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概要 クロマトグラフィとは LCの分離モード 分離のパラメータ 分離の調整 高速 高分離技術 ppendix 逆相系分離でのイオン性物質の分離 シラノール 逆相カラムの使用方法 2011 Nihon Waters K.K. 3 クロマトグラフィとは 分離手法のひとつである 分離後検出器で検出し定性

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Alcian blue 染色 平成 19 年度基礎講座

目的 Alcian blue 染色 生体に存在する酸性ムコ物質を検出する方法として広く用いられている 酸性ムコ物質はカルボキシル基を有するヒアルロン酸 硫酸基を有するコンドロイチン硫酸 ムコイチン硫酸 ケラト硫酸 ヘパリンなどの 2 つのグループに分類される Alcian blue 染色液の ph 値を調節することにより その 2 種類の酸性ムコ物質を染め分けることができる 染色態度 酸性ムコ物質... 青色 細胞核... 赤色

Alcian blue 染色 染色方法 ( 平成 15 年度愛臨技精度管理調査にて 最も高評価であった施設の染色手順 ) 1. 脱パラ 水洗 2. 前処理 3% 酢酸水 1 分 3. 染色 1% アルシアン青 60 分 4. 洗浄 3% 酢酸水 ( 染色液の染まり具合を確認しながら ) 5. 水洗 5 分 6. 後染色ケルンエヒトロート 5 分 7. 水洗 1 分 8. 脱水 透徹 封入

Alcian blue 染色 染色方法 1. 脱パラ 水洗 2. 前処理 ph2.5 の場合 3% 酢酸水溶液 1 分 ph1.0 の場合 1N 塩酸水溶液 1 分 3. 染色 ph2.5 または ph1.0 1% アルシアン青 60 分 4. 洗浄 ph2.5 の場合 3% 酢酸水溶液 ph1.0 の場合 1N 塩酸水溶液 ( 染色液の染まり具合を確認しながら ) 5. 水洗 5 分 6. 後染色ケルンエヒトロート 5 分 7. 水洗 1 分 8. 脱水 透徹 封入

Alcian blue 染色 アルシアン青染色液 ( ろ過後使用する ) ph 2.5 染色液 3.0% 酢酸水溶液 氷酢酸 蒸留水 アルシアン青染色液 Alcian blue 8GX 3.0% 酢酸水溶液 ph 1.0 染色液 3ml 97ml 1g 100ml 0.1N 塩酸水溶液 濃塩酸 0.84ml 蒸留水 100ml アルシアン青染色液 Alcian blue 8GX 1g 0.1N 塩酸水溶液 100ml

Alcian blue 染色 アルシアン青 化学官能基として正 () の性質のイソチオウロニウム基を有し そのため化学的には塩基性色素と同じ性質をもつ 生体の硫酸基 ( SO4 ) やカルボキシル基 ( O OC ) を有する酸性ムコ物質とイオン結合する 分子量 = 1,298.9 細胞核に存在する核酸 DNA リン酸基 (=PO4 ) にもイオン結合する可能性があるが 粘液に 比べ構築のやや密な核 DNA へは 分子サイ ズの大きい Alcian blue は立体障害のため染色 は弱くなる Alcian blue 8GX の化学構造

Alcian blue 染色 ph による染色の選択性 ph 1.0 酸性ムコ物質の酸性官能基 ph 2.5 COOH COOH COO H SO4 H SO4H SO4 H

Alcian blue 染色 ケルンエヒトロート ヘマトキシリンと同様に種々の金属イオンと錯体を形成して色素本体は正 () に荷電し 負 ( ) に荷電する細胞核中の DNA リン酸基 (PO4 ) にイオン結合し核を赤色に染める 色素分子中に正 () の性質のアミノ基と負 ( ) の性質のスルホン酸基を有するため 色素分子 同士が会合しコロイドを形成して沈殿を生じる

Alcian blue 染色 アルシアンブルーの共染 概ね組織は 等電点を ph3.5 5.5 にもつので 負 ( ) に帯電している 酸性ムコ多糖類 他の組織

Alcian blue 染色 アルシアンブルーの共染 概ね組織は 等電点を ph3.5 5.5 にもつので 負 ( ) に帯電している 前処理をしないかまたは不十分なとき カルボキシル基を有する他の組織にもアルシアンブル ーが結合し 共染傾向がみられる H H H H H H H H H H H H H H H H H H H 酸性ムコ多糖類 他の組織

Alcian blue 染色 アルシアンブルーの共染 概ね組織は 等電点を ph3.5 5.5 にもつので 負 ( ) に帯電している 前処理をしないかまたは不十分なとき カルボキシル基を有する他の組織にもアルシアンブル ーが結合し 共染傾向がみられる 十分な前処理は 他の組織に若干含まれる酸性基のイオン化を抑制する H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H 酸性ムコ多糖類 H H H 他の組織

Alcian blue 染色 アルシアンブルーの共染 概ね組織は 等電点を ph3.5 5.5 にもつので 負 ( ) に帯電している 前処理をしないかまたは不十分なとき カルボキシル基を有する他の組織にもアルシアンブル ーが結合し 共染傾向がみられる 十分な前処理は 他の組織に若干含まれる酸性基のイオン化を抑制する H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H 酸性ムコ多糖類 他の組織

Alcian blue 染色 アルシアンブルーの共染 概ね組織は 等電点を ph3.5 5.5 にもつので 負 ( ) に帯電している 前処理をしないかまたは不十分なとき カルボキシル基を有する他の組織にもアルシアンブル ーが結合し 共染傾向がみられる 十分な前処理は 他の組織に若干含まれる酸性基のイオン化を抑制する H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H 酸性ムコ多糖類 他の組織 H

Alcian blue 染色 アルシアンブルーの共染 概ね組織は 等電点を ph3.5 5.5 にもつので 負 ( ) に帯電している 前処理をしないかまたは不十分なとき カルボキシル基を有する他の組織にもアルシアンブル ーが結合し 共染傾向がみられる 十分な前処理は 他の組織に若干含まれる酸性基のイオン化を抑制する アルシアンブルー染色液の後 溶媒による洗浄が不十分であると その後の水洗時に切片上 に残留した染色液が共染の原因となる H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H 酸性ムコ多糖類 他の組織 H

Alcian blue 染色 アルシアンブルーの共染 概ね組織は 等電点を ph3.5 5.5 にもつので 負 ( ) に帯電している 前処理をしないかまたは不十分なとき カルボキシル基を有する他の組織にもアルシアンブル ーが結合し 共染傾向がみられる 十分な前処理は 他の組織に若干含まれる酸性基のイオン化を抑制する アルシアンブルー染色液の後 溶媒による洗浄が不十分であると その後の水洗時に切片上 に残留した染色液が共染の原因となる H H 酸性ムコ多糖類 他の組織

Alcian blue 染色 アルシアンブルーの共染 概ね組織は 等電点を ph3.5 5.5 にもつので 負 ( ) に帯電している 前処理をしないかまたは不十分なとき カルボキシル基を有する他の組織にもアルシアンブル ーが結合し 共染傾向がみられる 十分な前処理は 他の組織に若干含まれる酸性基のイオン化を抑制する アルシアンブルー染色液の後 溶媒による洗浄が不十分であると その後の水洗時に切片上 に残留した染色液が共染の原因となる H H 酸性ムコ多糖類 他の組織

Alcian blue 染色

目的 線維性結合組織の膠原線維 筋繊維 弾性線維の識別に用いられる 心血管系病変の他 障害組織の修復過程の線維化の程度や 腫瘍の脈管浸潤の有無をより明瞭に知ることができる有効な手段である 染色態度 弾性線維... 黒紫色 黒色 膠原線維... 赤色 筋線維 細胞質... 黄色 細胞核... 黒褐色

染色方法 ( 愛臨技推奨法 ) 1. 脱パラ 水洗 蒸留水水洗 2.70% アルコール 1 分 3. レゾルシン フクシン液 120 分 4. 純アルコールで分別 ( ごく軽く水洗後 純アルコール 2 槽で分別 ) 5. 軽く水洗後 顕微鏡下で弾性線維の染色態度を確認 周辺の本来レゾルシン フクシンで染まらない部分に共染を認めたら 更に 1% 塩酸 70% エタノールで数秒分別する 6. 水洗 5 分 7. 鉄ヘマトキシリン 5 分 8. 色だし 水洗 10 分 9. ワンギーソン液 2 5 分 10. 軽く水洗 純アルコール 2 槽で素早く分別 11. 脱水 透徹 封入

弾性線維 弾性線維は主に蛋白質のエラスチンからなる 構成しているアミノ酸の 90% はロイシン イソロイシン プロリン バリンおよびグリシンの 5 種類のアミノ酸からなる エラスチンを構成するアミノ酸の多くが側鎖に無極性ないし親油性 ( 疎水性 ) 官能基を有するアミノ酸である

弾性線維と膠原線維 弾性線維の主要蛋白質のエラスチンと 膠原線維の主要蛋白質であるコラーゲンの間で 親油性アミノ酸の構成比率が大きく異なる エラスチンは無極性 ( 親油性 ) 官能基を有するアミノ酸で多く構成されており そのため親油性の性質がある したがってエラスチンの染色に使用する色素は 水溶性の色素よりアルコールに溶解しやすい色素が適する

レゾルシンフクシン ワイゲルトのレゾルシンフクシン調整原料のフクシンは アミノ基 (NH 3) を有し正 () の性質をもつ塩基性色素に分類される 塩基性色素は一般的に水よりエタノールに溶解しやすく また塩酸酸性ほど溶解しやすい 塩基性色素で染色した切片を分別する場合 塩酸加エタノール または メタノールないしエタノールが使用される ワイゲルトのレゾルシンフクシンの化学構造は不明であるが TLC( 薄層クロマトグラフィ ) で分析すると種々の成分からなることがわかる またその全成分が電気泳動上では陰極 ( ) へ移動することより レゾルシンフクシンも原料のフクシン同様正 () の性質を有する

レゾルシンフクシンの染色原理 組織への浸透 エタノールに溶解しやすい色素と 親油性の性質を持つ弾性線維との親和 ( 疎水結合 ) 強酸性条件下における弾性繊維とその他の組織の 正 () 荷電の差 弾性線維 他の組織

レゾルシンフクシンの染色原理 組織への浸透 エタノールに溶解しやすい色素と 親油性の性質を持つ弾性線維との親和 ( 疎水結合 ) 強酸性条件下における弾性繊維とその他の組織の 正 () 荷電の差 弾性線維 他の組織

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レゾルシンフクシンの染色原理 組織への浸透 エタノールに溶解しやすい色素と 親油性の性質を持つ弾性線維との親和 ( 疎水結合 ) 強酸性条件下における弾性繊維とその他の組織の 正 () 荷電の差 H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H 弾性線維 他の組織

レゾルシンフクシンの染色原理 組織への浸透 エタノールに溶解しやすい色素と 親油性の性質を持つ弾性線維との親和 ( 疎水結合 ) 強酸性条件下における弾性繊維とその他の組織の 正 () 荷電の差 H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H 弾性線維 他の組織

レゾルシンフクシンの染色原理 組織への浸透 エタノールに溶解しやすい色素と 親油性の性質を持つ弾性線維との親和 ( 疎水結合 ) 強酸性条件下における弾性繊維とその他の組織の 正 () 荷電の差 H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H 弾性線維 他の組織

レゾルシンフクシンの染色原理 組織への浸透 エタノールに溶解しやすい色素と 親油性の性質を持つ弾性線維との親和 ( 疎水結合 ) 強酸性条件下における弾性繊維とその他の組織の 正 () 荷電の差 H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H 弾性線維 他の組織

レゾルシンフクシンの染色原理 組織への浸透 エタノールに溶解しやすい色素と 親油性の性質を持つ弾性線維との親和 ( 疎水結合 ) 強酸性条件下における弾性繊維とその他の組織の 正 () 荷電の差 弾性線維 他の組織

ワンギーソン液 小分子のピクリン酸と大分子の酸性フクシンの混合染色液 ピクリン酸は負帯電の NO2 SO3 OH を有し 正帯電基をもたない 酸性フクシンは負帯電の SO3 を三つ 正帯電の NH2 を三つもつ 粗構広孔の組織が酸性フクシンで また密構狭孔の組織がピクリン酸で染まる 密構の組織にある狭間隙には 小さな組織分子が比較的入りやすく 多くの小分子が間隙壁面を占め大きな染料分子を排斥する 粗構の組織にある広間隙には大きな染料分子もよく入ることができ 正帯電基を有することから吸着性があるので 小さい染料分子と座席争いをしてこれを弾き出す

ワンギーソン液の染色原理 組織への浸透 小分子のピクリン酸と大分子の酸性フクシンによる粗構広孔の膠原線維 密構狭孔の筋線維への染色性の相違 弱酸性条件下における組織の負 ( ) 帯電と 酸性フクシンの正 () 荷電官能基との吸着 広孔粗構 狭孔密構

ワンギーソン液の染色原理 組織への浸透 小分子のピクリン酸と大分子の酸性フクシンによる粗構広孔の膠原線維 密構狭孔の筋線維密構の組織への染色性の相違 弱酸性条件下における組織の負 ( ) 帯電と 酸性フクシンの正 () 荷電官能基との吸着 広孔粗構 狭孔密構

ワンギーソン液の染色原理 組織への浸透 小分子のピクリン酸と大分子の酸性フクシンによる粗構広孔の膠原線維 密構狭孔の筋線維密構の組織への染色性の相違 弱酸性条件下における組織の負 ( ) 帯電と 酸性フクシンの正 () 荷電官能基との吸着 広孔粗構 狭孔密構

ワンギーソン液の染色原理 組織への浸透 小分子のピクリン酸と大分子の酸性フクシンによる粗構広孔の膠原線維 密構狭孔の筋線維密構の組織への染色性の相違 弱酸性条件下における組織の負 H H H H ( ) 帯電と 酸性フクシンの正 H H H () H 荷電官能基との吸着 H H H H H H H H H H H H 広孔粗構 狭孔密構

ワンギーソン液の染色原理 組織への浸透 小分子のピクリン酸と大分子の酸性フクシンによる粗構広孔の膠原線維 密構狭孔の筋線維密構の組織への染色性の相違 弱酸性条件下における組織の負 H H H H ( ) 帯電と 酸性フクシンの正 H H H () H 荷電官能基との吸着 H H H H H H H H H H H H 広孔粗構 狭孔密構

ワンギーソン液の染色原理 組織への浸透 小分子のピクリン酸と大分子の酸性フクシンによる粗構広孔の膠原線維 密構狭孔の筋線維密構の組織への染色性の相違 弱酸性条件下における組織の負 ( ) 帯電と 酸性フクシンの正 () 荷電官能基との吸着 広孔粗構 狭孔密構

ワンギーソン液の染色原理 組織への浸透 小分子のピクリン酸と大分子の酸性フクシンによる粗構広孔の膠原線維 密構狭孔の筋線維密構の組織への染色性の相違 弱酸性条件下における組織の負 ( ) 帯電と 酸性フクシンの正 () 荷電官能基との吸着 広孔粗構 狭孔密構