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問 成分ごとに分解すると以下のようになる 7 以下の関係式より 電流 i に関する方程式を作れ B ot E ot H i iκe BμH 関係式より ot ot E μ i ot H μ 一方 ot ot E gad div E Egad div i i κ κ まとめると μ i gad div i i κ κ i i 領域内に波源はない (div i 0) とすると 8 この方程式は冷蔵庫の壁内の温度分布の解析にも使用される i i ラプラスの方程式はこの方程式の右辺が0になった場合 つまり絶縁体 (κ 0) の場合に対応する 物理学では熱伝導の問題を解くために使用するので熱伝導の方程式と呼ぶこともある この方程式は 陶器の壁に水がゆっくりと染み込んでゆく現象も表す この場合は拡散の方程式と呼ぶこともある 導体中の電界を表す方程式 一般的な形で解くことは難しい 次の仮定の下では比較的簡単に解ける 電界 E は x 成分しか持たない E 0,E 0, 電界のx 成分はx, y 方向に不変 ( 一様 ) でz 方向に対してのみ変化する y 0, z 0 x 時間に対しては角速度の正弦波的に振動する ωt 上記の仮定から z EE ze a y 9 0 従って z E je 微分方程式の解 虚数単位の平方根 je j よって A e A e 定係数の 階微分方程式の解き方 d f αf dx 解の一つをfe とおく解を代入 λ e αe よって λ α 定数倍も解なので λ α fa e A e 第 項を考える 正弦波的な振動を考慮して実数部をとると ER E e a x R A e A e A e a x R e a x cos zωt a x

t = 0 での状態を考える z 方向に対して 振動しながら減衰する EA e cos z a x z 方向に進む波の速度を求める EA e cos zωt a x 等位相面の進む速さ zωtθ dz dt ω 減衰 : e 速度 : v ω ω 表皮効果 導体は電気をよく通す 電磁界も進入しやすいのでは? 実際にはほとんど導体内には電磁界は進入できない e e となる距離 z z z つまり z の位置では 電界強度は e 0.368 倍 周波数が高くなると z が小さくなる より薄い位置で電界強度が e になる 3 4 導体中は電磁界は進入しにくい 銅を例にして 具体的にe となる距離がどの程度かを考える 銅の場合 : μ4π0 H/m κ0.50 S/m 周波数 : 50 Hz とすると z 0.0 m 銅の表面から 0mm だけ銅の中に入ると 電界強度は約 36% に減衰する 銅板の厚みが mm の場合 電界はほとんど減衰しない 電界を遮蔽するためには厚い銅板が必要 周波数をMHzとする z 0.00007 m 0.07 mm 70 μm 銅板の厚みが mm あれば十分電界が減衰し 銅板を通り抜けれない 導体中は電磁界は進入しにくい 表皮効果 : 導体には表面だけにしか電界が入ることが出来ない 表皮深さ : z 以下の三つの場合について 電界 電流 磁界などは表面だけに存在し内部にはほとんど入らない 伝導率 κ が大きい 透磁率 μ が大きい 角速度 ( 角周波数 )ω が高い 5 6 導体中の電磁波の速さは非常に遅い 導体中の電磁波が進む速さ v ω 同じく 銅の場合に当てはめてみる 周波数は 50Hz 音の速さより遅い 時速 0km ほどのゆっくりした速さ 周波数は MHz 音の速さと同程度 真空中を伝わる電磁界の速度 光速と等しい v v 送電線を伝わるエネルギーは導体内部ではなく空間を伝わっている ω 3.6 m/s ω 447 m/s 後退波 導体中の電磁界の方程式の解 A e 第一項について考える ER E e a x R A e A e A e R e a x cos zωt a x a x zの代わりにzを代入したものであり 後ろ向きに進む波 物理的な条件によりどちらの解を選ぶかが決まる 7 8

うず電流 これまでは電界について解析したが iκeより電流密度についても同様の現象が発生する 導体内に電磁波が進入していく場合 電流が環状に流れる この電流をうず電流と呼ぶ うず電流が流れる場合には単位面積当たりE iの電力が熱になるので損失が大きい 電磁シールド シールド 静電シールド : 導体で囲まれた空間は外部の静電界の影響を受けない 磁気シールド : 高透磁率媒質で囲まれた空間は静磁界の影響を受けない 電磁シールド : 実用になっているシールドのほとんどは表皮効果を利用した電磁シールド 表皮効果を利用 : 導体の内部に電磁波が進入しにくい効果を利用 静電シールドと同様に電磁界を遮るが 現象としては静電界ではなく時間的に変動する電界や磁界が導体内部で急速に減衰することを利用したものである 静電シールド 9 0 問 鉛は銅と比較すると抵抗が大きく 抵抗率は銅の約 3 倍である 鉛内部での減衰を銅と比較せよ 表皮深さの式 : z 丸い導体に流れる電流 続電磁気学ノート: 丸い導体に流れる電流 図 3.0のような円筒無限長抵抗体に軸方向に電流が流れている 時間的には正弦波で変化している この時のマクスウェルの方程式を作れ z 抵抗率 : ρ κ すなわち 鉛の導電率 κ は銅の導電率 κ の/3である 従って 表皮深さの比は z :z 3: 3.6: つまり 銅よりも鉛の方が表皮深さは深く 減衰が少ない 変位電流より伝導電流の方が大きいので マクスウェルの方程式を円筒座標系で表すと φ z z E φ jωμh jωμh jωμh H φ H z H z H 0 0 H H φ κe まとめると φ 0 H z 0 jωμh H を消去する H jωμ H κe jωμ κe E jωμκe 0 E jωμκe 0 jωμκe 0 ここで Rj jωμκ 以下の変換よりベッセルの微分方程式を得られる R R j E j jωμκ R jωμκ R R R jωμκ E R E jωμκe jωμκ E j jωμκ R E R R R E 0 VAJ R BY R AJ j jωμκ BY j jωμκ Y は 0 で発散するので B0 j R jωμκ R jωμκe 0 ベッセルの微分方程式 V R V R R n V0 R 解 VAJ R BY R E AJ j jωμκ 3 4

A, 0.00 m, κ 5.8 0 S/m f khz, MH, 00MHz 上記の条件で計算した 図に示すように周波数が高くなると 抵抗体の表面に電界が集中する マクスウェルの方程式のおいて i D として変位電流を無視し 伝導電流だけを考える場合 すなわち 導体 の内部の電磁界については ot H i 外周部の値で正規化したレベル 0 00MHz MHz khz 0 0. 0.4 0.6 0.8 中心からの距離 [mm] となる これらの方程式から E のみを残して他の変数を消去すると なる偏微分方程式をうる 5 6 この方程式は 熱 や 分子の 拡散 の現象を表す方程式と同じである 導体中の電磁界を表す方程式を解くと A e となる であるから j j A e となる 第 項は z の正の方向へ進入する電界を 第 項は z の負の方向へ後退する電界を表わす この第 項は物理的には電磁界を与える 波源 が遠方にあることを意味する 導体内の電磁界を電流密度 i の場と考えたとき その電流を うず 電流という 実用になっているシールドは 電磁 シールドである これは 静電 シールドと似た構造であるが 起こっている現象は異なっている 導体内では電磁界の減衰は大きい 導体の導電率が大きくなると減衰は 大き くなる 導体中を進む電界の速さは非常に 遅 い 7 8 レポート課題 問 ~ 問 レポートには次の項目を明記すること 出題日時 学籍番号 氏名 出題日ごとに別の用紙で出すこと A4 用紙に記入すること (B5サイズのルーズリーフは受け取りません) 消えないようにボールペンや万年筆で書くのがよい ただし 赤ペンの使用は控えてください 提出期限次々回 :7/0( 火 ) 講義開始時に提出 前回 : 6/6( 木 ) に課したレポートも同時に提出してください 9 30