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新規遺伝子ARIAによる血管新生調節機構の解明

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インスリンが十分に働かない ってどういうこと 糖尿病になると インスリンが十分に働かなくなり 血糖をうまく細胞に取り込めなくなります それには 2つの仕組みがあります ( 図2 インスリンが十分に働かない ) ①インスリン分泌不足 ②インスリン抵抗性 インスリン 鍵 が不足していて 糖が細胞の イン

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高齢者の筋肉内への脂肪蓄積はサルコペニアと運動機能低下に関係する ポイント 高齢者の筋肉内に霜降り状に蓄積する脂肪 ( 筋内脂肪 ) を超音波画像を使って計測し, 高齢者の運動機能や体組成などの因子と関係するのかについて検討しました 高齢男性の筋内脂肪は,1) 筋肉の量,2) 脚の筋力指標となる椅子

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医療法人将優会 将優会 クリニックうしたに

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エネルギー代謝に関する調査研究

報道関係者各位 平成 26 年 1 月 20 日 国立大学法人筑波大学 動脈硬化の進行を促進するたんぱく質を発見 研究成果のポイント 1. 日本人の死因の第 2 位と第 4 位である心疾患 脳血管疾患のほとんどの原因は動脈硬化である 2. 酸化されたコレステロールを取り込んだマクロファージが大量に血

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第三問 : 次の認知症に関する基礎知識について正しいものには を 間違っているものには を ( ) 内に記入してください 1( ) インスリン以外にも血糖値を下げるホルモンはいくつもある 2( ) ホルモンは ppm( 百万分の一 ) など微量で作用する 3( ) ホルモンによる作用を内分泌と呼ぶ

ン投与を組み合わせた膵島移植手術法を新たに樹立しました 移植後の膵島に十分な栄養血管が構築されるまでの間 移植膵島をしっかりと休めることで 生着率が改善することが明らかとなりました ( 図 1) この新規の膵島移植手術法は 極めてシンプルかつ現実的な治療法であり 臨床現場での今後の普及が期待されます

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前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

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標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

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2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

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宅ベースでの 10 週間のトレーニング ウォーキングのみ 筋内脂肪指標 (a.u.) 80 * ウォーキング群 ウォーキング + レジスタンス運動 * ウォーキング + レジスタンス群 トレーニング前トレーニング後 トレーニング前後の筋内脂肪指標の低下率

研究の背景 ヒトは他の動物に比べて脳が発達していることが特徴であり, 脳の発達のおかげでヒトは特有の能力の獲得が可能になったと考えられています この脳の発達に大きく関わりがあると考えられているのが, 本研究で扱っている大脳皮質の表面に存在するシワ = 脳回 です 大脳皮質は脳の中でも高次脳機能に関わ

第三問 : 次の認知症に関する基礎知識について正しいものには を 間違っているものには を ( ) 内に記入してください 1( ) インスリン以外にも血糖値を下げるホルモンはいくつもある インスリンが血糖値を下げる唯一のホルモンです 2( ) ホルモンは ppm( 百万分の一 ) など微量で作用する

統合失調症モデルマウスを用いた解析で新たな統合失調症病態シグナルを同定-統合失調症における新たな予防法・治療法開発への手がかり-

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小児の難治性白血病を引き起こす MEF2D-BCL9 融合遺伝子を発見 ポイント 小児がんのなかでも 最も頻度が高い急性リンパ性白血病を起こす新たな原因として MEF2D-BCL9 融合遺伝子を発見しました MEF2D-BCL9 融合遺伝子は 治療中に再発する難治性の白血病を引き起こしますが 新しい

PRESS RELEASE (2014/2/6) 北海道大学総務企画部広報課 札幌市北区北 8 条西 5 丁目 TEL FAX URL:

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial

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53巻6号/TNB06‐10(委員会報告)

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2

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肥満者の多くが複数の危険因子を持っている 肥満のみ約 20% いずれか 1 疾患有病約 47% 肥満のみ 糖尿病 いずれか 2 疾患有病約 28% 3 疾患すべて有病約 5% 高脂血症 高血圧症 厚生労働省保健指導における学習教材集 (H14 糖尿病実態調査の再集計 ) より

1. 背景 NAFLD は非飲酒者 ( エタノール換算で男性一日 30g 女性で 20g 以下 ) で肝炎ウイルス感染など他の要因がなく 肝臓に脂肪が蓄積する病気の総称であり 国内に約 1,000~1,500 万人の患者が存在すると推定されています NAFLD には良性の経過をたどる単純性脂肪肝と

2015 年度 SFC 研究所プロジェクト補助 和食に特徴的な植物性 動物性蛋白質の健康予防効果 研究成果報告書 平成 28 年 2 月 29 日 研究代表者 : 渡辺光博 ( 政策 メディア研究科教授 ) 1

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別紙様式 (Ⅱ)-1 添付ファイル用 商品名 : イチョウ葉脳内 α( アルファ ) 安全性評価シート 食経験の評価 1 喫食実績による食経験の評価 ( 喫食実績が あり の場合 : 実績に基づく安全性の評価を記載 ) 弊社では当該製品 イチョウ葉脳内 α( アルファ ) と同一処方の製品を 200

No. 2 2 型糖尿病では 病態の一つであるインスリンが作用する臓器の慢性炎症が問題となっており これには腸内フローラの乱れや腸内から血液中に移行した腸内細菌がリスクとなります そのため 腸内フローラを適切に維持し 血液中への細菌の移行を抑えることが慢性炎症の予防には必要です プロバイオティクス飲

血糖値 (mg/dl) 血中インスリン濃度 (μu/ml) パラチノースガイドブック Ver.4. また 2 型糖尿病のボランティア 1 名を対象として 健康なボランティアの場合と同様の試験が行われています その結果 図 5 に示すように 摂取後 6 分までの血糖値および摂取後 9 分までのインスリ

糖尿病がどんな病気なのか 病気を予防するためにどんな生活が望ましいかについて解説します また 検診が受けられるお近くの医療機関を検索できます 健康診断の結果などをご用意ください 検査結果をご入力いただくことで 指摘された異常をチェックしたり 理解を深めたりすることができます 病気と診断され これから

グルコースは膵 β 細胞内に糖輸送担体を介して取り込まれて代謝され A T P が産生される その結果 A T P 感受性 K チャンネルの閉鎖 細胞膜の脱分極 電位依存性 Caチャンネルの開口 細胞内 Ca 2+ 濃度の上昇が起こり インスリンが分泌される これをインスリン分泌の惹起経路と呼ぶ イ

糖尿病は 初めは無症状で経過しますが 血糖値の高い状態が長く続くと口渇 多飲 多尿 体重減少 倦怠感などの症状がみられます 糖尿病は自覚症状が乏しいので 血糖値がある程度改善すると 通院しなくなる人がいます 血液検査を行わなければ糖尿病の状態を知ることはできないので 自覚症状だけに頼ってはいけません

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1. 背景血小板上の受容体 CLEC-2 と ある種のがん細胞の表面に発現するタンパク質 ポドプラニン やマムシ毒 ロドサイチン が結合すると 血小板が活性化され 血液が凝固します ( 図 1) ポドプラニンは O- 結合型糖鎖が結合した糖タンパク質であり CLEC-2 受容体との結合にはその糖鎖が

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解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

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平成24年7月x日

ⅱ カフェイン カテキン混合溶液投与実験方法 1 マウスを茶抽出液 2g 3g 4g 相当分の3つの実験群と対照群にわける 各群のマウスは 6 匹ずつとし 合計 24 匹を使用 2 実験前 8 時間絶食させる 3 各マウスの血糖値の初期値を計測する 4 それぞれ茶抽出液 2g 3g 4g 分のカフェ

Transcription:

平成 22 年 11 月 5 日金沢大学 [Press Release] 肝臓が血糖血糖を上げるげるホルモンホルモンをつくることをつくることを発見発見し ヘパトカインヘパトカインと命名! - 糖尿病 メタボメタボの発症発症におけるにおける肝臓中心仮説肝臓中心仮説を提唱 - 金沢大学医薬保健研究域医学系恒常性制御学の金子周一教授 篁俊成准教授 御簾博文特任助教らは 肝臓が血糖値を上げるホルモンをつ 1) くっていることを発見し このホルモンをヘパトカイン注と命名しました 生活習慣の近代化に伴う糖尿病 高血圧やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病の増加は社会的に大きな問題となっています 日本人には肥満が軽度な人にも生活習慣病が多いことから 脂肪組織以外の臓器も生活習慣病に関与していると推定されてきましたが その詳細は今まで明らかではありませんでした 2) 金子教授らは今回 ヒトの包括的遺伝子解析注を利用して 糖尿病患者の注 3) 肝臓ではセレノプロテイン P が多く発現していることを発見しました マウスの実験から セレノプロテイン P は血糖低下ホルモンであるインスリンの 4) 効きを悪くするインスリン抵抗性注を引き起こすことで 血糖値を上げるホルモンであることを見出しました また 肝臓でのセレノプロテイン P 産生にブレーキをかけることで 糖尿病で認められる高血糖を改善できることがマウスの実験から明らかになりました 研究グループは このような肝臓由来ホルモンを総称して ヘパトカイン と呼び 糖尿病 メタボの成因に肝臓が重要な役割を果たしている可能性を提唱しました 今後 ヘパトカインのひとつであるセレノプロテイン P を標的にした新しい糖尿病の治療 診断法の開発が期待されます 本研究成果は 2010 年 11 月 3 日 ( 米国東部時間 ) 発行の米国科学雑誌 Cell Metabolism ( セル メタボリズム ) に掲載されました

< 日時 > 2010 年 11 月 5 日 ( 金 ) 10 時 00 分 ~10 時 50 分 < 発表者 > 金沢大学医薬保健研究域医学系恒常性制御学教授金子周一同准教授篁俊成金沢大学大学院地域連携腫瘍内科学特任助教御簾博文 < 会場 > 金沢大学医学部十全講堂 2 階会議室 < 研究の背景と経緯 > 近年日本では 脂肪摂取量の増加 運動量の低下などの生活習慣の近代化に伴って 糖尿病 高血圧 メタボリックシンドロームなどの生活習慣病が急増しており その発病予防を目的として特定検診も行われています その学問的な背景として 内臓にたまった脂肪細胞が アディポカインと呼ばれる多彩な生理活性物質を放出することで いろいろな病気が発病すると考えられています しかし 日本人には肥満が軽度な人にも生活習慣病が多いことから 脂肪組織以外の臓器も生活習慣病に関与していると推察されてきましたが その詳細は今まで明らかではありませんでした < 研究の内容 > 金子教授らは今回 肝臓が生体内最大の活性物質の産生工場であることに注目し 肝臓由来のホルモンが様々な疾患の原因になっているのではないかと考えました ( 図 1) 研究グループは今回 糖尿病に関連した肝臓由来ホルモンを探索し 以下のことを明らかにしました 1. 包括的遺伝子解析の結果から 分泌タンパクであるセレノプロテイン P のヒト肝臓での遺伝子発現量が インスリン抵抗性の程度や高血糖の程度と相関していることを見出しました ( 図 2) 2. 糖尿病患者さんの血中セレノプロテイン P 濃度は高く その値は血糖値と相関することがわかりました ( 図 3) 3. 精製したセレノプロテイン P を打ち込んだマウスは 血糖値が上昇することがわかりました ( 図 4) 4. 精製したセレノプロテイン P を打ち込んだマウスは インスリンを注射しても血糖値がさがりにくく インスリン抵抗性が生じていることがわかりました ( 図 5) 5. 肝臓でのセレノプロテイン P の産生を抑えると肥満糖尿病マウスの血糖値が良くなることがわかりました ( 図 6)

以上の結果から セレノプロテイン P は インスリン抵抗性を起こして血糖値をあげる肝臓由来ホルモンであることが明らかとなりました ( 図 7) 研究グループは このような多彩な機能を持つ肝臓由来ホルモンを総称して ヘパトカイン と呼ぶことを提唱しました 本研究の内容は 米国医学雑誌 Cell Metabolism の表紙を飾ることになりました ( 図 8) < 今後の展開 > セレノプロテイン P は血糖値を上げるヘパトカインですので 食べ物が十分なかった飢餓の時代においては 低栄養による低血糖から人体を守っていたのかもしれません しかし 飽食の時代といわれる現代においては 過剰なセレノプロテイン P はインスリン抵抗性を起こして血糖値を上昇させることで 糖尿病や血管病などの病気を引き起こしているものと思われます したがって 肝臓での過剰なセレノプロテイン P の産生にブレーキをかける薬 あるいはセレノプロテイン P の作用を弱める薬を探すことが 新しい糖尿病やメタボの薬の開発につながると期待されます また 血液中のセレノプロテイン P 濃度を測ることで 糖尿病になりやすい体質の方を早期に発見できるようになるかもしれません

< 参考図 > 肝臓が産生産生する ヘパトカイン が生活習慣病生活習慣病に及ぼすぼす可能性 肝臓 ヘパトカイン インスリン抵抗性? 脂肪蓄積? 動脈硬化? Muscle 図 1 肝臓由来ホルモンホルモンである ヘパトカイン が生活習慣病生活習慣病をつくる肝臓から血液へと流れ出た ヘパトカイン が 全身を巡って様々な病気の原因となる 血糖値と肝遺伝子発現量肝遺伝子発現量が相関相関するヘパトカインとしてセレノプロテイン Pを同定同定した R 2 = 0.33 (p=0.049) ) L d / g 350 (m. 値 300 糖血 250 分 0200 2 1 後 150 荷 負 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 肝臓でのセレノプロテイン P 遺伝子発現量 図 2 血糖値と肝臓肝臓でのでのセレノプロテイン P 遺伝子発現量の相関ヒトの肝臓に発現する遺伝子数万種類を DNA チップ法で一気に解析した その結果 セレノプロテイン P 遺伝子の発現が 血糖値と相関していることを発見した

糖尿病患者の血中血中セレノプロテイン P 濃度は高く その値は血糖値血糖値と相関相関するする 図 3 糖尿病患者さんのさんの血中血中セレノプロテイン P 濃度糖尿病患者さんの血中セレノプロテイン P 濃度は高く その値は血糖値が高いほど高かった セレノプロテイン Pを打ち込んだんだマウスマウスは血糖値が上昇上昇する マウス糖負荷試験 糖負荷 セレノプロテイン P 図 4 セレノプロテイン P 打ち込みマウスマウスの高血糖セレノプロテイン P タンパクを精製し マウスに打ち込みをおこなった セレノプロテイン P 打ち込みマウスに糖負荷試験をすると 負荷後の血糖値は 250 mg/dl 以上へ劇的に上昇した

セレノプロテイン Pを打ち込んだんだマウスマウスはインスリンが効かない ( インスリン抵抗性抵抗性が生じる ) マウスインスリン負荷試験 セレノプロテイン P インスリン負荷 図 5 セレノプロテイン P 打ち込みマウスマウスのインスリンインスリン抵抗性セレノプロテイン P 打ち込みマウスに血糖低下ホルモンであるインスリンの注射をおこなった セレノプロテイン P 打ち込みマウスはインスリン注射の効きが悪くなかなか血糖値が下がらず インスリン抵抗性が生じていた 肥満糖尿病マウス 肝臓でのでのセレノプロテイン Pの産生産生を抑えると肥満糖尿病マウスマウスの血糖値血糖値が良くなる ( セレノプロテイン Pを標的標的としたとした遺伝子治療 ) マウス糖負荷試験 糖負荷 セレノプロテイン P を抑える sirna 図 6 セレノプロテイン P 抑制によるによる糖尿病糖尿病マウスマウスの血糖値血糖値の改善肥満で糖尿病をもつ KKAy マウス ( 写真左の茶色のマウス ) に sirna と呼ばれる薬液を注射し 肝臓でのセレノプロテイン P の産生にブレーキをかけた 肝臓でセレノプロテイン P 産生を抑制したマウスでは 負荷後の血糖値が 100 mg/dl 程度改善した

セレノプロテイン Pの過剰産生過剰産生はインスリン抵抗性抵抗性と高血糖高血糖を引き起こす!! 肝臓 胃 膵臓 過剰産生 セレノプロテイン P 血 糖 インスリン 筋肉 図 7 肝臓でのでのセレノプロテイン P 過剰産生によるによるインスリンインスリン抵抗性抵抗性と高血糖通常では 食べ物から吸収されて血液中の糖分が上昇すると 膵臓からインスリンと呼ばれるホルモンが分泌され 筋肉で糖が通る扉である GLUT4 (Glucose transporter 4) を開く その結果 血糖値は 糖が筋肉の中に入っていくことで低下する 2 型糖尿病の患者さんでは 肝臓でセレノプロテイン P が過剰に産生されており このセレノプロテイン P がインスリン抵抗性を起こし 糖が通る扉を開きにくくする ことで 血糖値が上昇する

図 8 本研究掲載号の Cell Metabolism の表紙富士山の方から 月と女神を運ぶ船が流れてきて 大きな波を起こしている 富士山は肝臓を 月を運ぶ船はセレノプロテイン P を 大きな波が高血糖をあらわしている 波の粒が染色体になっているのは 膨大な数の候補の中から 包括的遺伝子解析を用いてセレノプロテイン P を見つけ出したことを意味する なお 月と女神を運ぶ船 がセレノプロテイン P を意味するのは 微量元素で

あるセレンがギリシャの月の女神セレーネにちなんで命名されたことによる < 用語解説 > 注 1) ヘパトカイン今回 研究グループは 肝臓からつくられたホルモンで 血液を介して全身で様々な作用を発揮するものを総称して ヘパトカイン と呼ぶことを提唱した 肝臓をあらわす接頭語 Hepato と 作動物質という意味をあらわす kine という言葉を組み合わせて Hepatokine ( ヘパトカイン ) と名づけた 注 2) 包括的遺伝子解析ある組織における遺伝子の発現を 何万種類という単位で一気に調べる方法のことをいう SAGE (Serial gene expression analysis) 法や DNA チップ法がその代表である 注 3) セレノプロテイン P セレノプロテイン P は 主に肝臓からつくられる分泌タンパクであり ヒトの血液中にはセレノプロテイン P が 4~5μg/mL と大量に存在している セレノプロテイン P は 必須微量元素であるセレン (Se) を多く含んでおり セレンを肝臓から全身へと輸送するホルモンであることが報告されてきた しかしながら セレノプロテイン P が血糖値やインスリン感受性に及ぼす影響はこれまでまったく報告がなかった 今回の研究ではじめて 糖尿病の患者さんで血液中のセレノプロテイン P が増えていること セレノプロテイン P が血糖値を上昇させるホルモンであることが明らかになった なお最近になって 食べ物やサプリメントを通じてセレンを過剰に摂取すると糖尿病になりやすくなるとする臨床研究が相次いでおり セレンと糖尿病の関係についても注目されている 注 4) インスリン抵抗性糖尿病の患者さんやメタボリックシンドロームの方では 血糖値をさげるホルモンであるインスリンの効きが悪くなっていることが知られており この現象は インスリン抵抗性 と呼ばれている インスリン抵抗性状態では 血糖値が上がりやすくなるのみならず 高血圧 脂質異常 動脈硬化 などの高血糖以外の様々な病気が起こることが明らかとなっており インスリン抵抗性は重要な創薬のターゲットの一つである

< 論文名 > A liver-derived secretory protein, selenoprotein P, causes insulin resistance ( 肝臓由来分泌タンパクであるセレノプロテイン P は インスリン抵抗性の原因となる ) < 発表雑誌 > Cell Metabolism オンライン版 URL: http://www.cell.com/cell-metabolism/home < 本研究のお問い合わせ先 > 金子周一 ( カネコシュウイチ ) 金沢大学医薬保健研究域医学系恒常性制御学教授 E-mail:skaneko@m-kanazawa.jp 920-8641 石川県金沢市宝町 13-1 Tel 076-265-2233; Fax 076-234-4250 篁俊成 ( タカムラトシナリ ) 金沢大学医薬保健研究域医学系恒常性制御学准教授 E-mail:ttakamura@m-kanazawa.jp 920-8641 石川県金沢市宝町 13-1 Tel 076-265-2233; Fax 076-234-4250