平成 22 年 4 月 1 日現在の法令等に準拠 UP!Consulting Up Newsletter 不動産特例の利用方法 住宅借入金等特別控除 住宅ローン控除と地方税の手続き 買換え等の場合の譲渡損失の特例 居住用財産の譲渡損失の特例 3000 万円特別控除 軽減税率の特例 特定の居住用財産の買換え特例 http://www.up-firm.com 1 各特例の併用適用
不動産特例の利用方法 個人がマイホームを売買する時に利用できる譲渡所得の特例は 多数あります 各特例の詳細は 次節以降を参 照下さい 1. マイホームを買う時 新築一戸建マイホームを購入する時にかかる税金は 以下の通りです 総額 4,000 万円 ( 土地 2,000 万円で 100 m2 建物 2,000 万円で 240 m2 ) 固定資産税評価額 土地 1,200 万円 建物 1,400 万円 印紙税売買契約書での土地建物の取引金額が 5,000 万円以下 15,000 円 消費税売買契約書での建物の取引金額 5%( 土地にはかかりません ) 1,000,000 円 不動産の登記に関係なく必要です 不動産取得税 ( 地方税 ) 登録免許税 土地 : 固定資産税評価額 1,200 万円 減額 1/2 3%=180,000 円 1150 万円 標準税率 4% 3/4=45,000 円 2( 固定資産税評価額 1/2 土地の面積 ) ( 住宅床面積 2) 3% =(600 万円 100) 200 3%=36 万円 12のうちいずれか高い方の額を税額から控除します 建物 :( 固定資産税評価額 1,400 万円 - 減額控除 1,200 万円 ) 3%=60,000 円不動産の移転登記に必要です 土地 : 固定資産税評価額 1.0%=120,000 円建物 : 固定資産税評価額 0.3%=42,000 円 土地は 0 円 60,000 円 120,000 円 42,000 円 合計で 1,237,000 円になります また 売り手から固定資産税や都市計画税の月割り負担分を求められるのが通例 です さらに 不動産の保有に関しては固定資産税等が毎年かかります 1 住宅ローン控除 ( 住宅借入金等特別控除 措置法 41) 年末 12/31 時点でのマイホームローン残高の 0.5~1.0% を所得税額からマイナスできるものです 住宅ローンを組んでマイホームを購入したり ローンを組んでリフォームした人が利用できる特例です これはぜひ利用する価値のある特例です 手続きが多少面倒ですが 金額が大きいため確実に得になります 2. マイホームを売る時 所得税法上の譲渡所得が発生します 譲渡所得 = 譲渡収入 - 取得費 - 譲渡費用 http://www.up-firm.com 2
(1) 取得費になるもの 購入代金 ( 建物の減価償却費部分を除く ) 購入時の仲介手数料 契約書印紙税 登録免許税 不動産取得税 登記費用 ローンの保証料 抵当権設定の登記費用 整地費用 借地借家人がいた場合に支払った立退料等 (2) 譲渡費用になるもの 売却のための仲介手数料 契約書印紙代 測量費 広告料 借家人に支払う立退料等 ( 所基通 33-7) まずは 売却したマイホーム建物で減価償却計算により取得費 ( 簿価 ) を求めて 譲渡所得がいくらになるかを把握します その金額を 譲渡所得の内訳書 に記入します 譲渡資産を購入した時の売買契約書から 建物購入価額とその構造 経過年数を把握します 建物の取得価額からは 減価償却費 = 建物購入 建築価額 0.9 償却率 経過年数 をマイナスして売却時の簿価を算定します 平成 10 年 4 月 1 日以降に取得した建物は 全て定額法により減価償却費を算出します 平成 19 年 4 月 1 日以降に取得した建物は 制度変更があり複雑化しています 居住用建物の定額法償却率 構造 償却率 木造 0.031 木造モルタル造 0.034 ( 鉄骨 ) 鉄筋コンクリート造 0.015 金属造 1( 軽量鉄骨材の肉厚 3mm 以下 ) 0.036 金属造 2( 軽量鉄骨材の肉厚 3mm 超 4mm 以下 ) 0.025 経過年数は 購入日から売却日までですが 1 年未満の端数は 6 ヶ月以上を 1 年として 6 ヶ月未満は切捨てで計算 します (1) 売却益の出るケース 2 居住用財産の譲渡所得の 3000 万円特別控除 ( 措置法 35) 売却益から 3000 万円をマイナスできる特例です 長期はもちろん 所有期間が 5 年以下の短期でも利用出来ます 要件が比較的易しいので 実務でよく利用されています 310 年超の居住用財産を売却した場合の軽減税率 ( 措置法 31 条の 3) 売却益にかかる譲渡所得税率を 20% から 14% に軽減する特例です 10 年超所有のマイホーム売却は 申告書 の記載を条件に税率が軽減されます 10 年超所有のケースでは 2 の特例とダブル適用できます 4 特定の居住用財産の買換え特例 ( 措置法 36 条の 2) この特例を使えば 買換え資産の購入金額が譲渡資産の売却金額以上ならば税金はゼロとすることが出来ます 注意すべきは 課税の免除ではなく将来への繰延に過ぎないという点です http://www.up-firm.com 3
5 相続税の 3 年以内取得費加算の特例 ( 措置法 39) 相続や遺贈で取得した不動産 マイホーム等を売却する場合は 相続税を納税していると 譲渡所得の計算に相 続税額を取得費として加算できるというものです こちらも 実務上よく利用されています (2) 売却損の出るケース 6 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算 繰越控除の特例 ( 措置法 41 条の 5) 4とよく似ていますが 売却益が出ない場合です 譲渡損失を給与所得や事業所得と損益通算したり 翌年度以降に繰越できます 7 居住用財産の譲渡損失の損益通算 繰越控除の特例 ( 措置法 41 条の 5 の 2) 基本的には 6 と同じです 6 との違いは 買換えをしない場合に適用出来る点です http://www.up-firm.com 4
住宅ローン控除 ( 住宅借入金等特別控除 ) マイホームをローンで購入したら 住宅ローンの一定額を所得税額から控除できる特例があります ( 措置法 41) こ の制度は あくまでも最初に適用された制度がその後も引き続いて適用されることになります 医療費控除や配偶者 控除等の所得控除と違い 税額控除なので非常に効果が大きい特例です 入居時期年末ローン残高税額控除額控除期間累計控除可能税額 6 年目までは 1.0% 平成 11 年 1 月 1 日 ~13 年 6 月 30 日に入居 5000 万円まで 7~11 年目 0.75% 15 年間 587.5 万円 12~15 年目 0.5% 平成 13 年 7 月 1 日 ~16 年 12 月 31 日に入居同上 1.0% 10 年間 500 万円 平成 17 年 1 月 1 日 ~17 年 12 月 31 日に入居 4000 万円まで 8 年目までは 1.0% 9~10 年目は 0.5% 平成 18 年 1 月 1 日 ~18 年 12 月 31 日に入居 3000 万円まで 7 年目までは 1.0% 8~10 年目は 0.5% 同上 同上 360 万円 255 万円 平成 19 年 1 月 1 日 ~19 年 12 月 31 日に入居 2500 万円まで 6 年目までは 1.0% 7~10 年目は 0.5% 同上 200 万円 平成 20 年 1 月 1 日 ~20 年 12 月 31 日に入居 2000 万円まで同上同上 160 万円 平成 19 年度に入居 ( 平成 19 年度税制改正で新設 ) 2500 万円まで 10 年目までは 0.6% 11~15 年目は 0.4% 15 年間 200 万円 平成 20 年度に入居 ( 同上 ) 2000 万円まで 同上 同上 160 万円 平成 21 年 1 月 1 日 ~22 年 12 月 31 日に入居 5000 万円まで 1.0% 10 年間 500 万円 平成 23 年 1 月 1 日 ~23 年 12 月 31 日に入居 4000 万円まで 1.0% 10 年間 400 万円 平成 24 年 1 月 1 日 ~24 年 12 月 31 日に入居 3000 万円まで 1.0% 10 年間 300 万円 平成 25 年 1 月 1 日 ~25 年 12 月 31 日に入居 2000 万円まで 1.0% 10 年間 200 万円 最終年度まで 年末ローン残高が最大限ある ( 平成 15 年度入居なら 5000 万円 ) という仮定での金額です サラリーマンの場合は 1 年目のみ確定申告が必要で 2 年目以降は年末調整で所得税額が還付されることになります 住宅ローン控除は 買換え等の場合の譲渡損失の損益通算 繰越控除の特例 ( 措置法 41 条の 5) との同時適用が認められています つまり 旧 譲渡資産については売却損が発生するので損益通算や繰越控除をして 新規 買換え資産についてのマイホームローンがあればこの特例で税額控除できます ただし この併用を例えば平成 18 年度 ( に買換え損失発生 ) の確定申告で利用した場合は 平成 18 年度分の所得税額 = 損益通算で 0 譲渡損失を平成 19 20 21 年度に繰越して所得税額 =0 平成 22 年度より住宅ローン控除を利用することになります よって 10 年間の有効期間のうち 4 年分は経過済で残り 6 年分だけ税額控除することになります http://www.up-firm.com 5
住宅借入金等特別控除の主要な適用要件 1 借入金はマイホームあるいは先行取得する土地のためのものであること ( 土地のみ先行取得なら 2 年以内の建物建築かつその土地に建築される建物に抵当権が設定されることが条件 ) 2 借入先は 金融機関 長期融資を行う法人 住宅金融公庫 地方公共団体 住宅都市整備公団 年金福祉事業団 宅地建物取引業者 沖縄振興開発金融公庫 勤務先等であること ( 勤務先からの利子補給等で年利率 1% 未満の借入金は対象外 ) 3マイホームローンは返済期間 10 年以上であること 4 過去 3 年以内 ( 売却年 その前年 前々年 ) に 以下の特例を利用していないこと 居住用財産の 3000 万円特別控除の特例 ( 措置法 35 条 ) 10 年超の居住用財産を売却した場合の軽減税率 ( 措置法 31 条の 3) 相続等の居住用財産の買換え特例( 旧 措置法 36 条の 2) 特定の居住用財産の買換え特例( 措置法 36 条の 2) その他一定の特例 5マイホームは 以下の 3 つのうちどれかに該当すること (1) 新築住宅 (2) 築後 20 年以内の中古住宅 ( マンション等の耐火建築物は 25 年 ) (3)100 万円超のリフォームで 総工事費用の 50% 以上が事業用ではなく居住用部分のもの 6 建物の床面積は 50 m2以上であること ( 床面積要件の下限はあっても 上限はない ) ( 床面積は登記簿の面積で判定する 契約書の専有面積ではない 措置通 41-11) 7 床面積の 50% 以上は居住用途であること ( 措置令 261 措置通 41-12) 8 取得又はリフォームの日から 6 ヶ月以内に居住すること その後は 控除を受ける年の年末 12 月 31 日まで住んでいること 9 合計所得金額が 3000 万円以下であること 単身赴任となった場合 マイホームを購入してこの特例を適用していた場合に サラリーマンなら転勤辞令が出るケースもあると思われます 1 家族全員で赴任先へ 転勤中はマイホームローンのある自宅は賃貸に出して受取家賃収入をローン返済に充当する場合 転勤中は 当然マイホームローン控除は適用できません 平成 15 年度税制改正により 平成 15 年 4 月 1 日以後は転勤等でマイホームに居住しなくなった場合で その後に再居住した時は その再居住年から住宅ローン控除の適用対象となる期間まで この 41 条の特例が適用できることになりました このためには 転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書 を税務署に提出する必要があります 添付資料として 辞令コピーと金融機関の証明書が必要となります また マイホームを賃貸に出していた場合は 再居住年の翌年から住宅ローン控除が適用できます 注意点は 転勤中の期間が 5 年だとしても控除期間が 5 年延長される訳ではないという点です http://www.up-firm.com 6
2 単身赴任でご主人だけが赴任先へ 妻子はマイホームローンのある自宅に引き続き居住する場合 この場合は 引き続きその居住の用に供している と認められるため 単身赴任中もこの特例を継続的に適用する事が出来ます ただし国内転勤であることが条件で 海外出向の場合はご主人が 非居住者 となるため家族が留守宅にいてもマイホームローン控除は利用できません 確定申告の必要資料リスト 所得税の確定申告書( 年末調整を受けたサラリーマンの場合は A 様式 ) 住宅借入金等特別控除額の計算の基礎となる住宅借入金等の年末残高の計算明細書 住宅借入金等特別控除額の計算明細書 給与所得の源泉徴収票( サラリーマンの場合 ) 購入したマイホームの売買契約書や建築工事請負契約書の写し ( 収入印紙を貼り付けたものが必要です リフォームの場合は 建築済確認証または検査済証または増改築等工事証明書 ) 購入したマイホームの不動産登記簿謄本( 抄本 ) 新住所の住民票の写し 金融機関が発行する 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 注意事項 6 ヶ月以内の入居が条件です したがって 例えばマイホームの引渡しを受けるのが 3 月で 入居して住民票を移すのが 11 月の場合はこの特例を適用できません 仕事の都合や家族の都合で 引越しや入居のタイミングが遅れる場合は注意が必要です 完成した物件の売買契約書や不動産登記のタイミングを遅らせる事が出来ないかを交渉するのも一策です http://www.up-firm.com 7
住宅ローン控除と住民税の手続き 1. 概要平成 19 年度から税源移譲により 国税の所得税が減少してその分地方税の住民税が増加することになります この場合 所得税額からマイナスする ( 税額控除する ) この特例の効果が弱くなるので新制度ができました 平成 19 年に居住を開始した場合には 現行の控除期間 10 年に加えて新たに控除期間 15 年の特例が創設され いずれかの選択制です 控除期間 15 年の新制度の方は 単年度の所得税額控除金額が少なくなって 控除期間を通算すると 10 年でも 15 年でも控除額は 200 万円で同じです 平成 20 年に居住した場合も 累計の控除額は 160 万円で旧制度の 10 年でも新制度の 15 年でも同額です 一方 平成 11 年度から平成 18 年度までに既にこの特例を適用していた場合も 平成 19 年 1 月度から所得税額が減少して 6 月度から住民税が増加します このため 年末借入金残高の 0.5%~1% を所得税額控除出来て年末調整で還付されていたものが 今後は還付金額が減少する可能性が高くなります この不利を解消するために 平成 20 年度の住民税額から住宅ローン控除分をマイナスできる減額調整という措置ができました 住宅ローン控除の減額調整は納税者の申請に基づきますので 以下の手続きを取る必要があります * 個人事業主等 所得税の確定申告を行う方 * 通常のサラリーマン等 所得税の確定申告を行わない方 税務署へ確定申告書とともに 住民税減額申請書を提出第五十五号の四様式 市町村 ( 市役所 区役所等 ) へ住民税減額申請書を提出第五十五号の三様式 平成 20 年 3 月 17 日までに市役所等に提出して 平成 20 年 6 月度からの住民税が減額されることになります 申請無しで自動的に 控除しきれなかった所得税額が住民税額から控除される制度ではありません 平成 19 年 12 月にサラリーマンが勤務先からもらう 源泉徴収票 の摘要欄に 住宅借入金等特別控除可能額 が記載されるように様式変更されました 地方税の税源移譲が平成 19 年度に実施されたので 従来は源泉所得税額が例えば 30 万円だったので住宅ローン控除 1%=25 万円なら全額の所得税 25 万円が還付されるはずだったのに 所得税が 20 万円に減少しその分地方税が増税になっているので 5 万円分の所得税が切捨て 還付できなくなります 上記数値例では 住宅借入金等特別控除可能額 の欄には 5 万円ではなく 25 万円と記載されます 控除額が無い場合は 記載されません 給与所得者はこの 住宅借入金等特別控除可能額 の記載金額があれば 確定申告時期に市町村役場に書類を提出する必要があります ただし 所得税からのローン控除が 2 年目以降は年末調整で毎年自動的に還付される制度とは違い 地方税は毎年申請書を提出しないと還付されない制度になるので非常に煩雑です http://www.up-firm.com 8
2. 総務省住民税の税額控除申告書 第五十五号の四様式 http://www.soumu.go.jp/menu_04/s_hourei/pdf/sy_070330_0743_e.pdf#search=' 第五十五号の三様式 http://www.soumu.go.jp/menu_04/s_hourei/pdf/sy_070330_0743_d.pdf#search=' 最初の行は 平成 20 年度分 の住民税と記載します 本来は平成 19 年度分の所得税から還付されるものですが 1 年遅れの平成 20 年 6 月度の住民税から控除される制度となっています http://www.up-firm.com 9
買換え等の場合の譲渡損の損益通算 繰越控除の特例 マイホームを売却して新規に買換えした際に売却損が発生すれば 売却損を給与所得や事業所得と損益通算して 控除しきれない赤字を翌年以後 3 年間に渡って繰り越し控除することの出来る特例があります ( 措置法 41 条の 5) 譲渡所得は 不動産所得 事業所得 山林所得と損益通算できるのが原則です ( 所法 691) しかし 平成 16 年度税制改正により 不動産の売却損は平成 16 年 1 月 1 日以降 損益通算できなくなりました ( 措置法 31 32) 例外がこの特例や以下の特例で マイホームに限定して確定申告を条件に損益通算できるようにするものです 居住用財産の譲渡損失の損益通算 繰越控除の特例 ( 措置法 41 条の 5 の 2) との相違点 1 買換えを前提とする場合に限り適用されます 買換資産については床面積 50 m2以上等 一定の要件があります 居住用財産の譲 渡損失の損益通算 繰越控除の特例 ( 措置法 41 条の 5 の 2) は 買換えではなく売り切りで賃貸または実家等に引っ越す場合に利 用されます 2 譲渡資産についてはマイホームローンの残高が無くてもいいのですが 買換資産については一定のマイホームローンがあることが 条件となります 3 売却損失の金額について 居住用財産の譲渡損失の損益通算 繰越控除の特例ではローン残高から譲渡対価をマイナスした金 額が限度になります 他方この特例は その損失の全額が対象になります 4 買換資産の借入金について要件を満たせば 住宅ローン税額控除 ( 措置法 41) とのダブル適用が可能です 平成 16 年度税制改正で 上記の 2 のように 譲渡資産についての残債ローン残高が 0 でも利用出来るようになりま した このため この特例の利用者が大幅に増加しました ただし 所得税額が 0 だとそもそも還付がないので留意が 必要です http://www.up-firm.com 10
居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算 繰越控除の特例の主要な適用要件 1 譲渡資産の所有期間は 売却した年の 1 月 1 日時点で 5 年超であること 2 特定譲渡 譲渡先は配偶者等の特殊関係者ではないこと 3その年の前年 前々年に以下の特例の適用を受けていないこと 居住用財産の 3000 万円特別控除の特例 ( 措置法 35) 10 年超の居住用財産を売却した場合の軽減税率 ( 措置法 31 条の 3) 特定の居住用財産の買換え特例( 措置法 36 条の 2) 等 4 前年 1 月 1 日から前年 12 月 31 日までにマイホーム (50 m2以上 ) 又はその敷地を金融機関等からの償還期間 10 年以上の住宅ローンで取得すること 5 買換資産の取得日からその翌年 12 月 31 日までに その買換資産を居住の用に供すること 6 譲渡した居住用資産に売却損があること ( 土地の 500 m2超部分の譲渡損失は除く 500 m2超の部分は翌年へ繰越できない ) 76について 給与所得等との損益通算後でも譲渡損失が控除しきれないこと 8 期限内の確定申告を条件に 損益通算しきれなかった金額を翌年以降 3 年間繰り越せる ( 合計所得金額が 3000 万円以下の年分 年末に買換資産の住宅ローン残高のある年分に限る ) 平成 22 年度税制改正の影響 適用期限は 平成 21 年 12 月 31 日までの譲渡に適用とされていました しかし 2 年延長が決定されたので 平成 23 年 12 月 31 日の譲渡まで利用出来ます http://www.up-firm.com 11
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算 繰越控除の特例 マイホームを売却した際に売却損が発生すれば 売却損を給与所得や事業所得と損益通算して 控除しきれない損失を翌年以後 3 年間に渡って繰り越し控除することの出来る特例があります ( 措置法 41 条の 5 の 2) 譲渡所得は 不動産所得 事業所得 山林所得と損益通算できるのが原則です しかし 平成 16 年度税制改正により 個人の不動産の売却損は平成 16 年 1 月 1 日以降 損益通算できなくなりました ( 措置法 31 32) 例外がこの特例や 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算 繰越控除の特例 で マイホームに限定して確定申告を条件に損益通算できるようにするものです 買換え等の場合の譲渡損失の損益通算 繰越控除の特例 ( 措置法 41 条の 5) との相違点 1 買換えしない場合でも 以下の要件全てを満たせば 譲渡損の損益通算が出来ます つまり 売り切りでも適用可能です マイホームを売却してもまだ住宅ローンを返済しきれない人への支援措置です 2 譲渡資産について 譲渡契約日の前日にマイホームローンの残高があることが条件となります 3 売却損失の金額について 買換え等の場合の譲渡損失の損益通算 繰越控除の特例 ではその損失の全額が対象になります 一方 この特例はローン残高から譲渡対価をマイナスした残高が限度になります 要するに 譲渡代金を上回る住宅借入金等の残債があることが条件です 設例譲渡対価 :3000 万円取得費 ( 購入金額 - 減価償却費 ):3600 万円マイホームローン残高 :1800 万円 この場合は 5 年超所有のマイホームで 譲渡損失が 3000 万円 -3600 万円 = 600 万円発生していますが ローン残高 - 譲渡対価 =1800 万円 -3000 万円 = 1200 万円なのでこの特例は適用できません 例えば ローン残高が 3400 万円というように売却金額以上の残債があることが条件です この場合なら ローン残高 - 譲渡対価 =3400 万円 -3000 万円 =400 万円なので 400 万円まで損益通算できます http://www.up-firm.com 12
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算 繰越控除の特例の主要な適用要件 1 譲渡資産の所有期間は 売却した年の 1 月 1 日時点で 5 年超であること 2 特定譲渡 譲渡先は配偶者等の特殊関係者ではないこと 3その年の前年 前々年に以下の特例の適用を受けていないこと 居住用財産の 3000 万円特別控除の特例 ( 措置法 35) 10 年超の居住用財産を売却した場合の軽減税率 ( 措置法 31 条の 3) 特定の居住用財産の買換え特例等( 措置法 36 条の 2) 等 4 譲渡契約日の前日現在で 譲渡資産の住宅ローンが残っていること ( 償還期間 10 年以上 最初の支払から最後の完済までの期間 ) 5 譲渡資産について譲渡損失があること ( 譲渡前日の住宅ローン残高 - 譲渡対価が限度 ) 65について 給与所得等との損益通算後でも譲渡損失が控除しきれないこと 7 期限内の確定申告を条件に 損益通算しきれなかった金額を翌年以降 3 年間繰り越せる ( 合計所得金額が 3000 万円以下の年分に限る ) 平成 22 年度税制改正の影響 適用期限は 平成 21 年 12 月 31 日までとされていました しかし 2 年延長が決定されたので平成 23 年 12 月 31 日の譲渡まで利用出来ます ご参考 確定申告の必要資料リスト 所得税の確定申告書 B 様式 特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書 ( 確定申告書付表 ) 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書 譲渡所得の内訳書( 土地建物用 ) 譲渡資産の住宅ローンの借入金残高証明書 住民票の除票とは 今まで住んでいた人が引越しで転出したり死亡届が提出された場合 住民票が除かれます これを除票といい 除票住民票は市町村 役場に 5 年間保存されます また 住民票の写しとはいってもコピーではなく 市役所で入手する原本のことです http://www.up-firm.com 13
居住用財産の譲渡所得の 3000 万円特別控除 マイホームを売却した際に売却益が発生すれば 売却益から 3,000 万円をカットすることが出来る特例があります ( 措置法 35) つまり 課税譲渡所得 = 譲渡収入 - 取得費 - 譲渡費用 -3,000 万円 となります 譲渡したマイホームの所有期間は問われません 所有期間の短期 長期に関係無く利用出来るので 非 常に便利な特例です しかも 買換え特例のような単なる課税の繰延ではなく 完全な免除です ただし 要件を全 てクリアして譲渡所得がゼロになる場合でも 確定申告が必要です この特例は 10 年超の居住用財産を売却した場合の軽減税率 ( 措置法 31 条の 3) の特例と同時適用できます しかし 特定の居住用財産の買換え特例 ( 措置法 36 条の 2) や 住宅ローン控除 ( 住宅借入金等特別控除 ) ( 措置法 41) との併用は出来ません また 共働き等で夫婦共有名義のマイホームの場合は 共有者 1 人につき 3000 万円ずつ合計 6000 万円この特例の控除を受けることが出来ます 離婚する場合の財産分与の留意点離婚する際に 配偶者に慰謝料以外に自宅等の不動産を財産分与すれば 財産分与する側に譲渡所得税と住民税が課税されます ( 所基通 33-1の 4) 不動産を一度売却換金して 配偶者に与えると考えるためです この 3000 万円特別控除の特例を利用出来ると有利ですが 離婚前の配偶者には適用できません 離婚前 離婚後 配偶者妻第三者 ( 元 妻 ) 13,000 万円特別控除 ( 措置法 35) 適用不可利用可能 210 年以上の軽減税率の特例 ( 措置法 31 条の 3) 同上 このため 離婚後に財産分与すれば 他の要件を満たす限り譲渡所得を 3,000 万円控除することができます また 軽減税率の適用もできます ( 措置法 31 条の 3) なお 自宅マンション等の不動産を取得した妻 ( 配偶者 ) は その不 動産の移転時点の時価で取得したことになります http://www.up-firm.com 14
居住用財産の譲渡所得の 3000 万円特別控除の主要な適用要件 1 現在住んでいる または最近まで住んでいたマイホームの譲渡であること ( 所有期間要件はないが 別荘やセカンドハウスでは適用不可能 ) 2 旧 マイホームの売却先は 配偶者や直系血族等の特殊関係者ではないこと 3 以下の特例を利用していないこと 交換の特例( 所法 58) 収用で代替資産を取得した場合の買換特例( 措置法 33) 収用等による 5,000 万円特別控除の特例 ( 措置法 33 条の 4) 特定事業用資産の買換え 交換の特例( 措置法 37 37 条の 4) 既成市街地等内にある土地等の買換え交換の特例 その他一定の特例 4 過去 3 年以内 ( 売却年 その前年 前々年 ) に 以下の特例の適用を受けていないこと 3,000 万円特別控除の特例 ( この特例は 3 年に 1 度しか適用できない ) 特定の居住用財産の買換え特例( 措置法 36 条の 2) 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算 繰越控除の特例( 措置法 41 条の 5) 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除の特例( 措置法 41 条の 5 の 2) 5 住まなくなった年度に売却できないケースでは 住まなくなってから 3 年目の年末までに売却すること 6 建物を取り壊してから土地だけを売却するケースでは 建物取り壊し後 1 年以内の売却であること 転勤で地方や海外へ単身赴任している場合でも 10 年超の居住用財産を売却した場合の軽減税率特例と同様に マイホームに妻子等の家族が住んでいればこの特例の対象となります ( 措置法通達 31 の 3-2) 1 住んでいた土地建物を売却しようとしても 土地だけを買いたい 建物を取り壊して更地にして欲しい というケースもあると思います 建物を取り壊してから 1 年以内に譲渡契約を結び かつ居住の用に供さなくなった日から 3 年以内の 12/31 までに譲渡すること その場合は建物を取り壊してから敷地等を駐車場や駐輪場など貸付や業務用に使用していないなら特例が適用できます ( 措置法通達 31 の 3-5) 2 地震等の災害にあって 建物が倒壊や火災で滅失する場合もあると思います この場合はその家屋に住まなくな ってから 3 年目の 12/31 までに譲渡すること その間の敷地の用途は問いません 上記 2 点のような例外はありますが 原則としてこの特例は土地だけの譲渡では利用できません ( 措置法通達 31 の 3-18 35-2) あくまでも 建物( 家屋 ) の譲渡についての特例です したがって 庭だけを分筆して売却した場合は特例の適用はありません 土地は親名義 建物は子供名義で所有するマイホームを売却する場合に 3,000 万円特別控除や軽減税率の特例は適用できるか 実務上よく問題となる点ですが (1) 建物とセットで土地を譲渡する (2) 土地所有者と建物所有者が生計を一にする 等の一定条件を満たせば適用できます ( 措置法通達 35-4) http://www.up-firm.com 15
ご参考 平成 22 年度税制改正の影響 適用期限は特に定められていません 平成 22 年 1 月 1 日以降も利用出来ます 確定申告の必要資料リスト 所得税確定申告書(B 様式 ) 給与所得の源泉徴収票( サラリーマンの場合 ) 譲渡所得の内訳書( 確定申告書付表兼計算明細書 )[ 土地 建物用 ] 譲渡資産に関する資料 譲渡資産の不動産登記簿謄本 譲渡資産の購入時の売買契約書( 取得価額の分かるもの 領収書等 ) 譲渡資産の売却時の売買契約書のコピー( 売却金額の分かるもの ) 譲渡費用の領収書 売却したマイホームの市町村の除票住民票の写し( 売却して 2 ヵ月後の日付のものに限る ) http://www.up-firm.com 16
10 年超所有の居住用財産を売却した場合の軽減税率 マイホームを売却した際に売却益が発生すれば 譲渡所得の税率を軽減することが出来る特例があります ( 措置法 31 条の 3) マイホームを売却した場合の売却益を 所得税法上は 譲渡所得 と言います 売却した家や土地をいつから所有していたかにより 所有期間 5 年以下の短期 譲渡所得と所有期間 5 年超の長期 譲渡所得とに区分され それぞれ別に税金を計算します 10 年超所有の居住用不動産を売却した場合の特例を利用すれば 長期譲渡所得の税率 20% より更に有利な軽減税率 14% が適用されます この特例の軽減税率は 6,000 万円以下の譲渡所得に適用されます 下記の通り 6,000 万円超の譲渡所得の部分は 通常の長期譲渡所得の税率と同じ 20% です 課税譲渡所得金額所得税率 ( 国税 ) 住民税率 ( 地方税 ) 合計税率根拠条文 短期 (5 年以下 ) 30% 9% 39% 措置法 32 長期 (5 年超 ) 15% 5% 20% 措置法 31 軽減税率 6,000 万円超の部分長期 (5 年超 ) と同じで合計 20% 軽減税率 6,000 万円以下の部分 10% 4% 14% 措置法 31 条の 3 仮に 3,000 万円で購入した 1 戸建てマイホームが 2 億円で売却できたら 売却益の 1 億 7 千万円のうち 3,000 万円までは措置法 35 条で無税となります そして 6,000 万円までの譲渡所得は 14% の合計税率で 残りの 8,000 万円の譲渡所得が 20% の合計税率で計算されます これは特例ですので 確定申告書にその旨を記載して一定の添付資料を付けることが条件です この特例は 居住用財産の譲渡所得の 3000 万円特別控除 ( 措置法 35) の特例や 収用等で譲渡した場合の 5,000 万円特別控除 ( 措置法 33 条の 4) の特例と同時に適用できます しかし 特定の居住用財産の買換え特例 ( 措置法 36 条の 2) 等との併用は出来ません 不動産 M&Aの注意点 5 年以下の短期譲渡では上記のように 個人の場合は 39% も所得税 + 住民税が課税されます このため 土地建物を法人名義で所有させてその法人株式を売却すれば 個人の所得税率が 20% ですむ工夫ができそうです しかし 会社の総資産のうち不動産が 70% 以上の場合は 実態は不動産それ自体を売却しているのと同じなので 5 年以内株式だと売却益に 39% で課税されます ( 措置法 322) http://www.up-firm.com 17
10 年超所有の居住用財産を売却する場合の軽減税率の主要な適用要件 1 不動産登記簿謄本や売買契約書で確認できる所有期間が 10 年超であること ( 売却した年の 1 月 1 日時点で ) 2 旧 マイホームの売却先は 配偶者や直系血族等の特殊関係者ではないこと 3 居住期間要件 =10 年超 10 年以上住んでいること 4 過去 3 年以内 ( 売却年 その前年 前々年 ) に 以下の特例を利用していないこと 特定の居住用財産の買換え特例( 措置法 36 条の 2) 交換の特例( 所法 58) 収用で代替資産を取得した場合の課税繰延の特例( 措置法 33) 特定の事業用資産の買換え特例( 措置法 37) 10 年超所有の居住用財産を売却した場合の軽減税率の特例 その他一定の特例 5 住まなくなった年度に売却できないケースでは 住まなくなってから 3 年目の年末までに売却すること 6 建物を取り壊してから土地だけを売却するケースでは 建物取り壊し後 1 年以内の売却であること http://www.up-firm.com 18
特定の居住用財産の買換特例 マイホームを買換えする場合に 譲渡資産を売却した年度又はその前年か翌年中に代わりのマイホームを購入し て 購入した年の翌年末まで住んだ場合は 3,000 万円の特別控除等の特例 を受けていない場合に限り 次のよう に譲渡所得を減らして計算できる特例があります ( 措置法 36 条の 2) ケース A : 古いマイホームの売却金額 > 新規マイホームの購入金額 その超過部分だけを長期譲渡所得として課税ケース B : 古いマイホームの売却金額 新規マイホームの購入金額 譲渡は無かったものとみなされて 将来売却時点まで課税は繰延 要するに 売ったマイホームの売却額よりも高いマイホームに買い換えた場合は 税金はゼロです ただし 売却益 に対する譲渡所得課税を将来に繰延するだけなので 将来売却した場合は低い簿価を引き継ぐため譲渡所得が多 額になります 買換特例は非課税や課税免除ではなく 先送り 繰延に過ぎないといわれる理由です 設例ケース A 譲渡対価 :3,000 万円取得費 ( 購入金額 - 減価償却費 )+ 譲渡費用 :1,600 万円買換資産の購入金額 :2,500 万円 買換資産の購入金額が譲渡資産の売却額以下の場合は 買換資産の購入金額に充当されなかった金額の譲渡所得に課税されます 1 譲渡収入 = 譲渡資産の売却金額 - 買換資産の購入金額 =3,000-2,500=500 2 必要経費 =( 譲渡資産の取得費 + 譲渡費用 ) 譲渡収入 / 譲渡資産の売却金額 =1,600 500/3,000=266.6 3 譲渡所得金額 = 譲渡収入 - 必要経費 =233.4 買換資産の実際の購入金額は 2,500 万円です しかしこの特例を適用すれば 買換資産に付けられる取得価額は ( 譲渡資産の取得費 + 譲渡費用 )- 譲渡所得の必要経費 =1,600-266.6=1,333.4 万円となります この特例の計算上では 譲渡資産のマイホームローンがいくら残債として残るかは 全く考慮されません ケース B 譲渡対価 :5,000 万円取得費 ( 購入金額 - 減価償却費 )+ 譲渡費用 :3,600 万円買換資産の購入金額 :6,500 万円 買換資産の購入金額が譲渡資産の売却金額以上だった場合は 譲渡所得が無かったものとみなされます つまり http://www.up-firm.com 19
今回の税金は 0 です ただし 買換資産の実際の購入金額は 6,500 万円ですが 買換特例を適用すれば 買換資 産に付けられる取得価額は ( 譲渡資産の取得費 + 譲渡費用 )+( 買換資産の購入金額 - 譲渡対価 )=3,600+ (6,500-5,000)=5,100 万円です 特定の居住用財産の買換特例の主要な適用要件 1 不動産登記簿謄本や売買契約書で確認できる所有期間が 10 年超であること ( 売却した年の 1 月 1 日時点で ) 2 旧 マイホームの売却先は 配偶者や直系血族等の特殊関係者ではないこと また 売却額は 2 億円以下であること 3 居住期間要件 =10 年超 10 年以上住んでいること 4 過去 3 年以内 ( 売却年 その前年 前々年 ) に 以下の特例を利用していないこと 10 年超の居住用財産を売却した場合の軽減税率 ( 措置法 31 条の 3) 居住用財産の 3000 万円特別控除の特例 ( 措置法 35) 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算 繰越控除の特例( 措置法 41 条の 5) 居住用財産の譲渡損失の損益通算 繰越控除の特例( 措置法 41 条の 5 の 2) その他一定の特例 5 前年 1/1 から売却年の 12/31 までに 買換資産を購入すること 6 買換資産の土地面積は 500 m2以下 かつ建物の床面積は 50 m2以上であること 7 買換資産が中古マンションの場合 築 25 年以内又は一定の耐震基準を満たすこと 平成 22 年度税制改正での変更点適用期限は 平成 21 年 12 月 31 日までの譲渡とされていました しかし 2 年延長が決定されたので平成 23 年 12 月 31 日まで利用出来ます また 平成 22 年 1 月 1 日以降は 譲渡資産の対価が 2 億円以下という要件が追加されました なお 従来の 280 m2の床面積要件の上限は 平成 19 年 4 月 1 日以降から撤廃されています 過去の買換え特例の適用の有無について譲渡資産について 既に過年度にこの買換特例の適用を受けている場合は 税務上の簿価が圧縮されて低くなります つまり 単純な購入金額 - 建物減価償却費ではなくなります しかし 10 年以上前のことで 契約書や当時の所得税の申告書の控えが紛失している場合もあります 特例の適用自体を忘れている場合も 多いと思われます このような場合は 重要なことなので 所轄の税務署で過去の所得税の申告書を閲覧する必要があります もし確認せずに譲渡資産について実際の取得金額を使うと 税金が少ないと税務署に指摘されてしまいます http://www.up-firm.com 20
ご参考 確定申告の必要資料リスト 所得税の確定申告書(B 様式 ) 譲渡所得の内訳書( 確定申告書付表兼計算明細書 )[ 土地 建物用 ] 給与所得の源泉徴収票( サラリーマンの場合 ) 買換え資産に関する資料 買換資産の取得価額またはその見積額に関する明細書 買換え資産の売買契約書( あるいは領収書等の購入金額の分かるもの ) 登記事項証明書( 新規マイホームを取得したことを証明できるもの 購入予定の場合は買換承認申請書 ) 新規購入したマイホームの市町村の住民票の写し 譲渡資産に関する資料 譲渡資産の不動産登記簿謄本(10 年超所有していたことが分かるもの 登記事項証明書 ) 譲渡資産の閉鎖登記簿謄本( 建物を最近取り壊している場合 ) 戸籍の附票の写し 譲渡資産の以前の取得時の売買契約書( 購入金額の分かるもの ) や領収書 譲渡資産の今回の売却時の売買契約書( または領収書 売却金額の分かるもの ) 譲渡費用の領収書のコピー 売却したマイホームの市町村の除票住民票の写し( 売却して 2 ヵ月後の日付のもの ) 閉鎖登記簿謄本とは建物の滅失登記が処理されますと 原因 ( 平成何年何月何日取毀など ) が記載され登記簿が閉鎖されます これは 30 年間法務局に保存されます 普通の登記簿と同じように謄本を請求することができます 当該物件の 閉鎖登記簿謄本 ( コンピュータ庁では 閉鎖登記事項証明書 ) を法務局にて申請します 手数料は 登記簿謄本と同じく 1 通 1000 円の登記印紙です 登記簿謄本と登記全部事項証明書の相違点内容的には 登記簿謄本 = 登記全部事項証明書で同じです ただ 後者は法務局のデータがコンピュータ管理されているものです 前者はそれ以前の紙ベースのものという名称の違いです 市町村の発行する戸籍謄本と 電子化された 戸籍全部事項証明書 も同様です http://www.up-firm.com 21
各特例の併用適用について 上記の各不動産特例は 無条件に全て重複適用出来る訳ではありません 1 住宅借入金等特別控除 ( 措置法 41) 23000 万円特別控除 ( 措置法 35) 3 居住用財産を売却した場合の軽減税率 ( 措置法 31 条の 3) 4 特定の居住用財産の買換え特例 ( 措置法 36 条の 2) 5-6 買換え等の場合の譲渡損失の損益通算 繰越控除の特例 ( 措置法 41 条の 5) 7 居住用財産の譲渡損失の損益通算 繰越控除の特例 ( 措置法 41 条の 5 の 2) まず マイホームを売却した時には 売却益が出るか売却損が出るかのどちらかです したがって 売却益が出るケースで使う2~5の特例と 売却損が出るケースで使う67の併用適用はありえません 次に売却益が出る場合に ダブル適用が出来ない2+3にするか4にするか判断に迷う訳です 4の買換え特例は 2の 3000 万円特別控除や3の所有期間 10 年超の軽減税率と同時には使えません また 2の 3000 万円特別控除と1の住宅ローン控除はダブル適用できません ( 措置法 4178) つまり旧マイホームで売却益が出て 新マイホームをローンで購入した場合は1か2を選択する必要があります 概要をまとめれば 以下の通りです ケース 所有期間 2 3 4 A 10 年超 (4の要件を満たす場合) 適用可能 ( 税率は軽減 ) 適用可能 ( 税率は長期 ) B 10 年超 (4の要件を満たさない場合) 適用可能 ( 同上 ) 不可 C 5 年超 10 年以下 適用可能 ( 税率は長期 ) 不可 不可 D 5 年以下 適用可能 ( 税率は短期 ) 不可 不可 上記の表では A のケースで 2+3 にするか 4 にするかを税額試算して判断する必要があります 判断する主なポ イントは 以下の通りです イ. 新規購入のマイホームは 将来の何年か後に売却する可能性があるか? ロ. 譲渡所得の具体的金額はいくらか? ハ. 売却金額と買換え資産の金額の大小関係は? 将来のことは不確実なので よく判らない場合が多いと思われます 一般的には 3,000 万円非課税となる 2 の特例 を適用したほうが有利です しかし 譲渡益が 1 億円以上で買い替えする場合は 4 の買換特例を適用した方が有利 です http://www.up-firm.com 22
Reference Purpose Only 本レターに掲載している情報は 一般的なガイダンスに限定されています この文書は 個別具体的ケースに対する会計 税務のアドバイスをするものではありません 会計上の判断や税法の適用結果は 事実認定や個別事情によって大幅に異なることがありえます また 解説の前提となる会計規則や税制が変更されている可能性もあります 実際に企画 実行される場合は 当事務所の担当者にご確認ください http://www.up-firm.com 23