はじめに 足部について 2018.1.7( 日 ) 世良田美紀 足部の骨はなぜ多いのか疑問に思ったため 今回は足部について考察したい また 外来患者様に対し インソールを入れることがあるが 正しく理解できていないように思った 骨形態を学習 理解し足部の役割を理解したいと思った 足とは 足関節と足部が含まれ 一般的に 1 つの機能ユニットとして考えられている 足は身体の土台として 地形変化への適合 身体平衡の保持 歩行などの動作の衝撃吸収や推進などにきわめて重要な役割を果たしている 足部の骨の数 脛骨と腓骨に連なる 7 個の足根骨と 5 個の中足骨 14 個の趾骨および数個の種子骨と過剰骨からなる =26 個 ( 身体の骨数は 206 個 ) 何故こんなに多いのか!! 何故多いのかを考える 1 足部の骨形状 1-2 足部の骨形状 足部骨の形状 足の骨 ( 左 ) 1
関節 ( 距腿関節 ) 脛骨の下関節面と内果および腓骨外果を関節窩 距骨上面の滑車を関節頭とするらせん関節 距骨下関節 距骨の下面と踵骨上前面の関節 前距踵関節 中距踵関節 後距踵関節の 3 部位で結合する 今回は 足部のため詳細は省く 内外転内がえし 外がえし 内 外 ( 距腿関節が一番安定するのは靭帯 筋が伸びきる背屈位底屈位は不安定 = ヒールは距腿関節にとっては不安定 ) 横足根関節 ( ショパール関節 ) 足根中足関節 中足部と後足部を分ける 距舟関節と踵立方関節の二つの関節からなる 純粋な外がえし 内がえし 中足骨底 3 個の楔状骨 立方骨の遠位面との関節 中足部と前足部で結合し 放射状に伸びる足部の基部 第 1 足根中足関節を除き比較的強固 第 2 足根中足関節は外側楔状骨のあいだに楔でとめられるため もっとも安定する 底背屈 回内外 中足指節関節 中足骨の凸面頭部と近位指節骨の浅い凹面からなる 60~65 の過伸展が可能で プッシュオフ ( 踏切 ) において必要 屈曲 伸展 指節間関節 手指と同様に 母指を除く足趾には PIP と DIP がある 伸展は 0 屈曲 伸展 2
何故多いのかを考える 2 足部のアーチ 力学的に合理的な荷重支持に役立つ 足部のアーチは骨 関節 靭帯および筋の要素が組み合わさり構成される 内側縦アーチ 骨 : 踵骨ー距骨ー舟状骨ー内側楔状骨ー第 1 中足骨からなる この足弓のかなめ石となっているのが舟状骨である 衝撃吸収に大きく関与 内側縦アーチ 外側縦アーチ 横アーチの 3 種類がある 外側縦アーチ 横アーチ 骨 : 踵骨ー立方骨ー第 5 中足骨 内側と比べるとアーチの高さは低く 長さも短い 皮膚を含めた軟部組織で全長にわたって地面と接している 内側縦アーチと外側縦アーチの間にできるもの 部位により構成する要素が異なる 第 1 中足骨頭レベル : 第 1 中足骨頭 ( 種子骨 ) ー第 2~5 中足骨頭第 2 中足骨頭が頂点 内側楔状骨レベル : 内側楔状骨ー中間楔状骨ー外側楔状骨ー立方骨中間楔状骨が頂点 かなめは踵立方関節部 ここまで エミー マランス 足部の骨 関節 機能より多くの運動 役割が備わっている しかし 本当に骨を多くする必要があったかはわからない 骨の多くないものをみればわかるのであろうか 3
何故多いのかを考える!2 義足! 義足足部に求められる役割 義足足部単軸足 距腿関節にあたる軸により足関節底背屈を可能とする 底屈は踵についた後方バンパー 背屈は前方バンパーで制動する 義足足部多軸足 底背屈の動きに内外反や回旋の動きが加わったもの 不整地での使用に適し 回旋機能はゴルフなど体をねじる動きを要するときに有効 義足足部無軸足 軸を有する足継手をもたない足部 SACH 足が代表的 踵部のクッションがたわむことで衝撃を吸収する 軽量なものが多い 何故多いのかを考える 2+α 走行時の義足 歩行時と走行時は義足を変える 健常者は足部を変えられない 走行は歩行より衝撃大きく 推進力も必要 足部機能がついていかない エミー マランス エネルギー蓄積型義足 何故多いのかを考える 2+α バイオニクス義足 歩行 走行 登山 踊りを可能にした義足 脳波を拾い 義足が動作する ここまでできると人体の足部ができる 4
ここまで 義足との比較により足部の役割が 衝撃吸収 体重の支持 推進力 環境適応ということが何となくわかった 結局 多い理由がまだつかめない 歩行考察 歩行時 足部は上からの関節運動 下からの床反力の影響がある 足部内側アーチは立脚中期にて形状が大きく変化するとされている 足による推進力は立脚終期の蹴り出しによるもので作られている 1. 歩行初期は荷重を受け 安定を作る 2. 反対側の下肢が浮いたらアーチによる安定 3. 反対側の下肢がついたら蹴りだす 歩行を考える 前 中 後足部で役割が異なる!! 歩行時の足部 1. 接地期 1 距骨下関節は接地期を通じて回内し 接地期の最後で回外する 2 下腿骨は接地期を通じて内旋する 3 接地期の最後までに前足部が接地し 足底全接地となる 4 床反力の垂直成分は接地期の最後に第 1 ピークを迎え 反対側からの体重を支持する 5 距骨下関節回内にて柔軟性をもたせ 地形変化や姿勢偏位に適合する 歩行時の足部 1. 立脚中期 1 接地期の最後に起こった距骨下関節回外は 立脚中期を通じて継続される 2 下腿骨は立脚中期を通じて外旋する 3 足部構造は推進期にテコとしての機能を果たすために 柔軟性のある構造から固定性のある構造へ変化いていく 歩行時の足部 1. 推進期 1 距骨下関節は回外を続け踵離地直前に中間位に達するその後も回外を続ける 2 下腿骨は推進期を通じて外旋する 3 踵は床面から離れており 中足骨頭と足趾で荷重が行われる 4 体重移動は外側から内側へ中期で母指 第 2 3 中足骨を中心に荷重 距骨下関節回外 前足部も回外 足部内側は床から離れる 第 1 列の底屈により前足部内側は床面接地を維持!! ここまで 歩行時の足部の動きは少しわかった 結局何が大きく関与しているかわからない 足をみなおす!! 5
内側縦アーチ 1. 踵骨載距突起部 = 距骨下関節の真下!! 足部アーチの部位別機能 1 最も距骨下関節の回内外に影響 2 距骨下の回外位は前足部の可動性を減少させ固定性のある足部を形成する 距舟関節と踵立方関節の 2 つの運動軸は 距骨下関節が最大回内位にあるとき 平行な位置関係となる = 各々の関節運動の阻害なし = 可動性のある足部 内側縦アーチ踵骨載距突起部 3 距骨下関節回外は第 1 列の可動性を低下させる 4 距骨下関節回外はショパール関節を回内 底屈 内反させる 5 距骨下関節回外は脛骨内果を挙上させる 6 歩行時の距骨下関節回外位は立脚中期前半に体重の前方移動と 下肢と骨盤の前方方向への回旋を促す = 回内は抑制する 内側縦アーチ 2. 舟状骨部 1 中足部の保持 = 内側縦アーチ中足部の保持に関与 2 立脚中期において内側縦アーチの保持を行う 3 距骨下関節に肢位を制御できないため 前足部 第 1 列の可動性に関与しない 内側縦アーチ 3. 中足骨部 1 中足骨部は第 1 列の肢位に最も影響しているここを高くすると 第 1 列を背屈させる = アーチの高さに影響 2 第 1 列を底屈させると母指球への荷重が促され 歩行推進期に早期に母指側へ荷重させる = 逆は遅延 3 第 1 列底屈は立脚中期後半から体重の前方移動を促し 下腿の外旋を抑制 外側縦アーチ 1. 踵骨 立方骨部 = 足根中足関節より近位 1 距骨下関節肢位に影響するここを高くすると距骨下関節回外を制御 = 逆は促す 2 ここが高くなるとショパール関節を回外 背屈 外転させる 3 ここが高いと 接地期での体重の外方移動を制動する 2 3 はアーチが落ちている状態! 6
外側縦アーチ 2. 中足骨部 1 第 5 列の肢位に最も影響しているここが高いと第 5 列を外がえしさせ 低いと内がえしさせる 横アーチ 1. 中足骨レベル 1 第 2 3 4 列の誘導に関与 2 ここが高いと中足骨部の固定性を高める 低いと柔軟性を高める 3 足趾の配列に関与 4 立脚中期後半から推進期にかけて中足骨部への荷重が加わるため ここが高いと推進期の体重の前方移動を抑制 横アーチ 1. 楔状骨レベル 1 足根骨の固定性と柔軟性に関与 = 高いと固定 低いと柔軟 2 歩行では接地期後半から立脚中期後半にかけて足根部への荷重が加わる = 高いと体重の前方移動を促す 横アーチ 1. 後足部レベル 1 舟状骨 立方骨の固定性 柔軟性に関与 = 高いと固定 低いと柔軟 2 接地期前半に後足部への荷重が加わる = 高いと体重の前方移動を促す低いと抑制する アーチ機能 人体の足部はアーチにより大部分を形成されている = 人の足はほぼほぼアーチ!! 人体の足部アーチは 衝撃吸収 足部の安定性 推進力の獲得 体重移動 上方への情報伝達も行っている 何故多いのか考察 1. 体重を支える 床反力を受ける 推進力を得るためには足部は小さくアーチ構造にすることで機能を補っている = 骨を多くすることで多様なアーチを形成していると考える 2. 歩行時には荷重点が変化し また 周辺環境への適応も足部機能として求められる = 骨を多くすることで上に伝わる変化量を減らしているまた 足部は多くの役割により可動性が求められるため 骨を多くしていると考える アーチのために骨が多くなった!! と思う! 7
おわりに 人体における足部はアーチによる 衝撃吸収 荷重の支持 推進と歩行において大きな役割をもつ また 歩行時には荷重点が後足部 中足部 前足部へと移動し それぞれに役割が存在し それにより骨数が多いことが考えられた 今後は役割を意識した 足部運動の意味付け 治療介入をしていきたい 今回は 足部靭帯 筋 足関節には触れていないため 今後勉強していきたい 8