国際課税原則帰属主義

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2017年度税制改正 相続税・贈与税国外財産に対する納税義務の範囲の見直し

2018年度改正 相続税・贈与税外国人納税義務の見直し

第1回国際課税ディスカッショングループ 際D1-4(報告書)

デンマークとの新租税条約

2014年度税制改正大綱

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KPMG Japan Tax Newsletter

適用時期 法人の平成 26 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度分の法人税について適用されます 改正措法附則案 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例 ( 法人が支出した使途秘匿金の額に 40% の割合を乗じて計算した金額をその納付すべき法人

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

日本版スクーク ( イスラム債 ) に係る税制措置 Q&A 金融庁

平成23年度税制改正の主要項目

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

租税調査会研究報告第 25 号 恒久的施設及び帰属主義への移行に関する論点整理 平成 24 年 6 月 5 日 日本公認会計士協会 - 目次 - 頁 Ⅰ はじめに... 1 Ⅱ OECDの動向 ( 解説 ) OECDモデル租税条約第 7 条の改正... 1 (1) 改正の趣旨... 1

PE 帰属所得計算の実務と課題 平成 28 年 7 月 4 日公開草案事例を検討する 平成 29 年 7 月 11 日 ユナイテッド パートナーズ会計事務所代表取締役西村善朗 1. 平成 28 年 4 月 1 日以後開始事業年度に 報告対象となるもの (3 月決算法人である内国法人については 平成

外国法人課税とAOAの適用開始④

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

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6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

タックスヘイブン対策税制 年度税制改正 -

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【表紙】

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

「図解 外形標準課税」(仮称)基本構想

労働基準法が改正されます

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

法人による完全支配関係下の寄附金 1.100% グループ内の法人間の寄附 ( 法法 372) 現行税制上では 寄附金は支出法人では損金計上限度額を超える部分が損金不算入 受領法人では益金算入です 平成 22 年度税制改正により 100% グループ内での支出法人では寄附金全額を損金不算入とし 受領法人

株式等の譲渡(前年からの繰越損失を譲渡所得及び配当所得から控除)編

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株式等の譲渡(特定口座の譲渡損失と配当所得等の損益通算及び翌年以後への繰越し)編

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【問】適格現物分配に係る会計処理と税務処理の相違

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

2015年中国税务年会

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平成30年3月期決算の留意事項(税務)


1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

恒久的施設(PE)と外国子会社合算税制の見直し

投資主の皆様へ 平成 29 年 3 月 マリモ地方創生リート投資法人 第 1 期分配金の税務上の取扱いに関するご説明 拝啓平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます さて 本投資法人は 平成 29 年 2 月 14 日開催の役員会において 第 1 期 ( 平成 28 年 12 月期 ) の (A)

49 年 12 月 31 日までの間 源泉徴収される配当等の額に係るの額に対して 2.1% の税率により復興 特別が源泉徴収されます b. 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 分割型分割及び株式分配並びに組織変更による場合を除く 以下本 1において同じ

e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

IFRS基礎講座 IAS第12号 法人所得税

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平成 22 年 4 月 1 日現在の法令等に準拠 UP!Consulting Up Newsletter 無対価での会社分割 バックナンバーは 当事務所のホームページで参照できます 1

 

1 仮想通貨の売却問保有する仮想通貨を売却 ( 日本円に換金 ) した際の所得の計算方法を教えてください ( 例 )3 月 9 日 2,000,000 円 ( 支払手数料を含む ) で4ビットコインを購入した 5 月 20 日 0.2 ビットコイン ( 支払手数料を含む ) を 110,000 円で

2 租税条約があるか 租税条約が締結されている国の外国法人に対しては 租税条約で国内税法と異なっ て規定されている場合は 租税条約の規定が優先して適用される ( 国租法第 28 条 ) 3 免税所得に該当するか 国内源泉所得に該当しても 国内税法上または租税条約上 課税されるかあるいは 免税されるか

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法人税制改正詳解 CONTENTS はしがき 第 1 章平成 23 年 12 月改正 第 1 節 法人税率の引下げ 2 1 改正の趣旨及び内容 2 2 税率引下げの必要性 5 3 実効税率の計算への改正の影響 7 4 適用関係 8 5 実効税率と復興特別法人税との関係 8 6 法

債券税制の見直し(金融所得課税の一体化)に伴う国債振替決済制度の主な変更点について

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税法実務コース 海外勤務者と外国人の出国 入国 滞在時の国際税務 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 1 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 第 7 章 第 8 章 テーマ 1 居住者 非居住者判定テーマ 2 課税範囲についてテー

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検査の背景 (1) 事業者免税点制度消費一般に幅広く負担を求めるという消費税の課税の趣旨等の観点からは 消費税の納税義務を免除される事業者 ( 以下 免税事業者 という ) は極力設けないことが望ましいとされている 一方 小規模事業者の事務処理能力等を勘案し 課税期間に係る基準期間 ( 個人事業者で

租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) 第十条の二 第四十二条の五 第六十八条の十 租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) ( 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除 ) 第十条の二青色申告書を提出する個人が 平成三十年四月一日 ( 第二号及

申告所得税関係 手続名 帳票名平成年分セルフメディケーション税制の明細書 ( 次葉 ) 特定証券投資信託に係る配当控除額の計算書 平成 年分給与所得の源泉徴収票 ( 平成 28 年以降用 ) 平成 年分特定口座年間取引報告書 ( 平成 28 年以降用 ) 平成 年分公的年金等の源泉徴収票 ( 平成

投資主が受け取る配当等の額については 原則どおり配当等の額を受け取る際に20%( 所得税 )( 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までは復興特別所得税とあわせて20.42%) の税率により源泉徴収された後 総合課税の対象となります ( ロ ) 出資等減少分配に係る税

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

1. 国際的二重課税の発生理由と態様 3 税を行っていますが 諸外国においても 一般に 我が国の場合と同様に 国だけでなく地方公共団体も独自に課税権を有していますので 国の段階と地方公共団体の段階とで重複して 国際的二重課税 が生ずることとなっています 国際的二重課税 とは 基本的には このように捉

II. 課税標準の確定申告と納付 ( 地 税法第 103 条の23) 1. 申告期限 各事業年度の終了 が属する の末 から4ヶ 以内 ( 連結法 は5ヶ 以内 ) に納税地管轄の地 治 団体の に申告 納付しなければなりません 法 地 所得税の申告納付期限は下記のとおり 部変更されました 区分 従

この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

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1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

平成 29 年度税制改正解説国際課税 ~ 外国子会社合算税制の改正 2 4. 外国子会社合算税制の適用フローチャート 改正前 合算課税の適用対象となる内国法人等の判定 用語解説 丸数字は左のフローチャートと対応 合算対象法人における判定 1 外国法人の株式を 10% 以上保有しているか? 合算所得な

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障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

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ゴルフ会員権の売却と損益通算 1. 概要 個人で所有する預託金方式のゴルフ会員権の場合 総合課税の譲渡所得として その売却損は損益通算できま す ( 所基通 33-6 の 2) ゴルフ会員権やレジャークラブ会員権は優先的プレー権と預託金返還請求権の 2 要素があり 売却した場合は譲渡所得になります

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

日本基準でいう 法人税等 に相当するものです 繰延税金負債 将来加算一時差異に関連して将来の期に課される税額をいいます 繰延税金資産 将来減算一時差異 税務上の欠損金の繰越し 税額控除の繰越し に関連して将来の期に 回収されることとなる税額をいいます 一時差異 ある資産または負債の財政状態計算書上の

(ⅲ) 源泉徴収選択口座への受入れ 源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

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Q1 法人事業税の負担変動の軽減措置とは どのような制度ですか? A. 平成 27 年度税制改正により導入された 外形標準課税の拡大 ( 所得割の税率引き下げ及び付加価値割 資本割の税率引き上げ ) によって生じる税負担の変動の影響を緩和する措置で 付加価値額が一定以下の法人を対象に税負担の増加につ

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企業中小企(2) 所得拡大促進税制の見直し ( 案 ) 大大企業については 前年度比 以上の賃上げを行う企業に支援を重点化した上で 給与支給総額の前年度からの増加額への支援を拡充します ( 現行制度とあわせて 1) 中小企業については 現行制度を維持しつつ 前年度比 以上の賃上げを行う企業について

[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

●租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案

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Japan tax newsletter KPMG Tax Corporation 11 November 2013 KPMG Japan tax newsletter 国際課税原則帰属主義 (AOA 適用 ) への見直し I. 改正のポイントと影響 1. 改正のポイント. 2 2. 改正の影響.. 3 II. AOA 報告書の概要 A. 外国法人課税 1. 基本方針...3 2. 国内源泉所得.. 4 3. PE 帰属所得.... 4 4. PE への帰属資本 支払利子控除制限.. 5 5. 外国税額控除.. 6 6. 文書化.. 6 7. 課税標準 欠損金 6 8. PE の閉鎖 譲渡 設立 6 9. その他... 6 B. 内国法人課税 1. 外国税額控除... 7 2. 国外 PE 帰属所得... 7 2013 年 10 月 24 日 政府税制調査会の国際課税ディスカッション グループの会合において 国際課税原則の総合主義 ( 全所得主義 ) から帰属主義への見直し と題する報告書 ( 以下 AOA 報告書 ) が財務省により提出されました 日本の国際課税の原則が総合主義から帰属主義へ見直されることは かねてより 税制改正大綱などで示されていましたが AOA 報告書により 本改正の具体的な方向性が示されたこととなります このニュースレターでは 同報告書の概要をお知らせいたします

KPMG Japan tax newsletter/november 2013 2 AOA 報告書は 財務省主税局参事官の私的研究会として有識者によって構成された 帰属主義研究会 においてとりまとめられたものであり 同報告書で示された改正の方向性は変更される可能性があります 今後 政府税制調査会及び与党税制調査会等の議論を経て 12 月に公表される 2014 年度税制改正大綱で改正内容の概要が示されたのち 来年 3 月の改正法案の国会通過により確定されることが見込まれます なお 施行の時期についてはまだ明らかにされていません ( 本改正は個人の課税関係も対象としていますが 自国外に恒久的施設 ( 以下 PE (Permanent establishment)) を有して事業活動を行う個人は少ないと考えられますので このニュースレターでは法人の課税関係に限定して記述しています ) I. 改正のポイントと影響 1. 改正のポイント 国際課税原則の総合主義から帰属主義への見直し の改正には 以下の 2 つの要素が含まれています 総合主義から帰属主義への変更 PE 帰属所得の算定に AOA を適用 (1) 総合主義から帰属主義への変更 総合主義から帰属主義への変更は 多くの国で広く採用されている帰属主義を導入することにより二重課税 二重非課税を緩和し 日本が締結している租税条約との整合性を図ることを目的としています 総合主義と帰属主義では 国内に PE を有する外国法人の課税所得の範囲が異なります 帰属主義のもとでは PE に帰属する国内事業所得が法人税の課税対象とされ PE に帰属しない国内源泉所得については 国内に PE を有しない外国法人と同様の課税 ( 一部の譲渡所得等を除き 原則として 源泉所得課税のみ ) がなされます 一方 総合主義のもとでは 国内に PE を有する外国法人については その PE に帰属する国内事業所得に ( 原則として ) 国内源泉所得のすべてが合算され 法人税の課税対象とされます 日本が締結している租税条約のすべてにおいて帰属主義が採用されており 条約締結国の外国法人には現在も帰属主義が適用されていますので この改正による影響はありません しかし 条約非締結国の外国法人については この改正により PE を有する場合の法人税課税の範囲が縮小されることとなるほか PE を有しないと理解していた法人が PE 認定を受けた場合においても PE に帰属しない国内源泉所得の課税関係に影響が及ぶことはなくなり 課税の予見可能性が高まることが期待されます (2) PE 帰属所得の算定に AOA を適用 OECD モデル租税条約の第 7 条 ( 事業所得条項 ) では 従前より帰属主義を原則としていたものの その解釈や運用が統一されていなかったため 二重課税 二重非課税を効果的に排除することができていないという問題提起がされていました そこで OECD は検討を重ね PE への利得の帰属に関するレポート を 2008 年及び 2010 年に公表し PE 帰属所得の算定方法として AOA ( Authorised OECD Approach/OECD 承認アプローチ ) をとりまとめました

KPMG Japan tax newsletter/november 2013 3 AOA のもとでは PE の果たす機能及び事実関係に基づいて 外部取引 資産 リスク 資本を PE に帰属させ PE と本店等との内部取引を認識し その内部取引が独立企業間価格で行われたものとして PE 帰属所得を算定することとなります なお OECD モデル租税条約の第 7 条及びそのコメンタリーは 2010 年に AOA に沿ったものに改正されましたが 現在締結されている租税条約の多くが改正前の第 7 条 ( 旧 7 条 ) 型であることから 旧 7 条及びそのコメンタリー (2008 年に改正され 旧 7 条の条文に矛盾しない範囲で AOA を部分的に導入しています ) も OECD モデル租税条約 コメンタリーに付録として収録されています 2. 改正の影響本改正により 日本の外国法人課税には 以下のような影響があるものと考えられます 外国法人 ( 条約非締結国 ) 外国法人 ( 条約締結国 ) 国内 PE あり 国内 PE 帰属所得以外の所得の法人税における合算課税がなくなる 国内 PE 帰属所得の計算変更あり ( 内部取引の認識 文書化等 ) 外国税額控除の導入 国内 PE 帰属所得の計算変更あり ( 内部取引の認識 文書化等 ) 外国税額控除の導入 国内 PE なし 原則として影響なし (PE 認定がなされたとしても 国内 PE 帰属所得以外の国内源泉所得に係る課税関係の変更が生じなくなるため 予見可能性が高まる ) 原則として影響なし また 外国法人課税の原則の改正に伴い 内国法人についても 以下のような影響があるものと考えられます 内国法人 国外 PE あり 新たに国外 PE 帰属所得が国外所得として定義づけられることから 外国税額控除の計算に影響あり ( 内部取引の認識 文書化等 ) 国外所得の範囲の定義変更により 国外 PE 帰属所得以外の所得に関する外国税額控除の計算にも影響が生じる可能性あり 国外 PE なし 国外所得の範囲の定義変更により 外国税額控除の計算に影響が生じる可能性あり II. AOA 報告書の概要 AOA 報告書で示された本改正の概要は 以下のとおりです (AOA 報告書においては改正の方向性が提案形式で述べられていますが ここでは提案形式の表現を省略しています ) A. 外国法人課税 1. 基本方針 外国法人に対する国内法の課税原則を 総合主義から帰属主義に変更する 帰属主義は基本的に 2010 年改正後の OECDモデル租税条約第 7 条 ( 新 7 条 ) と整合性を図るものとする

KPMG Japan tax newsletter/november 2013 4 2. 国内源泉所得 (1) 国内にPEを有する外国法人の課税関係 PE 帰属所得を国内源泉所得として位置付ける ( たとえば PE の第三国における投資所得は 現地国における課税の有無にかかわらず 日本で課税されることとなる ) PE 帰属所得以外の国内源泉所得は PE 帰属所得とは分離して課税することとし 原則として 国内に PE を有しない外国法人が得る国内源泉所得と同様の課税関係とする (2) 国内にPEを有しない外国法人の課税関係 原則として改正なし 3. PE 帰属所得 (1) 基本的考え方 PE 帰属所得は PE が本店等から分離 独立した別個の者であるとした場合に その PE によって遂行された機能 使用された資産及び引き受けられたリスクに基づき 独立企業同士であればその PE が取得したとみられる所得とする (2) 単純購入非課税の規定 PE が本店等のために行う単なる購入活動からは所得が生じないものとする単純購入非課税の取扱いは 独立企業原則との整合性の観点から廃止する ( 旧 7 条は単純購入非課税を定めているため 条約の直接適用が可能であるとしても 法令の適用の明確化等の観点から 国内法で調整措置を講ずる ) (3) 内部取引 PE 帰属所得の計算上 PE と本店等との間で資産の移転 役務の提供その他の行為があった場合において 独立企業同士で同様の事実があったとしたならば対価のやり取りが行われるであろうと認められる事実があるときは その事実に即して PE と本店等との間で あたかも独立企業同士で行われた取引と同様の取引が行われたものとみなす PE 帰属所得の計算上 本支店間の内部保証取引及び内部再保険取引は認識しない 新 7 条締結国及び条約非締結国との関係では 無形資産の内部使用料及び一般事業会社の内部利子 ( 以下 内部使用料等 ) を含めたすべての内部取引について益金算入 損金算入とし 旧 7 条締結国との関係では 内部取引のうち内部使用料等に限って益金不算入 損金不算入とする 内部取引損益の認識は 外部取引損益の実現時ではなく 内部取引が行われたときとする 以下の点に関し 移転価格税制と同様の取扱いとする 内部取引価格と独立企業間価格が異なる場合において PE 帰属所得が過少となっているときは 取引価格を独立企業間価格に引き直して PE 帰属所得を増額調整する

KPMG Japan tax newsletter/november 2013 5 租税条約に基づく対応的調整により PE 帰属所得の減額を行うことは可能と考えられる 更正期限を延長する特例 同業者に対する質問検査権及び推定課税についても 移転価格税制と同様とする 内部取引に関する法人税 租税特別措置法上の取扱いは 以下のようにする 本支店間の内部貸付は 貸倒引当金の対象外とする 独立の当事者同士であれば寄附金と認識されるような事象が本店と PE との間に存在する場合には これを本店と PE との間の寄附金と認識し 国外関連者に対する寄附金と同様に 全額損金不算入とする 外国子会社配当益金不算入制度 連結納税制度の適用はなし 過少資本税制の適用はないが 過大支払利子税制の適用はあり 内部取引は税務目的で擬制された取引であることから 企業に対して実際の対価のやりとりを求めない 内部取引の独立企業間価格算定については 事前確認の対象とする 内部取引に対する源泉徴収による課税は行わない (4) 費用配賦 ( 本店配賦経費 ) 費用配賦については 従来の費用配賦と同様 単なる費用配賦として認められる額は本店等が外部に支払った実額を合理的な基準で支店に割り振った額までの損金算入を認める ただし 費用配賦の算定に関する文書化がなされていない場合には 算定の根拠資料の提出がなされるまで 損金算入を認めない 4. PEへの帰属資本 支払利子控除制限 PE が本店等から分離 独立した企業であるとした場合に必要とされる程度の資本を PE に配賦する PE に配賦すべき資本の算定方法は 以下の 2 つを基本とする ( 優先順位はつけないが 継続適用を求める ) (i) 資本配賦アプローチ ( 本店等の資本の額を一定の基準で PE に配賦する方法 ) (ii) 過少資本アプローチ (PE 所在地国において同様の活動を行う独立企業が有するものと同等の資本を PE に帰属させる方法 ) 無償資本の配賦のアプローチについても事前確認の対象とする PE で計上された負債利子総額のうち PE に配賦された資本から PE で計上された資本を控除した部分に対応する支払利子について PE 帰属所得の計算上 損金算入を制限する PE 帰属資本は PE における支払利子の損金算入限度額の計算においてのみ用いることとし PE の税務上の資本金等の額の計算には影響させない

KPMG Japan tax newsletter/november 2013 6 5. 外国税額控除 外国法人の PE 帰属所得について日本で課税を行う場合には 外国法人の PE が本店所在地国以外の第三国で稼得した所得について二重課税を受けるため PE に対して外国税額控除を供与するための制度を新たに設ける 課税対象となる国内源泉所得を決定するソースルールとは別に 外国税額控除の限度額算定の基礎となる国外所得の範囲を定義する PE 帰属所得のうち PE 帰属所得以外の所得に対するソースルールで判定した場合に国外で生じたものと認められる所得を 外国税額控除の限度額算定の基礎となる国外所得とする 6. 文書化 PE 帰属所得に係る文書化には 以下の 2 つのステップがある 第 1 ステップ : 内部取引及び PE に帰属する外部取引の認識のための文書化第 2 ステップ : 内部取引の独立企業間価格算定のための文書化 第 1 ステップの文書化において必要な書類としては たとえば 以下のものが考えらえる 契約書 領収証 送り状等の証憑類に相当する内部取引に関する書類 内部取引の内容を記載した書類 PE 及び本店が果たす機能及びその機能に関連するリスクの内容を記載した書類 外部取引において通常存在するであろう契約書等の証憑類に相当するものについては 青色申告法人の帳簿保存義務の対象とする 7. 課税標準 欠損金 国内に PE を有する外国法人の課税標準を PE 帰属所得 及び PE 非帰属国内源泉所得 の 2 区分とし これらの所得を通算しないこととする 欠損金も同様に 2 区分とする 8. PEの閉鎖 譲渡 設立 PE 閉鎖時の PE 帰属資産については その含み損益を PE 帰属所得に加減算して課税を行う PE 全体が外部に譲渡される場合には PE が自らの資産をすべて売却したものとみなして PE 帰属所得として課税する PE の設立にあたって本店等から PE に資産を移転する場合には PE では時価で資産を取得したものと整理し PE に含み損益を持ち込まないことする 9. その他 外国法人の PE 帰属所得及び税額計算に関して 同族会社の行為計算否認に類似した租税回避防止規定を設ける 内部取引は法人税 所得税における PE 帰属所得の算定の目的上認識するものであるため 消費税の課税対象とはならない

KPMG Japan tax newsletter/november 2013 7 法人住民税及び事業税の取扱いについても 原則として 帰属主義に変更する法人税の取扱いに準じる方向で見直す B. 内国法人課税 1. 外国税額控除 現行法令上 国外所得は 国内源泉所得以外の所得 と規定されているだけであるが 内国法人の外国税額控除の対象となる国外源泉所得の範囲を明確にするため 国外所得を項目ごとに定義する方式に改める 国外 PE 帰属所得は 国外所得とされる項目のひとつとする 2. 国外 PE 帰属所得 国外 PE 帰属所得の算定は 外国法人の PE 帰属所得の算定と同様に 本支店間に独立企業原則を導入して算定することが原則であるが 以下の点に配慮することとする 国外 PE 帰属所得の算定において 無償資本の配賦計算をオプションとする ( 計算明細を添付する等の要件を満たす場合に限って 過大な利子を損金不算入とすることを認める ) ただし 銀行業及び証券業を営む法人については 別途規定が設けられる 内部取引に関して作成を求める文書のうち 外部取引において通常存在するであろう契約書等の証憑類に相当するものについては 青色申告法人の帳簿保存義務の対象としない KPMG 税理士法人 106-6012 東京都港区六本木 1-6-1 泉ガーデンタワー TEL:03-6229-8000 FAX:03-5575-0766 530-0005 大阪府大阪市北区中之島 2-2-2 大阪中之島ビル 15F TEL:06-4708-5150 FAX:06-4706-3881 451-6030 愛知県名古屋市西区牛島町 6-1 名古屋ルーセントタワー 30F TEL:052-569-5420 FAX:052-551-0580 http://tax.kpmg.or.jp/ info-tax@jp.kpmg.com The information contained herein is of a general nature and is not intended to address the circumstances of any particular individual or entity. Although we endeavor to provide accurate and timely information, there can be no guarantee that such information is accurate as of the date it is received or that it will continue to be accurate in the future. No one should act on such information without appropriate professional advice after a thorough examination of the particular situation. 2013 KPMG Tax Corporation, a tax corporation incorporated under the Japanese CPTA Law and a member firm of the KPMG network of independent member firms affiliated with KPMG The KPMG name, logo and cutting through complexity are registered trademarks or trademarks of KPMG International.