BCJ - LC -209 昭和 61 年 1 月 23 日 JL ボルト工法 ジャパンライフ株式会社

Similar documents
<4D F736F F D208E9197BF A082C68E7B8D A815B82CC8D5C91A28AEE8F C4816A2E646F63>

<8D5C91A28C768E5A8F91836C C768E5A8F A2E786C73>

参考資料 -1 補強リングの強度計算 1) 強度計算式 (2 点支持 ) * 参考文献土木学会昭和 56 年構造力学公式集 (p410) Mo = wr1 2 (1/2+cosψ+ψsinψ-πsinψ+sin 2 ψ) No = wr1 (sin 2 ψ-1/2) Ra = πr1w Rb = π

技術基準改訂による付着検討・付着割裂破壊検討の取り扱いについてわかりやすく解説

<4D F736F F F696E74202D E518D6C8E9197BF31817A92DD82E E494C282CC8D5C91A2>

アンカーボルトの扱いとルート3における露出型柱脚の検討について分かりやすく解説

7 鋼材試験

コンクリート工学年次論文集 Vol.29

FC 正面 1. 地震入力 1-1. 設計基準 準拠基準は以下による 建築設備耐震設計 施工指針 (2005 年版 ): 日本建築センター FH = KH M G KH: 設計用水平震度 KH = Z KS W : 機械重量 FV = KV M G = 機械質量 (M) 重力加速度 (G) KV =

GEH-1011ARS-K GEH-1011BRS-K 1. 地震入力 参考 1-1. 設計基準 使用ワッシャー 準拠基準は以下による M10 Φ 30 内径 11 t2 建築設備耐震設計 施工指針 (2005 年版 ): 日本建築センター FH = KH M G KH: 設計用水平震度 KH =

構造番号質疑回答 3 講習会資料 P5 判定事例の対応集 横補剛材について屋根ブレース等により水平移動が拘束された大梁に対して 例えば図 1 のよう下図 a 又は b 又は a b 材共に ( 梁に ) 対する横補剛材として c の火打ち材をに大梁せいの中心位置に横補剛材を設け 補剛材

付着割裂破壊の検討の概要と取り扱いの注意点

道路橋の耐震設計における鉄筋コンクリート橋脚の水平力 - 水平変位関係の計算例 (H24 版対応 ) ( 社 ) 日本道路協会 橋梁委員会 耐震設計小委員会 平成 24 年 5 月

AP 工法 による増設壁補強計算例 (1) 設計フロー RC 耐震改修設計指針に示された 中低層鉄筋コンクリート造建物を対象とした開口付き増設壁に AP 工法 を用いて強度抵抗型補強とする場合の補強壁 ( せん断壁 ) の設計フローを示す 周辺架構から補強壁に期待できる耐力の目安をつけ プロポーショ

コンクリート実験演習 レポート

問題 2-1 ボルト締結体の設計 (1-1) 摩擦係数の推定図 1-1 に示すボルト締結体にて, 六角穴付きボルト (M12) の締付けトルクとボルト軸力を測定した ボルトを含め材質はすべて SUS304 かそれをベースとしたオーステナイト系ステンレス鋼である 測定時, ナットと下締結体は固着させた

計算例 5t超え~10t以下用_(補強リブ無しのタイプ)

<4D F736F F D2096D88E4F BE095A88D C982E682E989A189CB8DDE8B7982D197C090DA8D878BE095A882CC8C9F92E8>

補強計算は構造担当者様のサポートとしてサービスで行うものです 計算検討書の結果については設計担当者様または監理者様の御承認を得たうえで御使用頂きますようお願い致します 目次 第 1 章 総 則 1 1. 適用範囲 1 2. 記 号 1 第 2 章 設計上の基本事項 2 1. スーパーハリー Z M

コンクリート工学年次論文集 Vol.30

<4D F736F F D208D5C91A297CD8A7793FC96E591E6328FCD2E646F63>

材料の力学解答集

集水桝の構造計算(固定版編)V1-正規版.xls

IT1815.xls

<4D F736F F D CC82E898678E77906A E DD8C7697E181698F4390B3816A312E646F63>

Microsoft Word - 建築研究資料143-1章以外


PowerPoint プレゼンテーション

耐雪型歩道柵 (P 種 )H=1.1m ランク 3 ( 基礎ブロック ) 平成年月日

PowerPoint プレゼンテーション

国土技術政策総合研究所資料

ウィンドブリック施工要領書 2018 年 7 月

Microsoft PowerPoint - zairiki_11

建築支保工一部1a計算書

140_寸法表-11-フランジ.indd

Super Build/MC1 - S梁継手の計算

POWER-直接基礎Ⅱの出力例(表形式)

説明書 ( 耐震性 ) 在来木造一戸建て用 ( 第二面 ) 基礎根入れ深さ深さ ( mm ) 住宅工事仕様書 適 基礎の 立上り部分 高さ ( mm ) 厚さ ( mm ) 基礎伏図 不適 各部寸法底盤の寸法厚さ ( mm ) 幅 ( mm ) 基礎詳細図 基礎の配筋主筋 ( 径 mm ) 矩計図

複合構造レポート 09 FRP 部材の接合および鋼と FRP の接着接合に関する先端技術 目次 第 1 部 FRP 部材接合の設計思想と強度評価 第 1 章 FRP 構造物の接合部 FRP 材料 FRP 構造物における各種接合方法の分類と典型的な部位 接合方法

(3) 基準強度 a) 鋼材 平成 12 年建設省告示第 2464 号 ( 平成 19 年国土交通省告示 623 号改正 ) による (N/mm 2 ) 種類 基準強度 鋼材 SS400 板厚が 40mm 以下 235 SM490 板厚が 40mm 以下 325 鋼材の材料強度の基準強度は 表中の値

<4D F736F F D2095BD90AC E8D918CF08D9091E D862E646F63>

ナット / ワッシャー / シヤーボルト / 丸根角ボルト ミリ 8.8T 並目 ナット / ワッシャー ミリ 11T 並目 ナット / ワッシャー 六角ナット スプリングワッシャー サイズ サイズ N N N N N N

ダクトの吊り金物 形鋼振れ止め支持要領 (a) 横走りダクト (1) 吊り金物 (2) 形鋼振れ止め支持インサート金物インサート金物 ダクト 吊り用ボルト (M10) h ダクト L a 材 形鋼 (b) 立てダクト ( 形鋼振れ止め支持 ) 注 (2) のa 材及びインサート金物は 形鋼振れ止め支

Microsoft Word - 建築研究資料143-1章以外

Microsoft PowerPoint - zairiki_10

Taro-2012RC課題.jtd

第 14 章柱同寸筋かいの接合方法と壁倍率に関する検討 510

Microsoft Word - 学科C問題(確定版).docx

目次構成

<4D F736F F D208D7E959A82A882E682D18F498BC78BC882B B BE98C60816A2E646F63>

ブレースの配置と耐力

目次 1. 適用範囲 1 2. 引用規格 1 3. 種類 1 4. 性能 2 5. 構造 2 6. 形状 寸法 3 7. 材料 3 8. 特性 4 9. 試験方法 検査 6 ( 最終ページ :11)

施工報告書_RC_ (未セルロック)1 (2)

構造力学Ⅰ第12回

Microsoft Word - 01_はじめに

Microsoft Word - 技術資料Vol.2.docx

コンクリート工学年次論文集 Vol.25

接合部性能試験報告書

新旧品番対比表

< B795FB8C6094C28F6F97CD97E12E786477>

DNK0609.xls

接合部性能試験報告書

耐震等級 ( 構造躯体の倒壊等防止 ) について 改正の方向性を検討する 現在の評価方法基準では 1 仕様規定 2 構造計算 3 耐震診断のいずれの基準にも適合することを要件としていること また現況や図書による仕様確認が難しいことから 評価が難しい場合が多い なお 評価方法基準には上記のほか 耐震等

を 0.1% から 0.5% 1.0% 1.5% 2.0% まで増大する正負交番繰り返し それぞれ 3 回の加力サイクルとした 加力図および加力サイクルは図に示すとおりである その荷重 - 変位曲線結果を図 4a から 4c に示す R6-1,2,3 は歪度が 1.0% までは安定した履歴を示した

表 6.3 鉄筋のコンクリートに対する許容付着応力度 (N/mm 2 ) 長 期 短 期 異形鉄筋 かつ 5 上端筋 Fc 以下 75 0 その他の鉄筋 かつ.35 + Fc 以下 25 < 表を全面差し替えた > 長期に対する値の.5 倍 丸鋼 4 Fc かつ 0.9 以下 00

極厚H形鋼・NSGH®鋼・NS-TWH®鋼

強度のメカニズム コンクリートは 骨材同士をセメントペーストで結合したものです したがって コンクリート強度は セメントペーストの接着力に支配されます セメントペーストの接着力は 水セメント比 (W/C 質量比 ) によって決められます 水セメント比が小さいほど 高濃度のセメントペーストとなり 接着

Microsoft PowerPoint - zairiki_7

05設計編-標準_目次.indd

(Microsoft Word - \221\346\202R\225\322\221\346\202Q\217\315.docx)

2014

8 章橋梁補修工 8.1 橋梁地覆補修工 ( 撤去 復旧 ) 8.2 支承取替工 8.3 沓座拡幅工 8.4 桁連結工 8.5 現場溶接鋼桁補強工 8.6 ひび割れ補修工 ( 充てん工法 ) 8.7 ひび割れ補修工 ( 低圧注入工法 ) 8.8 断面修復工 ( 左官工法 ) 8.9 表面被覆工 (

構造関係共通事項 ( 配筋標準図 ) 1.1 鉄筋の加工 鉄筋の折曲げ内法直径及びその使用箇所は, 表 1.1 を標準とする 折曲げ 角度 及び 90 ( 幅止め筋 ) とする d 4d 以上 2.1 異形鉄筋の末端部 d 折曲げ図 d d D 4d 以上 D D D

PowerPoint プレゼンテーション

CLT による木造建築物の設計法の開発 ( その 3)~ 防耐火性能の評価 ~ 平成 26 年度建築研究所講演会 CLTによる木造建築物の設計法の開発 ( その 3) ~ 防耐火性能の評価 ~ 建築防火研究グループ上席研究員成瀬友宏 1 CLT による木造建築物の設計法の開発 ( その 3)~ 防耐

<874B91E631308FCD976995C78D5C91A2907D8F572E707562>

Microsoft PowerPoint - ‚æ2‘Í.ppt

<82658C5E95578EAF928C208BAD93788C768E5A8F >

さいたま市消防用設備等に関する審査基準 2016 第 4 渡り廊下で接続されている場合の取り扱い 155 第 4 渡り廊下で接続されている場合の 取り扱い

第1章 単 位

<4D F736F F D2081A E682568FCD926E94D592B28DB E94D589FC97C78C7689E62E646F63>

別添 別添 地下貯蔵タンクの砕石基礎による施工方法に関する指針 地下貯蔵タンクの砕石基礎による施工方法に関する指針 本指針は 危険物の規制に関する政令 ( 以下 政令 という ) 第 13 条に掲げる地下タンク貯蔵所の位置 構造及び設備の技術上の基準のうち 当該二重殻タンクが堅固な基礎の上に固定され

桑島濘岩 4 号線 1 号橋 上部工 数量計算書

コンクリート工学年次論文集Vol.35

鋼管コンクリート部本体部体部KCTB場所打ち鋼管コンクリート杭継手部継手部 主筋本数が異なる場合 鋼管 ート部KCTB 場所打ち鋼管コンクリート杭の頭部を内面全長突起付き鋼管により評定を取得しました ( 補強した場所打ちコンクリート杭 ) 耐震杭協会 8 社は 一般財団法人日本建築センターの評定を

Taro-094 鉄筋施工(H28改正)

JESRA X-0086*A -017 医用画像診断装置の耐震設計指針 目次 序文 1 1. 目的 1. 適用範囲 1 3. 用語の意味 1 4. 耐震設計上の基本条件 5. 装置の耐震性 3 6. 装置の固定設置の手順 5 7. 施設の構造 材料による固定方法 5 8. アンカーボルト 13 9.

1. 一般事項 1) 接合金物 名称 : フラットプレートスリム合板仕様 用途 : 在来軸組工法建築物における軸組材相互の接合 補強 2) 試験依頼者 名称 : 株式会社タナカ 所在地 : 茨城県土浦市大畑 連絡先 : TEL ) 試験の目的

水平打ち継ぎを行った RC 梁の実験 近畿大学建築学部建築学科鉄筋コンクリート第 2 研究室 福田幹夫 1. はじめに鉄筋コンクリート ( 以下 RC) 造建物のコンクリート打設施工においては 打ち継ぎを行うことが避けられない 特に 地下階の施工においては 山留め のために 腹起し や 切ばり があ

<897E8C F80837D A815B838B81458FE395948ECE95C7817B8145>

12章 標準設計

Microsoft Word - めっきSHTB施工新修正.doc

Microsoft Word - 第5章.doc

公開小委員会 鉄筋コンクリート構造計算規準の改定案

屋根ブレース偏心接合の研究開発

<8E7B8D E838A8358C495CA8E86352E786C73>

<4D F736F F D2091E682548FCD96688CEC8DF28D482889FC92E88DEC8BC6816A2E646F63>

事例に基づく耐震性能の評価と被災度区分判定および復旧計画

下水道維持管理用資器材製品製作及び検査仕様書別添資料(鉄筋コンクリート管)

1 (1) (2) 2

Transcription:

BCJ - LC -209 昭和 61 年 1 月 23 日 JL ボルト工法 ジャパンライフ株式会社

BCJ - LC - 209 昭和 61 年 1 月 23 日 評定報告書 工業化住宅評定委員会 コンクリート系構造分科会主査工学博士園部泰寿 当委員会において 下記の構造材料について検討した結果 構造耐力上支障ないものと評定したので報告する 記 1. 評定申込者会社名ジャパンライフ株式会社代表社名代表取締役神吉祐輔所在地東京都葛飾区新小岩一丁目 56 番 15 号 2. 件名 JLボルト工法 3. 評定事項異径鉄筋 Y 形フック加工のアンカーボルト及びインサートボルトに関する設計指針の評定である iv

J L ボルト工法 設計指針 同解説 ジャパンライフ株式会社 v

vi

JL ボルト工法 設計指針 同解説 目 次 第 1 章総則 第 1 条 適用範囲 第 2 条 JL ボルトの種類 第 3 条 材料の品質 形状等 第 2 章 JL ボルトの設計 第 4 条 引張力を受ける場合 第 5 条 せん断力を受ける場合 第 6 条 引張力とせん断力を同時に受ける場合 第 7 条 埋込み長さ及びかぶり厚さ 第 3 章施工 第 8 条 施工上の注意事項 1

第 1 章総則 第 1 条 適用の範囲 本指針は 第 2 条及び第 3 条に掲げるアンカーボルト及びインサートボルトを 以下の ( イ ) 又は ( ロ ) の用途に用いる場合に適用する ( イ )3 階建以下の鉄骨系又は木質系の住宅の基礎アンカーボルト ( ロ )3 階建以下のコンクリート系の住宅の構造部材緊結用ボルト又はコンクリート打継ぎ部の鉄筋継手用ボルト [ 解説 ] 第 2 条及び第 3 条に掲げるJLボルトを 本文に掲げる用途以外の用途に用いる場合には 別途検討が必要である ただし 実験等で ボルト定着部の応力状態が十分に把握できているものについては 本文に掲げる用途以外の用途に用いる場合にあっても 本指針の一部を適用できる場合がある 第 2 条 JL ボルトの種類 本設計指針で対象とするJLボルトの種類は JLアンカ-ボルト及びJLYインサ-トボルトの2 種類とする [ 解説 ] (1)JLアンカ-ボルトは 異形鉄筋の先端にY 形フックを加工し 他端に外ねじを切ったボルトである 2d L1 S L 2d 2

(2)JLY インサ - トボルトは 異形鉄筋の先端に Y 形フックを加工し 他端に内 ねじを切ったボルトである 2d L1 S 2d L 第 3 条 材料の品質 形状等 1. 材料の品質等 ボルトの種類等品質母材の呼び名 JL アンカーボルト JLY インサートボルト JL アンカーボルトに使用するナット JLY インサートボルトに使用するボルト SD35 JL ボルトと同等以上の降伏点強度及び引張強さを有するもの JLY インサートボルトと同等以下の降伏点強度及び引張強さを有するもの D10 D12 D13 D16 D19 D22 D25 D29 D13 D16 D19 D22 D25 D29 D32 D35 D38 D41 2. ねじ部の寸法等ねじ部の寸法等は 以下の1 又は2のいずれかとする 1 2 JIS B0205 の M10 ~ M30 JIS B0206 の (3/8-16UNC) ~ (1 1/8-7UNC) 3. フック部の形状 寸法 製造検査基準 3-3 に規定するものとする 3

4. ねじ部の製造方法 JLアンカ-ボルト : 転造ねじ JLYインサ-トボルト : 切削ねじ又は転造ねじ 5. コンクリ-ト材料 JLボルトが埋込まれるコンクリートの材料及び品質は 鉄筋コンクリ-ト計算基準 同解説 ( 日本建築学会 ) 第 3 条による コンクリ-ト種類は普通コンクリート 設計基準強度の範囲は 135kg / cm 2 ~ 300kg / cm 2 とする [ 解説 ] 1. JLボルトの品質は JIS G 3112( 鉄筋コンクリ-ト用棒鋼 ) の表 2 及び表 3 に規定するSD35に適合するものとする ただし 表 3の降伏点強度の製造基準は 38 ± 2kg / mm 2 とする JLボルトの寸法 重量等は JIS G 3112( 鉄筋コンクリ-ト用棒鋼 ) 表 5による ただし D12 については 同表に規定がないため 次表によるものとする 寸法 重量及びふしの許容限度 呼び名 公称直径 (d) mm 公称周長 (l) mm 公称断面積 (s) mm 単位重量kg / m ふしの平均間隔の最大値mm ふしの高さ 最小値 ( mm ) 最大値 ( mm ) ふしのすきまの和の最大値mm D12 12.0 4.0 1.131 0.888 8.4 0.5 1.0 10.0 2. フック部の形状図を以下に示す 60 ±5 (2d) * 2d 5 注 )(2d)* については 60 ± 5 の関係により 呼び寸法とする 4

第 2 章 J L ボルトの設計 第 4 条 引張力のみを受ける場合 1. 許容応力度設計 コンクリ-ト躯体に定着されたJLボルト (JLアンカ-ボルト及びJLY インサ-トボルトの総称 以下同じ ) の許容引張力は (1) 式及び (2) 式で算出された値のうちいずれか小なる値とする pa1 =φ1 F c Ac (1) pa2 =φ2 s σ y sc a1 (2) pa1 : 定着したコンクリ - ト躯体のコ - ン状破壊により決まる場合の J L ボルトの許容引張力 ( kg ) pa2 :JL アンカ - ボルト又は JL Y インサ - トボルトに使用するボ ルトの降伏により決まる場合の JL ボルトの許容引張力 ( kg ) φ1 φ2 : 許容引張力の低減係数で 表 -1 の値を用いる 表 -1 許容引張力の低減係数 φ1 φ2 長期荷重用 0.4 2/3 短期荷重用 0.6 1.0 Fc : コンクリ - トの設計基準強度 ( kg / cm 2 ) Ac : コンクリ-トのコ-ン状破壊面の有効水平投影面積で Ac=π le(le+d) で算出され 図-1による ただし 複数本のJLボルトが近接して設けられた場合の有効水平投影面積は 図 -2による ( cm 2 ) JLボルトの埋込み長さ (le) の取り方は 図 -3による 5

s σ y :JL アンカ - ボルト又は JLY インサ - トボルトに使用するボル トの鋼材の降伏点強度 ( 短期許容引張応力度と同じ )( kg / cm 2 ) 5 60 (2 * sc a1 :JL アンカ - ボルト又は JL Y インサ - トボルトに使用するボル トのねじ部有効断面積 ( cm 2 ) P 45 le コンクリート躯体 le l コーン状破壊面 d: 母材の公称断面積 1.5d 2d Ac=πle(le+d) ( 斜線部分 ) P P 45 ΣAc( 斜線部分 ) 図 -1 コ - ン状破壊面の図 -2 図 -1 で複数本が近接 有効水平投影面積して設けられた場合 d d J l le 2d 1.5d 2d l 1.5d le JL アンカ - ボルト JL Y インサ - トボルト le=l+ 1.5 d le:jlボルト埋込み長さ J: 突出し部長さ d: 母材の公称直径 図 -3 JL ボルトの埋込み長さ (le) の取り方 6

2. 保有水平耐力算定コンクリート躯体に定着されたJLボルトの引張強度は (1u) 式及び (2u) 式で算出された値のうち いずれか小なる値とする ただし じん性を要求され場合は (2u) 式で決まるようにする pu1= F c Ac (1u) pu2= s σ y sca1 (2u) pu1: 定着したコンクリ - ト躯体のコ - ン状破壊により決まる場合の JL ボルトの引張強度 (Kg) pu2:jl アンカ - ボルト又は JL Y インサ - トボルトに使用するボ ルトの降伏により決まる場合の JL ボルトの引張強度 (Kg) Fc:(1) 式参照 Ac:(1) 式参照 sσy :(2) 式参照 sca1:(2) 式参照 [ 解説 ] 1. JL ボルトの許容引張力を決める破壊モ - ドは 図 (a) に示すように 1 コ ンクリ - トのコ - ン状破壊及び 2 ボルトの降伏の 2 種類がある ただし (1) 式 は 1 で決まる場合であり (2) 式は 2 で決まる場合である 2 ボルトの降伏 2 ボルトの降伏 45 45 1 コーン状破壊面 1 コーン状破壊面 JLアンカ-ボルト JL Yインサ-トボルト図 (a) 破壊モ-ドなお 主なJLボルトについて予め算定した ねじ部有効断面積 を 表 -2 に示す

2.(1)(1u) 式及び (2u) 式は (1) 式及び (2) 式のφ1 及びφ2を それぞれ 1.0 とした式である JLボルトの引張強度を決める破壊モードは 上記 1に準じる ただし (1u) 式は 1で決まる場合であり (2u) 式は 2で決まる場合である (2) 確実に (2u) 式で決まるようにするには (1u) 式で得られる引張強度が (2u) 式の sσy を 44kg / mm 2 ( 鋼材の降伏点強度 38 ± 2 kg / mm 2 の最大値 40kg / mm 2 の 1.1 倍 ) として算定した引張強度を上まわるように JL ボルトの埋込み長さを決める (3)JLボルトが布基礎等の巾の狭い所に埋込まれ かつ そのボルトにじん性を期待する場合は JLボルトの応力伝達に必要な補強筋を入れることとする ただし 材軸方向の補強筋は 定着部コンクリ-ト部材の曲げ補強筋を兼ねてもよい 表 -2 JL アンカ - ボルト及び JLY インサ - トボルトのねじ部有効断面積 JL アンカーボルト JLY インサートボルト ねじの呼び 母材の種類 母材断面積 A ( cm 2) ねじ部有効断面積 An( cm 2) An/A ねじの呼び母材の種類 インサート有効断面積 ian( cm 2 ) ねじ部有効断面積 An( cm 2 ) ian/a M10 D10 0.713 0.580 0.81 M10 D16 1.201 0.713 2.07 M12 D12 1.131 0.843 0.75 M12 D16 0.855 0.843 1.01 (M12) D13 1.267 0.843 0.66 M16 D22 1.860 1.570 1.18 M16 D16 1.986 1.570 0.79 M20 D29 3.282 2.450 1.34 M20 D19 2.865 2.450 0.85 M22 D32 4.141 3.030 1.36 M22 D22 3.871 3.030 0.78 M24 D35 5.042 3.530 1.42 M24 D25 5.067 3.530 0.69 M27 D38 6.810 4.590 1.48 M27 4.590 0.71 M30 D41 5.971 5.610 1.06 D29 6.424 M30 5.610 0.87 W3/8 D13 0.556 0.490 1.13 W3/8 D10 0.713 0.490 0.68 W1/2 D19 1.598 0.874 1.82 W1/2 D13 1.267 0.874 0.68 W5/8 D22 1.891 1.439 1.31 W5/8 D16 1.986 1.439 0.72 W3/4 D25 2.217 2.133 1.04 W3/4 D19 2.865 2.133 0.74 W1 D35 4.499 3.870 1.16 W7/8 D22 3.871 2.947 0.76 W11 /8 D38 4.985 4.879 1.02 W1 D25 5.067 3.870 0.76 W11 /8 D29 6.424 4.879 0.75 8

ねじの呼び : ねじの形式 直径及びピッチを表す呼び記号 ( 主としておねじの 外径の基準寸法が使われる ) 母材断面積 : JIS G 3112 鉄筋コンクリ-ト用棒鋼 の公称断面積 (S) を使用 (A) する 有効断面積 : おねじの断面積で 有効径をd 2 谷の径をd 3 とすれば 有効断 (A n) 面積は A n =(π/ 4) ((d2 +d3)/ 2) 2 で計算される インサ-ト : インサ-トの断面積で めねじの谷の径をD 母材断面積をAと 有効断面積 すれば インサ-ト有効断面積は i A n =A-(π/ 4) D 2 (i A n) で計算される 第 5 条 せん断力のみを受ける場合 1. 許容応力度設計コンクリ-ト躯体に定着されたJLボルトの許容せん断力は (3) 式により算出する qa=φs 2(0.7 sσy sca2) (3) qa :JL ボルトの許容せん断力 ( kg ) φs 2 : 許容せん断力の低減係数で 長期荷重に対しては 2/3 短期荷重に対しては 1.0 とする sσy :(2) 式参照 sca2 : 部材接合面における1JLアンカ-ボルト 2JL Yインサートボルトめねじ部分又は3JL Yインサ-トボルトに使用するボルトの有効断面積 ( cm 2 ) 2. 保有水平耐力算定コンクリート躯体に定着されたJLボルトのせん断強度は (3u) 式により算出する q au = 0.7 sσy sca2 (3u) 9

qau :JL ボルトのせん断強度 (Kg) sσy :(2) 式参照 sca2:(3) 式参照 [ 解説 ] 1.(1)sca2 の対象となるボルト断面は 以下による ( イ )JL アンカーボルト 1 JL アンカーボルトの埋込状態 JLアンカーボルトの母材部分が接合面から外に3d ( ) 以上出る場合 sca2 の対象となるボルト断面 JL アンカーボルトの母材断面 2 その他の場合 JL アンカーボルトのねじ部断面 ( )d は JL アンカーボルトの母材部分の直径 ( ロ )JL Y インサ - トボルト JL Yインサ-トボルトの埋込状態 sca2の対象となるボルト断面 1 JL Yインサ-トボルトのめねじ部分が接合面から外に3d ( ) 以上出 JLアンカーボルトの母材断面 る場合 2 その他の場合 JLアンカーボルトのねじ部断面 ( )d は JL Y インサ - トボルトの母材部分の直径 (2)(1) の1 及び3の場合を図 (b) に示す (1) の1の場合 (1) の3の場合 JLY インサートボルトに接合されるボルト 3d 以上 q 接合面 3d 以上 q 接合面 母材断面積 JLY インサートボルトねじ部有効断面 JL アンカーボルトねじ部有効断面 JLY インサートボルト (d は JL アンカーボルト又は JL Y インサ - トボルトの母 材部分の直径を示す で囲んだ部分は 対象断面を示す ) 図 (b) sca2 の対象となるボルト断面 10

第 6 条 引張力とせん断力を同時に受ける場合 コンクリ-ト躯体に定着されたJLボルトに 引張力とせん断力が同時に作用する場合の両作用荷重の組合せは 許容応力度設計においては (4) 式を満足するように決める ( _p _ ) 2 + ( _q _ ) 2 (4) pa qa p : 作用引張力 ( kg ) q : 作用せん断力 ( kg ) pa : 第 4 条第 1 項により求まる JL ボルトの許容引張力 ( kg ) qa : (3) 式参照 [ 解説 ] ( 1) 引張力とせん断力が同時に作用する場合の保有水平耐力の算定においては コ ンクリート躯体に定着されたJLボルトに生じる応力状態を考慮のうえ 適切な方法で検討する 第 7 条 埋込み長さ及びかぶり厚さ 1.JLボルトの埋込み長さ (l e) JLアンカ-ボルト l e 5 d JL Yインサ-トボルト l e 50mm 2.JLボルトのかぶり厚さ JLボルトのかぶり厚さは 30mm以上 ( コンクリート躯体表面が土に接する部分にあっては 40mm以上 ) とする なお JLボルトの定着部の設計にあたっては へりあき寸法による影響を考慮する 11

[ 解説 ] 2.JLボルトのへりあき寸法が小さい場合の定着部の設計は 以下による ( イ ) 許容引張力及び引張強度の算定 (1) 式又は (1u) 式の Ac を N Ac1 [ 図 ( c ) 参照 ] に置き換えて算定する ( ロ ) 許容せん断力及びせん断強度の算定 a. 許容せん断力は (1) 式 [( 1) 式の Ac を NAc2 [ 図 ( d) 参照 ] に 置き換えた式 ] 及び (3) 式で算出された値のうち いずれか小なる値とする b. せん断強度は (1u)' 式 [( 1u ) 式の Ac を NAc2 [ 図 ( d) 参照 ] に置き換えた式 ] 及び (3u) 式で算出された値のうち いずれか小なる値とする ただし じん性を要求される場合は (3u) 式で決まるようにする a a 45 P l le le q 45 a<le 1.5d N Ac2 N Ac2 N Ac1 図 (d) へりあきの影響を受けるときの側面の有効投影面積 ( せん断力を受ける場合 ) a 図 (c) へりあきの影響を受けるときの有効水平投影面積 ( 引張力を受ける場合 ) 12

3 章施工 第 8 条 施工上の注意事項 1. 製品の確認 JLボルトが仕様に適合していることを確認する ( 油等が付着している場合は 脱脂する ) 2. 施工時の確認 JLボルトの位置及び埋込み長さが図面と一致していることを確認する 3. 養生期間中の注意コンクリ-ト打設直後にJLボルトをセットしたり 位置修正をしたりする場合は JLボルト周辺に空隙が生じないように注意すること なお コンクリ-ト硬化中のJLボルトの位置修正は 行ってはならない 4. コンクリ-ト強度の確認 JLボルトに他の構造部材を緊結する場合は コンクリ-トが所要の強度以上であることを確認する [ 解説 ] 1. 具体的な確認項目は 以下のとおり 1. JLボルトの母材径及びねじ径 2. JLボルトの全長及びねじ切り長さ 3. JLフックの長さ及び角度 4. めっきの種類及びめっき長さ 2. 具体的な確認項目は 以下のとおり 1. JLボルト位置 2. JLボルト径 3. JLボルト長さ及び突出し長さ 4. 垂直及び水平に対する角度 なお 施工方式は 先付け工法 ( コンクリート硬化前に ボルトを所定の位置に埋め込んでおく工法 ) とする 13

(1) コンクリートの強度が十分に出ないうちに JL ボルトに他の構造部材を緊結すると JL ボルトに荷重が加わり コンクリートのクラック コンクリートと JL ボルトの肌 別れ等が生じる恐れがあるため 十分に注意すること (2) あらかじめ PC 部材に埋込まれる JL ボルトを その部材の脱型用埋込金物と兼用す る場合のコンクリート脱型強度は 120 kg / cm 2 以上 ( 別に指示強度が定められてい る場合は その強度以上 ) とする 14