3 昨年度の校内研究の成果を基に本校では 平成 24 年度の校内研究で 授業における 手立て と 評価 のつながりを意識した授業づくりについて 指導評価シート を基に検討した 平成 24 年度北海道鷹栖養護学校研究紀要 また 平成 25 年度から 2 カ年計画で 般化 を目的とした指導方法について研

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3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

はじめに 我が国においては 障害者の権利に関する条約 を踏まえ 誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い 人々の多様な在り方を相互に認め合える 共生社会 を目指し 障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶ仕組みである インクルーシブ教育システム の理念のもと 特別支援教育を推進していく必要があります

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p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

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Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

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ICTを軸にした小中連携


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24 京都教育大学教育実践研究紀要 第17号 内容 発達段階に応じてどのように充実を図るかが重要であるとされ CAN-DOの形で指標形式が示されてい る そこでは ヨーロッパ言語共通参照枠 CEFR の日本版であるCEFR-Jを参考に 系統だった指導と学習 評価 筆記テストのみならず スピーチ イン

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

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13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

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研究紀要目次 研究紀要発行に寄せて 1 研究構想図 2 授業改善システム (PDCA) 3 研究授業実施一覧 4 小学部研究授業のまとめ 5 中学部研究授業のまとめ 6 高等部研究授業のまとめ 7 主体性を育む 振り返り とは 8 成果と課題 9 < 巻末資料 > 舞鶴支援学校 つけたい力 ( めざ

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系統的で一貫性のあ評価指標 評価指標による達成度 総合評価 るキャリア教育の推進に向けて 小 中 1 卒業後の生活につながる客観的 < 評定 > 学部段階での客観的アセスメントに基づいた指導計画 指標に基づいた卒業を立案することができる A B C 後の生活を見据えた教育活動につながる 2 立案され

①H28公表資料p.1~2

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02-01 ビジョンの基本的考え方

求められる整理編

市中学校の状況及び体力向上策 ( 学校数 : 校 生徒数 :13,836 名 ) を とした時の数値 (T 得点 ) をレーダーチャートで表示 [ ] [ ] ハンドボール ハンドボール投げ投げ H29 市中学校 H29 m 走 m 走 表中の 網掛け 数値は 平均と同等または上回っているもの 付き

商業科 ( 情報類型 ) で学習する商業科目 学年 単位 科目名 ( 単位数 ) 1 11 ビジネス基礎 (2) 簿記(3) 情報処理(3) ビジネス情報(2) 長商デパート(1) 財務会計 Ⅰ(2) 原価計算(2) ビジネス情報(2) マーケティング(2) 9 2 長商デパート (1) 3 プログ

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第 1 章総則第 1 教育課程編成の一般方針 1( 前略 ) 学校の教育活動を進めるに当たっては 各学校において 児童に生きる力をはぐくむことを目指し 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で 基礎的 基本的な知識及び技能を確実に習得させ これらを活用して課題を解決するために必要な思考力 判

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4 身体活動量カロリズム内に記憶されているデータを表計算ソフトに入力し, 身体活動量の分析を行った 身体活動量の測定結果から, 連続した 7 日間の平均, 学校に通っている平日平均, 学校が休みである土日平均について, 総エネルギー消費量, 活動エネルギー量, 歩数, エクササイズ量から分析を行った

2 生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査 児童生徒に対する調査 学校意欲 学習方法 学習環境 生活の諸側面等に関する調査 学校に対する調査 指導方法に関する取組や人的 物的な教育条件の整備の状況等に関する調査 2

学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

教育学科幼児教育コース < 保育士モデル> 分野別数 学部共通 キリスト教学 英語 AⅠ 情報処理礎 子どもと人権 礎演習 ことばの表現教育 社会福祉学 英語 AⅡ 体育総合 生活 児童家庭福祉 英語 BⅠ( コミュニケーション ) 教育礎論 音楽 Ⅰ( 礎 ) 保育原理 Ⅰ 英語 BⅡ( コミュニ

教育 学びのイノベーション事業 ( 平成 23~25 年度 ) 総務省と連携し 一人一台の情報端末や電子黒板 無線 LAN 等が整備された環境の下で 教科指導や特別支援教育において ICT を効果的に活用して 子供たちが主体的に学習する 新たな学び を創造する実証研究を実施 小学校 (10 校 )

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Transcription:

校では 家庭 地域生活を見据えた力を指導目標として設定すること そして 学校で身についた力が家庭 地域においても十分に発揮されることは必須条件といえる 特別支援学校では 前述した条件を満たすツールとして 個別の教育支援計画 がその役割を担っている しかし 授業においては 長期間にわたる繰り返しの指導から 般化 を期待する train&hope の考え方に傾倒しがちで 授業における 手立て と 評価 のつながりを意識した具体的かつ効果的な指導方法と 般化 を目的とした指導方法の検討が求められる Fig.1 平成 24 年度学校基本調査 ~ 各学校段階ごとの在学者数の推移 ( 文部科学省,2012) 2 般化 に関する理論的な背景大久保 (2012) は 特別支援学校の授業においては 児童生徒の自発行動の生起を促すだけでなく ある授業 ( 指導場面 ) で身についた力が他の授業 ( 般化場面 ) でも生起し 持続するかという 般化と維持 に対する検討の重要性を指摘し 井澤 (2012) は 障害児 者に対する指導の目標は 最終的には日常生活の質を高めることであるから 般化をみすえた指導というのは 本来もっと重視されるべき と指摘する さて 般化を促進する条件について井上 (1998) は そのような機会 ( 般化場面 ) が偶発的に存在するのではなく ある程度反復的に しかもできるだけ似たような社会的文脈の中で組織的に設定される必要がある と述べ 佐藤 (2003) は 異なる場面における般化を促進するためには, その場面における強化随伴性が指導場面における強化随伴性と同じようになるように注意しなくてはならない と述べている このように 般化と維持 を目的とした指導では 目標と指導方法の設定において 指導場面と般化場面の両者について事前に十分検討する必要がある 112

3 昨年度の校内研究の成果を基に本校では 平成 24 年度の校内研究で 授業における 手立て と 評価 のつながりを意識した授業づくりについて 指導評価シート を基に検討した 平成 24 年度北海道鷹栖養護学校研究紀要 また 平成 25 年度から 2 カ年計画で 般化 を目的とした指導方法について研究計画を立案し 校内研究を進めている 平成 25 年度北海道鷹栖養護学校校内研究のまとめ 平成 25 年度は研究主題を 児童生徒の わかる できる 身につく を伸ばし 活躍の場 を広げる指導の充実を目指して と設定し 児童生徒が ある授業 で身につけた知識や技能を 他の授業 でも発揮できるための指導方法について検討した 具体的な検討の手続きは 1 実態把握から標的行動の設定 2 指導場面と般化場面の設定 3 課題分析表を基にした指導方法の検討 4A-B 実験デザインに沿った効果検証 5 般化テストの実施である その結果 複数の事例で対象児の標的行動に 般化 が確認されたという報告が見られ (Fig.2) 児童生徒がある授業で獲得した知識や技能が他の授業でも発揮できたことが確認された しかし 研究の手続きにおいては 指導目標設定の段階における具体性の向上や 社会的妥当性の検討 指導方法と評価との関係性 般化テストの計画的な実施などの課題が残された そこで 今年度は上記の課題解決を図りながら 児童生徒の 活躍の場 を学校だけでなく 家庭を含めた地域に広げることを目的とした校内研究を推進する Fig.2 平成 25 年度校内研究における 般化 の確認と促進要因について 研究仮説 -------------------------------------------------------------------------------------------- 般化 についての理解を深め 般化 を期待する具体的な目標設定と明確かつ計画的な指導手続きを設定することによって 学校と家庭 地域間でつながりのある指導を展開することができる これによって 児童生徒の自立的な生活と社会参加に結びつく知識 技能 態度及び習慣の確かな定着と般化と維持が促進される -------------------------------------------------------------------------------------------- 研究のキーワード 般化と維持 生活の質 自立活動 個別の教育支援計画 支援ツール 113

研究の手続き 1 仮説検証及び教職員一人ひとりの専門性を高める研修の充実を図る研究の手続きについて (1) グループ別実践研究の推進について 研究グループは学部毎 5 6 名で構成される メンバーは ファシリテーター ビデオ記録 観察 課題分析 グラフ作成 レジュメ作成の役割を担う (2) 事例研究を進める 1グループ1 名の事例対象児を選出する 個別の教育支援計画 をもとにした対象児の実態把握を行う 自立活動 の指導目標の確認 標的となる行動(target behavior) の設定 (3) 標的となる行動の記録と分析を行う 課題分析等を用いた記録と分析を行う A-B-フォローアップの実験デザインを用いる 般化テストを計画的に実施する (4) 研究に関するミニ研修を実施する 般化と維持 に関する研修 記録 と 実験デザイン に関する研修 課題分析 に関する研修 (5) 先行研究や文献研究 校外研修を実施する 校内研究に関する新しい事実の発見やより確かな研究を進めるために 道内外への調査研究を積極 的に実施する 教育図書 研究所年報 他校の実践記録等を積極的に活用した文献研究に取り組む 2 各研究発表会の実施について (1) 校内研究日各グループのファシリテーターを中心に校内研究日 ( 水曜日 ) を通して実践研究に取り組む なお 研究部 学部間の連絡調整等の担当者は次の通りである 小学部研究推進担当: 新村 中学部研究推進担当: 三宮 高等部研究推進担当: 畠山 114

(2) 実践研究発表会 実践研究発表会 Ⅰ: 平成 26 年度校内研究計画の発表 実践研究発表会 Ⅱ: 研究グループの研究テーマ等の発表 寄宿舎研究計画の発表 実践研究発表会 Ⅲ: 研究グループの中間発表 ( 報告 ) 実践研究発表会 Ⅳ: 研究グループの研究のまとめの発表 実践研究発表会 Ⅴ: 平成 26 年度校内研究のまとめの発表 (3) 全体研修会 全体研修会 Ⅰ: 未定 全体研修会 Ⅱ: 未定 (4) 全校授業研究会校内研究の活性化と教職員の授業実践力及び授業参観の力 ( 評価する力 ) の向上を図るために 学部又は全校で 授業者支援会議 の手続きに基づいた授業研究会を実施する 平成 26 年 11 月 26 日 ( 水 ) 平成 26 年 12 月 10 日 ( 水 ) (5) 平成 26 年度北海道鷹栖養護学校冬季研修会特別支援教育に関わる今日的な課題をテーマとした研修会を実施する 講演会の開催( 講師未定 ) 実践発表会の実施 (6) 研修参加報告会 調査研究等各種研修会への参加報告会を実施し 研修内容を還元する 115

平成 26 年度 校内研究推進日程 北海道鷹栖養護学校

研究推進日程 期月日曜日研修名内容備考 4 23 水 5 7 水 14 水 28 水 実践研究発表会 Ⅰ / ミニ研 1 ミニ研 2 / 校内研究日 1 ミニ研 3 / 校内研究日 2 ミニ研 4 / 校内研究日 3 研究計画発表 / 般化とは 校内研究シート 1 実験デザインについて 標的行動 校内研究シート2 指導方法と課題分析 校内研究シート 3 6 11 水校内研究日 4 前 18 水実践研究発表会 Ⅱ グループ研究計画発表 寄宿舎研究計画発表 校内研究シート 3 25 水校内研究日 5 期 7 16 水校内研究日 6 23 水全体研修会 Ⅰ 8 20 水校内研究日 7 27 水校内研究日 8 9 3 水校内研究日 9 10 水校内研究日 10 17 水実践研究発表会 Ⅲ グループ研究中間報告実践研究レジュメ 10 1 水校内研究日 11 15 水全体研修会 Ⅱ 22 水校内研究日 12 29 水校内研究日 13 11 12 水校内研究日 14 後 期 19 水 校内研究日 15 26 水 全校授業研究会 授業者支援会議 オーダーシート 12 3 水 校内研究日 16 10 水 全校授業研究会 授業者支援会議 オーダーシート 17 水 校内研究日 17 1 8 木 冬季研修会 講演 & 実践発表会 ( ワークショッフ ) 講師 : 未定 21 水 校内研究日 18 グループ研究報告プレ発表 28 水 実践研究発表会 Ⅳ( 前 ) グループ研究報告 実践研究レジュメ 2 4 水 実践研究発表会 Ⅳ( 後 ) グループ研究報告 実践研究レジュメ 116

2 25 水 実践研究発表会 Ⅴ 研修参加報告会 校内研究報告 調査研究等発表 3 6 金研究紀要原稿〆切 31 火研究紀要編集 発行 参考 引用文献 文部科学省 (2012) 学校基本調査 ( 確定値 ) の公表について. 古屋義弘 岡輝彦 広瀬信雄 (2009) 政策としての特別支援教育は何を生み出しているか?. 山梨大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 14,128-138. 文部科学省 (2012) 共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進 ( 報告 ). 平成 24 年度北海道鷹栖養護学校研究紀要. 平成 25 年度北海道鷹栖養護学校校内研究のまとめ. レイモンド G ミルテンバーガー (2006) 行動変容法入門. 二瓶社. 大久保賢一 (2012) 学びのABCから授業を再考し 成果を拡大する ( 学研 ). 月刊実践障害児教育,470, 44-47. 井澤信三 (2012) 指導効果を日常生活へ拡大するための般化のポイント. 月刊実践障害児教育,471, 2-3. 井上雅彦 (1998) 自閉症児における他者への教示言語行動の獲得と般化. 発達心理学研究, 第 9 巻, 第 3 号,170-190. 佐藤和彦 島宗理 橋本俊顕 (2003) 重度知的障害児におけるカードによる援助要求行動の形成 般化 維持. 行動分析学研究, 第 18 巻, 第 2 号,83-98. 117