( Drug Information News )

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Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

葉酸とビタミンQ&A_201607改訂_ indd

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Microsoft Word - オーソ_201302_Final.docx

緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

改訂の理由及び調査の結果直近 3 年度の国内副作用症例の集積状況 転帰死亡症例 国内症例が集積したことから専門委員の意見も踏まえた調査の結果 改訂することが適切と判断した 低カルニチン血症関連症例 16 例 死亡 0 例

1)~ 2) 3) 近位筋脱力 CK(CPK) 高値 炎症を伴わない筋線維の壊死 抗 HMG-CoA 還元酵素 (HMGCR) 抗体陽性等を特徴とする免疫性壊死性ミオパチーがあらわれ 投与中止後も持続する例が報告されているので 患者の状態を十分に観察すること なお 免疫抑制剤投与により改善がみられた

1. 医薬品リスク管理計画を策定の上 適切に実施すること 2. 国内での治験症例が極めて限られていることから 製造販売後 一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は 全 症例を対象に使用成績調査を実施することにより 本剤使用患者の背景情報を把握するとともに 本剤の安全性及び有効性に関するデータを

(事務連絡)公知申請に係る前倒し保険適用通知

プライマリーケアのためのワンポイントレクチャー「抗菌薬②」(2017年5月10日開催)

<4D F736F F D B A814089FC92F982CC82A8926D82E782B95F E31328C8E5F5F E646F63>

鑑-H リンゼス錠他 留意事項通知の一部改正等について

Microsoft Word - JAID_JSC 2014 正誤表_ 原稿

審査結果 平成 26 年 1 月 6 日 [ 販 売 名 ] ダラシン S 注射液 300mg 同注射液 600mg [ 一 般 名 ] クリンダマイシンリン酸エステル [ 申請者名 ] ファイザー株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 25 年 8 月 21 日 [ 審査結果 ] 平成 25 年 7

2006 年 3 月 3 日放送 抗菌薬の適正使用 市立堺病院薬剤科科長 阿南節子 薬剤師は 抗菌薬投与計画の作成のためにパラメータを熟知すべき 最初の抗菌薬であるペニシリンが 実質的に広く使用されるようになったのは第二次世界大戦後のことです それまで致死的な状況であった黄色ブドウ球菌による感染症に

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

相談品目の薬価基準追補収載のお知らせ

D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

Microsoft Word - 387号2017.3月.doc

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

2012 年 1 月 25 日放送 歯性感染症における経口抗菌薬療法 東海大学外科学系口腔外科教授金子明寛 今回は歯性感染症における経口抗菌薬療法と題し歯性感染症からの分離菌および薬 剤感受性を元に歯性感染症の第一選択薬についてお話し致します 抗菌化学療法のポイント歯性感染症原因菌は嫌気性菌および好

スライド 1

モビコール 配合内用剤に係る 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 モビコール 配合内用剤 有効成分 マクロゴール4000 塩化ナトリウム 炭酸水素ナトリウム 塩化カリウム 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 10 月 1.1. 安全

タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg タペンタ 錠 100mg に係る 販売名 タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 有効成分 タペンタ 錠 100mg 製造販売業者 ヤンセンファーマ株式会社 薬効分類 821 提出年月 平成 30 年

Taro-01_告示(本文)案分

DRAFT#9 2011

分類

用法・用量DB

背景 ~ 抗菌薬使用の現状 ~ 近年 抗微生物薬の薬剤耐性菌に伴う感染症の増加が国際的にも大きな課題の一つに挙げられている 欧州及び日本における抗菌薬使用量の国際比較 我が国においては 他国と比較し 広範囲の細菌に効く経口のセファロスポリン系薬 キノロン系薬 マクロライド系薬が第一選択薬として広く使

膿疱性乾癬の効能追加 ( 承認事項の 部変更承認 ) に伴う改訂 改訂内容 ( 該当部のみ抜粋 ) 警告 1.~3. 4. 関節リウマチ患者では, 本剤の治療を行う前に, 少なくとも 1 剤の抗リウマチ薬等の使用を十分勘案すること. また, 本剤についての十分な知識とリウマチ治療の経験をもつ医師が使

整理番号 内 -1 新医薬品の薬価算定について 薬効分類 248 混合ホルモン剤 ( 内用薬 ) 成分名レボノルゲストレル / エチニルエストラジオール 新薬収載希望者ノーベルファーマ ( 株 ) 販売名 ( 規格単位 ) ジェミーナ配合錠 (1 錠 ) (1 錠中 レボノルゲストレル

医科_第20次(追加)審査情報提供(広報用)

(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

2. 改訂内容および改訂理由 2.1. その他の注意 [ 厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡に基づく改訂 ] 改訂後 ( 下線部 : 改訂部分 ) 10. その他の注意 (1)~(3) 省略 (4) 主に 50 歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において 選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び

スライド 1

改訂後改訂前 << 効能 効果に関連する使用上の注意 >> 関節リウマチ 1. 過去の治療において 少なくとも1 剤の抗リウマチ薬 ( 生物製剤を除く ) 等による適切な治療を行っても 疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与すること 2. 本剤とアバタセプト ( 遺伝子組換え ) の併用は行わな

耐性菌届出基準

2012 年 2 月 29 日放送 CLSI ブレイクポイント改訂の方向性 東邦大学微生物 感染症学講師石井良和はじめに薬剤感受性試験成績を基に誰でも適切な抗菌薬を選択できるように考案されたのがブレイクポイントです 様々な国の機関がブレイクポイントを提唱しています この中でも 日本化学療法学会やアメ

から (3) までの具体的な予定については添付 2 の図のとおりですので申し添 えます

プランの策定の支援などが議論されました こうした状況を踏まえ 我が国においても薬剤耐性 (AMR) 対策アクションプランを取りまとめるべく G7 ドイツ ベルリン保健大臣会合後の昨年 2015 年 11 月 厚生労働省に薬剤耐性 (AMR) タスクフォースを設置し 有識者ヒアリング等による検討を重ね



染症であり ついで淋菌感染症となります 病状としては外尿道口からの排膿や排尿時痛を呈する尿道炎が最も多く 病名としてはクラミジア性尿道炎 淋菌性尿道炎となります また 淋菌もクラミジアも検出されない尿道炎 ( 非クラミジア性非淋菌性尿道炎とよびます ) が その次に頻度の高い疾患ということになります

Microsoft Word - 薬食安発1128第9号

(案の2)

使用上の注意改訂のお知らせ スピーゲル

(Microsoft PowerPoint - \201iweb\214\374\201j2009_11 \222\307\225\342\225i\224\255\224\204\210\304\223\340.PPT)

添付文書情報 の検索方法 1. 検索条件を設定の上 検索実行 ボタンをクリックすると検索します 検索結果として 右フレームに該当する医療用医薬品の販売名の一覧が 販売名の昇順で表示されます 2. 右のフレームで参照したい販売名をクリックすると 新しいタブで該当する医療用医薬品の添付文書情報が表示され

審査結果 平成 26 年 2 月 7 日 [ 販売名 ] 1 ヘプタバックス-Ⅱ 2 ビームゲン 同注 0.25mL 同注 0.5mL [ 一般名 ] 組換え沈降 B 型肝炎ワクチン ( 酵母由来 ) [ 申請者名 ] 1 MSD 株式会社 2 一般財団法人化学及血清療法研究所 [ 申請年月日 ]

「薬剤耐性菌判定基準」 改定内容

緒言

2 抗インフルエンザウイルス薬と異常行動の議論と今後の予定 平成 21 年に取りまとめられた報告書以降の知見を改めて報告書にまとめ 以下の議論がなされた 平成 21 年以降の非臨床研究及び 10 年に及ぶ疫学研究の科学的な知見を総括し 以下の事実から タミフル服用のみに異常行動と明確な因果関係がある

審査結果 平成 25 年 9 月 27 日 [ 販売名 ] アナフラニール錠 10 mg 同錠 25 mg [ 一般名 ] クロミプラミン塩酸塩 [ 申請者名 ] アルフレッサファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 25 年 5 月 17 日 [ 審査結果 ] 平成 25 年 4 月 26 日開

(別添様式)

よる感染症は これまでは多くの有効な抗菌薬がありましたが ESBL 産生菌による場合はカルバペネム系薬でないと治療困難という状況になっています CLSI 標準法さて このような薬剤耐性菌を患者検体から検出するには 微生物検査という臨床検査が不可欠です 微生物検査は 患者検体から感染症の原因となる起炎

5_使用上の注意(37薬効)Web作業用.indd

減量・コース投与期間短縮の基準

の状態により適宜減量する 成人 A 法 : 他の抗悪性腫瘍剤との併用において ブスルファンとして 1 回 0.8 mg/kg を生理食塩液又は 5% ブドウ糖液に混和 調製して 2 時間かけて点滴静注する 本剤は 6 時間毎に 1 日 4 回 4 日間投与する なお 年齢 患者の状態により適宜減量す

割合が10% 前後となっています 新生児期以降は 4-5ヶ月頃から頻度が増加します ( 図 1) 原因菌に関しては 本邦ではインフルエンザ菌が原因となる頻度がもっとも高く 50% 以上を占めています 次いで肺炎球菌が20~30% と多く インフルエンザ菌と肺炎球菌で 原因菌の80% 近くを占めていま

改訂後 ⑴ 依存性連用により薬物依存を生じることがあるので 観察を十分に行い 用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること また 連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により 痙攣発作 せん妄 振戦 不眠 不安 幻覚 妄想等の離脱症状があらわれることがあるので 投与を中止する場合には 徐々に

Microsoft Word - sa_niflec_ doc

生後 1 カ月 HB ワクチン 0.25ml 皮下注射生後 6 カ月 HB ワクチン 0.25ml 皮下注射 2013 年 11 月 1 日 日本産科婦人科学会周産期委員会未承認薬検討小委員会担当委員日本周産期 新生児医学会副理事長 社保委員会副委員長久保隆彦

301128_課_薬生薬審発1128第1号_ニボルマブ(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドラインの一部改正について

Microsoft Word _ソリリス点滴静注300mg 同意説明文書 aHUS-ICF-1712.docx

目 次 1. はじめに 1 2. 組成および性状 2 3. 効能 効果 2 4. 特徴 2 5. 使用方法 2 6. 即時効果 持続効果および累積効果 3 7. 抗菌スペクトル 5 サラヤ株式会社スクラビイン S4% 液製品情報 2/ PDF

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DRAFT#9 2011

薬剤耐性とは何か? 薬剤耐性とは 微生物によって引き起こされる感染症の治療に本来有効であった抗微生物薬に対するその微生物の抵抗性を言う 耐性の微生物 ( 細菌 真菌 ウイルス 寄生虫を含む ) は 抗菌薬 ( 抗生物質など ) 抗真菌薬 抗ウイルス薬 抗マラリア薬などの抗微生物薬による治療に耐えるこ

改訂の理由及び調査の結果直近 3 年度の国内副作用症例の集積状況 転帰死亡症例 アモキシシリン水和物及びクラブラン酸カリウム アモキシシリン水和物の国内症例が集積したことから 専門委員の意見も踏まえた調査の結果 改訂することが適切と判断した 血小板減少関連症例 1 アモキシシリン水和物 3 例 (

第169・218回関東支部-9indd.indd

浜松地区における耐性菌調査の報告

デベルザ錠20mg 適正使用のお願い


糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

日医発第437(法安23)

Microsoft Word - 案1 (写).docx

グリコペプチド系 >50( 常用量 ) 10~50 <10 血液透析 (HD) 塩酸バンコマイシン散 0.5g バンコマイシン 1 日 0.5~2g MEEK 1 日 4 回 オキサゾリジノン系 ザイボックス錠 600mg リネゾリド 1 日 1200mg テトラサイクリン系 血小板減少の場合は投与

審査結果 平成 23 年 4 月 11 日 [ 販 売 名 ] ミオ MIBG-I123 注射液 [ 一 般 名 ] 3-ヨードベンジルグアニジン ( 123 I) 注射液 [ 申請者名 ] 富士フイルム RI ファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 22 年 11 月 11 日 [ 審査結果

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Microsoft Word - LIA RMP_概要ver2.docx

Untitled

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プライマリーケアのためのワンポイントレクチャー「抗菌薬①」(2016年4月27日)

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佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

相互作用DB

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

医療用医薬品の有効成分の一般用医薬品への転用に係る候補成分

( 別添 ) 御意見 該当箇所 一般用医薬品のリスク区分 ( 案 ) のうち イブプロフェン ( 高用量 )(No.4) について 意見内容 <イブプロフェン ( 高用量 )> 本剤は 低用量製剤 ( 最大 400mg/ 日 ) と比べても製造販売後調査では重篤な副作用の報告等はない 一方で 今まで

ハイゼントラ20%皮下注1g/5mL・2g/10mL・4g/20mL

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(Drug Information News) NO.405 2018 年 9 月 徳山医師会病院薬局 TEL:0834-31-7716 FAX:0834-32-5349 e-mail:yaku2@tokuyamaishikai.com 薬局ウェフ サイト http://hospital.tokuyamaishikai.com/introduce_list/ より 薬局 をクリック 1. お知らせ タミフルカプセル ( 中外製薬 ) の 警告 に変更 削除がありました ( 下線部変更箇所 削除線部削除箇所 ) 警告 1. 省略 2. 10 歳以上の未成年の患者においては 因果関係は不明であるものの 本剤の服用後に異常行動を発 現し 転落等の事故に至った例が報告されている このため この年代の患者には 合併症 既往歴 等からハイリスク患者と判断される場合を除いては 原則として本剤の使用を差し控えること また 小児 未成年者については 万が一の事故を防止するための予防的な対応として 本剤による 治療が開始された後は 1 異常行動の発現のおそれがあること 2 自宅において療養を行う場合 少 なくとも 2 日間 保護者等は小児 未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者 家族 に対し説明を行うこと なお インフルエンザ脳症等によっても 同様の症状が現れるとの報告があるので 上記と同様の説 明を行うこと 3. 2. 以下省略 削除された内容とほぼ同様の記載が 重要な基本的注意 に追記されました この記載は他の抗イン フルエンザウイルス薬共通の注意事項となっています リフレックス錠 (Meiji Seika ファルマ ) の 禁忌 に追記がありました 禁忌 (1) 変更なし省略 ( 下線部追記箇所 ) (2) MAO 阻害剤 ( セレギリン塩酸塩 ラサギリンメシル酸塩 ) を投与中あるいは中止後 2 週間以 内の患者 [ 相互作用 の項参照 ] レクサプロ錠 ( 田辺三菱製薬 ) の 禁忌 に追記がありました 禁忌 1. 変更なし省略 ( 下線部追記箇所 ) 2. モノアミン酸化酵素 (MAO) 阻害剤 ( セレギリン塩酸塩 ラサギリンメシル酸塩 ) を投与中あ るいは投与中止後 14 日間以内の患者 ( 相互作用 の項参照 ) 405-1

リンゼス錠 ( アステラス製薬 ) の 効能 効果 及び それに伴う使用上の注意に追記がありました ( 下線部追記箇所 ) 効能 効果 便秘型過敏性腸症候群 慢性便秘症 ( 器質的疾患による便秘を除く ) < 効能 効果に関連する使用上の注意 > 効能共通治療の基本である食事指導及び生活指導を行った上で 症状の改善が得られない患者に対して 本剤の適用を考慮すること 慢性便秘症 ( 器質的疾患による便秘を除く ) 薬剤性及び症候性の慢性便秘症患者を対象に本剤の有効性及び安全性を評価する臨床試験は実施していない 2. 医薬品安全対策情報 Drug Safety Update No.272(2018.8) 添付文書の改訂 最重要と 重要のうち 当院採用薬 ( 臨時採用も含む ) のみを記載 セフトリアキソンナトリウム水和物 ( セフトリアキソンナトリウム点滴用バッグ NP / ニプロセフトリアキソンナトリウム静注用 日医工 / 日医工 ) [ 重大な副作用 ] 精神神経症状 : 一部改訂意識障害 ( 意識消失 意識レベルの低下等 ) 痙攣 不随意運動( 舞踏病アテトーゼ ミオクローヌス等 ) があらわれることがあるので 観察を十分に行い 異常が認められた場合には投与を中止するなど 適切な処置を行うこと これらの症状は 高度腎障害患者での発現が多数報告されている 3. 新規収載医薬品 2018 年 8 月 29 日 内用薬 ジェミーナ配合錠 製造 販売分類一般名薬価効能 効果用法 用量 ノーベルファーマ混合ホルモン剤レボノルゲストレル / エチニルエストラジオール 314.10 円月経困難症下記のいずれかを選択する 1 日 1 錠を毎日一定の時刻に21 日間連続経口投与し その後 7 日間休薬する 以上 28 日間を1 周期とし 出血が終わっているか続いているかに関わらず 29 日目から次の周期を開始し 以後同様に繰り返す 1 日 1 錠を毎日一定の時刻に77 日間連続経口投与し その後 7 日間休薬する 以上 84 日間を1 周期とし 出血が終わっているか続いているかに関わらず 85 日目から次の周期を開始し 以後同様に繰り返す 405-2

ダフクリア錠 200mg 製造 販売分類一般名薬価効能 効果 用法 用量 アステラス製薬抗生物質製剤主としてグラム陽性菌に作用するものフィダキソマイシン 3,943.80 円 < 適応菌種 > 本剤に感性のクロストリジウム ディフィシル < 適応症 > 感染性腸炎 ( 偽膜性大腸炎を含む ) 通常 成人にはフィダキソマイシンとして1 回 200mgを1 日 2 回経口投与する スピラマイシン錠 150 万単位 サノフィ 製造 販売分類一般名薬価効能 効果用法 用量 オデフシィ配合錠 サノフィ抗原虫剤スピラマイシン 224.60 円先天性トキソプラズマ症の発症抑制通常 妊婦には 1 回 2 錠 ( スピラマイシンとして300 万国際単位 ) を1 日 3 回経口投与する 製造 販売 ヤンセンファーマ 分類 抗ウイルス剤 一般名 リルピビリン塩酸塩 / エムトリシタビン / テノホビルアラフェナミドフマル酸塩 薬価 6,043.00 円 効能 効果 HIV-1 感染症 用法 用量 通常 成人及び 12 歳以上かつ体重 35kg 以上の小児には1 回 1 錠 ( リルピビリンとして25mg テノホビルアラフェナミドとして25mg 及びエムトリシタビンとして200mg 含有 ) を1 日 1 回食事中又は食直後に経口投与する 注射薬 エンタイビオ点滴静注用 300mg 製造 販売 武田薬品工業 分類 その他の消化器官用薬 一般名 ベドリズマブ ( 遺伝子組換え ) 薬価 274,490 円 効能 効果 中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療および維持療法 ( 既存治療で効果不十分な場合に 限る ) 用法 用量 通常 成人にはベドリズマブ ( 遺伝子組換え ) として1 回 300mgを点滴静注する 初回投 与後 2 週 6 週に投与し 以降 8 週間隔で点滴静注する イミフィンジ点滴静注 120mg 500mg 製造 販売 アストラゼネカ 分類 その他の腫瘍用薬 一般名 デュルバルマブ ( 遺伝子組換え ) 薬価 120mg 2.4mL:112,938 円 500mg 10mL:458,750 円 効能 効果 切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法 用法 用量 通常 成人にはデュルバルマブ ( 遺伝子組換え ) として 1 回 10mg/kg( 体重 ) を2 週間 間隔で60 分間以上かけて点滴静注する ただし 投与期間は12カ月間までとする 405-3

ガザイバ点滴静注 1000mg 製造 販売中外製薬分類その他の腫瘍用薬一般名オビヌツズマブ ( 遺伝子組換え ) 薬価 450,457 円効能 効果 CD20 陽性の濾胞性リンパ腫用法 用量通常 成人には オビヌツマブ ( 遺伝子組換え ) として1 日 1 回 1000mgを点滴静注する 導入療法は 以下のサイクル期間及び投与サイクル数とし 1サイクル目は1 8 15 日目 2サイクル目以降は1 日目に投与する 維持療法では 単独投与により2ヵ月に1 回 最長 2 年間 投与を繰り返す 〇シクロホスファミド水和物 ドキソルビシン塩酸塩 ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾロン又はメチルプレドニゾロン併用の場合 3 週間を1サイクルとし 8サイクル〇シクロホスファミド水和物 ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾロン又はメチルプレドニゾロン併用の場合 3 週間を1サイクルとし 8サイクル〇ベンダムスチン塩酸塩併用の場合 4 週間を1サイクルとし 6サイクル レフィキシア静注用 500 1000 2000 製造 販売 ノボノルディスクファーマ 分類 血液製剤類 一般名 ノナコグベータペゴル ( 遺伝子組換え ) 薬価 500 国際単位 :216,394 円 1,000 国際単位 :427,968 円 2,000 国際単位 :846,403 円 効能 効果 血液凝固第 Ⅸ 因子欠乏患者における出血傾向の抑制 用法 用量 本剤を添付の専用溶解用液全量で溶解し 下記の通り 4mL/ 分を超えない速度で緩徐に静 脈内に注射する 用法 用量 出血時の投与 : 軽度から中等度 40IU/kg を投与する 患者の状態に応じて 1 回 40IU/kg の追加投与ができる 出血時の投与 : 重度又は生命を脅かす出血 手術時の投与 : 小手術 手術時の投与 : 大手術 定期的な投与 80IU/kg を投与する 術前に 40IU/kg を投与する 術前に 80IU/kg を投与するが 手術中の血中の血液凝固第 IX 因子活性が約 100%(1IU/mL) に維持されるように必要に応じて調整する 術後は 血中の血液凝固第 IX 因子活性の目標値に応じて 術前投与の 24~48 時間後に 40IU/kg を投与する 術後最初の 7 日間は 血中の血液凝固第 IX 因子活性が約 50%(0.5IU/mL) を維持するように投与する 40IU/kg を週 1 回投与する 405-4

4.Q&A コーナー 8 月分 アズロキサは H 2 ブロッカーとの併用となっているが PPI はダメなのか? PPI と併用している医師が居られるとは聞いているが レセプトでどうなるかは不明 ( メーカー回答 ) フォルテオは時間がずれて投与しても良いか? 1 日 1 回ならいつでも良い 半減期は 1 時間 5. セフェム系第 3 世代経口薬について 我が国における薬剤耐性の現状 薬剤耐性 (AMR) の拡大の背景として 抗微生物剤の不適切な使用等が指摘されています 2010 年の研究班報告によれば 我が国の 2013 年のヒトに対する抗菌薬使用量は 人口千人あたり一日約 15.8 となっており 欧州連合 (EU) の先進諸国の中で比較すると ドイツに次いで低い水準となっています ( 図 1 参照 ) しかし 抗菌薬の種類別使用割合をみると他国と比較し 細菌に対して幅広く効果を示す経口のセファロスポリン系薬 フルオロキノロン系薬 マクロライド系薬が使用されており ペニシリン系薬の使用が低くなっていることがわかります 図 1 欧州及び日本における抗菌薬使用量の国際比較 上記使用量は使用量 ( 力価 ) を DDD(WHO で定義された各薬剤の 1 日量 ) で除し 分母を 1 日当たりの地域住民で補正した DID(DDDs/1,000 inhabitants/day) が用いられている 405-5

薬剤耐性菌の出現率 ( 図 2) をみると メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) やペニシリン耐性肺炎球菌 (PRSP) などのグラム陽性菌における薬剤耐性の割合は 諸外国と比較して高くなっていますが カルバペネム耐性緑膿菌や第 3 世代セファロスポリン耐性大腸菌などのグラム陰性菌の耐性菌の割合は 諸外国と同等又は低い水準を維持しています 近年世界中で問題となっているカルバペネム耐性腸内細菌科細菌 (CRE) についても 0.1~0.2% と低い水準を保っています 図 2 ヒトにおける代表的な薬剤耐性傾向を示す微生物の薬剤耐性率の国際比較 厚生労働省が提示した薬剤耐性 (AMR) 対策アクションプラン (2016-2020) には以下の成果指標が設定されています アクションプランの成果指標 ( ヒトに関して ) 1. 2020 年の肺炎球菌のペニシリン耐性率を 15% 以下に低下させる 2. 2020 年の黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性率を 20% 以下に低下させる 3. 2020 年の大腸菌のフルオロキノロン耐性率を 25% 以下に低下させる 4. 2020 年の緑膿菌のカルバペネム ( イミペネム ) 耐性率を 10% 以下に低下させる 5. 2020 年の大腸菌及び肺炎桿菌のカルバペネム耐性率 0.2% 以下を維持する 6. 2020 年の人口千人あたりの一日抗菌薬使用量を 2013 年の水準の 3 分の 2 に減少させる 7. 2020 年の経口セファロスポリン系薬 フルオロキノロン系薬 マクロライド系薬の人口千人あたりの一日使用量を 2013 年の水準から 50% 削減する 8. 2020 年の人口千人あたりの一日静注抗菌薬使用量を 2013 年の水準から 20% 削減する このうち 7 つ目の指標について 2013 年の日本の一日抗菌薬使用量は 1000 人あたり 15.8 と推計されており 欧州との比較においては 比較的少ない ( 図 1 参照 ) しかし 欧州で 1000 人あたりの一日使用量が最も少ないオランダは 11.3 と日本の約 3 分の 2 程度である 一方で 日本の経口抗菌薬使用の特徴として 経口広域抗菌薬の使用割合が極めて高いことが挙げられる 2013 年における経口抗菌薬の使用割合は 405-6

マクロライド系薬が 33% セファロスポリン系薬が 27%( うち 80% は第 3 世代 ) フルオロキノロン系薬が 19% と全体の約 80% を占める これらの抗菌薬の使用を半減し 適正使用の推進により静注抗菌薬の使用量を 20% 削減することで 全抗菌薬の使用量を 3 分の 2 に減少させることを目指す との記載があります セフェム系 ( セファロスポリン系 ) の大半を第 3 世代が占めているのですが 近年 経口セフェム系抗菌薬の第 3 世代の薬剤は投与を控えるべき との意見が出始めています そもそも 経口薬は消化管から吸収されることで全身作用を示します 吸収率が良い薬剤はバイオアベイラビリティ ( 生物学的利用能 : 服用した薬剤のうち どれだけ体の中に入って利用されたか ) が高くなります バイオアベイラビリティが良い経口抗菌薬の一例 系統 略号 商品名 腸管吸収率 (%) ペニシリン系 AMPC サワシリン 80 セフェム系 CEX ケフレックス 90 マクロライド系 CAM クラリス 50 ニューキノロン系 LVFX クラビット 98 サルファ剤 ST バクタ 85 これらと比較して 第 3 世代セフェム系経口薬の腸管吸収率は低いものが多く 中には情報として提示されていない薬剤もあります 当院採用薬の第 3 世代セフェム系経口薬の腸管吸収率 略号 商品名 腸管吸収率 (%) CFDN セフゾン 30 以上? CDTR-PI メイアクトMS 16 CPDX-PI バナン 46 CFPN-PI フロモックス 30? 第 3 世代セフェム系抗菌薬のデメリットとして 1 一般的な副作用 2 偽膜性腸炎 3 耐性菌 4 低カルニチン血症 : ピボキシル基を有する抗菌薬ではカルニチン排泄が亢進するため カルニチンが少ない小児で低血糖 痙攣 脳症が生じることがある などが挙げられています もちろん 第 3 世代セフェム系抗菌薬が有用な症例もありますので しっかりとスポットを当てた薬剤の選択をお願い致します 参考文献 : 厚生労働省薬剤耐性 (AMR) 対策アクションプラン (2016-2020) 東京医科大学病院感染症科プライマリーケアのためのワンポイントレクチャー各薬剤インタビューフォーム 405-7