渋谷つながるプロジェクト 図 東急電鉄 東京メトロ副都心線との相互直通運転に伴う東横線渋谷 ~ 横浜間改良工事 より http://www.tokyu.co.jp/railway/railway/east/pr/13go.html Joint! ロゴ 東急電鉄 東京メトロ副都心線との相互直通運転開始に伴い 3 月 16 日 ( 土 ) に東横線のダイヤを改正します より http://www.tokyu.co.jp/contents_index/guide/news/130122.html はじめに JR など多くの鉄道会社でダイヤ改正が行われた 2013 年 3 月 16 日 我々が住む関西では特にこれといった大きな改正はありませんでした しかし 首都圏では路線図を変える 大きな出来事がありました それが 渋谷つながるプロジェクト です ここではこのプロジェクトの概要とその効果について考えて行きたいと思います 事業内容
東急電鉄 東京メトロ 13 号線との相互直通運転に伴う東横線渋谷 ~ 横浜間改良工事 より引用 http://www.tokyu.co.jp/railway/railway/east/pr/13go_map.html このプロジェクトは 名前の通り 渋谷で線路がつながったということです しかし 前項で 路線図を変える と述べましたが 新線が開通したわけではありません では どうして路線図が変わったのでしょうか? 実は もともと 高架駅の渋谷駅をターミナルとしていた東急東横線 ( 渋谷 横浜間 ) が 渋谷 代官山間の約 1.4km を地下化し 東京メトロ副都心線 ( 渋谷 小竹向原間 ) 渋谷駅に乗り入れたのです 工事は 鹿島建設株式会社により 2005 年 1 月から進められてきました 今後 旧線の高架橋を解体し 2015 年 3 月に工事が完了する予定です 又 この工事により 1 ヶ所の踏切が撤去されました 3 月 16 日ダイヤ改正概要これまで東急東横線は中目黒駅から東京メトロ日比谷線 ( 北千住 中目黒間 ) と相互直通運転を行っていましたが これを取りやめ 今改正から地下駅となった渋谷駅を通じて東京メトロ副都心線及びその先の西武有楽町線 池袋線 東武東上線と相互直通運転を開始しました これに伴い 各社で女性専用車両 弱冷房車の設定が統一された ( 下図参照 ) 他 元来 8 両編成の列車で運行されてきた東横線の優等列車が 10 両編成での運行となり ダイヤ改正前には優等列車の停車駅のホームを 10 両編成対応の長さに延長する工事が行われました ( 合わせて ホーム幅を 東京メトロパンフレット 副都心線東急東横線との相互直通運転スタート より引用 拡張する工事 駅施設のバリアフリー化工事なども行われました ) 又 朝ラッ
シュ時間帯の横浜 渋谷の所要時間が約 2 分短縮されました 各鉄道会社の紹介 渋谷つながるプロジェクト エリアの紹介 より引用 ( 数字は筆者が付け加えました ) http://www.shibuya-tsunagaru.com/img/area/img01.gif 凡例上図中の番号路線名 ( 相互直通運転区間 その区間の営業距離 ) 会社名 会社概要 ( 運営会社について ) 路線概要 ( ここでは各路線の相互直通運転区間を各線の起点 終点ではなく南 北へと見ていきます ) 1. みなとみらい線 ( 横浜 元町 中華街間 4.1km) 横浜高速鉄道株式会社
会社概要横浜市や神奈川県 東急電鉄などが出資して設立された第 3 セクター方式の会社です 営業路線はみなとみらい線のみです 路線概要 2004 年開業の新しい路線で全線が地下です 東急東横線との共同使用駅である横浜は 他にも JR や相鉄などが接続するターミナル駅です 途中のみなとみらいは 吹き抜け構造で 駅の真上にある商業施設からは駅が少しだけ見えます 色遣いも斬新で 超高層ビルが立ち並ぶこの地区らしい駅です 一方 馬車道付近には赤レンガ倉庫があったり 終点の元町 中華街は駅名通り 神戸 長崎と並び 日本三大中華街 と称される横浜中華街の最寄り駅であったりと 短い距離ではありますが 横浜開港時の歴史を感じさせる場所から近未来的なところまであり 日常生活でも観光でも非常に重要な役割を果たしています 2. 東急東横線 ( 渋谷 横浜間 24.2km) 東京急行電鉄株式会社 会社概要グループ会社が運営する雑貨店 東急ハンズ でよく知られる鉄道会社です 鉄道部門では 今回 相互直通運転を行う東横線を中心に田園都市線 ( 渋谷 中央林間間 ) 目黒線( 目黒 日吉間 ) などがあります 路線概要渋谷 横浜間を結びます かつては横浜の先 桜木町まで路線がありましたが みなとみらい線開通と同時に廃線となりました 沿線には田園調布などの住宅地があり 通勤路線として非常に重要な役割を果たしています 終点渋谷には東急が経営する高層複合施設 渋谷ヒカリエ や女子中高生に人気の SHIBUYA 109 などがあり 東急の拠点と言えます 3. 東京メトロ副都心線 ( 渋谷 和光市間 11.9km) 東京地下鉄株式会社 会社概要 2004 年までは営団地下鉄 ( 正式名称 : 帝都高速度交通営団 ) でしたが 特殊法人の整理合理化に伴い 東京地下鉄株式会社に移行されました 東京都心部に計 195.1km の路線網を持ち 多くの路線で私鉄や JR と相互直通運転を行っています それらも合わせるとネットワークの総延長は約 520km にも及びます 路線概要巨大ターミナル 渋谷を出ると ファンションの街 原宿がある明治神宮前 原宿 や百貨店が集まる新宿三丁目 大学が集まる西早稲田など個性豊かな地域を通り 池袋へと至ります ここから先は同社の有楽町線と並行しており 池袋 小竹向原間は有楽町線の複々線として開業 小竹向原 和光市間は有楽町線と線
路を共用しています 4. 西武池袋線 有楽町線 ( 小竹向原 飯能間 40.3km) 西武鉄道株式会社 会社概要プロ野球パ リーグの人気球団 埼玉西武ライオンズ の親会社として有名です 2004 年に有価証券報告書の虚偽記載の為 上場廃止し 更に翌年には創業者 堤一族の西武グループ総帥が逮捕され 会社の信用は悪化 経営難に陥りました 近年は徐々に再建が進み 再上場への準備を進めていましたが 今度は再上場に向けて一緒に頑張ってきた米投資会社 サーベラスから球団売却や一部路線の廃止などを提案され これを西武側が拒否するという問題がありました そんな西武グループですが 鉄道事業においては新宿から川越方面へ延びる新宿線系統と 池袋から秩父方面へ延び 今回 相互直通運転を行う池袋線系統があります 総延長距離 176.6km は大手私鉄としては近鉄 東武 名鉄に次ぐ長さです ( 但し 3 位の名鉄とは 250km 以上の差がありますが ) 路線概要小竹向原 練馬間は東京メトロ副都心線 有楽町線に乗り入れる為に建設された路線です 練馬からは池袋をターミナルとする池袋線に合流 石神井公園までは複々線で 今後 1 駅先の大泉公園の手前まで高架化が予定されています ( 詳細は後述 ) 埼玉県に入り 所沢でもう 1 つの本線格である新宿線と交差 1 駅先の西所沢からは沿線に西武ドームがある狭山線が伸びています 西所沢を過ぎると 難読駅名として知られる小手指 ( こてさし ) や入間市 ( いるまし ) を通過し 今回の相互直通運転では終点となる飯能へと至ります 5. 東武東上線 ( 和光市 森林公園間 40.1km) 東武鉄道株式会社 会社概要世界一高い自立式電波塔である東京スカイツリーの運営会社をグループ会社に持つことで知られていす 本業の鉄道は浅草をターミナルとし 日光 鬼怒川 宇都宮 前橋などへ向かう線系統と 今回 相互直通運転を行う東上線系統があり 茨城 神奈川両県を除く関東 5 都県に日本 2 位となる総延長距離 463.3km の路線網を持っています しかし 最大の収入源は流通産業となっています 路線概要和光市は池袋からの東上線と副都心線の合流地点であり 同駅から志木までは複々線となっています 途中の川越は 小江戸 と呼ばれる人気の観光地です その先は坂戸 東松山などを経て今回の相互直通運転の終点となる森林公園に至ります 競合路線
湘南新宿ライン ( 大船 横浜 渋谷 新宿 池袋 大宮間 ) JR 東日本 10 年ほど前に開業した路線 主に横浜 渋谷 新宿 池袋間で競合していますが 大宮から川越線で川越へ行くこともできます 特急は走っていませんが 全ての列車にグリーン車が連結されているのが特徴です 渋谷駅移転東京五輪が開かれた 1964 年以来使用され続けてきた かまぼこ状の屋根が特徴の高架の渋谷駅ですが この駅舎も今回の改正に伴い使用を終えることになりました 新たな駅は地下 30m ほどのところにあり 乗り入れ先の副都心線が既に使用している駅を共同使用することになりました 尚 同駅の管理に関しては副都心線開通時から東急が行っていました 又 東横線渋谷駅の地下移転により 今まではいったん改札を出る必要があった東急田園都市線 東京メトロ半蔵門線 同銀座線への乗り換えが 改札を出ることなく乗り換えられるようになりました ちなみに 移転直前の渋谷駅では向谷実さんによるオリジナルベルメロディ ( 駅メロ ) が流れていました 地下移転後は同氏制作の異なる駅メロが使用されています Shibuya Hikarie 号 の運転東急電鉄は 同社が運営する大型複合施設 渋谷ヒカリエ の開業 1 周年記念と 今回新たに乗り入れることになった路線沿線への同施設のアピールも兼ねて ダイヤ改正から 1 カ月以上たった 4 月 26 日より特別仕様列車 Shibuya Hikarie 号 の運転を開始しました 普段は営業運転につきますが イベント列車としても活躍します 東横線を走る列車を特別仕様にした車両で 10 両編成の為 東横線内では普通列車の運用には就きません 編集長敬白 2013 年 04 月 15 日 Shibuya Hikarie 号まもなくデビュー より引用 http://rail.hobidas.com/blog/natori/01 D7J_6014nn.jpg 外装渋谷ヒカリエをイメージしたゴールドをメインカラーとし 同施設の外観をデザインしました 全面は黒で 前に東急カラーの赤の帯を配置し 周囲にゴールドを配色しています 側面はステンレス車体ですが 上部や車両端部にゴールドを配色し 車体下部には赤の帯を配置しています
内装各車両の内装では 商業施設やイベントホール 劇場など様々な施設で構成される 渋谷ヒカリエ と 多くの魅力がある渋谷らしさをイメージした 透明感 賑やか 落ち着き のいずれかを表現しています 車内照明には省電力の LED が使用され 無線 LAN も使用できるのは まさに最先端という感じです 座席はロングシートですが この列車が単なる既存車両を用いた ラッピング車 ではなく 特別仕様車 である最大の特徴は 通常の車両より背もたれが高い点ではないでしょうか 東京に行く機会があれば ぜひ乗ってみたいですが 1 編成しか在籍していないので 乗れたら相当 ラッキー だと思います プロジェクト 今改正による効果 5 路線の中では 副都心線が最もその恩恵を受けています 今までは渋谷 池袋間で山手線にほぼ並行していることもあってか 利用客は東京メトロ各路線の平均利用客数の半分にも及ばず 最下位でしたが ( とはいっても大阪の堺筋線よりは多いのですが ) 東横線とつながったことによって本領を発揮し 今改正直前に一部リニューアルを行った伊勢丹新宿店に直結する新宿三丁目のゴールデンウィーク (GW) の乗降客数は前年比で 63% 増加しました その他の地域でも効果が出ており 東武東上線 川越の GW の乗降客数は前年比で 17% 増加しました 小江戸川越春祭り の来場客は同 2.6 倍 市内の主要施設も入場客が増加しました みなとみらい線では 開業直後の 1 カ月で路線全体の利用者数が同 8.7% 増加 その後の GW は終点の元町 中華街で乗降客数が同 31% 増加 みなとみらいでも同 17% 増加しました こちらも中華街や横浜マリンタワーなど 沿線の観光地 施設で入場者や売り上げが伸びています プロジェクト 今改正による悪影響 1 東急東横線の東京メトロ日比谷線乗り入れ廃止前述の通り 今まで東横線と相互直通運転を行ってきた東京メトロ日比谷線との相互直通運転を廃止しました 背景には車両長の違いや 副都心線直通により路線が飽和状態になることなどが挙げられますが 霞ヶ関や銀座 秋葉原や上野といった街を結び 北千住側では東武スカイツリーライン ( 伊勢崎線 ) との相互直通運転を行っていた ( 東急との相互直通運転は行っていなかった ) 日比谷線との相互直通運転が無くなったのは 利用者からすると残念なことだったでしょう しかし 中目黒では同一ホームで乗り換えができるので 利便性の低下はそれほ
ど大きくありません 2 渋谷駅での JR 等への乗り換えが不便になった今までは高架駅であった渋谷駅ですが 地下化 それも地下 5 階へと移転したことにより 高架駅である JR への乗り換えがかなり不便になりました 利用者の中では最も不満が高い項目だと思います 3 渋谷駅の 途中駅 化長年 東急の終着駅 始発駅であった渋谷駅が今回の改正により 一部列車を除いて 途中駅 になりました その結果 ホームの数が減少し 当初は混乱の懸念もありましたが 結局大きな問題が起こることはありませんでした しかし 今起きている問題として 買い物客の流出が挙げられます 今まで渋谷で買い物をしていた客が 今改正で直通するようになった新宿 池袋方面に流れ GW の渋谷駅の乗降客数は 10% 減りました 実は前年の同時期に大型商業施設 渋谷ヒカリエ が開業しており 前年が少し多くてその反動があったのかも知れませんが 新宿 池袋方面に客が流れているのは間違いないです 但し 今 渋谷周辺では再開発が行われており その再開発が終われば渋谷にも客が戻ってくるのではないでしょうか 4 各会社間の列車種別の違い 東京メトロパンフレット 副都心線東急東横線との相互直通運転スタート より引用 以前から相互直通運転を行っていた東急 みなとみらい線では 最速種別である特急に特急料金を支払うことなく乗車できますが 東武 西武 東京メトロの各社で特急に乗車するには特急料金が必要です そのため 今改正では 横浜で乗った特急が 渋谷で急行となり 小竹向原を過ぎて西武線内に入ると快速急行になったり あるいは和光市を過ぎて東武線内に入ると普通になったりという現象が起こっています 東急が 特急 をやめて 快速急行 か 急行 に統一すればよかったのではと思ってしまいますが そうすると利用客に 東急はスピードダウンした と思われてしまうかもしれないから できなかったのではないかと推測
します 5 遅延 運休発生時のダイヤの乱れが起きやすい例えば 西武線内で発生した事故によるダイヤの乱れが 遠く離れた横浜のみなとみらい線にまで影響を及ぼすこともあります 又 地震などの災害で路線が動かなくなった場合は これまで以上に渋谷や新宿 池袋に大量の帰宅困難者が発生するかもしれません プロジェクト関連路線の未来 1 副都心線小竹向原 千川間立体交差化工事副都心線とそれに平行する有楽町線の小竹向原 千川間は地下トンネル内で線路が平面交差する構造になっていますが 遅延の発生を少なくすることや 車両故障や人身事故によって列車が運休 遅延した際にダイヤの復旧をより速やかにすることを目的に 立体交差化する計画です すでに小竹向原 千川方面の工事は完了しており 2015 年度末には逆方向の工事も完了する予定です 2 池袋線連続立体交差事業この事業は元々 練馬高野台 大泉学園間で高架化 練馬高野台 石神井公園間で複々線化する事業でしたが 既に練馬高野台 石神井公園の高架 複々線化工事は完了し 残りは石神井公園 大泉学園間の高架化工事のみとなりました この事業で該当区間の踏切が撤去され 周辺道路の渋滞の解消が見込まれます 3 相鉄 東急相互乗り入れ横浜を起点に西へ 38.1km の路線網を持つ相模鉄道 ( 相鉄 ) の 都心直通プロジェクト の一環として行われます このプロジェクトでは まず 2018 年度に相鉄 西谷から JR 東海道貨物線横浜羽沢 ( 新線開業時の駅名は羽沢の予定 ) へ 2.7km の新線を敷設し JR へ乗り入れて新宿方面への列車を運行します そして 翌 2019 年 4 月に羽沢から東急東横線日吉まで 10.0km 延伸し 東横線と相互直通運転を行う計画です 但し 相鉄のホームページでは相鉄の主要駅から東急目黒線 ( 日吉 目黒間 但し 日吉 田園調 相模鉄道都心直通プロジェクト より引用 http://www.sotetsu.co.jp/train/into_tokyo/soutyoku.html 布間は正確には東横線の複々線扱い ) 目黒への所要時間が掲載されていますし
東横線には既に 4 社が乗り入れていることを考えると 日吉から目黒線 ( 正確には日吉 田園調布は東横線 その先は目黒線 ) へ乗り入れるのではないかと思われます それでも 神奈川県央部 西部から渋谷 池袋方面へのアクセスは大きく改善されることになります 最後に異なる鉄道会社が相互直通運転を行うというのは 一見 利用者にとって非常に便利なことで 私達利用者もそのメリットにだけ目が行きがちです そこで 今回はその悪影響についても考えてみました もちろん 全体でプラスになるようにしているはずですが マイナスになったところにも きちんと対策を立ててほしいです ここまでお読み頂きありがとうございました 参考資料及び画像引用元 [Web サイト ] 渋谷つながるプロジェクト http://www.shibuya-tsunagaru.com/ 東急電鉄 http://www.tokyu.co.jp/ 相模鉄道 http://www.sotetsu.co.jp/train/ 西武鉄道 http://www.seibu-group.co.jp/railways/index.html 東武鉄道 http://www.tobu.co.jp/ 編集長敬白 http://rail.hobidas.com/blog/natori/archives/2013/04/15_10.html カナロコ http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1304160004/ 日本経済新聞 http://www.nikkei.com/article/dgxnzo55033410u3a510c1l72000/ DIAMOND ONLINE http://diamond.jp/articles/-/38797 Yahoo! 路線情報乗換案内 http://transit.loco.yahoo.co.jp/ J-CAST テレビウォッチ http://www.j-cast.com/tv/2013/04/26174019.html?p=all 鹿島 ;KAJIMA ダイジェスト http://www.kajima.co.jp/news/digest/nov_2009/site/index-j.htm [ 書籍 パンフレット ] 私鉄特急年鑑 ( イカロス出版 ) 私鉄列車年鑑 ( イカロス出版 ) 東京メトロパンフレット 副都心線東急東横線との相互直通運転スタート