愛着スタイル 情動知能及び自尊感情の関係 豊田弘司 ( 奈良教育大学学校教育講座 ( 教育心理学 )) Relationships among Attachment Style, Emotional Intelligence and Self-Esteem 奈良教育大学教育実践開発研究センター研究紀

Similar documents
奈良教育大学紀要P _豊田弘司.indd

相手の普段と異なる行動が対人感情と原因帰属に及ぼす効果 相手の普段と異なる行動が対人感情と原因帰属に及ぼす効果 豊田弘司 奈良教育大学 学校教育講座 教育心理学 川﨑弥生 豊田弘司 日本学術振興会 専修大学 人間科学部 奈良教育大学 学校教育講座 教育心理学 川﨑弥生 The effects of

豊 田 弘 司 矢 追 美 佳 このような 異 性 関 係 スキルには 近 年 注 目 されてい る 情 動 知 能 (Emotional Intelligence; EI)との 共 通 性 が ある EI とは Salovey & Mayer(1990)の 定 義 によ れば 情 動 を 扱 う

Jpn. J. Personality 19(2): (2010)

タイトル

:. Bowlby, J Ainsworth, M. S. Main, M. Morgan, H. Ainsworth, M. S. D Main, M. Morgan, H.

大谷女子大学紀要(よこ)51☆/7.田沢

パーソナリティ研究 2005 第14巻 第1号 1–16

THE JAPANESE JOURNAL OF PERSONALITY 2007, Vol. 15 No. 2, 217–227


のであろうか. 年齢によって全体的自己価値の様相は異なるのであろうか. 本研究では, 健康講座に参加している高齢者の全体的自己価値がどのような様相を示すのを検討することを1つめの目的とする. QOL( 生活の質 ) に関連する指標として, 全体的自己価値だけではなく生きがい感についてもとりあげ, 高

研究報告用MS-Wordテンプレートファイル

パーソナリティ研究 2006 第14巻 第3号 281–292


2 251 Barrera, 1986; Barrera, e.g., Gottlieb, 1985 Wethington & Kessler 1986 r Cohen & Wills,

パーソナリティ研究 2005 第13巻 第2号 156–169

Japanese Journal of Applied Psychology

<4D F736F F D F4B875488C097A790E690B C78AAE90AC838C837C815B FC92E889FC92E894C5>

04-p45-67cs5.indd

03小塩真司.indd

博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文

(Microsoft Word

untitled

<4D F736F F D A89898F4B4494C792F990B394C5>

スポーツ教育学研究(2013. Vol.33, No1, pp.1-13)

.A...ren

表紙.indd

(Microsoft Word \227F\210\344\226\203\227R\216q\227v\216|9\214\216\221\262.doc)

untitled

56 56 The Development of Preschool Children s Views About Conflict Resolution With Peers : Diversity of changes from five-year-olds to six-year-olds Y


kenkyujo_kiyo_09.ren

Microsoft Word - 認知科学08尚吾.doc

2 DV 3. セックス ワーク論, 2005, 職業スティグマ Goffman 1963 Dirty WorkHugher, 1951; 1958; 1962 Dirty Work Ashforth & Kreiner 1999 Dirty Work prestige 3 dimen

e.g., Mahoney, Vandell, Simpkins, & Zarrett, Bohnert, Fredricks, & Randall2010 breadth intensitydurationengagement e.g., Mahone


Microsoft Word - 210J4061.docx

’V‰K2.ren

The Journal of the Japan Academy of Nursing Administration and Policies Vol 12, No 1, pp 49 59, 2008 資料 看護師におけるメンタリングとキャリア結果の関連 Relationship between M

, , % :

第 4 章大学生活および経済 生活支援とキャリア行動 キャリア意識との関連 本章では 学生の大学生活や経済 生活支援の利用状況をふまえて キャリア行動やキャリア意識に違いが見られるかについて検討する 1 節では 大学生活とキャリア支援の利用との関連を示し どのような大学生活を送る学生がキャリア支援を

社会学部紀要 120号☆/9.池内

IPSJ SIG Technical Report Vol.2017-SLP-115 No /2/18 1,a) 1 1,2 Sakriani Sakti [1][2] [3][4] [5][6][7] [8] [9] 1 Nara Institute of Scie

発達教育10_087_古池.indd

PowerPoint プレゼンテーション

フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

Microsoft Word 今村三千代(論文要旨).docx

230/個人研究/金山.indd

<4D F736F F F696E74202D B835E89F090CD89898F4B81408F6489F18B4195AA90CD A E707074>

(Microsoft Word - \211\211\217K\207T\225\361\215\220\217\221[1].doc)

Jpn. J. Personality 18(2): (2009)

Adult Attachment Projective AAP PARS PARS PARS PARS Table

修士論文 ( 要旨 ) 2018 年 1 月 大学生の親しくなりたい同性の友人への自己表明に関連する心理的要因 - 過剰適応と本来感に注目して - 指導井上直子教授 心理学研究科臨床心理学専攻 216J4001 芥川慎

untitled

11号02/百々瀬.indd

The Japanese Journal of Psychology 1991, Vol. 62, No. 3, A study on the reliability and validity of a scale to measure shyness as a trait Atsu

第4章妊娠期から育児期の父親の子育て 45

Microsoft Word - manuscript_kiire_summary.docx

(3) 生活習慣を改善するために

修士論文 ( 要旨 ) 2017 年 1 月 攻撃行動に対する表出形態を考慮した心理的ストレッサーと攻撃性の関連 指導小関俊祐先生 心理学研究科臨床心理学専攻 215J4010 立花美紀

07-内田 fm


Japanese Journal of Applied Psychology

のか, それとも比較的安定しているのかを検討することを目的とする. また, が変化しているならば, その変化にはどのような要因が影響を与えているのであろうか. 今回は, 中学生の親の全体自己価値に影響を与えている可能性がある要因として 夫婦関係 をとりあげる. 親自身が知覚した夫婦関係は, に影響し

The Japanese Journal of Psychology 1984, Vol. 55, No. 3, Effects of self-disclosure on interpersonal attraction Masahiko Nakamura (Department

論文題目 大学生のお金に対する信念が家計管理と社会参加に果たす役割 氏名 渡辺伸子 論文概要本論文では, お金に対する態度の中でも認知的な面での個人差を お金に対する信念 と呼び, お金に対する信念が家計管理および社会参加の領域でどのような役割を果たしているか明らかにすることを目指した つまり, お

Newgarten, BL., Havighrst, RJ., & Tobin, S.Life Satisfaction Index-A LSIDiener. E.,Emmons,R.A.,Larsen,R.J.,&Griffin,S. The Satisfaction With Life Scal

Ⅰ. 緒言 Suzuki, et al., Ⅱ. 研究方法 1. 対象および方法 1 6 表 1 1, 調査票の内容 図

発達研究第 25 巻 問題と目的 一般に, 授業の中でよく手を挙げるなどの授業に積極的に参加している児童は授業への動機づけが高いと考えられている ( 江村 大久保,2011) したがって, 教師は授業に積極的に参加している児童の行動を児童の関心 意欲の現われと考えるのである 授業場面における児童の積

ROSE リポジトリいばらき ( 茨城大学学術情報リポジトリ ) Title 自己期待に関する不合理な信念 および 自己の側面の重要性 が自己受容に及ぼす影響 Author(s) 渡部, 玲二郎 / 高橋, 由里 Citation 茨城大学教育学部紀要. 教育科学, 61: Issu

ユーモア・センスやユーモアの分類に関する研究は、古くから現在まで長く行われてきており、最近の研究では、Martin et al

Microsoft Word - 博士論文概要.docx

自己愛人格目録は 以下 7 因子が抽出された 誇大感 (α=.877) 自己愛憤怒 (α=.867) 他者支配欲求 (α=.768) 賞賛欲求 (α=.702) 他者回避 (α=.789) 他者評価への恐れ (α=.843) 対人過敏 (α=.782) 情動的共感性は 以下 5 因子が抽出された 感

(4) 在日米国人心理学者による逆翻訳 (5) 在米米国人心理学者による内容の検査と確認 (6) 予備調査 本調査の対象東京都 千葉県の小児科クリニック 市役所 子育て支援事業に来所した 12~35 か月 30 日齢の健康な乳幼児とその養育者 537 組を対象とした 本調査の内容本調査の質問紙には

調査の目的この報告書は, 第 1 に,2011 年から 2012 年にかけての 4 回の調査の結果をもとに, サポーツ京田辺の生徒の皆さんの学習意欲の状態を複数の側面から把握した結果を報告することを目的としています また第 2 に, 生徒の皆さんの勉強の仕方に関する考え方や実際の勉強の仕方を知り,

P pdf, page Preflight ( P indd )

発達研究第 24 巻 の中でどのような意味をもつのかには無頓着で, 不用意に感情を表出してしまう女子中学生がいることや ( 桾本,2008), 些細なことで攻撃的な行動に出てしまったり, 本当は嫌だという気持ちを持っているのに, 断り切れずに承諾して, 家に帰ってから泣いてしまったりといった子どもた

様式 3 論文内容の要旨 氏名 ( 神﨑光子 ) 論文題名 周産期における家族機能が母親の抑うつ 育児自己効力感 育児関連のストレス反応に及ぼす影響 論文内容の要旨 緒言 女性にとって周産期は 妊娠 分娩 産褥各期の身体的変化だけでなく 心理的 社会的にも変化が著しいため うつ病を中心とした気分障害


IPSJ SIG Technical Report Vol.2014-CE-123 No /2/8 Bebras 1,a) Bebras,,, Evaluation and Possibility of the Questions for Bebras Contest Abs

Exploring the Art of Vocabulary Learning Strategies: A Closer Look at Japanese EFL University Students A Dissertation Submitted t

名古屋文理大学紀要高校生の時間的展望と自己評価の関連第 11 号 (2011) - 全体的自己価値, 具体的側面の自己評価, 具体的側面の重要度の観点から - 高校生の時間的展望と自己評価の関連 - 全体的自己価値, 具体的側面の自己評価, 具体的側面の重要度の観点から - The Relation

(12th) R.s!..

愛 知 少 年 院 の 概 要 愛 知 少 年 院 設 立 までの 過 程 愛 知 少 年 院 での 生 活 スケジュール


過去の習慣が現在の習慣に与える影響 インターネットの利用習慣の持ち越し 松岡大暉 ( 東北大学教育学部 ) 1 問題関心本研究の目的は, インターネットの利用の習慣について, 過去のインターネットの利用習慣が現在のインターネットの利用の習慣に影響を与えるかを検証することである. まず, 本研究の中心

<4D F736F F D20328CB492982D342D97E996D8974C94FC2D817791BC906C82F08CA989BA82B78EE18ED282BD82BF817882CC90AB8A C192A52E646F63>

サイコロジスト : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要 2018 年, 第 8 号, Psychologist, 2018, No.8, 投稿論文 21 大学生における適応感と内的作業モデルおよびタイプ A 行動特性の関連性 The Effects of Internal W

教育社会学会(180903d)

研究成果報告書(基金分)

(Microsoft Word - \222\206\220\354\221\361\227v\216|)

(2002a) (1) American Psychiatric Association, (1985) (1989) 1985 (1998) (1999a) (2) 1995 Grotevant, 1998 Leary, T

うどん屋巡りで授業遅刻

Change in Emotional Intelligence through the Process of Learning Autogenic Training Ryuichi Sase Abstract The purpose of this study was to examine the

Microsoft Word - 209J4009.doc

Jpn. J. Sch. Psy., 16(1) (2016)

@08470030ヨコ/篠塚・窪田 221号

KONNO PRINT

広島大学大学院心理臨床教育研究センター紀要第 16 巻 2017 大学生の対人ストレスにおけるコーピングスタイルと 友人に対する感情およびコーピング評価の関連 児玉なみ 1 内田利広 2 石田弓 1 The relationships between coping style, feelings f

小学生における基本的生活習慣が自己統制および向社会的行動に及ぼす影響 * ** * ** Effects of Basic Daily Habits in Elementary School Students on their Self-Control and Prosocial Behavior

Transcription:

豊田弘司 ( 奈良教育大学学校教育講座 ( 教育心理学 )) Relationships among Attachment Style, Emotional Intelligence and Self-Esteem 奈良教育大学教育実践開発研究センター研究紀要第 23 号抜刷 2014 年 3 月

豊田弘司 ( 奈良教育大学学校教育講座 ( 教育心理学 )) Relationships among Attachment Style, Emotional Intelligence and Self-Esteem Hiroshi TOYOTA (Department of Psychology, Nara University of Education) 要旨 : 大学生を対象として 愛着スタイル 情動知能 (EI) 及び自尊感情との関係を検討した 安定型得点はEIの3 つの尺度得点 ( 情動の表現と命名 (EL) 情動の認識と理解(PU) 及び情動の制御と調節 (MR)) 及び自尊感情得点と正の相関 両価型得点は負の相関関係が認められた 回避型得点はこれらの尺度得点と無相関であった また PU 及びMRは自尊感情得点との間に正の相関関係があった 回避型得点がEIの3つの尺度得点及び自尊感情得点と無相関であったので 回避傾向高群と低群におけるEIの尺度得点と自尊感情得点の関係を検討した結果 高群では MR 以外はEIの各尺度得点と自尊感情得点の間に正の相関がないが 低群ではすべてのEI 尺度得点と自尊感情得点に正の相関があった この結果は 高群では人との関わりを避けるのでEIによる自尊感情の違いは小さいが 低群ではその関わりが多いので EIの違いが自尊感情に反映されると解釈された キーワード : 愛着スタイル attachment style 情動知能 emotional intelligence 自尊感情 self-esteem 1. はじめに児童 生徒の学校適応において 自分の情動をコントロールする力は重要である 例えば 友人関係において攻撃衝動が喚起した場合でも その衝動を抑えることができれば 友人とのいさかいに発展することはない また 自分の情動や気持ちをうまく表現する能力も重要である 例えば 友人の行動によって不快感が喚起された場合に 自分のその不快感をうまく表現することによって 友人の行動が抑制されることも多い さらに 友人の気持ちや情動を理解できる能力も重要である 例えば 友人の気分が落ち込んでいるとわかれば 適切な言葉かけができ それが友人関係の発展へとつながるからである このように 学校適応に関しては 情動を処理する能力が重要な役割を持っている Salovey & Mayer(1990) は 情動を扱う個人の能力を情動知能 (Emotional Intelligence; EI) と呼んでいる Goleman(1995) は EIの水準が社会的成功を予言するという内容の著書を発表し それがベストセラーになることで注目され 数多くの研究がなされてきた (Mayer & Salovey, 1997; Schutte, Malouff, Hall, Haggerty, Cooper, Golden, & Dornheim, 1998; Matthews, Zeidner, & Roberts, 2002; Wong & Law, 2002; Zeidner, Matthews, & Roberts, 2009; Joseph & Newman, 2010) EIの影響はビジネスにおける成功に限定されるものではない 例えば Toyota, Morita & Takšié(2007) は 日本版 ESCQ(Emotional Skills & Competence Questionnaire; J-ESCQ) によってEI を測定し EIによって肯定的な適応の指標である自尊感情 (self-esteem) が促進されることを明らかにしている また Toyota(2011) は EIが自己肯定感を高めることも示している さらに 豊田らの一連の研究 ( 豊田 大賀 岡村, 2007; Toyota, 2008, 2009a) では 適応の否定的面である孤独感がEIによって抑制されることを見いだしている 小学生を対象にした研究 ( 豊田 李 山本, 2011; 豊田 吉田, 2012) でも EIが学校適応や学業成績を促進することが示されている 最近の研究 ( 豊田 照田, 2013) では ストレッサーがストレス反応に及ぼす効果がEIによって規定されることを明らかにしている すなわち EI 水準が高いと ストレッサーの認識が少なくなり ストレス反応も減少するのである このように EIは適応を促進する効果がある ただし EIが適応に及ぼす効果は 他の要因によって影響される可能性がある 例えば 豊田ら (2007) では 居場所を 安心できる人 と定義し ( 加藤, 1977) 孤独感との関係を検討した そして 安心できる人 が自分である者 ( 自分群 ) が 母親や友人である者 ( 母親 友人群 ) よりも孤独感が高いことを明 1

豊田 弘司 らかにしたが EIが高い者では自分群と母親及び友人群との孤独感の水準における違いはなかった この結果は EIが適応の指標である孤独感に及ぼす効果が居場所によって異なることを示している そして この居場所は 対人関係における随伴経験と非随伴経験量と関係している 随伴経験とは 相手に対する努力が 相手からの成果を伴う経験である 例えば 苦手な人に話しかけたら 仲良くなれたというような経験である 一方 非随伴経験とは 親切でした行動が 誤解されたという経験のように 努力が成果を伴わない経験である Toyota(2009b) は 居場所とこれらの経験の関係を検討した結果 自分群が母親群や友人群よりも随伴経験量が少なく 反対に非随伴経験量が多いことを示した この結果は 居場所が対人関係における経験によって規定されることを示している Bowlbyの一連の研究 (Bowlby, 1969, 1973, 1980, 1988) は 対人関係を規定する概念として 愛着スタイルを提唱している Bowlby(1973) によれば 人間の発達初期における愛着関係は 養育者の情緒的受容性や要求への反応性によって規定される それ故 ある特定の個人は養育者 ( 愛着対象 ) との継続的な相互作用を通してその関係や愛着対象に対する期待を抱き 自分自身に対する主観的な信念 表象を発達させていくことになる この主観的な信念 表象が内的な作業モデルである Ainsworth, Blehar, Waters & Wall(1978) は 幼児に母親と見知らぬ人との分離と再会を経験させ 幼児の反応における行動パターンを見いだした このパターンが愛着スタイルであり 安定型 (secure) 回避型 (avoidant) 及び両価型 (ambivalent) に分けられる そして この愛着スタイルは その後の対人関係に反映されるのである (Kobak & Sceery, 1988) 豊田 岡村(2007) は この愛着スタイルが適応に及ぼす効果を検討している そこでは 居場所が 自分 である場合には回避型傾向は自分に対する安心できる程度を高めるが 親 や 友人 である場合にはその程度を低めることが明らかにしている この結果は 居場所によって愛着スタイルが安心できる程度に及ぼす効果が異なることを示している それ故 安心できる程度を適応の指標とした場合には 愛着スタイルが適応に及ぼす効果に対して 居場所が調整変数として機能したことになる このように 居場所は EIや愛着スタイルが適応に及ぼす効果に対して調整変数として機能している可能性が指摘できる しかし EIが適応に及ぼす効果に対して 愛着スタイルが調整変数として機能する可能性はないのであろうか というのは 適応の指標である自尊感情を高めるEI 水準は 対人関係における随伴経験量によって規定されることが明らかにされており ( 豊田 島津, 2006) その対人関係には愛着スタイルの影響が反映されているからである 対人関係に おいて積極的であり 他者との関わりをもつ者はEI 水準が自尊感情に反映されるが 他者との関わりを持たない者はEIの水準が自尊感情に反映されないと考えられる 愛着スタイルにおける回避傾向の高い者は対人関係を避ける傾向があるので EIの適応に対する効果は認められないと予想できる ただし この予想を検討する前に 愛着スタイルが自尊感情を直接規定するか否かを検討する必要がある すなわち 安定 回避及び両価の水準によって自尊感情が異なるのであれば 愛着スタイルが自尊感情に直接影響する要因となる 愛着スタイルが調整変数として機能している可能性を検討するとともに 直接的な影響を検討することは重要である そこで 本研究の第 1の目的は 愛着スタイル EI 及び自尊感情の関係を検討することである この第 1の目的によって 愛着スタイルの安定 両価及び回避のうち 自尊感情に直接影響する愛着スタイルを特定できる 上述したように 安定及び両価傾向は 対人関係を志向しているが 回避傾向はそれを避けるものである それ故 回避傾向高群と低群におけるEIと自尊感情の関係を検討した場合 以下のように予想できる すなわち 回避傾向高群はEIによる自尊感情の違いは小さいが (EIと自尊感情の相関は低い) 回避傾向低群ではEIによる自尊感情の違いは大きいであろう (EI と自尊感情の相関が高い ) この予想を検討するのが本研究の第 2の目的である 2. 方法 2.1.1. 調査対象教員養成大学の大学生 123 名 ( 男性 62 名 女性 61 名 ) であり 平均年齢は18 歳 8か月 (18 歳 2か月 23 歳 1か月 ) であった 2.1.2. 調査内容 J-ESCQ Toyota, Morita & Takšié(2007) による J-ESCQを用いた この尺度は 情動の表現と命名 (EL) ( 例 私は 自分がどのように感じているかを表現することができる ) 情動の認識と理解(PU)( 例 私は 誰かが罪悪感を感じている時には それに気づく ) 及び情動の制御と調節 (MR)( 例 私は 不快な感情をおさえて 良い感情を強めようとしている ) という3つの下位尺度に8 項目ずつ計 24 項目から構成されている 回答は いつもそうである (5) だいたいそうである (4) 時々そうである(3) めったにそうでない (2) 決してそうでない(1) の5 件法である 内的作業モデル尺度愛着スタイルを測定するために 戸田 (1988) によって開発された尺度である 安定 ( 例 私は知り合いができやすい方だ ) 両価( 例 人 2

EI Table 1 愛着スタイル EI 及び自尊感情の関係 (r)( 右上欄には男子 左下欄には女子 ) EI 安定型回避型両価型 EL PU MR EI 合計自尊感情安定型 -.25* -.38**.38**.40**.37**.54**.58** 回避型 -.38*.02 -.28* -.04 -.18 -.23.01 両価型 -.31*.29* -.19 -.20 -.17 -.26* -.69** EL.14.27*.04.76**.62**.77**.09 PU.52** -.01 -.26*.31*.21.76**.38** MR.18.04 -.32*.31*.26*.62**.35** EI 合計.39**.15 -.23.77**.72**.69**.33** 自尊感情.45** -.01 -.63**.08.30*.25*.43** *p <.05 **p <.01 Table 2 各尺度間の関係 (r)( 男女込み ) 安定 回避 両価 自尊感情 EL.27** -.05 -.09.16 PU.45** -.03 -.22*.33** MR.29** -.09 -.24**.34** 自尊感情.55** -.04 -.67** - *p <.05 **p <.01 は本当はいやいやながら私と親しくしてくれているのではないかと思うことがある ) 及び回避尺度 ( 例 人に頼るのは好きでない ) が各 6 項目ずつの計 18 項目からなっている 回答は 非常によくあてはまる (6) あてはまる(5) ややあてはまる(4) あまりあてはまらない (3) あてはまらない(2) 全くあてはまらない (1) の6 件法が用いられている 自尊感情尺度自尊感情を測定するために 山本 松井 山成 (1982) による尺度を用いた この尺度は 10 項目 ( 例 少なくとも人並みには 価値ある人間である 敗北者だと思うことがよくある ( 逆転項目 ) ) で構成され 評定は あてはまらない (1) ややあてはまらない (2) どちらでもない(3) ややあてはまる (4) あてはまる(5) の5 件法であった 2.1.3. 調査手続 調査対象者の所属する大学において著者の授業が終 了後 3 週にわたって 集団調査を実施した 第 1 週は J-ESCQ 第 2 週は 内的作業モデル尺度 そして第 3 週は自尊感情尺度を実施した 実施後 参加者に採点をしてもらい 各尺度の得点を算出してもらって 解説を行った その後 提出したくない場合は提出しなくていいこと 個人名は決して公表されないこと及び集計データは研究目的で公表されることがあることを説明し 回収を依頼したところ 全員が提出を了承してくれた 調査時間は10 分以内であった 3. 結果 3.1. 愛着スタイル EI 及び自尊感情の関係 Table 1には 男女別に 愛着スタイルの各型の得点 自尊感情尺度得点及びJ-ESCQの下位尺度の各得点の相関係数 (r) が示されている 男子では 安定 型得点とEIの下位尺度得点との間にはすべて正の相関があり 反対に 両価型得点は有意ではないが負の相関があった 女子では ELとMRとの間は有意でないが 他の相関は安定得点と正の相関がみられる また 両価型得点はELとの相関は無相関であるが 他の下位尺度とは有意でないものの負の相関が得られている 本研究の目的は 性差を検討することではないので 男女込みにして 各尺度間の相関係数を算出した その結果が Table 2に示されている Table 2を縦にみていくと 安定得点は EIの各尺度及び自尊感情尺度得点との間に一貫して正の相関がある その反対に 両価得点はELとの間の無相関を除いて一貫して負の相関が見られた また 回避得点は一貫して無相関であった 次に 右端のEIの各尺度得点と自尊感情得点との相関では ELは有意でないが PUと MRは有意な正の相関が見られた 3.2. 回避傾向による E I と自尊感情の関係 Table 2 に示されているように 安定 回避及び両 価尺度の各得点と自尊感情得点の相関係数 (r) を算出した結果 安定型得点 (r=.55) 及び両価型得点 (r=-.67) との間には有意な相関があった しかし 回避型得点と自尊感情得点間に有意な相関係数は得られなかった (r=-.04) 第 2の目的を検討するために 男女込みにして回避得点によって折半し 回避傾向高群 (M=20.64, SD=2.80) と低群 (M=13.34, SD=2.91) に分け 群ごとに自尊感情尺度得点とEIの各下位尺度得点との相関係数を算出した その結果が Table 3に示されている 回避型傾向高群では自尊感情とEL 及びPU 間は相関が低かったが (r=-.05,.19) 低群では実質的な正の相関があった (r=.35,.46) 相関係数の有意差検定を行ったところ EL 得点と自尊感情得点間のrについては 回避傾向高群と低群間に5% 水準で有意差があり PU 得点と自尊感情得点間のrでは 両群間の差は有意傾向であった また EI 合計得点と自尊感情得点間のrに関しても 両群間の差は有意傾向であった ただし MR 得点と自尊感情得点間には両群ともに実質的な相関が認められ 両群間のrの有意差はなかった (r=.36,.32) 3

豊田 弘司 Table 3 回避傾向によるEI 尺度と自尊感情の関係 (r) 群 回避傾向高 回避傾向低 n=58( 男 31 女 27) n=65( 男 31 女 34) 尺度 M SD r M SD r EL 26.10 4.99 -.05 25.89 4.64.35** PU 24.67 4.75.19 24.71 4.46.46** MR 27.50 3.72.36** 28.71 4.32.32* EI 合計 78.28 9.03.22 79.31 10.35.49** *p<.05 **p<.01 Table 4 安定傾向によるEI 尺度と自尊感情の関係 (r) 群 安定傾向高 安定傾向低 n=63( 男 36 女 27) n=60( 男 26 女 34) 尺度 M SD r M SD r EL 27.13 4.28.21 24.80 5.04.06 PU 26.62 3.88.13 22.67 4.43.26* MR 29.21 3.95.23 27.02 3.94 -.00 EI 合計 82.95 7.99.30* 74.48 9.57.15 *p<.05 Table 5 両価傾向によるEI 尺度と自尊感情の関係 (r) 群 両価傾向高 両価傾向低 n=63( 男 28 女 35) n=60( 男 34 女 26) 尺度 M SD r M SD r EL 25.63 5.06.03 26.37 4.50.28* PU 24.21 4.44.34** 25.20 4.71.32* MR 27.37 4.21.25* 28.95 3.80.31* EI 合計 77.21 9.71.28* 80.52 9.53.41** *p<.05 **p<.01 3.3. 安定傾向による EI と自尊感情の関係 Table 2 に示したように 安定と両価型得点は直接 的に自尊感情に影響する要因であった しかし これらの2つの傾向が回避傾向と同じように EIが自尊感情に及ぼす効果を調整する変数として機能している可能性もある そこで 回避傾向による分析と同じように 安定傾向高群 (M=24.81, SD=3.25) と低群 (M=16.85, SD=2.88) に分け 群ごとに自尊感情尺度得点とEIの各下位尺度得点との相関係数を算出した その結果が Table 4に示されている どの相関係数にも両群間の有意差はなかった 4.1.1. 愛着スタイルと EIの関係安定型傾向は EIの各尺度と正の相関があり 安定型傾向が高ければEIが高いことが明らかになった 安定型は対人関係における良好な態度を反映している EIの各尺度においても対人関係における良好な情動処理の状態を反映しているので 両者の間の関係は理解できよう 一方 両価型傾向は EL 尺度得点とは有意でなかったが EIの各尺度と負の相関が認められた 両価型傾向は 他者の心情に両面性を認識した対人的態度であるので 消極的な姿勢を反映している EIの各尺度は相対的には積極的な情動処理状態を反映しているので この両者の関係が逆になることは予想できる しかし 強い負の相関が認められなかったのは 他者に対して全面的に否定的な姿勢ではないことが反映されているといえよう 上述した安定でも 両価でも対人的態度としては人を拒否していないという点で共通している それに対して 回避型については 対人関係を拒否した態度とみなすことができる 対人関係を拒否しているので そのような態度を継続すれば 他者との交流において情動を処理する機会が少なくなる それ故 EIとは相関がないという結果はうなづける 人と関わってこそ EIとの関連性が見いだせるようになるのである 発達的にいえば 愛着スタイルが形成され その後 EIが形成されると考えられる したがって 愛着スタイルの育成はEIの形成によって重要な要因であるといえよう 愛着スタイルは対人的態度の個人差としてとらえることができるが 内的他者意識は この対人的態度にあたる 内的他者意識とは 相手の心情等 内面情報を理解しようとする意識や関心をさす 豊田 森田 岡村 稲森 (2008) は この内的他者意識が PUと関連のあることを示している この結果は 他人の情動を知ろうとする姿勢はEIを高める可能性を示唆している EIの育成は重要な課題であるが 本研究で明らかになった愛着スタイルや内的他者意識等の対人的態度を通して EIが高まる可能性のあることが示唆される 3.4. 両価傾向による EIと自尊感情の関係両価傾向高群 (M=25.52, SD=3.06) と低群 (M=17.57, SD=2.54) に分け 群ごとに自尊感情尺度得点とEIの各下位尺度得点との相関係数を算出した その結果が Table 5に示されている どの相関係数においても両群間に有意差はなかった 4. 考察 4.1. 愛着スタイル EI 及び自尊感情の関係本研究の第 1の目的は 愛着スタイル EI 及び自尊感情の関係を検討することであった 4.1.2. 愛着スタイルと自尊感情の関係愛着スタイルと自尊感情の関係については 安定型得点と自尊感情得点が正の相関 両価型得点が自尊感情得点と負の相関を見いだしている また 回避型得点との相関は 無相関であった これらの結果は 対人的態度が自尊感情に大きな影響をもつことを示している 先行研究 ( 豊田, 2006; 豊田 島津, 2006) は 対人関係における随伴経験が自己効力感や自尊感情を高めることを明らかにしている 安定型の者はこの随伴経験が多く 反対に 両価型の者は 非随伴経験 ( 人に対する努力が成果とならない経験 例 自分は信用していたのに 友人が自分を信用してくれなかった ) 4

が多いと考えられる 本研究では随伴経験及び非随伴経験量を測定していないが 今後 これらの経験量との関係を検討する必要がある 4.1.3.EIと自尊感情の関係 EI 尺度の内 ELと自尊感情得点間の相関は有意でないが PU 及びMRと自尊感情得点間には正の有意な相関が認められた この結果は Toyota et al.(2007) と一致しており EIの高い者は自尊感情も高いことが追証されたのである EIの高い者は 対人関係における情動処理が適切に行われるので 対人関係における随伴経験量が多くなり その結果 自尊感情も高まるのであろう Toyota et al.(2007) では EIは Big five 性格尺度における神経質傾向と負の相関 外向性及び開放性と正の相関が得られている EIが高い者は情緒が安定し 明るく 対人関係に積極的である傾向がうかがえる したがって EIの高い者のこのような性格傾向が対人関係における随伴経験を促進しているのかもしれない 今後の課題としては 性格特性と随伴経験量の関係も検討する必要がある すなわち 随伴経験量が多い人の性格特性を明らかにすることで 随伴経験量を高め さらに自尊感情を向上させる方向性が明らかになるかもしれない 4.2. 回避傾向によるEIと自尊感情の関係回避傾向高群は人との関わりを避けるのでEIと自尊感情の相関は低いが 回避傾向低群では人との関わりが多いので EIと自尊感情の相関が高いと予想し この予想を検討するのが 本研究の第 2の目的であった 両群におけるEIと自尊感情の相関の結果は予想と一致するものであった すなわち 回避傾向高群では MRのみが自尊感情との間に正の相関があり EL PU 及びEI 合計得点ともに自尊感情得点との相関は有意でなかった 一方 回避傾向低群では EL PU MR 及びEI 合計得点がすべて自尊感情得点と有意な正の相関を示したのである これらの結果は 回避型傾向がEI(ELとPU) の自尊感情に及ぼす効果に調整変数として機能していることを示している なお 安定傾向及び両価傾向に関しても 回避傾向と同じく EI が自尊感情に及ぼす効果を調整する変数となる可能性を検討した しかし 安定傾向高群と低群間 両価傾向高群と低群間にどの相関係数においても有意差がなく 愛着スタイルにおいては 回避傾向のみが調整変数として機能することが明らかになったのである 本研究では随伴経験の指標を設けていないが 対人関係における随伴経験が自尊感情を高めることが知られている ( 豊田, 2006; 豊田 島津, 2006) これを考慮すると 回避傾向高群は人との関わりをもたない可能性が高いので ELやPUの能力を発揮して他者との関係における随伴経験を得た結果 自尊感情が高まる 可能性は少ない しかし 回避傾向低群では他者との関係においてこれらの能力を駆使して随伴経験を得ているので その結果 自尊感情が高まる可能性が高いといえよう 特に ELは全体的に男女ともに自尊感情に影響しないので 回避型傾向の影響がPUよりも大きいといえよう 5. 引用文献 Ainsworth, M. D. S., Blehar, M. S., & Waters, E., & Wall, S. 1978 Patterns of attachment: Apsychological study of the Strange Situation. Hillsdale, New Jersey:Lawrence Erlbaum. Bowlby, J. 1969 Attachment and Loss, Vol. 1: Attachment, New York: Basic Books. Bowlby, J. 1973 Attachment and Loss, Vol.2: Separa- tion Anxiety and Anger, New York: Basic Books. Bowlby, J. 1980 Attachment and Loss, Vol. 3: Loss, New York: Basic Books. Bowlby, J. 1988 A Secure Base Parent-Child Attachmentand Healthy Human Development, New York: Basic Books. Goleman, D. 1995 Emotional intelligence. New York: Bantam Books. ( 土屋京子訳 1996 EQ: こころの知能指数 講談社 ) Joseph, D. L. & Newman, D. A. 2010 Emotional intelligence: An integrative meta-analysis and cascading model. Journal of Applied Psychology, 95, 54-78. 加藤隆勝 1977 青年期における自己意識の構造心理学モノグラフ No.14 東京大学出版会 Kobak, R. R. & Sceery, A. 1988 Attachment in late adolescence: working models, affect regulation, and representations of self and others. Child Development, 59, 135-146. 牧郁子 関口由香 山田幸恵 根建金男 2003 主観的随伴経験が中学生の無気力感に及ぼす影響 教育心理学研究, 51, 298-307. Matthews, G., Zeidner, M., & Roberts, R. D. 2002 Emotional intelligence: Science and myth. Cambrige, MA: MIT Press. Mayer, J. D., & Salovey, P. 1997 What is emotional intelligence? In P. Salovery & D. Sluyter(Eds.), Emotional development and emotional intelligence: Educational implications. Pp.3-34. New York: Basic Book. Salovey, P., & Mayer, J. D. 1990 Emotional intelligence. Imagination, Cognition and Personality, 9, 185-211. Schutte, N. S., Malouff, J. M., Hall, L. E., Haggerty, D.J.,Cooper, J. T., Golden, C. J., & Dornheim, L. 1998 Development and validation of a measure of emotional intelligence. Personality and Individual Differences, 25, 5

豊田 弘司 167-177. 戸田弘二 1988 青年期後期における基本的対人態度と愛着スタイル : 作業仮説 (working models) からの検討日本心理学会第 52 回大会発表論文集, 27. 豊田弘司 2006 大学生の自尊感情と自己効力感に及ぼす随伴 非随伴経験の効果奈良教育大学教育実践総合センター研究紀要, 15, 7-10. Toyota, H. 2008 Interpersonal communication, emotional intelligence, locus of control and loneliness in Japanese undergraduates. In J.Van Rij-Heyligers (Ed.), Intercultural Communications across University Settings-Myths and Realities. Refereed Proceedings of the 6th Communication Skills in University Education Conference. (pp. 42-54). New Zealand: Pearson Education Toyota, H. 2009a The person who eases your mind "Ibasyo" and emotional intelligence in interpersonal adaptation. Horizons of Psychology, 18, 23-34. Toyota, H. 2009b Ibasyo (person who eases one's mind) and adaptation. Presented at Cognition symposium: Mind, brain and language. International Conference on Asia- Pacific Psychology. Yonsei University Soul Korea. Toyota, H. 2011 Differences in relationship between emotional intelligence and self-acceptance as function of gender and ibasho (a person who eases the mind) of Japanese undergraduates. Psychological Topics, 20, 449-459. Toyota, H., Morita, T., & Takšié, V. 2007 Development of a Japanese version of the Emotional Skills and Competence Questionnaire. Perceptual and Motor Skills, 105, 469-476. 豊田弘司 森田泰介 岡村季光 稲森涼子 2008 大学生における他者意識と情動知能の関係奈良教育大学教育実践総合センター研究紀要, 17, 29-34. 豊田弘司 岡村季光 2007 居場所 ( 安心できる人 ) を規定する要因 : 内的作業モデルによる検討日本教育心理学会第 49 回総会発表論文集, 126. 豊田弘司 大賀香織 岡村季光 2007 居場所 ( 安心できる人 ) と情動知能が孤独感に及ぼす効果奈良教育大学紀要, 56, 41-45. 豊田弘司 島津美野 2006 主観的随伴経験と情動知能が感情に及ぼ影響奈良教育大学紀要, 55, 27-34. 豊田弘司 照田恵理 2013 大学生におけるストレッサー ストレス反応及び情動知能の関係奈良教育大学紀要, 62, 41-48. 豊田弘司 李玉然 山本晃輔 2011 日本と中国の子どもにおける学習習慣と情動知能に関する比較研究奈良教育大学教育実践開発研究センター研究紀要, 20, 13-18. 豊田弘司 吉田真由美 2012 子どもにおける居場所 情動知能及び学校適応奈良教育大学教育実践開発研究センター研究紀要, 21, 9-17. 山本真理子 松井豊 山成由起子 1982 認知された自己の諸側面の構造教育心理学研究, 30, 64-69. Wong, C. S., & Law, K. S. 2002 The effects of leader and follower emotinal intelligence on performance and attitude: An exploratory study. The leadership Quarterly, 13, 243-274. Zeidner, M., Matthews, G., & Roberts, R. D. 2009 What we know about emotional intelligence : How it affects learning, work, relationships, and our mental health. Cambrige, MA: MIT Press. 6