中央区 橋梁長寿命化修繕計画

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資料 1 3 小規模附属物点検要領 ( 案 ) の制定について Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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§1 業務概要

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H28秋_24地方税財源

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Microsoft Word - 【外務省】インフラ長寿命化(行動計画)

橋梁長寿命化修繕計画 ( 案 ) 平成 25 年 3 月 那覇市役所 建設管理部道路管理課

高浜町 橋梁長寿命化修繕計画 ( 第 2 期 ) 高浜町建設整備課

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図 維持管理の流れと診断の位置付け 1) 22 22

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- 目次 - 1. 長寿命化修繕計画の背景と目的 相馬市の概要 計画

豊中市千里地区歩路橋長寿命化修繕計画 平成 29 年 8 月 豊中市

平成23年度

相馬市 橋梁長寿命化修繕計画 平成 28 年 12 月 福島県 相馬市建設部土木課

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イ使用年数基準で更新する施設 ( ア ) 使用年数基準の設定使用年数基準で更新する施設については 将来の更新需要を把握するためにも 更新するまでの使用年数を定める必要がありますが 現時点では 施設の寿命に関する技術的な知見がないことから 独自に設定する必要があります このため あらかじめ施設を 耐久

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4 健全度の把握及び日常的な維持管理に関する基本的な方針 健全度の把握の基本的な方針橋梁の長寿命化を図るため 定期点検要領に基づき5 年に1 回の定期点検を実施していきます また 定期点検の結果に基づく診断結果 ( 健全度 ) を長寿命化修繕計画に反映させていきます 日常的な維持管理に関する基本的な

PowerPoint プレゼンテーション

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平成 26 年度公共事業事後評価調書 1. 事業説明シート (1) ( 区分 ) 国補 県単 事業名道路事業 [ 国道橋りょう改築事業 ( 国補 )] 事業箇所南巨摩郡身延町波高島 ~ 下山地区名国道 300 号 ( 波高島バイパス ) 事業主体山梨県 (1) 事業着手年度 H12 年度 (2) 事

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国土技術政策総合研究所研究資料

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様式 1-1 池田町橋梁長寿命化修繕計画 平成 25 年 4 月 池田町役場建設水道課

別紙 1 ワイヤロープの今後の設置予定について H ワイヤロープの技術的検証結果 ( 第 3 回検討会 ) 土工区間については 技術的に実用化可能 中小橋については 試行設置箇所を拡大し 実用化に向けた取組みを進める 長大橋 トンネル区間については 公募選定技術の性能検証を引き続き進め

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資料 7-1 特殊車両の通行に関する指導取締要領の一部改正について 国土交通省関東地方整備局道路部交通対策課 1 (1) 特殊車両通行許可制度 2

許可方針


~ 二次的な被害を防止する ~ 第 6 節 1 図 御嶽山における降灰後の土石流に関するシミュレーション計算結果 平成 26 年 9 月の御嶽山噴火後 土砂災害防止法に基づく緊急調査が国土交通省により実施され 降灰後の土石流に関するシミュレーション結果が公表された これにより関係市町村は

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速度規制の目的と現状 警察庁交通局 1

橋りょうの予防保全型管理について

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市民皆様が安心して利用していただくために 佐伯市橋梁長寿命化修繕計画 佐伯市建設課 2018 年 12 月

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勝浦市橋梁長寿命化修繕計画 平成 25 年 3 月 勝浦市都市建設課

5.4章.xdw

特別養護老人ホーム外川園

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

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1 見出し1

管路リスク 管路の老朽化のリスクです 経年劣化による腐食や破損などにより管路に不具合が生じるかどうかを評価するリスクです 管路に 不具合が生じると トイレが使えなくなったり 道路陥没の原因となることがあります 破損した管路 管路の破損による道路陥没 リスク評価結果 リスク評価は 下水道台帳の情報や改

1 吾妻町 平成18年3月27日に東村と合併し東吾妻町になりました 2 六合村 平成22年3月28日に中之条町に編入しました 5.2-2


1 基本的な整備内容 道路標識 専用通行帯 (327 の 4) の設置 ( 架空標識の場合の例 ) 自 転 車 ピクトグラム ( 自転車マーク等 ) の設置 始点部および中間部 道路標示 専用通行帯 (109 の 6) の設置 ( 過度な表示は行わない ) 専 用 道路標示 車両通行帯 (109)

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様式及び記入例 (3) 点検結果一覧表 ( その 1) 半田市橋梁点検 補修設計業務 橋梁諸元 定期点検結果 整理番号 橋梁 ID 橋梁名 橋梁形式 径間 長根橋 ( 上流側 ) PC 単純プレテンホロー桁橋 1 橋種 PC 橋 有効 橋長 幅員 橋面積 (m) (m) (m2) 供

1 見出し1

目 次 1. 長寿命化修繕計画の背景と目的 背景 目的 2 1) 持続可能な維持管理体制の確立 2 2) 対症療法的な修繕から 予防保全的な修繕への転換 2 2. 長寿命化修繕計画の対象 ウイング21 大型ボックスカルバート 岩岳トンネル

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台東区橋梁長寿命化修繕計画 平成 30 年 3 月 台東区

平成 26 年度建設技術フォーラム発表資料 道路パトロール支援サービス ~ 社会インフラの維持管理業務へのスマートデバイス活用 ~ 平成 26 年 11 月富士通株式会社 Copyright 2014 FUJITSU LIMITED

安全管理規程

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5) 輸送の安全に関する教育及び研修に関する具体的な計画を策定し これを適確に実施する こと ( 輸送の安全に関する目標 ) 第 5 条前条に掲げる方針に基づき 目標を策定する ( 輸送の安全に関する計画 ) 第 6 条前条に掲げる目標を達成し 輸送の安全に関する重点施策に応じて 輸送の安全を確 保

2

義務化 支援策研究所及び土木研究所と連携した研究開発を推進 道路の老朽化対策の本格実施に関する取組状況 道路の老朽化対策の本格実施に関する提言 これまでの取組内容 [ 点検 診断] [ 措置] [ 予算] [ 体[ 技[ 国[ 記 橋梁 ( 約 70 万橋 ) トンネル ( 約 1 万本 ) 等は

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路面補修 切削オーバーレイ工 施工前 施工後 4車線化工事 白鳥IC 飛騨清見IC 対面通行区間の中央分離帯の改良 施工前 施工後 車線切替を実施しⅠ期線の改良を実施 左 Ⅰ期線 右 Ⅱ期線 左 Ⅱ期線 右 Ⅰ期線


1 見出し1

3 流動比率 (%) 流動資産流動負債 短期的な債務に対する支払能力を表す指標である 平成 26 年度からは 会計制度の見直しに伴い 流動負債に 1 年以内に償還される企業債や賞与引当金等が計上されることとなったため それ以前と比べ 比率は下がっている 分析にあたっての一般的な考え方 当該指標は 1

( 様式 -2a 調査概要 ) Ⅰ 調査概要 1 調査名称 : 平成 26 年度神埼市総合都市交通体系調査 2 報告書目次 1. 業務概要 (1) 都市計画道路見直しの必要性 (2) 都市計画道路見直しのスキーム (3) 検討結果の分類 2. 路線の抽出 (1) 都市計画道路の整理 抽出 (2) 検

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資料 4 安全 安心の確保 ~ 道路の防災 震災対策 ~ Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

されている橋梁にくわえて, 策定が遅れている舗装や他の構造物の計画も一元的に, かつ投資効率の高い修繕計画を策定できる. しかし, リスク評価では道路施設の点検データはもちろんのこと, 交通量など共用環境に関するものなど多様なデータを必要とする. 中小自治体では各種データの蓄積が十分でないことが予想

公益財団法人和歌山市文化スポーツ振興財団 ( 財団法人和歌山市都市整備公社から名称変更 ) 経営健全化 ( 自立化推進 ) 計画 ( 平成 22 年度 ~ 平成 25 年度 ) 取組結果報告 取組結果報告における各取組の最終進捗結果の説明区分基準 A ほぼ予定どおり 若しくは予定以上に進んだ B 取

各取組は PDCA サイクルを回し効果を評価し 目標が達成できない見通しとなったときは さらなる総量の縮減や取組 体制の強化等 基本方針等を見直します [ 図表 40] [ 図表 40:PDCA サイクル ] 計画修正 Action 計画修正 Action Plan Check 計画等修正 Acti

目 次 1 はじめに (1) 策定の趣旨 1 (2) 計画の位置づけ 2 2 計画の範囲 (1) 対象施設 3 (2) 計画期間 3 3 施設等の現状及び今後の見通し (1) 四日市港の現状 4 (2) 施設の現状 6 (3) 維持管理 修繕 更新等に係る中期的な経費の見込み 7 4 施設の総合的か

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第 7 章鹿児島県と連携した耐震改修促進法による指導及び助言等 国の基本方針では 所管行政庁はすべての特定建築物の所有者に対して法に基づく指導 助言を実施するよう努めるとともに 指導に従わない者に対しては必要な指示を行い その指示に従わなかったときは 公表すべきであるとしている なお 指示 公表や建

大雪の際のドライブプランの検討に役立つ新たな情報提供を行います 高速道路会社が共同で 株式会社ウェザーニューズと連携した 新たな 高速道路の情報提供サイト を立ち上げます 大雪の際には情報提供サイトをご確認いただき 大雪地域へのご旅行等の見合わせや広域の迂回など ご協力をお願いします タイムライン

平成 29 年度事業報告 ( 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで ) 平成 29 年度事業の概要 当会計年度における県内の経済は 公共投資では大型案件の増加等により 景気は回復基調にありましたが 県が行う土木事業については 減少傾向にありました 平成 29 年度の

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スマートICの事業費の基準について

青文字は、長谷川が修正したものです

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資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

Microsoft Word - プレスリリース_2015

地方公共団体の現状 ( 技術者 点検方法 ) 町の約 3 割 村の約 6 割で橋梁保全業務に携わっている土木技術者が存在しない 地方公共団体の橋梁点検要領では 遠望目視による点検も多く ( 約 8 割 ) 点検の質に課題あり 市区町村における橋梁保全業務に携わる土木技術者数 分類市 3 8% 92%

[ 図表 35: 見直しのイメージ ] 質の高い施設 安心安全で コストの最適化 施設を安心安全に利用するため 点検 診断を実施し その結果に基づき 必要な対策を適切な時期に着実かつ効率的 効果的に実施します また これらの取組を通じて得られた施設の状態や対策履歴等の情報を記録し 次の点検 診断等に

2010年2月3日

東日本大震災 (H ) 地震時の情報収集や提供に関する課題 国 地方公共団体などが連携した被災者や物資輸送者への交通関係情報の提供 大震災直後は 各管理者から別々に通行止め情報等が提供されたため 被災地までの輸送ルートの選定が困難な状況 国が集約して提供を始めたのは10 日以上過ぎた3/

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Microsoft Word - H290324優先的検討規程(裁定).docx

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Transcription:

真鶴道路 ( 岩大橋 ) 平成 27 年 8 月 神奈川県道路公社 三浦縦貫道路 ( 衣笠城趾トンネル )

目次 1. 背景と目的...1 2. 計画策定に向けた基本的な方針...5 3. 施設ごとの維持管理実施方針...7 4. 道路維持管理計画 の効果について... 15

1. 背景と目的 背景 神奈川県道路公社は 神奈川県の西湘地域において 真鶴道路 ( 国道 135 号 ) の 1 路 線 三浦半島地域において 本町山中有料道路 ( 県道 28 号 ) 三浦縦貫道路 ( 県道 26 号 ) 逗葉新道 の 3 路線 合わせて 4 路線約 13.9km の有料道路を管理し 路線の 特徴としては 重要な道路施設である橋りょうやトンネルが多く延長の長いことでありま す 現在 建設から真鶴道路が 46 年 逗葉新道が 45 年 本町山中有料道路が 23 年 三 浦縦貫道路が 15 年経過し 路線毎に高齢化が進んでいます 公社では 安全 安心は最大のサービス を目標に 道路機能を保つための道路巡回 点検 作業と損傷に対する補修等の維持管理を実施していますが 老朽化による橋りょう トンネルなどの道路構造物の損傷発生や 突然の故障により道路利用者への影響が高い電 気及び機械設備などの不具合の発生も懸念され 今後 維持管理費用の増大が危惧されて います その一方で 4 路線全体の利用料金収入は 交通需要低迷を反映し年々減少傾向にあり 厳しい経営状況であります 有料道路事業の管理運営費 建設コストに係る償還や利息 経年劣化による恒常的な維持 修繕などに要する費用は 制度上 利用者から徴収した収 入で賄うこととされており その中で維持管理しています 現在 公社管理の道路は 1 地域の産業や経済などの物流に寄与する中枢的な交通インフラ機能 2 県を訪れる観光客の人流を支える広域的な交通を確保する機能 3 災害時や防災上も交通の機能 信頼性を確保する機能 ( 緊急輸送道路に指定 ) など 県民にとって重要な役割を果たしています 今後の維持管理上の課題は 老朽化による補修 更新に係る維持管理に要する経費の増 大が予想されることから 路線の特性 施設の健全度を捉え 今後計画的に着実に実施で きる維持管理予算及び継続的な管理体制の確保 さらに 料金徴収終了時に施設財産を本 来管理者 ( 県 ) に引き継ぐ役割分担のあり方などであります 公社管理各道路の延長と主な構造物数 ( 平成 27 年 4 月 1 日現在 ) 路線名 道路延長 主な構造物橋りょう ( ) トンネル (m) 橋数 延長 (m) 本数 延長 (m) 真鶴道路 ( 国道 135 号 ) 4,536 5 1754.5 2 2125 三浦縦貫道路 ( 県道 26 号横須賀三崎 ) 4,670 11 2064.9 3 983.7 本町山中有料道路 ( 県道 28 号本町山中 ) 2,607 4 1157.7 1 399 逗葉新道 2,055 0 0 1 522 ( ) 溝橋は除く 合計 13,868 20 4977.1 7 4029.7 1

管理路線位置図 1. 西湘地域 真鶴道路の概要 2

2. 三浦半島地域 三浦縦貫道路 本町山中有料道路 逗葉新道の概要 3

道路維持管理計画 策定の位置づけ 近年の景気の低迷や少子高齢化など社会情勢の変化を要因とする有料道路の交通需要の低迷に伴う収入の減など 経営が年々厳しさを増していることから 経営改善に向けて方針を明確にした計画的な取り組みを行うために 平成 24 年に3つの基本方針を柱とする 中期経営方針 経営革新プログラム を策定しました 本 道路維持管理計画 は その3つの基本方針のうち A 安全 安心な施設 設備の充実 の (1) 計画的な道路施設等の維持管理 に位置づけられた維持管理計画の策定に係る具体的な取り組みを示すものです 中期経営方針 経営改善プログラム ( 平成 27 年 3 月改定 ) の3つの基本方針 A 安全 安心な施設 設備の充実 (1) 計画的な道路施設等の維持管理 維持管理計画の策定 個別長寿命化計画の作成 実施 B 地域 利用者に根ざしたサービスの充実 C 経営基盤の強化 目的 前述の背景による課題が懸念される中で 今後 効率的な日常管理や計画的な補修 修繕などが管理者に求められており 時代の変化に対応した持続可能な維持管理のあり方の把握を行い さらなるコスト縮減を図り 利用者の視点に立った効率的 効果的な道路維持管理を行って行く必要があります 損傷を発見してから修繕を行う 事後的な修繕 ( 事後保全型維持管理 ) を継続した場合 近い将来 修繕対象橋りょうが集中し 維持管理コストが膨大になります このため 適切な管理ができず道路利用者への安全 安心なサービス提供に支障が生じることが予想されます 定期点検による道路施設の状態把握 予防的な修繕 ( 予防保全型維持管理 ) を着実に進め 道路施設の長寿命化と修繕に係る費用の縮減を図りつつ 道路の安全性 信頼性を確保していくことを目的に 道路維持管理計画 を策定します 4

大規模修繕 予防保全型の維持管理による長寿命化のイメージ 2. 計画策定に向けた基本的な方針 目標 ~ 安全 安心は最大のサービスの実現 ~ 着実な業務遂行による適正な道路施設の維持管理の実施 基本的な方針 基本方針 1: 利用者の視点に立った安全 安心な道路環境の確保地域や各路線の特性と厳しい経営状況を踏まえながら 安心限られた予算において巡回 点検など着実な日常管理業務の実施により 安全 安心な道路環境を確保する適正な維持管理を目指します 快適 安全 道路に求められる性能 基本方針 2: 計画的な修繕 更新等による道路施設の長寿命化重要な道路施設である橋りょう等を将来に渡って安全に安心して利用していただくため 維持管理リスクに係る優先度の判断を持って 健全度に応じた計画的な修繕 更新等の措置を講じ予防保全に努め 大切な財産である道路施設の長寿命化を目指します 計画策定にあたり 限られた予算を平準化し 効率的に配分するための評価項目は 維持管理を怠ったときに事故や不具合が発生する確率( 発生確率 ) と 不具合が起こった場合の人命や社会的被害の大きさ ( 社会的影響度 ) の 2つで評価し 両者の評価項目を組み合わせて維持管理のリスクとし 対策実施の優先度判定に用いることとします 5

具体的に 維持管理のリスクは発生確率と社会的影響度の高低を3 段階の区分で定量 高 優先度 : 中 優先度 : 高 優先度 : 極高 的 総合的に評価し これを踏まえ 計画の策定 修繕 更新を行います まず 過去の点検結果により すでに損傷 発生確率 中 優先度 : 低 優先度 : 高 維持管理のリスク 優先度 : 極高 が認められた橋りょう トンネルについて修 低 優先度 : 低優先度 : 中優先度 : 高 繕を行います これら橋りょう トンネルの対策が完了した後 定期点検に基づき橋りょう トンネルの維持管理レベルを踏まえ 予防的に対策を実施します 低 中社会的影響度 対策実施の優先度判定決定イメージ 高 基本方針 3: メンテナンスサイクルによる継続的な維持管理の実施道路法の改正により点検基準が法定化されたことに伴い 管理者自らの責任で道路インフラ施設の点検 診断 措置 記録の対応が求められ この具体的な行動取組みとして 点検 診断結果による施設毎の個別長寿命化修繕計画に基づき中期的な視点を持って インフラの維持修繕 更新等を着実に推進する持続可能なメンテナンスサイクルの実施を目指します [ 点検 ] 橋りょう トンネル等の道路構造物は統一的な基準により 5 年に 1 度 近接目視による全数監視を実施 [ 診断 ] 統一的な尺度で健全度の判定区分を設定し 診断を実施 [ 記録 ] 点検 診断 措置の結果をとりまとめ 評価 ホームページ等により公表 ( 見える化 ) [ 措置 ] 点検 診断の結果に基づき計画的に修繕を実施し 必要な修繕ができない場合は通行規制 通行止め < 策定 > < 見直し > 個別長寿命化修繕計画 メンテナンスサイクルを回す要因 予算体制技術 利用者の理解 協働 メンテナンスサイクルの実施イメージ 6

3. 施設ごとの維持管理実施方針 3.1 道路巡回 道路巡回は 道路の異状や損傷 障害物などの危険要因を早期に発見し 道路の保全 交通の危険を防止するために日常巡回 定期巡回 異常時巡回によりを行います 日常巡回は 主に道路パトロールにより 利用車両に対する通行の安全性を確保できるよう以下の頻度で実施します 真鶴道路 : 5 回 / 日 三浦縦貫道路 本町山中有料道路 逗葉新道 : 4 回 / 日 定期巡回は 徒歩により道路施設の安全性を確保するため 月に1 回の頻度で実施します 異常時巡回は 大雨 地震等の異常気象時や災害及び交通事故発生時において 道路施設の被災状況や通行の可否を把握し 適切な措置を講じるため 適宜 巡回を実施します さらに 道路利用者からの道路の異状などに関する情報の活用にも努め 適宜 巡回を実施します 日常道路巡回実施状況台風時の安全確認及び倒木等の撤去定期巡回実施状況 7

3.2 道路清掃 道路清掃は 道路に溜まった土砂や枯葉などによるスリップ事故や排水溝の詰まりによる冠水被害の防止など 安全 安心に道路が利用できるように また 走行の快適性や沿道環境の向上のために行います 路面清掃は 年間 10 回を目安としつつ 塵埃量の実績に応じた適切な頻度を設定し 実施します なお 作業の実施にあたっては 路面清掃車による機械清掃を基本とします 排水施設清掃は 土砂の堆積状況などを勘案して1 路線当り年 1 回を目安として行います なお 交通安全上危険な状況であるなど特別な事情がある場合には 上記によらず適時行います 特別な事情の例 : 落葉期の枯葉 台風 暴風被害の後 土砂が堆積しやすい場所の側溝など 路面清掃車による清掃 排水施設の清掃 8

3.3 除草 除草は 雑草の繁茂により建築限界内に障害が発生することを防止するとともに 通行車両からの視認性を確保するため 原則として 1 路線あたり年 1 回を目安として 次の繁茂状況を目安に 必要な箇所を実施します 建築限界内の通行の安全確保ができない場合 運転者から交通安全施設等の視認性が確保できない場合 道路の構造及び沿道の土地利用の状況 景観への配慮 通行の安全確保のため対応が必要であるなど特別な事情がある場合には 上記によらず適切に行います 特別な事情の例 : 害虫の発生や種子の飛散などにより 道路利用者や農作物への影響がある箇所 景観地区など特に景観に配慮する必要がある箇所など また 雑草の繁茂状況により 年に複数回の除草が必要な箇所や作業時に交通への影響が大きい箇所などについては 必要に応じて防草対策を行います 雑草の繁茂状況 部分的な除草によるコスト縮減 9

3.4 凍雪害対策 凍雪害対策は 冬期の安全で円滑な道路交通確保のため 12 月 1 日から翌年 3 月 3 1 日の期間で 道路上の凍結防止 または除雪を実施します 雪 氷に関する注意報及び低温注意報のいずれかが発令された場合 または路面凍結が予想される区間に設置した温度計の外気温 地温から路面温度を計測し 凍結の恐れがあると判断した場合 凍結抑制剤の散布を行います 凍結抑制剤の散布は 朝 夕の2 回を目安として実施します 積雪の場合 利用者に対する注意喚起だけでは交通に支障を及ぼす恐れのある場合 通行止めを行います 除雪は 冬期の安全で円滑な道路交通確保のため 道路上の降り積もった雪を取り除くことを目的に行い 管理路線の道路パトロールを実施し 安全な交通確保が不可能と判断した場合に交通規制を実施します 三浦縦貫道路及び逗葉新道においては 当該地域で降雪が多い期間 (1 月 2 月 ) はホイルローダを事前に準備して除雪作業に備えます 積雪による通行止め実施状況 3.5 構造物の点検 補修 共通 道路構造物の維持 修繕を効率的に行うために 道路法の改正により次のとおり規定された定期点検を計画的に行います トンネルや橋りょう等に異常が生じた場合 構造又は交通に大きな支障を及ぼす構造物が対象 5 年に1 回 近接目視を基本として実施 健全性の診断結果を4 段階に区分 健全度に応じ 維持 点検 修繕措置を講ずる 10

1 橋りょう 橋りょう補修は 橋りょうの高齢化や自然環境 ( 雨 風など ) 外的要因( 大型車交通量など ) などによる損傷を補修し 安全で円滑な交通の確保 沿道や第三者への被害防止及び橋りょうの長寿命化を図るために行います 橋りょう補修の実施にあたっては 橋りょう点検 1 によって橋の健全性を確認し 長寿命化修繕計画 2 に基づき計画的に行います なお 災害などにより 重大な損傷が発生した場合には 緊急的に補修などの対策を行います 耐震補強については 橋りょう補修と一体的に実施するなど効率的な実施に努めます 1 橋りょう点検 : 全ての橋りょうを対象に 点検頻度を定め定期的に実施し 橋の健全性を確認するために行う点検 2 長寿命化修繕計画 : 全橋りょうを対象に 橋の健全性 交通状況 周辺環境などを考慮し補修などの優先順位を定め また予算状況を踏まえ橋りょう点検 補修 架替えなどを効果的 効率的に実施するために策定した計画 ( 逐次更新 ) 脚立による点検 橋梁点検車による点検 コンクリート部材の損傷 鋼部材の損傷 11

2 トンネル トンネル補修は 漏水やコンクリートのひび割れ 剥離などを補修し 安全で円滑な交通の確保 第三者への被害防止を図るために行います トンネルの補修にあたっては トンネル点検によってトンネルの健全性を確認し 長寿命化修繕計画 に基づき計画的に行います なお 災害が発生した場合や点検などにより緊急対策が必要な損傷を発見した場合には 早急に必要な対策を行います 高所作業車による点検漏水量の計測覆工コンクリートのひび割れ 3 舗装 舗装補修は 道路上の穴ぼこや路面の凹凸などによる車両損傷や二輪車の転倒防止 騒音 振動の軽減のために行います 安全 安心の確保のため 不具合を発見次第 穴ぼこの補修 ひび割れへの補修材の注入 削り取り作業などの応急対策を速やかに行います なお 部分的な補修による対応では安全で円滑な交通の確保ができない場合には 全面的な舗装補修を行います 舗装点検実施状況 12

4 のり面 土工構造物 法面 盛土などの崩落や冠水などにより 利用者をはじめ沿道や第三者への被害の発生を未然に防止するための防災点検を行います また 危険箇所の定期的な点検や継続的な計測により 災害要因の早期発見にも努めます 防災点検や災害調査により対策が必要と判断された箇所については 通行規制の必要性や災害発生の危険性などを考慮し 必要な対策を計画的に行います なお 異常気象や地震などにより被災した場合や点検などにより緊急性の高い事象が発見された場合は 速やかに対策を行います 計測状況法面対策 ( ブロック積み擁壁 ) 5 照明灯 道路やトンネルの照明灯は 道路の見通しの悪い箇所や事故の危険性が高い箇所などで 夜間の車両通行の安全を確保するために設置します ランプ切れなどが発見された場合は 必要な器具や部品の交換を定期的に行います また 節電のため 道路利用者の安全を確保したうえで 支障のない箇所を対象に 道路 トンネル照明灯やトンネル照明の調光 1 を行います さらに 灯具をLED 照明に更新することにより 使用電力低減および電球長寿命化を図ります 1 調光 : 減光 ( 明るさを低減 ) 減灯( 消灯 ) など LED 化実施箇所 道路照明ランプ交換 トンネル照明の LED 化 13

6 道路施設 ( 電気 機械設備 ) 電気 機械設備 ( 道路情報板 トンネル非常用施設 トンネル換気設備 道路排水設備 ( ポンプ ) など ) は 安全 安心な車両の通行をサポートするための重要な施設です 継続的な稼動が前提であるため 点検によって故障や劣化の確認と作動状況の把握を行います 施設点検は 法令 技術基準 指針等に基づき 定期的に行います 点検により故障など発見された場合 速やかに補修などを行うとともに 点検 障害 修繕履歴データ等を分析 診断し 予防保全に努め 設備の信頼性向上や長寿命化を図ります 設備の整備更新は 設備毎の貢献度 ( 有効性 ) や信頼性 ( 故障リスク ) を総合的に評価し 更新計画に基づき 更新時期の重複を避ける等 予算の平準化を図ります 道路情報板の点検道路排水設備の点検トンネル換気設備の点検 トンネル非常用設備の点検 3.6 その他 自然事象 ( 地震又は異常気象等 ) 個別事象( 交通事故 その他 ) が発生のおそれがある場合又は発生した場合は 道路災害対策要綱に基づき策定した連絡及び各配備体制により 緊急時の対応を行います 異常気象時等により災害や通行止めが発生した場合は 予め覚書を締結した緊急時指定会社の協力により 早期開通に努めます 14

道路維持改良費 ( 億円 ) 道路維持改良費 ( 億円 ) 累計 4. 道路維持管理計画 の効果について 道路施設の状態( 健全度の推移 ) すでに点検を行い 損傷が認められている橋りょう トンネルについて今後 10 年間で対策を完了し その後は予防保全による計画的な対策により 道路の安全性 信頼性を確保していきます コスト縮減効果 施設毎の実施方針に基づき 予防保全による計画的な対策を基本とした道路維持管理計画の実施により 従来型の事後保全的な対策と比較し 60 年間で約 45 億円のコスト縮減が可能となります 60 50 40 30 20 10 0 2016~ 2021~ 2026~ 2031~ 2036~ 2041~ 2046~ 2051~ 2056~ 2061~ 2066~ 2071~ 年次 約 45 億円のコスト縮減 600 500 400 300 200 100 0 予防保全型事後保全型 ( 従来型 ) 予防保全型累計事後保全型 ( 従来型 ) 累計 上記は公社が管理する道路施設 ( 橋りょう トンネル 舗装 道路標識 道路照明施設等 ) を対象とした試算結果です 最初の 10 年間は定期点検にて認められた損傷に対し 対策を行うため 予防保全 事後保全ともに同額を計上しています 11 年目以降については 損傷の劣化予測に基づいた試算結果を計上しています 今後実施する定期点検結果などにより変更になることがあります 公社管理の 4 路線のうち 逗葉新道を除く 3 路線は 2029 年までに県に帰属されます 上記グラフは 4 路線全てを今後 60 年間対象とした場合の結果です 15