最近の指導監査の状況について ~ 保険薬局 保険医療機関 ( 薬剤部関係 ) の主な指摘事項 ~ - 平成 24 年度社会保険指導者研修会 - ( 平成 25 年 3 月 22 日 ) 1
はじめに 監査について 最新の監査状況については 平成 25 年 1 月 31 日付けで公表 平成 23 年度における保険医療機関等の指導 監査等の実施状況について http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002srvj.html フッター 2
はじめに 我が国の医療保険制度について 制度に公費 ( 税金 ) が使われている 不適切な調剤報酬 診療報酬はあってはならない フッター 3
保険医療機関の薬剤部門における主な指摘事項 薬剤部門に係る事項 医薬品の治験に係る事項 投薬 注射に係る事項 個別の医療機関に係る指摘事項である ことに留意 フッター 4
薬剤部門に係る事項 薬剤管理指導料 1 医師が薬剤管理指導を不要としたときの取扱いが明確になっていない 薬剤管理指導の実施日と診療報酬明細書上の実施日とが異なっている 薬剤管理指導料 1 について 指導時において 救命救急入院料等を算定していない患者に対して算定している フッター 5
薬剤部門に係る事項 薬剤管理指導料 2 薬剤管理指導料 2 について 次の不適切な例が認められた 特に安全管理が必要な医薬品に関し 薬学的管理指導の内容を記載していない 指導の実施薬剤と診療報酬明細書上の実施薬剤とが異なっている 特に安全管理が必要な医薬品が投薬又は注射されていない患者に対して算定している 特に安全管理が必要な医薬品に該当しない医薬品について算定している フッター 6
薬剤部門に係る事項 薬剤管理指導料 3 麻薬管理指導加算について 薬剤管理指導記録に次の事項を記載していない 麻薬の服用状況 疼痛緩和の状況 麻薬に係る患者への指導 麻薬に係る患者からの相談事項 その他の麻薬に係る事項 フッター 7
薬剤部門に係る事項 薬剤管理指導料 4 薬剤管理指導記録に 次の事項の記載がない 副作用歴 アレルギー歴 投薬 注射歴 薬学的管理指導の内容 薬剤管理指導記録を作成していない 投薬 注射歴が処方された日に基づいて記載されており 実際に使用した日と異なっている 投薬 注射歴には輸血製剤の使用についても記録すること 薬学的立場からの患者管理及び指導を行うに当たり 担当薬剤師による使用薬剤の添付文書の確認が不十分である フッター 8
薬剤部門に係る事項 薬剤情報提供料 情報提供をしていない 複数の効能又は効果を有する薬剤について 患者の病状に応じた情報を提供していない 副作用に係る主な情報を文書により提供していない 月 2 回以上算定している ( 処方内容に変更等がない場合 ) フッター 9
その他 薬剤部門に係る事項 当該医療機関内での医薬品の採用について 後発医薬品の使用促進に関して積極的に取り組むよう努めること フッター 10
保険医療機関の薬剤部門における主な指摘事項 薬剤部門に係る事項 医薬品の治験に係る事項 投薬 注射に係る事項 個別の医療機関に係る指摘事項である ことに留意 フッター 11
その他 医薬品の治験に係る事項 診療報酬明細書の特記事項欄に 薬治 の記載がない 治験期間中に行った検査 画像診断を保険請求 治験薬と同様の効能 効果を有する薬剤を保険請求 フッター 12
保険医療機関の薬剤部門における主な指摘事項 薬剤部門に係る事項 医薬品の治験に係る事項 投薬 注射に係る事項 個別の医療機関に係る指摘事項である ことに留意 フッター 13
投薬 注射に係る事項 無菌製剤処理料 無菌製剤処理料の算定日が調製日の前日 無菌製剤処理料 1 について 平成 16 年厚生労働省告示第 185 号において指定した医薬品以外の医薬品 ( トーリセル ) について算定 閉鎖式接続器具を使用していないにもかかわらず 使用した場合の点数で算定 揮発性の高い薬剤に該当しないにもかかわらず 揮発性の高い薬剤として算定 無菌製剤処理料 2 について 高カロリー輸液の調製 無菌室入室 HIV 患者ではないものに算定している フッター 14
保険薬局における主な指摘事項 調剤全般に係る事項 調剤技術料に係る事項 薬学管理料に係る事項 事務的事項個別の保険薬局に係る指摘事項であることに留意 フッター 15
調剤全般に係る事項 用法用量の記載がないもの ( 例示 ) インテハ ンクリーム 1 本 用法用量の不適切な記載 ( 例示 ) 医師の指示通り フッター 16
調剤全般に係る事項 薬学的確認の不十分なもの ( 例示 ) 1 禁忌例への使用が疑われるもの 消化性潰瘍が疑われる患者に対するハイペン錠の投与 承認内容と異なる効能効果での処方が疑われるもの 抗生物質 化学療法剤の投与なく耐性乳酸菌製剤の投与 統合失調症による不眠に対する処方が疑われるマイスリー フッター 17
調剤全般に係る事項 薬学的確認の不十分なもの ( 例示 ) 2 承認内容と異なる用量で処方されているもの ウブレチド錠 ウルソ ペンタサ ビクトーザ皮下注 グリミクロン錠 40mg 0.1 錠朝食後 エンシュアリキッド フッター 18
調剤全般に係る事項 薬学的確認の不十分なもの ( 例示 ) 3 承認内容と異なる用法で処方されているもの1 ニフェジピン1 日 1 回製剤 ( アタ ラートCRほか ) アムロジピン製剤 ( アムロシ ン ノルハ スクほか ) ARB1 日 1 回 ( オルメテックほか ) アーチストカルデナリンレニベースラジレスアダラートL カルブロック フッター 19
調剤全般に係る事項 薬学的確認の不十分なもの ( 例示 ) 3 承認内容と異なる用法で処方されているもの2 コニールシルニジピン製剤 ( アテレック等 ) テノーミンニトロールR バイアスピリンジルチアゼム1 日 1 回製剤ラシックスメインテートケアロードLA 漢方製剤の食後投与 フッター 20
調剤全般に係る事項 薬学的確認の不十分なもの ( 例示 ) 3 承認内容と異なる用法で処方されているもの3 ユニフィルLA テオドールアルロイドGの食後投与オメプラールウルグートタケプロンOD プロマックD プリンペランの食後投与ドンペリドン製剤の食後投与 フッター 21
調剤全般に係る事項 薬学的確認の不十分なもの ( 例示 ) 3 承認内容と異なる用法で処方されているもの4 イトプリド製剤 ( カ ナトン等 ) の食後投与リファジンリリカサアミオンサインバルタパキシルアレロックザイザルユーゼル フッター 22
調剤全般に係る事項 薬学的確認の不十分なもの ( 例示 ) 3 承認内容と異なる用法で処方されているもの5 ウリトスOD サノレックスバクトラミンモーラステープLの1 日 2 回モーラステープの1 日 2 回ロキソニンテープの1 日 2 回プロトピック軟膏ノボリンR フッター 23
調剤全般に係る事項 薬学的確認の不十分なもの ( 例示 )4 過量投与での処方が疑われるもの1 ゾピクールソラナックスデパスフルニトラゼパム製剤 4mg 分 1 ブロチゾラム製剤 0.5mg 分 1( 不眠症 ) ハルシオンマイスリーメキトライドリオレサール重カマ ヨシダ 3g 分 3 フッター 24
調剤全般に係る事項 薬学的確認の不十分なもの ( 例示 )4 過量投与での処方が疑われるもの2 ミドリンP モーラステープモーラステープL ロキソニンテープ注射針 フッター 25
調剤全般に係る事項 薬学的確認の不十分なもの ( 例示 )5 重複投薬が疑われるものハーフジゴキシンKY エカード配合錠 ユニシア配合錠セレコックス錠 ユリーフ錠 ビカルタミド錠タケプロンOD 錠セパゾン散 アキネトン細粒 フッター 26
調剤全般に係る事項 薬学的確認の不十分なもの ( 例示 )6 薬学的に問題があると思われる併用が認められるもの1 セルベックスカプセルとノズレン細粒とパリエット錠アダラートCR 錠とアムロジンOD 錠ロヒプノール錠とアモバン錠とハルシオン錠ロヒプノール錠とマイスリー錠とアモバン錠とハルシオン錠ロキソニンパップとロキソニンテープカロナール細粒とPL 配合顆粒バイミカード錠とアテレック錠ビオスリー配合錠とビオフェルミン錠剤 フッター 27
調剤全般に係る事項 薬学的確認の不十分なもの ( 例示 )6 薬学的に問題があると思われる併用が認められるもの 2 マグラックス細粒とクラビット錠 ガスモチン錠とフェロベリン配合錠 フッター 28
調剤全般に係る事項 薬学的確認の不十分なもの ( 例示 )7 投与期間の上限が設けられている医薬品について その上限を超えて投与されているもの 8 週を超える投与 タケプロン (OD) ペンタサ錠 500mg 8 錠 / 日 フッター 29
調剤全般に係る事項 薬学的確認の不十分なもの ( 例示 )8 漫然と長期にわたり処方されているもの1 2 週間を超える投与ガスモチン錠月余にわたる投与ビタミンB 製剤 (B1 B2 B6 B12) ビタミン配合剤 ( ビタメジン等 ) ビタミンC 製剤ユベラ錠パンテチン製剤 フッター 30
調剤全般に係る事項 薬学的確認の不十分なもの ( 例示 )8 漫然と長期にわたり処方されているもの2 長期にわたる漫然投与ガナトンオノン 12 週間を超える投与ケタス ( 脳梗塞後遺症の場合 ) サアミオンキネダック フッター 31
調剤全般に係る事項 調剤済み処方せんの取扱い ( 例示 ) 次の事項を記載していない 調剤済年月日 保険薬局の所在地 保険薬局の名称 保険薬剤師の署名又は記名 押印 調剤年月日の記載誤り 次の事項の記載が不明瞭 ( ゴム印が不鮮明 ) 調剤年月日 保険薬局の所在地 保険薬局の名称 保険薬剤師の氏名の記名 押印について 事務員が行っている フッター 32
調剤全般に係る事項 調剤録の取扱い ( 例示 ) 請求点数が記載されていない 調剤した薬剤師の氏名の記載がない 患者負担金額を記載していない 調剤録を鉛筆で記載 訂正している 調剤録の電磁的な保存方法について 故意による虚偽入力 書き換え 消去及び混同を防止するための対策が十分ではない フッター 33
保険薬局の指導における主な指摘事項 調剤全般に係る事項 調剤技術料に係る事項 薬学管理料に係る事項 事務的事項個別の保険薬局に係る指摘事項であることに留意 フッター 34
調剤技術料に係る事項 基準調剤加算 ( 例示 ) インターネットを通じて常に最新の医薬品緊急安全性情報 医薬品 医療機器等安全性情報等の医薬品情報の収集を行っていない フッター 35
調剤技術料に係る事項 一包化加算 ( 例示 ) 調剤録等に医師の了解を得た旨を記載していない 薬剤の飲み忘れ 飲み誤りを防止すること又は心身の特性により錠剤等を直接の被包から取り出して服用することが困難な患者に配慮するために必要な一包化ではない 同時に計量混合調剤加算を算定している フッター 36
調剤技術料に係る事項 自家製剤加算 ( 例示 ) 調剤録等に製剤工程を記載していない 調剤した医薬品と同一剤形及び同一規格を有する医薬品が薬価基準に収載されている フッター 37
調剤技術料に係る事項 調剤料の夜間 休日等加算 ( 例示 ) 調剤を行った時間が要件を満たしていない フッター 38
保険薬局の指導における主な指摘事項 調剤全般に係る事項 調剤技術料に係る事項 薬学管理料に係る事項 事務的事項個別の保険薬局に係る指摘事項であることに留意 フッター 39
薬学管理料に係る事項 薬剤服用歴管理指導料 ( 例示 )1 薬剤服用歴管理指導料の算定が服薬指導等を行う前に行われており 自動的な算定となるおそれがある 処方された薬剤 ( 同日に受け付けた歯科の処方薬剤 ) について 薬剤服用歴の記録に服薬状況等の事項を全く記載していない 薬剤服用歴の記録に次の事項の記載がない 患者の服薬中の体調の変化 副作用が疑われる症状の有無 アレルギー歴 副作用歴 後発医薬品の使用に係る患者の意向 服薬指導の要点 指導した保険薬剤師の氏名 服薬状況 残薬状況の確認 手帳による情報提供の状況 住所 フッター 40
薬学管理料に係る事項 薬剤服用歴管理指導料 ( 例示 )2 印字が不十分で記録として成り立っていない 同一患者の薬剤服用歴の記録について 過去に指導した記録の一部を分離し 別の場所に保管していたものがあり 必要に応じて直ちに参照できるよう保存 管理していない ( 紙薬歴だけでなく 電子薬歴も ) 鉛筆で記載している 次の事項の記載が患者の状況と違う記載となっている 服薬状況 残薬状況の確認 電子薬歴システムにおいて 退職者の ID を付与したままになっている フッター 41
薬学管理料に係る事項 薬剤服用歴管理指導料 ( 例示 )3 情報提供文書について 次の事項の記載がない 用法 用量 副作用 相互作用 服用及び保管取扱い上の注意事項 フッター 42
薬学管理料に係る事項 薬剤服用歴管理指導料 ( 例示 )4 麻薬管理指導加算において 麻薬の服用状況 残薬の状況及び保管状況 ( のいずれか ) を確認していない 麻薬による鎮痛等の効果及び副作用の有無の確認 ( のいずれか ) を行っていない フッター 43
薬学管理料に係る事項 薬剤服用歴管理指導料 ( 例示 )5 特定薬剤管理指導加算について 特に安全管理が必要な医薬品が複数処方されている場合に その全てについて必要な薬学的管理及び指導を行っていない 特に安全管理が必要な医薬品に該当しない医薬品に対して算定している 乳幼児服薬指導加算について 体重を薬剤服用歴の記録に記載していない フッター 44
薬学管理料に係る事項 在宅患者訪問薬剤管理指導料 ( 例示 ) 薬剤服用歴の記録に処方医に対して提供した訪問結果に係る情報の要点を記載していない 薬剤服用歴の記録に必要事項を記載せず 薬学的管理指導計画書に追記していた フッター 45
保険薬局の指導における主な指摘事項 調剤全般に係る事項 調剤技術料に係る事項 薬学管理料に係る事項 事務的事項個別の保険薬局に係る指摘事項であることに留意 フッター 46
事務的事項 登録 届出事項 ( 例示 ) 次の事項の登録 届出がない 保険薬剤師の勤務区分の変更開局時間の変更保険薬剤師の異動 フッター 47
事務的事項 掲示事項 ( 例示 )1 次の掲示を行っていない 明細書の発行状況の掲示 調剤報酬点数表の一覧等を患者の見やすいところに掲示していない 基準調剤加算 1 の掲示 時間外 休日 深夜における調剤応需が可能な近隣の薬局に直接連絡が取れる連絡先電話番号を記載した文書を初回の処方せん受付時に交付していない フッター 48
事務的事項 掲示事項 ( 例示 )2 以下の施設基準について患者の見えやすい場所に掲示していない 基準調剤加算 2 在宅患者訪問薬剤管理指導を行う薬局であること 薬剤服用歴管理指導料に係る事項 後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨 後発医薬品調剤体制加算を算定している旨 フッター 49
事務的事項 薬局の管理 後発医薬品の備蓄に係る体制 後発医薬品の調剤に必要な体制の確保に努めること ( 一般名処方について 先発医薬品を調剤している ) フッター 50
その他 事務的事項 調剤報酬明細書に 一包化していない薬剤について 包 の記号が付されていた 服薬指導の場所について 特に抗 HIV 薬服用患者には 細心の注意を払って指導が必要であること また外来で薬物療法を行うことが主たる治療であることから 薬局で指導しやすい環境 ( プライバシーに配慮した設備等 ) を確保できるよう努めること フッター 51
さいごに 52
( 健康保険法などの規定を ) 知りませんでした勉強不足でしたということは 通用しない フッター 53
適正な調剤報酬請求のために 1 調剤報酬請求にあたっては 保険薬剤師は 処方せん 調剤録 請求内容の確認を行う 健康保険法及び調剤報酬点数表 薬剤師法 薬事法等の関係法令を十分に理解すること 審査支払機関からの増減通知については 翌月以降の調剤報酬請求に活用すること フッター 54
適正な調剤報酬請求のために 2 薬局開設者が複数の保険薬局の開設者である場合は 指導 ( 結果 ) の内容を踏まえ 他の保険薬局についても自主的な点検を実施し 保険調剤のより一層の質的向上及び適正化を図ること フッター 55
厚労省等における医薬品情報に関するページ ( 参考 ) 患者向医薬品ガイド http://www.info.pmda.go.jp/guide_ippan/guide.html 重篤副作用疾患別対応マニュアル http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/tp1122-1.html 医薬品副作用被害救済制度 http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai_camp/index.html フッター 56
ご清聴 ありがとうございました 57