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平成 28 年度サステナブル建築物等先導事業 ( 木造先導型 ) の第 1 回応募概要及び同事業評価委員会の講評について 平成 28 年度サステナブル建築物等先導事業 ( 木造先導型 ) における第 1 回応募の状況及び サステナブル建築物等先導事業 ( 木造先導型 ) 評価委員会 において出された全体講評は下記のとおりです 記 1. 応募状況本事業において 建築物の木造化 ( 以下 木造化 という ) 及び 建築物の内装 外装の木質化 ( 以下 木質化 という ) の提案について 公募 ( 平成 28 年 6 月 8 日から7 月 15 日 ) を行ったところ 12 件 ( 木造化 12 件木質化 0 件 ) の応募があった 2. 評価の経緯評価は 一般社団法人木を活かす建築推進協議会に設置した 学識経験者からなる サステナブル建築物等先導事業 ( 木造先導型 ) 評価委員会 ( 以下 評価委員会 という ) において 以下の手順で実施した まず 応募のあった各提案の内容について 要件への適合 構造 防火面における技術の先導性 建築生産システムについての先導性 一般への普及 啓発効果等の観点から 書類審査を行った その結果 内容について詳細な追加情報が必要とされた提案については さらに当該提案者に対するヒアリング審査を行い 本事業による支援対象として適切と思われる提案を選定した 3. 全体講評今回の応募では 技術的先導性に加え 普及 啓発効果が高いと見込まれる提案が見られた 構造面や防火面においては 立面的なRC 造と木造軸組工法の また 平面的なRC 造と木造の組み合わせの混構造 CLT 告示仕様の推進 普及啓発効果の高い計画 下層階を鉄骨造とし上層階を木造とした耐火建築物の計画 枠組壁工法で初の制震構造や既存の工法 防耐火手法を利用した未だ建設事例のない建築物の計画案があった 防火面では 2 時間耐火認定のCLT 床版をS 造に用いるもの 初めて梁に2 時間耐火木質部材を用いるもの 材料面においては 地域産材 国産材を活用するもの 新技術を導入した大臣認定の接着重ね梁の採用等 地域振興 木材利用促進に積極的に取り組む計画が見られた その中で 採択相当とされたプロジェクトについては 木造化についての必要な検討がなされており 構造 防火 生産 施工等の面での工夫なども見られ 先導的な木造建築物として波及 普及効果が期待できるものであった 一方 今回採択相当と認められなかった提案は 複数棟で要件を満たそうとする計画であり 構造や防耐火での技術的先導性が見られないものであった 4. 評価結果上記 2の評価により 評価委員会が本事業による支援対象として適切と判断した11 件のプロジェクトは 以下のとおりである (1) 平取町国民健康保険病院改築事業 [ 木造化 ] 築後 50 年を経過した国保病院の機能充実と経営安定充実に向けた改築プロジェクト 新病院に対して 町民から大きな期待が寄せられている RC 造と木造軸組工法による平面混構 1

造で 長期荷重を木造部分に 水平力をRC 造部分に負担させ 全体として躯体の低コスト化を実現 また シアーキー貫通打工法によるRC 床 ( デッキプレート併用 ) と大断面集成材の合成梁 RC 柱と集成梁のGIR 工法 ( 接合金物を内蔵するもの ) による接合方法を用いたRC 造と木造の同時施工などの工夫がある 材料面では 大断面集成材は平取町産木材を100% 活用しているとともに 木質化についてもカラマツ トドマツ 道南杉等北海道産木材を100% 活用している 寒冷地の病院木造化におけるモデルケースとして期待できる (2)( 仮称 ) 仙台市若林区荒井西タウン計画 [ 木造化 ] 枠組壁工法にCLT 床版を採用した5 階建 (RC 造との立面混構造 ) の国内初の大型中層建築物プロジェクト 土地区画整理事業区域内の地区整備計画が定められた良好な住宅地に立地し 本計画での検証により 将来的には区分所有を見据えた分譲可能な木造マンションを目指している 1 階をRC 造 2~5 階を枠組壁工法の1 時間耐火構造と大臣認定の1 時間耐火 CLTの組み合わせとして 告示されたCLTの基準強度を踏まえた構造計算に加え接合部の工夫等により 建物全体の構造安全性と2( 又は1) 時間耐火建築物を実現 また CLTは東北産杉 枠組壁工法用の製材は国産スギのディメンジョンランバー 国産針葉樹合板を使用するとともに木質材料は最大限東北産の材料とするなど 木材利用促進に積極的に取り組んでいる CLTを用いた耐火木造建築物が実際に建つ点で波及効果が期待できる (3) 鉄骨造 + 木造軸組工法による6 階建て複合ビル計画 [ 木造化 ] 既存のRC 造 4 階建てをS 造と木造の立面混構造 6 階建て複合ビルに建て替えるプロジェクト 1~2 階をS 造 ( 事務所 ) 3~6 階を1 時間耐火認定仕様の木造軸組工法 ( 共同住宅 ) として 2( 又は1) 時間耐火建築物を実現する 混構造により従前建築物より軽量化し 既存の場所打コンクリート杭の耐力を確認した上で それを再利用することで 工事費用を抑制する計画である また 木造部分の構造材はカラマツ集成材 ( 国産材 ) 等を使用し 内装床 壁 建具にも国産木材を使用する 加えて 共同住宅の内外装に木をふんだんに取り入れ 温かみ 安心感のある居住空間を実現している 都市部の既成市街地における同規模ビルの建替えや新築共同住宅への普及 波及性が期待できる (4) 各務ビル新築工事 [ 木造化 ] 既存 RC 造 4 階建てをRC 造と木造の立面混構造 5 階建て複合ビルに建て替えるプロジェクト 1 階をRC 造 ( 自動車車庫等 ) 2~5 階を1 時間耐火の枠組壁工法 ( 診療所 賃貸共同住宅等 ) として 2( 又は1) 時間耐火建築物とするもの 木造耐火構造 4 層には初めての制震技術 VAXを採用するとともに 一般的な木材のみでできるミッドプライウォールによる高耐力壁 タイダウンシステム (PC 鋼棒を用いた引き抜き金物 ) を採用し 揺れの低減と高い構造耐力を実現している また 一般に流通している木材を主に 高耐力壁にはOSB( 配合性ストランドボード ) 梁にLVL ( 単板積層材 ) 5 階スタッドに国産スギを使用する等 多様な材を用いている 敷地は都内の幹線道路に面し 裏は公園で人通りが多く目を引く立地であることも含め 普及 波及効果が期待される 2

(5) ツーバイフォー高耐力壁 (SSW-14) を使用したオープン工法による ( 仮称 )4 階建エム グループ本社ビル新築工事 [ 木造化 ] 枠組壁工構法による地上 4 階建の自社ビル新築のプロジェクト 耐力壁に406 材と24mm 構造用合板を用いた耐荷重性の高いSSW-14 構法 ( 自社開発 工法認証審査中 ) を また 金物のゆるみを吸収するアンカータイダウンシステムを採用し 高い構造耐力を実現している また 1 時間耐火構造は 告示仕様と大臣認定仕様の組合せによる 材料面では CLT 材を内装仕上げ材及び間仕切り壁に使用するとともに 外装材に木質部材の採用を検討している 提案では自社ビルであるが 狭小地への建設計画の可能性を拡げることが期待できる (6) 朝日村新庁舎建設工事 [ 木造化 ] 築 80 年経過し老朽化した役場庁舎の移転新築プロジェクト 庁舎部分では 執務室や村民ホールなどの大空間にカラマツ集成材の登梁 中空間の梁に大臣認定のカラマツ接着重ね梁を用いるとともに 2 階の床をカラマツ集成材厚板パネルによるスラブとする構造計画である さらに 村民ホールにヒノキの大黒柱 店舗棟の壁にはカラマツ集成材壁柱構法を採用するなど 適材適所に地元産のカラマツ ヒノキ等を現しで用い 地域材利用に積極的に取り組んでいる 伐採から製材を地元業者でまかなうことにより 徹底してCO2 排出量の削減を行い 経済的にも環境的にも今後のモデルケースとなることが期待できる (7) 井ノ内保育園新築工事 [ 木造化 ] 木造軸組構法による準耐火建築物の耐力壁にCLTパネルを使用した保育園新築プロジェクト 構造計画上は 鉛直力は軸組で負担し CLT 壁には水平力のみを負担させることで 防火上は 前者は燃えしろ設計にて 後者は燃えしろ設計によらず それぞれ現しにて用いる また 床組みは準耐火構造の告示仕様通りの構造用合板等を用いるが 天井仕上げ材にはCLTの引き板を加工した薄板を用い 室内空間全体を同様のスギ等の現しとする計画である 材料面では CLT 壁パネルには京都府産スギのB 材を 軸組材は一般流通材を用い 地域材利用に取り組んでいる CLTを使用した初めての保育園である 保育園としてのみならず 地域活動への利用についても積極的に提供して行く予定である 将来的にはCLTによる床組みの実現も検討しており 同様規模保育園でCLT 版活用への普及啓発が期待できる (8) 東和ハイシステム株式会社社員寮新築工事 [ 木造化 ] CLT 関連告示に基づくCLTパネル工法による事務所兼共同住宅の新築プロジェクト 3 階建て社員寮 (1 階事務所兼倉庫 ) では岡山県内初の告示 CLT 事例である 1 時間準耐火構造で 燃えしろ設計を行い 天井 壁を現し仕上げとしている また CLTの外側の防火被覆については工場でCLTと一体化 ( プレビルド化 ) して現場に納材し 施工の合理化を図る 材料面では CLT 及びその他の仕上げ材料には国内産スギを用いるとともに 造り付け家具等にもCLTを利用する計画である 敷地は岡山市の市内中心部に位置し 研修期間用の社員寮のため 竣工後の視察 見学会など対応が容易であることから CLTパネル工法建築物の普及啓発効果が期待できる 3

(9) 長門市本庁舎建設事業 [ 木造化 ] 現庁舎の老巧化及び狭隘化による 市庁舎の現地建替え5 階建てプロジェクト 市民の 安全 安心 の拠点として 利用しやすく親しみのある庁舎を木造で実現することをテーマに企画している 木造庁舎としては最大規模となる延面積 7000m2超の建物規模である 中央部の木造と両側でコアになるRC 造とのハイブリッド構造 - 免震構造の組合せによる合理的な架構計画とし 木 +RC 合成梁による12mのロングスパンを実現している 5 層全てに階数に応じた性能の耐火木質部材を用い 1 階に用いる梁の2 時間耐火部材は国内発の取組である 5 層吹抜周りの防火区画も丁寧に計画されている 全ての木材を地元市産材として適材適所に使用し木架構の現しやフラットな天井面による快適性の向上を図るとともに内部仕上げ 家具 サインなどの積極的な木質化を図っている 吹き抜けの長門フォーラムからは内部の木造 木質化を視認でき 外観とあいまって 庁舎の木造化への普及啓発が期待できる (10)( 仮称 ) はるのガーデン新築工事 [ 木造化 ] RC 造と木造の立面混構造による6 階建て複合用途建築プロジェクト 1~2 階はRC 造 ( デイサービスセンター 地域交流スペース等 ) 3~6 階はCLTパネル工法と木造軸組工法の組合せサービス付き高齢者向け住宅 ) とし 後者にあっては 外壁と間仕切壁に耐火構造告示に基づく1 時間耐火のCLTを 柱や床と梁には1 時間耐火大臣認定 ( 被覆型 ) をそれぞれ採用している 高知県内調達木材のA B C D 材を余すことなく県内加工し活用することとし A 材は軸組の製材 B 材はCLTや集成材等 CD 材は木質バイオマスエネルギーの燃料などに用いる計画である また RC 造外壁に加熱処理した県産材を張って外装も木質化している 市街地に建つ中高層福祉施設にCLTを用いるプロトタイプとして普及が期待できる (11) 松尾建設株式会社新社屋建設計画 [ 木造化 ] 旧本社跡地でS 造 5 階建て事務所棟と木造 2 階建て会議室棟を新築するプロジェクト 事務所棟は 2 階から5 階の床の過半部分に構造床材としてCLTを使用している また 会議室棟は 構造用異樹集成材 ( ベイマツ + 国産スギ ) としてハイブリッドビームとLVLを組み合わせた合成梁を使用した木造である 事務所棟のCLTを用いた床は 2 時間耐火の大臣認定を取得したものとし 今後の非木造建築におけるCLTの活用方法の1つとして期待できる技術である 今後の事務所ビルにCLTを使用するモデルとして普及啓発が期待できる 5. 評価のポイント本事業の評価のポイントとして以下の項目が挙げられる 今後の提案内容の検討に際しての参考とされたい (1) 構造 防火面における先導性等について構造面 ( 例 : 構造部材 接合方法又は既存の構造方法の組合せ ) や防火面 ( 例 : 燃えしろ設計 耐火部材の使用等 ) において先導性を有するとともに それらの技術の実現に支障がないと判断されるものであること (2) 建築生産システムにおける先導性等について効率的な生産方法や施工方法の導入など 生産面で先導性に優れた技術等が導入される事業計画であること また コスト面で課題となる木材料の調達等について 自治体や研究機関等 4

関係者との連携による相当の工夫が見られること (3) 技術等の普及可能性について上記 (1) 及び (2) の先導的な技術等が 一般公開されるか 外部への積極的な発信が計画されており 第 3 者が当該技術の考え方等を応用して類似の設計を行うことが可能なものであること (4) その他の評価ポイントについて上記 (1) から (3) に加え 用途 規模 立地条件等による話題性 普及性 国産材の積極的な活用の提案 防耐火などに関して法遵守以上に避難方法等の熟考がなされ地域のモデルケースとなると判断されるものがあれば 評価の対象となる ( 参考 ) 平成 27 度サステナブル建築物等先導事業 ( 木造先導型 ) 価委員会 / 委員名簿 委員長 大橋好光 東京都市大学 / 工学部建築学科教授 委員 五十田博 京都大学 / 生存圏研究所教授 委員 伊藤雅人 三井住友信託銀行 / 不動産コンサルティング部審議役 委員 腰原幹雄 東京大学 / 生産技術研究所教授 委員 長谷見雄二 早稲田大学 / 理工学術院教授 委員 萩原一郎 ( 独 ) 建築研究所 / 防火研究グループ長 委員 林 知行 秋田県立大学 / 木材高度加工研究所教授 ( 敬称略 委員については 50 音順 ) 5