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強化 LVL 接合板および接合ピンを用いた木質構造フレームの開発 奈良県森林技術センター中田欣作 1. はじめに集成材を用いた木質構造で一般的に用いられている金物の代わりに スギ材単板を積層熱圧した強化 LVL を接合部材として用いる接合方法を開発した この接合方法では 集成材と接合板である強化 L

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CLT による木造建築物の設計法の開発 ( その 3)~ 防耐火性能の評価 ~ 平成 26 年度建築研究所講演会 CLTによる木造建築物の設計法の開発 ( その 3) ~ 防耐火性能の評価 ~ 建築防火研究グループ上席研究員成瀬友宏 1 CLT による木造建築物の設計法の開発 ( その 3)~ 防耐

説明書 ( 耐震性 ) 在来木造一戸建て用 ( 第二面 ) 基礎根入れ深さ深さ ( mm ) 住宅工事仕様書 適 基礎の 立上り部分 高さ ( mm ) 厚さ ( mm ) 基礎伏図 不適 各部寸法底盤の寸法厚さ ( mm ) 幅 ( mm ) 基礎詳細図 基礎の配筋主筋 ( 径 mm ) 矩計図

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スライド 1

耐震等級 ( 構造躯体の倒壊等防止 ) について 改正の方向性を検討する 現在の評価方法基準では 1 仕様規定 2 構造計算 3 耐震診断のいずれの基準にも適合することを要件としていること また現況や図書による仕様確認が難しいことから 評価が難しい場合が多い なお 評価方法基準には上記のほか 耐震等

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CLT による木造建築物の設計法の開発 ( その 2)~ 構造設計法の開発 ~ 平成 26 年度建築研究所講演会 CLT による木造建築物の設計法の開発 ( その 2)~ 構造設計法の開発 ~ 構造研究グループ荒木康弘 CLT による木造建築物の設計法の開発 ( その 2)~ 構造設計法の開発 ~

設計壁リフォーム標準施工法外壁リフォームモエンサイディング重ね張り工法モエンサイディングモエンサイディングセンターサイディング屋根リフォームセンタールーフアルマ8-1 適用条件 8 屋根リフォームの設計 1) 適合対象建築物昭和 56 年の建築基準法新耐震基準に適合する木造建築物 昭和 56 年 5

コストを抑えるための設計上の工夫2

83

設計162 外壁リフォーム事前調査の方法標準施工法外壁リフォームモエンサイディング重ね張り工法モエンサイディング張り替え工法モエンサイディング張り替え工法 外張り断熱センターサイディング重ね張り工法設計屋根リフォームセンタールーフ重ね葺き工法アルマ重ね葺き工法参考資8-1 適用条件 8-2 屋根リフ

1.1 テーラードブランクによる性能と歩留りの改善 最適な位置に最適な部材を配置 図 に示すブランク形状の設計において 製品の各 4 面への要求仕様が異なる場合でも 最大公約数的な考えで 1 つの材料からの加工を想定するのが一般的です その結果 ブランク形状の各 4 面の中には板厚や材質

Microsoft Word - UA_ηA計算補助資料

表 3-2 企画書の項目例 項目 特筆事項 1. 事業のコンセプト目的等 2. 設計内容について 3. 木材の調達について 4. 発注方式について 計画条件 ( 面積や階数などの諸元について ) 架構方式設計に関連する木材の品質について 伐採スケジュールと量の把握方法 ( 情報入手先の提示 ) 地域

資料 7( 第 4 回原案作成委員会 H 枠組壁工法用構造用たて継ぎ材の日本農林規格平成 3 年 (1991 年 )5 月に制定された枠組壁工法用構造用たて継ぎ材の日本農林規格 ( 平成 3 年 5 月 27 日農林水産省告示第 701 号 ) の第 4 条においてたて継ぎ部のフィ

ARCHITREND ZERO 造作・下地材積算編

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国産木材使用数量調書添付資料 2-1 規定書式 国産木材使用数量調書 物件種別 : 延べ床面積 ( m2 ): 民間物件 : 入力欄 入力の際の注意点 基準木材使用量 ( m3 ): 8.00 : 自動計算欄 ( 入力の必要なし ) 使用面積の桁数は小数第 1 位までとし 第 2 位


スライド 1

-Ⅰ. 木材情報の確認と企画 1) 木造 内装木質化における企画書の作成木造建築物の計画を実際の事業に起こす いわゆる 企画する 場合 企画書 を作成するわけであるが 表 3-1 に示すような名称があり フェーズが変わる ( 進む ) ごとに 漠然とした内容から詳細な内容に詰めていく作業を行う 企画


ARCHITREND ZERO Ver.3の新機能

階の施工方法 1 は, スパン表に従って 支点間距離が許容範囲内となるように施工します 2 根太受け金物は 原則的に床梁用を使用します ( 図 10) 釘打ちには 必ず 金物専用の ZN 釘を使用し 横架材へ ZN65 10 本 Ⅰ 形梁へ ZN40 4 本とします 3 火打梁を省略す

JIS A9521 F JIS A9521 F 計資料 JIS A 6930 A JIS A9521 F JIS A 6930 A JIS A9521 F JIS A 6930 A JIS A9521 F JIS A 6930 A JIS A9521 F JIS A 6930 A JIS A9521

目次構成

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スライド 1

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第 14 章柱同寸筋かいの接合方法と壁倍率に関する検討 510

中間検査が必要となる建築物の対象拡大について

第 1. 基本的事項 1. 都道府県の森林整備及び林業 木材産業の現状と課題 1 森林整備の現状と課題本県の人工林面積の主な樹種別の構成割合は スギ 71% アテ 12% マツ 9% である 齢級構成は 10~11 齢級をピークとした偏った構成となっており 保育や間伐を必要とする 9 齢級以下のもの


Microsoft Word - 12.法面保護工事

様式 2 作成年度 平成 28 年度 森林整備加速化 林業再生基金変更事業計画書 区分 : 強い林業 木材産業構築緊急対策 区分 : 林業成長産業化総合対策 福井県

材工分離発注 実施設計が終わった段階 ( 施工者を決定する前 ) で木材を地方自治体が調達し施工者に支給する メリット 木材調達に十分な期間が持てる 製材所の作業を一時期に集中させないなど加工スケジュールの工夫がしやすい デメリット 地方自治体や設計者の労的負担が大きい 品質管理 調達が材工で別々と

特別講演「木材を活用した学校づくりの新たな可能性へ向けて」(1)

ダクトの吊り金物 形鋼振れ止め支持要領 (a) 横走りダクト (1) 吊り金物 (2) 形鋼振れ止め支持インサート金物インサート金物 ダクト 吊り用ボルト (M10) h ダクト L a 材 形鋼 (b) 立てダクト ( 形鋼振れ止め支持 ) 注 (2) のa 材及びインサート金物は 形鋼振れ止め支

Taro-101 サッシ施工(H17改正)

事前調査の方法参考資19 外壁リフォームの設計標準施工法標準施工法標準施工法リフォーム工法部分へのリフォーム工法外壁リフォームニチハMARCシステム11 適用条件 3) 適合地域 建築地域条件高さ (m) 13m 超料木胴縁工法RC造タイル外壁への施工高さ13mを超える1 外壁リフォームの設計 1)

プリント

平成 29 年度版木材設計単価表 一般社団法人香川県木材協会 高松市郷東町 TEL FAX 目次 P 1 P 2 P 3 P 4 P 5 P 6 P

「木材を活用した学校づくりの可能性と留意点」(3)

ご注意安全上の230 商品の選定施工基準かかる前に標準施工法施工方法納まり納まり位の納まり工法施工方法施工方法維持管理参考資料設計基準 施工に施工部材の木造下地の鉄骨下地のその他各部外張断熱装飾部材の軒天材の工事管理 9. 外張断熱工法 1 設計施工上のポイント 外張断熱工法については 住宅会社 設

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を 0.1% から 0.5% 1.0% 1.5% 2.0% まで増大する正負交番繰り返し それぞれ 3 回の加力サイクルとした 加力図および加力サイクルは図に示すとおりである その荷重 - 変位曲線結果を図 4a から 4c に示す R6-1,2,3 は歪度が 1.0% までは安定した履歴を示した

信州木材認証製品対応スパン表目次

Ⅲ 診断判定モデル住宅事例 建物概要 2 階建て木造住宅延べ床面積 53 m2 1 昭和 56 年 6 月以降 2 地盤は普通か良い 3 鉄筋コンクリート基礎 4 屋根は軽い 5 健全である 6 壁量多い 7 筋かいあり 8 壁のバランスが良い 9 建物形状はほぼ整形 10 金物あり 老朽度 診断結

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平成 30 年度版木材標準設計単価表 一般社団法人香川県木材協会 高松市郷東町 TEL FAX 目次 P 1 P 2 P 3 P 4 P 5 P 6

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申請書の作成 1 1 買受希望数量等 の数量は 公告における物件番号別の出材予定数量と一致さ せてください 2 2 添付書類 の (1) 直近の事業年度に係る貸借対照表及び損益計算書 (2) 納税証明書の写し (3) 社会保険の加入を証する書類及び (4) 保有する資格を証する書類について 共同申請

はじめに 青森県産木材の有効活用を進めることは 地域の林業 木材産業の活性化となり 地域経済の振興につながります 特に 主要な造林樹種であるスギは 建築材としては羽柄材の利用が主となっているので 更なる利用を図るためには あまり利用されていない梁 桁等の横架材として利用をすすめることが有効です その

二重床下地 という 参考図参照) として施工する方法がある 二重床下地は 支持脚の高さを一定程度容易に調整することができること また コンクリートスラブと床パネルとの間には給排水管等を配置できる空間があることから 施工が比較的容易なものとなっている 2 本院の検査結果 ( 検査の観点 着眼点 対象及

新旧品番対比表

1. 一般事項 1) 接合金物 名称 : フラットプレートスリム合板仕様 用途 : 在来軸組工法建築物における軸組材相互の接合 補強 2) 試験依頼者 名称 : 株式会社タナカ 所在地 : 茨城県土浦市大畑 連絡先 : TEL ) 試験の目的

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5.1.2 気密材の種類と特長気密層は 室内と外気の境界部分に連続して設けなくてはならない 一口に気密層といっても 躯体工法 断熱工法の違いにより 必ずしも部材構成として新たに一層増えるわけではなく 従来のほかの目的を持つ部材 例えば防湿層 断熱材 防風層 あるいは構造躯体自体を気密層として考えるこ

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スライド 1

スライド 1

3-1 2 修繕工事の実態 ( ヒアリング ) 計画修繕は 定期点検等で明らかになった建物の劣化の補修のため 調査 診断 修繕計画の作成 工事の実施へと 区分所有者の合意を形成しつつ 進められる 当勉強会で実施したヒアリングより 管理会社による点検 定期点検は 1 回 / 年の頻度で行っている 目視

第7章 緑のリサイクル等

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新築工事 建方施工計画書 平成 年 月 施工者株式会社 建設 現場代理人

D論割付両面版

P-2 パラレル構法 工法の長所 建物を使用しながら補強工事を進めることが可能( 居ながら施工 ) である 既存建物の外側に取付けるので 既存の壁やサッシュの解体 復旧工事が不要である 解体工事が不要のため 産業廃棄物を大幅に削減可能であり 騒音や振動および粉塵等の問題が解消できる 細くて強靭なPC

8 章橋梁補修工 8.1 橋梁地覆補修工 ( 撤去 復旧 ) 8.2 支承取替工 8.3 沓座拡幅工 8.4 桁連結工 8.5 現場溶接鋼桁補強工 8.6 ひび割れ補修工 ( 充てん工法 ) 8.7 ひび割れ補修工 ( 低圧注入工法 ) 8.8 断面修復工 ( 左官工法 ) 8.9 表面被覆工 (

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Microsoft Word 印刷ver 本編最終no1(黒字化) .doc

ブレースの配置と耐力

1 作業前の準備 Step 1 宅急便にて W 1230 D 250 H 140 重さ 20 kg程度 1 箱に 1 本入段ボール箱で発注本数が届きます 日射 風雨 埃 油などにさらされない場所に保管してください 箱の状態で平置きしてください 斜めや縦置きはしないでください 箱の状態で 積み重ねは最

BEAMcalc102使用説明書

南海フ ライウット 1 K 南海フ ライウット 株式会社本実和室天井 平成 15 年 5 月 1 日 2 K 南海フ ライウット 株式会社高級竿縁天井イナコ 天井 平成 15 年 5 月 1 日 3 K 南海フ ライウット 株式会社本実洋室天井ハーモシーリン

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性能基準 計算ルート 性能基準 計算ルート の評価フロー項目 床 壁 天井等は断熱材以外にも色々な材料で構成されていますので 各材料の熱伝導率と厚さで熱抵抗値を求 め それを合算して各部位のを逆算します 計算で求める方法が3種 あらかじめ示された構成の数値で求 める方法が2種あります 面積を拾う 詳

建築支保工一部1a計算書

1 システム販売で購入する材の利用計画 ( 模式図 ) ( 例 1 単独申請の場合 ) 一般材 2cm 上 製材 プレカット 木材店 一般材 18cm 下素材ラミナ 集成材加工低質材 原料材 チップ 製紙 ( 例 2 共同申請の場合その 1) [ ] は申請者 [ 木材 ] [ プレカット ] 工務

AP 工法 による増設壁補強計算例 (1) 設計フロー RC 耐震改修設計指針に示された 中低層鉄筋コンクリート造建物を対象とした開口付き増設壁に AP 工法 を用いて強度抵抗型補強とする場合の補強壁 ( せん断壁 ) の設計フローを示す 周辺架構から補強壁に期待できる耐力の目安をつけ プロポーショ

様式 1 号 ( 外構部の木質化対策支援事業助成金交付規程第 6 関係 ) 全国木材協同組合連合会会長松原正和殿 外構実証事業申請書 下記のとおり外構実証事業に申請します (1) 申請者情報会社住所 事業担当者連絡先 建設業を生業とすることの証明 ( 右のいずれかについて )( 注 ) 会社名代表者

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材料の力学解答集

土地改良工事数量算出要領(原稿作成)

ウィンドブリック施工要領書 2018 年 7 月

施工報告書_RC_ (未セルロック)1 (2)

( 万戸 ) () 年 (%) 万戸 万戸 () 年 万戸 総数木造木造率 ( 右軸 ) () 年 万戸 ()()()()()()()()()()() 資料 : 国土交通省 住宅着工統計 ( 万 ) () 年 万 輸入製品 輸入丸太 ( その他 ) 輸入丸太 ( 北洋材 ) 輸入丸太 ( 南洋材 )

参考資料 -1 補強リングの強度計算 1) 強度計算式 (2 点支持 ) * 参考文献土木学会昭和 56 年構造力学公式集 (p410) Mo = wr1 2 (1/2+cosψ+ψsinψ-πsinψ+sin 2 ψ) No = wr1 (sin 2 ψ-1/2) Ra = πr1w Rb = π

Microsoft Word - 毛井首団地集会所設計における木造工法の検討

プロジェクトの 全体概要 現庁舎の老朽化および狭あい化による 市庁舎の現地建て替え計画 市民の 安全 安心 の拠 点として 利用しやすく親しみのある庁舎を木造で実現することがテーマである 長門市では すでに地域の木材を積極的に公共建築物に活用する取り組みを行っており 本計画に より その最大効果が期

最高の高さ 1 階延焼ライン 道路中心線 道路中心線 1 階延焼ライン X9 X 6,60 3,60 9 1,9 6,350 2, 2L 2 梁天端 1, 600 事務室 階段室 700 1, , 2,50 短期入所居室 1 廊下 2,200 5 リヒ ンク 廊下 2,50 世話人室 2

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Transcription:

~ 定尺材の活用 ディテールの統一化 プレカット工法の採用 同じ材の繰り返し使用 ~ 断面寸法を限定した定尺材の利用 ディテールの統一 ( 茨城県つくば市立東小学校 ) 新築( 混合構造 ) 定尺材の材長は 製品寸法ではなく原木を搬出に向け所定の長さに伐る際の寸法 ( 玉切り寸法 ) に由来する 多量の木材を確保するには 伐採計画が立案される以前に玉切り寸法 ( あるいは製品寸法 ) を指定しなければならず 伐採計画が立てられる前 あるいは変更が可能なかなり早い時期 (8 月 ~12 月 ) から林業関係者との密な連携が必要となる なお 玉切り寸法は 通常 3m 4m ( 東北地方では 3.65mもある ) 6mのものがほとんどとなっている 部材の統一使う材料の種類が少なければ 加工寸法や加工形状の統一 部品化された材料の統一ばかりでなく 強度や見た目からの使い回しなどの融通が利く これは 多量の木材を使用する上で重要で 加工の途中で何が一本足りないという場合でも あわてずに済むし 素材の種類ごとに加工間違いのための余分を確保しておく無駄もない コストダウンの本命は この合理的な生産システムの構築といっても過言ではないと考える 東小学校では 木材関係者に必要な断面や数量の情報を渡すヒヤリング時期が1 月であった このため すでに伐採計画が立てられ 伐採が進んでいる産地からの多量 ( 原木約 2 千 m 3 ) の調達となったため 断面寸法を限定した定尺材 ( 柱 :5 寸角 4m 梁:5 寸 8 寸 4m) の利用を前提として架構計画が組まれている 定尺材による架構計画と芯継ぎ東小学校では 2mを基本モジュールとして 8m 図 1 芯継ぎ 8mスパンにより教室を計画している 上記により調達された4mの横架材を基本として芯継ぎの継ぎ手及び仕口を採用することにより材長を有効に活用している 横架材の芯継ぎとなる継手部分は 肘木のディテールを採用し ダボによる補強を行なっている 図 1 定尺材を活かす木取りの計画調達した木材を効率よく使うことを考慮し 持ち送り重ね梁 部分における部品の寸法は 4m 材から効率良く木取りできる寸法を設定し 架構計画を行っている 図 2 様々な荷重へ対応する重ね梁の活用横架材は 基本的に上記の2mモジュールにより支持されることを前提として 断面寸法を (5 寸 8 寸 ) にほとんど全てが統一されている しかし 荷重条件が異なる2m 以上のスパンを持つ部分や大きな荷重が見込まれる部分に対しては 同材を二重に重ねる重ね梁により対応している この重ね梁は 同一断面の定尺材を重ね ダボを 300mm ピッチに打ち込むことにより荷重変形時の部材間のズレを防止している 図 3 図 2 定尺材の有効利用となる持ち送り重ね梁 図 3 重ね梁 121

ディテールが統一された規格材と集成材による持送り重ね梁架構教室のような四間を超えるスパンでは 統一された規格製材のみの重ね梁形式は不経済となるうえ プロポーション上も好ましくなかった これを解決する架構形式として 魅力的な空間とするため 一部に集成材を活用した持ち送り重ね梁形式の架構システムを採用した 教室の4 周を固める差鴨居の上部に肘木を応用した 持送り重ね梁 を梁間方向に持送り(1.6m の迫り出し ) その上に長さ6mの 集成材単純梁 を乗せた架構構成である 持送り重ね梁と集成材単純梁はダボと通しボルトで接合している 教室棟持ち送り重ね梁と落込み板壁 ディテールの統一によるフレーム構成この持ち送り重ね梁は 2mピッチで教室の8mスパンの中に繰り返される 東小学校では グラウンドとの親和性に配慮した低い軒高による変形の切り妻屋根を採用していることにより この持ち送り重ね梁が高さの違いを持ち現れることで 単調になりがちなフレーム構成に空間にリズムを与えている 木造耐力壁 持送り重ね梁と集成材単純梁 人工地盤 架構構成のアクソメ図 持ち送り重ね梁の変形量の解析 持出し梁同じ形状の部材が教室棟各棟で使われる 端部は複雑な加工を必要とする金物の使用がないため 小根ほぞ差し やとい車知栓締めなど形状を絞った加工を行っている 建具や板が入る場所は 5 寸 8 寸材を欠く むくり ( 凸になる方向 ) の支持やメチなど経年変化による収縮に対応している 122

持ち送り重ね梁の大スパンへの対応体育館では 20m を超える大スパンを構成する架構 方式として 教室の持送り重ね梁を一歩進め 集成材 と PC 鋼棒のタイバーを組み合わせたハイブリッド形 式の架構を採用している 持送り重ね梁とハイブリット梁は ダボによりズレ が防止され PC 鋼棒による通しボルトで鉄筋コンクリ ート造の躯体に接合されている 体育館は大スパンであるため 平屋部に載る木造架 構にも大きな力が掛かる これに対応するために 木造柱の柱脚を固定とする鉄筋コンクリート部に柱を埋め込む掘建て柱の形式を採用している また 妻面では耐風処理を行うために 落し込み板壁と持送り重ね梁を組み合わせた腰屋根形式を採用している 体育館の持ち送り重ね梁部分 体育館内観 木部の再塗装や日常の清掃により 123

木造部における耐力要素混合構造の採用にあっても 木造部はそれ自身に作用する地震力に対してその部分として耐力を持たねばならない 木造部の耐力壁として厚さ 60mm のスギ板の落し込み板壁を腰壁 ( 開口付きの耐力壁 ) 及びフル耐力壁として採用している 落し込み板は2 枚の本実加工に7 分のダボ ( カシ ) を 300 mm間隔で打込み 両端部は通しボルトに固定している 予め人が持つことができる大きさとして加工場で3 枚組に加工して現場へ搬入した また 屋根面は 水平梁としての効果を期待できるよう 厚さ 25 mmのスギ材の野地板を斜め 45 度張りとしている 落し込み板の耐力壁と屋根面の斜め板張り 部品のプレカット化東小学校でいうプレカット化とは 全自動のプレカット機械による加工ではない 現代の社寺建築に見られる造作までを見通した徹底した下小屋での加工で 造作の小穴からボルト穴まで 全て加工しきって現場では組み立てるだけとしている 下小屋での伝統的な仕口 継ぎ手や部品化の加工には ハンドルーターやホゾ取機などの軽機械や傾斜盤 4 軸ルーター 超仕上げなどありとあらゆる機械を組み合わせ対応している 無論 全自動のプレカットも目の届きにくい体育館の垂木では使用している 体育館全自動プレカット加工された垂木 体育館ダボ穴はどの棟でも同じ加工をしている ダボ栓はナラ カシ同等材 124

~ 歩留まりの向上 木を使い切る 適材適所の木材使用 ~ 木材を使い分け 端材を効率的に活用 ( 福島県会津美里町立宮川小学校 ) 改築( 混合構造 ) 供給できる材料をよく把握する 1 どのような樹種 ( 材種 ) のものが供給できるのか確認する 樹種を把握することにより 使用する箇所を検討し 決定する 2 伐採する樹齢 ( 強度の面で確認できる ) 供給できる太さ 長さを確認する 供給できる材料を把握することにより 使用する箇所を検討し 決定する 意匠的 機能的に使い分け 歩留まりを上げる 1 意匠的 : 比較的きれいな材料は 内外部の板貼りに使用する 2 機能的 : 丸太材の外周部 ( 切り口に丸みがあるもの ) の端材は意匠的に見えない下地材として使用する また 端材として断面の小さくなった材料は胴縁等に使用する 端材を下地材 ( 床 天井の下地 ) や胴縁等にも使用した ただし 下地材は小幅板のため 施工手間はかかった また 反りが発生し床があばれないように 板を止めるビスのピッチ 厚さ 張り方等十分に検討し施工した 強度の違う材料 (1 2 等級 無等級 ) を使い分けた 1 1 本の丸太から強度の取れる部分を柱 梁 集成材のラミナ材に使用する その他の部分は 強度を必要としない板材 下地材等として使用する ( フローリング下地 ) スギ小幅板厚 15 ( 天井 ) スギ小幅板厚 15 下地スギ厚 12( 小節 本実 ) 校舎外観 ホール 125

~ 適材適所の木材使用 ~ 使用部位に応じた木材選択によりコストを抑えて木質化 ( 埼玉県ときがわ町 ) 改修 (RC 造 ) 埼玉県ときがわ町は 面積の7 割が森林の林産地である 町内の3 校の小学校及び2 校の中学校の合計 5 校全校において 校舎を木造で整備したり 内装を木質化する等 積極的な木材活用を実施している 内装は可能な限り県産材の利用を原則としている 無垢材だけにこだわることなく節のある材を活用したり 目の届かない天井の高い部分には合板を活用するなど コストを抑えて木質化を実施している 体育館の床材には ある程度の硬さが必要なため 町外から調達したサクラ材を使用している 木を利用するに当たって ときがわ町の木材を町の人が切り出し製材して使用 環境とコスト削減に配慮し間伐材を利用 ( 但し 大きい木から伐採 ) 内装木質化は 新築に比べ事業費が少なく実施でき また 本体が鉄筋コンクリート造のため 本来の構造物の耐久性が確保できる 内装工事を校舎全体に施すためには 夏休みの1 月半で工事を実施する必要があり 工期的には非常に厳しい 体育館 ( 天井の高い部分は合板を使用 ) 今回は 床のモルタル仕上げ面にラバー付きの床材を使用し 従来の下地合板張りを省くことにより工期の短縮が図られている 普通教室 廊下 工期短縮のため モルタル仕上げ面にラバー付きの床材を直接施工 ( 都幾川中学校 ) 通常の施工モルタル仕上げ面に下地合板を張り 床材を施工 ( 玉川中学校 ) 126