フラッグ行政書士講座民法第 回目 第 編総則第 章民法の基本原理 私的自治の原則 ( 契約自由の原則 ) 人は 私的な法律関係を自己の意思に基づいて自由に形作ることができるとする原則自己の意思に基づいて自由に法律関係を形成できる例えば 00 億円の土地をただであげていい? それとも もったいないからということで 国家が 売りなさい! と強制する? 損をするヤツがいいと言っているなら 彼の意思どおりに ただで所有権が移転してよいでしょう! 要するに自分の財産なのだから 自分の思い通りに処分できなきゃ! 換言すると 意思によらずして 権利を取得 義務を負うことはないあげる意思がない人に対し ただでよこせ! ただで引き渡す義務を負う? あるわけないですね! 売買契約意思表示 : 法律効果に向けられたもの A 売ります 合致 買います B 契約成立契約書は? 不要です意思があ ればそれでよいでしょ 債権関係 代金支払請求権 目的物引渡請求 意思どおり 法律効果が 発生 物権関係所有権所有権 支配 物 ( 有体物 : 固体 液体 気体 ) 2 信義誠実の原則 ( 私権行使に関する原則 ) 契約の相手方などの期待や信頼を裏切らないように誠意を持って行動しなければならない ( 条 2 項 ) 第 2 章法律行為 法律行為の意味人が一定の法律上の効果を発生させたいという意思に基づいて行う行為で 法律によりその効果
の実現が認められているもの意思表示を重要な要素とし 意思に基づいて 意思どおり法律効果が発生するもの 2 法律行為の種類 () 契約対立する 2 個以上の意思表示が合致して成立する法律行為 ex 売買契約など (2) 単独行為ひとつの意思表示だけの法律行為 相手方のある単独行為 ex 取消し 追認 解除など 相手方のない単独行為 ex 遺言など (3) 合同行為共通の目的に向けられた 2 個以上の意思表示により成立する法律行為 ex 社団の設立行為など 3 法律行為の有効要件以下の有効要件が欠けると 法律行為は無効となる () 確定可能性法律行為の内容が確定できるものであること 内容が確定できなければ 国家は助力しようがありません たとえば A が B に対して 私が所有する物に中で 何か面白いものを売る (2) 実現可能性内容の実現が不可能な法律行為は それに法的効果を認めても無意味です たとえば 土星を売ります という契約時点で実現不可能な契約は 無効となります 契約後に目的物が滅失した場合 ( 後発的不能 ) など 契約成立の時点で実現不可能でない場合には 契約は無効とはなりません 危険負担 (534 条 ) や 債務不履行 (45 条 ) の問題となります 債権法で学習しましょう! (3) 適法性法律行為内容は 特に契約に関しては当事者の自由に委ねられています ( 契約自由の原則 ) しかし たとえば麻薬の売買などのように 公の秩序に関する規定に反する行為は無効となります (9 条 ) (4) 社会的妥当性法律行為の内容が 公の秩序又は善良の風俗 に反するときは無効となります (90 条 ) たとえば 殺人依頼契約のような犯罪に関するもの 不倫契約等の倫理秩序に関するものなどです 第 3 章意思表示第 節意思表示総論 意義ある法律効果が発生することを欲する意思を外部に表示すること 意思表示が有効なら 欲したとおりの法律効果が発生する 2
2 意思表示の要素 動機 行政書士試験受験のため 効果意思 2 表示意思 3 表示行為 この本を買おうと思う この本をください と言おうと思う この本をください と言う 意思表示の要素 意思表示が成立するためには 前記の~3の要素のすべてが必要です しかし 問題が生じた場合どのようなことになるのでしょう たとえば 外部への表示と 真意が異なった場合です この場合に二つの考え方があります 当事者の意思を尊重して 法律行為を無効にする ( 意思主義 ) 他方 取引の安全を重視して 法律行為を有効にする ( 表示主義 ) 民法は 私的自治の原則から意思主義を原則としています [ 取引の安全 ] 取引を行った者の保護を図ることをいいます 動的安全ともいいます ( 静的安全 ) 安心して買える 安心して売れる というほどの意味です 第 2 節心裡留保 (93 条 ) 意義表意者が表示行為に対する真意のないことを知りながらする単独の意思表示をいいます 要するに冗談です エミちゃん 時計あげるよ! 本音は? 金持ってきても 売りません腹の中に 留保 2 要件 () 意思表示の存在 (2) 意思と表示の不一致 (3) 表意者が意思と表示の不一致を知っていたこと 3 効果 () 原則 : 有効 (93 条本文 )( 表示主義 ) 自分で冗談を言ったのだから仕方がないでしょう (2) 例外 : 相手方が表意者の真意を知り または知ることができた ( 悪意又は有過失 ) ときは 意思表示は無効 (93 条但書 ) 保護の必要性がないでしょ! 婚姻 離婚などの真意が尊重される身分行為については適用されない 参照 善意ある事実を知らないこと 有過失不注意があること 悪意ある事実を知っていること 無過失不注意がないこと 悪意 有過失 = 悪意または有過失 善意 無過失 = 善意かつ無過失 3
第 3 節通謀虚偽表示ケース 仮装譲渡 B 買主 B 名義の登記 A が税金逃れのために B と通謀して土地を B に売却したように仮装し 登記名義 を B に移転した A は B に対して 土地の所有権は自己にあるとして 土地の返還を請求できるか? 意味相手方と通じて真意でないことを知りながらする意思表示をいいます 当事者間では保護に値しないから無効とされます (94 条 項 ) したがって ケースで A の請求は認められます 契約が無効であるということは 法律効果は生じないということですから 当顔土地の所有権は依然 A にあることになるからです 2 要件 () 意思表示の存在 (2) 意思と表示の不一致 (3) 相手方との通謀 3 効果原則 : 当事者間に表示どおりの効果を発生させる意思がないので無効 (94 条 項 ) 例外 : 善意の第三者に対しては意思表示の無効を対抗することができない (94 条 2 項 ) 4 第三者の保護重要! ケース2 虚偽表示 B 買主 ( 無権利者 ) B 名義の登記 A の返還請求は 認められるか? C 善意 2 売却 ケース の事例を前提に 登記名義人となった B が A を裏切り 事情を知らない C に土地を売った この場合に A は C から土地を取り戻すことができるか? ()94 条 2 項の趣旨虚偽の意思表示を有効なものと信じて新たに取引に入った者を保護しようという 権利外観法理の表れ 権利外観法理とは 虚偽の外観作出について帰責性ある者は 外観を信頼したものに対して外 4
観どおりに責任を負うべきであるというものです 本質的要件は 虚偽の外観 2 外観作出へ の帰責性 3 虚偽の外観への信頼です (2) 善意の第三者 94 条 2 項の第三者とは 当事者およびその包括承継人以外の者で 虚偽表示に基づいて新たに独立に法律上の利害関係を有するに至った者をいいます 当事者および包括承継人以外の者 <ちょっとしたテクニック> 包括承継人 ( 一般承継人 )EX: 相続 = 成り代わる A B A B 虚偽表示 虚偽表示 2 売却 2 相続 C 善意 C 善意 A C 虚偽表示 C が B に成り代わる AC は虚偽表示の当事者と同じ 94 条 2 項の 第三者 に関する判例 とされた者 に該当する いとされた者 第三者 第三者 に該当しな 不動産の仮装譲受人からの譲受人 2 目的物に対する差押債権者 3 仮装譲受人の不動産につき抵当権の設定を受けた者 4 仮装債権の譲受人 番抵当権が仮装で放棄された場合に 番抵当権者となったと誤信した 2 番 抵権者 2 仮装譲受人から取立のために債権を譲り受けた者 3 債権を仮装譲渡した者が その譲渡を無効として債務者に請求する場合の債務 者 4 仮装譲受人の一般債権者 5 土地の仮装譲受人が土地上に建物を建築し その建物を賃貸した場合の賃借人 第三者 に該当するとされた者 について 仮装譲渡からその物を買った者 要するにケース 2 の C ですね C は 所有権を新たに取得 独立の利害関係って 感じ するでしょう? 2~4 については 学習が進んでいない現段階では ちょっと厳しいと思います 第三者 に該当しないとされた者 5
ここでは 4と5についてコメントします 4について 虚偽表示 B 買主 ( 無権利者 ) B 名義の登記 2 貸金債権 C 一般債権者 B にお金を貸している C にとっては B が土地を取得したとしたら嬉しいですよね? でも 新 たに独立の利害関係を有するに至ったとは言いがたいでしょう 5 について 土地を仮装譲渡 B 買主 2 建物を C に貸した C C は 建物については利害関係を有していますね 土地についてはどうでしょう? 確かに 建物を利用するということは 土地も利用することにはなるでしょう しかし 土地について 新たに独立の って 感じではないでしょう ⅰ 善意の判断時期買った時 取引時もし 仮に買った後に知った場合でも 悪意! とみなされるとしたら? 土地を買う人いなくなるよ え~ 私は 取引の時は知らなかった! でも今 知ったではないか! こういったことをして 取引の安全! を図る必要がある などと言ったりします 取引の安全とは 安心して 買える 売れるという意味 ところで 善意 悪意等の判断は すべて取引時 虚偽表示に限ったことではない ⅱ 無過失不要重要こんな感じですよ! A は帰責性が大! だから C は ⅲ 登記不要善意でありさえすれば十分!! 6