輸血療法の作業の流れ 輸血療法必要性の判断 患者への説明と同意 輸血準備 輸血前検査 輸血開始 輸血終了 輸血療法の効果評価 輸血後感染症検査 (3 ヶ月後 ) 輸血の実際に関しては 日本赤十字社から発行された 輸血用血液製剤取り扱いマニュアル を ご参照下さい カラー印刷で 大変わかりやすくなって

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設問 3 FFP PC が必要になった場合 輸血できるものを優先する順番に並べてください 1A 型 2B 型 3O 型 4AB 型また 今回この症例患者は男性ですが 女性で AB 型 (-) だった場合 PC の輸血で注意する点はありますか? 患者は AB 型なので 4AB 型 >1A 型 =2B

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遡及調査にて77日前の献血時のHBVウイルス血症が確認できた急性B型肝炎の一例

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査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

第 4 章感染患者への対策マニュアル ウイルス性肝炎の定義と届け出基準 1) 定義ウイルス感染が原因と考えられる急性肝炎 (B 型肝炎,C 型肝炎, その他のウイルス性肝炎 ) である. 慢性肝疾患, 無症候性キャリア及びこれらの急性増悪例は含まない. したがって, 透析室では HBs

2)HBV の予防 (1)HBV ワクチンプログラム HBV のワクチンの接種歴がなく抗体価が低い職員は アレルギー等の接種するうえでの問題がない場合は HB ワクチンを接種することが推奨される HB ワクチンは 1 クールで 3 回 ( 初回 1 か月後 6 か月後 ) 接種する必要があり 病院の

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患者さんへの説明書

体外受精についての同意書 ( 保管用 ) 卵管性 男性 免疫性 原因不明不妊のため 体外受精を施行します 体外受精の具体的な治療法については マニュアルをご参照ください 当施設での体外受精の妊娠率については別刷りの表をご参照ください 1) 現時点では体外受精により出生した児とそれ以外の児との先天異常

透析看護の基本知識項目チェック確認確認終了 腎不全の病態と治療方法腎不全腎臓の構造と働き急性腎不全と慢性腎不全の病態腎不全の原疾患の病態慢性腎不全の病期と治療方法血液透析の特色腹膜透析の特色腎不全の特色 透析療法の仕組み血液透析の原理ダイアライザーの種類 適応 選択透析液供給装置の機能透析液の組成抗

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1. 医薬品リスク管理計画を策定の上 適切に実施すること 2. 国内での治験症例が極めて限られていることから 製造販売後 一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は 全 症例を対象に使用成績調査を実施することにより 本剤使用患者の背景情報を把握するとともに 本剤の安全性及び有効性に関するデータを

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

AC 療法について ( アドリアシン + エンドキサン ) おと治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 作用めやすの時間 イメンドカプセル アロキシ注 1 日目は 抗がん剤の投与開始 60~90 分

情報提供の例

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また 大量輸血時の適合血にも 交差試験につい スライド 9 赤血球輸血でどれくらいの血漿量が入るのか 具 スライド 11 て言及している部分があります 主試験を行って 体的に量で考えてみましょう Hct( ヘマトクリット ) ABO の血液型の間違いだけは起こさないように配 20% ヘモグロビン 7

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放射線併用全身化学療法 (GC+RT 療法 ) 様の予定表 No.1 月日 経過 達成目標 治療 ( 点滴 内服 ) 検査 処置 活動 安静度 リハビリ 食事 栄養指導 清潔 排泄 / 入院当日 ~ 治療前日 化学療法について理解でき 精神的に安定した状態で治療が

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平成20 年9月平成 20 年 ₉ 月 15 日発行広島市医師会だより ( 第 509 号付録 ) その結果がまとめられたことから 同月 17 日付けで 輸血療法の実施に関する指針 の一 部改正を行い通知しています 輸血前後の感染症マーカー検査の必要性 ( 指針改正箇所を抜粋 ) 本症は早ければ輸血

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6. 研究が終わった後 血液を他の研究に使わせてください 詳しくは ページへ 病には未解決の部分がまだ多く残っています 今後のさらなる研究のため ご協力をお願いいたします ( 必要に応じて ) バンク事業へのご協力をお願いします 遺伝子を扱う研究を推進するため 多くの人の遺伝子の情報を集めて研究に使

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免疫学的検査 >> 5F. ウイルス感染症検査 >> 5F560. 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 検体ラベル ( 単項目オーダー時

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

免疫学的検査 >> 5E. 感染症 ( 非ウイルス ) 関連検査 >> 5E106. 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤

別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに

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1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

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平成 28 年度血液製剤使用量等アンケート調査報告 滋賀県輸血療法委員会 平成 30 年 3 月

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する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

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同意説明文書(見本)

Transcription:

安全な輸血のための手順書 ( 輸血療法作業手順書 )

輸血療法の作業の流れ 輸血療法必要性の判断 患者への説明と同意 輸血準備 輸血前検査 輸血開始 輸血終了 輸血療法の効果評価 輸血後感染症検査 (3 ヶ月後 ) 輸血の実際に関しては 日本赤十字社から発行された 輸血用血液製剤取り扱いマニュアル を ご参照下さい カラー印刷で 大変わかりやすくなっております

輸血療法の手順 1. 輸血用血液製剤注文に関する事項 (1) 血液型の確認 1 血液型は 必ず 2 つの異なる検体 ( 別の機会に採血したもの ) で検査します 2 血液型は オモテ ウラ試験を行います 3 輸血用血液製剤を注文する際に もう一度 検査結果を確認してください (2) 輸血目的について 1 血液検査によって輸血が必要な病態 状態であることを確認する必要があります (3) 輸血量の設定について 1 輸血前の血液検査の結果から目標を設定し それに見合った製剤を必要量使用 2 青森県赤十字血液センター配布の早見表が有用です (4) 輸血同意書 説明について 1 輸血の効果 副作用 危険性等について十分に説明します 2 説明は口頭だけではなく 説明書を手渡しすると有用です 3 説明した後に 輸血同意書に署名をしていただきます 4 輸血前には患者同意書を得ていることを確認する必要があります 2. 輸血前に必須な事項 (1) 輸血関連肝炎ウイルス感染対策 1 肝炎関連ウイルス検査 HBs 抗原 HBs 抗体 HBc 抗体 HCV 抗体 HCV コア抗原の 5 項目および HIV 抗体検査を実施するようにガイドラインで求められています ただし 入院時検査や術前検査で直近に実施した場合 あるいは以前の検査で陽性であることがわかっている場合には省略する必要があります ( 保険査定されます ) 輸血が行われた場合の輸血前検査として行ったことを示せば 今までは保険査定されていません ( 検査をしても輸血しなかった場合には保険査定されます ) 2 血清保管未知の副作用 感染症に備えて 輸血前 1 週間以内の血清を 輸血後 2 年間を目安に -20 度以下の ( できれば専用 ) 冷凍庫に保存するようにガイドラインで求められています (2) 本人確認方法意識がある患者には 患者本人に氏名と生年月日等を言ってもらい 本人であることを確認する必要があります (3) 交差適合試験について間接抗グロブリン試験を含む方法により行う必要があります 生理食塩法 酵素法のみでは 副作用を起こす恐れのある不規則抗体を見逃す危険性があります

(4) 血液製剤の外観チェックが必要です 1 細菌が混入し保管中に増殖した製剤は色調変化や性質の変化が見られます 赤血球製剤なら黒色化や溶血 血小板製剤なら緑色になったり スワリングが見られなくなったりします 2 FFP は大変破損しやすいので 特に注意が必要です 穴が開いた製剤は輸注出来ません (5) 副作用対策について 1 輸血速度について輸血開始から 15 分までは1ml/ 分 15 分の時点で副作用がなければ 5ml/ 分にして全量を投与します 2 輸血中の患者容態観察について患者が訴えることが多い症状は 表.1( 別紙参照 ) に示す 16 種類です 血液型不適合輸血では輸血早期に症状を訴えます 従って 輸血開始後 5 分間は患者の傍で容態を観察する必要があります 血液型不適合輸血や細菌混入製剤によるショック反応なども 早期に異常を訴えます 輸血副作用は輸血開始後 15 分以内に発現することが多いため 輸血開始 15 分の時点で容態を再度確認する必要があります 輸血後 6 時間以内に発症する重篤な副作用として輸血関連急性肺障害 (TRALI) 輸血関連循環過負荷 (TACO) が知られています 輸血後は少なくとも 1 時間は院内にて容態を観察しましょう また その後も呼吸困難が生じる可能性があることに注意し 患者に対処方法を伝えておく必要があります 3. 輸血中に必須な事項 (1) 輸血に関する注意事項 1 アニメックによる加温は 急速大量輸血の場合以外は必要ありません 2 現在は 献血され製剤が作成される時点で白血球は除去されています 従って 白血球除去フィルターは不要です 3 赤血球製剤に生理食塩水を注入する必要はありません 4. 輸血後に必須な事項 (1) 輸血関連肝炎ウイルス感染対策 1 肝炎関連ウイルス検査輸血後 3 ヶ月程度の時点で HBVDNA HCV コア抗原の 2 項目および HIV 抗体検査を実施するようにガイドラインで求められています ただし 入院時検査や術前検査 あるいは以前の検査で陽性であることがわかっている場合には省略する必要があります ( 保険査定されます ) (2) 副作用対策 1 輸血後日数を経てからも 輸血後紫斑病 遅発性溶血反応 肝機能障害などが発症しますので 定期的な診察と 必要に応じた検査が必要です

表.1 輸血副作用で見られる症状項目 (H18 年度厚労省科学研究高本班 ) 1) 発熱 2) 悪寒 戦慄 3) 熱感 ほてり 4) 掻痒感 かゆみ 5) 発赤 顔面紅潮 6) 発疹 蕁麻疹 7) 呼吸困難 8) 嘔気 嘔吐 9) 腹痛 胸痛 腰背部痛 10) 頭重感 頭痛 11) 血圧低下 12) 血圧上昇 13) 動悸 頻脈 14) 血管痛 15) 意識障害 16) 赤褐色尿 ( ヘモグロビン尿 ) 17) その他

輸血説明書 輸血療法とは輸血療法とは 血液中の各成分 ( 赤血球 血小板 蛋白成分 血液凝固因子など ) が 少なくなったり 働きが悪くなったりしたとき その成分を補う治療です 赤血球( 酸素を運ぶ ) 各種赤血球製剤は赤血球が足りない貧血の状態に用いられます 血小板 凝固因子( 出血を止める ) 濃厚血小板製剤は止血に重要な役割を果たしている血小板が足りない場合に用いられます 血漿蛋白( 血液循環を安定させる ) 血漿製剤は蛋白成分 血液凝固因子の欠乏や循環血漿量が減少した場合に用いられます 輸血療法には 一定の危険性があるためそれを上回る効果が期待される場合に 輸血療法ガイドラインに基づき行います 輸血療法に用いられる製剤は 全て供血者から採血された血液 およびその成分です 尚 輸血療法の一つに自己血輸血 ( 手術の際に前もって患者様自身の血液を保存しておき 必要時に輸血する方法 ) がありますが 当院では基本的には行なっておりません 輸血療法によって期待される効果と輸血療法を受けない場合の危険性について各種の血液成分が少なくなったり働きが悪くなったりすると 貧血 出血 急性循環不全 感染症などが生じ 時に重篤な状態になります 血液製剤を適切に使用することによってこれらの病態を改善することが期待できます 赤血球が欠乏し高度の貧血状態となった場合 各臓器に酸素が行き渡らなくなり 重篤な状態になることがあります 血小板や血液凝固因子が足りない場合 重篤な出血を生じることがあります 循環血漿量や循環血液量が減少した場合 血圧が低下し 生命に危険を及ぼすことがあります 出血 ショック 心不全など重症 致命的な合併症が起こる可能性があります 輸血における副作用輸血の安全性は 献血者に対する詳しい問診をはじめ いろいろな安全性のチェック ( ウイルス検査 血液型など ) が行われています しかしながら 現行の検査技術では発見できない病原体が混入している場合がまれにあります

近年 日本における輸血を受ける患者さんは約 120 万人以上と推定され 輸血による副作用報告による統計は およそ以下の通りです 1) 輸血後肝炎 ( 主に B 型 C 型 ): 約 0.001~0.002%( およそ 10 万人に1~2 人 ) 2) エイズ感染症 :2003 年に 1 例報告がありました その後はありません 3) 輸血後 GVHD( 移植片対宿主病 ): 照射血液製剤を導入以来ありません 4) 溶血反応 : 約 0.001%( およそ 10 万人に 1 人 ) 5) アレルギー反応 ( じん麻疹 発熱など ): 約 0.15% ( およそ 700 人に 1 人 ) じん麻疹や発熱などのアレルギー反応はまれな副作用ではありません 6) その他 未知の病原体による感染の可能性があります 何らかの異常を感じたらできるだけ早く 担当医師 看護師に連絡して下さい 輸血に関する検査等安全な輸血を行うために 輸血前に血液型検査 赤血球に反応する抗体を保有しているかどうかを調べる不規則抗体検査 輸血血液との相性をみる交差適合試験などの検査を行います また 輸血による合併症 副作用の有無を確認するために 輸血後 2~3ヶ月後に肝機能検査 エイズウィルス検査などが必要となります 他施設にて受診される場合 当院よりご案内いたしますので 案内状をご持参の上 受診願います 輸血における感染症が 確認された場合 下記の救済制度が適応されます ただし 輸血前の検査 輸血前検体保管 さらに輸血後の検査が必要になります 保管 検査実施にご協力を お願いいたします 救済制度 ( 生物由来製品感染等被害救済制度 ) について輸血に用いた製剤は 生物由来製品に分類される医薬品に含まれます 生物由来製品を適正に使用したにもかかわらず感染等が発生し被害をこうむった場合 健康被害者に対しての各種の救済制度があります ( 別途リーフレット参照 )

輸血同意書 年月日作成同種血輸血 ( 日本赤十字血液センターの献血血液製剤 ) 輸血が必要となる可能性と 輸血の種類 おおよその輸血量について 輸血の種類と輸血する場合の利益 輸血しない場合の危険性について 他人の血液を輸血した場合の副作用の種類とその可能性について いつでも質問して説明を受けられ 同意はいつでも撤回できること 1) 赤血球濃厚液単位の輸血が必要です 2) 新鮮凍結血漿単位の輸血が必要です 3) 濃厚血小版単位の輸血が必要です 私は 上記の ( 輸血用血液製剤 ) 使用について 担当医師より十分な説明を受け 輸 血による治療を受けることを承諾します また 実施中に緊急の処置を行う必要性が生 じたときは その処置も併せて承諾します ( 自筆の場合 捺印は不要です ) 記入日年月日 本人氏名 印 住所 * 代諾者氏名 印 住所 *: 患者との続柄もご記入下さい ( 父母 親権者 配偶者 兄弟姉妹 保護義務者 法定代理人 その他 ( ) 医療施設名 診療科説明医師印 ( この書類は 二部作成し一部は患者さんの控えとさせていただきます