1. 改正内容 事業者が 以下 (1) 又は (2) の期間中に調整対象固定資産 1 の課税仕入れを行い かつ その仕入れた日の属する課税期間 ( 以下 取得課税期間 といいます ) の消費税の確定申告を一般課税で行った場合には 取得課税期間の初日から原則として 3 年間は免税事業者になることができ

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1. 租税協定の機能 日本と香港との間では これまで租税協定は存在しなかったため 本協定により 日本と香港において課税できる範囲が明確に限定 制限され 両者間の二重課税が減少すると考えます そのため 本協定の締結は 日本又は香港での経済 投資活動について課税に対する安定性を与えるものと考えられます

事業承継税制の全体像は ( 図表 1) の通りである ( 図表 1) 事業承継税制の全体像 経営者 1 代目 経営者 2 代目 一括贈与 大臣認定 贈与税の課税 贈与税の納税猶予の適用 相続税の納税猶予制度と同様 雇用確保を含む 5 年間の事業継続を行い その後も株式を継続保有 生前贈与により株式の

課税売上割合 消費税の課税売上割合の計算は 次の算式により計算します 課税売上割合が 95% 以上と未満では 仕入税額 控除の計算方法が変わってくるため算定する必要があります 課税売上割合 = 課税売上 ( 税抜 )/( 非課税売上 + 課税売上 )( 税抜 ) 消費税の課税売上割合が 95% 以上

間の初日以後 3 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間 6 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例事業者 ( 免税事業者を除く ) が簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り ( 以下 高

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2. サプライチェーン マネジメントと国際税務戦略 サプライチェーン マネジメントと国際税務戦略には密接なつながりがあります グローバルに事業を展開している多国籍企業のサプライチェーンは 複数の国の複数の関係会社を通じて行われているのが通常であり 関係会社間の製品やサービスの取引価格は 移転価格税制

第68回税理士試験 消費税法 模範解答(理論)

14_消費税法等の改正

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1. 上場株式等の配当所得及び譲渡所得等に対する税率の特例の見直し 居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が 平成 21 年 1 月 1 日から平成 23 年 12 月 31 日までの間に支払を受ける上場株式等の配当所得の申告分離課税に係る税率と 上場株式等の譲渡による譲渡所得等に対する税率が

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1% 子会社の清算に係る繰越欠損金の引継ぎ等 概要 平成 22 年度税制改正後においては 平成 22 年 1 月 1 日以後の解散決議により 完全支配関係がある子法人が清算した場合のその清算法人株式の譲渡損益については その清算法人株式を簿価で譲渡したものとして 親法人で譲渡損益 ( 清算損 ) を

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IFRSポイント講座 第8部 連結(1)

はじめに 会社の経営には 様々な判断が必要です そのなかには 税金に関連することも多いでしょう 間違った判断をしてしまった結果 受けられるはずの特例が受けられなかった 本来より多額の税金を支払うことになってしまった という事態になり 場合によっては 会社の経営に大きな影響を及ぼすこともあります また

EU EU TradeWatch CBP: Customs and Border Protection EU JCCC Joint Customs Cooperation Committee C-TPAT: Customs-Trade Partnership Against Terro

step.2 課税売上高の合計を計算する します step.21 欄の内容を転記します 表ロ 1~3 欄にそれぞれ記入します step.22 を転記します 表ロ 4~6 欄にそれぞれ記入します step.23 容を転記します 表ロ 7~9 欄にそれぞれ記入します step.24 その他の所得に係る収

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本則課税の場合科目等 No. 主な項目チェック摘要 1 課税事業者 H27 課税期間の基準期間における課税売上高を確 の判定 014 認したか H27 事業年度を変更している場合等 前々事業年 015 度が1 年未満の場合の基準期間を確認したか ( 法人の場合 ) H27 基準期間が1 年でない場合

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2 その他 H26 中間申告義務のない事業者が 届出 012 書を提出した場合には 自主的に中間申告 納付することができる旨を 検討したか ( 平成 26 年 4 月 1 日以 後開始課税期間より適用 ) 本則課税の場合科目等 No. 主な項目チェック摘要 1 課税事業者 H26 課税期間の基準期間

1 検査の背景 (1) 簡易課税制度の概要課税売上げに係る消費税額から控除できる課税仕入れに係る消費税額は 原則として 課税売上げに対応する課税仕入れに係る消費税額とされている ( 以下 課税売上げに係る消費税額からこの課税売上げに対応する課税仕入れに係る消費税額を控除して納付消費税額を算出する計算

旬刊経理情報 No.1270 平成 23 年 1 月 日発行 届出等の手続がますます重要に! 租税条約の改正 締結動向と実務上の留意点 Contents 近年の租税条約の改正による恩典の拡大と租税回避防止規定の設置 新型条約で有利になった利子 配当 使用料に係る源泉所得税 クロスボーダー

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検査の背景 (1) 事業者免税点制度消費一般に幅広く負担を求めるという消費税の課税の趣旨等の観点からは 消費税の納税義務を免除される事業者 ( 以下 免税事業者 という ) は極力設けないことが望ましいとされている 一方 小規模事業者の事務処理能力等を勘案し 課税期間に係る基準期間 ( 個人事業者で

消費税関係の届出書の解説 消費税関係の届出書について 具体的に踏み込んだ利用の仕方を解説します マークが付されているものは 届出後 2 年間は継続適用が義務付けられているものです 1 消費税課税事業者選択届出書 ( 第 1 号様式 消法 94) 提出期限 : 課税期間の開始する日前 ( 新設法人は設

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3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

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(消費税)確定申告書作成(一般課税)編

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

はじめに 昨年 9 月のリーマンショック以降 不況の波は日本経済にも多大なる影響を与えており 日本を代表する上場企業が相次いで業績の下方修正を行っている このような状況の中で 親会社単体のみならず グループ会社全体でリストラを検討している企業は少なくないと思われるが 国内子会社の清算は 当該リストラ

PG_第3期期末配当の取扱いに関するQA

地方法人特別税の創設と税務への影響 1. 地方法人特別税の創設 2008 年度の税制改正により 地域間の税収偏在の是正に対応するため 法人事業税の税率を引き下げた上で その一部を分離する形で新たに国税として地方法人特別税が創設されました 所得割及び収入割の標準税率を引き下げて法人事業税の約半分に当た

(消費税)確定申告書作成(簡易課税)編

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

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(消費税)確定申告書作成(一般課税)編

第一問 -50 点 - 問 1 (25 点 ) (1) について (15 点 ) 概要 次の規定の適用を受ける場合には 納税義務が課されることとなる 1. 課税事業者の選択 2. 特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例 3. 新設法人の納税義務の免除の特例 4. 特定新規設立法人の納税

完全支配関係の添付書類 ( 出資関係図 ) (1) 出資関係図の記載例 (Q&A 問 1) 平成 22 年度税制改正で グループ法人税制が導入されたことに伴い 法人税の確定申告書に 内国法人との間に完全支配関係がある法人との関係を系統的に示した図 ( 以下 出資関係図 という ) を添付することが定

(消費税)確定申告書作成(簡易課税)編

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

(消費税)確定申告書作成(一般課税)編

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

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消費税申告資料

第62回税理士試験 消費税法 模範解答(計算)

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

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万元は売上収入または売上原価の減算項目として計上しなければならない 当局の審査時に追徴課税及び所得税法第 110 条による処罰を避けるため 営利事業者に作業屑及び廃材の売却収入がある場合 当年度の売上収入または売上原価の減算項目として計上すべきことにつき 当局は注意喚起している 関連法定の規定に疑義

わくわく青色申告3-消費税申告及び資料

企業中小企(2) 所得拡大促進税制の見直し ( 案 ) 大大企業については 前年度比 以上の賃上げを行う企業に支援を重点化した上で 給与支給総額の前年度からの増加額への支援を拡充します ( 現行制度とあわせて 1) 中小企業については 現行制度を維持しつつ 前年度比 以上の賃上げを行う企業について

原則課税申告書本表 ( 原則計算方式 ) 税率が 3% 5% の取引がある場合 項目 金額 課税標準額 1 付表 1 の1[ 課税標準額 (D)] 消費税額 2 付表 1 の2[ 消費税額 (D)] 控除過大調整税額 3 付表 1 の3[ 控除過大調整税額 (D)] 控除税額控除対象仕入税額 4 付

税務調査      業種別・狙われるポイント

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

消費税申告資料

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付表の計算式

スライド 1

IFRS基礎講座 IAS第12号 法人所得税

e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

ことも認められています 施行日前 ( 平成 26 年 3 月 31 日以前 ) にリース契約を締結し リース資産の引渡しを行ったリース取引についてこの特例により賃貸借処理を行っている場合には 旧税率の 5% が適用されます 3. 資産の貸付け に関する経過措置指定日の前日 ( 平成 25 年 9 月

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

「図解 外形標準課税」(仮称)基本構想

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

step.2 課税標準額を計算する ( 申告書 1) step.2-1 課税売上高の合計 ( 表イ 16 欄 ) に 100/108 を掛けます 課税売上高 ( 税込み ) = 1 課税標準額 表イ 17 欄を使用します step.2-2 step.2-1 の計算結果 ( 表イ 17

27 OECDBEPS 2720% %23.9% 7.2% 276.0% 284.8% 34.62% %2.51% % 3.29% % 32.11% 31.33% % 99% % 23

消費税申告書の計算式

IFRSポイント講座 第6部 金融商品

消費税申告書の計算方法 税率 8% 対応 平成 26 年 4 月 1 日以後終了する課税期間分の消費税申告書の計算方法です 原則課税で申告する方 税率が 3% 5% の取引がある場合 原則計算方式原則課税本表... P.2 原則課税付表 1... P.4 原則課税付表 P

2 消費税軽減税率の対象となる新聞 軽減税率の対象は全ての新聞ではなく 一定の要件を満たす新聞のみです ( 図 2) 新聞販売所は定期購読契約の新聞のほか 即売 週 1 回以下の発行などさまざまな形態の新聞を扱っています このため 区分けには慎重な対応が必要です 図 2 軽減税率が適用される新聞の譲

1 8 10% 6% 14% 3 10% 25% 10% 15% 10%35% 4 14% 9% 6% 6% 8.5% 9% 14% % 25% 0% 5% 21.7% % 9% 5% % 5% 9% 5% % 6% 2 = 310% 2 14%

課税売上割合に準ずる割合

消費税法における個別対応方式と一括比例配分方式 河野惟隆 1 はじめに本稿の課題は 個別対応方式と一括比例配分方式とで 課税仕入れ等の税額の合計額が如何よう になるか つまり その大小関係は如何ようになるか ということを 明らかにすることである これを 次のように 条件を追加しながら 次のような順序

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改正 ( 事業年度の中途において中小企業者等に該当しなくなった場合等の適用 ) 42 の 6-1 法人が各事業年度の中途において措置法第 42 条の6 第 1 項に規定する中小企業者等 ( 以下 中小企業者等 という ) に該当しないこととなった場合においても その該当しないこととなった日前に取得又

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

Ⅰ 電気通信利用役務の提供に係る内外判定基準の見直し 電子書籍 音楽 広告の配信などの電気通信回線 ( インターネット等 ) を介して行われる役務の提供を 電気通信利用役務の提供 と位置付け その役務の提供が消費税の課税対象となる国内取引に該当するかどうかの判定基準 ( 内外判定基準 ) が 役務の

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Japan Tax Newsletter

一の2 について一の1 について贈与税の基礎控除額の水準は 少額不追求の観点 相続税の補完税である贈与税の機能の維持の観点等から設定されているものであり 現在の六十万円という水準は このような観点にかんがみ 妥当な水準であると考えている 所得税における各種所得控除については 基礎的な人的控除のほか

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49 年 12 月 31 日までの間 源泉徴収される配当等の額に係るの額に対して 2.1% の税率により復興 特別が源泉徴収されます b. 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 分割型分割及び株式分配並びに組織変更による場合を除く 以下本 1において同じ

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障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

上場株式等の譲渡益に係る課税 上場株式等の税金について 上場株式等の譲渡益に係る税率は以下の通りです 平成 25 年 1 月 1 日 ~ 平成 25 年 12 月 31 日 平成 26 年 1 月 1 日 ~ 平成 49 年 12 月 31 日 平成 50 年 1 月 1 日 ~ % (

Microsoft Word - -2.補助事業に係る消費税仕入控除税額の取扱いについて240809

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Transcription:

2010 年 9 月号 日本 Newsletter 平成 22 年度税制改正消費税法の改正 Contents 1. 改正内容 2. 改正の影響等 (1) 第 3 年度まで免税事業者や簡易課税制度の適用を受けられない影響 (2) 消費税自販機還付問題 の解決 3. 消費税法 33 条 ( 課税売上割合が著しく変動したときの仕入控除税額の調整措置 ) の概要 平成 22 年度税制改正においては 消費税の課税の適正化の観点から 調整対象固定資産の取得に係る仕入控除税額が過大であった場合につき 減額調整する措置の対象となるよう 見直しが行われました これは昨年 会計検査院において賃貸マンション等の取得に係る消費税についての事例 ( いわゆる 消費税自販機還付問題 ) の実態調査が行われ その結果を踏まえ 平成 20 年度決算検査報告において調整措置を免れる事例についての改善を求める意見表示がなされたことを背景として 調整措置の適用対象となるよう今回の改正が行われました なお 従来から継続して基準期間の課税売上高が 5,000 万円超である事業者については この改正の影響はありません 本号では 消費税法の改正の概要 その影響について 解説いたします

1. 改正内容 事業者が 以下 (1) 又は (2) の期間中に調整対象固定資産 1 の課税仕入れを行い かつ その仕入れた日の属する課税期間 ( 以下 取得課税期間 といいます ) の消費税の確定申告を一般課税で行った場合には 取得課税期間の初日から原則として 3 年間は免税事業者になることができず ( 消法 97 12 の 22) また簡易課税制度を適用して申告することもできなくなりました ( 消法 372) 2 (1) 本来は消費税の免税事業者であったが 選択して課税事業者となった場合の当初 2 年間の強制適用期間 (2) 消費税の新設法人 ( 資本金 1,000 万円以上 ) につき 課税事業者が強制適用される設立当初の 2 年間 この改正は (1) については平成 22 年 4 月 1 日以後に課税事業者選択届出書を提出した者で かつ 同日以後開始する課税期間から適用され (2) については平成 22 年 4 月 1 日以後に設立された新設法人について適用されます ( 改正法附則 35) 2. 改正の影響等 今回の改正による 第 3 年度まで免税事業者や簡易課税制度の適用を受けられない影響や 消費税自販機還付問題 の解決について 以下に解説いたします (1) 第 3 年度まで免税事業者や簡易課税制度の適用を受けられない影響 上記 1(1) 又は (2) に該当する課税事業者が調整対象固定資産を取得して 消費税の確定申告を一般課税で行った場合には その後 2 年間 ( 一課税期間が 12 ヶ月の場合 ) は免税事業者になれず また 簡易課税制度が適用できなくなります 例えば 事業者が確定申告によりいったん消費税の還付を受けた後 翌課税期間以降 2 年間のうちにその調整対象固定資産を売却した場合に 免税期間に入って納税を免除されたり あるいは簡易課税申告によりみなし仕入率 ( 消基通 13-2-9 により 60%) 相当の仕入税額控除を取ることはできなくなります この改正の影響を受けるのは 調整対象固定資産の売却に係る消費税だけではなく 3 年内の事業に係るすべての課税売上に係る消費税に影響が及ぶことになります すなわち 対象期間中に調整対象固定資産を一つ取得するだけで その後の収益計画に大きな影響が及ぶ可能性があるため 注意が必要です ご参考までに その具体例を示すと以下のようになります ( 例 1) 設立第 1 期の課税売上高が年 1,000 万円以下であったため 本来であれば第 3 期は消費税の免税事業者に該当するはずだった運送業者が 第 1 期に調整対象固定資産である 100 万円以上のトラックを取得すると 第 3 期末にそのトラックを保有しているいないにかかわらず 第 3 期は消費税の課税事業者として一般課税による消費税の申告を行い 運送売上に係る消費税を納税する必要があります ( 例 2) 設立第 1 期の課税売上高が年 5,000 万円以下であったため 本来であれば第 3 期は簡易課税を選択できるはずだった卸売業者 ( みなし仕入率 90%) が 第 1 期に調整対象固定資産である 100 万円以上の在庫管理システムを取得すると 第 3 期は一般課税による消費税の申告を行い 棚卸資産の売上に係る消費税を納税する必要があります ( 第 3 期中に仕入れた棚卸資産に係る消費税の仕入税額控除は可能です ) 1 調整対象固定資産とは 棚卸資産以外の資産で 建物及びその附属設備 構築物 機械及び装置 船舶 航空機 車両及び運搬具 工具 器具及び備品 鉱業権等の無形固定資産その他の資産のうち 一の取引の単位の税抜価格が 100 万円以上のものをいいます ( 消法 21 十六 消令 5) この調整対象固定資産の定義自体は従来から変更ありません 2 事業者がこの調整対象固定資産に係る消費税について仕入税額控除 ( 還付 ) を受けたか否かにかかわらず その後 2 年間 ( 一課税期間が 12 ヶ月の場合 ) は 消費税の課税事業者として一般課税による消費税の申告が強制適用になります 2

(2) 消費税自販機還付問題 の解決 非課税取引用の事業用建物の取得に係る消費税は 非課税売上に対応するものであるため 本来は仕入税額控除の対象となりません ただし 例えば 新たに事業を開始した課税期間のように本業の非課税売上がほとんどない状況の中で 何らかの課税売上が別途ある場合には その課税期間の課税売上割合が高くなるため 非課税取引用の事業用建物であってもその課税期間に取得すれば 当該取得に係る消費税の仕入税額控除が可能となる場合が生じます こうしたことは 特に意図せざる場合にも結果的に生じ得ますが 後述する消費税法 33 条の調整措置が有効に機能すれば 第 3 年度の課税期間において取得時の過大控除分は取り戻されるため 仕入控除税額の適正化が図られることになります しかしながら 第 3 年度の課税期間が免税事業者や簡易課税制度の適用を受ける場合には 調整措置の適用がないことから これらの制度の適用を受ける課税期間を恣意的に操作することにより第 3 年度の課税期間におけるその調整を免れる事例が生じていました 消費税自販機還付問題 とは 非課税売上対応の課税仕入れに該当するため本来は還付されないはずの賃貸マンション等の取得に係る支払消費税について その建物の引渡しを受けた課税期間における課税売上割合を 95% 以上とすることで 合法的にその支払消費税の還付を受けていたという問題です その主な手法が マンションの建築現場等に飲料等の自動販売機を設置して少額の販売手数料収入 ( 課税売上 ) を計上し 一方で課税期間の短縮の特例を利用するなどして マンションの賃貸開始 ( 賃料収入の発生 ) を翌課税期間に先送りするというものです 3 例えば その事業者の収入がマンションの家賃収入と自動販売機の販売手数料収入のみの場合 年間の課税売上高 ( 販売手数料収入 ) はおよそ 10 万円程度と考えられますので 第 1 年度と第 2 年度は課税事業者を選択していても第 3 年度は選択を取り止めれば免税事業者になれます また 第 1 年度の課税売上高が年 1,000 万円超であっても 5,000 万円以下であれば第 3 年度は簡易課税が選択できるため いずれの場合にも消費税法 33 条の適用はありませんでした なぜならば 33 条は仕入控除税額を調整する規定であり 第 3 年度に一般課税による消費税の申告を行った場合にのみ適用されるからです そこで今回の改正は 調整対象固定資産を取得した場合には第 3 年度に免税事業者や簡易課税の適用を受けさせないことで一般課税を強制し 33 条の適用下に置いたものと考えられます 3. 消費税法 33 条 ( 課税売上割合が著しく変動したときの仕入控除税額の調整措置 ) の概要 平成 22 年度税制改正では 消費税法 33 条自体は一切変更されていませんが その概要について以下で確認することにします 消費税制度においては 仕入れに係る消費税額は棚卸資産 固定資産にかかわらず取得課税期間において即時に仕入税額控除することとされています しかしながら 課税売上割合を乗じて仕入控除税額を計算した場合には その後の事業形態の変化等により課税売上割合が大きく変動する場合もあるので 固定資産のように長期にわたって使用するものに係る消費税額について 取得時の課税売上割合のみで仕入控除税額を確定することは必ずしも適当でない場合が生じます こうしたことから 調整対象固定資産という一定の資産に係る取得時の仕入控除税額については その後の状況変化に対応して一定の調整を行う調整措置が設けられています 3 会計検査院 賃貸マンション等の取得に係る消費税額の納付について http://www.jbaudit.go.jp/pr/media/kensa/kensa21/pdf/211020_zenbun-2.pdf 3

すなわち 下記 (1)~(4) のすべて要件を満たす場合に 下記 1 又は 2 の調整をすることになります (1) 調整対象固定資産を取得したときに その資産に係る仕入控除税額の計算につき課税売上割合を用いて算出したこと ( 課税売上割合 95% 以上により全額控除した場合も含みます ) (2) その調整対象固定資産を その取得課税期間の開始の日から 3 年を経過する日の属する課税期間 ( 以下 第 3 年度の課税期間 といいます ) の末日に保有していること 4 (3) 第 3 年度の課税期間において 一般課税による消費税の申告を行うこと 5 (4) 取得課税期間の開始の日から第 3 年度の課税期間までの 3 年間の課税期間の売上高を通算して計算した課税売上割合 ( 以下 通算課税売上割合 といいます ) が取得課税期間の課税売上割合 ( 以下 取得時課税売上割合 といいます ) に比して著しく変動したこと 6 1 通算課税売上割合が取得時課税売上割合より著しく減少したとき 以下の税額を第 3 年度の課税期間の仕入控除税額から控除することにより 調整が行われます 7 調整対象固定資産に係る消費税額 ( 取得時課税売上割合 8 - 通算課税売上割合 ) 2 通算課税売上割合が取得時課税売上割合より著しく増加したとき 以下の税額を第 3 年度の課税期間の仕入控除税額に加算することにより 調整が行われます 調整対象固定資産に係る消費税額 ( 通算課税売上割合 - 取得時課税売上割合 ) 参考資料 国税庁 消費税法改正のお知らせ 平成 22 年 4 月 http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/h22kaitei.pdf 財務省 平成 22 年度税制改正の解説 消費税法等の改正 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/kaisetsu22/index.html 4 その調整対象固定資産について除却 廃棄 滅失又は譲渡があったため 第 3 年度の課税期間の末日において当該調整対象固定資産を有していない場合には この規定の適用はありません ( 消基通 12-3-3) 5 取得課税期間と第 3 年度の課税期間との間に免税事業者となった課税期間及び簡易課税制度の適用を受けた課税期間が含まれている場合にも適用されます ( 消基通 12-3-1) 6 著しく変動した場合とは 通算課税売上割合が取得時課税売上割合に比べ 50% 以上増加又は減少した場合で かつ その変動の幅が 5% 以上である場合をいいます ( 消令 53) 7 仕入控除税額から控除しきれないときは 課税売上に係る消費税額とみなして加算します ( 消法 333) 8 取得時課税売上割合が 95% 以上のときは 100% とします 10 月号予告 平成 22 年度税制改正特集 4

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