Microsoft PowerPoint - ③食事指導 [互換モード]

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生活習慣改善へのアプローチ -知識と技術

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1 栄養成分表示を活用してみませんか? 媒体の内容 1 ページ 導入 ねらい : 栄養成分表示 とは 食品に含まれているエネルギー及びたんぱく質 脂質 炭水化物 食塩相当量などを表示したものであることを理解する 栄養成分表示を見たことがありますか? と問いかけ 普段から栄養成分表示を見ているか 見て

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私の食生活アセスメント

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スライド 1

日本スポーツ栄養研究誌 vol 目次 総説 原著 11 短報 19 実践報告 資料 45 抄録

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Microsoft Word - ☆5章1栄養.doc

2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

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2214kcal 410g 9.7g 1 Point Advice

2 夜食 毎日夜食をとっている者は では 22.5%( 平成 23 年 23.9%) であり で % と割合が高い では 18.3%( 平成 23 年 25.2%) であり 40 歳代で割合が高い 図 夜食の喫食状況 (15 歳以上 性別 年齢階級別 )

栄養表示に関する調査会参考資料①

私の場合 上記表より男性 年齢 51 歳の所を確認しました 活動量低い 普通以上を選択します 活動量は低いにあてはまります ( 座り仕事が中心 歩行 軽いスポーツ等は 5 時間未満 ) 表よりエネルギーは 2200±200 キロカロリーになり 1 日にとる 5 種類の分類のうち摂取量 ( つ (SV

次世代ヘルスケア産業協議会第 17 回健康投資 WG 資料 6 職場における食生活改善の質の向上に向けて 武見ゆかり第 6 期食育推進評価専門委員会委員 ( 女子栄養大学教授, 日本栄養改善学会理事長 )

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カテゴリー別人数 ( リスク : 体格 肥満 に該当 血圧 血糖において特定保健指導及びハイリスク追跡非該当 ) 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 8190 リスク重なりなし BMI5 以上 ( 肥満 ) 腹囲判定値以上者( 血圧 (130 ) HbA1

2) エネルギー 栄養素の各食事からの摂取割合 (%) 学年 性別ごとに 平日 休日の各食事からのエネルギー 栄養素の摂取割合を記述した 休日は 平日よりも昼食からのエネルギー摂取割合が下がり (28~31% 程度 ) 朝食 夕食 間食からのエネルギー摂取割合が上昇した 特に間食からのエネルギー摂取

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【0513】12第3章第3節

動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2012 年版 ( 日本動脈硬化学会 ) ガイドラインの策定経緯 高脂血症診療ガイドライン :1997 年 動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002 年版 :2002 年 動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007 年版 :2007 年 動脈硬化性疾患予防ガイドライン

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学校給食摂取基準の活用 学校給食摂取基準は全国平均を示したものであるから その考え方を踏まえた上で 各学校の実態に応じた摂取基準 ( 給与栄養目標量 ) 作成する必要がある EER 算出シートに数字を打ち込めば EER( 推定エネルギー必要量 ) は算出できるが 専門職 ( 管理栄養士 栄養士 )

青年期を対象とした携帯食事手帳システムの提供 目 次 1. 目的 1 2. 携帯食事手帳システムの概要 1 (1) システムの基礎データ 1 (2) 利用方法 1 (3) 確認できる情報 1 3. 携帯食事手帳利用の手引き 2 (1) 携帯食事手帳 (QRコード) 3 (2) 料理選択の仕方 4 (

Taro-①概要.jtd

(5) 食事指導食事指導は 高血圧の改善 耐糖能障害の改善 代謝異常の改善について 各自の栄養状況 意欲などに応じて目標をたて これを達成できるよう支援する形で行った 開始時点で 食事分析を行い 3ヶ月ごとに 2 回進捗状況を確認する面接を行った 1 年後に終了時点の食事分析を行った 各項目の値の増

結果の概要

保健機能食品制度 特定保健用食品 には その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をすることができる 栄養機能食品 には 栄養成分の機能の表示をすることができる 食品 医薬品 健康食品 栄養機能食品 栄養成分の機能の表示ができる ( 例 ) カルシウムは骨や歯の形成に 特別用途食品 特定保健用

第 4 章 地域における食育の推進 1 栄養バランスに優れた 日本型食生活 の実践 ごはんを中心に 魚 肉 牛乳 乳製品 野菜 海藻 豆類 果物 茶など多様な副食などを組み合わせて食べる 日本型食生活 は 健康的で栄養バランスにも優れている 農林水産省では 日本型食生活 の実践等を促進するため 消費

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

栄養成分等の分析方法等及び「誤差の許容範囲」の考え方について

2

血糖値 60 歳女性 HbA1c : 6.5 従来のカロリー制限食 糖質制限食 糖質 ( 米など ) を制限しない食事では カロリーを制限しても血糖値は食後に急上昇するそれに対し 糖質制限食では血糖値上昇はわずか

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小学校 第○学年 学級活動(給食)指導案


ちゃんと (450~650kcal 未満 ) 栄養バランスを考えて ちゃんと 食べたい女性や中高年男性の方向けしっかり (650~850kcal) 栄養バランスを考えて しっかり 食べたい男性や身体活動量の高い女性の方向け スマートミールの基準 1 エネルギー量 ( カロリー ) は 1 食あたり

食品群別栄養素等摂取量 - 食品群 栄養素別 摂取量 - 総数 歳 E B 1 B 2 C 飽和一価不飽和 n-6 系 n-3 系脂肪酸脂肪酸脂肪酸脂肪酸 mg g 総量 水溶性 不溶性 μgre 1 μg mg 2 μg mg mg mgne 3 mg μg μg mg mg mg g

食育って, ご存知ですか? 食育とは 生きる上での基本であって, 知育, 徳育及び体育の基礎となるべきもの 様々な経験を通じて 食 に関する知識と 食 を選択する力を習得し, 食育の推進に取り組んでいます! 28 年 ( 平成 2 年 )3 月に 福山市食育推進計画,213 年 ( 平成 25 年

Shokei College Investigation into the Physical Condition, Lifestyle and Dietary Habits of the Members of a Boy s Soccer Team and their Families (1) Ph

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

奈良ウォーキングベスト1

2

ウ食事で摂る食材の種類別頻度野菜 きのこ 海藻 牛乳 乳製品 果物を摂る回数が大きく異なる 例えば 野菜を一週間に 14 回以上 (1 日に2 回以上 ) 摂る人の割合が 20 代で 32% 30 代で 31% 40 代で 38% であるのに対して 65 歳以上 75 歳未満では 60% 75 歳以

結果の概要 1 栄養 食生活に関する状況 (1) 野菜の摂取状況 20 歳以上における 1 日の野菜摂取量の平均値は 288.1g 性別にみると男性 297.1g 女性 281.1g 年齢階級別にみると 男女ともに 40 歳代で最も少ない 図 1 野菜摂取量の平均値 (20 歳以上 性 年齢階級別

スライド タイトルなし

目次 < 栄養表示の特徴 > 栄養表示の特徴 1 < 健康 栄養政策と栄養表示の関係 > 健康 栄養政策と栄養表示基準 2 健康 栄養政策と栄養表示 3 健康 栄養政策と栄養表示の関係 4 21 世紀における国民健康づくり運動 ( 健康日本 21) の具体的な推進について 5 < 栄養表示の重要性の

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Ⅳ 第 2 次計画の目標 : 第 2 次計画で新たに設定した項目 府民主体 府民と行政と団体 行政と団体 1 内 容 新 規 栄養バランス等に配慮した食生活を送っている府民の割合 2 朝食欠食率 第 1 次計画策定時 35 現状値 第 2 次計画目標 第 2 次基本計画目標 24% 15% 60%

日常的な食事に関する調査アンケート回答集計結果 ( 学生 ) 回収率 平成 30 年 12 月 1 日現在 134 人 問 1 性別 1 2 男性女性合計 % 97.0% 100.0% 3.0% 男性 女性 97.0% 問 4 居住状況 家族と同居一人暮らし

Q1. あなたが 普段健康のために積極的に摂取している栄養成分 控えている栄養成分をお答えください ( 単数回答 ) n=1000 積極的に摂っている栄養成分 TOP5 積極的に摂っているどちらとも言えない摂取を控えている 水分 61.7% 34.1% 4.2% たんぱく質 44.7% 48.4%

指導内容のマニュアル化 1) は保健指導の普及のために 有効である一方, その内容を超えた指導はされにくい 減量成功者の取り組みを知ることは今後の保健指導に資すると考える そこで, 本研究は, 具体的な事例から原理や法則を見出す帰納的アプローチである質的研究を用いて, 減量に成功した男性勤労者を対象

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宗像市国保医療課 御中

スライド 1

平成 29 年度食育活動の全国展開委託事業報告書 ( 食生活と農林漁業体験に関する調査 ) 平成 30 年 2 月

活実態と関連を図りながら重点的に指導していきたい また, 栄養教諭による給食献立の栄養バランスや食事によるエネルギー量を基盤として, グループごとに話合い活動を取り入れるなどの指導の工夫を行いたい また, 授業の導入にアイスブレイクや, カード式発想法を取り入れることにより, 生徒が本気で語ることが

2015 1,200 A B J 一般社団法人 J ミルク牛乳乳製品の知識改訂版 001

Microsoft Word - P  第1部(第1表~第6表)

gh 第 6 学年 3 組家庭科学習指導案 単元名 : わたしは料理家 ~ おすすめ給食献立を考えよう ~ 朝食から健康な 1 日の生活を 男子 15 名 女子 14 名計 29 名 指導者 T1 宮地仁美 ( 学級担任 ) T2 須山明香 ( 栄養教諭 ) 題材について 小学校学習指導要領家庭科第

本日の内容 1. クイズから学ぶ米の優位性 2. 主食米としての自給率は 100% であるのに 米の消費 摂取量の漸減現象が止まらない 3. 家庭と外食の双方からの食育および食料自給率対策が必要 4. 歴史的に見る白米ごはんの受難 5. ごはん食の栄養的優位性 6. まとめ 1

Microsoft PowerPoint トランス脂肪酸・スライト゛神奈川県消費者意見交換(最終)

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特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会 報告書46~63ページ

Ⅵ ライフステージごとの取り組み 1 妊娠期 2 乳幼児期 (0~5 歳 ) 3 学童期 (6~12 歳 ) 4 思春期 (13~19 歳 ) 5 成年期 (20~39 歳 ) 6 壮年期 (40~64 歳 ) 7 高年期 (65 歳以上 ) ライフステージごとの取り組み ( 図 )

調査の概要 本調査は 788 組合を対象に平成 24 年度の特定健診の 問診回答 (22 項目 ) の状況について前年度の比較から調査したものです 対象データの概要 ( 全体 ) 年度 被保険区分 加入者 ( 人 ) 健診対象者数 ( 人 ) 健診受診者数 ( 人 ) 健診受診率 (%) 評価対象者


山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

学校給食摂取基準の策定について(報告)

SoftBank 301SI 取扱説明書

3 12 西中学校給食予定献立表 冬野菜のオムレツ味噌ドレッシングサラダじゃこ豆ぶどうゼリー TEL: kcal トンテキほうれん草ゅうまい春雨とひじきの和え物レモンゼリー ニラ玉焼き枝豆とコーンのサラダフルーツヨーグルト 39.g 2.g キャベツのイタリアンサラダりんご缶 キャベ

平成 27 年 10 月 6 日第 2 回健康増進 予防サービス プラットフォーム資料 協会けんぽ広島支部の取り組み ~ ヘルスケア通信簿について ~ 平成 27 年 10 月全国健康保険協会広島支部 協会けんぽ 支部長向井一誠

第 3 部食生活の状況 1 食塩食塩摂取量については 成人男性では平均 11.6g 成人女性では平均 10.1gとなっており 全国と比較すると大きな差は見られない状況にあります 図 15 食塩摂取量 ( 成人 1 日当たり ) g 男性

食品には たんぱく質や脂質 炭水化物などの栄養成分が含まれています 私たちが健康な生活を送ることができるのは 食品から必要な栄養を必要な量とっているからです 食材を加熱すると 食材に天然に含まれている成分から新たな成分ができることがあります それによって 例えばパンを焼いたときの美味しそうな色 コー

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17004 ジャネフだし割りしょうゆ 1 個 5mlあたり エネルギー (kcal) 3 ナトリウム (mg) 155 水分 (g) 4.4 カリウム (mg) 2 たんぱく質 (g) 0.1 カルシウム (mg) 0 炭水化物 (g) 0.6 鉄 (mg) 0 食物繊維 (g) 0 食塩相当量 (

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Microsoft PowerPoint 【資料3】主な改定内容と課題について0405

②肥満 やせの状況 3 歳児における肥満児の割合は減少していました 成人男性の肥満は横ばいで 代女性の肥満は増加傾向がみられました 一方 20 代女性のやせは倍増しており 肥満だけでなく 子どもを産み育てる世代への支援が必要となります 20代 60代の肥満 BMI 25以上 の割合 肥満

Microsoft Word 栄マネ加算.doc

2 11. 脂肪 蓄 必 12. 競技 引退 食事 気 使 13. 日 練習内容 食事内容 量 気 使 14. 競技 目標 達成 多少身体 無理 食事 仕方 15. 摂取 16. 以外 摂取 17. 自身 一日 摂取 量 把握 18. 一般男性 ( 性. 一日 必要 摂取 把握 19. 既往歴 図

評価項目 A Bともすべての項目に を入れてください 評価項目 A 宣言内容 ( 共通項目 ) チェック項目 取り組み結果 出来た概ね出来た出来なかった 1 経営者が率先し 健康づくりに取り組みます 健康宣言証の社内掲示など 健康づくりに関する企業方針について 従業員へ周知していますか? 経営者自身

栄養表示 - 一般市民向けよくある質問 A. 改訂規則および栄養表示の枠組み B. 栄養表示 C. 栄養素情報 D. 栄養強調表示 A) 改訂規則および栄養表示の枠組み Q1. 食品および薬品 ( 成分および表示 )( 改訂 : 栄養表示および栄養強調表示の規定 ) 2008 年度規則 ( 改訂規則

糖質 10g= 1 カーボ 糖質 10g を 1 カーボとして 1 食に 8 カーボ というように 食事の カーボ を数えます 食品交換表の表 1 表 2 表 4 調味料 嗜好品 ( 一部を除く ) が対象です 糖質の少ない表 の量が不足しても血糖が上がり易いので要注意です 手順身長別の

コレステロールの 善玉 と 悪玉 とは? LDL( 悪玉 ) コレステロール血液中でコレステロールを肝臓から抹消組織に運んでいますが 多すぎると血管の壁に入りこみ 動脈硬化を引き起こす一番の担い手になります HDL( 善玉 ) コレステロール血管壁に余ったコレステロールを肝臓へ戻し 動脈硬化を進行さ

H22栄養調査

10.Z I.v PDF.p

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学校給食摂取基準の策定について(報告)

阿賀野川 SA 栄養成分 アレルゲン一覧表 (2016 年 1 月 18 日現在 ) お客様各位 ~ 一覧をご覧になる際は 下記注意事項を必ずご覧下さいませ ~ 一覧表記載の栄養成分の数値は 検査機関での分析値を基本とし 一部食材に関しては 五訂増補日本食品標準成分表 による計算値のいずれか または

タイトル

3 対象者への案内の方法 当該年度の特定保健指導対象者全員 ( 基準では非該当だが 医療保険者の判断で特定保健指導対象となる方 も含む ) に対して 参加案内を郵送して 結果説明会を実施するとともに 特定保健指導における初回時面接を行います また 初回時面接未参加者に対しても 再度 特定保健指導の参

書式・記述方法等の統一について

Transcription:

厚生労働科学研究 標準的な健診 保健指導プログラム 改訂版 及び健康づくりのための身体活動基準 2013 に基づく保健事業の研修手法と評価に関する研究 津下班 食生活支援についてのコアスライド 林芙美 武見ゆかり 女子栄養大学 女子栄養大学

食生活支援のポイント 1. エネルギーコントロールの鍵となる食行動を共に考える 2. エネルギーや栄養素の改善を, 対象者の日常の食生活で使いやすい ( わかる ) レベルの行動目標にする 3. 食生活の変容においては, 対象者自身の工夫がカギ そのための支援を 4. エネルギーコントロールの評価は エネルギーの絶対値ではなく 体重の変化を用いる 5. 本人の行動 家族や職場の支援に加え, 地域社会としての 健康的な食物へのアクセス も重要

食行動変容のためのアプローチ Step 1: 準備性や問題行動を明確にする 健診結果の受け止め方や食 生活改善への意欲 現在の食 生活上の努力や取り組みを確認する 支援状況チェック 対象者の思いを聴きとっているか 食事内容 ( 栄養素 食物 ) と食べ方 ( 食行動 ) の両方をアセスメントしているか Step 2: 行動ときっかけ ( 刺激 ) との関係を分析する どんなときに 何をきっかけにして起こるか? その結果 どのように感じるか 周りの反応は? 支援状況チェック 誘惑場面は人それぞれ異なることに留意しているか 自信が低い場面を確認しているか

食行動変容のためのアプローチ Step 3: 行動目標を設定し 実行する 何をしたら効果がでそうか 何なら実行できそうか? 効果が期待できる程度の 無理のない 目標か? 支援状況チェック 実現可能な目標を対象者が自己決定できたか 内容は具体的で 自己の振り返りが可能か Step 4: 結果とプロセスを確認しながら 続ける セルフモニタリングをし 変化を実感しているか? 決めた目標以外に自分なりの工夫をしているか? 誘惑や障害への対策が出来ているか? 取り組みを肯定的にとらえているか? 支援状況チェック 本人の工夫や努力を褒めたり 共感したか 気持ちや体調等の変化に気づくように促したか

行動変容が困難と感じている事例への支援 特徴 支援のポイント 目標例 交代勤務の A さん 不規則な食事は太りやすいと分かってはいても 仕事柄改善出来ないと思っている 家族と生活時間が異なり 支援を得にくい 一人暮らしの B さん 単身赴任や独身で 食生活が不規則 日頃 励まし 支援してくれる人が身近にいない 仕事が優先で 行動変容は難しいと感じている 交代勤務で 日によって行動仕事が優先で 周りに支援してパターンが変わるため 目標くれる家族などがいないことか行動が完璧に出来なくても ら 夜遅い食事などの不規則な体重測定だけは毎日実践し食事については ライフスタイルてもらう ( セルフモニタリング ) の一部として受容する 出来る時に頑張ろうと思う行動目標の設定においては 日 ( 認知的な取り組み ) など 継常生活の負担にならないよう 続するために出来ることを共勤労者の特徴を踏まえて提案に考えるする 夜勤の日の夕食は 揚げものを選ばない 夜勤明けの朝食は 野菜を両手いっぱい食べる 1 日 3 食を意識する 飲み物をお茶かブラックコーヒーに変える 単品ではなく定食にする 飲み会は 2 回に 1 回は断る 迷ったら 野菜が入った料理を選ぶ それほど食べていないのにと思っている C さん 食事のみで減量しようと動いていないため 基礎代謝量が低下し 太りやすい体質に 朝食を抜いたり 主食を抜いているため 本人は食べ過ぎているという意識はない 食事内容と食行動をアセスメントし 対象者自ら問題行動を意識できるよう支援する 朝食を抜いたり 晩酌の際に主食を抜いておかずを食べ過ぎると 逆に摂取過剰に繋がりやすいこと等の知識を伝え 思い込みを是正する 食事と運動を組み合わせる 毎日 体重計にのる 食品の表示を見てから買う 晩酌のおつまみは野菜料理にする 昼休みに散歩する

食生活支援における食事内容の助言は 対象者の知識 態度 行動に合わせることがポイント 健診結果とその他必要な情報の提供 ( フィードバック ) 文例集 より栄養素 食品に関するまとめ 栄養素 / 食品助言健診結果 エネルギー 減量 血圧高値 脂質異常 血 糖高値 尿たんぱく 尿酸 炭水化物糖分を控える脂質異常 尿酸 脂質 ナトリウム ( 食塩相当量 ) 飽和脂肪酸が多い動物性の脂肪を控える 多価不飽和脂肪酸が多い植物油や魚をとる 卵などコレステロールの多い食品も控え目にする 減塩 脂質異常 脂質異常 脂質異常 野菜 果物野菜を多くして果物も適度に食べる血圧高値 血圧高値 尿たんぱく アルコールアルコールを控える脂質異常 尿酸 その他食事 運動療法血糖高値 対象者が 日常の食生活で使いやすい ( わかる ) レベルの行動目標にする 控える 適度に 多く のように主観的な表現ではなく 具体的な目標を提示 助言する

対象者が 日常の食行動で使いやすい ( わかる ) レベルで食生活の目標を提示 助言する レベル 栄養素 食品 食材料 料理 食事 食行動 内容 エネルギー 炭水化物 たんぱく質 脂質 ビタミン ミネラル 食物繊維 食品成分表 (18 分類 ) 6 つの基礎食品 3 色分類 四群点数法糖尿病交換表など 主食 主菜 副菜 牛乳 乳製品 果物 菓子 嗜好飲料 食べる速さ 時間 タイミング 組み合わせ など 基準 食事摂取基準学会ガイドライン 食品構成 食事バランスガイド食生活指針 行動科学 時間栄養学など 食べる立場 支援する立場 目に見えないので, 知識としてはわかるが, そのままでは使えない 食品成分表や基準の専門的な理解や活用スキルが必要 重量の把握が難しい 食材料や調理法の知識 食材料の量の計算が必要 食べるときに見ている状態でおおまかに把握できる 摂取量と望ましい量を比較しておおまかなバランスを理解する 枠組み栄養素選択型食材料選択型料理選択型 具体的で実行しやすい 食習慣を確認する エビデンスレベルの差 食行動型

栄養素 エネルギー 食事摂取基準の各指標の考え方 BMI 摂取不足からの回避 エネルギーの摂取量及び消費量のバランス ( エネルギー収支バランス ) の維持を示す指標として 目標範囲が示された 18.5-24.9(18~49 歳 ),20.0-24.9(50~69 歳 ), 21.5-24.9(70 歳以上 ) 推定平均必要量 推奨量 50% の人が必要量を満たす (50% は満たさない ) と推定される摂取量 ( 不足 の定義は栄養素によって異なる ) ほとんどの人 (97~98%) が必要量を満たす量 ( 推定平均必要量が決められる栄養素 ) 栄養素 (34 種類 ) 目安量 過剰摂取による健康障害からの回避 耐容上限量 生活習慣病の一次予防 目標量 不足状態を示す人がほとんど観察されない量 ( 推定平均必要量が決められない場合の代替指標 ) 過剰摂取による健康障害が起こりえない最大量 生活習慣病の予防を目的として その疾患のリスクや その代理指標となる生体指標の値を低くするために 日本人が当面の目標とすべき摂取量 すでに特有の食事指導 食事療法 食事制限が適用 推奨される疾患を有する場合には そちらを優先し 食事摂取基準は補助的な資料として参照すること

栄養素 栄養素 科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 2013 動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療ガイド 2013 年版 高血圧治療ガイドライン 2014 エネルギー 摂取エネルギー量 = 標準体重 身体活動量 * 標準体重 (kg)= 身長 (m) 2 22 * 身体活動量 (kcal/kg 標準体重 ) =25~30 軽い労作 30~35 普通の労作 35~ 重い労作 エネルギー摂取量 (kcal) = 標準体重 (kg) 25~30(kcal) を目指すが まずは現状から 1 日に 250kcal 程度を減じることから始める - 減量目標として BMI( 体重 ( kg ) 身長 (m) 2 ) が 25 未満 ただし 目標に達しなくても 約 4 kgの減量で有意な降圧が得られる 炭水化物 指示エネルギー量の 50 以上 60% を超えない範囲とする食物繊維 (1 日 20~25g) は食後血糖コントロールの改善に有効 エネルギー比率 50~60% グリセミックインデックス (GI) グリセミックロード (GL) の低い食事食物繊維 (1 日 25g 以上 ) 蔗糖 単糖類 特に果糖の過剰摂取に注意 たんぱく質 脂質 標準体重 1kgあたり1.0~1.2g - CKDステージ3 以上では0.6-0.8g/ kg標準体重 / 日 飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸は それぞれ摂取エネルギー量の 7% 10% 以内におさめる エネルギー比率 20~25% 飽和脂肪酸 ( エネルギー比率として 4.5% 以上 7% 未満 ) n-3 系多価不飽和脂肪酸の摂取を増やすトランス脂肪酸の摂取を控える コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える魚 ( 魚油 ) の積極的摂取 食塩 制限する高血圧を合併したものならびに顕性腎症以降の腎症の合併を伴うものでは 6g/ 日未満に制限する 6g/ 日未満 6g/ 日未満とするが より少ない食塩摂取量が理想 安全性のエビデンスがあるのは 3.8g/ 日まで その他ビタミン ミネラルの摂取不足を防ぐ野菜 果物の積極的摂取

栄養素 / 食品 栄養素 炭水化物 学会ガイドラインの食事療法と主な食品の早見表 ガイドラインでの記載 ( 数値は一例 ) 摂取エネルギーの 50~60% 単糖類 二糖類の過剰摂取を控える 食物繊維 : 増やす (25g 以上 ) 緑信号 ( 積極的に ) 玄米雑穀米ライ麦パン胚芽パンほとんどの野菜きのこ類海藻類 脂質摂取エネルギーの 20~25% 低脂肪乳 たんぱく質 コレステロール :300mg 以下 ( 高 LDL の場合は 200mg 以下 ) 飽和脂肪酸 : 控える (7% 未満 ) 多価不飽和脂肪酸 : 増やす トランス不飽和脂肪酸 : 過剰摂取を避ける 無脂肪乳低脂肪ヨーグルトカッテージチーズ 摂取エネルギーの 15~20% 鶏肉 ( 皮なし ) ささ身脂の少ない魚納豆 豆腐 : 飽和脂肪酸多い : ナトリウム ( 食塩相当量 ) 多い 黄信号 ( ほどほどに ) ご飯 食パンめん ( うどん スパゲティ そば ) コーンフレークじゃがいもかぼちゃ果物 普通牛乳ヨーグルト ( 無糖 ) プロセスチーズ ほとんどの植物油 ( コーン油 オリーブ油 キャノーラ油など ) 卵 魚介類 脂身の少ない赤身肉 鶏肉 ( 皮つき ) 油揚げ 赤信号 ( 控え目に ) クロワッサン デニッシュ インスタントめん菓子 菓子パンジャム甘い清涼飲料水果物の缶詰 濃厚牛乳甘いヨーグルト ナチュラルチーズ バター ラードマーガリン ショートニング パーム油 ココナツ油 ヤシ油 霜降り肉 バラ肉 ひき肉 ベーコン ハム 魚卵 魚塩蔵品 動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2012 年版 高血圧治療ガイドライン 2014 科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 2010 肥満症治療ガイドライン 2006 を参照

食品 / 料理 / 食行動 主観的な表現ではなく 具体的な目標を提示 助言する 食材料選択型 1 日に野菜 350g 例 ) 野菜を多く ではなく 料理選択型 副菜を 1 日に 5-6 つ (SV) 1 つは小鉢 1 皿分 食行動型 毎日プラス 1 皿 緑黄色野菜 ほうれん草のおひたし 1 つ (SV) 冷やしトマト 1 つ (SV) かぼちゃの煮物 1 つ (SV) 野菜から食べて満腹感を出す その他の野菜 具沢山のみそ汁 1 つ (SV) レタスとキュウリのサラダ 1 つ (SV) 野菜の煮しめ 2 つ (SV) 重量はあくまでも一例です

食行動 男性勤労者の減量成功者が実施した食生活の取組み 工夫の具体例 食事内容を変える 食事改善のための 行動 ( 工夫 ) 食べ過ぎの対策 空腹時の対策 お酒を減らす 夜の食事改善 勝手な思い込み 赤松利恵, 林芙美他. 栄養学雑誌 71;225-234 (2013) 油を控える 飲み物の糖分を減らす 野菜を多く食べる 主食 / ごはんを減らす 間食を減らす 肉を控える / 魚を食べる 塩分を控える 豆腐を食べる インスタント食品を食べない いろいろな食品を食べる 次の食事でコントロールする 外食 弁当の内容 量を変える 弁当を持っていく 朝食をとる 食品表示を見る カロリーを考えて食べる 調理する 行動目標は具体的で 実行可能性が高く 対象者のライフスタイルに応じたものを

食行動 やめる のではなく 減らす 変える を意識して 無理なく 継続した実践を支援する 脂質が多い食品 食品目安量脂質エネルギー変更案 ドレッシング大さじ 2 12g 120kcal ノンオイルタイプに変える アジフライ 1 枚 12g 200kcal 食べる頻度を減らす 衣を外して食べる アジの塩焼きに ( 調理法を ) 変える 焼き肉 カルビ 1 皿 (100g) ナトリウム ( 食塩相当量 ) が多い食品 煮物 蒸し 炒め 揚げる など 48g 520kcal 食べる頻度を減らすロース肉 ひれ肉などに変える周りの人と分けて食べる今日は食べたが次回は断ろうと考える かける つける 外食 加工食品 内食

準備性 生活習慣の行動変容ステージ 維持期明確な行動変容が観察され その期間が 6 か月以上続いている時期 実行期明確な行動変容が観察されるが その持続がまだ 6 か月未満である時期 準備期 1 か月以内に行動変容に向けた行動を起こす意思がある時期 関心期 6 か月以内に行動変容に向けた行動を起こす意思がある時期 無関心期 6 か月以内に行動変容に向けた行動を起こす意思がない時期 行動を開始し 継続する / 再発の防止 刺激統制 : 食べる時間を決める 表示を見る 量を決める 行動置換 : 飲み物を変える 食物の内容を変える 行動を変える 反応妨害 : 空腹時に飲み物や低カロリーのものをとる 空腹を我慢し 食べない ソーシャルサポート : 家族のサポートを得る 行動変容の障害 困難場面の対処法 認知的な取り組み : 意識する 気持ちの切り替え 認知の変容 無理をしない取り組み姿勢 : 無理をしない できることをする 行動レベルの助言に加え 認知レベルの助言も重要 セルフモニタリング 実行可能な目標の設定 コミットメント : 宣言をする セルフモニタリング : 食事を記録し 振り返る モデリング : モデルを見つけ 自分を振り返る 生活習慣病の予防 重症化予防に関する情報提供 * * 生活習慣に係る意識啓発や 生活習慣改善のための情報提供 男性勤労者の減量成功者が実施した食生活の取組み 工夫

エネルギーコントロールの評価は エネルギーの絶対値ではなく 体重の変化を用いる 目標の設定 評価の指標 出典 : 厚生労働省 : 健康づくりのための身体活動基準 2013 エネルギーの評価は体重の変化でみる食品成分表や食事調査等で算出される数値は補助的に用いる

本人の行動 家族や職場の支援に加え, 地域社会としての 健康的な食物へのアクセス も重要 食 健康情報へのアクセス マスメディアインターネット 医療機関保健所 保健センター大学 研究機関 児童館 公民館塾 スポーツクラブ 学校 職場友人 近隣 家族 家庭 人間 食生活を営む力を形成し伝承する 外国からの食情報と食物 給食 つくる 食べる 食品企業 農 水 畜産場 食料品店 スーパーコンビニ 自動販売機 飲食店ファーストフード 健康的な食物 食物へのアクセス ( フードシステム ) 地域社会 地域社会の食環境 自然文化社会の条件 歴史