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2 1. 精神科薬物療法の基本 医療チームの士気を高め, 心理社会的治療への導入をも容易にする. 薬物療法の効用を最大限に引き出す技術を身につけることは今日の精神科臨床において必須である. 1 薬物療法の目的 a. 対症レベルでの改善薬物治療は必ずしも病態や病因の本質に作用しなくてもよい. 認知症の

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Ⅰ 向精神薬の合理的な用い方 ④ 3 理学的および生化学的検査 身長 体重 体温 脈拍 血圧などの測定とともに 心電図およ び血液生化学的検査を施行し生体の病的状態の有無を評価してお く 脳波 CT MRI SPECT PET NIRS 等も必要に応じて施行 する 2 薬物療法の実際 ① 適切な薬剤

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もくじ 目的 目標 支援体制図 4 運用規準 ) 運用地域 ) 運用開始時期 ) 実施方法 4) 実施手順 5) 個人情報の取扱い 6) 運用に関する留意事項 5 資料 精神障害者の治療中断 4 精神障害者の治療中断の アセスメント項目 適用例 考え方 6

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2017/2/13 平成 28 年度筑波大学教員免許状更新講習シンポジウム 子どもたちの心は今 ~ 発達障害と愛着障害 :2 つのキーワードから ~ 筑波大学宮本信也 ( つくば ) 気になる子? 集団行動が取れない子 乱暴で加減ができない子 他児と全く遊ぼうとしない子 落ち着きな

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【講義】 強度行動障害がある者の基本的な理解

双極性障害(躁うつ病)とつきあうために

回数 テーマ 内容 2 発達障害のある児童の心理 行動特性 1 学習障害のある人の心理 行動特性 3 発達障害のある児童の心理 行動特性 2 ADHD のある人の心理 行動特性 4 発達障害のある児童の心理 行動特性 3 自閉スペクトラム症のある人の心理 行動特性 5 発達障害に対する支援 1 学習

2. 改訂内容および改訂理由 2.1. その他の注意 [ 厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡に基づく改訂 ] 改訂後 ( 下線部 : 改訂部分 ) 10. その他の注意 (1)~(3) 省略 (4) 主に 50 歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において 選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び

Transcription:

第 33 回日本小児心身医学会学術集会教育セミナー 6 平成 27 年 9 月 12 日 ( 土 ) 国 オリンピック記念 少年総合センター 発達障害への薬物治療 - 専門クリニック 23 年の経験から - 公益社団法人発達協会王子クリニック石崎朝世 演者の利益相反 : 開示すべき事項なし

発達障害のある子どもの発達過程で 薬物治療が役に立つことはあるのか? あるとすれば どのようなポイントか?

子どもから大人への発達過程 自己尊重感経験 ( 教育 指導も含めて ) 自己安定感 環境 ( 一部は遺伝子変化を起こす ) エビジュネティクス 愛情や人に認められている感覚自信 達成感個性 人格 ( 変化はありうる ) 無力感 被害意識 他から拒絶された感覚生まれつきの疾患自信喪失素因 ( 発達障害も含め ) ( この過程で 医学的対応 薬物治療 の必要な場合を考える )

発達障害をもつ子ども 青年 成人に薬物治療が果たす主な役割 てんかん治療およびてんかん性異常の治療 精神合併症の治療うつ 躁鬱 ( 双極性障害 ) 不安 統合失調症あるいは統合失調症様状態 チックなど 注意欠如多動性障害の症状 ( 特性 ) の軽減 睡眠障害の治療 著しい過敏 緊張の軽減 著しい易興奮性 攻撃性の軽減 身体合併症の治療 * 決して発達障害を治すためのものではなく その能力が伸びやすく 生き生きとした社会参加を可能にするためのもの

発達障害 知的障害の診断 (DSM-Ⅳ と DSM-5) とその関係

主な発達障害の関係 -D SM Ⅳ による - 知的障害 軽度 中等度 重度 最重度 広汎性発達障害自閉症 注意欠陥多動性障害 (ADHD) アスペルガー障害 反抗挑戦性障害 発達性協調運動障害 学習障害

主な発達障害 ( 神経発達症 ) の関係 - D S M -5 による - 知的能力障害 軽度 中等度 重度 最重度 自閉症スペクトラム障害 注意欠如多動性障害 (ADHD) レベル 3 レベル 2 レベル 1 社会的 ( 語用論的 ) コミュニケーション障害 ( 反抗挑戦性障害 ) 発達性協調運動障害 限局性学習障害

発達協会王子クリニック受診者の実態と対応 ー薬物治療も含めて -

DSM-Ⅳ 演者新患 68 例 (H25.4-H26.3 1 年 ) の実態診断ー DSM-Ⅳ と DSM-5 の対比ー PDD: : 広汎性発達障害 ADHD: : 注意欠如多動性障害 MR: : 精神遅滞 25 20 15 10 5 0 19 8 16 21 1 3 ASD: : 自閉症スペクトラム障害 / 自閉スペクトラム症 ADHD: : 注意欠如多動性障害 ID: : 知的能力能力障害 25 DSM-5 20 15 10 5 0 14 5 8 11 5 16 5 1 3

演者再診患者 925 例 (H25.4-6 3 カ月 ) の実態診断 ( 主に DSM-Ⅳ による ) 600 500 400 300 200 100 0

演者新患 68 例と再診患者 925 例の 年齢 ( 新患と再診との対比も見る ) 30 新患 20 10 0 500 0-2 歳 3-5 歳 6-11 歳 12-17 歳 18-19 歳 20 歳以上 再診 400 300 200 100 0 0-2 歳 3-5 歳 6-11 歳 12-17 歳 18-19 歳 20 歳以上

演者新患 68 人 (H25.4-H26.3 1 年間 ) の実態約 1 年後に見た対応リハ ( 言語聴覚療法 )/ 療育 37 人 薬物治療 27 人 30 27 20 14 17 10 10 0

演者再診患者 925 人 (H25.4-6 3 カ月 ) の実態 薬物治療 ( 全年齢と児童期の対比も含めて ) 500 400 300 200 100 全年齢 0-17 歳 0

積極的な対応が必要な症状と それへの対応のヒントおよび薬物治療

薬物治療を含む積極的な対応が必要な症状や状況 症状が継続している 本人が辛いと感じている その症状により日常生活に著しい支障日常生活に著しい支障がある その症状により発達が著しく阻害発達が著しく阻害されている 深刻な二次障害二次障害が心配される てんかん 精神疾患の合併 主な標的症状と状態 1 感情のコントロール困難 2 多動 衝動性 不注意 3 睡眠障害 4 二次障害による症状 5 精神疾患 6 その他

対応へのヒントおよび薬物治療感情のコントロールが困難 1 [ 自閉症スペクトラム障害の特性による場合 ] 1 見通しがつかなくなった不安からくる反応 2 苦手な刺激 ( 音 触覚など ) への過敏な反応 3 以前のいやな経験を思い出しての反応 ( フラッシュバック ) 12 では抗精神病薬 ( リスペリドン アリピプラゾールなど 比較的少量 ) 3 のフラッシュバックには抗うつ薬の SSRI も有効興奮 不安を抑える漢方も意外と有用 ( 柴胡加竜骨牡蠣湯 大柴胡湯 抑肝散 抑肝散加陳皮半夏など ) リスペリドンの承認された効能効果は 統合失調症です アリピプラゾールの承認された効能効果は 統合失調症 双極性障害における躁状態の改善 うつ病 うつ状態 ( 既存治療で十分な効果が認められない場合認められない場合に限る

事例 自閉症の過敏性 易興奮性に起因した対人関係障害に対する薬物治療の例 軽度の知的障害と ADHD の要素を持ち 雷への恐怖が著しく強い自閉症スペクトラム障害例 他害で留置された ADHD を有する自閉症スペクトラム障害例

対応へのヒントおよび薬物治療感情のコントロールが困難 2 [ 注意欠如多動性障害 (ADHD) の特性による場合 ] 何事にも興奮しすぎる 思い通りにいかないときなど じっくり考えないで怒る 気がつかないで迷惑行動をとり 注意されて怒る 中枢神経刺激剤 ( メチルフェニデート ) が多くに有効 食欲不振 不眠に注意! 選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 ( アトモキセチン ) は 24 時間効果が あるが 漸増が必要で 効果はゆっくり出て穏やか ときに攻撃性 ときに攻撃性 ときに悪心 過敏 興奮しやすさ 心理的な緊張目立つ時は 少量の抗精神病薬 感情調整薬 中枢性 α2 刺激薬も試みる 漢方も有用なことあり ( 抑肝散 柴胡加竜骨牡蠣湯など )

事例 幼児期から易興奮性と乱暴が目立った ADHD

[ 精神疾患の場合 ] 統合失調症あるいは統合失調症様状態 抗精神病薬 * 現実逃避やファンタジーによる世界は必ずしも治さなくてもよいものもある 気分障害 対応へのヒントおよび薬物治療感情のコントロールが困難 3 ( 子どもや大人でも情緒面の発達が未熟な人は うつ状態でも攻撃性やいらいらが目立つことがある ) ( 自閉症では 双極性障害 ( 躁うつ ) の合併も少なくない ) うつ状態では SSRI その他の抗うつ薬 抗不安薬 感情調整薬 ときに抗精神病薬 そう状態では 炭酸リチウム 感情調整薬 ( バルプロ酸 カルバマゼピンなど ) 抗精神病薬 抗不安薬 双極性障害の認識 治療も重要

事例 双極性障害をきたした自閉症 アスペルガー障害の要素 >ADHD の要素があり 幻聴や被害妄想があった例

対応へのヒントおよび薬物治療感情のコントロールが困難 4 [ てんかんと関連する場合 ] てんかん発作そのものでの興奮 著しいてんかん性脳波脳波異常と異常と関連すると考えられる情緒障害 抗てんかん薬 ( カルバマゼピン バルプロ酸 など ) 抗てんかん薬の副作用による情緒不安定 ( レベチラゼタム ゾニサミドなど ) 抗てんかん薬の再検討 その他のてんかんと関連すると考えられる情緒障害 抗てんかん薬 抗精神病薬 など * 発達障害診療に脳波検査は大切

事例 情緒障害を主訴として受診したてんかん治療例 著しいてんかん性異常が多動 衝動を増したと考えられた例

バルプロ酸 メチルフェニデート併用

対応へのヒントおよび薬物療法 著しい多動 不注意 衝動性 [ 注意欠如多動性障害 (ADHD) による ] 思い浮かべて話す 書く 描く 答える 考えて話す 行動すること 先のことを考えて行動する 時間を考えて行動が苦手にも注目! ひらめき 行動力 好きなことへの集中力にも注目! 中枢神経刺激剤 ( メチルフェニデート ) が多くに有効 食欲不振 不眠に注意! 選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤 ( アトモキセチン ) は 24 時間効果 があるが 漸増が必要で 効果はゆっくり出て穏やか ときに攻撃性 過敏 情緒不安定性 心理的な緊張目立つ時は 少量抗精神病薬 感情調整薬 ( バルプロ酸 ) も効果あり得る 漢方も有用なことあり ( 抑肝散 柴胡加竜骨牡蠣湯など ) ときに攻撃性 ときに悪心 * 物を取るなどの非行も 二次障害としてもあるが ADHD 症状に関連して起こることもある この場合 薬物治療での改善もあり得る

事例 典型的と思える ADHD ADHD+PDD 要素を持ち 万引きがあった児 衝動的にお金と盗っていた ADHD+ 非言語性 LD 例 ADD 症状を有するアスペルガー障害ー ADD 症状の改善で? 母子関係の著しい悪化が起こった例

お金や物を盗む例についてー ADHD および ADHD 要素を持つ 7 例の経験からのまとめ PDD 要素をもつ例が多かった 対象例は 集団生活にうまく適応できていなかった 盗むことがしてはならないものとしっかり認識できている例は薬物治療で良好な結果がでる可能性がある 穏やかになることで 非行は減る可能性がある 衝動性 易怒性 不注意 心因反応など さまざまな症状に配慮する必要があり 薬物治療も工夫が必要である 抗 ADHD 薬が有用であることも少なくない さまざまな依存を起こしやすい ADHD については 盗むことで達成感がでたり 依存にならないように注意が必要である

メチルフェニデートとアトモキセチンの特徴 メチルフェニデート (MPH); コンサータ 約 12 時間の効果 効果がすぐわかる 切れ味が良い 効果を明らかに感じる 事例によっては 適宜 休薬も可 * 食欲不振多い 入眠障害も少なくない ときに過敏 興奮など アトモキセチン (ATX); ストラテラ 24 時間の効果 効果が出るまでに時間がかかる 効果は穏やかに出る 個性をあまり変えない 休薬はしない 気分の落ち込みや持続的な苛立ちを改善させることがある 液剤があるので 錠剤やカプセルが服用できない例にも処方可 * 副作用は少ないが 嘔気 食欲不振 ときに眠気 昂揚 攻撃性

対応へのヒントおよび薬物治療 睡眠障害 不眠症 ( 著しい情緒の不安定性がない場合 ) 入眠剤 メラトニン ラメルテオン ( ロゼレム ) ( 一般の入眠剤の代わり あるいは併用で用いる 広汎性発達障害には特に有用 メラトニンは保険適応なし ) 不安や抑うつ状態がある 抗不安薬 抗うつ薬 興奮が著しい 抗精神病薬 睡眠覚醒リズム障害 メラトニン ラメルテオン ビタミンB12 興奮や不安を抑える効果が期待できる漢方薬も有用 ( 抑肝散 抑肝散加陳皮半夏 柴胡加竜骨牡蠣湯等 )

200.. 7, 5 15 Autism MR 6y 6m F 入眠障害 入眠障害 0 6 12 18 0 6 12 18 0 家族との生活困難不安 過敏 + 初診 25 8, 2 10 20 9, 1 メラトニン 0.75mg 生活リズムついた 過敏 + ときに不機嫌日中活動的になるメラトニン 1.5mg 11 21 せき 生活リズムさらに安定情緒面でも安定 ニトラゼパム + シプロヘプタジンレボメプロマジンリスペリペリドンメラトニン

演者が H26.4-10(7 カ月 ) に処方を開始した事例 55 例の診断 (DSM-5) 標的症状 薬物 効果について

演者が H26.4-10(7 カ月間 ) に新処方を開始した事例 55 例の診断 (DSM-5) 診断 例数など ASD 6 例 ( うちADHD 要素 +4 例 ) ADHD 6 例 ( うちASD 要素 +5 例 ) ASD+ADHD 8 例 ( うち語音障害 1 例 ) ASD 要素 /ADHD 要素 4 例 ASD+ID 18 例 ( うちADHD 要素 +1 例 EPI+3 例 ) ASD+ADHD+ID 13 例 (EPI+1 例 ) ASD: 自閉症スペクトラム障害 ADHD: 注意欠如多動性障害 ID: 知的能力障害 EPI: てんかん

演者が H26.4-10(7 カ月間 ) に新処方を開始した 55 例新処方 64 件の薬剤別件数と ( ) 内は有用と判断し継続した件数 抗 ADHD 薬 23(15) メチルフェニデート (MPH) 16(10) アトモキセチン (ATX) 7(5) 抗精神病薬 15(13) リスペリドン 10(9) アリピプラゾール 5(4) メラトニン 10(10)( うち1 例はラメルテオンに変更 ) フルボキサミン 2(1) 漢方薬 6(6) 四物湯 + 桂枝加芍薬湯 1(1) 柴胡加竜骨牡蠣湯 3(3) 抑肝散 2(2) Lドーパ 2(2) ビタミンB6 2(1) イミプラミン 1(1) 抗てんかん薬 3(2)

演者が H26.4-10 10(7 カ月間 ) に新処方を開始した事例 55 例における 処方の標的症状 薬物 効果についてー ASD6 例の場合 NO 年齢性別 処方薬 標的症状 効果 副作用 薬継続の有無と 1 年後備考 1 11 男性 M PH 18mg 不注意 なし 高揚 中止 ADD 要素 + 2 6 男性 ATX5 4ml( 0.8mg/kg) 多動 あり 眠気 ゲップ少量で継続 ADHD 要素 + 3 11 男性 ATX50mg( 1.1mg/kg) 多動 衝動 なし 情緒不安定中止 ADHD 要素 + アリピプラゾール 2m g 易怒性 ややあり 眠気 継続 集団参加ある程度可になる 4 19 男性 アリピプラゾール 3m g 過敏 強迫思考 あり なし 継続 女子の声への過敏 母を刺す心配著減 5 16 女性 柴胡加竜骨牡蠣湯 6 錠易怒性 ややあり なし 継続 転院 後アリピプラゾール追加 メラトニン 1.5mg 頓用 入眠障害 ややあり なし 継続 6 8 女性 メラトニン 0.8mg 浅眠 あり なし 継続 タイムリリースに ADD 要素 + 赤字は中止例 アリピプラゾールの承認された効能効果は 統合失調症 双極性障害における躁状態の改善 うつ病 うつ状態 ( 既存治療で十分な効果が認められな I 場合に限る ) 柴胡加竜骨牡蠣湯の承認された効能効果は 高血圧の随伴症状 神経症 更年期障害 小児夜泣き 便秘ですの承認された効能効果は 高血圧の随伴症状 神経症 更年期障害 小児夜泣き 便秘です

演者が H26.4-10(7 カ月間 ) に新処方を開始した事例 55 例における処方の 標的症状 薬物 効果についてー ADHD6 例の場合 NO 年齢性別処方薬 標的症状 効果 副作用 薬継続の有無と 1 年後備考 1 11 男性 MPH36mg 不注意 あり なし 継続 ASD 要素 + 普通級 支援級 2 13 男性 MPH36mg 不注意 あり なし 継続 ASD 要素 + 3 7 男性 MPH18mg 不注意 ややあり なし 継続 4 14 女性 MPH36mg 不注意 衝動 易怒性 あり なし 継続 ASD 要素 + トラブル減少 メラトニン 2mg 入眠障害 あり なし 継続 頓用 後 柴胡加竜骨牡蠣湯追加 5 8 男性 MPH18mg 不注意 ややあり チック増強 継続 中止 ASD 要素 + ATX 追加も効果不明 6 10 男性 MPH18mg 不注意 あり 食欲不振 不眠 継続 ASD 要素 + 授業中挙手増加 赤字は中止例

演者が H26.4-10(7 カ月間 ) に新処方を開始した事例 55 例における処方の 標的症状 薬物 効果についてー ASD+ADHD8 例場合 NO 年齢性別処方薬 標的症状 効果 副作用 薬継続の有無と 1 年後 備考 1 19 男性 MPH27 mg 不注意 ややあり 腹痛 下痢 中止 専門学校で就活困難 2 10 女性 MPH27 mg 多動 衝動 ややあり 効果やや減食欲低下 増量望まず中止 再開増量 3 7 男性 ATX30 mg( 再処方 )(1.3mg ) /kg ) 不注意 多動 著効 なし 継続 話を聞ける 被害的でなくなる 4 12 男性 ATX0.8mg /kg まで 不注意 なしと判断 なし 中止 家族もせっかち 5 14 男性リスペリドン 0.5mg 易興奮性 ややあり 反応低下 中止 6 16 男性フルボキサン 2 5mg 不安 あり なし 継続 7 13 男性柴胡加竜骨牡蠣湯 5g 易怒性 易興奮性あり なし 継続 切れずに我慢可能となる 8 8 男性 L ドーパ 10m g チック あり なし 継続 語音障害 赤字は中止例 リスペリドンの承認された効能効果は 統合失調症です 柴胡加竜骨牡蠣湯の承認された効能効果は 高血圧の随伴症状 神経症 更年期障害 小児夜泣き 便秘ですの承認された効能効果は 高血圧の随伴症状 神経症 更年期障害 小児夜泣き 便秘です L ドーパの承認された効能効果は パーキンソン病 パーキンソン症候群ですパーキンソン病 パーキンソン症候群です

演者が H26.4-10(7 カ月間 ) に処方を開始した事例 55 例における処方の標的症状 薬物 効果について 標的症状 薬物 効果についてー ADHD 要素 /ASD 要素 4 例の場合 NO 年齢 性別 処方薬 標的症状 効果 副作用 薬継続の有無と 1 年後 1 12 女性 MPH2 7mg 不注意 明らかでない なし 中止 メラトニン 1.5mg 浅眠 中途覚醒 あり なし 継続 ( 頓用 ) 2 16 男性 MPH3 6mg 不注意 なし なし 中止 一度再開後中止 3 12 女性 MPH2 7mg 不注意 あり なし 継続 半年後中止 4 11 男性 MPH2 7mg 不注意 意欲低下 不注意のみに効果ありなし 継続 備考 赤字は中止例

演者が H26.4-10(7 カ月間 ) に処方を開始した事例 55 例における処方の 標的症状 薬物 効果についてー ASD+ID18 例の場合 1 NO 年齢性別 処方薬 標的症状 効果 副作用 薬継続の有無と 1 年後備考 1 7 男性 リスペリドン 0.3mg 易興奮性 乱暴 ややあり なし 継続 ややよいが 親の前では暴れる 2 14 男性 リスペリドン 1mg 過敏 易興奮性 あり なし 継続 メラトニン 2.5mg 入眠障害 あり なし 継続 3 14 女性 リスペリドン 0.5mg 暴言 暴力 情緒不安定 あり なし 継続 4 16 男性 リスペリドン 1mg 高揚 あり なし 継続 てんかんあり治療中 5 8 男性 リスペリドン 0.4mg チック ( 音声 ) 著効 なし 継続 チック消失 落ち着き出た 6 50 男性 リスペリドン 2mg 浅眠 他害 あり なし 継続 グループホームで安定生活 7 10 男性 リスペリドン 0.4mg 易怒性 あり なし 継続 落ち着き ことばが増えた 8 25 女性 アリピプラゾール 1.5mg 抑うつの反復 不登園 ややあり なし 継続 半年後中止 抑うつは軽減も不登園あり 9 30 女性 フルボキサン 25mg 著しい固執 なし 高揚 中止 暴れ 器物破壊 赤字は中止例 リスペリドンの承認された効能効果は 統合失調症です アリピプラゾールの承認された効能効果は 統合失調症 双極性障害における躁状態の改善 うつ病 うつ状態 ( 既存治療で十分な効果が認められない場合認められない場合に限る フルボサキミンの承認された効能効果された効能効果は うつ病 うつ状態 強迫性障害 社会性不安障害ですは うつ病 うつ状態 強迫性障害 社会性不安障害です

演者が H26.4-10(7 カ月間 ) に処方を開始した事例 55 例における処方の 標的症状 薬物 効果についてー ASD+ID18 例の場合 2 NO 年齢性別 処方薬 標的症状 効果 副作用 薬継続の有無と 1 年後 備考 10 7 男性 バルプロ酸 300mg てんかん発作 なし 眠気 減量 クロバザム 12mg てんかん発作 あり やや眠気継続 11 27 女性 ビタミン B 680m g レベチラゼタムによる高揚 なし なし 中止 レベチラゼタムも中止 12 4 男性 L ドーパ 7mg 対人関係障害 言語遅滞 ややあり なし 継続 真似でき ことばが出た 13 5 男性 L ドーパ 7mg 対人関係障害 ややあり なし 継続 表情に共感性向上 14 41 男性 柴胡加竜骨牡蠣湯 12 錠 衝動的暴力 著効 なし 継続 長年手が出ていたのがない状態 15 18 男性 四物湯 5g+ 桂枝加芍薬湯 5g フラッシュバック あり なし 継続 フラッシュバックが軽減 楽になった 16 15 男性 抑肝散 5g 易興奮性 あり なし 継続 落ち着いた 17 6 男性 メラトニン 0.8m g 入眠障害 あり なし 継続 18 15 女性 メラトニン 3 mg 入眠障害 早朝覚醒 あり なし 継続 日中の活動性良好となる L ドーパの承認された効能効果は パーキンソン病 パーキンソン症候群ですパーキンソン病 パーキンソン症候群です 柴胡加竜骨牡蠣湯の承認された効能効果は 高血圧の随伴症状 神経症 更年期障害 小児夜泣き 便秘ですの承認された効能効果は 高血圧の随伴症状 神経症 更年期障害 小児夜泣き 便秘です

演者が H26.4-10(7 カ月間 ) に新処方を開始した事例 55 例における処方の 標的症状 薬物 効果についてー ASD+ADHD+ID13 例の場合 NO 年齢性別 処方薬 標的症状 効果 副作用 薬継続の有無と 1 年後備考 1 9 男性 リスペリドン 0.2m g 衝動 あり なし 継続 電車通学は可能になった 2 12 男性 リスペリドン 0.3m g 易怒性 過敏 あり なし 継続 落ち着く 抑肝散 易怒性 あり なし 継続 さらに落ち着く メラトニン 1.5mg 入眠障害 あり なし 継続 日中覚醒レベル良好 3 19 男性 アリピプラゾール 9mg 幻聴 なし なし 中止 精神科に入院 4 13 男性 アリピプラゾール 2mg リスペリドン関連むずむず足あり なし 継続 リスペリドン減量 5 25 男性 MPH3 6mg 不注意 覚醒レベル低下 あり なし 継続 就労可能 6 20 男性 MPH2 7mg 不注意 あり なし 継続 7 12 男性 MPH2 7mg 不注意 ややあり食欲不振 中止 本人拒否 8 6 男性 ATX6 5 ml(0.9m g/ kg) 多動 衝動性 著効 6mlで食欲不振継続 視線合い やりとり可 社会性向上 9 6 男性 ATX8 ml(1.7m g/k g) 多動 衝動性 著効 なし 継続 10 6 男性 ATX5 3 4.5m l(0.9mg /kg ) 不注意 多動 あり 5mlで多動増強継続 ことばの発達あり 11 11 男性 イミプラミン 25 mg 夜尿 あり なし 継続 12 7 男性 ラモトリジン 50 mg てんかん発作 あり なし 継続 発作減少とともにやや落ち着く メラトニン ラメルテオン 早朝覚醒 あり なし 継続 3,4 時覚醒が5 時覚醒になる 13 10 男性 メラトニン 1.25mg 入眠障害 あり なし 継続 2,3カ月後やや効果減

新処方を開始した事例からのまとめ ADHD 症状については メチルフェニデート (MPH) を試みる例が多かったが 併存障害がある例では 副作用などで中止する例も少なくなかった アトモキセチン (ATX) は ASDを有するADHD 症状に使用して有用である例が多く 著効例もあった 比較的少量少量のほうが良い例もあった 抗精神病薬は ASD 例に使用し 比較的少量のリスペリドン少量のリスペリドン使用が多かったが 高機能例高機能例ではアリピプラゾールアリピプラゾールを使用し効果があった メラトニンは 発達障害を有する例の睡眠障害に有用であった 少量 L ドーパで ASDの対人関係障害 チックが改善した例があった 漢方薬も有用な例があり 著効例もあった リスペリドンの承認された効能効果は 統合失調症です アリピプラゾールの承認された効能効果は 統合失調症 双極性障害における躁状態の改善 うつ病 うつ状態 ( 既存治療で十分な効果が認められない場合に限る ) L ドーパの承認された効能効果は パーキンソン病パーキンソン病 パーキンソン症候群です

リスペリドン 抗精神病薬の使い分け ( 王子クリニックの場合 ) 鎮静作用に期待 使用例が最多 内用液は頓用に適 一日一回投与のパリペリドン ( インヴェガ ) も期待可 アリピプラゾール ( エビリファイ ) 鎮静作用は弱い 過敏性は減弱 落ち込んでいる例にもよい 双極性障害にも適応 眠気 錐体外路症状など副作用は少ない オランザピン ( ジプレキサ ) 鎮静作用が強い 双極性障害にも適応 肥満注意 糖尿病の危険 ピモジド ( オーラップ ) 自閉症保険適応はこれのみ 効果も弱いが 副作用も少ない 併用禁忌に要注意! クエチアピン ( セロクエル ):) 鎮静と催眠作用が利用できる 食欲亢進作用がないが効果は弱い クエチアピン ( セロクエル ) プロナンセリン ( ロナセン ): 食欲亢進作用がないが効果は弱い ハロペリドール ( セレネース ) クロルプロマジン ( コントミン ) レボトミン ( ヒルナミン ) 新規抗精神病薬より効果が期待できる場合もある 錐体外路症状 反応低下に要注意! リスペリドン パリペリドンの承認された効能効果は 統合失調症です アリピプラゾールの承認された効能効果は 統合失調症 双極性障害における躁状態の改善 うつ病 うつ状態 ( 既存治療で十分な効果が認められない場合認められない場合に限る オランザピンの承認された効能効果は 統合失調症 双極性障害における躁状態及びうつ症状の改善ですの承認された効能効果は 統合失調症 双極性障害における躁状態及びうつ症状の改善です ピモジドの承認された効能効果は 統合失調症 小児の自閉性障害 精神遅滞に伴う下記症状 ( 動き 情動 意欲 対人間関係等にみられる異常行動 睡眠 食事 排泄 言語等にみられる病的症状 常同症等がみなれる精神症状 ) クエチアピン ブロナンセリンの承認された効能効果は 統合失調症です ハロペリドールの承認された効能効果は 統合失調症 躁病です クロルプロマジンの承認された効能効果は 統合失調症 躁病 神経症における不安 緊張 抑うつ 悪心 嘔吐 吃逆 破傷風に伴う痙攣 麻酔前投薬 人口冬眠 催眠 鎮静 鎮痛剤の効力増強 レボメプロマジンの承認された効能効果は 統合失調症 躁病 うつ病における不安 緊張です

発達障害の漢方薬治療 易興奮性 不安 抑うつのほか 体調を整え 体調と関連した精神面の症状の改善を図る目的で行われることが多い 1 易興奮性 緊張 : 体力がある順に 大柴胡湯 柴胡加竜骨牡蛎湯 抑肝散加陳皮半夏 抑肝散 甘麦大棗湯など フラッシュバックと関連 : 桂枝加芍薬湯 + 四物湯 2 抑うつ 不安 意欲低下 : 小建中湯 半夏厚朴湯 補中益気湯 甘麦大棗湯など 3 睡眠障害 : 12 に準じる 4 冷え 循環障害と関連したトラブル : 小建中湯 当帰芍薬散 当帰四逆加呉茱萸生姜湯など 5 女性で生理と関連したトラブル : 桃核承気湯 当帰芍薬散など 6 鼻炎と関連したトラブル : 葛根湯加川芎辛夷 小青竜湯など

全体のまとめ 当クリニックの実態は 新患は18 歳未満 9 割 知的障害のない発達障害が多く 薬物治療は 初診から1 年以内に凡そ3 分の1に行った 再診患者は18 歳以上が5 割 知的障害を有する自閉症スペクトラム障害が半数を占め 薬物治療継続例が多かった そのような外来経験を報告した 青年 成人には 抗精神病薬 抗てんかん薬 漢方薬の順に多く使い 児童には 抗 ADHD 薬の使用が多かったが 自閉症児の過敏 興奮には抗精神病薬も使用した メラトニンも有用であった 標的症状を病態別にとらえ薬物選択する治療を 概観した DSM-5の枠組みによる診断は 病態を考えた薬物治療を行う上で有用 発達障害の併存などにより 効果のある薬物に違いが見られた 発達障害 知的障害のある子ども 青年 成人の発達や社会参加に薬物治療が必要なこともある

力を伸ばし 生き生き出来る 今 未来を目指して! ご清聴ありがとうございました