特別公開! パワーフェード の誕生秘話から習得方法まで ゴルフの醍醐味は何といっても 飛ばし ですが 藤田プロと言えばパワーフェード打法で有名です そこでその打法の誕生秘話や練習法について 藤田プロご本人に語って頂きました ぜひ楽しみながらご覧ください 藤田寛之プロ 今ではフェードが自分の代名詞になっていますが 大学時代からプロテストに受かって芹澤プロに出会うまでは やはり飛距離が欲しいということもあり 実はドローボールを打っていました 特に その時のドローボールというのは 左サイドをブロックして回転させずに打っていたので 非常にニーアクションを多く使って頭を残す形のものでした そうした中 芹澤プロと練習ラウンドができるようになり 一番 最初に練習ラウンドをした時にこれだけは聞きたいという質問を 1 つだけ持って臨みました 1
その時の質問は スウィングにはタメが必要なのですか? ということでした 実際 当時は ダウンスウィングに入る時にはグリップエンドがボールを指すように とか 右ワキが開かないようにしっかり絞らないといけない などといったことをレッスン書などでかなり目にしていたのですが その時の芹澤プロの答えは ゴルフスウィングにタメは要らない ということでした この芹澤プロの言葉は 自分にとっては目からウロコでした この時 自分はドローボールを打っていたのですが ニーアクションを使いながら上手くシャフトをしならせて飛距離を出すようにしていました しかし そうするとクラブが蛇行して少し捻じれる動作が入るので 結局フェースも捻じれて インパクトゾーンでターンする時に1 点になりやすいものでした それに対して 芹澤プロは それよりもトップオブスウィングの形を作ったらそのままの形 もしくは少しほどいてくるような形で下ろしてきていい と言ったのです 実際 ためて打とうとするとドローになりやすいのですが やは りつまかるフェードを打とうとすると タメは非常に邪魔な動き になります 2
特に パーシモン時代であればこのようにためて最後にリリースして打っていくというようなスウィングでよかったのですが 今のクラブというのは できるだけスウィングプレーンに対してなぞっていくようなスウィングをしないといけません つまり クラブ自体がしっかりと正しいスウィングプレーン上を動かしてあげればボールが真っ直ぐ飛ぶように設計されているのです よって 今のクラブにとってはタメを作らないほうがマッチしていると言えます それから 芹澤プロに次に言われたのが ドライバーを今の半分の高さで打ちなさい ということでした シャフトをしならせてドローボールを打つということは インパクトで右サイドが下がって左サイドが上がる形になるということですが その動きでは正確性に欠ける部分があります そこで スウィングの高さを低くすることによって できるだけ地面と平行に体が回るように 特に腰が地面と平行に回るようにしたのです つまり 芹澤プロが言われた言葉は少し抽象的だったのですが 結局 ボールをあおっていくような打ち方をせずに体を地面と平行に回すということだったのです 3
この言葉がきっかけで 自分は地面と平行に体を回す動きを意識 するようになりました しかし そうは言っても地面と平行に体を回すことはなかなか難しいことだったので カゴの上に右足をのせたり 極端に左足下がりの傾斜のところで練習するなどして 体にその動きを覚え込ませるようにしました そうした中で 自分はもともとインサイドから少しあおって打っていたのですが 体を平行に回して振る練習や左足下がりの斜面での練習 それからボールが右に出やすかったのでオープンスタンスで打つ練習などをたくさんやることによって いつの間にかドローがフェードになっていきました 芹澤プロから 球筋をフェードにしろ というふうに言われたのはその後だったのですが 芹澤プロから言われたことを自分なりにいろいろ考えて徹底的に練習していく中で 自然とつかまるフェードボールになってきたのです フェードボールは決してカット打ちすればよいというわけではあ りません よく アウトサイドインに振ればフェードになる と言われます 4
が アウトサイドインに振るとスライスになってしまうので それだとまったくボールがつかまらなくなります それよりも クラブがインサイドから入ってきて 少し早めに体を回転させてフェースターンがあまり入らない動きにすることでボールをつかまえていくのです つまり ボールをつかまえるということは クラブがインサイドから入ってこないといけないということです 逆に クラブがアウトサイドから入ってきてボールがつかまると ただの引っ掛けボールになるので ゴルフでは一番やってはいけない動きになります また フェードを打つ時には左を向いて左に振ろうとするので だんだんテークバックが浅くなり ダウンスウィングからの体の開きが早くなり過ぎてフェースが返らなかったり フェースが返らないからといって今度は極端に返そうとしてチーピンが出るなどという悩みが出てきますが それはフェードを意識し過ぎてカット軌道になっていることが原因です このようにならないためにも 昔から ビハインド ザ ボール という言葉がありますが アドレスからインパクトまでボールよ り体が前に出ないように注意してください 5
これは フェードを打つ時でもドローを打つ時でも絶対条件にな ることなので ぜひ覚えておきましょう そうすることによって つかまるフェードができてくるのですが 自分でも解消できていない矛盾が実はあります 例えば先程言ったように フェードを打とうとするとテークバックが浅くなり その後の体の動きがスウィング軌道から外れてしまうことがありますが それを防ぐために 頭をボールより後ろに残しなさい というふうに言われます しかし このように頭を残すとインパクトで右サイドが下がってダフりやフックボールになってしまうので また違う先生のところに行くと今度は 左サイドに体を回しなさい と言われ あっちに行ったりこっちに行ったりしてしまうのです 自分ももともとドローボールだったのが芹澤プロに教わってフェードボールになったのですが それから10 年の間にドローになったりフェードになったりと 自分の持ち球が変わってきているというのが事実です やはり 藤田寛之 というと パワーフェード だったり ショッ トメーカー というイメージがあるので 何でも言われた通りの 6
ボールが打てるのだろうなと思われている方が大多数だと思いますが 実はそんなことはまったくなくて 多くのアマチュアゴルファーの方の悩みと同じような悩みを自分も持っています ただ ボールをたくさん打っていたり いろいろな状況を経験しているので その辺の解決法を少し知っているだけです 実際 自分もゴルフを始めた時にはテンプラですごく悩んでいましたが 今でこそ分かることですが その時はテンプラが何で出るかなど分かりませんでした また 現状でもシャンクで悩んでいる状態です このように 原因が分かっていながら直らないというのがゴルフ というものですし 事実 自分も日々ドローにしたりフェードに したりということをやっています それでも 基本的に では どちらのボールを打ちたいですか? と言われると 絶対フェードボールです それはなぜかと言うと これは師匠である芹澤プロの言葉でもありますが 試合の中でボールが左に曲がるということがどれだけ恐ろしいことかが分かっているからです 実際 ボールが左に曲がり始めたら本当に振り切ることができな 7
くなってしまいます そうなると ヘッドスピードが落ちて振り抜きが悪くなるしボールもつかまらない もしつかまったとしても左に引っ掛けてしまうという悪循環になって もうゴルフにならない状況になります それに対して ボールがつかまらずに右にしか曲がらない時というのは何とかなるものです 事実 試合で結果を残さなければいけないという立場から見て ボールを左に曲げるようなプレーヤーというのはシード選手の中にも生き残っていませんし 上のレベルに行けば行くほど プレッシャーがかかった時にピンの左からフェードで攻めていける人間というのがどれだけ安定性があるかというのが分かります そういった理由で 自分はフェードボールを持ち球にしていますし 自分にとって最大の武器だと思っています 8
藤田寛之 Hiroyuki Fujita 1969 年 6 月 16 日生まれ 福岡県出身 専修大学卒業後 その年のプロテストに1 発合格 1997 年の サントリーオープンゴルフトーナメント で 尾崎将司の追い上げをかわしてツアー初優勝を飾ってから現在まで通算 18 勝を誇る (2014 年シーズン終了現在 ) 170センチに満たない身長ながら自身の代名詞となった パワーフェード を武器に 常にスタディゴルフを展開 2012 年は日本シリーズJTカップ3 連覇を含む年間 4 勝を挙げて初の賞金王に輝いた 2011 年 2013 年には世界最高峰となる マスターズ に出場 今や日本を代表するトッププロである