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水工学論文集, 第 巻,7 年 月 阿武隈川流域における平常時の水質と栄養塩負荷の実態 WATER QUALITY AND NUTRIENT LOADS IN THE ABUKUMA WATERSHED UNDER NORMAL FLOW CONDITION 木内豪 虫明功臣 Tsuyoshi KINOUCHI and Katumi MUSIAKE 正会員博 ( 工 ) 福島大学共生システム理工学類環境システムマネジメント専攻 ( 96-96 福島県福島市金谷川 番地 ) フェロー会員工学博士福島大学共生システム理工学類環境システムマネジメント専攻 ( 96-96 福島県福島市金谷川 番地 ) This study investigated present status of water quality and nutrient loads in the Abukuma River Watershed under normal flow condition. The analysis of routinely measured data showed typical transversal patterns of BOD, TN and TP concentrations along the mainstream, which can be related to the agricultural, domestic and livestock pollutant sources. Water quality in tributaries showed strong correspondence to the land use. NO -N is strongly related to the percentage of cropland, and BOD, NH 4 -N and TP to the percentage of built area in each sub-basin. The total nutrient and BOD loads from tributaries and wastewater treatment plants are greatly reduced in the main stream, probably because of the deposition and nutrient uptake enhanced by dams in the mainstream. Phosphorus in the mainstream is likely deposited by chemical and/or physical processes in the flow such as adsorption and flocculation. Key Words : Nutrient, BOD, Abukuma Watershed, Mass balance, Land use. はじめに. 阿武隈川流域の概要 阿武隈川流域は福島県中通り地方から宮城県南部に至る地域の都市活動や地域文化 自然環境の基盤を為し 本川沿いには郡山市 福島市 白河市 須賀川市 二本松市などの都市が連続的に位置する 必然的に 阿武隈川本川は支川流域内の活動で生じる汚濁物質を集めながら流下するため 過去暫くは BOD を指標にした水質が東北で最も悪い一級河川であった 近年は環境基準を全地点で満たしているが 汚濁の程度 ( 濃度レベルや見た目の汚さ ) は達成率で見るほど改善していないのが実情であり 阿武隈川に清浄な流れを取り戻すにはほど遠い 阿武隈川の水質については様々な研究が行われている例えば )) が 本研究では流域管理の視点による効果的な水質改善に資することを目的として 阿武隈川の本川 支川の水質の時空間分布の実態解明を行った 本論文では既存データ及び 6 年に実施した河川の流量 水質の一斉調査結果を用いて 河川水質の時空間分布の実態 支川からの栄養塩負荷流出 河川水質の形成要因 阿武隈川本川における汚濁物質の輸送および自浄作用の実態について検討を行ったので その結果を報告する 阿武隈川流域の面積は約,4km で流域内には約 4 万人が居住している 本流域の西側は奥羽山脈が南北に走っており地形が急峻で 地質は火山噴出物からなるため 支川が多量の土砂を流出して山麓地帯に扇状地を形成し 洪積層 沖積層が発達している また 阿武隈川本川の東側は花崗岩質の阿武隈山地丘陵からなり 比較的緩勾配の支川が本川に流れ込んでいる 奥羽山脈と阿武隈山地にはさまれるように阿武隈川本川沿いの平野があり 様々な都市基盤と水田 畑地等が広がる 流域の平均降水量はおよそ,~,mm で 平野部から阿武隈山地ではおよそ,mm 奥羽山脈側で,mm 程度である 流域の土地利用は 国土数値情報を用いて算出すると 森林 6%( 公称値は森林 7%) 水田 6% 畑 4% 建物用地 幹線交通用地 7% 荒地 内水地 その他 6% ゴルフ場 % となっている 中流域平野部の灌漑農業は 猪苗代湖からの毎秒最大約 m /s の取水と安積疏水によって支えられている 阿武隈川流域のうち 福島県内の下水道普及率は約 4% 汚水処理人口普及率は約 64% である 福島県では

.. BOD (mg/l).. 羽太橋. 田町大橋上流 川ノ須目賀橋川 4 6 7 8 9 4.. 6 8 TN(mg/l).... 田町大橋上流 羽太橋 川ノ須目賀橋川 4 図 - 阿武隈川流域 ( 地点の具体名は図 - 下段参照. 図 - に表示の無い J は福島流量観測所 L は八幡流量観測所 ). 6 8 総合的な汚水処理構想として 全県域下水道化構想 を策定し 年までに県全体で下水道 農業集落排水 合併処理浄化槽等の普及率をそれぞれおよそ 66% % % まで高めようとしている 図 - には本論文で対象とする阿武隈川本川の水質調査地点 ( 地点番号 A~L は後の説明で頻出する ) 支川流域界と主たる支川流域の名称 本川に 箇所ある発電用ダム ( 飯野ダム 信夫ダム ) と乙字ヶ滝地点にある取水堰の位置 下水処理場 (W~W は本川に直接放流する処理場 ) の位置 直轄ダム 箇所と県管理ダム 箇所の位置を示す ( 流域内にはこのほかにも灌漑ダムや農業用ため池も多数存在している ). 既存データに基づく本川水質の特徴把握 阿武隈川流域では数多くの支川が串状に本川に流入していることから 本川の流下に伴う水質変化を調べることは 本川での汚濁負荷の挙動だけでなく流入する支川流域の水質を把握することにもなる 図 - は BOD TN TP 濃度の本川流下に伴う変化を表示したもので 経年的トレンドが含まれないよう最近 4 ヶ年分 ( 年 4 月 ~ 年 月 ) の月別平均値を用いた 上流地点の TN TP を除き 全体的に季節変動が大きいものの 流下方向には一定の変化パターンが存在していることがわかる 全 TP(mg/l)... 田町大橋上流 B 羽太橋 A 川ノ目須橋賀 C 川 D E F G 4 図 - 阿武隈川本川の水質濃度縦断変化 (.4~.) 地点で各月のデータが存在する BOD 濃度で見てみると からに至る区間で濃度が上昇傾向にあることと 川ノ目橋と須賀川の間及びとの間で濃度の減少が見られることが特徴的である この特徴は TP 濃度についても見られるが TN 濃度の場合は 月と 8 月のデータを見る限り 川ノ目橋と須賀川の間の濃度減少は見られない 濃度増大の原因は何らかの負荷流入に起因するが 濃度減少の原因としては 河道内における負荷の除去か低濃度の支川流入による希釈のいずれかあるいは双方が影響していると考えられる 負荷量 ( 濃度と流量の積 ) の流下方向変化を見てみると 月によっては例外もあるが BOD と TP ではとの間で負荷量の減少が確認できる ( 図 -) BOD では上流の川ノ目橋と須賀川の CD 間でも負荷量減少が現れている月があるが これに H I K

BOD (kg/yr) TN (kg/yr) TP (kg/yr) 6 4 8 7 6 4 4....... 田町大橋羽上太流橋 4 6 7 8 9 川ノ須目賀橋川 4 田町大羽橋太上橋流 6 8 須賀川川ノ目橋 4 田町大橋羽上太流橋 B A 6 8 川須ノ賀目川橋 D C E F G は CD 区間に存在する取水堰による沈降や取水の影響が関係するものと推察される 年平均の汚濁負荷の区間増加量 ( 下流地点の負荷量から上流地点の負荷量を差し引いた量 ) の最大値は BOD ではとの間 (IK 間 ) の.kg/yr TN では阿武隈橋との間 (GH 間 ) の 9.kg/yr TP ではと阿久津の間 (EF 間 ) の.kg/yr であった また 本川の 地点間における BOD TN TP 負荷の変化量を 地点間に流入する集水域の面積で除して 区間別の単位集水面積あたり負荷量 ( 以下 単位流入負荷量と呼ぶ ) を比較した ( 表 -) なお 上流 地点と中下流 7 地点で TN と TP については調査日が大きく異なる場合があるため CD 間の結果は示していない 年平均値で比べると BOD と TP の単位流入負荷量は阿久津と阿武隈橋の間 (FG 間 ) が最大で TN の単位流入負荷量は阿武隈橋との間 (GH 間 ) が最大であった また と H I K 4 図 - 阿武隈川本川の負荷量縦断変化 (.4~.) 表 - 年平均の区間別単位流入負荷量 AB BC CD DE EF FG GH HI IK BOD.7. -8. 7.8.4.7.8.4 4. TN 9.. -. 4.7 8..6.7 9.9 TP.4.7 -.4..6 -.. ( 単位 :kg/yr/km ) の間 (HI 間 ) では BOD と TP の単位流入負荷量が非常に小さく 本川ダムによる沈降や植物プランクトンによる栄養塩取り込みなどがその要因として示唆される 本川水質の流下方向変化には支川流域からの流入負荷量が直接影響することから 支川の水質と支川からの負荷を把握することも重要である 既存の支川水質データは必ずしも本川と同月同日に行われた調査によるものではなく また 窒素 リンの測定を行っていない支川も多いことから 全体像を把握するための一斉観測を別途実施したので この結果については後述する 以下では 福島県水環境グループより入手したデータをもとに本川の区間別に流入支川流域 ( 残流域を含む ) の土地利用別面積 処理方式別汚水処理人口 家畜種別家畜頭数を整理し 本川水質変化と流域状況との対応を考察する ( 図 - 4~ 図 -6) なお このデータから原単位法を用いて発生汚濁負荷量を推定することも可能だが 本論文では流域状況と本川水質の関連性を定性的に見るにとどめた 農地流域の河川水質は一般に水田 畑地における施肥の影響を強く受ける したがって 水田 畑地の面積率の大きい CD 間や FG 間 ( 図 -4) にこの影響が現れている可能性がある 確かに FG 間では下水処理水放流もないにもかかわらず BOD TN TP の年平均単位流入負荷量が他区間よりも大きい ( 表 -) ことから 水田 畑地 ( 特に畑地 ) の影響が指摘できる また 表 - によると GH 間でも BOD TN TP の年平均単位流入負荷量が相対的に大きな値を示した しかし GH 間は他流域に比較して 農地面積割合 汚水処理人口 家畜頭数ともに他の区間との顕著な違いは見いだせない GH 間では流域下水道処理場からの放流があり 集水域界を越えて集まる汚水の影響が含まれていることや 農地系 畜産系 生活系の影響が複合的に現れた可能性 また 流域面積が小さく到達距離の短い小河川が流入していることが影響していると考えられる 汚水処理人口の分布 ( 図 -) を見ると 郡山市のある EF 間 福島市のある IK 間で人口が多く 下水道以外の処理方式で比較してもこの 区間で人口が多い しかし 年平均の単位流入負荷量は BOD では 区間でほとんど差がないが TN TP では EF 間の方が大きく TP ではかなりの違いが生じている これは 両区間の農地面積 ( 図 -4) や畜産頭数 ( 図 -6) の違いの影響が現れた結果であると考えられる また BC 間と FG 間では 農地の割合が若干 FG 間で高いものの BC 間で 4 万頭を超える牛豚が飼育されているのに対して FG 間の牛豚飼育頭数は

各土地利用の割合 % 8% 6% 4% % % 8 4 66 4 8 市街地畑地水田山林 原野等 6 8 66 -A A-B B-C C-D D-E E-F F-G G-H H-I I-K 区間 人口 ( 4 人 ) 頭数 ( 4 頭 ) 図 -4 区間別 土地利用種別の集水域面積図中の数字は各区間の集水域面積 (km ) の合計値 4 下水道合併処理浄化槽単独処理 + し尿処理 -A A-B B-C C-D D-E E-F F-G G-H H-I I-K 区間 図 - 区間別 処理方式別の汚水処理人口 牛 豚 -A A-B B-C C-D D-E E-F F-G G-H H-I I-K 区間 図 -6 区間別 家畜種別の家畜頭数 少ないことから BC 間の単位流入負荷量が FG 間よりも大きくなると思われたが BOD TN TP のいずれの単位流入負荷量も FG 間が相当多いという結果になっている この原因としてダムの存在 ( 図 -) や支流域の大きさ 畜産の糞尿管理方法の違い等が考えられるが定かではなく 今後の検討課題である 4. 一斉観測による水質実態の把握 () 一斉観測の概要阿武隈川の本川と支川のうち 福島県内に位置する 7 地点 ( 本川 地点 支川 4 地点 ) にて採水 現地水質調査 室内水質分析を行った 今回の調査は公共用水域水質調査の 6 年 月の実施にあわせて行い 公共用水域水質調査では測定されない地点 項目について独自に測定 分析を行った また 箇所の下水処理場でも放流水をサンプルして同様の分析を行った 水質調査は / /6( 郡山市 ) /7( 国土交通省 ) /8( 国土交通省 福島県 福島市 福島大学 ) /9( 福島県 福島大学 ) に実施された また調査を実施しなかった下水処理場については 放流水の水質検査結果を別途関係機関よ 図 -7 測定対象支川流域別の TN, TP 負荷量 り入手した 測定 分析項目は 流量 気温 水温 透視度 電気伝導度 BOD TN TP NO -N NO -N NH 4 -N PO 4 -P DO ph SS Chl-a 窒素安定同位体比 δ N 等である () 支川別の本川流入負荷量支川別の本川流入負荷のうち BOD 負荷量は福島市内を流れる濁川及び郡山市内を流れる逢瀬川で大きく 生活排水等に由来するものと考えられた TN は畑作が盛んな右側支川の広瀬川 移川 大滝根川や温泉地を抱える摺上川や荒川で大きい値を示した ( 図 -7) TP 負荷量は五百川や笹原川で大きく ( 図 -7) 笹原川については養魚に由来する負荷と考えられた ) () 本川流下に伴う水質変化本川の測定地点 A~L における濃度と負荷量を図 -8 に示す NO -N と PN( 懸濁態窒素 ) 以外の水質項目は全て H で相対的に高い濃度を示しており 阿久津橋 F から H に至る間で濃度の高い無機態の N P の流入が伺える また H を過ぎると NO -N 以外の項目で濃度が低下し K で極小値を示した後 八幡流量観測地点 L で再び濃度の上昇が見られた また 負荷量で見てみると BOD と TP が HI 間で 割以上減少しているとともに CD 間でも BOD 負荷量の減少や TN TP 負荷量が微増にとどまるという特徴が見られた HI 間では懸濁態リン (PP) と同時に PO 4 -P も減少していることや Chl-a 量の増加が確認されたことから 本川のダム 取水堰による滞留区間で懸濁成分の沈降や溶存成分の除去 ( プランクトンや藻類による吸収 ) が進行したことによると考えられる GH 間においては NH 4 -N の濃度 負荷量が急激に増大するとともに HJ 間では元のレベルに減少しており GH 間で流入した下水処理水が HJ 間で硝化反応によって NO -N に変化したり プランクトンに取り込まれたことを示唆する また TP PO 4 -P の濃度 負荷量がダム 堰の存在しない IJ 間でも減少し 逆にこの区間では PP が増大するという結果が得られた この原因は別途検討中であるが IJ 間で流入する支川 ( 荒川 ) に含まれる SS にリンが吸着したか 鉄やアルミニウムのイオンと

Concentration (mg/l)... BOD Concentration (mg/l).... TN NO-N NH4-N PN Concentration (mg/l).... TP PO4-P PP. 4. 4. 4 Flux (kg/yr), Flow rate (m /s) 8 7 6 4 BOD Flow rate 4 Mass flux (kg/yr) 6 4 TN NO-N NH4-N PN 4 Mass flux (kg/yr) TP PO4-P PP 図 -8 本川における水質濃度 ( 上 ) と負荷量 ( 下 ) の縦断変化 (6 年 月の観測結果 ) AB C D E FG H I J K L 4 NH4-N (mg/l) BOD (mg/l) 4 Percentage of built area (%) 4 Particulate N (mg/l) BOD (mg/l) 6 8 Percentage of forest area (%)... T-P (mg/l) NO-N (mg/l) 4 4 Percentage of cropland cover (%). (.7).8.6.4. 4 Percentage of built area (%) リン酸が反応したか いずれか ( あるいは双方 ) の可能性が考えられる (4) 土地利用と水質の関係図 -9 に各支川流域の本川合流前における水質と土地利用との関係を示す は () 物質収支の試算 で用いた土地利用と水質の相関式導出に利用しなかったデータである BOD は で示した 流域で高濃度を示すが それ以外では建物用地の占める割合や森林の占める割合との間で相関が見られる 高濃度の理由としては下水道整備率が低く 流域面積が小さいことが考えられる 建物用地面積よりも汚水処理人口などとの対比の方がよい相関が得られると考えられるため 今後の検討課題である 各流域の畑地面積率と NO -N の間には 流域を除き高い相関が確認された 月は播種前の時期ではあるが 中間流や地下水に溶出した肥料が河川に流出したためと考えられる なお 調査を行った 月は水田の休閑期にあたるため 灌漑期にはまた異なる結果となることも想定される 今回の測定結果では 支川流域の TN 濃度に. 6 8 Percentage of forest area (%) 図 -9 支流域における BOD 窒素 リン濃度と土地利用の関係 4 Percentage of built area (%) 占める NO -N 濃度の割合が 8 割程度の流域が多かったことから 支川水中の TN の多くが ( 畑地等に野積みされた家畜糞尿の影響も含めて ) 畑地に由来していると考えられる なお 相関からはずれた 流域の水質は工場排水の影響を受けていると考えられた NH 4 -N については BOD と同様に建物用地との相関が見られる NH 4 -N は BOD との相関が高かったことから 生活系排水に由来していると考えられる 河川水中の PO 4 -P は 土壌 岩石からの溶出や生物体の分解によって生じる他 農地からのリン酸アンモニウム肥料の流出 家庭排水 工場排水由来が考えられる 正の電荷を帯びていることから土壌に吸着されやすく 土粒子とともに流出することも考えられる 今回の結果によると TP や PO 4 -P は建物用地との相関関係にあったが で示した流域ではこの相関関係からはずれていた その理由として これらの流域では養魚池からの流出 河川改修による土砂流出 工場排水 し尿処理場排水などの影響を受けているためであると推定された

() 物質収支の試算本川の 地点間における負荷の変化 B 地点流量量と その間に流入する支川と下水処理水の総負荷量を比較することによって 本川流下過程において汚濁物質がどの程度保存されるのか 逆に言えば どの程度の汚濁物質が吸収 沈降等で B 地点負荷量除去されるのかを検討した ただし 今回の調査で本川への流入負荷量が把握できた支川流域は福島県内の流域およそ4,km のうちの8% であり 残る多数の小河川流域 残流域を全て測定することはできなかったため 未測 F 地点流量定流域からの流入水の濃度は前述の土地利用と水質の関係から推定して求めた また 流量は比流量として測定河川流域の平均的な値 (. m /s/km F 地点負荷量 ) を与えた 以上の方法によって得られたBK 間の流入量とBOD TN TPの流入負荷量を図 -に示す ここで 流入量 と流入負荷量 は実測値の合計で 流入量 と は未測定支川流域について土地利用との相関関係から推定した値を意味する なお 流入量とBOD TN TP 流入負荷量の測定値合計に占める下水処理放流水の割合はそれぞれ % であった BK 間の流入量はほぼ地点 BとKの間の流量増分 ( 灰色と黒色の差分 ) に一致していたが BK 間のBODとTPの負荷量増分は同区間における流入負荷量の7% 及び6% と小さく 河川水中から少なくとも流入負荷量の% 9% が何らかの形で除去されていることが示唆された 一方 同様にFH 間での流量 負荷量の増分と流入量 流入負荷量を比較したところ ( 図 -) BOD TN TPともに流入負荷量が増分を下回る結果となった このことは 他に流入負荷源が存在していたか または推定された流入負荷量が過小評価であったことを意味しているが 他の流入負荷源は考えにくいため後者である可能性が高い FH 間は表 -で示したように単位流入負荷量が相対的に大きく 土地利用からだけでは類推しきれない要因の影響を強く受けていると考えられるため 未測定流域での実態調査を行い FH 間の収支を明らかにする予定である 流量 (m /s) 6 8 流入量 流入量 K 地点流量 TN ( 6 kg/yr) 4 K 地点負荷量 流入負荷量 BOD ( 6 kg/yr) 4 B 地点負荷量 K 地点負荷量 流入負荷量....4 B 地点負荷量 K 地点負荷量 TP ( 6 kg/yr) 流入負荷量 図 - BK 間における流量 BOD TN TP 負荷量の変化 流量 (m /s) 4 H 地点流量 TN ( 6 kg/yr) 流入量 流入量 4 H 地点負荷量 流入負荷量 BOD ( 6 kg/yr) 流入負荷量 F 地点負荷量 H 地点負荷量..... F 地点負荷量 TP ( 6 kg/yr) H 地点負荷量 流入負荷量 図 - FH 間における流量 BOD TN TP 負荷量の変化 とがわかった TN でも他の区間に比べ増加量が少ない傾向にあった から阿久津の EF 間では TP 濃度 負荷量の急激な増大が確認され 養魚由来の負荷の影響が示唆された 一斉調査結果では本川ダム 取水堰における負荷量減少が溶存態成分でも確認されたことから 減少の理由が沈降だけではなくプランクトンや藻類による吸収にもよることが示唆された また I から福島流量観測地点 J の間で TP 負荷量が低減する減少が確認され 何らかの物理化学的作用が働いていることがわかった さらには 支川流域での土地利用と水質の相関関係を明らかにし NO -N 濃度については畑地面積との高い相関が確認された 本川流下に伴う汚濁負荷の収支を検討したところ BOD TP では本川に支川 下水処理水等により流入する負荷量のうち 少なくとも % と 9% が本川で除去されていることを明らかにした 謝辞 : 河川水と下水放流水の既存データは国交省福島河川国道事務所 福島県 福島市 郡山市 白河市 石川町より提供を受けた 本研究の一部は河川整備基金 阿武隈川流域水循環健全化へ向けての基礎研究 ( 代表 : 虫明功臣 ) の支援を受けた ここに記して謝意を示す. 結論 本研究では既存水質データと一斉調査に基づき 阿武隈川の水質 栄養塩負荷輸送の実態を分析した 既存の水質調査データからは 阿武隈川の本川流下に伴う水質濃度 負荷量の変動パターンを示し また 本川ダムを挟む区間で BOD と TP の負荷量が減少する傾向にあるこ 参考文献 ) 中村玄正, 高橋幸彦, 成田大介, 松本順一郎 : 阿武隈川の富栄養化に及ぼす養魚池の影響に関する研究 環境工学研究論文集, Vol., 6-7, 99. ) 小澤貴幸, 小川裕正, 湯田純一, 長林久夫, 真野明 : 出水時の阿武隈川における汚濁負荷の計測と物質輸送機構の検討, 土木学会水工学論文集, Vol.49, 7-,. (6.9. 受付 )