自立活動学習指導案 1 単元名なかよくゲームをしよう ~ ソーシャルスキルトレーニングを通して ~ 2 単元について (1) 単元観本単元は, 特別支援学校学習指導要領第 7 章 自立活動 を受けて設定した 目標個々の児童又は生徒が自立を目指し, 障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善 克服するために必要な知識, 技能, 態度及び習慣を養い, もって心身の調和的発達の基盤を培う 内容 3 人間関係の形成 (1) 他者とのかかわりの基礎に関すること (2) 他者の意図や感情の理解に関すること (3) 自己の理解と行動の調整に関すること 6 コミュニケーション (2) 言語の受容と表出に関すること (5) 状況に応じたコミュニケーションに関すること 本単元では, 話す 聞く 見る 協力 個別 にわけてスキルの習得を目指している その中でも, 在籍している児童は, 話す 聞く 協力 を重点的に行っている 言葉でわかりやすく説明したり, 相手の立場になって考えたりする経験を積むことを目指している また, 勝ち負けにこだわらないようになるために, 小さな勝負をたくさん積むことで負けても次があることを体験させ, 失敗を受け止めることができるようにしている さらに, ルールを守ることでゲームが楽しくなることも体験できるようにしている これまで 聞く力を伸ばすドリル スリーヒントクイズ いろいろビンゴ 人間コンベア などのソーシャルスキルトレーニングを行ってきた さらに, はてなボックス 変身ゲーム ブラインドウォーク 等のエクササイズを行い, 相手に分かるように言葉で説明したり, 相手に合わせたりすることができることを目指す ソーシャルスキルとは, 社会生活や対人関係を営んでいくために, 必要とされる技能 ( 参考 実践ソーシャルスキルマニュアル 明治図書 ) とされている それらの技能が身に付いていない, または知らないということが友達関係や集団生活でのトラブルの原因の一つと考えられる そこで, 具体的な方法を身に付けたり, 体験したりする場を学習の場面で意図的に設定し, 学校生活の中でその力を般化していけるように支援していくことがソーシャルスキルトレーニングである 般化 : 時, 場所, 人が変わってもいつでもできるようにすること (2) 児童の実態本校の自閉症 情緒障害特別支援学級では, 週に 1 時間, 自立活動 を設け, ソーシャルスキルトレーニングに取り組んできた 学級の児童には, 文字や数を扱う能力に大きな差が見られる プリント等を活用した机上での学習では,45 分間取り組むことが難しい児童もいる 得意なこと, 興味を持っていること, 社会経験もそれぞれである 学校生活から全体的に人と関わるのは嫌ではないが, 言動の表現方法が適切でなく, 誤解を招きやすいなどの様子が見られる 友達に対しては, 自分の興味のある内容だけを会話にする, 誰が言われているか分からない, 言葉どおりに受け取ってしまったり, ふざけていてもほどほどがわからず, 相手を怒らせてしまったりしてトラブルになる, 1
といった課題が見られた 相手の様子を見て対応すること, 相手にわかるように話をすることが苦手である 自分の思いや状況を言葉で伝えることができずに, 怒ったり, イライラしたり, あきらめたりしてしまうことがある イライラして活動に参加できないこともある 学校生活の中で, これまでけんかをする場面が多かったが, 昨年からトラブルが減ってきている 穏やかに過ごせることが増え, 学級でも友達と仲良くブロック等で遊ぶ姿も見られるようになってきた これまでのソーシャルスキルトレーニングの実施により, 正しく聞いたり, 聞いた言葉を総合的に考えて答えたりすることにより, 聞く 項目が伸びてきている また, 自分から困った時に質問をしたりすることができるようになってきている 勝負へのこだわりについても, 負けても泣いたり怒ったりすることが減ってきた イライラしても気持ちを切りかえる時間が短くなってきている さらに, ゲームのルールを守ることで楽しくゲームができる体験をしたところである (3) 指導観児童の実態から, 学習や様々な活動の場で, 学習面だけでなく, 人と関わる能力を育てることも心がけている そこで, ソーシャルスキルの獲得が大きな課題と考え, 通級を始めた頃から定期的にソーシャルスキルトレーニングに取り組むことにした 上記実態を踏まえ児童によって課題の量を変え, 課題が終わると リラックスタイム を設け, ブロック等静かに教室でできることを行っても良いこととしている 現在, 本学級の大きな目標は, 学習への意欲を高め集中できる時間を伸ばすことと考えている 自立活動では, 個々の特性を考え, 楽しくできそうなエクササイズをいくつか組み込み,45 分間活動が続くようにし充実感を味わえるようにしている 本単元では, 児童が最も苦手としている 相手の様子を見て対応すること と 相手にわかるように話を伝えること を重点的に行うことで, 相手の立場になって考える経験を積んだり, 言葉でわかりやすく説明したりすることを目指す その結果として友達との関わり方が変わり, トラブルが減るだろうと考える また, 友達に対して攻撃的あるいは否定的な言葉が多く, けんかに繋がることも多い そこで, 言われた人がうれしく感じる あったかことば を確認しておく さらに, 活動中に良かった言動を言葉でその都度称賛することで, 適した言動が強化されると考える 授業でできるようになったことを ふりかえりシート の記入で気づかせることで自己肯定感も上がると思われる 児童の実態から各自のめあてを自分で考えさせることで, エクササイズの目的からずれないようにする そして, 意図的に様々なエクササイズを体験させることで児童はルールを守ることのよさに気づき, 人と関わる力が伸びるであろう さらに学校生活全般で指導されることで, より生活力を伸ばしていけると考える また, 当日の児童の状態を見て, 意欲的に取り組むために内容を調整することがある 3 単元の目標 意欲的にゲームに取り組もうとする ( 関心 意欲 態度 ) ゲームの趣旨に沿った活動をしようとしている ( 思考 判断 ) 友達にわかりやすく伝えようとすることができる ( 技能 表現 ) 人とうまく関わる方法がわかる ( 知識 理解 ) 相手の立場に立つことができる 2
4 指導計画 (25 時間扱い本時 16/25) 項目学習活動評価の観点 ( ) 主な支援 ( ) 1 学期 時間 2 学期 時間 本時 6 / 3 学期 聞くエクササイズ きくきくドリル ( 聞き取る力を伸ばすトレーニング CD を聞いて質問に答える ) 話すエクササイズ スリーヒントクイズ (3つのヒントから答えを当てるゲーム 語彙を増やす 物事を総合的に考える力を伸ばす練習 ) 聞くエクササイズ いろいろビンゴ ( 決められたカテゴリーの中で言葉を考え, ビンゴを行う 語彙を増やす 相手のことを考える練習 ) 協力エクササイズ 人間コンベア ( 友達と協力して物をはさんで運ぶ スピードやタイミングなど相手に合わせたり, 友達と協力したりする練習 ) 協力エクササイズ 人間コンベア ( 友達と協力して物をはさんだり, 乗せたりして運ぶ スピードやタイミングを相手に合わせたり, 相手の状況に合わせて声をかけたりする練習 ) 協力エクササイズ エスパー ( テーマに合わせた5つの言葉を1 人が考え, 他の人が相談してその言葉を当てる 相手のことを考えたり, 一緒に相談したりする練習 ) 協力エクササイズ 気持ちを合わせよう ( むかで遊び ) (2 人の気持ちを合わせて むかで になっている板で一緒に歩く 相手にあわせることや協力することの練習 ) 話すエクササイズ はてなボックス ( 箱の中に入っている物を言葉で説明し, 相手が触りながら当てる 相手に伝わるようにことばで説明する練習 ) 見るエクササイズ 変身ゲーム ( 相手がつけたり, 外したりして変身したところを探す 相手をよく見たり, 困った時に相談したりする練習 ) 話すエクササイズ はてなボックス ( 箱の中に入っている物を相手に説明し, 相手が箱の中身を当てる 相 集中して聞くことができたか 順番に指名する 注意を引きつけてから音を流す 3 つのヒントをまとめて答えを考えることができたか 3 つのヒントを関連づけて考えられるように, 声をかける 語彙を増やすことができたか 友達の発表したものをみんなで共有することで, 単語を覚えられるようにする 友達に合わせて活動することができたか 合わせている行動や言葉を称賛し, 強化する 友達に合わせて活動することができたか 合わせている行動や言葉を称賛し, 強化する 相手の立場に立って考えることができたか 相手が書きそうな言葉を考えさせることで, 相手のことを考える経験をすることができる 相手に合わせて活動することができたか かけ声を考えるように声をかける 相手がわかるように言葉で説明することができたか わからない時には, 形 色 感触などを説明することを伝えておく 変わったところを見つけることができたか わからない時には, ヒントをもらえることを伝えることで落ち着いて学習に取り組めるようにする 相手がわかるように言葉で説明することができたか わからない時には, 形 色 感触な 3
5 時間 年間を通して 手がわかるように言葉で説明する練習 ) 協力エクササイズ ブラインドウォーク ( 目隠しをした人に腕や肩につかまってもらい, 一緒に歩きながら上手に誘導する 相手の立場になる練習 ) 協力エクササイズ リモコンロボット ( 目隠しをした人をリモコンで操作するように前 後ろ 右 左など言葉で上手に誘導する 相手の立場に立つ練習 ) 個別エクササイズ こんな時どうする? ( 様々な場面で 1 番良いと思われる言動を考える練習 ) 自己統制 自己統制 エクササイズ いろいろじゃんけん ( その日により 勝ったら勝ち 負けたら勝ち あいこが勝ち から選び, 教師対児童で実施する 負けを受け入れる練習 ) カードゲーム 坊主めくり ブタのしっぽ ことばづくり ( ルールを守ること 勝負で負けを受け入れることの練習 ) どを説明することを伝えておく 相手の立場に立って誘導することができたか 歩きやすい誘導の仕方を確認しておくことで実際に誘導する場面で困らないようにする 相手の立場に立って誘導することができたか 相手の右 左 前 後や誘導する言葉を確認しておくことで, 誘導する時に困らないようにする 場に応じた解決方法を考えることができたか 実際の生活で使える解決方法を一緒に考えることで, 解決策に気付くことができる 負けを受け入れることができたか 勝ったら喜ぶ, 負けたら拍手をする その時に負けても次のチャンスがあることを体験することで, 負けを受け入れることができる ルールを守って楽しくゲームをすることができたか ルールを守っている事を称賛し, 強化する 勝った人は喜び, 負けた人は拍手をすることで, 負けを受け入れることができるようにする 5 本時の指導 ( 本時 16/25) (1) 本時の目標 ルールを守ろうとしている ( 思考 判断 ) 相手に合わせて活動することができる (2) 展開 時配 2 全体への支援 ( ) 個人への支援 ( ) 評価 ( ) 学習活動と内容資料等 A 児 B 児 1 あいさつをする 気をつけ がそろったら, 礼をするように声をかける 上手にできたところを評価する 1 3 5 2 本時の流れを知る 3 今日のねらいを考える 4 自分のめあてを考える 目で見てわかるように黒板に掲示する なかよくゲームをしよう 〇めあてを考えられない時〇めあてが活動に適してのために選択肢を用意しいるか考えさせる ふりかえりシ 4
2 ルールを守る あったかことばを使う 負けを受け入れる 5 約束を確認する あったか言葉をおくる ルールを守る ておく 約束を黒板に板書する あったかことばを黒板に提示する ルールを守っていない時は, その都度注意をし, やり直しになることを伝えておく イライラするなど, 気持ちが落ちつかない時はクールダウンしてから参加することを伝えておく ート 掲示物 やくそく あったか言葉 8 5 7 6 エスパー を楽しもう 1 ルールの確認をする 2 ヒントをもらう 3 テーマに合った言葉を 5 つ,2 人で相談して当てる 4 教師と児童のチームの対抗戦にする 7 気持ちをあわせ よう ( むかで遊び ) をしよう 1 ルールや注意点を確認する 2 1 回目を行う 3 前後を交代して 2 回目を行う 8 トランプ ぶたのしっぽ を楽しもう 9 ふりかえりタイム 1 活動の内容を記入する 2 めあての反省を 約束を読むことで目と耳で確認できるようする 選択肢を提示することで言葉を考えられるようにする 教師が選ぶ言葉を考えることができたか ワークシート いつでも確認できるように約束を掲示しておく 言葉を当てられないこともあることを伝えておく 相手が選びそうな言葉を考えるように声をかける 教師が書きそうな言葉を書くと有利であることをアドバイスする 相談して言葉を考えることができたか 行動観察 前回の良かったところを伝える ルール 気持ちを合わせている様子を称賛し, 強化をする の説明 相手を見るように促す 相手がわかりやすい言カード 相手に合わせて動くこと葉を考えるように促す 注意点ができたか のカー ド 行動観察 むかで 友達のことを考えて言葉をかけることができたか 行動観察 ルールを守っていることを称賛することで, ルー ルール ルを守る気持ちが育つようにする の説明 負けたら拍手をすればいいことを説明しておく カード ルールを守ったり, ゲー ルールを守ったり, ゲー トラン ムを楽しんだりしている行動を称賛する ムを楽しんだりしている行動を称賛する プ ルールを守って取り組も ルールを守って取り組 うとしたか もうとしたか ( 思考 判断 ) 行動観察 ( 思考 判断 ) 行動観察 自分ができるようになったこと, がんばったこと ふりかえ に気づけるように助言する りシート シートに記入する量につ 積極的に友達に声をかいては, 時間や A 児の様けていることを称賛す子を見て調整する る ルールの説明 カード ワークシート お助けカード 5
2 する 3 感想を記入する 4 めあての反省と感想の発表をする あいさつをする 声を出して発表することが難しい時は, お助けカードが使えることを伝えておく 肯定的な表現で記入するように促す 気をつけ が揃ったら, 礼をするように声をかける 上手にできているところを評価する (3) 板書計画 今日の流れ 1 めあてを考えよう 2 エスパー 3 気持ちをあわせよう ( むかで遊び ) 4 ぶたのしっぽ 5 感想シート なかよくゲームをしよう めあて A 児 B 児 エクササイズの説明 あったか言葉 ちくちく言葉 やくそく あったか言葉をおくる ルールを守る イライラしたらクールダウンをする 6