第 5 章航空保安施設等計画 1 航空保安施設について岩国飛行場の航空保安業務は米軍が行っており そのため 米軍の運用上必要な航空 保安施設 ( 飛行場標識は航空法上 航空保安施設には含まれないが パイロットにとっては航行の安全上重要な役割をはたす施設であり 航空保安施設として整理 ) についても米軍が整備されるものと考えられる このことから民間航空機が運航に利用する航空保安施設については民間航空機専用のものを除き 滑走路沖合移設事業等により整備される施設を利用することとなる 日本国内の軍民共用飛行場においては 軍用機も使用するという特殊性から 一般に航空局が管理する飛行場に設置されている航空保安施設とは若干内容が異なる 岩国飛行場においても 他の軍民共用飛行場と同様の航空保安施設が設置されるよう 国に要請しているところである このため 具体的な配置計画を示すことはできないが 航空保安施設の一般的な配置例を図 5-1-1 に示し その施設の役割等について参考に示した ASR 滑走路末端識別灯 LLZ( ローカライサ ー ) 滑走路中央標識 誘導路 VORTAC 風向灯 滑走路中心線標識 PAR 滑走路灯滑走路縁標識走 滑 エプロエプロン灯ン ターミナルビル 滑走路距離灯 路 誘導路中心線標識 進入角指示灯 (PAPI) 指示標識 02 接地帯標識 T-DME GS( ク ライト スローフ ) 飛行場灯台 滑走路末端補助灯 滑走路末端灯 過走帯標識 過走帯灯 誘導路灯 誘導路縁標識停止位置標識 進入灯 滑走路末端標識 連鎖式閃光灯 図 5-1-1 飛行場の航空保安施設の配置例 88
(1) 航空保安無線施設電波により航空機の航行を援助するための施設 ア VORTAC(VOR/TACAN) VOR は民航機が方位情報を得るために必要な施設であり TACAN( タカン ) は軍用機に対して方位情報と距離情報 民航機に対して距離情報を得るために必要な施設で 両者を併設して VORTAC( ボルタック ) とすることで民航機と軍用機の双方が利用できる イ ILS( 計器着陸装置 ) 最終進入中の航空機に滑走路に対する正確な進入経路 ( 方向と降下経路 ) を示す施設である 航空機が夜間 悪天時等でも安全に着陸できるよう電波を発射し 滑走路へ導く装置である ( ア )LLZ( ローカライザー ) 滑走路中心線への誘導コースを示す電波を発射する無線施設 ( イ )GS( グライドスロープ ) GSは 航空機が滑走路へ適正な進入角度で進入できるよう誘導する電波を発射する無線施設 ( ウ )T-DME( 距離測定装置 ) 航空機が滑走路 ( 着陸地点 : タッチダウンポイント ) から何マイル離れているかを知るための電波を発射する無線施設 ローカライザー グライドスロープ T-DME ウ ASR( 空港監視レーダー ) 航空機の出発 / 進入管制に使用するために空港に設置されるレーダーで半径約 60 マイルの空港周辺をカバーすることが出来る 89
エ PAR( 精測進入レーダー ) 管制官がレーダーを見ながら 航空機を 3 次元的に滑走路の接地点へ誘導する着陸援助施設である 主に軍用機が利用する (2) 航空灯火灯火により航空機の航行を援助するための航空保安施設 ア飛行場灯台 (ABN) 航行中の航空機に飛行場の位置を示すための灯火 航空白と航空緑の閃交光 イ滑走路灯 (REDL) 離陸し または着陸しようとする航空機に滑走路を示すための灯火で計器着陸用滑走路には高光度式滑走路灯が設置される 灯火は 航空可変白の不動光である ただし 着陸しようとする航空機から見て 滑走路終端から 600m は注意を喚起するため航空黄となっている 滑走路灯 滑走路縁標識 誘導路縁標識 ウ滑走路末端灯 (RTHL) 離陸し または着陸しようとする航空機に滑走路末端を示す灯火で 計器着陸用滑走路には高光度式滑走路末端灯が設置されている 灯光は 着陸しようとする航空機から見て 滑走路進入端を示すものは航空緑 滑走路終端を示すものは航空赤の不動光である 90
エ 滑走路末端補助灯 WBAR 滑走路末端灯の機能を補助する灯火で 精密進入を 行う計器着陸用滑走路には高光度式滑走路末端灯と組 誘導路灯 み合わせて設置される 灯光は航空緑の不動光である 滑走路末端補助灯 オ 滑走路末端識別灯 RWYTIL 着陸しようとする航空機に滑走路末端の位置を示す 閃光灯で 進入灯が設置されていない定期便の就航す る空港に設置される 滑走路末端識別灯 カ 過走帯灯 ORL 離陸し または着陸しようとする航空機に過走 帯を示す灯火で 昼間の計器飛行状態下及び夜間 に供用される飛行場の過走帯付近に設置される 灯光は航空赤の不動光である 過走帯灯 キ 進入灯 ALS 精密進入を行う計器着陸用滑走路に設置されている ク 連鎖式閃光灯 SFL 連鎖式閃光灯は進入する方向から滑走路末端に向かって順次発光する複数の閃光 灯で 連鎖閃光回数は1秒間に2回である 進入灯 連鎖式閃光灯 91
ケ進入角指示灯 (PAPI) 進入角指示灯はパイロットに適切な進入角の情報を与えるための灯器で 接地点 付近の滑走路の片側または両側に設置される 進入角指示灯 コ誘導路灯 (TWYL) 地上過走中の航空機に 誘導路及びエプロンの縁を示す灯火 灯光は 航空青の不動光である サ風向灯 (WDIL) 航空機に風向を示すための灯火で 夜間に供用される空港に設置されている 夜間において少なくとも 300m の上空から風向指示器の指示する方向が明瞭に視認できるような照明を有している 92
シ 滑走路距離灯 DML 滑走路を走行中の航空機に滑走路の終端までの距離を示す灯 火である 灯器は 滑走路灯列の外側の滑走路中心線に平行な直 線上に滑走路末端から約 300m ごとに設置されている 滑走路末 端までの距離が 1,000 フィート単位で表示され 昼夜間ともに十 分視認できるよう考慮されている 灯光は 航空黄 航空白また は航空可変白の不動光である ス エプロン灯 民航ターミナル地域のエプロン(駐機場)に設置 され エプロンを明るく照らし 夜間作業を支援 するための灯火 進入角指示灯 滑走路末端灯(赤:奥) 滑走路末端灯(緑:手前) 進入灯 夜間の滑走路の様子 山口宇部空港 93
3 飛行場標識施設 標識により航空機の航行を援助するための施設 ア 滑走路標識 縁標識 ア 指示標識 滑走路の番号を示す 進入方向から 見た滑走路の方位を 磁北から右まわ 中心線標識 りに測定した角度の 1/10 の整数 イ 中心線標識 滑走路の中心を示す 指示標識 ウ 末端標識 滑走路の末端を示す 末端標識 エ 中央標識 滑走路の中間地点を示す オ 接地帯標識 着陸接地区域を示す カ 縁標識 接地帯標識 中央線標識 滑走路の縁を示す イ 誘導路標識 イ 中心線標識 誘導路の中心を示す ウ 停止位置標識 航空機が滑走路に入る手前に一時停止すべき 位置を示す エ 縁標識 中心線標識 誘導路の縁を示す ウ 過走帯標識 過走帯を示す 過走帯標識 94 停止線標識
2 気象観測施設について (1) 気象観測施設飛行場に設置される気象観測の一般的な施設 ア風向風速計滑走路面上 6m~10mの高さの風を観測する 風は航空機の揚力 滑走距離 操縦性に大きく影響する 使用する滑走路を決める判断材料にも利用される イ RVR( 滑走路視距離観測装置 ) 滑走路面上約 2.5mの高さの滑走路視距離を正確に観測する 離着陸の可否の判断 進入方式の決定に使用する 空港での視程及び視距離は 航空機から飛行場 滑走路または飛行場灯火を識別できる距離に関する情報を得るための重要な施設である ウシーロメーター ( 雲底観測装置 ) 地上から雲底までの高さを測定する施設 エ雷検知アンテナ雷の放電によって発生する電磁波をキャッチし その電磁波の受信時刻 方向 電波の波形などの観測する施設 シーロメーター 雷検知アンテナ オ転倒升型雨量計雨量を観測する施設 電気式温度湿度計 カ電気式温度湿度計温度と湿度を観測する施設 転倒升型雨量計 95