AMH は卵巣内のこれから発育する卵胞 即ち顆粒膜細胞から分泌されており AMH が多いことは元気な発育卵胞が多いことを意味しており 妊娠する能力が高いことになる 一般に AMH が 3ng/ml 以上であれば正常で 1ng/ml 未満は妊娠しづらいとされている AMH は採血時期による変化はそれ程

Similar documents
第 4 回メノポーズカウンセラー認定試験 問題と模範解答 (2009 年 10 月 31 日 ) 以下の解答はいわゆる模範解答です この解答のみが正解というわけではありません メノポーズカウンセラー認定委員会 1 以下の 30 問に簡潔に答えなさい 1. エストロゲン分泌についての視床下部 - 下垂

<4D F736F F D2091E F D837C815B A A B944692E88E8E8CB196CD94CD89F0939A5F89FC5F2E646F63>

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

1 卵胞期ホルモン検査 ホルモン分泌に関して卵巣や脳が正常に機能しているかを知る目的で測定します FSH; 卵胞刺激ホルモン脳の下垂体から分泌されて 卵子を含む卵胞を成長させる作用を持ちます 低いと卵胞の成長がおきませんが 卵巣の予備能力が低下している時には反応性に高くなります LH; 黄体化ホルモ

平成14年度研究報告

Hormone Replacement Therapy HRT H E P 2 Bioavailable E 2, pmol/l (Rochester, Minnesota) The dashed line indicates

5_使用上の注意(37薬効)Web作業用.indd

Microsoft Word - 02 ™²“¸„‰›Ê.doc

3) 精神科疾患としてのうつ病と更年期女性のうつ病はどんな点で異なっているか 考えがまとまらない 気力の低下 家事 外出などが面倒になってきた 約束など突然キャンセルすることが多くなった 朝方調子が悪い 睡眠 食欲が十分でないなど うつ症状としては精神科的疾患および更年期うつはまったく同じといえる

術後AC療法

高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

はじめに この冊子は レトロゾール錠 2.5mg アメル による乳がんのホルモン療法を受ける患者さんが 安心して治療に取り組めるように 乳がんのホルモン療法や薬の効果 副作用について解説しています 冊子を読んでもわからないことや 不安に感じることがありましたら 担当医師や看護師 薬剤師に遠慮なくご相

甲状腺機能が亢進して体内に甲状腺ホルモンが増えた状態になります TSH レセプター抗体は胎盤を通過して胎児の甲状腺にも影響します 母体の TSH レセプター抗体の量が多いと胎児に甲状腺機能亢進症を引き起こす可能性が高まります その場合 胎児の心拍数が上昇しひどい時には胎児が心不全となったり 胎児の成


B 症状が見えない病気 ( 頭痛 めまい 肩こり 関節痛 のぼせ 発汗等 ) 更年期障害 婦人科 心身症不安神経症うつ病等心療内科または精神科 この 4つの疾患は似ている部分も多く いずれも 自律神経失調症状と精神症状を伴います 自律神経失調症状とは 頭痛 めまい 肩こり 関節痛 のぼせ 発汗等 よ

Microsoft PowerPoint - 薬物療法専門薬剤師制度_症例サマリー例_HP掲載用.pptx

カテゴリー別人数 ( リスク : 体格 肥満 に該当 血圧 血糖において特定保健指導及びハイリスク追跡非該当 ) 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 8190 リスク重なりなし BMI5 以上 ( 肥満 ) 腹囲判定値以上者( 血圧 (130 ) HbA1

多量の性器出血があったとき 装着後数ヵ月以降に月経時期以外の 発熱をともなう下腹部痛があったとき 性交時にパートナーが子宮口の除去糸に触れ 陰茎痛を訴えたとき 脱出やずれが疑われる * 症状があるとき ( 出血や下腹部の痛み 腰痛の症状が続くなど ) * ご自身で腟内の除去糸を確認して脱出の有無を確

女性社員の健康について

減量・コース投与期間短縮の基準

肥満者の多くが複数の危険因子を持っている 肥満のみ約 20% いずれか 1 疾患有病約 47% 肥満のみ 糖尿病 いずれか 2 疾患有病約 28% 3 疾患すべて有病約 5% 高脂血症 高血圧症 厚生労働省保健指導における学習教材集 (H14 糖尿病実態調査の再集計 ) より

せきがはら10月号.ec6

2


佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

Microsoft Word - 1 糖尿病とは.doc

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

検査項目情報 トータルHCG-β ( インタクトHCG+ フリー HCG-βサブユニット ) ( 緊急検査室 ) chorionic gonadotropin 連絡先 : 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10)

BA_kanen_QA_zenpan_kani_univers.indd

がん登録実務について

針刺し切創発生時の対応

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

02 28結果の概要(3健康)(170622)

児に対する母体の甲状腺機能低下症の影響を小さくするためにも 甲状腺機能低下症を甲状腺ホル モン薬の補充でしっかりとコントロールしておくのが無難と考えられます 3) 胎児 新生児の甲状腺機能低下症 胎児の甲状腺が生まれながらに ( 先天的に ) 欠損してしまう病気があります 通常 妊娠 8-10 週頃

山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

為化比較試験の結果が出ています ただ この Disease management というのは その国の医療事情にかなり依存したプログラム構成をしなくてはいけないということから わが国でも独自の Disease management プログラムの開発が必要ではないかということで 今回開発を試みました

CW6_A2200A01.indd

胎児計測と胎児発育曲線について : 妊娠中の超音波検査には大きく分けて 5 種類の検査があります 1. 妊娠初期の超音波検査 : 妊娠初期に ( 異所性妊娠や流産ではない ) 正常な妊娠であることを診断し 分娩予定日を決定するための検査です 2. 胎児計測 : 妊娠中期から後期に胎児の発育が正常であ

untitled

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

妊よう性とは 妊よう性とは 妊娠する力 のことを意味します がん治療の影響によって妊よう性が失われたり 低下することがあります 妊よう性を残す方法として 生殖補助医療を用いた妊よう性温存方法があります 目次 はじめにがん治療と妊よう性温存治療抗がん剤治療に伴う卵巣機能低下について妊娠の可能性を残す方

日本の糖尿病患者数は増え続けています (%) 糖 尿 25 病 倍 890 万人 患者数増加率 万人 690 万人 1620 万人 880 万人 2050 万人 1100 万人 糖尿病の 可能性が 否定できない人 680 万人 740 万人

ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

また リハビリテーションの種類別では 理学療法はいずれの医療圏でも 60% 以上が実施したが 作業療法 言語療法は実施状況に医療圏による差があった 病型別では 脳梗塞の合計(59.9%) 脳内出血 (51.7%) が3 日以内にリハビリテーションを開始した (6) 発症時の合併症や生活習慣 高血圧を

健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

医療連携ガイドライン改

wslist01

SoftBank 301SI 取扱説明書

検査項目情報 1171 一次サンプル採取マニュアル 4. 内分泌学的検査 >> 4F. 性腺 胎盤ホルモンおよび結合蛋白 >> 4F090. トータル HCG-β ( インタクト HCG+ フリー HCG-β サブユニット ) トータル HCG-β ( インタクト HCG+ フリー HCG-β サブ

スライド 1

Microsoft Word _nakata_prev_med.doc

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

その最初の日と最後の日を記入して下さい なお 他の施設で上記人工授精を施行し妊娠した方で 自施設で超音波断層法を用いて 妊娠週日を算出した場合は (1) の方法に準じて懐胎時期を推定して下さい (3)(1) にも (2) にも当てはまらない場合 1 会員各自が適切と考えられる方法を用いて各自の裁量の

1)表紙14年v0

肝疾患に関する留意事項 以下は 肝疾患に罹患した労働者に対して治療と職業生活の両立支援を行うにあたって ガイド ラインの内容に加えて 特に留意すべき事項をまとめたものである 1. 肝疾患に関する基礎情報 (1) 肝疾患の発生状況肝臓は 身体に必要な様々な物質をつくり 不要になったり 有害であったりす

診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

PowerPoint プレゼンテーション

透析看護の基本知識項目チェック確認確認終了 腎不全の病態と治療方法腎不全腎臓の構造と働き急性腎不全と慢性腎不全の病態腎不全の原疾患の病態慢性腎不全の病期と治療方法血液透析の特色腹膜透析の特色腎不全の特色 透析療法の仕組み血液透析の原理ダイアライザーの種類 適応 選択透析液供給装置の機能透析液の組成抗

<955C8E862E657073>

乳がん術後連携パス

ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

豊川市民病院 バースセンターのご案内 バースセンターとは 豊川市民病院にあるバースセンターとは 医療設備のある病院内でのお産と 助産所のような自然なお産という 両方の良さを兼ね備えたお産のシステムです 部屋は バストイレ付きの畳敷きの部屋で 産後はご家族で過ごすことができます 正常経過の妊婦さんを対

手術や薬品などを用いて 人工的に胎児とその付属物を母体外に排出することです 実施が認められるのは 1 妊娠の継続又は分娩が 身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害する恐れがあるもの 2 暴行もしくは脅迫によって妊娠の場合母体保護法により母体保護法指定医だけが施行できます 妊娠 22 週 0

1. 重篤な不正出血の発現状況 ( 患者背景 ) (1) 患者背景 ( 子宮腺筋症 子宮筋腫合併例の割合 ) 重篤な不正出血発現例の多くは子宮腺筋症を合併する症例でした 重篤な不正出血を発現した 54 例中 48 例 (88.9%) は 子宮腺筋症を合併する症例でした また 子宮腺筋症 子宮筋腫のい

P01-16

インスリンが十分に働かない ってどういうこと 糖尿病になると インスリンが十分に働かなくなり 血糖をうまく細胞に取り込めなくなります それには 2つの仕組みがあります ( 図2 インスリンが十分に働かない ) ①インスリン分泌不足 ②インスリン抵抗性 インスリン 鍵 が不足していて 糖が細胞の イン

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

現況解析2 [081027].indd

目次 甲状腺とは 3 甲状腺ホルモンとは 4 甲状腺ホルモン量の調節 6 甲状腺がんとは 8 甲状腺がんの種類 9 甲状腺とは 甲状腺は のどぼとけのすぐ下にある重さ 10 ~ 20g 程度の小さな臓器で 甲状腺ホルモン というホルモンをつくっています ちょうど 蝶が羽を広げたような形をしていますが

骨粗しょう症調査

Microsoft Word - Ⅲ-11. VE-1 修正後 3.14.doc

1 基本健康診査基本健康診査は 青年期 壮年期から受診者自身が自分の健康に関心を持ち 健康づくりに取り組むきっかけとなることを目的に実施しています 心臓病や脳卒中等の生活習慣病を予防するために糖尿病 高血圧 高脂血症 高尿酸血症 内臓脂肪症候群などの基礎疾患の早期発見 生活習慣改善指導 受診指導を実

調査の概要 本調査は 788 組合を対象に平成 24 年度の特定健診の 問診回答 (22 項目 ) の状況について前年度の比較から調査したものです 対象データの概要 ( 全体 ) 年度 被保険区分 加入者 ( 人 ) 健診対象者数 ( 人 ) 健診受診者数 ( 人 ) 健診受診率 (%) 評価対象者

健康だより Vol.71(夏号)


A 2010 年山梨県がん罹患数 ( 全体 )( 件 ) ( 上皮内がんを除く ) 罹患数 ( 全部位 ) 5,6 6 男性 :3,339 女性 :2,327 * 祖父江班モニタリング集計表から作成 * 集計による主ながんを表示

ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに

別紙様式 (Ⅱ) 商品名 : 伝統にんにく卵黄 (31 粒入り 62 粒入り ) 食経験の評価 1 喫食実績による食経験の評価 安全性評価シート 喫食実績の有無 : あり なし ( あり の場合に実績に基づく安全性の評価を記載) 本製品 伝統にんにく卵黄 と同等の製品は 1993 年 11 月より日

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

結果の概要

心房細動1章[ ].indd

情報発信には 新たに開設した 女性のカラダ ミカタ宣言 の Facebook ページ ( を活用していきます また食生活や心身の不調に対応するためのソリューションとして 各社が従来より女性向けに提供しているヘル

あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値

脂質異常症を診断できる 高尿酸血症を診断できる C. 症状 病態の経験 1. 頻度の高い症状 a 全身倦怠感 b 体重減少 体重増加 c 尿量異常 2. 緊急を要する病態 a 低血糖 b 糖尿性ケトアシドーシス 高浸透圧高血糖症候群 c 甲状腺クリーゼ d 副腎クリーゼ 副腎不全 e 粘液水腫性昏睡

稲熊先生-責.indd

<4D F736F F D208C8B8A6A90DA90478ED28C CC82C482D182AB2E646F63>

Microsoft PowerPoint - 2.医療費プロファイル 平成25年度(長野県・・

臨床No208-cs4作成_.indd

(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

女性用問診票

2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者

2. 改訂内容および改訂理由 2.1. その他の注意 [ 厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡に基づく改訂 ] 改訂後 ( 下線部 : 改訂部分 ) 10. その他の注意 (1)~(3) 省略 (4) 主に 50 歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において 選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び

第1 総 括 的 事 項

2009年8月17日

のつながりは重要であると考える 最近の研究では不眠と抑うつや倦怠感などは互いに関連し, 同時に発現する症状, つまりクラスターとして捉え, 不眠のみならず抑うつや倦怠感へ総合的に介入することで不眠を軽減することが期待されている このようなことから睡眠障害と密接に関わりをもつ患者の身体的 QOL( 痛

女性アスリートの健康サポート ~婦人科的視点から考える~

睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン_プレス資料

Transcription:

第 8 回メノポーズカウンセラー認定試験問題および模範解答 ( 2013 年 10 月 26 日 東京 ) * この解答は模範解答です この解答のみが 正解というわけではありません メノポーズカウンセラー認定委員会 設問 Ⅰ 次の症例をよく読んで問に簡潔に答えなさい 54 歳 会社員 閉経 50 歳 HRT 歴 3 年 仕事の出張の関係で年に 2 回程黄体ホルモンの服用時期を 15 日程ずらして 仕事と出血があたらない様に調整していた しかし調整するとその後数周期にわたって予定外の少量の出血がみられることが多く 不安に感じていた 1) 子宮頸がん 体がん検診は半年前に受けており 異常はないとのことであった この様な場合考えられる原因を 2 つ挙げなさい 1 黄体ホルモンの投与時期をずらしたことにより 内膜の反応が不安定になり不正出血となった 2 子宮頸管ポリープ 3 子宮筋腫 2) 診断に必要な検査にはどんなものがあるか 1 子宮頸がん 体がん検診 ( 細胞診 ) 2 子宮内膜超音波診断 ( 筋腫の有無もチェック ) 3) 対応について述べなさい 検査により特別な所見がなければ様子をみればよい 15 日黄体ホルモンの服用時期をずらすことにより いつも不正出血を繰り返すのであれば 無理して黄体ホルモンを服用しないで 年に 2 回位であれば黄体ホルモンを休薬するのも 1 つの選択肢といえる 短期的な止血を目的としてさらに黄体ホルモンを服用することは かえって複雑化するので あまりすすめられない 出血が長期にわたり混乱するようであれば 1 ヵ月位休薬し 出血が完全になくなるのを確認してから再び HRT を開始してもよい 服用するエストロゲンの量を減らすことも出血量を減らす目的からみると 1 つの選択肢である 何を優先させるかについて考えて決定すればよいであろう 設問 Ⅱ 次の問に簡潔に答えなさい 1) 卵巣機能の推定に血中 E 2 FSH 測定と最近は主として不妊外来にて血中抗ミュラー管ホルモン (AMH) の測定が用いられるが 各々の特色を述べなさい 血中 E 2 FSH は採血時の卵巣の働きを推定するのに以前から用いられており 血中 E 2 50pg/ml 未満かつ血中 FSH 30mIU/ml 以上は卵巣機能の低下を意味している しかし月経周期における測定時期などにより値はかなり異なることも多く 1 回のみの測定では参考程度ともいわれている

AMH は卵巣内のこれから発育する卵胞 即ち顆粒膜細胞から分泌されており AMH が多いことは元気な発育卵胞が多いことを意味しており 妊娠する能力が高いことになる 一般に AMH が 3ng/ml 以上であれば正常で 1ng/ml 未満は妊娠しづらいとされている AMH は採血時期による変化はそれ程でもないので頻繁に測定する必要はない 40 歳未満で AMH が低値の場合は不妊のみでなく老化とも深い関係があるので注意が必要である AMH が高すぎる場合は多のう胞性卵巣 (PCO) が疑われる 2)HRT( 結合型エストロゲン 0.625mg/ 日 月のうち 12 日間 MPA 5mg/ 日 ) を 2 年間服用し毎月消褪出血を起こしている ここ 3 ヵ月程毎月 25 日すぎ頃より 5~6 日間位不正出血 ( 月経の軽い位の量 ) が認められ 不安になり近医を受診したところ 52 歳にしては子宮内膜が 11mm と厚すぎるので 検査と治療を兼ねて入院して子宮内膜掻爬をすすめられて不安になり来院した 4 ヶ月前の当院での子宮内膜細胞診はクラスⅡであった この症例における適切な対応を述べなさい 原因としては 子宮内膜増殖傾向による不正出血が考えられる 子宮頸管ポリープ 子宮内膜ポリープ 子宮腟部ビランなどの場合もあるが 超音波などの検査で診断は可能であろう 内膜増殖傾向の場合は内膜細胞診や内膜組織診にて診断を確定後 エストロゲンの減量や 黄体ホルモンの増量で経過をみることが多い 場合によっては 1~2 周期休薬することも選択肢の 1 つである これらの処置で症状は改善されることが多いので 経過をみながら徐々に元の投薬量に戻していくか エストロゲン減量のまましばらく HRT を続けていってもよい 3)53 歳会社員 ( 閉経 51 歳 ) メノエイドコンビパッチ(E2 と P の合剤 貼付薬 ) を週に 2 回で 3 ヵ月続けているが 月経の軽い位の出血が続くことが多く 不安とのことで来院した メノエイドコンビパッチのメリットとデメリットとともに今後の対応について述べなさい メノエイドコンビパッチは持続併用投与法に相当するので半年位は少量の出血が続くことは自然の反応ともいえる 米国製で E2 と黄体ホルモンの含有量も日本人には少し多めともいわれている 減量の場合は 10 日間で 2 枚とか工夫することも可能である 貼付剤でエストラーナなどを用いて周期性投与に切り換えることも可能である 減量の場合はエストラーナ隔日投与を 3 日で 1 枚またはハサミで 3 分の 1 カットなどの工夫も可能である メノエイドコンビパッチは E2 と P が最初から含まれているので量の調節は可能であるが E2 と P の比率 P の種類を変えるなどの変更はできない 4)WHI 報告で HRT5 年間投与により記憶についてはかえって悪くなったとの報告が出たが その理由についてコメントしなさい a)71 歳からの 5 年間で認知機能が投与開始時からすでにかなり障害されていて いわゆる治療可能レベルではなかった 5 年経過すれば加齢により機能障害は進行する b)hrt 投与群の方が対照群に比べ健康度が低かった可能性がある 肥満で生活習慣などあまりよくなく 高血圧 糖尿病などの治療をしている症例も多く症例の選択に問題がある c) 認知機能障害の薬物治療の効果をみるためには投与開始時期が非常に遅すぎたのではないか 投与モデルとして適切ではない 1970 年以降 50 歳代で HRT を開始した症例については認知機能の改善に有効との報告が多く 60 歳以降の投与開始はこれまでの他の研究でも有効との報告は少ない

設問 Ⅲ 以下の問に簡潔に答えなさい 1) エストロゲン分泌についての視床下部 - 下垂体 - 卵巣系のフィードバックについて説明しなさい 視床下部よりLHRHが分泌され下垂体を刺激し 下垂体よりLH FSHが分泌され卵巣に作用してエストロゲンを分泌させる このエストロゲンが視床下部に作用してLHRH 放出を調整する この様に視床下部 下垂体 - 卵巣系と互い影響しあっている状態をフィードバックという 2) 抗酸化物質を 4 つあげ それらが含まれている食材を挙げなさい ビタミン C( レモン イチゴなど ) ビタミン E( ナッツ類 緑黄色野菜など ) ポリフェノール ( ココア 赤ワインなど ) リコピン ( トマト ) カテキン ( 緑茶 ) 3) 仮面うつについて説明しなさい 基礎疾患としてうつ病 ( うつ状態 ) が存在しているが 症状としてはめまい 食欲不振 疲労感 腰痛 不眠など臓器的な症状を訴えている場合をいう 対応としては うつ病に対応することが基本となる 4)50 歳女性で 月経周期が 20~50 日位と不順の場合 ホルモン補充療法を行なうとしたら 黄体ホルモンはどの様に用いればよいか 当分の間はエストロゲン単独投与でよい 半年から1 年毎の婦人科検診 ( 癌検診 超音波による子宮内膜の状態など ) は必須である 3ヶ月以上月経がこないことが続くようになったら黄体ホルモンの併用にふみきる 5) 介護される原因としては男女ともトップは脳卒中であるが 女性で要介護の原因となるものを あと 3 つ書きなさい 関節疾患 老衰 認知症 骨折 6) 高血圧学会の高血圧の診断基準を述べなさい ( 測定部位 いつ測定し いくつ以上か ) 収縮期 130 未満 拡張期 85 未満を両方とも満たしている場合を正常とする 上腕で 起床後 1 時間以内 ( 食事前 ) に測定する 7)BMI の計算式を示し 低体重はいくつ以下かを書きなさい BMI(body mass index) 低体重は 18.5 未満 BMI= 体重 (kg) 身長 (m) 身長 (m) 8) 食物繊維を多く含む食品を 5 つ挙げなさい ごぼう 納豆 コンニャク 切り干し大根 ひじき しめじ きくらげ ゴマ 干ししいたけ等 9) よくマスコミなどの記事で HRT は 5 年以内 60 歳までとの記述をみるが その正確な意味について述べなさい HRT 投与を開始してから5 年以内については副作用はほとんど問題にはならない 5 年以上投与する場合は乳がんなどの増加報告もあるので インフォームドコンセントをきちんととり 定期的な管理のもとに投与を行うこと 60 歳までの意味についてはHRTの開始は閉経直前からはじめるのが最善といえるが 骨粗鬆症

物忘れ 動脈硬化の予防などの観点からは 少なくとも 60 歳までに HRT を開始すればメリット の方がうわまわるとされている 60 歳以前に HRT を開始している人が 60 歳以降も HRT を継続 することについては 定期的な管理のもとに実施すれば問題はない 10)100kcal のおやつの目安を 3 つ挙げなさい ( 例 ) バナナ 1 本 小さいケーキ 1 個 串だんご 1 本 アイスクリーム 1/2 カップ 羊かん 1 切れ ゼリー 1 個 せんべい 2 枚など 設問 Ⅳ 次の症例をよく読んで問いに答えなさい 49 歳の会社員の女性で月経は数カ月に1 回位であった ここ半年位非常に疲れやすく休日は1 日中寝ている状態で むくみや冷えも強く会社を退職することも考えていた 軽い咳もここ3ヵ月続いている 内科では慢性の軽い上気道炎の所見はあるが肝臓 腎臓 貧血などにはとくに問題はなく 呼吸器系の薬 血液循環改善薬 漢方薬 ビタミン剤などを処方されていた 症状の改善があまり認められないため 更年期かもと考えはじめている 1) 更年期障害のほかに最も疑われることは何か 甲状腺機能低下症 2) 内科で半年間治療するも 経過はあまりよくなかった この様な症例では一般に症状の軽減が明確に認識されるのにどの位の期間が必要か 理由とともに述べなさい 的確な対応により 1~2 ヵ月以内で症状は改善することが多い 更年期障害や甲状腺機能低下症の場合は原因治療としての HRT や甲状腺ホルモン投与によりかなりの改善が見込まれる 精神科疾患であるうつ病の場合は改善にかなりの期間を要することが普通である 3) ホルモン補充療法 (HRT) の可能性についても触れたところ インターネットで HRT により肺癌死亡率が 7 割位増加したとの記事をみたので不安とのこと もし HRT を勧めたい場合はどの様に説明したらよいか 肺癌と HRT について 70% 増加の論文がある (Lancet,374:1243,2009) がこの論文だけでは結論を出すのは難しい これまでの多くの論文は HRT は肺癌の予防に有効との報告が多い 気になる様であれば 1 年に 1~2 回 肺の検査を実施する ( 臨床的には必要ない ) のもよいであろう 結論としては以上のことから 必要であれば HRT を勧めるとよい 4) ここ 2 週間以内に退職届を出したいとのこと どの様に助言するか 重要な決定は体調のよい時にすることを助言する 現在の症状も適切な対応により 1~2 ヵ月位で かなりの軽減が見込まれることを説明する 5) この症例で 40 分位ずつ 2 回カウンセリングを行なったが病的なまでに優柔不断であった ほかにど んなことが疑われるか 精神疾患としてのうつ病 少ないが統合失調症の場合もある

設問 Ⅴ 次の問に簡潔に答えなさい 1) 子宮のある女性の閉経前の HRT において 初期の頃はエストロゲン単独投与 (ERT) で行ない ある時期 より黄体ホルモン投与を開始するのが原則である ある時期 を決める要因を挙げ 説明しなさい 1. 月経周期 :3 ヵ月以上の無月経が続く様であれば黄体ホルモン投与を開始する 2. 子宮内膜厚 : 子宮内膜厚が 10mm 以上にしばしばなるようであれば開始する 3. 不正出血 : 数周期にわたり不正出血を繰り返す場合 4.ERT で 3 年目に入った時 5. 子宮内膜細胞の増殖が推察される場合 2)HRT5 年間服用している 58 歳の女性が年に 1 回の子宮内膜の細胞診で内膜細胞がどうしても採取できない場合 どの様に対応すればよいか述べなさい 不正出血もとくになく超音波で内膜厚もとくに肥厚していない場合 無理して細胞診を実施しなくてよい 必ず実施する場合は子宮内膜癌の疑いがある場合で その場合は麻酔をかけて採取する場合もある 3) 週 23 エクササイズの活発な身体活動 ( そのうちの 4 エクササイズは活発な運動 ) を行なうと 生活習慣病の発症を 20% 低下させるといわれている 各自実行可能な週 23 エクササイズ以上の活動を述べなさい 例; 女性の場合 毎日 40 分散歩 (4 km / 時 ) 週 6 日 (12 エクササイズ ) 買い物週 3 回 40 分 (6 エクササイズ ) ストレッチなどの体操 20 分週 2 回 (2 エクササイズ ) ジョギング 30 分週 1 回 (3 エクササイズ ) 合計 23 エクササイズ (* 通勤 40 分 2 週 5 回で 15 エクササイズ相当になる ) 4)51 歳 会社員 49 歳閉経 1 年程前から頭がボーっとして考えがまとまらず 会社の仕事に影響が出て非常に困っているとして来院した 1 年前位から職場近くの心療内科で精神安定剤 抗うつ剤 入眠剤を投与されているが 症状の改善はあまり認められず 知人から更年期かもといわれて受診 a) 考えられる疾患を挙げなさい 更年期障害 うつ病 不安神経症 b) 更年期が関係していた場合 どんな対応が考えられるか まず 投薬している薬剤の減量または中止 (3~4ヵ月位はかかる) カウンセリングにより何が原因かを一緒に考える ホルモン補充療法を中心として漢方薬 サプリメントなどの併用 症状が軽減されてきたら生活習慣の改善とともに生活に変化がでる様に工夫する c) 症状の軽減を感じるのに 一般にどれ位かかるのか述べなさい 精神科の薬を減量するのに半年近く必要であり 以上の過程をふんでいくと 7~8 ヵ月位は 必要であろう HRT などとともにカウンセリングも重要である

5)HRT は物忘れに有効であるとの報告がよくみられるが WHI 報告 (2002 年 71 歳からの 5 年間投与 ) では 物忘れにはむしろ有害であるとの報告が出された その理由について述べなさい ここ 30 年間で HRT の物忘れへの効果についての論文は 50 歳代で投与開始した場合は有効との報告が多いが 65 歳以後に投与開始した場合は無効との報告が多い 理由としては脳細胞が閉経前後から急速に萎縮がはじまるが 閉経後 15 年以上経つと不可逆的に脳細胞の変性が起きてしまうため HRT の有効性が減弱すると考えられている WHI で 71 歳からの 5 年間でむしろ有害との報告があったが理由については不明である 一般的には 71 歳から 76 歳まで経過をみたため単に物忘れがすすんだだけとの意見も多い 6)52 歳から HRT をはじめ 6 年間が経過している 腰椎骨密度はピーク値より 35% 減より現在 23% 減まで改善している 今後 HRT を続けることの是非について理由とともに述べなさい HRT6 年間投与により骨量は著明に増加しており HRT をこのまま継続してよいであろう HRT 5 年 ~10 年投与では最初の 5 年間よりは増加効果は減弱することが多いため カルシウム 活性型ビタミン D などの併用は必要である HRT5 年以上で乳がんなどの発症率がわずかに上昇するため 定期検診を実施していくことはいうまでもない 7)HRT 長期投与と卵巣がんの発症リスクについて述べなさい ピル長期投与により卵巣がんの発症リスクは減少することは知られているが HRT に関しては不明である 無作為大規模臨床試験としては WHI があるのみであるが WHI では卵巣がんの増加は認められていない 観察研究などで HRT の長期投与により 発症が増加したなどの報告もあるが 2011 年 6 月の国際閉経学会 (IMS) の見解では これまでの報告をまとめると HRT により増加は認められないと考えるのが一般的としている 8)HRT を希望して近医 ( 婦人科 ) を受診したが 血栓症になると困るので 貼付薬以外は処方しないといわれた かぶれやすい体質なので内服を希望しているが どの様に助言したらよいか WHI 報告では静脈血栓症は HRT5.2 年間で 2.1 倍 (1 万人につき年間 16 人発症が 34 人発症 ) 脳卒中 1.4 倍 (1 万人につき年間 21 人発症が 29 人発症 ) と報告されており パーセントであらわすと大きくみえるが 絶対数はそれ程大きいものではない これをどの様に考えるかということである 血栓症のリスク因子としては喫煙 肥満 70 歳以上 糖尿病 高血圧などがあり いずれも HRT のリスクより高い 9) 代表的なうつ症状を 7 つ挙げよ 1 優柔不断 2 疲れやすい 3 興味 関心がなくなる 4 午前中の調子が悪い 5 仕事の はかどりが悪くなる 6 食欲がなくなる 7 不眠傾向