資料 1 中長期保全計画策定の考え方 ( 案 ) Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
第 3 回検討会でご意見を頂いた内容に対する対応方針 ( 案 ) 中長期保全計画の策定において 更新 修繕 といった言葉の使い分けは明確にすべき その際 部位による使い分けや ライフサイクルコストの視点を踏まえた 更新 修繕 のレベル設定にも留意すること 建物を 使える 状態に維持するという観点からすると 躯体等の建築関連部位よりも 設備機器の重要度が高いように思われる システムの入力者 ( 施設管理者 ) には極力判断を求めず 事実関係だけを入力すれば結果が出るようにすべき 中長期保全計画に組み入れる部位 機器の選定方法について整理した 中長期保全計画についても まずは標準的なモデルをつくり その施設にない機能を外せば自動的に修繕計画と費用が出てくる仕組みがあると良い 建物の特性を入力し 部位を抽出するシステムを構築するにあたっては 将来掛かる費用がストレートに表示される仕組みの方が 施設管理者 ( 入力者 ) にとってわかりやすいのではないか システムを構築していくにあたっては はじめから完璧なものを組むのではなく ある程度運用しながら改善していきやすいものとしておくことが大切 部位 機器の選定に基づき 参考として中長期保全計画表 ( イメージ ) を作成した 2
長寿命化のための中長期保全計画の策定の考え方 ( 案 ) 長寿命化のための中長期保全計画策定の手順 ( 案 ) 1 事務庁舎の標準的な部位 機器の中から 建物にある部位 機器を抽出する 2 抽出した部位 機器について 施設特性や経済性を踏まえて設定された保全方法を確認する 3 予算等の実情を勘案し 中長期保全計画に組み入れる部位 機器を選択する 4 選択した部位 機器とその保全方法を反映した中長期保全計画が作成される 5 点検結果や修繕 更新履歴等を踏まえ 中長期保全計画を更新する 管理対象施設における部位 機器の把握 施設特性や経済性を踏まえた保全方法の確認 p.4 部位 機器の抽出の流れ 中長期保全計画に組み入れる部位 機器の選択 中長期保全計画の作成 p.8 ( 参考 ) 中長期保全計画表 ( イメージ ) 点検の実施 修繕 更新の実施 中長期保全計画の更新 3
中長期保全計画に組み入れる部位 機器の抽出の流れ 施設管理者選択自動出力施設管理者選択自動出力施設管理者選択自動出力 1 部位 機器の抽出 2 保全方法の設定 3 施設特性の反映 4 損害等の考慮 5 計画に組み入れる部位 機器の選択 ( 参考 ) 更新時期延伸効果の考慮 一般庁舎の場合 施設特性 ( 用途 )( 特殊 ) 地域特性 経済性 例 1 防災拠点 例 2 不特定多数利用 経済性 修繕 更新周期 部位 仕様 更新 修繕 防災拠点危険物不特定多数火災発生周囲への影響密集地 海岸 損害等リスク 更新 修繕 更新 修繕 更新延期効果 更新 修繕 敷地 地盤 舗装 30 10 擁壁 塀 * 躯体 2~4 までの結果の重ね合わせ * 屋上 屋根押えコン 30 40 10 露出 が自動で出力される 20 30 5 外壁タイル 40 80 10 仕上塗材 3-1 該当する施設特性を選択する 20 10 シーリング - - - 15 手すり鋼製亜鉛メッキ 30 40 5 外部建具 2 予め設定された保全方法がアルミ建具 40 60 5 鋼製建具 30 40 5 屋外緊結物自動で出力される * 屋外階段 * 内部天井 : 時間計画保全 30 10 内部壁 30 10 内部床 : 状態監視保全 30 10 内部建具 30 5 内部懸垂物空欄 : 事後保全 5 出力されたものから 予算等の実情 * 家具等 ( 防災 ) * 防火区画 を勘案し 計画に組み入れる部位 機器 * 機器 *: 適宜対応受変電屋内受電 30 15 その他 3-2 選択した施設特性に応じてを選択する ( や 黄色塗りつぶし は 25 10(15) 電源自家発電 30 8 直流電源 追加する保全方法が自動で特に優先すべきもの ) 20 25 8(13) 盤類制御盤 25 30 5,12 分電盤 出力される 25 15 照明 20 10 非常照明 20 10 電話交換 20 25 5 拡声設備 非常放送 20 25 5 TV 共同受信 - - 20 弱電その他 時計 表示 20 5 中央監視 15 20 5 防犯 - - 火災報知 20 25 5 冷温水機 20 25 4,5,8 冷却塔 FRP 15 20 4,5,8 空調機 ユニット 20 2,4,7 ハ ッケーシ 15 3,5,7 空気清浄機 4 損害額が大きい部位 機器が 20 2,3,5,6 全熱交換器静止型 20 3,5 自動制御 自動で表示される ( 黄色部分 ) 15 20 8 空調ポンプ 20 4,7 空調配管 - - - 30 ( 参考 ) 更新時期延伸効果がある排煙設備排煙機 - - - 25 換気設備軸流送風機 部位 機器 ( ) とその期間が自動で 20 4 給水設備ポンプ 20 4,7 配管 - - 出力される ( 標準は 建築物のライフ 30 受水槽 FRPタンク 30 10 排水設備ポンプ 15 4,7 1 各部位 機器の有無を確認し サイクルコスト を参照 ) 配管 - - 30 衛生器具建物に無いものは削除する 30 5,10 消火設備屋内消火栓 - - - 30 35 ポンプ 20 25 6 搬送機 30 35 3,10,15 4
中長期保全計画に組み入れる部位 機器の抽出方法 (1) 各項目の詳細 1 部位 機器の抽出 施設管理者選択 施設管理者は 各部位 機器の有無を確認し 建物に無い部位 機器は削除する 部位 機器のレベルは国における予算要求単位とし 以下の文献調査を参考に標準的な部位 機器を設定している 建築物のライフサイクルコスト ( 建築保全センター ) のモデル庁舎 (3,000 m2 ) において コスト構成比率が全体割合の 1.0% 以上を占めるもの 地方公共団体や民間における中長期修繕計画に盛り込まれている部位 機器 2 保全方法の設定 自動出力 事後保全 ( 故障 機能停止後に修繕 更新を行う ) でよいものは空欄としている 例えば受変電設備 自家発電設備など 劣化兆候の判断が困難であり 機能停止までの時間が想定できないものは時間計画保全としている ( 図中 ) 上記以外の部位 機器は 以下を参考に状態監視保全としている ( 図中 ) 公共建築の部位 設備の特性等を踏まえた中長期修繕計画策定及び運用のためのマニュアル (H17.6 国土技術政策総合研究所 ) ( 定義 ) 時間計画保全 : 耐用年数を考慮して 機能停止に至る前に計画的に修繕 更新を行う 状態監視保全 : 劣化や不具合の兆候に応じて 機能停止に至る前に修繕 更新を行う 5
中長期保全計画に組み入れる部位 機器の抽出方法 (2) 3 施設特性の反映 施設管理者選択 施設管理者は 災害時における施設の役割や 立地条件などの施設特性を選択する 選択した施設特性に応じて 状態監視保全とすべき部位 機器を追加する ( 図中 ) ( 例 ) 不特定多数の来庁者が来る施設や密集地に位置している施設における外周部など 劣化により人命に影響を及ぼす可能性が高い部位 機器については 中長期保全計画に組み入れるべき部位としている 海岸地域に立地する施設における機器など特に劣化しやすい部位 機器については 長寿命化の観点から長期保全計画に組み入れるべき部位としている 施設特性により追加する状態監視保全とする部位 機器は 以下の文献調査を参考に設定している 業務継続のための官庁施設の機能確保に関する指針 (H22 国土交通省 ) 建築基準法第 12 条第 1 項に基づく特殊建築物等の定期調査報告 ( 東京都 ) 4 損害等の考慮 自動出力 故障による損害額が大きいと思われる部位 機器については 中長期保全計画に組み入れるべき部位としている ( 図中 黄色塗りつぶし ) 損害額等のシミュレーションは 建築物のライフサイクルコスト の精算用データベースを用いて行っている 6
中長期保全計画に組み入れる部位 機器の抽出方法 (3) 5 計画に組み入れる部位 機器の選択 施設管理者選択 施設管理者は 出力結果から 中長期保全計画に組み入れる部位 機器を選択する 出力結果は 施設特性や経済性の観点から重要な部位 機器の選択が容易なものとしている ( 図中 や 黄色塗りつぶし が優先度の高いもの ) ( 参考 ) 更新時期延伸効果の考慮 自動出力 建築物のライフサイクルコスト の精算用データベースを用いたシミュレーションにより 更新時期延伸効果があるものについては 標準の更新周期を延伸可能としている 延伸する更新周期は 以下の文献調査を参考に設定している 合同庁舎における劣化状況調査結果 過年度の調査報告書 官庁施設の予防保全のための基礎調査 (H22 国土交通省 ) 官庁施設の予防保全のための調査 (H23 国土交通省 ) 7
( 参考 ) 中長期保全計画表のイメージ ( 案 ) 保全周期 費用 [ 百万円 ] 経年 部位 仕様 方法修繕更新修繕 更新 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 敷地 地盤 舗装 10 30 擁壁 塀 80 躯体 2 80 屋上 屋根押えコン 2 10 40 0.5 10 4 修繕 更新にかかる費用を表示 露出 5 30 外壁タイル 2 10 80 0.5 16 施設管理者で変更も可能 仕上塗材 10 20 標準は 建築物のライフサイクルコスト 5 各年度の実施内容を表示 シーリング 2 15 0 11 手すりアルミ 40 を参照 : 修繕 ( 時間計画保全 ) 外部建具アルミ建具 2 5 60 0.2 7 鋼製建具 2 5 40 0.1 3 : 更新 ( 時間計画保全 ) 屋外緊結物 80 : 修繕 ( 状態監視保全 ) 屋外階段 80 内部天井 2 10 30 1 7 : 更新 ( 状態監視保全 ) 内部壁 10 30 内部床 1 部位 機器の抽出の流れ の 2 10 30 0.3 6 5で選択した 内部建具 5 30 内部懸垂物部位 機器は白色 その他は網掛けで表示 80 家具等 ( 防災 ) 2 20 防火区画 鋼製建具 2 5 30 機器 仕様 1 5 10 15 20 25 受変電 屋内受電 1 15 30 0.4 6 その他 1 15 25 0.4 6 電源 自家発電 1 8 30 1 10 直流電源 2 8 25 3 4 盤類 制御盤 2 5 25 0.1 2 分電盤 2 15 30 0.1 0.8 照明 10 20 2 部位 機器の抽出の流れ で設定された非常照明 10 20 電話交換 2保全方法を表示 施設管理者で変更も可能 5 25 0.1 0.5 拡声設備 2 5 25 0.1 1 TV 共同受信 21: 時間計画保全 20 弱電その他時計 表示 5 20 中央監視 22: 状態監視保全 5 20 0.1 2 防犯 入退室管理 2 5 20 火災報知 2 5 25 0.3 2 機器 仕様 1 5 10 15 20 25 冷凍機 2 8 25 1 8 冷却塔 FRP 2 8 20 2 5 空調機 ユニット 2 4 20 3 40 ハ ッケーシ 2 7 15 0.4 6 空気清浄機 3 20 全熱交換器 静止型 5 20 自動制御 2 8 20 1.5 10 空調ポンプ 2 4 20 3 部位 機器の抽出の流れ で設定された 5 10 空調配管 2 30 0 20 排煙設備排煙機 2 25 修繕 更新周期を表示 施設管理者で変更 換気設備軸流送風機 2 4 20 2 6 も可能 給水設備ポンプ 2 4 20 1 3 配管 2 30 受水槽 2 10 30 0.5 4 排水設備ポンプ 2 4 15 0.2 3 6 各年度の必要額とこれまでの 配管 2 30 衛生器具 5 30 累計額を表示 消火設備 屋内消火栓 2 35 0 2 ポンプ 2 6 25 0.1 1 搬送機 2 10 35 0.5 16 年合計 ( 更新 + 修繕 ) [ 百万円 ] 0 0 0 11 1 0 0 20 0 3 0 11 0 0 22 20 0 0 0 79 0 0 0 12 21 0 0 累計 [ 百万円 ] 0 0 0 11 12 12 12 32 32 35 35 46 46 46 68 87 87 87 87 166 166 166 167 179 200 200 200 8
本検討会の成果の活用について 中長期保全計画策定マニュアル ( 現状 ) 平成 27 年 10 月に 官庁施設情報管理システム (BIMMS-N) を活用した個別施設計画策定 運用マニュアル を作成した マニュアルの構成は 2 部構成とし 第 1 部は個別施設計画の概論 第 2 部は個別施設計画を構成する保全台帳 中長期保全計画を BIMMS-N を活用して作成する手順を掲載 マニュアルの構成 第 1 目的及び個別施設計画の構成 1.1 背景及び目的 1.2 施設管理者の取組 1.3 個別施設計画の構成 1 保全台帳 2 中長期保全計画 1.4 官庁施設情報管理システム (BIMMS-N) の概要 第 2 保全台帳の作成 2.1 点検記録情報の管理 2.2 修繕履歴情報の管理 第 3 中長期保全計画の作成 3.1 中長期保全計画の作成 3.2 中長期保全計画の見直し 3.3 中長期保全計画の集計 課題 中長期保全計画は 予防保全計画の実施に利用することを目的の一つとしているが どの部位が予防保全とすべきかなど具体的な考え方が整理されていない このため 中長期保全計画策定マニュアルにおいても 予防保全計画の実施の観点を踏まえたものとなっていない 本検討会の成果の活用 国家機関の建築物等における保全計画作成の手引き を改定 施設特性や経済性を踏まえた中長期保全計画策定の考え方を記載する 中長期保全計画策定マニュアル の改訂 3.2 中長期保全計画の見直し において 施設特性や経済性を踏まえ 標準的な仕様に基づく計画から優先して見直す際の手順を追加する 国家機関の建築物等における保全計画作成の手引き ( 平成 22 年 3 月 31 日 ) 抜粋 第 1 目的及び保全計画の種類 (1.1 目的 1.2 保全計画の種類 ) 第 2 保全計画の作成 2.1 中長期保全計画の作成 1 中長期保全計画の内容 中長期保全計画は 中長期的視野に立った予防保全計画の実施 建築物等の 長寿命化の促進及び効率的な予算執行と中長期的保全予算の推計に利用する ため 建築物等の状況に応じ 中長期的に保全の実施内容 予定年度 概算額 を 部分毎に設定し 全体を作成する 9