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HFTA-010.0: 物理層の性能 : ビットエラー率 (BER) のテスト この技術的記事は Lightwave Magazine の 2004 年 9 月号 Explaining those BER testing mysteries に最初に掲載されました いずれのディジタル通信システムにおいても 物理層の究極の機能は 媒体 ( 銅ケーブル 光ファイバ または自由空間など ) を介してできる限り迅速かつ正確にデータのビットを伝送することです したがって 物理層の性能は データを伝送することのできる速度 ( データレート ) と 宛先に到着したときのデータの完全性という 2 つの基本的尺度で表すことができます データの完全性を示す主な尺度は ビットエラー率すなわち BER と呼ばれています この記事では 電気通信とデータ通信のプロトコルで一般的な BER 要件について検討し BER 性能のテストに使用する機器の概要を示し テスト時間対 BER の信頼水準のトレードオフについて考察します 1. BER の仕様 ディジタル通信システムの BER は システムを通じて送信される任意のビットがエラーで受信される推定確率として定義されます すなわち 送信された 1 がゼロで受信される またはその逆の場合です 実際のテストでは システムを通じて有限数のビットを送信し 受信したビットエラーの数を数えることによって BER を測定します 誤って受信されたビット数と 送信されたビット数の合計との比が BER です BER 推定の品質は 送信されるビット数の合計が増大するにしたがって向上します 究極的には 送信されたビット数が無限に近づくにつれて BER は真のエラー確率の完璧な推定値になります 一部のテキストでは BER は ビットエラー率ではなくビットエラーレートと呼ばれています 実際のシステムのほとんどのビットエラーは ランダムノイズによるものであり したがって一様に分布されたレートで生じるのではなく 不規則な時刻で生じることになります また BER は送信されるビットに対してエラーの割合を計算することによって形成される推定です このため レートの代わりに率という語を使用する方がより正確になります システムを通じて送信される特定の一続きのビット ( すなわち データパターン ) に応じて さまざまな数のビットエラーが生じる可能性があります たとえば 連続受信可能同一ビット数 (CID) の長いストリングを含むパターンには システムの通過帯域外にあると思われるかなりの低周波スペクトル成分が含まれる可能性があり 確定ジッタやその他の歪みが信号に生じます これらのパターンに依存する影響によって ビットエラーが生じる確率が増大または減少する可能性があります これは 異なるデータパターンを使用して BER をテストすれば 異なる結果が得られる可能性があるということです パターンに依存する影響についての詳細な分析は この記事の範囲外ですが BER の仕様とテスト結果に特定のデータパターンを関連付けることの重要性に十分に留意してください ほとんどのディジタル通信プロトコルは 2 つのレベルのうちの 1 つのレベルでの BER 性能が必要となります SONET などの電気通信プロトコルは一般に 長い擬似乱数ビットパターンを使用した 10 10 ビットで 1 つのエラーとなる BER ( すなわち BER = 1/10 10 = 10-10 ) が必要です これに対して ファイバチャネルやイーサネットのようなデータ通信プロトコルは より短いビットパターンを使用した 10-12 より優れた BER を一般的に規定しています システム仕様は 場合によっては 10-16 以下の BER が必要になります BER は本質的に統計的な平均値であり したがってビット数が十分に多い場合にのみ有効であることに留意する必要があります たとえば 10 10 ビットの 1 グループ内に複数のエラーがありながら 送信されたビット数の合計が 10 10 よりはるかに多ければ 10-10 の BER 仕様を満たすということが起こり得ます これは その後の部分のビットストリームについて 10 10 ビットでエラーが 1 未満の場合に起こり得ます また逆に 10 10 ビットの 1 グループ内でエラーがないが その後の部分のビットストリームについて より多くエラーがあれば 10-10 規格に違反することがあり得ます これらの例を考慮すると 10-10 より優れた BER を規定するシステムは 正確で再現性のある測定値を得るために 10 10 ビットを大幅に上回るビットを送信することによってテストする必要が Technical Article HFTA-010.0 (Rev.0, 10/04) Page 1 of 7

あることが明白です よくある当然な質問は BER 準拠を立証するためには システムを通じて何ビットを送信する必要があるのか です この質問に対する答えは 3 項のテーマになります 2. 機器と手順 BER テストの従来の方法では パターン発生器とエラー検出器を利用します ( 図 1) パターン発生器はテストパターンを被テストシステムに送信します エラー検出器は 同じテストパターンを独自に生成するか またはパターン発生器から受信します パターン発生器は同期クロック信号もエラー検出器に供給します エラー検出器は 被テストシステムから受信したデータと パターン発生器から受信したデータとの間でビットごとの比較を行います 2 組のデータ間に相違がある場合は これをビットエラーとして数えます Pattern Generator CLOCK DATA Bit Pattern IN System Under Test OUT Error Detector Bit Pattern Plus Errors 図 1. BER テスト用にセットアップしたテスト機器 前項で述べたように ディジタル通信の規格には一般的に BER テストで使用するデータパターンが規定されています 通常 正常な動作中に発生すると予測されるデータのタイプをエミュレートするテストパターンが選択され あるいは 場合によっては ワーストケース でのテストのために特にシステムに対してストレスの多いパターンが選択されることがあります ランダムデータをエミュレートすることを目的としたパターンは 擬似乱数ビットシーケンス (PRBS) と呼ばれており 標準化された生成アルゴリズムに基づいています PRBS パターンは パターンの長さによって分類され 一般に 2 7-1 ( パターンの長さ = 127 ビット ) または 2 23-1 ( パターンの長さ = 8,388,607) などの名称で呼ばれています その他のパターンは 符号化データやスクランブルをかけたデータ またはストレスの多いデータのシーケンスをエミュレートし K28.5 ( ファイバチャネルおよびイーサネットで使用される ) などの名称が与えられています 市販のパターン発生器は 標準の内蔵パターンの他に カスタムパターンを作成する機能も備えています パターン発生器から受信したビットと 被テストシステムから受信したビットとを正確に比較するには 両方のビットストリームにエラー検出器を同期させる必要があり 被テストシステムを通過することによる時間遅延を補償する必要があります パターン発生器からのクロック信号によって パターン発生器から受信したビットとの同期を得ることができます エラー検出器は パターン発生器のクロックに可変時間遅延を追加して 被テストシステムからのビットとの同期を実現します テスト前のシステムキャリブレーションの一環として 可変時間遅延を調整してビットエラーを最小限に抑えています Technical Article HFTA-010.0 (Rev.0, 10/04) Page 2 of 7

3. 何ビットが必要か? 正しく設計されたシステムでは BER 性能はランダムノイズやランダムジッタによって制限されます 結果として ビットエラーがランダムな ( 予測不能な ) 時刻で発生し 同時に発生する場合もあれば ばらばらに発生する場合もあります このため システムの耐用年数全体にわたって生じるエラーの数は 正確に予測することができないランダム変数になります それゆえ 完全な BER テストにはシステムを通じて何ビット送信する必要があるのかという質問に対する正確な答えは 限りがない ということになります ( 本質的に無限ということです ) 実際の BER テストでは有限のテスト回数が要求されるため 完璧な推定とはいえない結果を受け入れる必要があります 前述したように BER 推定の品質は送信されるビット数が増加するにしたがって向上します 問題は 所望の推定品質のためには何ビットを送信すればよいのかを決定することができるように推定の品質向上を定量化する方法です これは 統計の信頼水準の概念を使用して行うことができます 統計用語では BER の信頼水準は確率として定義することが可能であり この確率は送信した N ビットから検出されたエラーの数 E に基づくもので 真 の BER は規定された比 R 未満になります ( この定義では 真の BER とは送信されたビット数が無限の場合に測定して得られる BER です ) 数学的に これは次式で表されます CL = PROB [BER T < R] 所定の E および N (1) ここで CL は BER の信頼水準 PROB[ ] は 確率 および BER T は真の BER を表します 信頼水準は 定義によれば確率であるため 考えられる値の範囲は 0%~100% です BER の信頼水準を計算すれば 真の BER が R 未満となる信頼性が CL% であるということができます 別の言い方をすれば 同じビット数 N をシステムを通じて繰り返し送信し 検出されたエラーの数 E を数える場合 テストを繰り返すたびに 結果として得られる BER の推定値 E/N は 繰り返すテストの CL% について R 未満になることが想定されます 式 1 と同様に興味深いことですが 本当に知りたいことは BER の信頼水準を計算するために送信する必要があるのは何ビットかを計算することができるように式 1 を変換する方法です これを実行するため 2 項分布関数とポアソンの定理を必要とする統計的方法を利用します 計算と導出の詳細については この記事の範囲外ですが 参考文献 [1] に記載されています 結果として得られる式を以下に示します N E 1 ( N BER) = ln(1 CL) + ln BER k = 0 k! k (2) ここで E は検出されたエラー数の合計 ln[ ] は自然対数です エラーが検出されない ( すなわち E = 0) ときは 式 2 の第 2 項はゼロに等しくなり 式の解は非常に単純なものになります E がゼロではないとき 式 2 は依然として経験的に ( たとえば コンピュータの表計算を使用して ) 解くことができます 式 2 を使用する方法の実例として 真の BER が 10-10 以下という 信頼水準が 95% のシステムを通じて何ビットをエラーなしで送信する必要があるかを決定したいものと仮定します この例では E = 0 であるため 第 2 項 ( 総和 ) はゼロとなり CL と BER だけを考慮すればよいことになります 結果は N = 1/BER x [-ln(1-0.95)] 3/BER = 3 x 10 10 となります この結果は単純な 経験則 を表しており 規定された BER の逆数の 3 倍をエラーのない状態で送信すると 信頼水準が 95% でシステムが BER の仕様を満たすことになります 同様の計算で エラーが検出されない場合 N = 2.3/BER で 90% の信頼性または 4.6/BER で 99% の信頼性が得られます 図 2 は 送信する必要のあるビット数 (BER に正規化 ) と エラーが 0 1 および 2 ビットの場合の信頼水準との関係を示しています よく用いられる 90% 95% および 99% の信頼水準での結果を表 1 にまとめています 図 2 のグラフを使用するには 目的の信頼水準を選択し 横軸のその点から テスト中に検出されたエラー数についての曲線と交差する点まで垂線を引きます その交点から 縦軸と交差するまで左に水平線を引いて 送信 Technical Article HFTA-010.0 (Rev.0, 10/04) Page 3 of 7

する必要のある正規化されたビット数 すなわち N x BER を求めます この数値を規定された BER で割ると 目的の信頼水準の場合に送信する必要のあるビット数が得られます 9.00 8.00 7.00 6.00 N x BER 5.00 4.00 3.00 2.00 2 bit errors 1 bit error 0 bit errors 1.00 0.00 0.80 0.85 0.90 0.95 Confidence Level 図 2. 送信されるビット (BER で正規化 ) 対エラーが 0 1 および 2 ビットの場合の信頼水準 表 1. 信頼水準が 90% 95% および 99% の場合の N x BER N x BER Errors CL = 90% CL = 95% CL = 99% 0 2.30 3.00 4.61 1 3.89 4.74 6.64 2 5.32 6.30 8.40 Technical Article HFTA-010.0 (Rev.0, 10/04) Page 4 of 7

4. テスト時間の短縮 高信頼水準や低 BER を必要とするテストは 特に 低速データレートシステムの場合に時間がかかります 622Mbps のシステムで BER が 10-12 の場合の 99% の信頼水準テストについて考えてみましょう 表 1 から 必要なビット数は エラーがゼロの場合に 4.61 x 10 12 です 622Mbps では テスト時間は 4.6 x 10 12 ビット /622 x 10 6 ビット / 秒 = 7,411 秒となり 2 時間をわずかに超えます 実際のテストで 2 時間は一般的に長すぎます テスト時間を短縮するには どうすればよいのでしょうか? テスト時間を短縮する 1 つの一般的な方法として テスト中にシステムの信号対ノイズ (SNR) を既知の数だけ意図的に低減するという方法があります これによって より多くのビットエラーが生じ 結果として得られる低下した BER をより迅速に測定することができます ( 参考文献 [2] を参照 ) SNR と BER の関係がわかっている場合 低下した BER の結果を外挿して目的の BER を推定することができます この方法は レシーバへの入力端における熱 ( ガウス ) 雑音がシステムのビットエラーの主原因であるという仮定に基づいています SNR と BER 間の関係は ガウス統計を使用して導くことが可能で 多くの通信の教科書に記載されています [3] SNR と BER 間の関係に対する既知の閉じた解はありませんが 数値積分法によって結果を得ることができます この関係を計算するのに都合のよい 1 つの方法は Microsoft Excel TM の標準正規分布関数 NORMSDIST[ ] を使用することです この関数を使用すると SNR と BER 間の関係は 次式で計算することができます BER = 1- NORMSDIST(SNR/2) (3) 図 3 は この関係をグラフで表したものです Bit Error Ratio (BER) 1.0E+00 1.0E-01 1.0E-02 1.0E-03 1.0E-04 1.0E-05 1.0E-06 1.0E-07 1.0E-08 1.0E-09 1.0E-10 1.0E-11 1.0E-12 1.0E-13 1.0E-14 0 2 4 6 8 10 12 14 16 Signal to Noise Ratio (SNR) 図 3. BER と SNR 間の関係 Technical Article HFTA-010.0 (Rev.0, 10/04) Page 5 of 7

テストを迅速化するこの方法を説明するために この項の最初に示した例を取り上げます この例では 622Mbps のシステムにおいて BER が 10-12 の場合の 99% の信頼水準テストは 2 時間以上かかります 図 3 から 10-12 の BER は約 14 の SNR に相当することがわかります 被テスト通信システムでは トランスミッタとレシーバの間に信号チャネルを割り込ませてアッテネータを挿入することができます この信号は レシーバに入力される前に減衰されるため 主要なノイズ源はレシーバの入力にあるとの仮定に基づけば ノイズではなく信号が減衰されることになります したがって SNR は信号と同じ量だけ低減されます ( ただし チャネルのノイズレベル未満に信号を減衰させないことが重要であることに留意してください ) この例の場合 14.3% (0.67dB) の減衰を使用することによって SNR を 14 から 12 に低減しています 図 3 から SNR を 12 に低減することは BER を 10-9 に変更することに相当することがわかります 10-9 の BER における 99% の BER の信頼水準の場合 7.41 秒のテスト時間で 4.61 x 10 9 ビット ( 元のテストより 1,000 倍少ない ) を送信する必要があります このように アッテネータを使用してエラーのない状態で 7.41 秒間テストすれば 外挿によって 減衰を除去したときの BER が 10-12 であることがわかるということです これはすばらしいことではありませんか すべてがそうですが SNR の低減と外挿によるテスト時間の短縮は代価なしに手に入りません この代価は 外挿後の信頼水準が低下するということであり 信頼水準の低下は外挿の距離が長くなるほど深刻になります この影響を視覚化するため SNR の減衰によって BER が 100 倍だけ低減するようなテストを考えます SNR を減衰したテストをエラーがゼロで 99% の信頼水準について実行した場合 100 回のテストの繰り返しのうち 99 回はエラー 0 で 1 回がエラー 1 になると想定されます ここで 繰り返した 100 回のテストで受信したすべてのビットを 1 つに連結すると エラーが 1 つの 100 倍のビットが得られることになります 繰り返した 100 回のテスト結果から元のテスト結果までを外挿することによって低減前の BER 水準は 1/BER ビットで 1 エラー すなわち N x BER = 1.0 となります 式 2 を使用すると 対応する信頼水準はわずか 63% で 図 2 のグラフから外れてしまい 当初の 99% の信頼水準と懸け離れたものとなります 上記の例を考慮して 実用的なテスト時間を実現するためには できる限り SNR の減衰を少なくする必要があります 外挿によって信頼水準が低減することを認識する必要があります また まるめや測定公差などによって生じる誤差は結果を外挿したときに倍増されるため 特別な精度で測定と計算を実施する必要があります 5. 結論 ディジタル通信システムのビットエラー率は システムを通じて送信されるデータの完全性を定量化するために使用する重要な性能指数です ある有限時間のテストによって 1 つのビットがエラーで受信される確率を推定することができます 推定の品質はテスト時間の増加に従って向上し 統計の信頼水準の方法を使用してこの品質を定量化することができます テスト時間の短縮についての考え方を記載しましたが これは信頼水準を大幅に低減するため 十分に配慮して使用する必要があります Technical Article HFTA-010.0 (Rev.0, 10/04) Page 6 of 7

REFERENCES: [1] J. Redd 著 Calculating Statistical Confidence Levels for Error-Probability Estimates Lightwave Magazine p.110~114 2000 年 4 月発行 ( 以下のウェブサイトから入手可能 http://lw.pennnet.com) [2] D.H. Wolaver 著 Measure Error Rates Quickly and Accurately Electronic Design p.89~98 1995 年 5 月 30 日発行 [3] B. Sklar 著 Digital Communications: Fundamentals and Applications, Englewood Cliffs, New Jersey: Prentice Hall p.773~743 1988 年発行 Technical Article HFTA-010.0 (Rev.0, 10/04) Page 7 of 7