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世界最高面密度の量子ドットの自己形成に成功

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互作用によって強磁性が誘起されるとともに 半導体中の上向きスピンをもつ電子と下向きスピンをもつ電子のエネルギー帯が大きく分裂することが期待されます しかし 実際にはこれまで電子のエネルギー帯のスピン分裂が実測された強磁性半導体は非常に稀で II-VI 族である (Cd,Mn)Te において極低温 (

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論文の内容の要旨

局在とランダムレーザーの関係を明らかにした また 太陽電池材料として注目を集めている有機無機ハイブリッドペロブスカイト構造に関しても 光励起キャリアが励起子を形成することを明らかにした 10. 課題となった点 研究プロジェクトにより課題となった点は以下のとおりである (a) GaN ナノコラム光デバ

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がら この巨大な熱電効果の起源は分かっておらず 熱電性能のさらなる向上に向けた設計指針 は得られていませんでした 今回 本研究グループは FeSb2 の超高純度単結晶を育成し その 結晶サイズを大きくすることで 実際に熱電効果が巨大化すること またその起源が結晶格子の振動 ( フォノン 注 2) と

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平成 28 年 10 月 25 日 報道機関各位 東北大学大学院工学研究科 熱ふく射スペクトル制御に基づく高効率な太陽熱光起電力発電システムを開発 世界トップレベルの発電効率を達成 概要 東北大学大学院工学研究科の湯上浩雄 ( 機械機能創成専攻教授 ) 清水信 ( 同専攻助教 ) および小桧山朝華

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研究の背景有機薄膜太陽電池は フレキシブル 低コストで環境に優しいことから 次世代太陽電池として着目されています 最近では エネルギー変換効率が % を超える報告もあり 実用化が期待されています 有機薄膜太陽電池デバイスの内部では 図 に示すように (I) 励起子の生成 (II) 分子界面での電荷生


特長 01 裏面入射型 S12362/S12363 シリーズは 裏面入射型構造を採用したフォトダイオードアレイです 構造上デリケートなボンディングワイヤを使用せず フォトダイオードアレイの出力端子と基板電極をバンプボンディングによって直接接続しています これによって 基板の配線は基板内部に納められて

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ナノテク新素材の至高の目標 ~ グラフェンの従兄弟 プランベン の発見に成功!~ この度 名古屋大学大学院工学研究科の柚原淳司准教授 賀邦傑 (M2) 松波 紀明非常勤研究員らは エクス - マルセイユ大学 ( 仏 ) のギー ルレイ名誉教授らとの 日仏国際共同研究で ナノマテリアルの新素材として注

背景 現代社会を支えるコンピューティングや光通信では, 情報の担い手として, 電子の電荷と, その電荷を変換して生成した光 ( 光電変換 ) を利用しています このような通常の情報処理に用いる電荷以外に, 電子にはスピンという状態があります このスピンの集団は磁石の性質を持ち, 情報の保持に電力が不

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図 8.1 カーボンナノチューブの立体構造 (a) アームチェア型 (b) ジグザグ型 (c) カイラル型 ナノチューブの端にはキャップがついている 円筒部は (n,m) の 2 つの整数で表示 ラマン分光 (Ⅰ) ラマン分光の概要ラマン分光は 光の非弾性散乱である 散乱光のエネルギーは

酸化グラフェンのバンドギャップをその場で自在に制御

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本発明の概要 Detector Electrochemical instrumentation counter electrode reference electrode Y Y Glucose + O 2 Gluconolactone + H 2 O 2 電気化学反応 ( 電流 ) 0 elect

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機械学習により熱電変換性能を最大にするナノ構造の設計を実現

遠くの音をクリアに収音できるズームアップマイク マイクロホン通信放送高臨場感 ズームアップマイクは カメラで遠方を撮像するように 遠方の音をズームアップして収音する技術です 多数のマイクロホンの近傍に三次元構造の反射板を設置し 空間に散乱した音エネルギーを集めることで 遠くの狙った音だけを収音するこ

平成 28 年 12 月 1 日 報道機関各位 国立大学法人東北大学大学院工学研究科 マンガンケイ化物系熱電変換材料で従来比約 2 倍の出力因子を実現 300~700 の未利用熱エネルギー有効利用に期待 概要 東北大学大学院工学研究科の宮﨑讓 ( 応用物理学専攻教授 ) 濱田陽紀 ( 同専攻博士前期

Transcription:

1 マイクロワット閾値を持つ シリコンラマンレーザー 大阪府立大学大学院 工学研究科 電子物理工学分野准教授 高橋 和

発明の概要 世界最高 Q 値を達成しているヘテロ構造ナノ共振器を用いて マイクロワット閾値をもつシリコンラマンレーザーを作製した レーザー素子は シリコン (001) 基板に穴をあけるだけで作製でき 素子サイズは 10 ミクロン程度である 従来の結晶方向から 45 度傾けてデバイスを作製 Nature 498, 470 (2013). 2

海外でも詳しく報道 これらの記事の著作権は朝日新聞 科学新聞 日刊工業新聞 化学工業日報に帰属する また 記事の掲載は転載許可を受けたものである 3

研究の背景 半導体レーザや LED の利用により暮らしが豊かに 電子デバイスに比べて 光の利用方法は単純デバイスサイズが大きい 類はまだまだ光を使いこなせていない 巧みな光制御 フォトニック結晶に期待 小型化

フォトニック結晶を簡単に言うと 均一な物質のとき いろいろな波長の光が伝搬できる 光の波動性 周期的な物質のとき ( フォトニック結晶 ) 特定の波長の光が伝搬できなくなる

フォトニック結晶導波路と高 Q 値ナノ共振器 空気孔を周期的に配列 High Q ナノ共振器光閉じ込め at 1550 nm 240 nm 410 nm 小型 巧みな光制御 低損失導波路光導波 from 1500 ~ 1600 nm 導波路とナノ共振器を組み合わせて光デバイスを構成

2 次元フォトニック結晶の作製方法 光リソグラフィーでも作製可能となってきている 表面洗浄 レジスト塗布 電子線描画 有機物微粒子 現像 ICP エッチング 表面洗浄 基板研磨 アンダーカットフッ酸 Si 測定チップ SiO 2 Si

高 Q 値ナノ共振器の応用 様々な応用を目指して活発に研究 光チップ 光回路 ナノレーザー 単一光子光源 光メモリ スローライト バイオセンシング 量子コンピューター 2 1 Nature 445, 896 (2007) g Nature Physics 6, 279 (2010) 既存の光デバイスを数桁小さくできる新しい原理に基づく光デバイスを開発可能 Science 300, 1537 (2003) 全ての応用において高 Q 値 微小体積が鍵となる

100 GHz グリッド間隔波長フィルター 波 1530 1550 nm Q: 3 万 [-110] WDM に対応 [110] 共振器アレイ, 波 間隔 0.8 nm 導波路端 導波路 200 m 動画は以下のサイトで られます http://www.opticsinfobase.org/oe/abstract.cfm?uri=oe-22-4-4692 Optics Express 22, 4692 (2014).

最高 Q 値の更新 2003 シフト L3 共振器で 4.5 万 Y. Akahane, et. al., Nature 425, 944 (2003). 2005 ヘテロ共振器で 60 万 B. S. Song, et. al., Nature Mater. 4, 207 (2005). Shift L3 cavity Hetero nanocavity 2011 マルチヘテロ共振器で 390 万 Y. Taguchi, et. al., Opt. Express, (2011). 2014 表面の水吸収を除去して 900 万 H. Sekoguchi, et. al., Optics Express 22, 916 (2014). 世界中で Q 値 1 万程度のナノ共振器を用いて様々な研究 我々は Q 値 900 万のシリコンナノ共振器を開発 何かすごいデバイスを作りたい 実用化へ

3 半導体レーザーの問題点 なぜシリコンレーザーか 便利な半導体レーザーだがシリコンとの相性が悪いためシリコンチップに組み込むことが難しい 4 5 ほぼ全ての半導体レーザーは3-5 族 (13-15 族 ) の6つの元素から作られている 例 )GaAs, AlGaAs, InGaN, GaN, InGaP, InGaAsP 4 族 (14 族 ) の元素は物理的にレーザーが困難 シリコンは半導体産業の中心 産業のコメ資源量が豊富 安全な元素 成熟した技術 シリコンは光デバイスとしても有用となりつつある 一家に 1 枚周期表より シリコンで実用的なレーザーが実現すれば半導体産業のロードマップが書き換わるかも 11

なぜシリコンでレーザーが作れないか シリコンは間接遷移型半導体伝導バンドに励起された電子は エネルギーを 光 ではなく 熱 として放出する エネルギーバンドギャップ シリコンのバンド図 伝導バンドの電子はバンドギャップ分のエネルギーを放出して安定な価電子帯に戻りたい 伝導バンドに電子を励起する方法は何でも良い 光励起が最も簡単 ガリウムヒ素などのバンド図 発光強度に 1 万倍の差 伝導バンドの底 と 価電子バンドの頂上 の運動量が一致していないため バンド間遷移発光は 運動量の保存則 に違反する 直接遷移型半導体のバンド間遷移発光では 運動量の保存則 が初めから成立しているので良く光る シリコンを光らせようとすることは物理法則への挑戦シリコンでもレーザー発振が可能となる物理現象が必要不可欠

ラマン散乱とラマンレーザー ラマン散乱を用いてシリコンレーザーを作る試みが 2002 年にアメリカで提案 2005 年インテル社が室温連続発振に成功 唯一のシリコンレーザー 1928 年実験中にラマン散乱を発見 1930 年ノーベル物理学賞を受賞 ( 非欧米人で初 ) C. V. Raman ( インド ) 透明な物質に光を入射すると結晶の熱振動 ( フォノン ) を介して新たな波長の光が少しだけ生じる 携帯型ラマン分光器 ( 爆弾 危険物 ガス検査 ) リガク HP より

ラマンレーザー 誘導ラマン散乱は光利得を持つのでレーザー発振が可能 光通信用ファイバーラマン増幅器 日本レーザー HP より 住友電工 HP より シリコンはラマン係数がとても大きい 光通信波長で透明光を強く閉じ込めるための微細加工が容易

ナノ共振器ラマンレーザー 閾値1 W で連続発振 1430 nm 励起レーザー (001) SOI 基板を使用 ラマンレーザー ナノ共振器 5 m Y. Takahashi, et. al., Nature 498, 470 (2013). ラマンレーザー 1550 nm

デバイス原理 16

17 新技術の特徴 従来技術との比較 比較項目 1 従来技術 シリコン基板上への 3-5 族化合物半導体レーザーの貼り付け 世界中で盛んに研究されている 本発明シリコンのみでレーザー発振が可能 レーザー光の波長が可変 作製コストが数桁低い 資源量の不安がない 比較項目 2 インテルによるリング共振器を用いたシリコンラマンレーザー サイズが 1 センチメートル 閾値が 20 ミリワット P-i-N 構造が必要 サイズが1 万分の1 閾値は2 万分の1 P-i-N 構造が不要なため作製コストが 1 桁は低い 比較項目 3 歪みゲルマニウムドットや不純物ドーピングをシリコンに施したシリコンレーザー 安定した室温連続発振に課題 シリコンのみでレーザー発振が可能なため作製コストが低く 信頼性が高い 安定して室温連続発振

インテルのラマンレーザーチップ 8 個のっている 1/10,000 以下のサイズ 1/20,000 以下の閾値 我々のラマンレーザチップここに数百個載せられる インテル HP より ラマンレーザーは光励起型 電流注入レーザーも期待 今後 電流注入レーザーの開発に挑戦したい

現状の発振性能 Raman output power (nw) 閾値 : 0.52 W 最 エネルギー効率 :19 % 最 出 : 365 nw 閾値 : 1 W 最大エネルギー効率 : 4 % 最大出力 : 120 nw Pump power (uw)

今後の方向性 CWDM 通信に向けた 3 波長レーザ

21 実用化に向けた課題 現状のシリコンラマンレーザは光励起型 電流励起型でなければ応用が極端に狭まる 電流注入レーザーの開発が最大の課題 出力 10 マイクロワットはないとセンサー応用も厳しい 高出力化が課題

22 企業への期待 本発明を用いたシリコンレーザ開発と光配線の推進 高 Q 値ナノ共振器を用いた新たな応用に関する共同研究 中赤外シリコンフォトニクス研究に関する共同研究

23 本技術に関する知的財産権 発明の名称ラマン散乱光増強デバイス ラマン散乱光増強デバイスの製造方法ならびに ラマン散乱光増強デバイスを用いたラマンレーザー光源 日本特許第 5401635 号 国際出願 PCT/JP2013/056523( 平成 25 年 3 月 8 日 ) 米国登録番号 9097847 発明者 : 高橋和 乾善貴 野田進 浅野卓 千原賢大 出願人 : JST(100%) 技術の詳細は 応用物理 2014 年 6 月号 固体物理 2014 年 8 月号を参照

24 お問い合わせ先 大阪府立大学コーディネーター 赤木与志郎 TEL 072-254-9128 e-mail akagi@iao.osakafu-u.ac.jp