~自分で守ろう、自分のからだ~

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目的と方法 目的 大学生の性に関する意識と行動のアンケート調査を行い 大学生の性感染症予防教育の基礎とする 対象 千葉大学西千葉キャンパス ( メインキャンパス ) にて定期健康診断 ( 平成 21 年 4 月 2 日から 5 月 14 日までのべ 21 日間 ) を受診した学部学生 ( 留学生除く

3 睡眠時間について 平日の就寝時刻は学年が進むほど午後 1 時以降が多くなっていた ( 図 5) 中学生で は寝る時刻が遅くなり 睡眠時間が 7 時間未満の生徒が.7 であった ( 図 7) 図 5 平日の就寝時刻 ( 平成 1 年度 ) 図 中学生の就寝時刻の推移 図 7 1 日の睡眠時間 親子

平成 26 年度事業計画書 自平成 26 年 4 月 1 日 至平成 27 年 3 月 31 日 公益財団法人性の健康医学財団

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手術や薬品などを用いて 人工的に胎児とその付属物を母体外に排出することです 実施が認められるのは 1 妊娠の継続又は分娩が 身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害する恐れがあるもの 2 暴行もしくは脅迫によって妊娠の場合母体保護法により母体保護法指定医だけが施行できます 妊娠 22 週 0

子宮頸がん予防ワクチンとヘルスリテラシー

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1) 建築家のイメージは 敷居が高い しかし実際建てた層では 要望を聞いてくれる もトップ建築家の建てる家のイメージは デザイン面 機能面など多方面で配慮がされた家 建築家のイメージでは 2 年以内に注文住宅を建てる検討 層のトップ 3 は 敷居が高い (35%) ユニークさにこだわる (12%)

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

Ⅰ. 調査の概要. 調査目的日本の全国民を対象に健康日本 2( 第二次 ) に関連する健康意識 認知度調査を評価することで 健康意識における重点課題を把握すること 2 経年的な健康意識の推移を把握することを目的とする これにより 今後の情報発信のあり方を検討する 本年調査は昨年調査に続いて2 回目の

【ピンクリボン月間】「乳がんに関するアンケート結果」-女性の6割が乳がん罹患後も仕事を続けたいと希望-

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14 野口真由,杉浦絹子.pwd

(2) あなたは選挙権年齢が 18 歳以上 に引き下げられたことに 賛成ですか 反対ですか 年齢ごとにバラツキはあるものの概ね 4 割超の人は好意的に受け止めている ここでも 18 歳の選択率が最も高く 5 割を超えている (52.4%) ただ 全体の 1/3 は わからない と答えている 選択肢や

最初に 女の子は皆子供のとき 恋愛に興味を持っている 私もいつも恋愛と関係あるアニメを見たり マンガや小説を読んだりしていた そしてその中の一つは日本のアニメやマンガだった 何年間もアニメやマンガを見て 日本人の恋愛について影響を与えられて 様々なイメージができた それに加え インターネットでも色々

問 4. 接種後 いつもと違う体調の変化はありましたか (1,103 人に対する比 ) 1 はい 289 人 (26.2%) 2 いいえ 796 人 (72.2%) 3 未回答 18 人 ( 1.6%) * 接種後 何らかの症状があったと答えた方は 26.2% であった 未回答 の者の中には よくわ

助成研究演題 - 平成 23 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 東京大学医学系研究科重症心不全治療開発講座客員研究員 ( 助成時 : 東京大学医学部附属病院循環器内科日本学術振興会特別研究員 PD) 加藤尚子 私は 重症心不全の集学的治療確立のた

============================== < 第 6 章 > 高校生 大学生 社会人の反応 ============================== 本調査研究では 高校生が社会に出ていく上での実効性のある資質 能力の重要性が感じられ また 調査問題そのものについての興味 関


単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究

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領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

●子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案

H22母性保健に関する研究

総合的な探究の時間 は 何を 何のために学ぶ学習なのか? 総合的な探究の時間 は与えられたテーマから みなさんが自分で 課題 を見つけて調べる学習です 総合的な探究の時間 ( 総合的な学習の時間 ) には教科書がありません だから 自分で調べるべき課題を設定し 自分の力で探究学習 ( 調べ学習 )

3-2 学びの機会 グループワークやプレゼンテーション ディスカッションを取り入れた授業が 8 年間で大きく増加 この8 年間で グループワークなどの協同作業をする授業 ( よく+ある程度あった ) と回答した比率は18.1ポイント プレゼンテーションの機会を取り入れた授業 ( 同 ) は 16.0

第 5 章管理職における男女部下育成の違い - 管理職へのアンケート調査及び若手男女社員へのアンケート調査より - 管理職へのインタビュー調査 ( 第 4 章 ) では 管理職は 仕事 目標の与え方について基本は男女同じだとしながらも 仕事に関わる外的環境 ( 深夜残業 業界特性 結婚 出産 ) 若

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がんの診療の流れ この図は がんの 受診 から 経過観察 への流れです 大まかでも 流れがみえると心にゆとりが生まれます ゆとりは 医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう あなたらしく過ごすためにお役立てください がんの疑い 体調がおかしいな と思ったまま 放っておかないでください な

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高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

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大学生の性と性教育に関する認識について これから教育学研究室の鈴木麻里 中村めい 芳賀有里加が 大学生の性と性教育に関する認識について の発表をさせていただきます 本日はこれまでの研究成果を発表させていただきます 1 保健栄養学科保健養護専攻鈴木麻里 中村めい 芳賀有里加 課題意識 クラミジア感染

1 ジカウイルス感染症の認知度 問 1 あなたは, ジカウイルス感染症, いわゆるジカ熱を知っていますか この中から 1 つだけお答えください どのような病気か詳しく知っている 9.1% どのような病気かある程度知っている 44.9% 名前だけ知っているが, どのような病気かは知らない 37.7%

小児用肺炎球菌ワクチン 対象者 : 生後 2カ月 ~5 歳未満の方接種費用 : 無料ただし 接種開始が2 歳以上の場合は自己負担あり (1100 円 ) 接種回数 : 接種開始年齢によって異なります 接種開始月 年齢接種回数 接種間隔接種費用 生後 2 月から 7 月未満 生後 7 月から 12 月

参考 調査員調査の対象者へのアンケート ( 平成 21 年 4 月実施 ) の概要 1 目的総務省統計局が調査対象者から直接 調査員調査の実施状況を把握し 平成 20 年度の委託業務の中で調査員調査の検証を行うとともに 今後の民間調査機関への指導についての参考資料を得る また 本アンケートでは 回答

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Microsoft Word - 認知度調査HP原稿

 

附帯調査

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高齢者の健康及び長寿医療制度アンケート調査のご協力のお願い

組合員対象 奨学金制度に関するアンケート の集計状況 1. はじめに調査概要とサンプル特性について < 調査概要 > 調査実施期間 2016 年 11 月 16 日 ~12 月 28 日 調査対象 全国の国公立および私立大学の学部学生 院生 回収数 1,745 有効回答数 文責 : 加藤

56 語学教育研究所紀要 Vol.10 上記項目を前年度と比較すると, 数値はほとんど変わらない データの分析及び考察は別稿にゆずることにし, ここでは前年度と大きく異なる点は自由記載が多くなったことであることを指摘したい 回収回答者の半数近くが自由記載に積極的だった 昨年度は教師に対する感謝の言葉

調査の結果 問 1 あなたの性別は 調査に回答していただいた生徒の性別は 男 が問 % 女 が 49.5% です 男 女 問 2 あなたは, 生まれてからずっと鈴鹿市に住んでいますか 生まれたときから鈴鹿市に ずっと住ん

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小学校の結果は 国語 B 算数 A で全国平均正答率を上回っており 改善傾向が見られる しかし 国語 A 算数 B では依然として全国平均正答率を下回っており 課題が残る 中学校の結果は 国語 B 以外の教科で全国平均正答率を上回った ア平成 26 年度全国学力 学習状況調査における宇部市の平均正答

表紙(A4)

性別 女性 48% 男性 52% 男性 女性 年齢 29 歳 5% 30 歳以上 16% 20 歳未満 21 歳 1% 1% 22 歳 7% 23 歳 10% 20 歳未満 21 歳 22 歳 23 歳 24 歳 28 歳 8% 24 歳 14% 25 歳 26 歳 27 歳 27 歳 12% 26

78 八戸学院短期大学研究紀要 第 40 巻 中学生 1 年生の間 ( 初回性交前が理想であるため ) に 1 ヶ月の間隔をおいて 2 回接種を行った後 1 回目の接種から 6 ヶ月の間隔をおいて 1 回の接種を行う 2 価ワクチン ( サーバリックス ) と 中学生の間に 2 ヶ月の間隔で 2 回

Ⅲ 調査対象および回答数 調査対象 学校数 有効回答数児童生徒保護者 (4~6 年 ) 12 校 1, 校 1, 校 1,621 1,238 合計 41 校 3,917 ( 有効回答率 96.3%) 3,098 ( 有効回答率 77.7%) Ⅳ 調査の実施時期

概要と特徴 リクルーター養成ゼミ の成果として ゼミの中で学んだことを活かした自社メッセージを 県内学生に発表する 企業の魅力発表会 を開催した この発表会の最大の目的は 非利用者アンケート を収集できる点にある 求人企業からのメッセージを聞いても 興味 関心が高まらず 応募に至らない生徒 学生たち


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2017 年 2 月 27 日株式会社カカクコム 価格.com 生命保険 に関する調査結果を発表加入率は約 8 割 若年層ほど低い傾向 加入中の生命保険は終身タイプがトップ将来への不安?20 代の加入目的 老後保障 貯蓄 が他世代よりも高い結果に補償内容への理解度 十分理解できていない加入者が 53

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問 1-1 現在の成人のつどいの内容等についてどう思いますか?(1 つ選択 ) 11.4% 19.0% 69.6% 現在のままでよい 213 名 分からない 58 名 変更したほうがよい 35 名 問 1-2 成人のつどいに参加又はお子様等が参加したことがありますか?(1 つ選択 ) 45.1% あ

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l. 職業以外の幅広い知識 教養を身につけたいから m. 転職したいから n. 国際的な研究をしたかったから o. その他 ( 具体的に : ) 6.( 修士課程の学生への設問 ) 修士課程進学を決めた時期はいつですか a. 大学入学前 b. 学部 1 年 c. 学部 2 年 d. 学部 3 年 e

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報道関係各位 2015 年 7 月 31 日 ガルデルマ株式会社 塩野義製薬株式会社 ~ ニキビ経験者を対象としたニキビとニキビ痕に関する調査 より ~ ニキビ経験者の多くが ニキビ治療を軽視 軽いニキビでも ニキビ痕 が残る ことを知らない人は約 8 割 ガルデルマ株式会社 ( 本社 : 東京都新

性別 女性 48% 男性 52% 男性 女性 年齢 29 歳 5% 30 歳以上 16% 20 歳未満 21 歳 1% 1% 22 歳 7% 23 歳 10% 20 歳未満 21 歳 22 歳 23 歳 28 歳 8% 24 歳 14% 24 歳 25 歳 26 歳 27 歳 27 歳 12% 26

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表 回答科目数と回答数 前期 後期 通年 ( 合計 ) 科目数 回答数 科目数 回答数 科目数 回答数 外国語 ( 英語 ) 120 / 133 3,263 / 4, / 152 3,051 / 4, / 285 6,314 / 8,426 外国語 ( 英語以

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新たに定期接種ワクチンとされたことから 本邦における HPV ワクチンによる免疫獲得状況を把握 して 将来の子宮頸癌予防計画に役立つ基盤データを蓄積することを目的に 14 年度から本事業にて HPV16 抗体価の測定調査を実施することとなった 2. 感受性調査 (1) 調査目的ヒトの HPV16 に

裁判員制度 についてのアンケート < 調査概要 > 調査方法 : インサーチモニターを対象としたインターネット調査 分析対象者 : 札幌市内在住の20 歳以上男女 調査実施期間 : 2009 年 11 月 10 日 ( 火 )~11 月 11 日 ( 水 ) 有効回答者数 : N=450 全体 45


1. 交際や結婚について 4 人に3 人は 恋人がいる または 恋人はいないが 欲しいと思っている と回答している 図表 1 恋人が欲しいと思わない理由は 自分の趣味に力を入れたい 恋愛が面倒 勉強や就職活動に力を入れたい の順に多い 図表 2 結婚について肯定的な考え方 ( 結婚はするべきだ 結婚

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避するためには 子宮頸がん検診を定期的に受診することが必要不可欠であること 3 HPV ワクチンの長期成績は未だ確認されていないこと このため 将来的に追加接種が必要となる可能性もあること 4 10 歳未満の小児 妊娠中の女性及び高齢者に対する有効性と安全性は確立されていないこと 5 HPV は性行

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データ概要調査対象 : 留学ジャーナルから 7 月 ~9 月に短期留学 (1 週間 ~4 週間の留学を指す ) した大学生に任意で実施したアンケート調査の結果調査人数 :64 名調査期間 :2016 年 9 月 26 日 ~10 月 16 日 留学期間 1 週間以内 2 週間 3 週間 4 週間 合

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3-1. 新学習指導要領実施後の変化 新学習指導要領の実施により で言語活動が増加 新学習指導要領の実施によるでの教育活動の変化についてたずねた 新学習指導要領で提唱されている活動の中でも 増えた ( かなり増えた + 少し増えた ) との回答が最も多かったのは 言語活動 の 64.8% であった

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第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

2018 年日本の医療に関する世論調査 日本医療政策機構 October, 2018

Transcription:

高校生を対象とした子宮頸がん 性感染症予防の啓発教育 ~ 自分の体は 自分で守ろう ~ 石原幸 岩本久幸 川上裕子 工藤慶子 端真季子 山口勝利 米丸隼平 1. 目的 背景本邦における子宮頸がんの罹患数は年間 16,422 人 (2005 年 上皮内がん含む ) 死亡数は年間 2519 人 (2009 年 ) で 罹患率 死亡率ともに 20 歳 ~30 歳代の若年層で増加している 2009 年 12 月に本邦でも接種可能となったワクチンにより ヒトパピローマウイルス (HPV)16 型 18 型による子宮頸がんの発症は大幅に予防が可能となった また 定期的な検診が子宮頸がんの進行阻止のために非常に有効であることも分かっており 検診やワクチン接種費用の一部を公費で負担する自治体も増えてきている しかしながら子宮頸がんが予防 早期発見可能であるにも関わらず 本邦での子宮頸がん検診受診率は他の先進国に比べてきわめて低く 日本の受診率は 24.3%( 国民生活基礎調査に基づく推定値 2010 年 ) に留まっている 私たちは 本邦の子宮頸がんのワクチン接種率 検診受診率向上のためには より早期に疾患に関する正しい知識を身につけ 予防 検診の重要性を理解してもらうことが先決ではないかと考え また HPV を含め 各種性感染症についても 身近な方法で感染のリスクを減らすことが可能であることを若年者に知ってもらう必要があると考えた そこで 高校生への子宮頸がんおよび性感染症の予防啓発教育を目的として本実習を行った 2. 対象 方法 2-1. 事前学習 1) 2011 年 7 月 30 日,11 月 16 日 ; 子宮頸がんレクチャー ( 高橋健太郎先生周産期医療学講座教授 ) 2) 2011 年 9 月 16 日 ; 琵琶湖ピンクリボンフェスタ への参加 3) 2010 年 10 月 4 日 ; 乳がんレクチャー ( 田中彰恵先生草津総合病院保健管理センター医長 ) 2-2. 啓発教育 2011 年 11 月 30 日 ; 愛知高校での授業実施 対象 愛知高校 3 年生の生徒 ( 在籍数女子 56 名 男子 46 名 計 102 名 ) を対象に 男女別のグループに分け 子宮頸がん 性感染症の予防の授業 (50 分 ) を行った 出席した 49 人の女子は 3 つのグループに分け 男子は 41 人を 1 グループとした 内容 今回の授業では 高校生に 子宮頸がん 性感染症の予防についての正しい知識を身につけてもらう ことを目標として 授業内容を作成した 追加で 女子高校生のみを対象に 思春期の月経異常への不安を軽減する ことを 授業内容に盛り込んだ 1 授業前後アンケートの実施高校生に関心をもってもらえるようなトピックの順番を工夫するために 授業前にアンケート調査を実施した 授業前アンケートは 授業より約 1 ヶ月前に ホームルーム時間中に担任の先生に配布と回収を依頼し 高校生にとって比較的身近である 避妊 や 性感染症 (Sexually Transmitted Disease ; STD) についての知識 認識を調べた そのアンケート結果によって 男女ともに 性感染症の予防 そして女性特有の病気というテーマで 子宮頸がん 月経異常 月経痛 についての説明をすることにした 授業後アンケートは 授業直後に私たちが直接配布してその場で回収した 出席した全ての生徒から回答を得た 授業前後の回答の比較には χ 2 検定を用いた ( 有意水準 p=0.05) 2 男女別での講義男子と女子で伝えたいことや強調したいことが異なったため 男女別で講義をした 女子では子宮頸がん 子宮頸がんワクチン / 検診と性感染症の予防 そして月経異常 月経痛を内容としたのに対し 男子では STD 感染予防を強調した 女子に対する講義は 本学医学科 4 回生の女子学生 3 人の協力を得て 質疑応答をしやすい環境をつくるために 3 グループに分け少人数で行った 男子に対する講義は 1 グループで行った 1

2-3. アンケート内容 授業前 A) 性行為に興味ある?( ある ない 気持ち悪い 関係ない ) B) 性行為をするとき 赤ちゃんができない方法は?( コンドーム ピル 膣外射精 性行為後に性器を洗う その他 ) C) 性感染症って何でしょう?( 自由回答 ) D) どんな性感染症を知っている?( 複数回答 ; クラミジア HIV( エイズ ) 淋菌 ( りんきん ) 尖圭コンジローマ ) E) 性感染症の予防方法は?( 複数回答 ; コンドーム ピル 膣外射精 性行為後に性器を洗う 生理中に性行為 その他 ) F) コンドームはいつ着ける?( 射精する直前 挿入前 性行為の時 危険日 生理中 ) G) 性行為でがんになることはある?( ある ない ) H) 子宮けいがんの CM( 公共広告機構 AC) を見たことがある??( ある ない ) I) 子宮けいがんワクチンを知っている?( 女子のみ ; 知っている 知らない ) J) 子宮けいがんワクチンの受診有無 予定 ( 女子のみ ; もう受けた まだだけど受けるよ 受けない 関係ない わからない ) K) 生理不順 生理痛が気になりますか?( 女子のみ ; はい いいえ ) 授業後 1) 性行為に興味ある?( ある ない 気持ち悪い 関係ない ) 2) 性感染症の予防方法は?( 複数回答 ; コンドーム ピル 膣外射精 性行為後に性器を洗う 生理中に性行為 その他 ) 3) 性感染症って何でしょう?( よくわかった まあまあわかった わからないところがあった ぜんぜんわからなかった ) 4) どんな性感染症を知っている?( 複数回答 ; クラミジア HIV( エイズ ) 淋菌 ( りんきん ) 尖圭コンジローマ ) 5) コンドームはいつ着ける?( 射精する直前 挿入前 性行為の時 危険日 生理中 ) 6) 性行為でがんになることはある?( ある ない ) 7) 子宮けいがんワクチンを受けたい?( 女子のみ ; まだだけど受けたいと思う 関係ない わからない ) 8) 生理不順 生理痛について?( 女子のみ ; 不安が減った 知りたいことは聞けたけれどまだ不安 変わらない 不安が増加した ) 3. 結果 考察 3-1. アンケート結果についてアンケート回収率は 授業前が女子 45 名 男子 39 名 授業後が女子 49 名 男子 41 名であった Ⅰ. 性感染症および子宮頸がんについて 授業前のみの質問について 質問 B 性行為をするとき 赤ちゃんができない方法は? について聞いたところ 男子ではコンドーム 37 名 ピル 15 名 膣外射精 10 名 性器洗浄 3 名 女子ではコンドーム 41 名 ピル 30 名 膣外射精 4 名 性器洗浄 1 名と おおむねコンドームとピルを知っているとわかったので 授業ではそれぞれの避妊方法についての説明を軽く済まし 適切な避妊方法の指導に重きを置いた 質問 H 子宮けいがんの CM( 公共広告機構 AC) を見たことがある?? について 男子では見たことがあるのは 15 名で 見たことがないのは 20 名 女子では見たことがあるのは 27 名で 見たことがないのは 11 名であった よって約半数が CM を認識していないとことがわかった 質問 I 子宮けいがんワクチンを知っている? は女子のみを対象に質問した 子宮頸がんワクチンを知っていたのは 15 名 (33%) であった この結果を踏まえ 授業では子宮頸がんについて多くの時間を割いて説明することにした 2

授業前後で行った質問について 質問 A 1 性行為に興味はありますか について授業前後で比較したが ( 図 1) 性行為に対する興味に変化があったとは言えなかった ( 男子 :p=0.99 女子 :p=0.80) 図 1 質問 A 1 性行為に興味はありますか 左が男子 右が女子のもの グラフ中の数字は回答があった人数を示す 質問 E 2 性感染症予防に効果的なのは? の正解は コンドーム である 女子の回答を授業前後で比較したところ ( 図 2 右 ) 正解 コンドーム を選んだ女子は 34 名から 49 人に増加し 統計的にも有意差を認めた (p<0.01) コンドームの役割 重要性を理解してくれたとともに ピル や 膣外射精 などの誤った選択肢を選ぶ生徒が減少した また男子は 授業後正答率は 100% には至らなかったが 授業前に比較して コンドーム を選択する生徒は増加した ( 図 2 左 ) 授業前の正答率がすでに高かったので統計的には授業前後で有意な変化は認められなかった 男子では必ず一人 誤った回答を選ぶ生徒が各項目に見受けられた 授業で改善すべきことがあったのかもしれない 女子の授業が少人数制であったのに対して 男子が 40 人超の授業であったことも要因だろうか 図 2 質問 E 2 性感染症予防に効果的なのは? 左が男子 右が女子のもの グラフ中の数字は回答があった人数を示す 質問 3 性感染症についてよく理解できた? について 女子ではでは よくわかった と 32 名 まあまあわかった と 16 名が 男子では よくわかった と 21 名 まあまあわかった と 18 名が答えたので 性感染症の授業内容はよくわかっていただけたようである 質問 D 4 性感染症として知っているものは? について授業前後で比較した p<0.01 p<0.01 p=0.20 p=0.04 p=0.69 p<0.01 P<0.01 p=0.28 図 3 質問 D 4 性感染症として知っているのは? 左が男子 右が女子のもの グラフ中の数字は回答があった人数を示す 3

男子では 尖圭コンジローマ 淋菌 クラミジア の回答者が 女子では 淋菌 HIV の回答者が 統計的にも有意に増加した ( 図 3) 男子の HIV の回答は授業前から知っている人が多かったので 授業前後でほとんど変化が見られなかった 質問 F 5 コンドームをつけるタイミングは? の正解は 挿入前 である 授業前後で男子の正答者数は変化がなかったが 女子の正答者数は有意に増加した (p<0.01) また 生理中 危険日 などの誤答は男女とも少なくなった 男子で 授業後に 性行為のとき の回答が増えたことについては 確かに間違った回答ではないものの 挿入前 ということが十分に伝えきれなかった可能性がある 男子 女子 図 4 質問 F 5 コンドームをつけるタイミングは? 上 5 項目が男子 下 5 項目が女子のもの グラフ中の数字は回答があった人数を示す 質問 G 6 性感染症でがんになることがある? について授業前後で比較したところ 男女ともに授業前は ある の回答が少なかったが 授業後はほとんどの人が ある と答え ( 図 5) 統計的にも有意な変化を認めた (p<0.01) 子宮頸がんを授業で取り扱ったため HPV( ヒトパピローマウイルス ) が性感染症によって広がり がんを引き起こすことがあるということを理解してもらったと言え 授業の成果は非常にあったと思われる 図 5 質問 G 6 性感染症でがんになることがある? グラフ中の数字は回答があった人数を示す 質問 J 7 子宮頸がんワクチンを受ける? は 女子のみを対象に質問した 授業前後で比較したところ ( 図 6) 回答構成に有意な変化を認めた (p=0.04) 授業によりワクチンの認知度が上昇し その必要性も理解してもらえたものと考えられる 4

図 6 質問 J 7 子宮頸がんワクチン受ける? グラフ中の数字は回答があった人数を示す Ⅱ. 月経異常および月経痛について ( 女子のみ ) 質問 K 生理不順 生理痛が気になりますか? について はい と答えたのは 18 名 いいえ と答えたのは 22 名だった これより 約半数の女子が 生理 について不安に思っているとわかったので 授業で詳しく取り扱うことにした 授業後アンケート 質問 8 生理不順 生理痛について? では 不安が減った が 28 名 知りたいことは聞けたけれどまだ不安 が 10 名 変わらない が 7 名 不安が増加した が 3 名となった 授業で 生理不順 生理痛 を取り扱うことは適切だったとの手ごたえを感じた 3-2. 授業中の生徒の様子 反応 質疑応答 [ 女子 ] 反応の良い生徒では 非常に興味深く話を聞いてくれたようで 途中で質問もしてくれたりした 一方 寝る生徒もいた 生理不順の話になったら退屈そうな生徒も顔をあげて聞いてくれた ほとんどの生徒がスライドや話に反応し 思い思いの感想を述べてくれた 2 人くらい 終始携帯電話ばかり見ている生徒もいた 子宮頸がんの難しいレジメでは 反応がやや乏しかったが 自分の興味ある月経異常については 食いつきがよかった 途中面白いことを言うと 少し盛り上がった [ 男子 ] 淋菌の説明スライドで不安になって 治るんですか? と聞いてきた 性に関する興味や不安は生徒ひとりひとりによって異なったが 昨年の授業の反省から情報量が過剰になるのを抑え 焦点を絞って性感染症の紹介 その予防法や意義 パートナーへの思いやりについて話したのでその効果はあったと思われる 3-3. 授業の進め方で工夫した点で良かった所 今後の課題 [ 女子 ] 生徒の反応をみながら 授業を進めた 生徒の反応が大きく 後で話す予定のことを先に質問してきてくれるので シナリオ通りには進まず アドリブが殆どであった 時間内に終わるならば 伝えるべきことを強調しさえすれば シナリオにこだわり過ぎなくてもいい 2 クラスは和室での授業だったため もたれるところを求めて ほとんどの生徒が壁に張り付いて後ろのほうに行ってしまった その反面 和室で座談会っぽくなって質問しやすい雰囲気にはなったかもしれない 途中 HPV 感染の方法や発がんまでの経緯の話は最も大事な部分のひとつではあるが スライドが込み合いすぎていた スライドを分けて作成してもよかったのかもしれない エイズの写真は 性行為に対して 生徒に少し怖い印象を与えてしまった 子宮頸がんのワクチンの助成が愛荘町では高校 1 年生までなので 高校 1 年生を対象にしたほうがよいのではないか? 子宮頸がんワクチンは 高校 3 年のみなさんがこれから受けるには 4~6 万円かかる と説明したが 高校生には 高い 無理 ( 受ける気なくす ) という印象を与えるかもしれない 保護者に向けての啓発活動も必要ではないか? 5

先生からは とにかく 女の子たちに 自分の身は自分で守れ! ということを伝えたい ということを言われた 先生の意図や生徒の質問の内容を考えると STD やセックスそのもののこと 中絶などの話でもよかったのかもしれない 高校生でも 中にはセックスそのものに対して嫌悪感や抵抗感がある生徒さんもいるはず そのような生徒さんに配慮する言葉があってもよかった [ 男子 ] 男子では全員まとめての授業であったが 全体として落ち着いて興味をもって聞いていたので 彼らの必要とする知識を提供できた 知識の定着を確認するためには 授業直後のアンケートだけではなく 一定期間をおいてから再度アンケートを実施することが望ましい もう少し質疑応答に時間をさいてもよかった 本実習では 事前アンケートの結果を参考に授業内容に反映することはできたが それを授業後アンケートで感じることができなかった その原因は授業後のアンケートでの質問事項が授業で獲得した知識を確認しやすい形ではなかったためであると考える ただし 男子授業の目標としてあらかじめ 掲げていたのは さまざまな性感染症と 子宮頸がんを知り ウイルス感染予防のための知識を獲得し今後の人生に役立ててもらう というものであったため その目標は達成できたと考える 来年以降に生かすべき反省点としては スライド中にいくつか問題を加えるなどして 能動的に学習できるとよいかと思う 4. 結論愛知高校 3 年生を対象に子宮頸がん 性感染症 月経異常 月経痛に関する授業を実施した アンケート調査結果の授業前後の検討および生徒の反応や質問から 私たちの目標であった子宮頸がん 性感染症の予防に関する啓発教育は概ね成功したと考えられる 最後に 今回授業を通して感じたのは 教育現場における性教育のあり方を考えなければ 日本の小中高校生の性感染症や望まない妊娠に対する危機管理能力は低いのにも関らず 性交初経験年齢や数の増加が見られる現状に対して 寛容すぎるのではないかということである そういった意味でも医学生による性教育活動の一面も担う本フィールドワーク実習は有意義であったと思う 疾患の知識を獲得してもらうことで 予防や検診の重要性を理解してもらう もちろん女性に正しい知識を身につけてもらい 啓発活動があらゆる年齢層に対して行われることが効果を奏すると思われるが それとともに男性に対しても啓発活動をすることでも 子宮頸がんや性感染症の予防 定期健診受診率増加につながるものと思われる 5. 謝辞今回の啓発内容にあたる性感染症 子宮頸がん 思春期の月経異常について レクチャーおよび高校生への授業内容について様々なアドバイスをしてくださった高橋健太郎先生 ( 周産期医療学講座教授 ) 乳がんのレクチャーおよび草津総合病院保健管理センターの案内 説明をしてくださった田中彰恵先生 ( 草津総合病院健康管理センター医長 ) 愛知高校の諸先生方 生徒の皆さん 女子学生対象の授業をお手伝いしてくださった池田更さん 中嶋麻子さん 首尾木理香さん そして最後に実習を通して私たちにご指導して下さった北原照代先生 ( 社会医学講座衛生学部門 ) に厚く御礼申し上げます 6. 参考文献滋賀医大病院ニュース TOPICS Vol.57 http://www.shiga-med.ac.jp/hospital/doc/magazines/files/739.pdf がん情報サービス独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター http://ganjoho.jp/public/statistics/pub/kenshin.html 国民生活基礎調査 2010 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/ 6