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44 大分県

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

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1. 調査結果の概況 (1) の児童 ( 小学校 ) の状況 < 国語 A> 今年度より, ( 公立 ) と市町村立の平均正答率は整数値で表示となりました < 国語 B> 4 国語 A 平均正答率 5 国語 B 平均正答率 ( 公立 ) 74.8 ( 公立 ) 57.5 ( 公立 ) 74 ( 公立

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はじめに 我が国においては 障害者の権利に関する条約 を踏まえ 誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い 人々の多様な在り方を相互に認め合える 共生社会 を目指し 障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶ仕組みである インクルーシブ教育システム の理念のもと 特別支援教育を推進していく必要があります

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2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

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解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

5 教5-1 教員の勤務時間と意識表 5 1 ( 平均時間 経年比較 教員年齢別 ) 中学校教員 調査年 25 歳以下 26 ~ 30 歳 31 ~ 40 歳 41 ~ 50 歳 51 ~ 60 歳 7:22 7:25 7:31 7:30 7:33 7:16 7:15 7:23 7:27 7:25

小学校の結果は 国語 B 算数 A で全国平均正答率を上回っており 改善傾向が見られる しかし 国語 A 算数 B では依然として全国平均正答率を下回っており 課題が残る 中学校の結果は 国語 B 以外の教科で全国平均正答率を上回った ア平成 26 年度全国学力 学習状況調査における宇部市の平均正答

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領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

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(2) 国語科 国語 A 国語 A においては 平均正答率が平均を上回っている 国語 A の正答数の分布では 平均に比べ 中位層が薄く 上位層 下位層が厚い傾向が見られる 漢字を読む 漢字を書く 設問において 平均正答率が平均を下回っている 国語 B 国語 B においては 平均正答率が平均を上回って

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校内研究等の実施状況に関する調査 010.9.5 国立教育政策研究所 はじめに国立教育政策研究所は 007 年度から 教員の質の向上に関する調査研究 に取り組んでいる このたび 同調査研究の一環として 小学校 ~ 高等学校を対象とした校内研究の実施状況に関する調査を実施したので その結果の概要を報告する Ⅰ. 調査の概要全国学校総覧を元に 公立小学校と公立中学校各 1000 校 全日制普通科高校 500 校 ( 公立 336 校 私立 164 校 ) をサンプリングし 平成 年 月に発送し 3 月に回収した 調査項目は研究テーマの策定 校内研究のための全校的な組織の存在 指導案の検討方法 研究授業の開催数 研究授業の実施体制 研究授業の参観体制 事後協議会の実施体制 外部講師の招聘 校長の日常的な指導 指導主事の訪問状況などである これらの取組が 教員間のコミュニケーションの状況 授業の水準 児童生徒の状況等とどのように連関しているかを測るため これらの状況についても回答を求めた 本調査で想定している項目間の連関状況は次の通りである 校内研究等の実施状況 校内研究の体制 : 研究のための全校的な組織 研究のための下部組織 推進担当者 研究のテーマ 研 究指定 研究成果の公開 研究のまとめの作成 年間スケジュールの作成 スケジュールの修正授業研究の実施体制 : 研究授業の実施体制 授業研究の開催数 研究授業の実施数 指導案の検討方法 研究授業の参観体制 事後協議会の実施体制 外部講師の招聘校長の日常的な指導 : 校内巡回 指導の仕方指導主事の訪問状況 : 計画的な訪問 訪問の体制 訪問の際の準備校外の研修機会への参加 : 出張旅費 教科等の研究会への参加 民間団体や大学による研修への参加 教員間のコミュニケーション問題点や課題の共有 授業の水準 児童生徒の状況児童生徒の熱意 児童生徒の授業中の私語 児童生徒の挨拶 地域平均に比べた学力 全国平均に比べた学力 地域の落ち着き 有効回答は公立小学校 705 件 ( 回収率 70.5 %) 公立中学校 665 件 ( 回収率 66.5 %) 公立高等学校 54 件 ( 回収率 75.6 %) 私立高等学校 77 件 ( 回収率 47.0 %) である -1-

Ⅱ. 結果の概要 1. 学校の状況 1 学級数 ( 図 1-1) Ⅰ(1) 学級数 1~5 クラス 6~10 クラス 11~15 クラス 16~0 クラス 1 クラス以上無回答 6.5 11.7 14.3 67.5 6.3 14.6 1.7 4.4 3.3 0.8 中学校.6 5.0 5.4 17.0 9.6 0.5 小学校 1.3 36.5 3.8 13.5 13.0 0.9 教員間のコミュニケーションは十分である ( 図 1-) Ⅰ() 教員間のコミュニケーションは十分である その通りと思うどちらかといえば そう思うどちらともいえないどちらかといえば そう思わないそう思わない無回答 11.7 64.9 19.5 3.9 17.7 58.7 16.5 6.7 0.4 中学校 5.6 58.3 1.8 3. 0. 小学校 8.5 61.1 8.4 1.8 3 学校全体で 問題点や課題を共有できている ( 図 1-3) Ⅰ(3) 学校全体で 問題点や課題を共有できている その通りと思うどちらかといえば そう思うどちらともいえないどちらかといえば そう思わないそう思わない無回答 7.8 16.5 6.0 30.6 67.5 6.6 60.9 59.9 0.8 15.4 10. 7.8.6 1.3 5.5.7 0. 1.6 4 本校の授業の水準は高い ( 図 1-4) Ⅰ(4) 本校の授業の水準は高い その通りと思うどちらかといえば そう思うどちらともいえないどちらかといえば そう思わないそう思わない無回答 13.0 10.6 7.8 6.4 9.9 3.3 41.8 43.8 44. 41.7 43.6 44.4 10.4.6 1. 3.1 5.9 0.6 0.3 4.00.6 0.9 5 児童生徒は熱意をもって勉強している ( 図 1-5) Ⅰ(5) 児童生徒は熱意をもって勉強している その通りと思うどちらかといえば そう思うどちらともいえないどちらかといえば そう思わないそう思わない無回答 7.8 13.4 8.9 9.8 50.6 38. 5.6 56.3 33.5 31. 9.0 9. 10.4 13.4 1.6 8.6 0.5 4.4 0.3 6 児童生徒は授業中の私語が少なく 落ち着いている ( 図 1-6) Ⅰ(6) 児童生徒は授業中の私語が少なく 落ち着いている その通りと思うどちらかといえば そう思うどちらともいえないどちらかといえば そう思わないそう思わない無回答.1 19.6 38.6 3.3 50.6 54.6 37.0 45.4 19.5 16.5 16. 3.0 7.8 7.1 0.8 5.10.6 0.3.6 0.3 --

7 児童生徒は 挨拶がよくできる ( 図 1-7) Ⅰ(7) 児童生徒は 挨拶がよくできる その通りと思うどちらかといえば そう思うどちらともいえないどちらかといえば そう思わないそう思わない無回答 14.8 31. 35.0 5.6 48.1 5 49.4 46.1 8.5 16.9 14.6 17.4.6 4.3 6.3 0.3 8.1 0.4 8 児童生徒は 掃除にまじめに取り組んでいる ( 図 1-8) Ⅰ(8) 児童生徒は 掃除にまじめに取り組んでいる その通りと思うどちらかといえば そう思うどちらともいえないどちらかといえば そう思わないそう思わない無回答 16.9.4 19.8 18.3 63.6 54.3 50.7 54.0 18. 17.7 0. 4.0 1.3 4.70.8 8.7 0.3 3.4 9 本校の不登校者 中退者は少ない ( 図 1-9) Ⅰ(9) 本校の不登校者 中退者は少ない その通りと思うどちらかといえば そう思うどちらともいえないどちらかといえば そう思わないそう思わない無回答 5.7 58.4 68.9 16.8 80.3 1.0 6.0 3.4 17.7 3.9 13.0 1.3 5.5 4.3 3.5 18.3 1.1 13..6.71.1 10 本校の地域は落ち着いている ( 図 1-10) Ⅰ(10) 本校の地域は落ち着いている その通りと思うどちらかといえば そう思うどちらともいえないどちらかといえば そう思わないそう思わない無回答 37.7 45.3 35.8 46.7 44. 4.1 38.5 35. 14.9 14.3 9.4 7.8 13.6.6 1.3.4 0.8.3 0.8 3.80.6 11 本校の学力は同じ地域の平均に比べて高い ( 図 1-11) Ⅰ(11) 本校の学力は同じ地域の平均に比べて高い その通りと思うどちらかといえば そう思うどちらともいえないどちらかといえば そう思わないそう思わない無回答 16.9 3. 16.8 13.0 3.4 3.8 5.0 35.1 4.4 33.4 4.0 18.1 16.9 19.1 15.6 7.8 13.8 6. 0.4 0.8 4.3 1 本校の学力は全国平均に比べて高い ( 図 1-1) Ⅰ(1) 本校の学力は全国平均に比べて高い その通りと思うどちらかといえば そう思うどちらともいえないどちらかといえば そう思わないそう思わない無回答 14.3 15.4 19.5 14.9 3.4 13.8 5.8 6.6 9.9 31. 5.4 35.7 4.8 18. 19.1 16.0 13.0 16.1 9.0 7.4 0.3-3-

. 校内研究の体制 -1 素集計 1 校内研究のための全校的な組織として 研究推進委員会等 校内研究のための全校的な委員会が組織されている のは 小学校 90.5 % 中学校 79.1 % 高校 ( 公立 ) 6.8 % 高校 ( 私立 ) 16.9 % となっている 高校においては 教務委員会等が校内研究を担当している が多く 高校 ( 公立 ) 4.1 % 高校( 私立 ) 4.7 % となっている ( 図 -1) Ⅱ(1) 校内研究のための全校的な組織 全校的な委員会が組織されている教務委員会 教務部等が校内研究を担当している校内研究のための校内組織はないその他無回答 中学校 小学校 16.9 6.8 4.7 79.1 90.5 4.1 57.1 7.6 15. 1.3 3.1 4. 1.5 0.4 5.5.81.0 校内研究の下部組織として 研究テーマに即して いくつかの部会を設定している のは 小 学校 55.6 % 中学校 45.1 % 高校( 公立 ) 8.3 % 高校( 私立 ) 6.5 % となっている 研究推進 のために 学年や教科チームが協力する機会がある のは 小学校 57.7 % 中学校 61. % 高 校 ( 公立 ) 39.0 % 高校( 私立 ) 31. % となっている ( 図 -) Ⅱ() 校内研究のための下部組織 小学校中学校 55.6 57.7 45.1 8.3 6.5 61. 39.0 31. 18. 4.8 10.6 5. 1.1 1.5 5.4 61.0 部会を設定学年や教科チームで協力異校種の教員と協力下部組織はない 3 校内研究を推進する担当者として 研究主任など 校内研究を推進する担当者が定められて いる のは 小学校 94.4 % 中学校 89.3 % 高校( 公立 ) 37.4 % 高校( 私立 ) 18. % となっている 小学校 16.5 % 中学校 10.4 % は担当者の授業負担が軽減されている ( 図 -3) Ⅱ(3) 校内研究を推進する担当者 担当者が定められているが授業軽減はない担当者が定められており授業を軽減教頭や教務主任などが担当担当者なしその他無回答 11.7 6.5 34.6 36.4.8 78.9 77.9 35.0 41.6 3. 10.4 16.5 1.3.6 3.5 0.8 7.7.10.8 0. 5.4 4 校内研究のテーマとして 学校として一つの研究テーマを設定し 校内研究に取り組んでい る のが小学校 98.7 % 中学校 90.7 % 高校( 公立 ) 35.0 % 高校( 私立 ) 0.8 % となっている 個人で研究テーマを設定して 研究に取り組んでいる のは小学校 7.7 % 中学校 8.3 % 高校 ( 公立 ) 1.6 % 高校( 私立 ) 0.8 % となっている ( 図 -4) Ⅱ(4) 校内研究のテーマ 小学校中学校 98.7 90.7 35.0 0.8 9.5 3.9 6.8.1 7.7 8.3 1.6 0.8 3.0 11.0 9.1.6 6.4 41.6 学校で一つの研究テーマ学年集団などで研究テーマ個人で研究テーマそれ以外取組まず 5 研究指定の状況について 現在を含めて 過去 5 年間の内に研究指定を受けている ( 現在市 町村 都道府県 国の研究指定を受けているという回答と過去 5 年間の内に市町村 都道府県 -4-

国の研究指定を受けたことがあるという回答の計 ) 学校は 小学校 68.8 % 中学校 68.3 % 高校 ( 公立 ) 59.4 % 高校( 私立 ) 11.7 % となっている ( 図 -5) Ⅱ(5) 研究指定 研究委嘱等の状況 小学校中学校 85.7 3.39.8 18.5 0.5 14.9 6.4 1 14.6 16.4 6.1 5.6 1.513.115.7 0.8 1.3 1.3.6 3.0.9 0.8 1.3 0.8.6 5. 6.0 4.4 5.1 3.9 39.0 9.930.8 市町村都同府県国それ以外 5 年以内市町村 5 年以内都道府県 5 年以内国 5 年以内それ以外指定なし 6 学校の研究成果公開として 現在を含めて 過去 5 年間の内に研究成果の公開を行ったこと がある ( 毎年研究成果を公開しているという回答と 過去 5 年の内に研究成果を公開したことがあるという回答の計 ) 学校は 小学校 7.5 % 中学校 71.3 % 高校( 公立 ) 61.0 % 高校( 私立 ) 6.0 % となっている 毎年 研究成果の公開を行っている 学校は 小学校 15.7 % 中学校 1.8 % 高校( 公立 ) 8.3 % 高校( 私立 ) 9.1 % となっている ( 図 -6) Ⅱ(6) 学校の研究成果公開 毎年 研究成果の公開過去 5 年のうちに 研究成果の公開過去 5 年のうちに 研究成果の公開なし無回答 9.1 16.9 8.3 1.8 15.7 3.7 49.5 56.7 7 37.0 8.4 7.1 3.9.0 0.3 0.4 7 研究のまとめの作成を 現在を含めて 過去 5 年間の内に作成したことがある ( 毎年研究のま とめを作成しているという回答と 過去 5 年の内に研究のまとめを作成したことがあるという回答の計 ) 学校は 小学校 95.5 % 中学校 86.0 % 高校( 公立 ) 65.0 % 高校( 私立 ) 7.3 % となっている 毎年 研究のまとめを作成している 学校は 小学校 8.8 % 中学校 57.1 % 高校 ( 公立 ) 7.6 % 高校( 私立 ) 14.3 % となっている ( 図 -7) Ⅱ(7) 研究のまとめの作成 毎年 研究のまとめを作成過去 5 年のうちに 研究のまとめを作成過去 5 年のうちには 研究のまとめ作成せず無回答 14.3 7.6 13.0 57.1 8.8 37.4 68.8 8.9 33.9 14.0 1.6 3.9 1. 4.1 0.4 8 校内研究の年間スケジュールを 前年度末あるいは当該年度に定めている 学校は 小学校 99.8 % 中学校 96.0 % 高校( 公立 ) 69.3 % 高校( 私立 ) 36.4 % となっている 前年度末には ある程度決めている 学校は 小学校 5.8 % 中学校 58.0 % 高校( 公立 ) 37.0 % 高校( 私立 ).1 % となっている ( 図 -8) Ⅱ(8) 校内研究の年間スケジュールの策定 前年度末には ある程度決めている当該年度になって 定めている年間スケジュールを定めていないその他無回答.1 37.0 14.3 58.0 5.8 3.3 58.4 38.0 47.0 8.7 1.3 3.9 1. 0.8 3.0 0.6 0.3 9 校内研究の年間スケジュールの見直しについて 必要があれば見直し 修正を行っている のは小学校 95.6 % 中学校 9.9 % 高校 ( 公立 ) 70.5 % 高校 ( 私立 ) 45.5 % となっている ( 図 -9) -5-

Ⅱ(9) 校内研究の年間スケジュールの見直し 修正 原則として見直し 修正は行っていない必要があれば見直し 修正を行っているその他無回答 0.8 13.4 5.6 3.5 45.5 70.5 9.9 95.6 15.6 18. 10.6 5.5 0.8 0.8 0.7 10 校内研究の課題として最も多いのは 多忙で校内研究に取り組む時間がない であり小学校 33.9 % 中学校 46.9 % 高校( 公立 ) 55.5 % 高校( 私立 ) 57.1 % となっている 次に多いのは 研究の継続性 発展性が十分でない 教材研究や指導案の検討が十分でない 研究授業後の検討が十分でない となっている ( 図 -10) Ⅱ(10) 校内研究の課題 小学校中学校 55.557.1 46.9 39. 31.630.7 30.530.8 3.8 37.4 33.9 3.1 1.7 4.8 19.5 3.4 15.617.315.0 14.7 18. 7.8 10.4 1.5 6.5 10.7 5.1 7.8 17.6 1.613.4 9.1 事後検討指導案検討リーダーシップ教員の意欲研究の継続性外部講師招聘多忙予算不足 - クロス集計 (1) カイ二乗検定本調査では校内研究に関する取組と連関する要因として 教員間のコミュニケーションは十分である 学校全体で問題点や課題を共有できている 本校の授業の水準は高い 児童生徒は熱意を持って勉強している 児童生徒は授業中の私語が少なく 落ち着いている 児童生徒は 挨拶がよくできる 児童生徒は掃除にまじめに取り組んでいる 本校の不登校者( 中退者 ) は少ない 本校の学力は同じ地域の平均に比べて高い 本校の学力は全国平均に比べて高い を設定している これらの項目と 校内研究に関する学校の取組 授業研究の実施体制等とクロス集計を行い 連関関係が多く見られた 教員間のコミュニケーションは十分である 本校の授業の水準は高い 本校の学力は同じ地域平均に比べて高い 本校の学力は全国平均に比べて高い の4 項目を 学校の質の高さを示す指標ととらえ これらの項目と校内研究に関する学校の取組とのクロス表を作成した カイ二乗検定により 5% 水準の有意差が示されているのは次の通りである ( 私立高校はサンプル数が少ないため カイ二乗検定の対象から除外した また 校内研究の課題に関する回答と学校の質の高さを示す4 項目との間に連関が多数見られたが 校内研究に関する学校の取組状況を考察する上では性質が異なるため ここでは言及しないこととした ) 1 中学校において 校内研究のための全校的な組織の設置と 教員間のコミュニケーション と の連関が 統計的に有意となっている (χ ( 9, n=664 ) =18.74, p =.03) ( 図 -11) 小学校において 校内研究の下部組織として部会を設置することと 授業の水準 との連関が 統計的に有意となっている (χ ( 4,n=699 ) =11.69, p =.0) ( 図 -1) -6-

3 中学校において 校内研究のテーマを 学校として一つの研究テーマを設定することと 授業 の水準 の連関が 統計的に有意となっている (χ ( 4, n=663 ) =10.93, p =.03) ( 図 -13) 4 小学校において 学校としての研究テーマのほかに個人としての研究テーマも設定していることと 教員間のコミュニケーション ( χ ( 4, n=705 ) =1.4, p=.0) 地域平均に比べた学力 ( χ ( 4, n=704 ) =15.53, p=.00) 全国平均に比べた学力 (χ ( 4, n=704 ) =13.8, p=.01) との連関が統 計的に有意となっている ( 図 -14)( 図 -15)( 図 -16) 5 小中学校において 研究成果を毎年公開したり 過去 5 年の間に公開したことと 授業の水準 との連関が 小中学校において統計的に有意となっている ( 小 :χ ( 8, n=696 ) =19.10, p=.01) ( 中 :χ ( 8, n=661 ) =18.69, p =.0) ( 図 -17) -7-

6 小学校において 研究紀要など研究のまとめを毎年作成することと 授業の水準 との連関が 統計的に有意となっている (χ ( 4, n=699 ) =10.81, p =.03) ( 図 -18) 7 小学校において 校内研究の年間スケジュールを年度末に作成することと 地域平均に比べた学力 との連関が 統計的に有意となっている (χ ( 8, n=703 ) =19.95, p =.01) ( 図 -19) 以上の連関状況を簡潔にまとめたのが次の表になる 教員間の 本校の授 本校の学 本校の学 コミュニ 業の水準 力は同じ 力は全国 ケーショ は高い 地域の平 平均に比 ンは十分 均に比べ べて高い である て高い 1 校内研究のための全校的な組織 中 ( 校内研究の下部組織として ) 研究テーマに即小して いくつかの部会を設定している 3 学校として一つの研究テーマを設定し 校内研究に取り組んでいる 中 4 個人で研究テーマを設定して 研究に取り組ん 小 小 小 でいる 5 学校の研究成果公開小中小高 6 研究のまとめの作成小高 7 校内研究の年間スケジュールの策定 小 -8-

( 表 1) 小 とは 小学校の回答内容においてカイ二乗検定で5% 水準の有意差が示されているもの 中 とは 中学校の回答内容において 高 とは 公立高等学校の回答内容において同様の結果が示されているものである () 考察 1 小学校は9 割 中学校は8 割で校内研究を学校として取り組む体制ができているのに対し 高校は全校的な組織の設置が3 割となっている 高校における校内研究の取組においては 地域平均に比べた学力と連関が見られるものがあるが 高校の学力は 学校としての取組よりも生徒の入学時の学力の影響が大きいと考えられるため 高校においては学校を高めることにつながる校内研究の取組はあまりないと考えられる 小学校において 校内研究の取組の中で 学校の質の高さを示す4つの指標と統計的に有意な連関が見られるのは 部会を設定すること 個人で研究テーマを設定すること 研究のまとめを毎年作成すること 年間スケジュールを前年度に策定すること となっている 小学校では 研究内容を深めるための取組と学校の質の高さとの連関が表れやすいと考えられる 3 中学校において 校内研究の取組の中で 学校の質の高さを示す4つの指標と統計的に有意な連関が見られるのは 校内研究のための全校組織を設置することと 学校として一つの研究テーマを設定していることとなっている 中学校では 校内研究に取り組むための組織的な基盤づくりに関する取組と 学校の質の高さとの連関が表れやすいと考えられる なお これらの取組は 小学校では中学校よりも実施率が高い ( 全校組織の設置 90.5 % 研究テーマの設定 98.7 %) 小学校で4つの指標との連関が示されていないのは そのためと考えられる -9-

3. 授業研究の実施体制 3-1 素集計 授業研究 と称する場合 研究授業を複数の教員で参観し その後批評等の機会を持つことをイメージしている場合と 授業公開日や公開週間に見合うことをイメージしている場合がある 1 授業研究の実施体制として最も多いのは 研究授業を複数の教師で参観し その後批評等の機会をもっている 学校であり 小学校 99.3 % 中学校 93.5 % 高校( 公立 ) 81.5 % 高校( 私立 ) 7.7 % となっている 高校では 授業公開日や公開週間に見合う ことも多く 高校 ( 公立 ) 71.3 % 高校( 私立 ) 44. % となっている ( 図 3-1) Ⅲ(1) 研究授業 小学校中学校 99.3 93.5 81.5 7.7 8.8 4. 18.6 1. 38.5 71.3 44. 1.8 5.1 14.3 研究授業を参観後協議模擬授業後協議授業公開日や公開週間に見合う研究授業は行っていない 研究授業を複数の教師で参観し その後批評等の機会をもっている 学校における研究授業の実施体制 指導案の検討体制 参観体制等について尋ねた結果は以下のとおり 研究授業の実施体制について 全教員が研究授業を行うこととしている のは 小学校 % 中学校 44.9 % 高校( 公立 ) 4. % 高校( 私立 ) 5.0 % となっている 中学校 高校では 教科や学年などの代表が研究授業を行うこととしている 場合が多く 中学校 46.9 % 高校 ( 公立 ) 47.3 % 高校( 私立 ) 48. % となっている ( 図 3-) 7.1 Ⅲ() 研究授業の実施体制 小学校中学校 7.1 44.9 46.9 4. 5.0 9.7 47.3 61.8 48. 4.9 9.6 16.6 35.4 4.6 4.5 全教員が研究授業教科や学年代表が研究授業初任研等の研究授業を活用授業公開日や公開週間に見合う 3 授業研究の年間開催数は 小学校は6~ 10 回が最も多く 43.0 % となっている 中学校 高校 は1~5 回が最も多く中学校 60.6 % 高校( 公立 ) 61.8 % 高校( 私立 ) 58.9 % となっている ( 図 3-3) Ⅲ(3) 授業研究の年間回数 0 1 5 6 10 11 15 16 0 1 5 6 30 31 40 41 高校 ( 私立 ) 1.5% 58.9% 16.1% 1.8% 7.1% 1.8% 1.8% 高校 ( 公立 ).4% 61.8% 17.4% 8.7% 3.4% 0.5% 1.9% 1.4%.4% 中学校.1% 60.6%.7% 7.7% 3.% 1.3% 0.5% 1.1% 0.8% 小学校 1.3% 33.6% 43.0% 10.9% 5.0%.9%.1% 0.9% 0.4% 授業研究会の年間開催数は 規模の大きい学校ほど多く開催される傾向にあることが考えられる そこで 教員一人あたりの授業研究年間開催数を算出すると 1 回以下が小学校 87.4 % 中学校 91.6 % 高校( 公立 ) 94. % 高校( 私立 ) 85.7 % となっている ( 図 3-4) Ⅲ(3) 授業研究の年間回数 / 教員 0 回 ~1 回 ~ 回 ~3 回 4 回以上欠損値 高校 ( 私立 ) 1.5% 高校 ( 公立 ).4% 中学校.1% 小学校 1.1% 85.7% 94.% 91.6% 87.4% 1.8%.4% 0.5% 4.5% 1.0% 0.8% 9.0% 1.4% 0.3% 0.7% -10-

4 研究授業の年間開催数は 小学校は6~ 10 回が最も多く 40.3 % となっている 中学校 高校 は1~5 回が最も多く中学校 33.6 % 高校( 公立 ) 31.9 % 高校( 私立 ) 3.1 % となっている ( 図 3-5) Ⅲ(3) 研究授業の年間回数 0 1 5 6 10 11 15 16 0 1 5 6 30 31 35 36 40 41 高校 ( 私立 ) 16.1% 3.1% 1.4% 8.9% 10.7% 1.8% 3.6% 5.4% 高校 ( 公立 ) 11.1% 31.9% 9.0% 7.7% 3.9% 3.4% 1.9%.4% 8.7% 中学校 4.8% 33.6% 7.3% 13.7% 7.9% 4.7%.4% 0.8% 1.1% 3.7% 小学校 5.0% 0.7% 40.3% 14.0% 7.9% 4.1% 3.7% 1.3% 1.1% 1.9% 研究授業の年間回数も 学校規模により異なると考えられる そのため 教員一人あたりの研 究授業実施数を算出すると 1 回以下が最も多く 小学校 74.3 % 中学校 79.6 % 高校 ( 公立 ) 78.7 % 高校( 私立 ) 78.6 % となっている ( 図 3-6) Ⅲ(3) 研究授業の年間回数 / 教員 0 回 ~1 回 ~ 回 ~3 回 4 回以上欠損値 高校 ( 私立 ) 16.1% 78.6% 3.6% 1.8% 高校 ( 公立 ) 11.1% 78.7% 6.8% 1.4% 1.9% 中学校 4.8% 79.6% 10.8%.7% 1.3% 0.8% 小学校 4.9% 74.3% 15.0% 3.3% 1.9% 0.7% 5 研究授業の指導案の検討について 小学校と中学校では 教科会や学年会で事前検討を行って いる が最も多く 小学校 70.4 % 中学校 65.6 % となっている 高校では 授業時に指導案や略案を配布するが 事前の検討は行っていない が最も多く 高校 ( 公立 ) 49.8 % 高校 ( 私立 ) 57.1 % となっている ( 図 3-7) Ⅲ(5) 研究授業の指導案の検討 小学校中学校 70.4 65.6 6.6 3. 51.6 51.7 50.6 43.5 19.1 5.3 10.7 14.3 34.6 41.7 3.8 9.5 7.5 1.8 3.9 7.1 49.8 57.1 19.1 6.1 0. 14.3 3.4 教科会や学年会部会後全教員で検討校長等が指導指導主事等が指導先行授業や模擬授業指導案配布のみ指導案も略案もなし 6 研究授業の参観体制について 小学校と中学校では 担当授業を自習にしたり 担当授業のな い教員が参観している が最も多く 小学校 8.4 % 中学校 68. % となっている 高校では 該当教科や学年の関係教員のみが参観している が最も多く 高校 ( 公立 ) 56.5 % 高校 ( 私立 ) 53.6 % となっている ( 図 3-8) Ⅲ(6) 研究授業の参観体制 小学校中学校 1.3 33.8 5.3 10.7 8.4 68. 37.7 3.1 56.5 53.6 5.9 14.3 10.3 8. 14.5 16.1 児童生徒は下校して全員自習や授業のない教員が参観該当教科や学年の関係教員のみその他の方法で参観 7 研究授業を参観する際に行っている工夫として 指導案を参観者に配布している が最も多 く 小学校 98.7 % 中学校 96.1 % 高校( 公立 ) 90.8 % 高校( 私立 ) 83.9 % となっている 次いで 写真を撮っている が多く 小学校 85.6 % 中学校 57.7 % 高校( 公立 ).7 % 高 -11-

校 ( 私立 ) 1.5 % となっている ( 図 3-9) Ⅲ(7) 研究授業を参観する際に行っている工夫 小学校中学校 98.796.190.883.9 7.7 85.6 43.0 57.7 6.6 41.5 37.1 0.6 8.5 3.9 11.7 0.5 13.5.7 1.8 1.5 1.5 13.514.3 指導案配布座席表配布抽出児童 生徒を設定授業記録写真ビデオ記録 8 事後の協議会等の実施体制について 小学校と中学校では 全体会のみを行っている が最も 多く 小学校 67.3 % 中学校 44. % となっている 高校では グループ別の協議を行うが 全体会は行わない が最も多く 高校 ( 公立 ) 41.5 % 高校 ( 私立 ) 48. % となっている ( 図 3-10) Ⅲ(8) 事後の協議会等の実施体制 全体会のみグループ別協議のみグループ別協議と全体会全体会 グループ別協議以外の方法事後の協議会なし無回答 3. 1.7 44. 67.3 48. 41.5 1.1 8.7 7.1 7.1 7.1 8.9 0.8 8.1 3.6 5.4 6.3 1.0 3.7.1 0.8 1.1 0.7 9 事後の協議会の実施方法について 口頭での話し合い形式で行っている が最も多く 小学 校 89.0 % 中学校 89.5 % 高校( 公立 ) 88.4 % 高校( 私立 ) 85.7 % となっている ( 図 3-11) Ⅲ(9) 事後の協議会等の実施方法 89.0 89.5 88.4 小学校 中学校 85.7 36.1 37.7 33.4 15.4 16.4 1.9 5.4 10.7 口頭での話し合い形式授業記録や写真 ビデオ等を活用付箋や授業評価シート等を使用 10 外部講師について 研究テーマや授業に応じて 外部講師を招聘している 学校が最も多く 小学校 4.7% 中学校 4.6% 高校( 公立 ) 19.3% 高校( 私立 ) 1.5% となっている 特定の外部講師が指導者となっており 年 1 回 ~ 数回来校している 学校は 小学校 35.0 % 中学校 1. % 高校( 公立 ) 11.6 % 高校( 私立 ) 1.8 % となっている ( 図 3-1) Ⅲ(10) 外部講師 招聘せず特定の外部講師が年数回来校研究テーマや授業に応じて 外部講師を招聘その他無回答 1.3 33.6 59.4 35.0 8.1 1. 11.6 1.8 19.3 4.6 4.7 1.5 4.3 1.8 5.3 1.8 1.9 0.6 0.9 外部講師の所属は 小学校 中学校 高校 ( 公立 ) は教育委員会が最も多く 77.5 % 79.7 % 7.6 % となっている 高校 ( 私立 ) では大学が最も多く 77.8 % となっている ( 図 3-13) Ⅲ(10 付問 ) 外部講師の所属 小学校中学校 77.579.77.6 17.81. 1.4 77.8 6.75.19. 4.9 3.9.5 11.1 11.5 9.3 13.6. 9.6 9.8 11.0 教育委員会他校の校長他校の教員大学退職校長その他 -1-

3- クロス集計 (1) カイ二乗検定授業研究の実施体制と 教員間のコミュニケーションは十分である 本校の授業の水準は高い 本校の学力は同じ地域平均に比べて高い 本校の学力は全国平均に比べて高い の4 項目との連関について 小学校 中学校 公立高校別にクロス表を作成した カイ二乗検定により 5% 水準の有意差が示されているのは次の通りである 1 研究授業の実施体制について 小学校において 全員が研究授業を行うことと 地域平均に比べた学力 との連関が 統計的に有意となっている (χ ( 4, n=699 ) =9.74, p =.05) ( 図 3-14) 中学校において 教員間のコミュニケーション との連関が 統計的に有意となっている (χ ( 3, n=61 ) =8.79, p =.03) ( 図 3-15) 小学校において 指導主事が計画的に訪問する際に授業を公開し 研究授業を行うこととしていることと 授業の水準 との連関が 統計的に有意となっている( χ ( 4, n=694 ) =1.19, p=.0) ( 図 3-16) 3 小学校において 教員一人あたりの授業研究回数 と 全国平均と比べた学力 との連関が 統計的に有意となっている (χ ( 98, n=694 ) =1005.64, p =.04) ( 図 3-17) 4 中学校において 教員一人あたりの研究授業回数 と 授業の水準 との連関が 統計的に有意となっている (χ ( 18, n=615 ) =01.61, p =.00) ( 図 3-18) 5 研究授業の指導案の検討について 中学校において 教科会等で事前検討を行うことと 教員間のコミュニケーション 授業の水準 全国平均と比べた学力 との連関が 統計的に有意となっている ( コミュニケーション :χ ( 3, n=61 ) =17.88, p =.00) ( 授業の水準 :χ ( 4, n=60) -13-

=13.68, p=.01) ( 全国学力 :χ ( 4, n=60 ) =11.18, p=.03) ( 図 3-19)( 図 3-0)( 図 3-1) 6 中学校において 研究授業の指導案の検討について 教科会等で事前検討し 最終的に全教員で検討していることと 教員間のコミュニケーション との連関が 統計的に有意となっている( χ ( 3, n=61 ) =15.54, p=.00) ( 図 3-) 7 小学校において 指導案について校長等の校内の指導者の指導を受けていること 教員間のコミュニケーション 授業の水準 地域平均と比べた学力 学校の質の高さを示す4 設問との連関が 統計的に有意となっている( コミュニケーション :χ ( 4, n=700 ) =1.16, p=.0 )( 授業 : χ ( 4, n=694 ) =16.17, p=.00) ( 地域学力 :χ ( 4, n=699 ) =17.96, p=.00) ( 全国学力 :χ ( 4, n=699) =16.76, p =.00) ( 図 3-3)( 図 3-4)( 図 3-5)( 図 3-6) -14-

8 小学校において 研究授業の指導案について 指導主事等の校外の指導者の指導を受けている ことと 地域平均に比べた学力 との連関が 統計的に有意となっている (χ ( 4, n=699 ) =9.6, p=.05) ( 図 3-7) 9 中学校において 指導案を修正するため 先行授業や模擬授業を行っていることと 授業の水準 との連関が 統計的に有意となっている (χ ( 4, n=60 ) =11.7, p =.0) ( 図 3-8) 10 中学校において 授業研究会の際に 子どもを下校させるのでなく 自習にして研究授業を参 観する体制と 授業の水準 全国平均と比べた学力 との連関が 統計的に有意となっている -15-

( 授業 :χ ( 4, n=60 ) =11.41, p=.0) ( 全国学力 :χ ( 4, n=60 ) =10.0, p=.04) ( 図 3-9)( 図 3-30) 11 小学校において 研究授業を参観する際に 写真を撮っていることと 教員間のコミュニケーション 授 業の水準 との連関が 統計的に有意となっている ( コミュニケーション :χ ( 4, n=700 ) =17.81, p=.00) ( 授業 :χ ( 4, n=694 ) =13.31, p=.01) ( 図 3-31)( 図 3-3) 1 小学校において 研究授業を参観する際に ビデオを撮ることと 全国平均と比べた学力 との連関が 統計的に有意となっている (χ ( 4, n=699 ) =.15, p =.00) ( 図 3-33) 中学校において ビデオを撮ることと 地域平均と比べた学力 全国平均と比べた学力 と -16-

の連関が 統計的に有意となっている ( 地域学力 :χ ( 4, n=617 ) =1.60, p=.01)( 全国学力 :χ ( 4, n=60 ) =13.71, p=.01)( 図 3-34) 13 中学校において 研究授業を参観する際に 授業記録を作成することと 地域平均と比べた学力 との連関が 統計的に有意となっている (χ ( 4, n=617 ) =19.71, p =.00) ( 図 3-35) 14 中学校において 研究授業後の協議会において 授業記録やビデオを使用することと 全国平 均と比べた学力 との連関が 中学校において統計的に有意となっている (χ ( 4, n=60 ) =11.54, p=.0) ( 図 3-36) 15 小学校において 特定の外部講師を招聘したりテーマに応じて外部講師を招聘することと 地域平均に比べた学力 との連関が 統計的に有意となっている (χ ( 1, n=698 ) =.8, p =.03) ( 図 3-37) 中学校において 外部講師の招聘と 全国平均に比べた学力 との連関が 統計的に有意となっている (χ ( 1, n=616 ) =.40, p =.03) ( 図 3-38) 小中学校ともに 講師の所属として大学の場合が 授 業の水準 との連関が統計的に有意である ( 小 :χ (4, n=546 ) =13.6, p=.01)( 中 :χ ( 4, n=407 ) =9.78, p=.04) ( 図 3-39) -17-

以上の分析を簡潔にまとめたのが 次の表になる 教員間の 本校の授 本校の学 本校の学 コミュニ 業の水準 力は同じ 力は全国 ケーショ は高い 地域の平 平均に比 ンは十分 均に比べ べて高い である て高い 1 全教員が研究授業を行うこととしている中小 指導主事訪問の際に研究授業を公開 小 3 教員一人あたりの授業研究の年間回数 小 4 教員一人あたりの研究授業の年間回数 中 5 指導案を教科会等で事前検討している中中中 6 指導案を全教員で検討している 中 7 指導案を校長等が指導している小小小小 8 指導案を指導主事等が指導している 小 9 指導案修正のため先行授業を行っている 中 10 参観時は担当授業を自習にしている中中中 11 参観時は写真を撮っている小小 1 参観時はビデオを撮っている中小中 13 参観時は授業記録をとっている 中 14 事後協議会で授業記録やビデオを使用している 小 15 外部講師を招聘している小中 16 外部講師の所属は大学 小中 () 考察 ( 表 ) 1 研究授業を複数の教師で参観し その後批評等の機会を持っているのは 小学校 99.3 % 中 -18-

学校 93.5 % 公立高校 81.5 % となっている 授業研究は小学校から高校まで実施されていると 解釈できるが 全教員が研究授業を行うこととしているのは 小学校 7.1 % 中学校 44.9 % 公立高校 4. % と 学校段階が上がるほどに実施率が低くなる 初任者研修や 10 年経験者研修等の対象となった教員が行う研究授業を 校内の授業研究に位 置付けているのは 小学校 16.6 % 中学校 9.6 % 公立高校 61.8 % と 学校段階が上がるほど に 他の目的で行われる研究授業を校内の授業研究に位置付ける傾向が強くなる 小学校において 授業研究の実施体制の中で 学校の質の高さを示す4つの指標と統計的に有意な連関が見られるのは 指導主事の計画訪問の際に授業を公開 授業研究の実施回数 指導案を校長が指導 指導案を指導主事が指導 研究授業参観時に写真を撮る 事後協議会で授業記録やビデオを使用 となっている 小学校においては 校長や指導主事の指導を受けることや 事後協議会で授業記録などを使用することが 学校の質の高さと連関を示す傾向にあると解釈できる 3 中学校において 授業研究の実施体制の中で 学校の質の高さを示す4つの指標と統計的に有意な連関が見られるのは 研究授業の年間回数 教科会での指導案検討 全員での指導案検討 先行授業や模擬授業の実施 研究授業参観時に授業記録を作成する 研究授業を参観する際は自習 事後協議会で授業記録やビデオを使用する となっている 中学校においては 教科会や全員で指導案を検討するなど 組織的な取組が 学校の質の高さと連関を示す傾向にあると解釈できる また これらの授業研究の実施体制は いずれも 小学校の実施率が中学校より高い 小学校で4つの指標との連関が示されていないのは そのためと考えられる 4 授業研究や研究授業の回数は 多いほどに授業の水準や学力が高まると考えられているが それを実証したデータはない 全国学力 学習状況調査では 授業研究を伴う校内研修を何回実施したか という設問を設けているが その設問と学力調査の結果との相関は示されていない 本調査でも授業研究の年間開催数と学校の質の高さを示す設問との連関は示されなかったが 小学校において 教員一人あたりの授業研究回数 と 全国平均と比べた学校の学力 との連関が 統計的に有意となり 中学校において 教員一人あたりの研究授業回数 と 授業の水準 との連関が 統計的に有意となっている 4. 校長の日常的な指導体制 4-1 素集計 1 校長の日常的な校内巡回として ほぼ毎日校内を巡回している のは 小学校 65.4 校 54.7 % 高校( 公立 ) 30.7 % 高校( 私立 ) 4.7 % となっている ( 図 4-1) % 中学 Ⅳ(1) 日常的な校内巡回 ほぼ毎日 1 週間に一度程度年に数回程度その他の頻度ほとんど巡回していない無回答 4.7 30.7 54.7 65.4 7.3.0 4.7 30.7 4.5 1.6 10.4 10.7 13.0 15.4 0.8 8.4 1.7 0.4 5.5 6.7 0.4 0.4 校長が校内を巡回している学校で 校内巡回の仕方は 主に廊下から教室の様子を見ている -19-

が最も多く 小学校 49.1 % 中学校 6.4 % 高校( 公立 ) 54.6 % 高校( 私立 ) 88.1 % となっている 次いで 主に教室に入って授業の様子を見ている が多く 小学校 47.8 % 中学校 34.4 % 高校( 公立 ) 31.1 % 高校( 私立 ) 10.4 % となっている ( 図 4-) Ⅳ() 校内巡回の仕方 主に廊下から主に教室に入って教室に入り チェックシートなどを使用その他無回答 54.6 6.4 49.1 88.1 31.1 47.8 34.4 10.4 1.0 1.5 1.5.0.3 0.9.6 0.4 3 教員の指導の仕方は 小学校 中学校 高校 ( 公立 ) は 教員と直接コミュニケーションをと るように心がけている が最も多く 小学校 84.8 % 中学校 8.3 % 高校( 公立 ) 86.1 % となっている 高校 ( 私立 ) は 教頭や主任 主幹教諭などを通じて指導するようにしている が最も多く 67. % となっている ( 図 4-3) Ⅳ(3) 教員の指導の仕方 小学校中学校 40.5.6 5.6 14.81.7 0.4 7.5 67. 50.85.047.0 4.37.4 37.3 0.7 84.88.386.1 56.7 6.4 5.4 1. 3.0 週案にコメント指導案を指導教頭等を通じて学年集団などを通じて教員と直接研修を勧める 4- クロス集計 (1) カイ二乗検定校長の日常的な指導体制と 学校の高さを示す設問の連関について 小学校 中学校 公立高校別にカイ二乗検定で5% 水準の有意差が示されているのは次の通りである 中学校において 校長の日常的な校内巡回の仕方と 教員間のコミュニケーション との連関が 統計的に有意となっている (χ ( 1, n=664 ) =.58, p =.03) ( 図 4-4) 教員間の 本校の授 本校の学 本校の学 コミュニ 業の水準 力は同じ 力は全国 ケーショ は高い 地域の平 平均に比 ンは十分 均に比べ べて高い である て高い 校長の日常的な校内巡回 中 ( 表 3) () 考察 1 校長がほぼ毎日校内を巡回しているのは 小学校 65.4 % 中学校 54.7 % 公立高校 30.7 % となっており 学校段階が上がるほどに巡回率は低くなっている -0-

全国学力 学習状況調査でも 校長は 校内の授業をどの程度見て回っていますか という設問があるが 学力との連関は示されていない 本調査でもこの項目と 全国平均と比べた学力 地域平均と比べた学力 との連関は示されていないが 中学校において 教員間のコミュニケーション との連関が 統計的に有意となっている 5. 指導主事等の計画的な訪問 5-1 素集計 1 指導主事等 ( 教育委員会課長や教育センター所員等を含む ) の計画的な訪問について 年 1 回以上訪問することとなっている 学校は 小学校 74.3 % 中学校 75. % 高校( 公立 ) 55.9 % となっている 高校 ( 私立 ) に指導主事が訪問することはほとんどないが 4%(3 校 ) が都道府県指導主事の訪問を受けていると回答している ( 図 5-1) Ⅴ(1) 指導主事等の計画的な訪問 年 1 回以上数年に一度学校が要請すれば訪問学校を訪問することはないその他無回答 3.9 55.9 75. 74.3 76.6 6.8 5. 11.4 13.3 14.3 1..4.0 0.8 10..60.5 0. 10. 1.3 0.9 指導主事の訪問の目的は 教育課程 学習指導等に関する指導 が最も多く 小学校 99.4 % 中学校 98.8 % 高校( 公立 ) 96. % となっている ( 図 5-) Ⅴ() 指導主事等の訪問の目的 小学校中学校 99.4 98.8 96. 10 54.9 66.3 60.5 66.7 56.3 60.4 64.8 66.7 教育課程 学習指導等に関する指導生徒指導に関する指導学校が備え付ける帳簿等 管理面の指導 3 指導主事が計画的に訪問する場合の訪問体制は 小学校と中学校では 市町村の指導主事等の み が最も多く 小学校 5.6 % 中学校 48.8 % となっている 次いで 市町村と都道府県の指導主事等のみ が多く 小学校 37. % 中学校 4.0 % となっている 高校 ( 公立 ) においては 都道府県の指導主事等のみ が最も多く 9.9 % となっている ( 図 5-3) Ⅴ(3) 指導主事等の訪問体制 市町村の指導主事のみ市町村と都道府県の指導主事都道府県の指導主事のみその他無回答 3.8.9 48.8 5.6 10 9.9 4.0 37. 8.9 8.9 0.5 0.3 0.8 0.5 4 指導主事の授業参観方法は 小学校と中学校では すべての授業を参観することとしている -1-

が最も多く 小学校 54.5 % 中学校 49.8 % となっている 高校 ( 公立 ) においては 一部の授業だけを参観することとしている が最も多く 61.9 % となっている ( 図 5-4) Ⅴ(4) 指導主事等の授業参観方法 すべての授業を参観一部の授業だけを参観すべての授業参観後 一部の授業を最後まで参観その他無回答 1.9 49.8 54.5 66.7 61.9 6.0 19.6 33.3 10.5 19.3.0 5.7 4.5 0.3 3.4 0.5 5 指導主事が訪問する際の学校側の準備は 参観対象となるすべての授業の指導案を作成して いる 学校が最も多く 小学校 7.8 % 中学校 65.8 % 高校 ( 公立 ) 38.6 % となっている ( 図 5-5) Ⅴ(5) 指導主事等が訪問する際に学校が行っている準備 参観対象となるすべての授業の指導案を作成最後まで参観する授業の指導案のみを作成指導案は作成しないその他無回答 33.3 38.6 65.8 7.8 33.3 33.3 17. 33.3.4 17.6 1. 5.7 4.5 0.3 6.5.3 0.8 5- クロス集計指導主事の訪問体制と4つの指標とのクロスでは 連関を示すものはなかった 指導主事の訪問体制は 学校側の要因よりも教育委員会側の要因で決定されるためと思われる 6. 校外の研修機会への参加 6-1 素集計 1 出張旅費について 教育委員会主催の研修の受講を希望する教員のための出張旅費が十分に 確保されている 学校は 小学校 63.8 % 中学校 56.7 % 高校 ( 公立 ) 56.7 % 高校 ( 私立 ) 36.4 % となっている 他校の授業を参観するための出張旅費は確保されている 学校は 小学校 61.7 % 中学校 47.5 % 高校( 公立 ) 39.8 % 高校( 私立 ) 49.4 % となっている ( 図 6-1) Ⅵ(1) 出張旅費 小学校中学校 63.8 56.7 56.7 36.4 3.3 18.8 7. 61.7 47.5 39.8 49.4 9.9 10.5 9.9 13.0 14. 0.5 15.7 9.1 出張旅費が十分に確保旅費は教育委員会が支出他校参観のための旅費確保その他の配慮旅費不足のため参加に支障 教科等の研究会への参加について 教科等の研究会への参加を出張として認めている 学校 は 小学校 88.9 % 中学校 87.8 % 高校 ( 公立 ) 91.7 % 高校 ( 私立 ) 90.9 % となっている 校務分掌の中に 教科等の研究会の担当がある のは 小学校 54.5 % 中学校 37.1 % 高校( 公立 ) 9.4 % 高校( 私立 ) 6.5 % となっている ( 図 6-) Ⅵ() 教科等の研究会への参加 54.5 37.1 9.4 6.5 小学校中学校 88.9 87.8 91.7 90.9 9.4 9.8 7.1.6 6.4 4.7.8 6.5.1 4.1 5.1 5. 校務分掌に研究会担当参加を出張に参加を職務専念義務免除にその他の方法特別な配慮なし 3 教科等の研究会以外の民間団体や大学が実施する研修への参加について 研修への参加を 出 --

張として認めている 学校は 小学校 46.8 % 中学校 4.4 % 高校( 公立 ) 43.7 % 高校( 私 立 ) 79. % となっている ( 図 6-3) Ⅵ(3) 教科等の研究会以外の民間団体や大学が実施する研修への参加 小学校中学校 79. 46.8 4.4 43.7 4.7 5.4 31.9 16.6 18.3 3.6 9.6 19.0.6 10.4 19.7 5. 6.5 7.1 3.9 11.7 参加を出張に参加を職務専念義務免除に年次有給休暇で参加その他の方法特別な配慮なし 6- クロス集計 (1) カイ二乗検定校外の研修機会への参加の状況と 学校の高さを示す設問の連関について 小学校 中学校 公立高校別にカイ二乗検定で5% 水準の有意差が示されているのは次の通りである 1 中学校において 校務分掌の中に教科研究会の担当が位置付けられていることと 地域平均に比べた学力 の連関が 中学校において統計的に有意となっているが( χ ( 4, n=660 ) =15.17, p=.00) 比例関係にあるとは言いにくい ( 図 6-4) 小学校において 教科研究会への参加を出張として認めることと 授業の水準 の連関が 統計的に有意となっているが( χ ( 4, n=699 ) =1.69, p=.01) 比例関係にあるとは言いにくい ( 図 6-5) 3 小学校において 教科研究会への参加や民間団体等の研修への参加を出張として認めていることと 授業の水準 との連関が 統計的に有意となっている( χ ( 4, n=699 ) =9.78, p=.04) ( 図 6-6) -3-

教員間の 本校の授 本校の学 本校の学 コミュニ 業の水準 力は同じ 力は全国 ケーショ は高い 地域の平 平均に比 ンは十分 均に比べ べて高い である て高い 校務分掌の中に教科研究会の担当がある 中 教科研究会への参加を出張として認めている小高民間団体等の研修への参加を出張として認めている小 ( 表 4) () 考察 1 教員が研修を受けたり他校の視察に出向くための出張旅費がどの程度整備されているかは 学校の研究体制に影響すると思われる しかし 出張旅費の支出のあり方は教育委員会によって決定されるためか 学校の質の高さを示す設問との連関は見られなかった 教科等の研究会への参加や 民間団体や大学が実施する研修への参加についても 教育委員会の方針が影響している可能性がある そのため カイ二乗検定で有意な連関が示されても それが学校の取組や方針との連関であるかどうかは判断しにくい Ⅲ. まとめ本調査研究から得られた結論は以下のとおりである 1 高校においては 校内研究や授業研究に関する取組が小中学校に比べると低調であり 学校の質の高さを示す指標として設定した4つの項目との連関もほとんど示されていない 高校においては 校内研究や授業研究に取組むこと自体が課題であると考えられる 小学校において 校内研究や授業研究への取組の中で 学校の質の高さを示す4つの指標と統計的に有意な連関が見られるのは 部会を設定すること 個人で研究テーマを設定すること 研究のまとめを毎年作成すること 年間スケジュールを前年度に策定すること 指導主事の計画訪問の際に授業を公開すること 指導案を校長が指導すること 指導案を指導主事が指導すること となっている これらの取組は授業の内容面を高めるための取組と解釈することができ 小学校においては 内容面の取組と学校の質の高さを示す指標との連関が強いと考えられる 3 中学校において 校内研究や授業研究への取組について 学校の質の高さを示す4つの指標と統計的に有意な連関が見られるのは 校内研究のための全校組織を設置している 学校として一つの研究テーマを設定している 教科会で指導案を検討している 全員で指導案を検討している 先行授業や模擬授業を実施している 研究授業参観時に授業記録を作成している 事後協議会で授業記録やビデオを使用している という取組になっている これらの取組は小学校でも行われており 小学校の実施率の方が高い これらの取組は 校内研究や授業研究への組織的な取組と解釈することができ 組織的な取組が学校の質の高さに影響するものと考えられる 本件の問い合わせ先 : 国立教育政策研究所研究企画開発部総括研究官千々布敏弥 03-6733-693 chichibu@nier.go.jp -4-