平成 27 年度 第 31 回 認定内科医資格認定試験問題 ( 抜粋 ) 本会は 認定内科医 と 総合内科専門医 の 2 種類の試験を行っており, 昨年度までに認定内科医は 31 回, 総合内科専門医は 43 回行われた. 現在の認定医数は, 認定内科医 80,392 名, 総合内科専門医 22,355 名である. 認定内科医試験は多選択肢問題 (MCQ) を使用し, 問題形式は,1 単純択一形式 (Aタイプ)2 多真偽形式 (X2 タイプ ) で, 問題内容は, 一般問題と臨床問題である. 以下に, 第 31 回認定内科医資格認定試験問題 ( 抜粋 ) を公表する. 1.48 歳の女性. 脱力と浮腫とを主訴に受診した.4 年前から高血圧と糖尿病とを指摘され, 左大腿骨頸部骨折と胸椎骨折とを起こしたことがある. 現症 : 満月様顔貌と中心性肥満とを認める. 皮膚線条と多毛とはないが, 皮下出血を多数認める. 腹部造影 CT 図 No. 1 を示す. この患者で認められる血液検査所見はどれか.1 つ選べ. (a)tsh 高値 (b)acth 低値 (c)intact PTH 低値 (d) カテコラミン高値 (e) アルドステロン高値 問題 1 図 No. 1 R L 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号 553
2.27 歳の女性.6 か月前から手指の関節痛があり近医を受診したが, 異常はないと言われ, 非ステロイド抗炎症薬 NSAIDs が投与されていた. 症状は消失と再出現とを繰り返していた.1 か月前から手指だけでなく, 手関節, 膝関節にも関節痛が広がり, 左の第 1 指の関節腫脹がみられるようになったため受診した. 既往歴 : 特記すべきことはない. 現症 : 両側第 1 から第 3 指までの中手指節間 MP 関節の腫脹と両側手関節とに腫脹と圧痛とを認める.Raynaud 現象, 皮膚硬化および皮膚紅斑は認めない. 左手指のX 線写真 図 No. 2 を示す. 検査所見 : 免疫血清学所見 ;CRP 1.5 mg/ dl, リウマトイド因子 346 IU/ ml ( 基準 15 未満 ), 抗 CCP 抗体 120 U/ ml ( 基準 4.5 未満 ), 抗核抗体 320 倍 ( 斑紋型 ). 検査によりB 型肝炎,C 型肝炎および結核などの感染症は否定された. この患者に対する治療薬として最も適切なのはどれか.1 つ選べ. (a) 金製剤 (b) ブシラミン (c)tnf 阻害薬 (d) プレドニゾロン (e) メトトレキサート 問題 2 図 No. 2 554 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号
3.88 歳の男性. 動作緩慢と歩行障害とを主訴に搬入された. 現病歴 :2 週前から思考が緩慢となり, 徐々に意欲低下を認めるようになった.3 日前から動作緩慢と歩行障害とを伴うようになった. 既往歴 : 心房細動と一過性脳虚血発作とのためワルファリンを内服中である. 家族歴 : 特記すべきことはない. 現症 : 意識レベルJCSⅡ-10. 脳神経に異常所見はなく, 下肢の筋力は 4/5 程度だが, 立位が不安定で独歩は困難である. 検査所見 : 血液所見 ;PT-INR 1.56( 基準 0.80~1.15). 頭部単純 CT 図 No. 3 を示す. 考えられるのはどれか.1 つ選べ. (a) くも膜下出血 (b)alzheimer 病 (c) 急性硬膜外血腫 (d) 慢性硬膜下血腫 (e)lewy 小体型認知症 問題 3 図 No. 3 R L 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号 555
4.25 歳の女性. 繰り返す気管支炎を主訴に受診した. 胸部 X 線写真 図 No. 4 と胸部単純 CT 図 No. 5 とを示す. この疾患について誤っているのはどれか.1 つ選べ. (a) 脾腫がある. (b) 副鼻腔炎を合併する. (c) 常染色体劣性遺伝である. (d) 線毛の超微細構造の異常がある. (e) 喀痰培養でPseudomonas aeruginosaが検出される. 問題 4 図 No. 4 図 No. 5 R L 556 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号
5.66 歳の男性. 歩行障害を主訴に受診した.20 年前, 胃癌で胃全摘術を受けた.1 年前から歩行時ふらつきを自覚するようになり,2 か月前から転倒することが多くなった. 神経学所見では四肢腱反射亢進 ( 左右差なし ), 片足立ち両側困難,Romberg 徴候陽性および両下肢末梢の触覚, 痛覚低下を認める. 頸髄 MRI T2 強調矢状断像 図 No. 6 とT2 強調軸位断像 図 No. 7 とを示す. この患者への治療として最も適切なのはどれか.1 つ選べ. (a) 葉酸 (b) ビタミンB12 (c) 血液浄化療法 (d) インターフェロンβ (e) ステロイドパルス療法 図 No. 6 問題 5 図 No. 7 R L 軸位断像 矢状断像 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号 557
6.29 歳の女性. 発熱, 多関節痛および労作時の息切れを主訴に来院した. 既往歴 :28 歳時に出産. 家族歴 : 特記すべきことはない. 現病歴 :2 週前から発熱と多関節痛とが出現した. 続いて労作時の息切れが出現したためかかりつけ医を受診した. 胸部 X 線写真で心拡大を認めた. 血液検査で抗核抗体陽性であったため紹介された. 心囊液貯留, 尿蛋白および潜血陽性, 抗 dsdna 抗体および抗 Sm 抗体高値であり, 全身性エリテマトーデスと診断した. 副腎皮質ステロイドの内服治療を開始し, 発熱, 関節痛, 胸部陰影および心胸郭比の改善を認めていたが, 経過中に急激な発熱と少量の血痰とが出現し, SpO2 の低下を認めた. この時の胸部単純 CT 図 No. 8 を示す. 現症 : 身長 159 cm, 体重 44 kg. 体温 38.3. 脈拍 116/ 分, 整. 血圧 90/62 mmhg.spo2 91% (room air). 心音と呼吸音とに異常はない. 腹部に異常所見はない. 検査所見 : 尿所見 ; 蛋白 1+, 潜血 2+, 顆粒円柱および赤血球円柱 +. 血液所見 ; 赤血球 338 万 / μl,hb 8.7 g/ dl,ht 28.0%, 白血球 13,500/μl( 好中球 75%, 単球 6%, リンパ球 19%), 血小板 21.5 万 /μl. 血液生化学所見 ; 総蛋白 8.1 g/ dl, アルブミン 3.6 g/ dl, 尿素窒素 23 mg/ dl, クレアチニン 0.6 mg/ dl,ast 13 IU/l,ALT 38 IU/l,LD 195 IU/l( 基準 119~229). 免疫血清学所見 ;CRP < 0.1 mg/ dl,β-d-グルカン陰性, 入院時の結核菌特異的全血インターフェロンγ 遊離測定法 IGRA 陰性. この時点で最も適切な治療はどれか.1 つ選べ. (a) 抗菌薬投与 (b) 抗真菌薬投与 (c) 血管拡張薬投与 (d) ガンシクロビル投与 (e) ステロイドパルス療法と血漿交換療法 問題 6 図 No. 8 R L 558 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号
7.28 歳の女性. 自宅で発熱と一過性の意識障害とがあり搬入された. 緊急入院の上, 検査を行ったところ間接ビリルビン高値,LD 高値, 破砕赤血球の出現を伴う溶血性貧血, 血小板減少および顕微鏡的血尿を認める.APTTとPTの延長はなく, 直接 Coombs 試験は陰性である. 頭部 CTに異常はない. 最初に行う治療はどれか.1 つ選べ. (a) 血小板輸血 (b) 赤血球輸血 (c) 血漿交換療法 (d) ステロイドパルス療法 (e) 免疫グロブリン大量療法 8.63 歳の男性.3 か月前からの全身倦怠感, 体動時の動悸および息切れを主訴に受診した. 手術の既往はない. 現症 : 脈拍 84/ 分, 整. 血圧 116/70 mmhg. 腹部は平坦で, 肝 脾を触知しない. 検査所見 : 血液所見 ; 赤血球 230 万 /μl,hb 8.4 g/ dl,ht 28%, 白血球 2,300/μl, 血小板 9.8 万 / μl. 血液生化学所見 ; 尿素窒素 20 mg/ dl, クレアチニン 0.8 mg/ dl, 総ビリルビン 2.1 mg/ dl, 直接ビリルビン 0.9 mg/ dl,ast 45 IU/l,ALT 20 IU/l,LD 940 IU/l( 基準 115~245). 免疫血清学所見 ; 直接 Coombs 試験陰性, 間接 Coombs 試験陰性, 抗内因子抗体陽性. まず行う治療として適切なのはどれか.1 つ選べ. (a) 赤血球輸血 (b) 血小板輸血 (c) ビタミンB12 筋注 (d) 大量 γ-グロブリン投与 (e) 副腎皮質ステロイド投与 9.72 歳の男性.4 日前からの発熱, 咳嗽, 呼吸困難および水様性下痢を主訴に受診した.3 日前にかかりつけ医を受診し, ペニシリン系薬を処方されたが, 症状が改善しない.7 日前に温泉に旅行した. 現症 : 意識は清明. 身長 175 cm, 体重 70 kg. 体温 38.5. 脈拍 80/ 分, 整. 血圧 100/72 mmhg. 呼吸数 26/ 分.SpO2 88%(room air). 検査所見 : 血液所見 ; 赤血球 456 万 /μl,hb 14.0 g/ dl,ht 39.7%, 白血球 11,600/μl( 好中球 84%, 好酸球 1%, 単球 6%, リンパ球 9%), 血小板 21.2 万 /μl. 血液生化学所見 ; 尿素窒素 30.6 mg/ dl, クレアチニン 1.1 mg/ dl,ast 53 IU/l,ALT 62 IU/l,LD 500 IU/l( 基準 115~245). CRP 26.4 mg/ dl. 胸部 X 線写真 図 No. 9 と胸部単純 CT 図 No. 10 とを示す. 診断に有用な喀痰の染色法はどれか.1 つ選べ. (a)gram 染色 (b)grocott 染色 (c)giménez 染色 (d)ziehl-neelsen 染色 (e) ヘマトキシリン エオジン H-E 染色 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号 559
問題 9 図 No. 9 図 No. 10 R L 560 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号
問題 10~11 次の文を読み,10~11 の問いに答えよ. 38 歳の女性. 筋痛を主訴に来院した. 現病歴 : 半年前から両上肢の筋痛が出現し,1 週前から全身に筋痛が広がったため受診した. 筋痛による日常生活の制限はない. 筋痛は運動後に増悪する. 昨年の健康診断で脂質異常症 ( 総コレステロール 270 mg/ dl, トリグリセリド 300 mg/ dl,hdlコレステロール 40 mg/ dl ) を指摘された. ROS Review of Systems : 発熱 (-), 全身倦怠感 +, 体重増加 ( 最近の 1 年間で約 10 kg), 悪心 (-), 嘔吐 (-), 息切れ (-), 下痢 (-), 便秘 +, 関節痛 (-), 皮疹 (-). 現症 : 意識は清明. 身長 158 cm, 体重 70 kg, 腹囲 90 cm. 体温 36.1. 脈拍 52/ 分, 整. 血圧 110/78 mmhg. 呼吸数 16/ 分. 頭髪にびまん性の脱毛を認める. 眉毛外側が消失している. 結膜に貧血と黄染とは認めない. 頸静脈の怒張はない. 心音と呼吸音とに異常はない. 腹部は軟で, 肝 脾を触知しない. 徒手筋力試験では筋力低下はなく, 筋の把握痛や感覚障害も認めない. 下肢に浮腫を認める. 10. この患者でみられる可能性が高い身体所見はどれか.1 つ選べ. (a) 中心性肥満 (b)trousseau 徴候 (c) 触診での明確な圧痛点 (d) アキレス腱反射弛緩相遅延 (e) 把握性筋強直 grip myotonia 検査所見 : 尿所見 ; 蛋白 (-), 糖 (-), 潜血 (-). 血液所見 ; 赤血球 328 万 /μl,hb 10.9 g/ dl, Ht 34%, 白血球 7,400/μl, 血小板 18 万 /μl. 血液生化学所見 ; 空腹時血糖 108 mg/ dl, 総蛋白 8.0 g/ dl, アルブミン 3.9 g/ dl, 尿素窒素 19 mg/ dl, クレアチニン 0.9 mg/ dl,ast 52 IU/l, ALT 30 IU/l,LD 308 IU/l( 基準 115~245),ALP 258 IU/l( 基準 115~359),γ-GTP 40 IU/ l( 基準 8~50),CK 345 IU/l( 基準 40~200).CRP 0.1 mg/ dl. 11. 診断のスクリーニングに最も有用な血液検査項目はどれか.1 つ選べ. (a)ca (b)hcg (c)tsh (d)acth (e)hba1c 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号 561
12. 80 歳の女性. 肺炎で入院した. 第 3 世代セフェム系薬の点滴を 10 日間受けた後,7~8 行 / 日の下痢が出現した. 便からのClostridium difficile CD 毒素検査は陽性である. 対応として適切なのはどれか.1 つ選べ. (a) 職員の除菌を行う. (b) メトロニダゾールの内服を開始する. (c) バンコマイシンの点滴治療に変更する. (d)cd 毒素が陰性化するまで患者を隔離する. (e) 感染対策としてアルコールによる手指衛生が有効である. 13. 結核菌特異的全血インターフェロンγ 遊離試験 IGRA について正しいのはどれか.1 つ選べ. (a) 潜在性結核感染診断に有効である. (b)bcg 接種後の偽陽性が問題となる. (c) 陰性であれば結核感染は否定できる. (d) 結核患者との接触後 7 日以内に陽性になる. (e) ツベルクリン皮膚反応 TST に比べて感度が低い. 14. 28 歳の女性. てんかんで経過観察中である. 自宅にて全般性強直間代発作が出現した. 家族が行う対応として適切なのはどれか.1 つ選べ. (a) 痙攣を止めようと四肢を抑え込んだ. (b) 患者が持っていた薬を口から流し込んだ. (c) 叩きながら激しく揺って起こそうとした. (d) 舌を噛まぬよう硬めの物を口に押し込んだ. (e) 手足が当たったり, 物が倒れたりしないように周辺の安全に注意した. 15. Drug-induced hypersensitivity syndrome DIHS: 薬剤性過敏症症候群 について誤っているのはどれか.1 つ選べ. (a) 多彩な臓器障害をきたす. (b) 異型リンパ球の出現を認める. (c) 薬物を中止すれば速やかに軽快する. (d)hhv-6 の再活性化が病態に関わっている. (e) 癒合傾向のある紅斑などの特徴的な皮疹がみられる. 16. 薬剤溶出冠動脈ステント留置術について正しいのはどれか.1 つ選べ. (a) 急性心筋梗塞には禁忌である. (b) ワルファリン服用が必要である. (c) バルーンによる拡張は不要である. (d) 冠動脈に狭窄があれば適応となる. (e) チエノピリジン系抗血小板薬服用が必要である. 562 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号
17. 20 歳の女性. 前日から発熱が出現し, 労作時呼吸困難を伴うようになったため受診した. 既往歴 : 小児喘息. 喫煙歴 :10 日前, 大学のサークルに参加した際に友人に勧められて喫煙を開始した. 現症 : 意識は清明. 体温 37.8. 脈拍 80/ 分, 整. 血圧 124/74 mmhg. 呼吸数 20/ 分. 心音と呼吸音とに異常はない. 腹部は平坦で, 肝 脾を触知しない. 四肢に異常はない. 検査所見 : 血液所見 ; 赤血球 465 万 /μl,hb 14.3 g/ dl,ht 39.8%, 白血球 7,600/μl( 好中球 72%, 好酸球 2%, 単球 4%, リンパ球 22%), 血小板 24 万 /μl. 血液生化学所見 ; 総蛋白 7.4 g/ dl, 尿素窒素 14 mg/ dl, クレアチニン 0.7 mg/ dl,ast 22 IU/l,ALT 18 IU/l,LD 238 IU/l( 基準 115~245).CRP 1.8 mg/ dl. 気管支肺胞洗浄液 BALF 所見; 好中球 1%, 好酸球 42%, マクロファージ 47%, リンパ球 10%. 胸部 X 線写真 図 No. 11 を示す. 考えられるのはどれか.1 つ選べ. (a) 心原性肺水腫 (b) 気管支喘息発作 (c) 剝離性間質性肺炎 (d) 急性好酸球性肺炎 (e) 慢性閉塞性肺疾患 COPD 問題 17 図 No. 11 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号 563
18. 62 歳の女性. 不穏のため搬入された. 現病歴 :3 か月前から落ち着きのなさ, もの忘れ及び易怒性が出現し, 徐々に不自然な会話や幻覚が認められるようになっていた. かかりつけ医で血液と脳脊髄液検査とを受けたが異常はなく, 自宅で様子をみていたが改善しないため紹介された. 現症 : 身体にミオクローヌスを認める. 経過 : 次第にミオクローヌスは消失し, 意識障害が持続するようになった. 脳波所見 図 No. 12 を示す. 考えられるのはどれか.1 つ選べ. (a)alzheimer 病 (b) 血管性認知症 (c) 前頭側頭型認知症 (d)lewy 小体型認知症 (e)creutzfeldt-jakob 病 問題 18 図 No. 12 Fp1 A1 Fp2 A2 F3 A1 F4 A2 C3 A1 C4 A2 P3 A1 P4 A2 O1 A1 O2 A2 F7 A1 F8 A2 T3 A1 T4 A2 T5 A1 T6 A2 Cz A1 ECG 1 s 75 μv 19. 消化管に対する鎮痙作用があるのはどれか.1 つ選べ. (a) ミダゾラム (b) モサプリド (c) ロペラミド (d) ドンペリドン (e) エリスロマイシン (f) メトクロプラミド 564 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号
20. 75 歳の女性. 幽門部狭窄の精査を目的に入院していたところ急な発熱を認めた. 現病歴 :2 か月前からの心窩部不快感と食欲低下のため入院した. 中心静脈カテーテルを右内頸静脈に留置し, 栄養管理および精査を進めていた. 入院後 15 日目に突然 38 を超える発熱を認めた. 発熱以外の臨床症状に明らかな変化はない. 現症 : 意識は清明. 身長 152 cm, 体重 51 kg. 体温 38.4. 脈拍 104/ 分, 整. 血圧 132/64 mmhg. 呼吸数 20/ 分. 眼瞼結膜に貧血はなく, 眼球結膜に黄疸はない. 心音と呼吸音とに異常はない. 腹部は平坦, 軟で, 圧痛はない. 腸蠕動音に異常はない. 肝 脾を触知しない. 肋骨脊柱角 CVA 叩打痛はない. 中心静脈カテーテル挿入部の皮膚に異常はない. 検査所見 : 尿所見 ; 蛋白 (-), 糖 (-), 潜血 (-). 沈渣 ; 赤血球 1~4/1 視野, 白血球 1~4/1 視野. 血液所見 ; 赤血球 373 万 /μl,hb 10.5 g/ dl, 白血球 9,600/μl, 血小板 20.8 万 /μl. 血液生化学所見 ; 総蛋白 5.8 g/ dl, 尿素窒素 16 mg/ dl, クレアチニン 0.8 mg/ dl,ast 24 IU/l,ALT 23 IU/l,LD 174 IU/l( 基準 115~245),ALP 249 IU/l( 基準 115~359),γ-GTP 25 IU/l( 基準 30 以下 ),Na 138 meq/l,k 3.7 meq/l,cl 101 meq/l.crp 3.4 mg/ dl. 発熱時に採取した血液培養が翌日陽性となった. そのGram 染色標本 図 No. 13 を示す. 初期治療として最も適切な抗菌薬はどれか.1 つ選べ. (a) アミカシン (b) ピペラシリン (c) アズトレオナム (d) バンコマイシン (e) シプロフロキサシン 問題 20 図 No. 13 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号 565
21. 65 歳の男性.2 週前から腹部膨満感が出現し,2 週間で 9 kgの体重増加を認めたため受診した. 現症 : 意識は清明. 身長 159 cm, 体重 67 kg. 腹部は膨隆し, 下腿に軽度の浮腫を認める. 検査所見 : 血液所見 ; 赤血球 348 万 /μl,hb 11.3 g/ dl,ht 32%, 白血球 3,600/μl, 血小板 6.9 万 / μl,pt 54%( 基準 70~140). 血液生化学所見 ; 総蛋白 6.2 g/ dl, アルブミン 2.7 g/ dl, アンモニア 29 μg/ dl ( 基準 30~80), 総ビリルビン 1.3 mg/ dl, 直接ビリルビン 0.7 mg/ dl,ast 31 IU/l,ALT 26 IU/l,γ-GTP 51 IU/l( 基準 70 以下 ),Na 139 meq/l,k 4.1 meq/l,cl 101 meq/l. 腹部超音波像 図 No. 14 を示す. 最も適切な治療はどれか.1 つ選べ. (a) 水分摂取制限 (b) 食塩摂取制限 (c) ラクツロース投与 (d) インターフェロン投与 (e) 分岐鎖アミノ酸製剤投与 問題 21 図 No. 14 566 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号
22. 73 歳の男性.1 週前から軽度の動悸が出現し, 持続するため受診した. 軽度の僧帽弁狭窄症のため外来で経過観察中であり, 高血圧, 糖尿病および脂質異常症等は合併していない. 前回受診時の 3 か月前までは特に自覚症状は認めず, 心電図上も洞調律であり, 血液所見でも特に異常所見は認めなかった. 12 誘導心電図 図 No. 15 を示す. 治療薬として最も適切なのはどれか.1 つ選べ. (a) アスピリン (b) ワルファリン (c) ダビガトラン (d) クロピドグレル (e) シロスタゾール 問題 22 図 No. 15 Ⅰ Ⅱ Ⅲ avr avl avf V1 V2 V3 V4 V5 V6 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号 567
23. 網赤血球が増加するのはどれか.1 つ選べ. (a) 鉄欠乏性貧血 (b) 葉酸欠乏性貧血 (c) 再生不良性貧血 (d) 慢性炎症に伴う貧血 (e) 急性出血による貧血 24. 体重減少をきたす疾患はどれか.1 つ選べ. (a) 褐色細胞腫 (b) インスリノーマ (c)cushing 症候群 (d) 甲状腺機能低下症 (e) 多囊胞性卵巣症候群 PCOS 25. カンジダ血流感染症でコンサルテーションが勧められる診療科はどれか.1 つ選べ. (a) 眼科 (b) 耳鼻科 (c) 皮膚科 (d) 泌尿器科 (e) 消化器外科 26. スパイロメトリで測定できないのはどれか.1 つ選べ. (a) 呼気流速 (b) 肺活量 VC (c)1 秒率 FEV1% (d) 全肺気量 TLC (e) 最大吸気量 IC 27. 関節リウマチの疾患活動性評価に最も有用な血液検査項目はどれか.1 つ選べ. (a) 赤沈 (b) 血小板 (c) 血清 IgG (d) 血清補体価 (e) 抗 CCP 抗体価 568 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号
28. 28 歳の女性. 悪心, 嘔吐および労作時の動悸を主訴に受診した. 現症 : 脈拍 92/ 分, 整. 甲状腺腫大を認めない. 検査所見 : ホルモン検査所見 ; 甲状腺刺激ホルモン TSH 0.01 μu/ ml ( 基準 0.34~4.50), 遊離トリヨードサイロニン FT3 5.43 pg/ ml ( 基準 2.30~3.99), 遊離サイロキシン FT4 2.38 ng/ dl ( 基準 0.97~1.69),TSH 受容体抗体 <1.0 IU/ ml ( 基準 2.0 未満 ), ヒト絨毛性ゴナドトロピン hcg 141,700 miu/ ml ( 基準 0.7 以下 ). 治療として適切なのはどれか.1 つ選べ. (a) 安静にて経過観察 (b) 抗甲状腺薬内服 (c) プレドニゾロン内服 (d) 放射性ヨード内服 (e) 甲状腺亜全摘術 29. 非弁膜症性心房細動に伴う心原性脳塞栓発症リスク因子に含まれないのはどれか.1 つ選べ. (a) 高齢 (b) 心不全 (c) 糖尿病 (d) 高血圧症 (e) 脂質異常症 (f) 脳梗塞の既往 問題 30~32 次の文を読み,30~32 の問いに答えよ. 16 歳の女子. 口渇, 多尿, 悪心および四肢の脱力を主訴に来院した. 現病歴 :2 か月前から口渇, 多尿および悪心が出現し,1 週前の剣道部での練習中に竹刀を握りにくいことに気付き, さらに走れなくなったため受診した. 嚥下障害, 複視, 構音障害および四肢の痛みはない. 既往歴 家族歴 生活歴 : 特記すべきことはない. 服薬歴 : ない. 現症 : 意識は清明. 身長 163 cm, 体重 48 kg. 体温 36.5. 脈拍 76/ 分, 整. 血圧 144/88 mmhg. 呼吸数 12/ 分. 貧血と黄疸とは認めない. 心音と呼吸音とに異常はない. 腹部は平坦, 軟で, 圧痛はなく, 肝 脾を触知しない. 下肢に浮腫は認めない. 四肢に筋萎縮はないが, 徒手筋力テストは両上下肢の近位筋, 遠位筋ともに 4-である. 腱反射に異常はない.Babinski 徴候は陰性. 検査所見 : 尿所見 ; 蛋白 (-), 糖 (-), 潜血 (-). 血液所見 ; 赤血球 356 万 /μl,hb 11.1 g/ dl, Ht 33.1%, 白血球 4,900/μl, 血小板 23 万 /μl. 血液生化学所見 ; 空腹時血糖 99 mg/ dl, 総蛋白 7.0 g/ dl, アルブミン 3.9 g/ dl, 尿素窒素 16 mg/ dl, クレアチニン 0.7 mg/ dl, 総ビリルビン 1.1 mg/ dl,ast 21 IU/l,ALT 19 IU/l,LD 167 IU/l( 基準 176~353),ALP 4,443 IU/l ( 基準 115~359),γ-GTP 39 IU/l( 基準 8~50),CK 166 IU/l( 基準 40~200),Na 139 meq/ l,k 4.0 meq/l,cl 103 meq/l.crp 0.1 mg/ dl. 12 誘導心電図 図 No. 16 を示す. 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号 569
30. 治療介入せずに経過観察した場合に生じる症状はどれか.1 つ選べ. (a) 意識障害 (b) 視力障害 (c) 末梢神経障害 (d) 脱力の日内変動 (e) 骨盤神経叢の障害 31. 脱力の原因として最も考えられるのはどれか.1 つ選べ. (a) 脱髄 (b) 電解質異常 (c) 頭蓋内圧亢進 (d) 性ホルモン異常 (e) 神経筋接合部異常 32. 診断に有用な検査はどれか.1 つ選べ. (a) 胸部 CT (b) 頭部 MRI (c) 脳脊髄液 (d) 尿妊娠反応 (e) 甲状腺超音波 問題 30 ~ 32 図 No. 16 V1 Ⅰ V2 Ⅱ V3 Ⅲ V4 avr V5 avl V6 avf 570 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号
33. 63 歳の男性. 歩行時の左ふくらはぎの張りと趾先の冷感とを訴えて受診した.20 年前からの糖尿病でインスリン治療を受けていた. 喫煙歴 :30 本 / 日,40 年間. 現症 : 意識は清明. 脈拍 68/ 分, 整. 血圧 132/74 mmhg.spo2 98%(room air). 心雑音を聴取しない. 検査所見 : 血液所見 ;Hb 14.8 g/ dl, 白血球 7,100/μl, 血小板 15 万 /μl. 血液生化学所見 ; 空腹時血糖 130 mg/ dl,hba1c 9.2%, 尿素窒素 23.4 mg/ dl, クレアチニン 1.3 mg/ dl, 尿酸 7.3 mg/ dl, 総コレステロール 223 mg/ dl, トリグリセリド 168 mg/ dl,hdlコレステロール 32 mg/ dl,ast 32 IU/l,ALT 35 IU/l,CK 123 IU/l( 基準 57~197). 左下腿動脈造影像 図 No. 17 を示す. 浅大腿動脈と総腸骨動脈とに狭窄は認めない. 治療法として適切でないのはどれか.1 つ選べ. (a) 禁煙 (b) ステント留置 (c) クロピドグレル服用 (d) シロスタゾール服用 (e) 心血管リハビリテーション 問題 33 図 No. 17 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号 571
34. 74 歳の男性. 血清クレアチニンの上昇があり, かかりつけ医から紹介され受診した. 半年前から腰痛を自覚し, かかりつけ医で湿布による加療を受けていた. 現症 : 身長 163 cm, 体重 60 kg. 体温 36.2. 脈拍 76/ 分, 整. 血圧 142/90 mmhg. 呼吸数 18/ 分. 心音と呼吸音とに異常はない. 脊椎に叩打痛を認める. 両下腿に浮腫を認める. 検査所見 : 尿所見 ; 蛋白 2+, 糖 (-), 潜血 (-). 血液所見 ; 赤血球 355 万 /μl,hb 10.3 g/ dl, Ht 31%, 白血球 7,500/μl( 分葉核好中球 68%, 好酸球 3%, 好塩基球 1%, 単球 8%, リンパ球 20%), 血小板 11.4 万 /μl. 血液生化学所見 ; 総蛋白 10.8 g/ dl, アルブミン 3.4 g/ dl, 尿素窒素 35 mg/ dl, クレアチニン 2.5 mg/ dl,na 133 meq/l,k 5.2 meq/l,cl 98 meq/l,ca 11.2 mg/ dl,p 4.3 mg/ dl.crp 1.2 mg/ dl. この疾患の原因検索に最も有用なのはどれか.1 つ選べ. (a) 腹部造影 CT (b) 血清免疫電気泳動 (c) 67 Gaシンチグラフィ (d) 血清ビタミンD 測定 (e) 血清副甲状腺ホルモン PTH 測定 35. 成人 T 細胞白血病 / リンパ腫について正しいのはどれか.1 つ選べ. (a) 皮膚症状は稀である. (b) 高率に治癒が得られる. (c) 日和見感染を起こしやすい. (d) 腫瘍細胞はCD20 陽性である. (e) 原因ウイルスキャリアの過半数が発症する. 36. 急性胆管炎について正しいのはどれか.1 つ選べ. (a) 開腹手術が第 1 選択である. (b) 胆管ステント閉塞は原因にならない. (c)charcot 3 徴とは黄疸, 発熱および下痢である. (d) 急性閉塞性化膿性胆管炎では緊急胆道ドレナージが有効である. (e) 急性閉塞性化膿性胆管炎ではReynolds 5 徴を満たすことが多い. 37. ビタミン欠乏と病態の組合せで正しいのはどれか.1 つ選べ. (a)b1 サイアミン 亜急性連合性脊髄変性症 (b)b2 リボフラビン 壊血病 (c)b3 ナイアシン ペラグラ (d)b6 ピリドキシン 視神経炎 (e)b12 シアノコバラミン 低ホモシステイン血症 572 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号
38. 45 歳の女性. 健康診断で頸部リンパ節腫大と胸部 X 線異常とを指摘され受診した. 胸部 X 線写真 図 No. 18 と気管支内視鏡下肺生検 H-E 染色標本 図 No. 19 とを示す. この患者でみられる気管支肺胞洗浄液 BALF 所見はどれか.2 つ選べ. (a)cd4/8 比の増加 (b) 好酸球比率の増加 (c) 好中球比率の増加 (d) リンパ球比率の増加 (e) マクロファージ比率の増加 問題 38 図 No. 18 図 No. 19 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号 573
39. 40 歳の男性. 就寝後に起坐呼吸を認めたため受診した.2 週前から労作時呼吸困難を自覚するようになり, 症状は徐々に増悪していた. 下腿浮腫と腹部膨満感とを伴うようになった.10 年前から高血圧を指摘されていたが放置していた. 現症 : 身長 181 cm, 体重 95 kg. 脈拍 106/ 分, 整. 血圧 216/140 mmhg. 検査所見 : ホルモン検査所見 ;BNP 812 pg/ ml ( 基準 18.4 以下 ). 心エコー図の拡張期像 図 No. 20, 収縮期像 図 No. 21 およびMモード像 図 No. 22 を示す. この患者の予後を改善する可能性の高い薬物はどれか.2 つ選べ. (a) 利尿薬 (b)β 遮断薬 (c) 経口強心薬 (d) カルシウム拮抗薬 (e) アンジオテンシン変換酵素 ACE 阻害薬 図 No. 20 問題 39 図 No. 21 拡張期像 図 No. 22 収縮期像 M モード像 574 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号
40. アニオンギャップが増加するのはどれか.2 つ選べ. (a) 下痢 (b) ケトアシドーシス (c) 乳酸アシドーシス (d)Ⅰ 型尿細管性アシドーシス (e)Ⅱ 型尿細管性アシドーシス 41. 62 歳の男性. 自宅で吐血し搬入された. 大量飲酒家で,20 年前から肝機能障害を指摘されている. 上部消化管内視鏡像 図 No. 23 を示す. 治療として適切でないのはどれか.2 つ選べ. (a) 経動脈的塞栓術 (b) 内視鏡的クリッピング (c) アルゴンプラズマ凝固法 (d) 内視鏡的食道静脈瘤結紮術 (e) 内視鏡的食道静脈瘤硬化療法 問題 41 図 No. 23 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号 575
42. 52 歳の女性. 自動車を運転している際に支障があり受診した. 神経学的に四肢や頸部の筋力低 下は認めない. 正中神経の運動神経 3 Hz 連続刺激で得た所見 図 No. 24 を示す. 患者の主訴として考えられるのはどれか.2 つ選べ. (a) 両目ともだんだん霞んできた (b) センターラインが二重に見えた (c) 対向車線を走る車が見えなかった (d) 右目の視野が数分間真っ暗になった (e) 長時間運転していると瞼が重くなってきた 問題 42 図 No. 24 5 msec 576 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号
43. 40 歳の女性. かかりつけ医で虫垂炎の手術を受けた際に, 腹部 CTにて膵臓に異常を指摘され受診した. 現症 : 意識は清明. 体温 36.0. 脈拍 84/ 分, 整. 血圧 124/72 mmhg.spo2 98%(room air). 腹部は平坦, 軟である. 圧痛と反跳痛とは認めない. 腫瘤は触知しない. 検査所見 : 血液所見 ; 白血球 5,100/μl. 血液生化学所見 ; 総ビリルビン 1.3 mg/ dl,ast 27 IU/ l,alt 38 IU/l,γ-GTP 37 IU/l( 基準 30 以下 ), アミラーゼ AMY 62 IU/l( 基準 40~ 113). 免疫血清学所見 ;CA19-9 2 U/ ml未満 ( 基準 37 以下 ). 十二指腸内視鏡像 図 No. 25 を示す. この疾患について正しいのはどれか.2 つ選べ. (a) 若年女性に多い. (b) 多臓器癌の合併が多い. (c) 膵管内に膵石を認めることが多い. (d) 膵内に漿液性の囊胞を認めることが多い. (e) 主膵管内に壁在結節を認めた場合には手術適応である. 問題 43 図 No. 25 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号 577
44. 咳喘息について誤っているのはどれか.2 つ選べ. (a) 喘鳴を聴取する. (b) 好酸球性気道炎症を有する. (c) 気管支拡張薬が有効である. (d)90% の症例が典型的喘息に移行する. (e) 吸入副腎皮質ステロイドが有効である. 45. 糖尿病患者の妊娠前管理で中止する薬物はどれか.2 つ選べ. (a) 葉酸 (b) 速効型インスリン (c) スルホニル尿素薬 (d) 甲状腺ホルモン薬 (e) アンジオテンシン変換酵素 ACE 阻害薬 46. 24 歳の男性. 尿量減少と浮腫とを主訴に受診した.7 日前から 38 台の発熱と喉の痛みとがあり, かかりつけ医を受診した. 急性扁桃炎の診断でジクロフェナク 75 mg/ 日とアンピシリン 750 mg/ 日との投与を受けた. 内服後 5 日目に尿量の減少と下肢の浮腫とが出現した. 現症 : 身長 173 cm, 体重 64 kg. 体温 37.5. 脈拍 80/ 分, 整. 血圧 112/60 mmhg. 呼吸数 18/ 分. 扁桃の腫大と白苔とを認める. 心音と呼吸音とに異常はない. 両下腿に浮腫はない. 検査所見 : 尿所見 ; 蛋白 +, 糖 (-), 潜血 (-). 沈渣 ; 白血球 1~5/1 視野. 尿中 Na 72 meq/l, 尿中クレアチニン 75 mg/ dl. 血液所見 ; 赤血球 420 万 /μl,hb 13.3 g/ dl,ht 34%, 白血球 9,500/μl( 分葉核好中球 81%, 好酸球 2%, 好塩基球 1%, 単球 7%, リンパ球 9%), 血小板 18.4 万 /μl. 血液生化学所見 ; 総蛋白 6.8 g/ dl, アルブミン 3.2 g/ dl, 尿素窒素 28 mg/ dl, クレアチニン 1.9 mg/ dl,na 134 meq/l,k 5.3 meq/l,cl 98 meq/l,ca 8.1 mg/ dl,p 4.2 mg/ dl.crp 2.5 mg/ dl. この患者の病態として考えられるのはどれか.2 つ選べ. (a) 急性腎盂腎炎 (b) 急性尿細管壊死 (c) 急性糸球体腎炎 (d) 急速進行性糸球体腎炎 (e) 急性薬剤性間質性腎炎 578 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号
47. 54 歳の男性.1 週前から微熱と倦怠感とがあり,3 日前から黄疸が出現したため受診した.3 か月前に受けた人間ドックでは異常を指摘されなかった.1 年以内に海外渡航歴と薬物服薬歴とはない. 飲酒は付き合い程度である. 現症 : 意識は清明. 体温 37.2. 眼球結膜と全身皮膚とに黄染を認める. 検査所見 : 血液所見 ; 赤血球 386 万 /μl,hb 13.0 g/ dl, 白血球 4,800/μl, 血小板 21.9 万 /μl,pt 86%( 基準 70~140). 血液生化学所見 ; アルブミン 4.3 g/ dl, 総ビリルビン 3.1 mg/ dl, 直接ビリルビン 2.2 mg/ dl,ast 2,693 IU/l,ALT 3,459 IU/l,ALP 1,556 IU/l( 基準 104~338), γ-gtp 526 IU/l( 基準 16~70). 免疫血清学所見 ;CRP 0.45 mg/ dl,igm-ha 抗体陰性,HBs 抗原陰性,IgM-HBc 抗体陰性,HCV 抗体陰性,HCV RNA 検出せず,IgA-HEV 抗体陽性, 抗核抗体陰性, 抗ミトコンドリア抗体陰性. この患者への対応として適切なのはどれか.2 つ選べ. (a) 個室に隔離する. (b) 飲食歴を聴取する. (c) 保健所に届け出る. (d) 核酸アナログ製剤を投与する. (e) 慢性化する可能性は約 10% と説明する. 48. 62 歳の男性. 発熱, 咳嗽および呼吸困難をきたし受診した. 一昨年は 10 月, 昨年は 8 月に微熱と咳嗽とがみられ, 夏風邪と診断された. 今年は 6 月中旬から発熱, 咳嗽および呼吸困難が長引いた. 胸部 X 線写真で両側びまん性に粒状影, すりガラス様陰影を認める. この疾患の検査所見で正しいのはどれか.2 つ選べ. (a)β-d-グルカンが上昇する. (b) 抗 ARS 抗体が検出される. (c) 経気管支肺生検でMasson 体を認める. (d) 気管支肺胞洗浄液でCD4/CD8 比は低下する. (e) 患者の自宅からMicropolyspora faeniが検出される. 49. 64 歳の男性. 会社の健康診断で赤血球増多を指摘され受診した. 検査所見 : 血液所見 ; 赤血球 740 万 /μl,hb 19.2 g/ dl,ht 60.2%, 白血球 12,500/μl( 桿状核好中球 25%, 分葉核好中球 50%, 好酸球 2%, 単球 8%, リンパ球 15%), 血小板 47.6 万 /μl. 骨髄所見 : 有核細胞数 32.5 万 /μl,3 系統の血球の増加を認め, 明らかな異型はない. 芽球の増加はない. 染色体検査結果 :46,XY[20/20]. 診断と治療法との選択に特に必要な臨床情報はどれか.2 つ選べ. (a) 飲酒歴 (b) 喫煙歴 (c) 胃癌の既往 (d) ペット飼育歴 (e) 血栓症の既往 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号 579
50. 45 歳の男性. 会社の健康診断で尿異常を指摘され受診した. 肉眼的血尿の既往がある. 現症 : 身長 170 cm, 体重 72 kg. 脈拍 72/ 分, 整. 血圧 152/90 mmhg. 肺にラ音を聴取しない. 腹部に左右腎臓を触知する. 下腿に浮腫はない. 検査所見 : 尿所見 ; 蛋白 +, 糖 (-), 潜血 (-). 血液所見 ; 赤血球 354 万 /μl,hb 11.5 g/ dl,ht 34.1%, 白血球 8,200/μl, 血小板 18.5 万 /μl. 血液生化学所見 ; 尿素窒素 23 mg/ dl, クレアチニン 1.6 mg/ dl,na 141 meq/l,k 4.3 meq/l,cl 105 meq/l. 腎臓超音波像 図 No. 26 を示す. この疾患に合併するのはどれか.2 つ選べ. (a) 難聴 (b) 肝硬変 (c) 脳動脈瘤 (d) 大腸憩室 (e) 被角血管腫 問題 50 図 No. 26 580 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号
51. 74 歳の男性. 間歇性跛行を主訴に受診した.50 歳から糖尿病と脂質異常症とで治療中である. 70 歳時に脳梗塞の既往がある.100 mの歩行で左下腿に痛みが出現し, 休憩すると改善する. 腰の前屈姿勢で症状は改善する. 現症 : 身長 159 cm, 体重 64 kg. 脈拍 72/ 分, 整. 血圧 156/64 mmhg. 心音と呼吸音とに異常はない. 腹部はやや膨隆, 軟で, 肝 脾を触知しない. 両側のアキレス腱反射は消失している. 左側の後脛骨動脈を触知しない. 検査所見 : 尿所見 ; 蛋白 3+. 血液生化学所見 ; 空腹時血糖 166 mg/ dl,hba1c 9.5%, 尿素窒素 24 mg/ dl, クレアチニン 1.6 mg/ dl, 総コレステロール 268 mg/ dl, トリグリセリド 220 mg/ dl,hdlコレステロール 50 mg/ dl. 診断に必要な検査はどれか.2 つ選べ. (a) 腰椎 MRI (b) 頸動脈超音波 (c) 末梢神経伝導速度 (d) アキレス腱軟線撮影 (e) 足関節上腕血圧比 ABI 52. 急速進行性糸球体腎炎を起こしやすい疾患はどれか.2 つ選べ. (a)iga 腎症 (b)igg4 関連腎臓病 (c)anca 関連血管炎 (d) 感染症後糸球体腎炎 (e) 抗糸球体基底膜抗体病 Goodpasture 症候群 53. 高炭酸ガス血症の症候でないのはどれか.2 つ選べ. (a) 頭痛 (b) 徐脈 (c) 高血圧 (d) 意識障害 (e) チアノーゼ 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号 581
正解表 問題 No. 正解記号問題 No. 正解記号 1 b 28 a 2 e 29 e 3 d 30 a 4 a 31 b 5 b 32 e 6 e 33 b 7 c 34 b 8 c 35 c 9 c 36 d 10 d 37 c 11 c 38 a,d 12 b 39 b,e 13 a 40 b,c 14 e 41 a,c 15 c 42 b,e 16 e 43 b,e 17 d 44 a,d 18 e 45 c,e 19 c 46 b,e 20 d 47 b,c 21 b 48 c,d 22 b 49 b,e 23 e 50 c,d 24 a 51 a,e 25 a 52 c,e 26 d 53 b,e 27 a 582 日本内科学会雑誌 105 巻 3 号