マンション管理会社のみなさまへ マンション共用部分の 地震保険について 2015 年度版 一般社団法人一般社団法人 日本損害保険協会マンション管理業協会
目次 はじめに マンション共用部分の地震保険付帯状況 地震保険に加入しない理由 火災保険の加入率と加入経路 損害保険の見直しと地震保険の加入率 築年数別付帯率 まとめ < ご依頼 > マンション付属物の説明に関するマンション管理会社 ( 損害保険代理店 ) のみなさまへ < ご依頼 > マンション付属物が査定対象でないことの消費者への周知について ( 要点 ) 3 4 5 6 7 8 9 10 11 1
はじめに 地震保険は単独では加入できず 火災保険に付帯して加入する保険です 付帯しない旨のご希望があった場合を除き 原則として付帯いただくことになっております しかし マンション共用部分の地震保険付帯率 ( ) は 専有部分の付帯率や地震保険全体 ( マンション以外も含む ) の付帯率と比較して かなり低い状況にあります 共用部分が地震により損傷した場合 その復旧費用は 地震保険金を充当 修繕積立金から捻出 区分所有者の一時金拠出 といった方法で手当てすることが考えられますが いずれの場合であっても区分所有者間の合意が必要です 東日本大震災では 地震保険に未加入で かつ 修繕積立金も不足しており 共用部分の修復のための一時金の拠出にあたり 住民間の合意形成ができず いつまでも修復できないマンションが存在しました こうした状況を踏まえ 財務省 地震保険に関するプロジェクトチーム の報告書において 損害保険会社とマンション管理会社が連携して マンション管理組合に対して共用部分の地震保険への加入を促していくことが求められています 本資料は マンション管理会社のみなさまがマンション管理組合に対し 共用部分の地震保険加入の必要性を説明していただく際の一助としていただくために作成したものです 2 火災保険に地震保険が付帯された割合
マンション共用部分の地震保険付帯状況 マンション共用部分における地震保険付帯率は 毎年上昇しているものの 専有部分の付帯率や地震保険全体の付帯率と比較して かなり低い状況にあります 参考 : マンション専有部分参考 : マンション専有部分 参考 : 地震保険全体参考 : 火災保険全体 ( マンション以外含む ) ( マンション以外含む ) マンション共用部分マンション共用部分 70.9% 70.9% 58.1% 58.1% 37.4% 37.4% 1 地震保険付帯率とは 当年度中に契約された火災保険 ( 住宅物件 ) のうち 地震保険が付帯された契約の割合 2 マンション専有部分と共用部分の付帯率は損保大手 5 社の集計 地震保険全体の付帯率は損保全社の集計 3
地震保険に加入しない理由 保険料が高い が過半を占めていますが 実際に地震により共用部分に損害が生じた場合の復旧費用の調達方法について話し合われていない可能性があります 地震保険に加入しない理由 ( ) 10% 18% 8% 7% 57% 保険料が高いわからない免震 制震のため不要補償が小さいその他 出典 : 加藤晃 マンション管理組合の地震保険加入に関する一考察 (NPO 法人かながわマンション管理センターによる調査結果 ) 上記アンケート結果のほか 地震保険付帯率が低い理由としては 1 新築時に付帯されないケースが多く そのまま現在まで付帯なしとなっている 2 マンションは堅牢なので倒壊しない (= 地震保険は不要 ) と考えている人が多い 3 新築時に付帯なしの場合 その後に付帯するためには総会決議等の手続きが煩雑といったことが想定されます 4
火災保険の加入率と加入経路 共用部分の火災保険の加入率は 93.2% であり ほとんどのマンション管理組合は何らかの火災保険に加入しています 火災保険への加入 5% 2% ( ) 加入している不明未加入 93% 火災保険の加入経路は 管理会社 ( 代理店 ) 経由が 70.1% となっています 火災保険の加入経路 ( ) 30% 70% 5 管理会社 ( 代理店 ) 上記以外 出典 : 加藤晃 マンション管理組合の地震保険加入に関する一考察 (NPO 法人かながわマンション管理センターによる調査結果 )
損害保険の見直しと地震保険の加入率 3 年以内に保険の見直しをしたか ( ) 49% 15% 36% 見直しをした見直しはしていないわからない 以下のとおり 過去 3 年以内に保険の見直しを実施したと回答した管理組合の地震保険加入率は 47.5% と 見直しなし / わからない の約 2 倍となっており保険加入の見直しは地震保険の加入行動のキーポイントとなっていると考えられます 3 年以内に保険の見直しをした地震保険加入率 ( ) 見直し有り 47.5% なし / わからない 23.1% 6 出典 : 加藤晃 マンション管理組合の地震保険加入に関する一考察 (NPO 法人かながわマンション管理センターによる調査結果 )
築年数別付帯率 40.0% 35.0% 30.0% 25.0% 20.0% 共用部分の地震保険付帯率 ( 築年数別内訳 ) ( 損保大手社契約の集計 ) 新築時に付帯率が低い傾向が顕著です 新築時は管理組合が組成されておらず 総会決議を経ずに地震保険加入有無を決定していますので マンション管理会社様の方針によって 付帯率に大きな違いが出てきます また 新築分譲時に設定する管理費についても 引渡し後の地震保険の保険料支出を想定して設定されていることが重要であり これも管理会社様 ( および売主様 ) の方針で大きく左右されます 東日本大震災では 築年数が浅いマンションでも多くの建物損害が発生しており 新築だから大丈夫 と決めつけることは危険です ( 管理組合向け資料 P.3 参照 ) 7
まとめ ほとんどのマンション管理組合は共用部分に関して 何らかの火災保険に加入 (93.2%) 火災保険の加入経路は 管理会社 ( 代理店 ) 経由が 70.1% 保険加入の見直しは地震保険の加入行動のキーポイント ( 過去 3 年以内に保険の見直しを実施したと回答した管理組合の地震保険加入率は 47.5% と 見直しなし / わからない の約 2 倍 ) 共用部分の地震保険への加入はマンション管理会社のみなさまの提案の有無に大きく影響を受けるといえます 地震保険は原則付帯する保険であるが 新築時 ( 管理組合組成前 ) に付帯されないケースが多い 万一 地震による被害が発生した場合には 管理組合から地震保険を付帯していなかったことについて説明を求められる可能性があります 8
< ご依頼 > マンション付属物の説明に関するマンション管理会社 ( 損害保険代理店 ) のみなさまへ 財務省 地震保険制度に関するプロジェクトチーム フォローアップ会合の議論のとりまとめ ( 平成 27 年 6 月 24 日 ) ( ) において 損保代理店がマンション管理組合にマンション共用部分の地震保険の加入を勧める際に マンション付属物が査定対象ではないことについて説明するよう求められています 管理組合への説明時に注意をお願いします ( ) 財務省 地震保険制度に関するプロジェクトチーム フォローアップ会合の議論のとりまとめ < 平成 27 年 6 月 24 日 > 抜粋 2. マンション付属物が査定対象ではないことの消費者への周知について 今回の会合での議論を踏まえ 損害保険業界は 地震保険ではマンション付属物は補償されない等の消費者の誤解や不安を招かないように マンション付属物が査定対象ではないという事実やその理由を わかりやすく丁寧に説明する必要がある 加えて 損害保険業界においては 代理店がマンション管理組合にマンション共用部分の地震保険の加入を勧める際にこうした内容を説明するように 代理店に対する教育を進めることを求める 消費者へのわかりやすい説明については 例えば 以下の内容 ( ) を募集時及び保険金支払い時のチラシ等の注意喚起文言に追加して要点を説明することが考えられる 9 次ページ参照
< ご依頼 > マンション付属物が査定対象ではないことの消費者への周知について ( 要点 ) ( ) 財務省 地震保険制度に関するプロジェクトチーム フォローアップ会合の議論のとりまとめ < 平成 27 年 6 月 24 日 > 抜粋 建物の保険金額には 門 塀 垣 エレベーター 給排水設備などの付属物の金額も含まれており 保険金はこの保険金額をもとにお支払いしています 一方 損害査定においては 大震災発生時においても保険金を迅速 的確 公平にお支払するため 主要構造部 ( ) に着目して建物全体の損害を認定します ( ) 基礎 柱 壁 屋根など建築基準法施行令第 1 条第 3 号に掲げる構造耐力上主要な部分をいいます したがって 主要構造部の損傷状況が一部損に至らない場合や門 塀 垣 エレベーター 給排水設備など主要構造部以外の付属設備のみが損傷した場合などは 保険金は支払われません なお エレベーターの損害と主要構造部の損害には相当程度の相関関係が認められており 地震によりエレベーターが損傷した場合には 建物の主要構造部に損害が発生している可能性が高いと考えられます エレベーターが損傷した場合には 加入保険会社や代理店にその旨ご申告いただければ 後日 保険会社の調査人が立会のうえ 主要構造部の損傷状況を確認させていただきます 10