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Transcription:

状態推定班 ロケット ( 企業共研 ) 電気自動車用リチウムイオン電池 ( 企業共研 ) モデリングと制御班 ヘリコプタ実験 エンジン制御 ( 企業共研 ) RoboCar 実験 制御実験装置 複写機の制御 ( 企業共研 ) 異常検出 基礎理論研究 モデリング Multi-domain modeling 非線形同定 JIT,PLS,PCA,... 統計的学習理論ベイジアン,RVM スパース推定 状態推定 カルマンフィルタ UKF EnKF 制御系設計 モデル予測制御 音響班 アクティブノイズコントロール ( 企業共研 ) 立体音響 ( 研究所共研 ) ( 頭部伝達関数の同定 ) 医療 生体 バイオ班 医療機器のためのシステム同定 ( 企業共研 ) システムバイオロジー ( 他大学共研 )

ロケット用低コスト航法装置のアルゴリズムの開発と地上試験 近年 小型衛星の研究が大学等で盛んに行われています これに伴い小型衛星打ち上げ用の安価で小型のロケットが求められています また射点に依存しないロケットの打ち上げ方式として空中発射や海上発射といった方法が検討されています 足立研究室では このような要求に対して現状のロケット用の航法装置では解決できない問題点を克服するために 慣性センサの情報と GPS の情報からカルマンフィルタを用いてより高精度な航法 (navigation) を行う複合航法アルゴリズムの研究をしています

リチウムイオン 2 次電池 (Lithium-ion secondary battery) Battery 日産の HP より引用 近年, 走行中に二酸化炭素を排出しない電気自動車に大きな注目が集まっています. 車載用の電池として期待されるリチウムイオン 2 次電池は, 大きなエネルギー密度と高い電池電圧をもち, 製品の小型軽量化に貢献しています. 電池残量や劣化具合の正確な推定は実用化のための重要な課題となりますが, それらは直接測定することができないので, 測定可能な電流, 電圧から充電状態 (State of Charge:SOC) や健全度 (State of Health:SOH) を推定する必要があります. 本研究室では, 電気化学反応である電池を制御の分野で扱えるよう, システム同定により数式化し, そのパラメータから内部の状態を推定するという研究をしています.

Active Noise Control 制御音源 消音点 騒音 コントローラ H( z) 制御音 重ね合わせによる消音 Active Noise Control (ANC) は騒音に対して それと逆位相の音をスピーカから発生させ騒音を防ぐ手段です システムに必要なものはスピーカのみなので 設置スペースとコストを抑える要求のある分野で多く研究されています 我々の研究する自動車の走行音 ( ロードノイズ ) に対する ANC システムは その要求が高く最も注目される分野の一つです 自動車内での ANC システムは長年研究されていますが 実用化するには様々な障害が数多く残っており 足立研究室ではこれらの障害をいかに乗り越えるかを目的とし 理論 実験の両面から研究を進めています

立体音響 ( バイノーラル方式 ) 立体音響 ( バイノーラル方式 ) とは バイノーラル方式ではヘッドホンを用いて立体的な音像空間を再現します このバイノーラル方式を利用したサラウンドヘッドホンなどが現在市販されています この立体的な音声信号を作成するためには 頭部伝達関数 (HRTF) というフィルターを利用します 足立研究室ではこの頭部伝達関数を作成するための研究を行っています

ディーゼルエンジン着火システムの着火時期制御 自動車 エンジン シミュレータ 自動車のエンジンを効率よく稼働させるためには 多くの条件をクリアする必要があります その条件の一つが 燃料が最も燃えやすいタイミングで着火を起こす ことです そして 本研究の目的は燃料噴射時期制御アルゴリズムを設計することです しかし エンジンの動作や燃料の燃焼は複雑な現象であり 数式でモデリングすることが困難です そこで 本研究では複雑な現象をデータベース化し 逐一簡単な数式モデルを構築する Just-In-Time 法 を用いて着火時期制御アルゴリズムを設計します 設計 そしてアルゴリズムの評価はディーゼルエンジンの実験データから構築されたシミュレータを用いて行います

複写機の制御 感光体 感光体 紙 付着転写印刷 多くの複写機は 感光体にトナー ( インクの粒 ) が付着し それが紙面上に転写されることによって 印刷が行われるという機構になっています このとき トナーはキャリア ( トナーの運び手 ) と混ざり合い帯電することによって感光体に付着できるようになるのですが トナーを適当な量だけ付着させるためには トナーの帯電量を制御しなければなりません そして そのような制御をかけるためには トナーを補給する装置のダイナミクスを記述する正確なモデルが必要不可欠です 本研究では 入出力データからモデルを推定する システム同定 により 補給装置のモデリングに取り組んでいます

Robo Car Robo Car は カー ロボティクス分野の先端技術である 危険回避アシスト技術 自立走行アルゴリズム などの研究を目的として開発された電気自動車の 1/10 スケールモデルです 現在は Robo Car に搭載されているステレオカメラを用いて 前方にある障害物との距離の検知や車線の検知など自動車の衝突回避や車線逸脱防止につながる研究を行っています

制御実験装置 足立研には制御実験装置として e-nuvo WHEEL( 写真左 ) e-nuvo WALK( 右 ) DC モータがあります e-nuvo WHEEL 現代制御理論を用いて二輪で車体の倒立を維持するロボットです e-nuvo WALK 12 個の関節モータを制御して 二足歩行するロボットです DC モータ古典制御理論を用いてモータの回転角 角速度を制御する装置です

医療機器 ( 超音波診断装置 ) 超音波診断装置では超音波ドプラ法を用いることで, 心腔の血流情報を計測します また計測された血流信号を解析するために 信号を短時間フーリエ変換 (STFT:short-time Fourier transform) し, 周波数軸を血流速度に変換したスペクトル画像を表示します この画像をもとに心機能診断を行うことが可能となります しかし, 新たに開発した装置では, スペクトル画像に欠落が生じてしまうという問題点が生じます そこで本研究では, システム同定理論を応用し, スペクトル画像の欠落補間システムを開発することを目的とした研究を行っています

システムバイオロジー タンパク質 セルサイクル システムバイオロジーとは 遺伝子やタンパク質などを含む 生命の全体像をシステムとして捉える分野です システムバイオロジーの重要な研究テーマの一つに セルサイクルがあります これは 細胞が増殖する際にたどる順序だった過程であり 老化や癌の機構に密接に関係しています 本研究室では 酵母のセルサイクルの進行を制御しているタンパク質ネットワークを システム同定という方法を用いて推定する研究を行っています また 推定されたネットワークに対してシステム解析を行い ネットワークのロバスト性を検証する研究も行っています