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別添資料 3 南海トラフ沿いの大規模地震の 予測可能性に関する調査部会 ( 報告 ) 南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性について 平成 25 年 5 月 -0-

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PowerPoint プレゼンテーション

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目 次 1. 想定する巨大地震 強震断層モデルと震度分布... 2 (1) 推計の考え方... 2 (2) 震度分布の推計結果 津波断層モデルと津波高 浸水域等... 8 (1) 推計の考え方... 8 (2) 津波高等の推計結果 時間差を持って地震が

日本海溝海底地震津波観測網の整備と緊急津波速報 ( 仮称 ) システムの現状と将来像 < 日本海溝海底地震津波観測網の整備 > 地震情報 津波情報 その他 ( 研究活動に必要な情報等 ) 海底観測網の整備及び活用の現状 陸域と比べ海域の観測点 ( 地震計 ) は少ない ( 陸上 : 1378 点海域

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地震災害、正しい知識と備え

南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応のあり方について(案)

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既存の高越ガス設備の耐震性向上対策について

<GK クルマの保険 ( 車両保険 )> ( 自動車によるあて逃げに限ります ) お客さまのおクルマは 車両保険 に加入していますか? 自動車保険の車両保険では 一般車両 もしくは 10 補償限定 のいずれでも 台風や集中豪雨による洪水の事故が対象となります 地震 噴火またはこれらによる津波 によっ

資料2 森田科学官による12月30日提供資料

ii 8. 河川法と漁港法との調整に関する協定 ( 抄 ) 運輸省港湾局と農林省水産庁生産部とに関連ある港湾災害復旧事業の処理について 76 第 2 漁港関係災害関連事業 Ⅰ 補助金交付要綱 1. 漁港関係災害関連事業等補助金交付要綱 77 Ⅱ 災害関連漁業集落環境施設復旧事業 1. 災

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奈良県ライフライン 情報共有発信マニュアル 第 3.3 版 平成 24 年 7 月 奈良県ライフライン防災対策連絡会

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1 想定地震の概要南海トラフで発生する地震は 多様な地震発生のパターンが考えられることから 次の地震の震源域の広がりを正確に予測することは 現時点の科学的知見では困難です そのため 本市では 南海トラフで発生する地震として 次の2つの地震を想定して被害予測調査を行いました (1) 過去の地震を考慮し

津波警報等の留意事項津波警報等の利用にあたっては 以下の点に留意する必要があります 沿岸に近い海域で大きな地震が発生した場合 津波警報等の発表が津波の襲来に間に合わない場合があります 沿岸部で大きな揺れを感じた場合は 津波警報等の発表を待たず 直ちに避難行動を起こす必要があります 津波警報等は 最新

資料 総25-(8) 総合部会委員提出資料

本日の内容 南海トラフ地震地域 防災 減災 シンポジウム 2019 in 和歌山情報と行動が命を救う 南海トラフ地震から命を守る 平成 31 年 3 月 10 日 ( 日 ) 気象庁地震予知情報課長 青木 元 地震による被害 想定される南海トラフ地震 政府の対応と気象庁の取り組み 気象庁が発表する情

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図 東北地方太平洋沖地震以降の震源分布図 ( 福島第一 第二原子力発電所周辺 ) 図 3 東北地方太平洋沖地震前後の主ひずみ分布図 ( 福島第一 第二原子力発電所周辺 )

社会活動資料編保険金の支払 保険の の 保険 の 1 の P86 地 状 の の の 2 の の 保険 の 100% 保険 の 50% の 50% 保険 の 5% の 5% の の の 50 の の 2050 の の 320 の 地 45cm の の の の 70 の の 2070 地震 の の の

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文部科学省事業評価書(平成19年度新規・拡充事業等)政策目標4 71 首都直下地震防0災・減災特別プロジェクト

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地震保険と当社31 経社会活動資料編保険金の支払 1-1 保険 日 の 1-2 保険 日 の 保険の の 保険 保険の の 保険 保険 の 100% 保険 の 60% の 60% 保険 の 30% の 30% 保険 の 100% 保険 の 50% の 50%

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2011 年 12 月 15 日発行 東日本大震災リスク レポート ( 第 5 号 ) 次の大地震 大津波への対応 : 防災計画の見直しと企業に求められる対応 発行 : 三菱商事インシュアランス株式会社リスクコンサルティング室 はじめに 1 本年 3 月 11 日 ( 金 ) の東日本大震災の発生か

質問 4 過去において発生応力と応力状態 VIAs の基準値を 2.5 倍もの差があるケースは見たことがない 基準地震動を超える程度で重大な損傷を受ける可能性があり これで 工事計画 が認可される理由が分からない 何故認可したのかを明らかにして欲しい 回答 申請者は 本申請において原子力発電所耐震設

第 1 章実施計画の適用について 1. 実施計画の位置づけ (1) この 南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画 に基づく宮崎県実施計画 ( 以下 実施計画 という ) は 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法 ( 平成 14 年法律第 92 号 以下 特措法 と

東日本大震災における施設の被災 3 東北地方太平洋沖地震の浸水範囲とハザードマップの比較 4

素早い避難の確保を後押しする対策として位置付けるべきものであることとされているところである 国及び関係公共団体等は 最大クラスの地震 津波に対して被害を減ずるため これらの報告で示された地震 津波対策を速やかに具体化し 推進する必要がある 主な津波対策を以下に示す (1) 強い揺れや弱くても長い揺れ

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H19年度

東北地方太平洋沖地震への 気象庁の対応について ( 報告 ) 気象業務の評価に関する懇談会 平成 23 年 5 月 31 日 気象庁 1

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基本方針

平成27年基準年度固定資産税標準 宅地の鑑定評価でのバランス検討体制等に関する説明会資料

2

目次 はじめに P3 1 災害 緊急の範囲 P3 2 時間と場所を考慮した対応の必要性 P3 3 時間ごとの対応 P4 4 場所ごとの対応 P5 5 デジタルサイネージの提供コンテンツ P6 6 緊急時を意識したデジタルサイネージシステム P6 7 情報の切替 復帰の条件 P7 8 緊急運用体制 P

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報告書

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先行的評価の対象とするユースケース 整理中. 災害対応に関するユースケース. 健康に関するユースケース. 移動に関するユースケース. 教育に関するユースケース. 小売 物流に関するユースケース 6. 製造 ( 提供した製品の保守を含む ) に関するユースケース 7. 農業に関するユースケース 8.

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日本海溝海底地震津波観測網の構築機関について 観測網の整備 運用機関について 防災科学技術研究所は 我が国の防災研究の中核的機関として 地震防災研究を支える基盤観測網 (Hi-net F-net K-net 等 ) を整備 運用していることから 日本海溝海底観測網についても同研究所が整備 運用するこ

~ 二次的な被害を防止する ~ 第 6 節 1 図 御嶽山における降灰後の土石流に関するシミュレーション計算結果 平成 26 年 9 月の御嶽山噴火後 土砂災害防止法に基づく緊急調査が国土交通省により実施され 降灰後の土石流に関するシミュレーション結果が公表された これにより関係市町村は

火山防災対策会議の充実と火山活動が活発化した際の協議会の枠組み等の活用について(報告)【参考資料】

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新潟県中越沖地震を踏まえた地下構造特性調査結果および駿河湾の地震で敷地内の揺れに違いが生じた要因の分析状況について

平成 29 年 12 月 1 日水管理 国土保全局 全国の中小河川の緊急点検の結果を踏まえ 中小河川緊急治水対策プロジェクト をとりまとめました ~ 全国の中小河川で透過型砂防堰堤の整備 河道の掘削 水位計の設置を進めます ~ 全国の中小河川の緊急点検により抽出した箇所において 林野庁とも連携し 中

平成 28 年熊本地震における対応 平成 28 年熊本地震 ( 前震 :4/14 本震 :4/16) において 電力 ガス等の分野で供給支障等の被害が発生 関係事業者が広域的な資機材 人員の融通を実施するなど 迅速な復旧に努めた結果 当初の想定よりも 早期の復旧が実現 また 復旧見通しを早い段階で提

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資料 2-3 超大規模防火対象物等における自衛消防活動に係る訓練の充実強化方策 ( 案 ) 平成 30 年 10 月 31 日 事務局

平成 30 年 4 月 9 日 01 時 32 分頃の島根県西部の地震 震度分布図 各地域の震度分布 : 震央 各観測点の震度分布図 ( 震央近傍を拡大 )

2 地震 津波対策の充実 強化 (1) 南海トラフ地震や首都直下地震の被害想定を踏まえ 地震防災上緊急に整備すべき施設整備 津波防災地域づくりに関する法律 の実効性確保 高台移転及び地籍調査の推進など事前防災や減災に資するハード ソフトの対策を地方公共団体が重点的に進めるための財政上の支援措置を講じ

地震の概要 検知時刻 : 1 月 3 日 18 時分 10 発生時刻 : 1 月 3 日 18 時 10 分 マグニチュード: 5.1( 暫定値 ; 速報値 5.0から更新 ) 場所および深さ: 熊本県熊本地方 深さ10km( 暫定値 ) 発震機構 : 南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型 ( 速報

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沈降 隆起 南海トラフで発生した過去の地震には明らかに大きさの違いがある. 図 7 は室戸岬の近くにある室津港での地震毎の隆起 沈降を示したもので, 横軸は西暦である. ハッキリわかっているのは濃い黒で示した宝永, 安政, 昭和の 3 回の隆起量であり, あとは沈降の勾配が同じと仮定して描いてある.

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10 地震 火山噴火対策等の推進について 近年 我が国は様々な災害に見舞われている 東日本大震災後も 平成 28 年の熊本地震 本年 6 月の大阪府北部地震及び9 月の北海道胆振東部地震など大規模な地震が発生し 多大な人的 物的被害が発生した 地方公共団体においては 突然発生する大規模自然災害に備え

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(3) 土砂災害土砂災害の想定は 急傾斜地崩壊危険箇所 地すべり危険箇所 山腹崩壊危険地区のうち 保全人家 ( 公共施設を含む ) を有し かつ 対策工事の実施されていない箇所などを対象に 各危険箇所などの耐震ランクと震度から危険度ランク (A B C) を判定した ここでいう危険度は 相対的なラン

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大阪湾広域臨海環境整備センターは、昭和57年3月に設立されて以来、30年余りにわたって、全国で唯一の府県域を超えた広域的な廃棄物の適正な最終処分を海面埋立てにより行う「フェニックス事業」を地方公共団体及び港湾管理者と一体となって推進してきたところであり

その一方で 防災行政無線の聞き取り状況の調 査では 図 3に示すように20% の人が放送内容を聞き取れなかったと答えており 今後の改善 もしくは代替え手段の充実の必要性を示唆している なお 情報の入手先としてテレビの割合が低いのは地震による停電 ( 岩手県 宮城県では95% 以上が停電 ) が原因と

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2 被害量と対策効果 < 死者 負傷者 > 過去の地震を考慮した最大クラス あらゆる可能性を考慮した最大クラス 対策前 対策後 対策前 対策後 死者数約 1,400 人約 100 人約 6,700 人約 1,500 人 重傷者数約 600 人約 400 人約 3,000 人約 1,400 人 軽傷者

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目次 はじめに 古村孝志 津村紀子 中川和之 山野誠 深畑幸俊 酒井慎一 ( モノグラフ編集委員会 ) 1 1. 招待論文 * シンポジウム講演順 南海トラフ沿いの地震に関する新しい防災対策 平田直 3 大震法の成立過程の問題点と大震法の弊害 泊次郎 7 地震発生予測と大震法とのあるべき姿 松浦律子


布 ) の提供を開始するとともに 国民に対し分かりやすい説明を行い普及に努めること 図った 複数地震の同時発生時においても緊急地震速報の精度を維持するための手法を導入するとともに 緊急地震速報の迅速化を進める 特に 日本海溝沿いで発生する地震については 緊急地震速報 ( 予報 ) の第 1 報を発表

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Microsoft Word 宮崎県庁記者レク_v1.5.docx

過去に経験のない規模の巨大地震 津波が発生 東日本大震災の概要 死者 行方不明者数 死者 15,355 名 行方不明者 8,281 名 (6 月 4 日現在 警察庁調べ ) 建築物被害 ( 住家 ) 全壊 10 万 9,147 棟 半壊 6 万 9,789 棟 一部破損 31 万 7,710 棟 全

一太郎 10/9/8 文書

( 参考資料 ) 緊急速報メールを活用した 洪水情報のプッシュ型配信 国土交通省四国地方整備局松山河川国道事務所平成 29 年 3 月

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

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スライド 1

食肉製品の高度化基準 一般社団法人日本食肉加工協会 平成 10 年 10 月 7 日作成 平成 26 年 6 月 19 日最終変更 1 製造過程の管理の高度化の目標事業者は 食肉製品の製造過程にコーデックスガイドラインに示された7 原則 12 手順に沿ったHACCPを適用して製造過程の管理の高度化を

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新たな津波浸水想定を踏まえた見直しの概要 資料 1-2 H23 の想定 対象断層県設置の有識者検討会設置の有識者検討会の検討の検討結果を踏まえた 4 断層 ( 日本海東縁部 能登半島東方沖 能登半島北方沖 石川県西方海東縁部 能登半島東方沖 能登半島北方沖 石川県西方沖 ) 想定の手法土木学会の手法

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プレス発表資料 平成 27 年 3 月 10 日独立行政法人防災科学技術研究所 インドネシア フィリピン チリにおけるリアルタイム 津波予測システムを公開 独立行政法人防災科学技術研究所 ( 理事長 : 岡田義光 以下 防災科研 ) は インドネシア フィリピン チリにおけるリアルタイム地震パラメー

津波の怖さを知っていますか? 平成 5 年 (1993 年 ) 北海道南西沖地震では地震発生から 5 分と経たないうちに大津波が押し寄せ 死者 202 人 行方不明者 28 人などの被害が生じました ( 写真は函館海洋気象台職員撮影 ) 宮崎地方気象台

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本ワーキンググループにおけるこれまでの検討事項 資料 1

本ワーキンググループの検討内容 第 3 回資料 1 を一部修正 地震発生予測について ( 予測可能性調査部会において検討 ) 〇現状の地震発生予測の可能性 確度 予測可能性に関する科学的知見を整理 社会が混乱するおそれがある 4 つのケースについて検討 〇南海トラフにおけるリアルタイムモニタリング 南海トラフで発生している現象を分析 評価し 理解を深めるためのモニタリングおよび調査研究のあり方について整理 防災対応について (WG 第 3 回 第 4 回において検討 ) 〇不確実な地震発生予測に関する情報 を活用した防災対応のあり方 突発的に発生する大規模地震に対する被害を低減するための地震防災対策を前提として 不確実な地震発生予測に関する情報を活用して どのような対応を実施するべきか ケース 1 ケース 2 を念頭に議論ケース 1: 東側の領域が破壊する大規模地震が発生した場合ケース 2: 南海トラフで比較的規模の大きな地震が発生した場合 (M8~9 クラスの大規模地震と比べて一回り小さい規模 (M7 クラス ) の地震 ) 体制 仕組みについて ( 本日検討 ) 〇地震活動の評価体制 現時点では 発生した現象を緊急的に評価できる組織は判定会しかないが 特にケース 1 2 のような場合も含め 南海トラフ全体において地震活動を評価する体制が必要ではないか 〇防災対応の実施に必要な体制 仕組み 南海トラフで発生した現象について 適時的確に情報を発信し 世の中の混乱を避けるとともに 必要に応じて適切な対応をとるためには どのような体制 仕組みが必要か 1

具体的に検討した 4 つのケース ケース 1 南海トラフの東側だけで大規模地震が発生 ( 西側が未破壊 ) 過去の事例から 南海トラフの東側の領域が破壊する大規模地震が発生すると 西側の領域でも大規模地震が発生する可能性が高い 南海トラフ東側で大規模地震 (M8 クラス ) が発生 ケース 2 南海トラフで地震 (M7 クラス ) が発生 M8~9 クラスの大規模地震と比べて一回り小さい規模 (M7 クラス ) の地震が発生 南海トラフ沿いでは確認されていないが 世界全体では M7.0 以上の地震発生後に さらに規模の大きな地震が同じ領域で発生した事例がある 南海トラフ西側は連動するのか? 8 7 6 地震 5 発生 4 数 ( 個 3 ) 2 1 0 全世界でM8 以上の地震 (92 事例 ) 発生後 隣接領域で同程度の地震が発生した事例数地震発生数 近似曲線 3 日以内 :9 事例 (10%) 3 年以内 :31 事例 (34%) 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 先発地震発生からの経過日数 ( 日 ) 南海トラフの大規模地震の前震か? 18 16 14 地 12 震発 10 生数 8 ( 個 6 ) 4 2 0 全世界でM7 以上の地震 (1319 事例 ) 発生後 同じ領域で より大きな地震が発生した事例地震発生数 近似曲線 7 日以内 :25 事例 (2%) 3 年以内 :52 事例 (4%) 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 先発地震発生からの経過日数 ( 日 ) 地震の規模や発生時期等について確度の高い予測は困難であるが 数少ないデータに基づき誤差を含むことに留意する必要があるものの 余震発生数の時間変化の経験式に従うならば 例えば ケース 1 について大規模地震発生後に同規模の地震が発生する可能性は 最初の地震発生から 2 年経過した期間を基準とした場合の 1 日あたりの相対的な発生確率が地震直後から 3 日程度は 100 倍以上と極めて高い など言える ケース 3 ケース 4 東北地方太平洋沖地震に先行して観測された現象と同様の現象を多種目観測 2011 年東北地方太平洋沖地震に先行して観測された現象 日 東海地震の判定基準とされるようなプレート境界面でのすべりが発生 東海地域では 現在気象庁が常時監視 ひずみ計 地震活動関連 地殻変動関連 電磁気関連地下水関連 大規模地震の発生に発展するとただちに判断できない 多くの専門家が 大規模地震が発生する可能性が非常に高まっているのではないか と懸念するように相対的な評価は可能だが 現時点では 大規模地震の発生の可能性を定量的に評価する手法や基準はない ひずみの変化 Noda and Hori (2014) 時間 シミュレーションでは 地震発生前にゆっくりすべりを伴う場合 伴わない場合等 大地震発生に至る多様さが示されている 2

南海トラフにおけるリアルタイムモニタリング 10. 南海トラフの震源断層域で見られる可能性のある現象のモニタリングと調査研究の方向性 (1) モニタリングのあり方 ( 前略 ) 以上のことから 南海トラフで発生している現象の即時的な分析 評価及び理解のためには 現状の観測網だけでは不十分であり 特に 内陸の想定震源域を中心としたひずみ計観測や海域の想定震源域直上における観測を強化しモニタリング体制を強化することが不可欠である また プレート間の固着状態を常時把握しその変化を捉えるためには リアルタイムにデータを収集 監視するとともに 迅速な解析を実施することが望まれる その際 関係する各機関は 互いの解析結果を共有し 比較 検討することが重要である あわせて 今後の解析技術の高度化等にもつながることから 観測データや解析結果の即時的な公開も重要である (2) 調査研究のあり方 ( 前略 ) 以上のことから 南海トラフで発生している現象の即時的な分析 評価及び理解のためには 現状の観測網による観測データだけでなく 特に 内陸の想定震源域を中心としたひずみ計観測網や海域の想定震源域直上における地震 地殻観測網による観測データと 地震発生の確率予測の手法及びシミュレーションモデルを統合したデータ同化手法等の研究の推進が必要である また 過去の地震についての古文書や津波堆積物などから推定される現象のシミュレーションによる再現などにより 大規模地震発生についての理解を深めることも重要である あわせて 物理モデルを取り入れた統計的な予測手法の高度化やシミュレーションモデルによるアンサンブル解析など定量的な予測可能性についての研究を進めることも重要である [ 留意事項 ] 一般的には 地震発生予測手法は複数回の地震サイクルを経験することにより科学的に検証されるものであり 大規模地震の発生サイクルを考慮すると 手法の検証には長い時間が必要となる そのため 開発される手法は その時点で最良と評価されたものであっても 必ずしも十分には検証がされていないことに留意する必要がある 防災対策への活用にあたっては このことに対する十分な理解が必要である WG 第 2 回資料 2-1 南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性に関する調査部会本調査部会報告書改定の骨子案より抜粋 3

防災対応についてのこれまでの議論 地震防災の基本的考え方 阪神 淡路大震災 東日本大震災等を踏まえて 地震防災対応を 事前対策から事後対応 復興 復旧まで総合的に強化 地震予知に基づく地震防災応急対策は異常現象が観測された場合の複線的な対応 社会混乱が想定される現象とその科学的評価 確度の高い地震発生予測は困難 社会的混乱が発生するおそれがあるケース1~4を想定 ケース1 2は 過去の統計データに従うならば 3 日程度は大規模地震の発生確率が特に高い 特にケース1 2の現象が発生した場合 社会混乱に対する対応や防災対策の実施についての判断が求められる可能性 事前対策の進捗と課題 住民の津波避難対策 高知県 静岡県 和歌山県における津波避難対策 河川 海岸堤防 防潮堤等のハード施設の整備 情報伝達の高度化 津波避難施設の整備 要配慮者施設や津波避難困難地域の高台移転 早期避難実現のための避難訓練等 課題 予防的対策は計画的に進められているが まだ途上の段階 全ての人が想定どおりに避難するのは現実的には困難 事業者の地震 津波対策 対策の進捗 不特定かつ多数の者が出入りする施設 順次制定された新たな基準に基づき耐震化が進捗 高圧ガス等の製造 貯蔵 処理又は取扱いを行う施設 順次制定された新たな基準に基づき耐震化が進捗 鉄道事業 橋梁等の耐震化や 新幹線の脱線 逸脱防止対策等が進捗 社会福祉施設 津波避難対策の進捗 課題 全体として対策は進捗しているが 個別に見ると対策の実施状況や災害に対する脆弱性は様々 4

地震発生の確度を踏まえた防災対策のレベル化 第 4 回資料 6 再掲 南海トラフ地震の切迫度は発生した現象の違いや時間の経過によって異なる上 地震に対する脆弱性も地域や住民等によって大きな相違があることから リスクに応じた対策を選択できるよう 対策のレベル化を図るべきではないか 対策の実施にあたっては 得られるメリット ( 効果 ) とデメリット ( 社会的コスト ) を総合的に考慮して 実施すべき内容を検討すべきではないか ( 例えば 避難や事業停止が長期化すると デメリットが増大 ) 切迫度 発生しているケースによる違い 時間とともに変化 ケース2の場合 震源域付近とその他の地域との違い等 確度の高い地震予測は困難 切迫度を明確に判定することは難しいが 対策の実施のためには線引きが必要 高 切迫度 低 脆弱性 場所海岸からの距離や標高等 住民避難行動に時間を要するか 対策の実施状況 高 脆弱性 大現震行法のに対基応づく プラン A プラン B プラン D 耐震化の有無 避難施設の整備状況等 等 低 プラン C リスク ( 切迫度 脆弱性 ) に応じた対策のイメージ 5