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Transcription:

2015 年パリ合意実現に向けた交渉 ~ ボン会議 SB42 & ADP2.9 交渉 ~ 2015 年 7 月 2 日 ( 木 ) WWF ジャパン気候変動 エネルギープロジェクトリーダー小西雅子 SB42 ADP2.9(2015 年 6 月 ) ボン会議終了時に CAN ジャパンメンバーと 1

ボンの新会議場 : 自然採光と太陽光発電の環境配慮! 2

気候変動に関する国際条約の歩み 1992 1997 2008~2012 13 15 20 2025/2030 採択気候変動枠組条約 交渉 97 年採択 批准 05 年発効 京都議定書 第 1 約束期間 05 年から交渉 第 2 約束期間 カンクン合意 11 年から交渉 15 年採択新枠組み ( パリ議定書?) 批准 発効 新枠組み約束期間 議定書 ( 法的拘束力あり ) 自主的な合意議定書 or 弱い合意? 先進国と途上国間に明確な差 すべての国が対象 WWF ジャパン作成 3

国連気候変動会議の構造 COP ( 国連気候変動枠組条約の締約国会議 ) COP/MOP ( 京都議定書の締約国会議 ) ADP ( ダーバン プラットフォーム作業部会 ) 2020 年以降の枠組み議論 ( パリの合意 ) 2020 年までの取り組み強化 SBI ( 実施に関する補助機関 ) SBSTA ( 科学 技術の助言に関する補助機関 )

ボン会議の見どころ 1 2020 年以降の国際枠組み パリ合意 の交渉テキスト案 : 進展が見られた 2 2020 年までの先進国の温暖化対策の国際評価 : 日本も登場 3 2020 年以降の削減目標について : 世界の 5 分の 1 の国が 2020 年以降の目標草案を提出 日本の 2030 年目標草案も政府原案公表 5

1 2020 年以降の国際枠組み パリ合意 の交渉テキスト案 : 進展が見られた 国際交渉とは 温暖化対策の約束事を法的文書で合意する という作業 合意されるべき文書の案が出て それをベースに交渉が進んでいく その形が整っていくことが 進展 と言える 第 1 回準備会合 (ADP2.8 2 月ジュネーブ ) ジュネーブ テキスト (90pp): パリ合意のドラフト 第 2 回準備会合 (SB42&ADP2.9 6 月ボン ) セクションごとに整理統合が行われ 選択するべき争点が少し明瞭化されて ほんの少し短くなった (85pp) 作業ドキュメント : 各国の言い分のまとめ 6

2015 年の国際交渉のプロセス 2 月 5 月 6 月 8 月 10 月 11 月 1 日 12 月 ADP2.8 SB42/ADP2.9 ADP2.10 ADP2.11 COP21/CMP11 (2030 年 ) 目標案を提出 (COP21 の十分前に ) 交渉テキスト 5 月までに準備 目標案事務局にて公表 非公式に国際比較検証 各国の目標案を総計した効果についての統合報告書を作成 2020 年以降の枠組み合意 なぜ自国の目標案が 衡平で 科学的に妥当だか 説明が必要 WWF ジャパン作成

第 3 回準備会合 ADP2.10 までに準備すること (ADP2.10 8 月 31 日 ~9 月 4 日 ) 総合的なパリ合意案 ( パリ議定書になるのか その他の名前になるのかはわからないが 便宜的に パリ合意 と呼ぶ ) を まず共同議長が作って 7 月 24 日に各国に交渉のベースとして示すことになった 明確な選択肢を提供する形 しかし各国すべての見解は削除されることはない COP 決定になるのが適当な箇所 パリ合意に入れるのが適当な箇所を分けて示す 本質的な議論を必要とする箇所は 総合的なパリ合意案 に入れずに ボン (ADP2.9) の整理テキストに残す 8 月 26 日から 30 日まで 共同議長と各国のコンサルテーション ( 各国の矛盾する意見をすべて反映した合意文書案を作るというのは 非常に困難な作業 出来上がった共同議長案を見て これは受け入れられない と各国が紛糾して 貴重な第 3 回会合 (ADP2.10) における議論が滞るのを避けるため ) 8

本質的な議論はまだこれから ジュネーブ テキストの項目 A: 序文 B: 定義 C: 一般 D: 緩和 E: 適応 / 損失と被害 F: 資金 G: 技術意見 H: キャパシティビルディング I : 透明性 ( 算定 報告 検証 ) J: タイムフレーム ( サイクル ) K: 遵守 L: プロセス 項目を超えた議論点 差異化 衡平性 ( 従来の先進国 途上国間や各国間の衡平性をどのように考え いかに差異化するか 何をパリ合意に入れて 何を COP 決定にするか パリ合意の法的形式および目標の法的拘束力をいかにおくか 9

タイムフレーム ( サイクル ) の議論とは? ブラジル提案を例に 出典 :UNFCCC ブラジル提案 (2013 年 11 月 6 日提出 ) 10

タイムフレーム の議論の背景 パリ合意 2 度未満達成シナリオ はほとんど不可能であろう しかし パリ合意は 2 度未満達成シナリオの通過点 と位置づけ その後に削減量を増加させていく サイクル が 合意されれば次善の策ではないか? 今までのように 京都議定書 コペンハーゲン合意 カンクン合意 など紆余曲折の国際交渉を経て その都度制度の存続をかけた交渉を繰り広げられることは避けたい そのためには 2030 年を超えた長期目標がなるべく具体的で 各国のコミットメントを強く促すものであること パリ合意が 長く続く制度が構築される一歩という位置づけになることが重要 つまりサイクルが必要となる たとえば約束期間を 5 年とか 10 年などと決めて その際には自動的に次の目標を決めるサイクルになり しかもその目標は前の約束期間を上回っていくことなどが決まれば 上昇スパイラルの構造になる 11

差異化 をめぐる論点 削減目標の形式 (e.g. 総量か原単位か BAU 比か 基準年比か ) 削減目標の性質 義務 (e.g. 国によって義務かどうか違う?LDC は?) 削減目標に支援有無条件をつけるか? (e.g. ここまでは独力で ここからは支援があれば ) サイクル (e.g. 先進国 途上国で分ける? それとも?) 資金支援の義務 規模 (e.g. 誰がどれくらいの資金支援をするのか ) 差異化 長期目標 (e.g. ピークの時期が違う?) 適応の扱い (e.g. 途上国は適応行動計画だけでもよい?) 遵守における扱い (e.g. 遵守制度の対象となるのは?) 先進国(developed countries;annex I Parties) と 途上国 (developing countries;non-annex I Parties) という言葉は使い続けるのか? 12

2 2020 年までの先進国の温暖化対策の国際評価 : 日本も登場 国際評価 レビュー (IAR: International Assessment and Review) カンクン合意で決まった 2020 年までの温暖化対策の取り組みで 先進国の削減目標に対する国際的な評価とレビュー = 実施状況の遵守を促す仕組み 2014 年の COP20 で 17 か国が IAR を受けており 今回の SB42 で 先進国のうち 24 か国 ( 日本含む ) が 各国から事前に寄せられた質問に答えた http://unfccc.int/focus/mitigation/the_multilateral_as sessment_process_under_the_iar/items/8982.php 13

SB42 で国際評価を受けた 24 か国 ( オーストラリアやカナダ 日本 ドイツ イギリスなど ) 事前にオンラインで質問 :332 当日の質問 :217 出典 :UNFCCC 14

日本への質問 1990 年比 25% 削減を公表していたが 2005 年比 3.8% 削減に目標を激減させたが これは暫定目標ということだが いつ確定目標を出すのか? 非常に低い目標だが 確定目標の際には上げるのか? など返答 : 日本は 原発の再稼働が未定である中 2020 年のエネルギーミックスが決まらないので まだ確定目標は出せない * ドイツなどへの質問では ドイツは低炭素社会へのよい範を示してくれてありがとう その知恵を分けてほしいのだけど といった賛辞を込めた質問が相次ぎ いろいろ批判はあっても世界の尊敬を集めていることを感じさせた 15

3 2020 年以降の削減目標について : 世界の 5 分の 1 の国が 2020 年以降の目標草案を提出日本の 2030 年目標草案も政府原案公表 同じドイツで開催された G7 で 日本も 2030 年目標 2013 年度比 26% 削減を発表 しかしその内容が 基準年を 排出量が多く欧米との比較で見かけ上有利に見える 2013 年としたことや 再エネを抑制している目標であること また CO2 排出量の多い石炭火力を国内外で推進しようとしているといったことで 世界の市民社会からの非難が集中 世界の気候変動に関する 900 団体のネットワークである CAN から 準備会合ではめったに出ない化石賞 ( 交渉を最も妨げている国に贈られる不名誉な賞 ) を 3 つも単独受賞 16

国名 スイス EU ノルウェー メキシコ アメリカ ロシア ガボン リヒテンシュタイン アンドラ カナダ モロッコ エチオピア 目標草案 (INDCs) 概要 2030 年までに 1990 年比で 温室効果ガス排出量 50% 削減 2025 年までには 1990 年比で 35% の削減が予期 2030 年までに 1990 年比で 温室効果ガス排出量を国内で少なくとも 40% 削減 2030 年までに 1990 年比で 温室効果ガス排出量を国内で少なくとも 40% 削減 2030 年までに BAU 比で 温室効果ガスおよび短期寿命気候汚染物質の排出量を合わせて 25% 削減 (GHG のみでは 22% 削減 ) ただし 条件次第で 同 40% 削減 (GHG のみでは 36% 削減 ) への引き上げを示唆 2025 年までに 2005 年比で 温室効果ガス排出量を 26~28% 削減 28% 削減へ向けて最大限の努力 2030 年までに 1990 年から 70~75% 抑制 (90 年比 20~25% 削減 ) が長期的な指標 森林吸収量の最大限算入が条件 2025 年までに BAU 比で 温室効果ガス排出量を少なくとも 50% 削減 2030 年までに 1990 年比で 温室効果ガス排出量を 40% 削減する 2030 年までに BAU 比で 温室効果ガス排出量を 37% 削減する 2030 年までに 2005 年比で 温室効果ガス排出量を 30% 削減する 無条件目標 :2030 年までに BAU 比で 温室効果ガス排出量を 13% 削減 国際的な支援を条件 :2030 年までに BAU 比で 温室効果ガス排出量を 32% 削減 2030 年時点での 正味の温室効果ガス排出量を 1 億 4500 万トン (CO2 換算 ) に抑制

国名目標草案 ( 概要 ) 中国 6 月 30 日に新たに中国 韓国 セルビア アイスランドが目標草案を国連に提出 2030 年までのなるべく早くに排出を減少に転じさせる 国内総生産(GDP) 当たりCO2 排出量を05 年比で60~65% 削減 1 次エネルギー消費に占める非化石燃料の比率を約 20% に引き上げる 再エネの意欲的な目標 2014 年までの設備導入量風力 98.81 GW (2005 年比 90 倍 ) PV 28.05 GW (2005 年比 400 倍 ) 今後 風力 200 GW PV 100 GW ( ちなみに原発の設備容量は2014 年 19.88GW (2005 年比 2.9 倍 )) 石炭の総消費量を抑える 排出量取引制度(7 地域と都市でパイロット ) 国レベルの取引制度へ発展 韓国 2030 年に BAU(850.6MtCO2eq.) よりも温室効果ガス排出量を 37% 削減 国際炭素市場からのクレジットを一部使用 18

INDCs について UNFCCC INDCs Portal http://www4.unfccc.int/submissions/indc/submission%20p ages/submissions.aspx その他の参考になる INDCs まとめサイト Climate Action tracker(indcs 評価 ) http://climateactiontracker.org/ CAN ジャパンウェブサイト ( 日本語 ) http://www.can-japan.org/ WWF ジャパン目標草案まとめサイト ( 日本語 ) http://www.wwf.or.jp/activities/2015/04/1258310.html 19