者が緩和ケアを導入すること= 患者がだめになっていること認めると同じと考えていることを示した また 医療者が反対する考えには 心臓専門家が悪物療法のコンビネーション治療をしている一方で 緩和ケア専門家が心不全終末期には薬物治療は減らすべきと考えているからとも示している これらの異なった考えは 患者が

Similar documents
「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

ここが知りたい かかりつけ医のための心不全の診かた

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

認定看護師教育基準カリキュラム

SBOs- 3: がん診断期の患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 4: がん治療期 ; 化学療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 5: がん治療期 ; 放射線療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 6: がん治療期

今後のがん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会の進め方とスケジュールについて

為化比較試験の結果が出ています ただ この Disease management というのは その国の医療事情にかなり依存したプログラム構成をしなくてはいけないということから わが国でも独自の Disease management プログラムの開発が必要ではないかということで 今回開発を試みました

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

さらに, そのプロセスの第 2 段階において分類方法が標準化されたことにより, 文書記録, 情報交換, そして栄養ケアの影響を調べる専門能力が大いに強化されたことが認められている 以上の結果から,ADA の標準言語委員会が, 専門職が用いる特別な栄養診断の用語の分類方法を作成するために結成された そ

wslist01

機能分類や左室駆出率, 脳性ナトリウム利尿ペプチド (Brain Natriuretic peptide, BNP) などの心不全重症度とは独立した死亡や入院の予測因子であることが多くの研究で示されているものの, このような関連が示されなかったものもある. これらは, 抑うつと心不全重症度との密接な

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

日本臨床倫理学会 日本版 POLST(DNAR 指示を含む ) 作成指針 POLST(Physician Orders for Life Sustaining Treatment) 生命を脅かす疾患 に直面している患者の 医療処置 ( 蘇生処置を含む ) に関する医師による指示書 これは日本臨床倫理

16_27

臨床研究実施計画書

助成研究演題 - 平成 23 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 東京大学医学系研究科重症心不全治療開発講座客員研究員 ( 助成時 : 東京大学医学部附属病院循環器内科日本学術振興会特別研究員 PD) 加藤尚子 私は 重症心不全の集学的治療確立のた

こうすればうまくいく! 薬剤師による処方提案

日本臨床倫理学会 Ⅱ POLST(DNAR 指示を含む ) 作成に関するガイダンス 生命を脅かす疾患 に直面している患者の 医療処置 ( 蘇生処置を含む ) に関する医師による指示 現在, 広く DNAR 指示 (Do Not Attempt Resuscitation Order) という言葉が用

平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

ケア困難患者や家族への直接ケア 医療スタッフへのコンサルテーション 退院や倫理的問題を調整する調整 ケアの質を改善 向上させるための教育と研究を実践し CNS が関わることで患者の病状や日常生活機能と社会的機能が改善して 患者と家族の QOL が高まり 再入院が減少することが明らかとなってきておりま

患者さんの食のストレス解消がQOL 向上につながる 5 質疑応答 Q) 食事を摂れない人の食事指導について A) 普段は食べてはいけないと言われているものをわざと出してみる 少量なら問題ないので少しでも食べられるところを何かきっかけにする 3. 末期重症心不全患者への補助人工心臓医療 看護の現状と課

緩和ケア研修会における e-learning の導 について 市 札幌病院精神医療センター副医 上村恵 ( 特定 営利活動法 本緩和医療学会委託事業委員会委員 )

Minds_3章.indd

居宅介護支援事業者向け説明会

H29_第40集_大和証券_研究業績_C本文_p indd

untitled

日本臨床麻酔学会 vol.36


Reminyl Speaker Training Showfile

高齢化率が上昇する中 認定看護師は患者への直接的な看護だけでなく看護職への指導 看護体制づくりなどのさまざまな場面におけるキーパーソンとして 今後もさらなる活躍が期待されます 高齢者の生活を支える主な分野と所属状況は 以下の通りです 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 脳卒中発症直後から 患者の

ジャーナル4表紙

Microsoft Word - 02:【最終版】ガイドライン

家族の介護負担感や死別後の抑うつ症状 介護について全般的に負担感が大きかった 割合が4 割 患者の死亡後に抑うつ等の高い精神的な負担を抱えるものの割合が2 割弱と 家族の介護負担やその後の精神的な負担が高いことなどが示されました 予備調査の結果から 人生の最終段階における患者や家族の苦痛の緩和が難し

(目的)

表 Ⅲ 40 背景 (n=426) 患者性別 女性 ; 度数 (%) 178(46.1) 患者年齢 平均値 (SD), 中央値 70.5(12.2),72 遺族年齢 平均値 (SD), 中央値 58.4(13.4),59 遺族性別 女性 ; 度数 (%) 258(66.5) 遺族の患者との続柄 配偶

Microsoft PowerPoint - 薬物療法専門薬剤師制度_症例サマリー例_HP掲載用.pptx

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word - 03:【最終版】ガイドライン解説編

データの取り扱いについて (原則)

短 報 Nurses recognition and practice about psychological preparation for children in child health nursing in the combined child and adult ward Ta

がんの診療の流れ この図は がんの 受診 から 経過観察 への流れです 大まかでも 流れがみえると心にゆとりが生まれます ゆとりは 医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう あなたらしく過ごすためにお役立てください がんの疑い 体調がおかしいな と思ったまま 放っておかないでください な

01 R1 å®�剎ç€fl修$僓ç€flä¿®ï¼„æł´æŒ°ç€fl修+å®�剎未組é¨fi蕖咂ㆂ;.xlsx

いろいろな治療の中で して欲しい事 して欲しくない事がありますか? どこで治療やケアを受けたいですか? Step2 あなたの健康について学びましょう 主治医 かかりつけ医や他の医療従事者にあなたの健康について相談する事も大切です 何らかの持病がある場合には あなたがその病気で将来どうなるか 今後どう

Medical Journal of Aizawa Hospital

地域包括ケア病棟 緩和ケア病棟 これから迎える超高齢社会において需要が高まる 高齢者救急に重点を置き 地域包括ケア病棟と 緩和ケア病棟を開設いたしました! 社会福祉法人 恩賜財団済生会福岡県済生会八幡総合病院

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

認定看護師教育基準カリキュラム改正(案)の概要

蘇生をしない指示(DNR)に関する指針

私のリビングウィル 自分らしい最期を迎えるために あなたが病気や事故で意思表示できなくなっても最期まであなたの意思を尊重した治療を行います リビングウィル とは? リビングウィルとは 生前に発効される遺書 のことです 通常の遺書は 亡くなった後に発効されますが リビングウィルは 生きていても意思表示

心房細動1章[ ].indd

2005年 vol.17-2/1     目次・広告

title

Microsoft Word 年度シニア 呼吸器内科 2014.docx

2 望ましい死の達成度と満足度の評価 宮下 光令 サマリー 望ましい死の達成を評価する尺度であ 施設の 73 が そう思う と回答しま る Good Death Inventory GDI 短縮 した その他では 医師を信頼していた 版と全般満足度に関する調査を行い 遺 ご家族やご友人と十分に時間を

160号1P表紙

総合診療

Hormone Replacement Therapy HRT H E P 2 Bioavailable E 2, pmol/l (Rochester, Minnesota) The dashed line indicates

14栄養・食事アセスメント(2)

1 がんに対する印象 認識について (1) がんに対する印象 問 1 あなたは, がんについてどのような印象を持っていますか この中から 1 つだけお答えください こわいと思わない( 小計 ) 22.4% 24.6% こわいと思わない 12.1% 13.6% どちらかといえばこわいと思わない 10.

PowerPoint プレゼンテーション

患者学講座第1講「医療と社会」


パスを活用した臨床指標による慢性心不全診療イノベーション よしだ ひろゆき 福井赤十字病院クリニカルパス部会長循環器科吉田博之 緒言本邦における心不全患者数の正確なデータは存在しないが 100 万人以上と推定されている 心不全はあらゆる心疾患の終末像であり 治療の進步に伴い患者は高齢化し 高齢化社会

頭頚部がん1部[ ].indd

Bulletin of Toyohashi Sozo University 2017, No. 21, 臨床実習指導で実習指導者が倫理的ジレンマと捉えた課題と対処 植村由美子 * 1 大島弓子 * 2 抄録 キーワード : clinical instruct

表紙69-5,6_v10.eps

アドバンス・ケア・プランニング Advance Care Planning(ACP):定義

看護師のクリニカルラダー ニ ズをとらえる力 ケアする力 協働する力 意思決定を支える力 レベル Ⅰ 定義 : 基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する 到達目標 ; 助言を得てケアの受け手や状況 ( 場 ) のニーズをとらえる 行動目標 情報収集 1 助言を受けながら情報収集の基本

自大病院だより-23号-cs5.indd

【最終版】医療経営学会議配付資料 pptx

Microsoft PowerPoint - 矢庭第3日(第6章ケアマネジメントのプロセス)

11.【最終版】プレスリリース修正  循環器内科泉家

認知症医療従事者等向け研修事業要領

私たちの人生 病気やケガのリスクと 経済的影響は? 50 ( 千人 ) 1, 通院入院 ( 歳 )

<4D F736F F D2093FA967B88E397C390AD8DF48B408D5C5F82AA82F18AB38ED292B28DB E C F66696E616C332E312E646F63>

<4D F736F F D2089BB8A7797C C B B835888E790AC8C7689E6>

001

 

2018 年 5 月 全国の男女 1000 名に聞いた 余命が限られた場合 どのような医療を受け どのような最期を過ごしたいか 日本ホスピス 緩和ケア研究振興財団 ( 理事長柏木哲夫 ) では 全国の男女 1,000 名を対象に標記についてのアンケート調査を実施いたしました この程 その調査結果がま

臨床場面での医療者と患者の相互理解 はできるか?

薬剤師のための災害対策マニュアル

PowerPoint プレゼンテーション

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

第 3 節心筋梗塞等の心血管疾患 , % % % %

Microsoft Word 高尿酸血症痛風の治療ガイドライン第3版主な変更点_最終

抗ヒスタミン薬の比較では 抗ヒスタミン薬は どれが優れているのでしょう? あるいはどの薬が良く効くのでしょうか? 我が国で市販されている主たる第二世代の抗ヒスタミン薬の臨床治験成績に基づき 慢性蕁麻疹に対する投与 2 週間後の効果を比較検討すると いずれの薬剤も高い効果を示し 中でもエピナスチンなら

2016 年 12 月 20 日抄読会小澤知子 Eliciting regret improves decision making at the end of life Benjamin Djubegovic,,Athanasios Tsalatsanis,Rahul Mhaskar,Iztok H


医療機器開発マネジメントにおけるチェック項目

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 の相対生存率は 1998 年以降やや向上した 日本で

P01-16

2. 延命措置への対応 1) 終末期と判断した後の対応医療チームは患者および患者の意思を良く理解している家族や関係者 ( 以下 家族らという ) に対して 患者が上記 1)~4) に該当する状態で病状が絶対的に予後不良であり 治療を続けても救命の見込みが全くなく これ以上の措置は患者にとって最善の治

Microsoft PowerPoint - 【4 山本先生】地域包括ケア時代のMC協議会のあり方

本調査では アトピー性皮膚炎治療における 医師 - 患者間コミュニケーションの改善が治療継続のモチベーションを上げ 治療の満足度向上に寄与することが示唆されています サノフィジェンザイムは アトピー性皮膚炎患者さんの QOL 向上に取り組むため アレルギーに関する情報サイト アレルギー i において

博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文

スライド 1

現況解析2 [081027].indd


Microsoft PowerPoint - 【参考資料4】安全性に関する論文Ver.6

はじめに 近年 がんに対する治療の進歩によって 多くの患者さんが がん を克服することができるようになっています しかし がん治療の内容によっては 造精機能 ( 精子をつくる機能のことです ) が低下し 妊娠しにくくなったり 妊娠できなくなることがあります また 手術の内容によっては術後に性交障害を

Transcription:

第 130 回緩和ケアチーム抄読会 2013 年 8 月 28 日 木村理恵子 The challenge of palliative care in heart failure Sharon Uppal is Staff Nurse, John Radcliffe Hospital, Oxford. British Journal of Cardiac Nursing February 2013 Vol 8 No 2,P90-95 緩和ケアは すべての心不全患者に有効であり 患者 家族の QOL が向上することもわかっている (WHO 2002) 心不全に対する緩和ケアのエビデンスは高く 適用した場合には生存率をあげることが確認されている (Connor et al 2007). しかしながら 急性期ケアの医師たちは この重要な時期の患者のニーズに答えるために必要な時間もなく 準備が不足している (Nordgen and Olsson,2004) 心不全による死死亡率が高い 症状による QOL 低下 医療費高騰心不全患者の 1/3 は 診断された年内に死亡している (Cowie et al,2006).uk では このような死亡は年間 6 万人である (Gibbs et al,2006) 英国立臨床評価研究所 NICE(2010) の示す心不全生存率は 乳がん 前立腺がよりも悪い ほぼ半分の心不全患者は 息切れ 倦怠感 QOL 低下を日々体験している (Westlake et al,2002) NHS は 総予算の2% である 625mililion ポンドを支出している NICE プロジェクト (2010) では今後 25 年で高齢者の生存率を 50% 以上に向上させたいと考えている 心不全の緩和ケアにおける看護の役割 Ns が情報提供を担う心不全に対して 効果的に早期から緩和ケアニーズに対応するには 看護師がそのことについて患者 家族と話し合うことが重要である (Wotton et al.2005) しかし 標準的なケアに緩和ケアを統合するにはバリアが存在する 第 1に がん以外の医療者の緩和ケアの知識が不足している 第 2に 医療者が心不全の終末期 (ESHF) であると認識することが心不全の進行経過などから難しい 第 3 に 医療者は経過の悪い患者とのコミュニケーションに向かいあわないとならない 効果的な緩和ケアへのバリア薬物治療の考えの違い 患者の悪化を認めたくない? Walsh ら (2008) は 緩和ケアがどのように認知され どのように対応されるかによって 心不全患者が緩和ケアサービスに紹介されるかどうかが決まるとしている Andrews and Seymour(2011) は 多くの医療者が心不全を終末期疾患とは考えず 緩和ケアを紹介するのは不適切であると考えていることを研究で示した Wotton ら (2005) は 心不全患者への緩和ケアを否定するいくつかのケースでは 医療

者が緩和ケアを導入すること= 患者がだめになっていること認めると同じと考えていることを示した また 医療者が反対する考えには 心臓専門家が悪物療法のコンビネーション治療をしている一方で 緩和ケア専門家が心不全終末期には薬物治療は減らすべきと考えているからとも示している これらの異なった考えは 患者が緩和ケア提供を受けるのに有害な効果をもたらす The medical Research Council(2000) は 医療者が緩和ケアサービスの主な要素を理解することが 効果的な適用には重要だとしている なぜ 医療者の理解が重要かというと 緩和ケア は亡くなるためのケアではなく 生命の限られた慢性疾患にある患者 家族の QOL のためにも同じように包括的な介入を行なうものだからである (Hupcey ら 2009) 推奨される実践早めの緩和ケア導入が必要 NICE(National Institute for Health and Care Excellence) 明確なガイドラインとプロトコルが特別な状況に対する医療者の知識向上という目的には必要である そしてこれは心不全患者の適切なマネジメントにも重要である (NICE2012) しかしながら 最新の 2010NICE の心不全ガイダンスでは 緩和ケアや終末期ケアについて触れられていない 巻末でみつけることが出来るが 誰がこのサポートをするのか いつなのかなど詳しいことは記載されていない これは心不全の高い死亡率からすると適切なことではない The Gold Standards Framework GSF,2012 のようなフレームワーク the Liverpool Care Pathway University of Liverpool,2012 のようなケアパスは 心不全患者にも使用できる これらは医療者の緩和ケアの知識を増し 実践を向上させる しかし これらは人生の最後数日を対象にしており 慢性疾患ではより早いアプローチが終末期のサポートプランには適切だろう 心不全終末期であることの認識不足症状安定のための治療期なのか 終末期なのか? 心不全へのサービスと緩和ケアを統合するには 心不全終末期であることの認識不足は大きな問題である 心不全疾患の経過は 複雑で予測できない Albert(2008) は 医療者はいつ状態が悪化し 緩和が必要になるのか しばしば明確にできないと述べた 最初の診断とマネジメントの後 患者は慢性的に徐々に身体状況が低下するか 機能的な安定期の後に急性の症状悪化と頻回な入院を繰り返す 突然死は どの時期においても起こりうる (Jaarsma ら 2009) 医師は心不全の終末期の変化する身体状況に直面する 心不全の進行は 患者の半分が突然死を迎え その他は臨床的な悪化と入院の繰り返しであるが そのうちに安定状態に復活する (Hanratty ら 2002 Wotton ら 2005) The European Association of Palliative Care(EAPC,2012) は 緩和ケアを 積極的なトータルケアを根治治療に反応しない疾患を持つ患者に提供する と定義している Brannstrom ら (2010) は 多くの医療者が 患者が緩和ケアステージなのか 経過を改善するための治療を受けている時期なのかの違いを明確にするのが難しいことを示した

予後予測予後予測が出来れば 緩和ケアへのアクセスが改善する? 適切な指標か? 終末期心不全の予後予測ツールは 緩和ケアへのアクセスを良くし 心不全患者の治療 の計画と実施を支援する (Yager and Rogers,2005; Gott ら 2007;Adler ら 2009) いくつかの心不全進行度の指標 ;Cardiopulmonary exercise, maximal oxygen consumption (Yager and Rogers 2005) 表 1 表 1 心不全進行度の指標 高齢 NYHA クラス3また4 BMI 低下 うっ血の兆候 頚静脈圧上昇 第 3 心音 収縮期血圧低下 頻脈 糖尿病 腎機能低下 抑うつ COPD 虚血疾患 心筋梗塞の既往 Adapted from Mcmurray 2012 The Seattle Heart Failure Model(Washington 大学 2006) は 心不全患者の死亡リスクを見るための多変量モデルである このモデルは 正確に心不全患者の生存率を予測できる (Adler ら 2007;Levy ら 2010) そして 薬剤の使用についても組み入れることが出来る これは 患者教育に予後を考えた薬の使用についての意味を加える モデルは 患者とのオープンな end-of-life-care の話し合いによるカウンセリングの助けになる可能性があります (Levy ら 2010) しかしながら The Seattle Heart Failure Model が一定期間 (1~5 年 ) における死亡のリスク予測に焦点当てている一方 それらは医師により 患者が安定期から不安定期になり 終末期心不全となり 緩和ケアに紹介することが望ましい時期であることを認識するのには役だってはいない Jaarsma ら (2009) によると 医師はヘルスステータスの低下を明らかにするのに複雑なスコアリングよりシンプルな臨床的洞察力を通常使用する このアプローチは the Gold Standards Framework でも繰り返される

これは 心不全の終末期であることを認識する3つのプロセスである 第一は 医師に もし この患者が来年に亡くなったら 驚きますか? とサプライズで質問する 第二に 医師は 一般的な臨床サイン 継続する治療が必要な身体 精神的な症状の有無や入院の繰り返しをアセスメントする 第三に 特殊な心不全の兆候 ( 安静時の息切れの悪化など )NHS 2004. the Gold Standards Framework は 終末期疾患にある患者を認定し その他の予測ツールと指標は死亡のリスクを明らかにする これらは 終末期に向かいつつある患者の変化の情報の不足とどこが事前の対策を立てるのに最適かに関連する (Goodlin 2004). ツールはこのステージ前の患者のニーズを明らかにし 健康状態の悪化を予測できる 進行を確認する能力は 緩和ケアへのアクセスを伴った実践に重要である (Levy ら 2005) コミュニケーション不足緩和ケアについての情報が伝わらない 医療者 患者双方の否認心不全の予測できない自然経過は 患者の望みがヘルスケアのアウトカムに反映されないことを示している (Selman ら 2007 Harding ら 2008 Chattoo ら 2009) それは 多くの患者は治療を希望し 病院の外で亡くなることがまれであることを示している 心不全患者は 選択して まれにしか緩和ケアを受けていない Selman らは 医療者と患者の見通しが終末期にまつわる出来事において コミュニケーション不足があることを示している それは心不全患者が緩和ケアを受けるかどうかについて 大きなインパクトを与えている 医師へのインタビューを通して Brannstrom ら (2010) は 心不全患者では緩和ケアがまれにしか 話題にならないことを明らかにしている いくつかの研究では 患者が話題にしない限り 希望をなくすからという理由で進行状況について 医療者が話題することはないことを明らかにしている ( Hanratty ら2002; Brannstrom ら 2010) コミュニケーション不足は 医療者と患者双方の否認に関連している 多くの心不全患者は 自身の悪い状態に気づかず 生命が脅かされる疾患と共に生きていることを彼ら自身が考えていない (Wotton ら 2005;Andrew and Seymour ら 2011) Wotton ら (2005) は 多くの医療者はこの誤った認識を修正せずにケアや治療に焦点をあてるようにしていることを見つけた Hanratty ら (2006) は これは医療者 特に心臓専門医がもし 心不全がシリアスな状況であることを告げると患者が彼らに対する信頼を失うのではないかと恐れているからではないかと示唆している * がん患者にも通じるかな 適切な情報提供とコミュニケーション すべての患者は 良い end-of-life-care を受ける権利を持つ (DH,2008 ) そして これ には 早期からのオープンなコミュニケーションが必要である 各々の患者は 自身の状

態についての十分な知識 進行状態 どのような治療が受けられるのか知る権利がある The Royal Colledge of Physicians(1997) the American Colledge of Cardiology the American Heart Association(2001) は 適切な情報提供とコミュニケーションについてガイドラインを作成した その他の効果的なコミュニケーションの要素は アドバンス ケアプランを予後予測ツールの使用と end-of-life frameworks と共に使用する そしてこれらを通常のケアに統合していくことである (Jaarsma ら 2009) まとめこの 50 年で心不全患者の生命予後は改善してきているが まだ高齢者では十分ではない 緩和ケアはこれらの患者の end-of-life-care の質を維持するためのメカニズムを提供する 看護師は 心不全患者に対する緩和ケアの重要性と意味に気づき ケアパスを提供すべきである それには 緩和ケアと心不全マネジメントの教育の開発が必要であり 治療の方策についてもオープンなコミュニケーションがチーム内外で必要とされる 最も重要なのは 患者と早期に病気の進行についてと先を見据えた患者中心の end-of-life-care の計画を話し合うことである Key points 緩和ケアは悪性疾患患者のみのサービスではない 心不全のような生命予後に制限のある疾患に広範囲に使用されるべきである 緩和ケアにまつわる十分な知識と何が心不全によって生じているのか その局面に対して患者の身体的 心理的 well-being を向上させるケア提供 心不全の予後予測モデルの使用は 適切なケアプランにより ニーズが満たされることを保証し 実行されることを可能にしている また いつ緩和ケアを診療プランに含めるかを決めるにも役立つ コミュニケーションは 心不全患者に緩和ケアを紹介するためのキーとなる 効果的なコミュニケーションの知識とスキルなしでは 低い QOL でこのグループの患者を過ごさせることになる 感想早期からの緩和ケア導入を推奨している文献ではあるが 内容は end-of-life-care と緩和ケアが結びついている内容となっている しかし 現状から考えるとまず 終末期の身体的苦痛の緩和を少しでも早くから取り組めるようにすることから始めてみるのが 早期からの緩和ケア導入につながる一歩かなと考える