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. ホルムアルデヒドおよびトルエン吸入曝露によるマウスのくしゃみ様症状の定量 およびトルエン代謝物の測定 研究協力者 : 欅田尚樹 嵐谷奎一 ( 産業医科大学産業保健学部 ) (1) 研究要旨ホルムアルデヒド曝露により特異的にくしゃみの増加が観察されたが トルエン曝露でくしゃみの誘発はなかった トルエンの曝露指標として 尿中代謝産物である馬尿酸を測定した 曝露直後には高く翌日には正常レベルに戻っており 経気道曝露により確実にマウス生体内に取り込まれていることが確認された () 目的昨年までの曝露実験でホルムアルデヒド曝露により 濃度依存的にくしゃみ様症状の増加が観察されたので この症状がホルムアルデヒド特異的な現象なのかトルエン曝露群との比較から検討した また トルエン曝露により曝露指標としてトルエンの代謝物である尿中馬尿酸を測定して曝露の確認をおこなった () 方法 1 くしゃみの定量法 ヶ月曝露終了時点において 各マウスを一匹用個別ケージに入れ 1 分間目視にてくしゃみを計測した 尿中馬尿酸の定量法 1 週曝露終了直後および 11 週目の曝露開始前にマウス自然排尿をプールして測定サンプルとした さらに 1 週最終曝露時に 曝露開始前 ( 前日の曝露終了後 18 時間後 ) と曝露終了 分以内の自然排尿を各個体別に採取し測定サンプルとした 各サンプルを % メタノールで 倍希釈し 図 1 に示す条件で高速液体クロマトグラフィ HPLC にて分離定量した 同時に尿中クレアチニン濃度を測定し 尿中馬尿酸濃度はクレアチニン補正値として評価した 図 図 にそれぞれ馬尿酸 クレアチニンの測定クロマトグラムを示す () 結果 1) くしゃみの変化 1 ホルムアルデヒド曝露 CH/HeN マウスにホルムアルデヒド ppb を曝露した結果を図 に示す 昨年までの観察と同様にホルムアルデヒドの曝露でくしゃみの増加する傾向と OVA 感作によりその影響が増強される可能性が認められるが 今年の観察匹数が少ないために ホルムアルデヒド曝露および OVA 感作の有無を 要因とした 要因分散分析の結果いずれも有意差は認めなかった さらに ppb 群を加え 1 要因分散分析の結果 ppb ホルムアルデヒド曝露群は他の 群いずれに対しても有意にくしゃみの増加を認めた (P<.1, 図 ) --

トルエン曝露トルエン曝露時のくしゃみの回数を図 にホルムアルデヒド ppb 群を一緒にして示す 1 要因分散分析の結果 ppb ホルムアルデヒド曝露群は他の 群いずれに対しても有意にくしゃみの増加を認めた (P<.1, 図 ) ホルムアルデヒド曝露群をのぞいた 群間に関しては分散分析の結果 差を認めなかった すなわちトルエン曝露はマウスにくしゃみを誘発することはなかった ) 尿中馬尿酸の定量法トルエンの尿中代謝産物である馬尿酸濃度は 1 週 1 週いずれも曝露直後は約 g/g creatinine を示し 一方曝露開始直前の尿では約 1g/g creatinine 前後であった ( 表 1 図 7) () 考察昨年度までの観察で ホルムアルデヒド曝露により比較的鋭敏に観察される指標としてくしゃみが見出されたが 今年の観察でも再現性よく観察された 一方 今年度はじめてトルエン ppm を 1 週間曝露実験を行った この結果 ppm トルエン曝露群は ホルムアルデヒド曝露群と比較して高い濃度であるにもかかわらずくしゃみの誘発は観察されず 化学物質による特異性が見出された ホルムアルデヒドにより惹起されるくしゃみが単なる刺激症状であるのか 他の何らかの変化と関係するのかについては残念ながら不明である 今年度初めて 1 週間曝露したトルエンに関しては 産業現場でも幅広く使用され 比較的高濃度での毒性は広く知られ 曝露指標としての尿中代謝産物 馬尿酸の測定もトルエン作業従事者には実施されている 今回 マウス尿中の馬尿酸を測定すると曝露直後には有意に高い濃度を示し 1 時間後の翌日曝露直前の尿では低値に復していた トルエンの代謝は図 8,9 に示すように大半が尿中に馬尿酸として代謝され排泄されることがわかっている 今回の実験でも曝露指標として尿中馬尿酸の増加が観察され 有効な経気道曝露が行われたことを示すとともに 速やかに代謝されていることが認められた -1-

図 1 馬尿酸 クレアチニン測定法 ( マウス ) 尿 倍希釈液 ( メタノール : 水 =1:1) 試料液 高速液体クロマトグラフにて分離 定量カラム : Wakosil-Ⅱ C18HG 1mm.mmØ 移動相 : mmkhpo +1mMDecanesulfonic Acid acetonitrile (8:1,v/v) ( クレアチニン ) mmkhpo acetonitrile (8:1,v/v)( 馬尿酸 ) 検出 : nm 流速 :.7ml / min 図 尿中馬尿酸のクロマトグラム 馬尿酸 --

図 尿中のクレアチニンのクロマトグラム 馬尿酸 クレアチニン 図 くしゃみ ( ホルムアルデヒド ). くしゃみ /1min.. 1. (18) (1) () (8) - OVA + OVA ( ); マウス匹数 1. ホルムアルデヒド濃度 (ppb) --

図 くしゃみ ( ホルムアルデヒド ) 18 1 くしゃみ /1min 1 1 1 8 -OVA- -OVA+ ホルム +OVA- ホルム +OVA+ 真ホルム +OVA- 図 くしゃみ ( トルエン ) 18 1 くしゃみ /1min 1 1 1 8 -OVA- -OVA+ トルエン +OVA- トルエン +OVA+ ホルム +OVA- --

表 1 トルエン曝露マウスの尿中の馬尿酸濃度測定結果 1 週曝露直後 11 週曝露直前 1 週曝露直前のケージ No.1 1 週曝露直後のマウス No.1 馬尿酸濃度 (g/g creatinine).1.98 1.8 1.1 1.1 1.9±. 1.1 (S.D) 1.8 1..9.88.11.7±.9. (S.D).. 図 7 マウス尿中馬尿酸濃度 ( トルエン曝露 :ppm) 7 馬尿酸濃度 (g/g creatinine) 1 1 週曝露直後 11 週曝露直前 1 週曝露直前の ケージ平均 1 週曝露直後のマウス平均 --

図 8 トルエン ( 体内動態 ) 吸入曝露 吸入量の 8~9% が吸収され 時間以内に吸入量の 1~% が呼気中に未変化で排出 肺から完全にトルエンが除去されるのは 時間かかる P によりベンジルアルコールと o- クレゾール p- クレゾールに代謝される ベンジルアルコールは アルコール脱水素酵素 (ADH) アルデヒド脱水素酵素の代謝を受け 安息香酸 最終的に馬尿酸になって尿中に排出 9% 以上が馬尿酸に代謝 生物学的半減期は数時間 (1~ 時間 ) 馬尿酸は 時間以内に全て排出 図 9 トルエン代謝 CH CHOH CHO COOH CONHCHCOOH P 気尿呼グリシン抱合 % 8% トルエン ベンジルアルコール ベンズアルデヒド 安息香酸 馬尿酸 安息香酸 : あんず 梅肉エキス 清涼飲料水などに含まれているので馬尿酸増加に注意 ( ヒトの場合 ) --