7 / 10 2017 年時点では 最下位グループから中位のグループまでの税 社会保険料負担率の差はほぼなくなっており 最下位グループと 下位から 2 番目のグループ では税 社会保険料負担率の逆転が生じている これは 平成の間に直接税の累進性が緩和され 逆進性を持つ間接税のウエイトが高まったために生じている 直接税直接税負担率 ( 勤め先収入 に占める直接税の割合) は 全体として 1988 年から 2005 年ごろにかけては最高税率の引き下げや各種控除の拡大 定率減税の導入などによって低下しているが 2006 年ごろから 2017 年にかけては 定率減税の縮小 廃止 各種控除の縮小などにより増加している どの年においても 所得が高いグループほど直接税負担率は高くなっているが その差は縮まってきている 1988 年と 2017 年の直接税負担率を比較すると 最上位グループ (14.3% 11.6%) 上位から 2 番目のグループ (9.9% 8.4%) 中位グループ(7.7% 7.2%) ではいずれも低下していたが 下位から 2 番目のグループでは横ばい (6.1% で変わらず ) 最下位グループでは上昇していた (4.4% 5.3%) 平成の間を通じて 全体として所得の違いによる直接税負担率の差は縮まり 直接税の所得再分配機能は弱まったものと言える 図表 6 所得五分位別の家計の直接税負担率の推移 ( 直接税負担率 ) 15% 13% 11% 9% 7% 二人以上の勤労者世帯 : 所得五分位 最上位グループ 上位から 2 番目 中位グループ 下位から 2 番目 最下位グループ 5% 3% 1988 1993 1998 2003 2008 2013 ( 注 ) 直接税負担率 = 直接税 / 勤め先収入 ( 出所 ) 総務省 家計調査 をもとに大和総研作成 ( 暦年 )

8 / 10 間接税間接税負担率 ( 勤め先収入 に占める間接税の割合) は 1997 年 4 月 2014 年 4 月の消費税率引き上げ時に上昇している 他方 1989 年 4 月の消費税導入時には間接税負担率の顕著な上昇は見られない 7 1989 年から 1996 年にかけて間接税負担率が下がっているのは 1991 年 10 月に消費税の非課税品目が拡大される ( 居住用住宅の家賃などが非課税となる ) など この間に実質的な消費税の減税が行われたためと考えられる 図表 7 所得五分位別の家計の間接税負担率の推移 ( 間接税負担率 ) 8% 7% 6% 5% 4% 二人以上の勤労者世帯 : 所得五分位 最上位グループ 上位から 2 番目 中位グループ 下位から 2 番目 最下位グループ 3% 2% 1988 1993 1998 2003 2008 2013 ( 注 ) 間接税負担率 = 間接税 / 勤め先収入 ( 出所 ) 総務省 家計調査 および上村 (2006) をもとに大和総研作成 ( 暦年 ) どの年においても 所得の低いグループほど間接税負担率が高くなっているが その差は広がってきている 1988 年と 2017 年の間接税負担率を比較すると 最上位グループでは 1.1%pt の上昇 (3.6% 4.7%) にとどまっていたが 最下位グループでは 2.9%pt の上昇 (4.8% 7.7%) と上昇幅が大きい 消費税は所得のうち消費に回す部分だけに課税される ( 消費に回さない部分には課税されない ) このため 所得に占める消費税額の割合は 所得のうち消費に回す割合が高い世帯ほど高くなる 家計調査 における平均消費性向( 可処分所得に占める消費支出 ( 税込み ) の割合 ) は 1988 年から 2017 年にかけて最上位グループでは 73.2% から 65.8% に低下する一方で 最下位グループでは逆に 85.3% から 85.5% に上昇しており その差は 12.1%pt から 19.7%pt に拡大して 7 上村 (2006) においても 所得階級別の間接税負担率のグラフを示した上で 1989 年度に 3% の消費税が導入されたが ( 中略 ) 家計の負担に対して大きな変化はみられない 物品税の廃止にともない, 消費税が導入されたものの, 家計の負担は若干の低下をみせる としている

9 / 10 いる 平成の間 消費税率が引き上げられるとともに 所得の低い世帯ほど平均消費性向が高くな る傾向がより顕著になり 所得の低い世帯における間接税の負担感が強くなっている 社会保険料社会保険料負担率 ( 勤め先収入 に占める社会保険料の割合) は平成の間 ほぼ一貫して上昇しており 所得五分位別の差は小さい 勤労者世帯 の多くは 健康保険( 健康保険組合 協会けんぽ ( 旧 政管健保 ) または共済組合 ) と厚生年金 ( 旧 共済年金を含む ) に加入している これらの社会保険料は 原則として 勤め先収入 に対して保険料率を乗じて決まる 保険料率は加入する制度により異なるがその差は小さく 所得税や住民税と違って 所得控除 のようなものはないため 所得の違いによる社会保険料負担率の差は小さい ただし 1988 年から 2002 年ごろまでは 最上位グループの社会保険料負担率が他のグループより 1%pt 程度低かった これは 2003 年 3 月までは健康保険と厚生年金の保険料は原則として月給のみから徴収し 賞与からは徴収していなかったためである 最上位グループは 勤め先収入 に占める賞与の割合が他のグループより高いので 社会保険料負担率が低くなっていた 2003 年 4 月以後 月給と賞与に同率の社会保険料を課す 総報酬制 が導入されて以後は 最上位グループと他のグループの社会保険料負担率の差はほぼなくなっている 図表 8 所得五分位別の家計の社会保険料負担率の推移 ( 社会保険料負担率 ) 12% 11% 10% 9% 8% 二人以上の勤労者世帯 : 所得五分位 最上位グループ 上位から 2 番目 中位グループ 下位から 2 番目 最下位グループ 7% 6% 1988 1993 1998 2003 2008 2013 ( 注 ) 社会保険料負担率 = 社会保険料 / 勤め先収入 ( 出所 ) 総務省 家計調査 をもとに大和総研作成 ( 暦年 )

10 / 10 おわりに ~ 新しい時代 の改革に向けて 平成の間に 家計の負担する税や社会保険料は大幅に増えたが それでも国の財政の観点からみればこの間に増加した社会保障給付を補えておらず 財政赤字は拡大している 社会保障制度を持続可能とするためには 新元号の時代においても家計負担の増加は避けられないであろう 本レポート2. で見た通り 平成の間に直接税の所得再分配機能が弱まり 逆進性を持つ間接税のウエイトが高まったため 二人以上の勤労者世帯 の所得の違いによる税 社会保険料負担率の差は縮まっている 1988 年時点ではある程度あった最下位グループと中位グループの税 社会保険料負担率の差が 2017 年時点ではほぼなくなっており 低所得の世帯における税 社会保険料の負担が相対的に重くなっているものと考えられる 低所得の世帯における税 社会保険料を軽減する方策には 間接税や社会保険料の軽減なども考えられるが 厳しい財政状況に鑑みると 直接税の所得再分配機能を回復させる中で低所得世帯の負担を軽減することが現実的であろう 政府 与党は 結婚や出産をする経済的余裕がない若者が増加していることを問題視し 若い世代や子育て世帯に光を当てていく観点から 個人所得課税 ( 直接税 ) において所得再分配機能の回復に向けて改革を進めている最中である 8 もっとも これまで実施された施策 実施が決まっている施策は 2018 年から実施された納税者本人の所得に基づく配偶者控除の逓減 消失 2020 年から実施される予定の給与所得控除の上限引き下げ 納税者本人の所得に基づく基礎控除の逓減 消失など いずれも相対的に高所得の世帯の税負担を増加させる施策に限られている 今後 直接税の所得再分配機能を回復させる改革を進める中では 低所得の世帯の税負担の軽減を検討するべきではないだろうか 以上 8 自由民主党 公明党 平成 29 年度税制改正大綱 ( 平成 28 年 12 月 8 日 ) では今後の個人所得課税改革の方向性として 経済社会の著しい構造変化の中で 近年 結婚や出産をする経済的余裕がない若者が増加しており こうした若い世代や子育て世帯に光を当てていくことが重要である そのため 税制 社会保障制度 労働政策等の面で総合的な取組みを進める必要があるが 個人所得課税においては 所得再分配機能の回復を図ることが重要であり 各種控除等の総合的な見直しを丁寧に検討していく必要がある としている また 自由民主党 公明党 平成 30 年度税制改正大綱 ( 平成 29 年 12 月 14 日 ) においても 今後の見直しに向けた基本的方向性として 今後も 所得再分配機能の回復や税負担のあり方の観点から 引き続き見直しを継続していく としている