Title 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に対する保存治療の効果と骨癒合の予測 Author(s) 岩田, 玲 Issue Date 2016-03-24 DOI 10.14943/doctoral.k12092 Doc URL http://hdl.handle.net/2115/65113 Type theses (doctoral) Note 配架番号 :2196 File Information Akira_Iwata.pdf Instructions for use Hokkaido University Collection of Scholarly and Aca
学位論文 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に対する保存治療の効果と骨癒合の予測 (The Effect of Conservative Treatment and the Prospect of Union Status for Osteoporotic Vertebral Compression Fracture) 2016 年 3 月 北海道大学 岩田玲 (Akira Iwata)
学位論文 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に対する保存治療の効果と骨癒合の予測 (The Effect of Conservative Treatment and the Prospect of Union Status for Osteoporotic Vertebral Compression Fracture) 2016 年 3 月 北海道大学 岩田玲 (Akira Iwata)
目 次 発表論文目録および学会発表目録 1 頁 緒言 略語表 3 頁 4 頁 第一章緒言対象と方法結果考察 5 頁 6 頁 8 頁 13 頁 第二章緒言対象と方法結果考察 14 頁 15 頁 17 頁 20 頁 第三章緒言対象と方法結果考察 21 頁 22 頁 23 頁 31 頁 第四章 緒言 対象と方法 32 頁 33 頁 研究全体の考察総括および結論謝辞引用文献 46 頁 48 頁 50 頁 51 頁
発表論文目録および学会発表目録 本研究の一部は以下の論文に発表した. 1. Akira Iwata, MD, Masahiro Kanayama MD, Fumihiro Oha, MD, Tomoyuki Hashimoto, MD, Norimasa Iwasaki, MD Effect of Teriparatide (rh -PTH 1-34) versus Bisphosphonate on the Healing of Osteoporotic Vertebral Compression Fracture: A Retrospective Comparative Study Osteoporosis International, under review, (2015) 2. Akira Iwata, MD, Masahiro Kanayama MD, Fumihiro Oha, MD, Tomoyuki Hashimoto, MD, Norimasa Iwas aki, MD Does Spinopelvic Alignment Affect the Union Status in Thoracolumbar Osteoporotic Vertebral Compression Fracture? International Orthopaedics, under review, (2015) 本研究の一部は以下の学会に発表した. 1. Akira Iwata, MD, Masahiro Kanayama, MD, Keiichi Shigenobu MD, Fumihiro Oha, MD, Takashi Ohnishi, MD, Masaru Tanaka, MD, Tomoyuki Hashimoto, MD Effect of RH-PTH 1-34 versus bisphosphonate on the union rate of osteoporotic vertebral fractures 40th annual meeting, International Society for the Study of the Lumbar Spine, May 13-17, 2013, Scotts dale, U.S.A. 2. Akira Iwata, MD, Masahiro Kanayama, MD, Fumihiro Oha, MD, Shingo Onda MD, Kaoru Tashiro, MD, Takamasa Watanabe, MD, Tomoyuki Hashimoto, MD, Norimasa Iwasaki MD Does daily teriparatide enhance the healing process of osteoporotic vertebral fracture? 41th annual meeting, International Society for the Study of the Lumbar Spine, June 3-7, 2014, Soul, KOREA 3. Akira Iwata, MD, Masahiro Kanayama, MD, Fumihiro Oha, MD, Shingo Onda MD, Kaoru Tashiro, MD, Takamasa Watanabe, MD, Tomoyuki Hashimoto, MD, Norimasa Iwasaki MD Effect of Teriparatide versus Bisphosphonate on the Healing of Osteoporotic Vertebral Fracture American Academy of Orthopaedics Surgeons 2015, Mar 24-28, 2015, Las Vegas, U.S.A. 4. Akira Iwata, MD, Masahiro Kanayama, MD, Fumihiro Oha, MD, Shingo Onda MD, Kaoru Tashiro, MD, Takamasa Watanabe, MD, Tomoyuki Hashimoto, MD, Norimasa Iwasaki MD Effect of Spinopelvic Alignment on the Union of Thoracolumbar Osteoporotic Vertebral Compression Fracture 42th annual meeting, International Society for the Study of the Lumbar Spine, June 8-12, 2015, 1
San Francisco, U.S.A. 5. Akira Iwata, MD, Masahiro Kanayama, MD, Fumihiro Oha, MD, Tomoyuki Hashimoto, MD, Norimasa Iwasaki MD Does Spinopelvic Alignment Affect the Union Status in Thoracolumbar OsteoporoticVertebral Compression Fracture? American Academy of Orthopaedics Surgeons 2016, Mar 1-5, 2016, Orland, U.S.A. 6. 岩田玲金山雅弘重信恵一大羽文博大西貴士田中将橋本友幸 PTH 製剤 (daily teriparatide) の使用は骨粗鬆症性椎体骨折の治癒を促進する第 42 回日本脊椎脊髄病学会, 平成 25 年 4 月 25-27 日, 沖縄県宜野湾市 7. 岩田玲金山雅弘重信恵一大羽文博大西貴士田中将橋本友幸 PTH 製剤 (daily teriparatide) の骨形成促進作用が骨粗鬆症性椎体骨折の骨癒合に及ぼす影響第 86 回日本整形外科学会学術総会, 平成 25 年 5 月 23-26 日, 広島市 8. 岩田玲金山雅弘重信恵一大羽文博遠田慎吾田中将橋本友幸岩崎倫政 Daily teriparatide は骨粗鬆症性椎体骨折の治療を促進するか?-MRI および骨代謝マーカーによる評価 - 第 43 回日本脊椎脊髄病学会, 平成 26 年 4 月 17-19 日, 京都 9. 岩田玲金山雅弘重信恵一大羽文博遠田慎吾田中将橋本友幸岩崎倫政 PTH 製剤 (daily teriparatide) に比較し骨粗鬆症性椎体骨折の治癒を促進するか-ランダム化試験 ( 第 1 報 )- 第 87 回日本整形外科学会学術集会, 平成 26 年 5 月 22-25 日, 神戸 10. 岩田玲金山雅弘大羽文博遠田慎吾田代薫橋本友幸岩崎倫政受傷時の脊椎骨盤アライメントが骨粗鬆症性椎体骨折の骨癒合に及ぼす影響第 44 回日本脊椎脊髄病学会, 平成 27 年 4 月 16-18 日, 福岡 11. 岩田玲金山雅弘大羽文博遠田慎吾田代薫橋本友幸岩崎倫政骨粗鬆症性椎体骨折の骨折治癒に対する脊椎骨盤アライメントの影響第 88 回日本整形外科学会学術集会, 平成 27 年 5 月 21-24 日, 神戸 2
緒言 骨粗鬆症は低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし 骨の脆弱性が増大し 骨折の危険性が増加する疾患である 日本の骨粗鬆症患者数は 1280 万人で男性 300 万人 女性 980 万人である 1 高齢化社会で骨粗鬆症患者は増加しており 70 歳台で 30-45% 80 歳台で 40-45% に達する 2-4 一方椎体骨折の発生は 60 歳台で 8-13% 70 歳台で 30-40% 80 歳台では 60% に達する 4,5 椎体骨折後の生存率は 3 年でおおよそ 50% 5 年で 30% 7 年で 10% であり生命予後に関わるが 6 続発する椎体骨折ではさらに生存率を下げる 7 続発する椎体骨折の発生リスクは新鮮椎体骨折を生じた最初の 1 年が 1 番高く 5 倍のリスクを持つ 8 2 個以上の椎体骨折があると新規椎体骨折の発生リスクが 12 倍になりさらに生命予後を増悪させる 8,9 椎体骨折を生じると新規椎体骨折の発生を防ぐ治療が必要とされ 薬物療法が必須である 椎体骨折そのものの経過でも 骨癒合が得られない場合 ( 偽関節 ) では 耐えがたい背部痛や神経組織の圧迫による神経学的脱落所見の出現が生じる 10-12 疼痛が持続する場合や下肢痛 麻痺などの神経学的脱落所見が生じた症候性の椎体骨折の偽関節には外科的介入が必要であり約 4 割死亡を回避でき 13 手術は神経学的脱落所見を生じた椎体骨折患者の予後を改善する 神経学的脱落所見を呈する症例にはインストゥルメンテーションを用いた脊柱再建術が必要とされるが 14,15 神経学的脱落所見を呈していない場合に比較して 一度神経学的脱落所見を呈した場合には予後は悪い 13 椎体骨折の治療では神経学的脱落所見を呈することが無いように偽関節を防ぐことが最も優先するべき治療目標となる 神経学的脱落所見を呈していない骨粗鬆症性脊椎椎体骨折の治療方法は投薬を中心とした薬物療法になる 現在の第一選択薬はビスフォスフォネート製剤で 安価で効果が高い骨粗鬆症治療薬である しかし同薬剤を使用しても椎体骨折が偽関節に陥ることは散見される 如何に骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に対して医療資源を考慮した上で骨癒合を得られるか検討をする必要がある 本研究ではこれに対して日本で 2010 年から導入された骨粗鬆症治療薬である副甲状腺ホルモン製剤 ( テリパラチド ) を用いて椎体骨折に有用であることを明らかにした また椎体骨折の骨癒合を阻害する因子が現在報告されているもの以外にないか 脊柱骨盤配列に着目して骨癒合との関係を調査した そしてビスフォスフォネート製剤を使用しても骨癒合が得られない場合の予測が可能かを 同薬剤導入後の比較的早期に骨代謝マーカーの変動を調べることによって予測が可能あることを示した 本研究は骨粗鬆症性脊椎椎体骨折の保存治療に関して医療経済を考慮しまた安全に遂行できるかを ビスフォスフォネート製剤を基準にして病態に応じてテリパラチドをどの条件で選択するかに資することができる報告である 3
略語表 本文中および図中で使用した略語は以下のとおりである. BAP BMD BP CT DICOM DSVA GFR MRI N/A ODI RDQ ROC SD SERM SVA TPD TRAP5b YAM bone-specific alkaline phosphatase bone mineral density bisphosphonate computed tomography digital imaging and communications in medicine distance from sagittal vertical axis glomerular filtration rate magnetic resonance image not applicable Oswestry Disability Index Roland-Morris Questionnaire Receiver Operating Characteristic standard deviation selective estrogen receptor modulator sagittal vertical axis teriparatide tartrate resistant acid phosphate type 5b young adult mean 4
第一章 テリパラチドが骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に及ぼす影響 ( ビスフォスフォネート製剤との比較対照試験 ) 緒言 受傷時に神経学的脱落所見を呈していない骨粗鬆症性脊椎椎体骨折のうち骨癒合が得られない場合 ( 偽関節 ) では 耐えがたい背部痛や神経組織の圧迫による神経学的脱落所見の出現が生じる 10-12 神経学的脱落所見を呈した骨粗鬆症性椎体骨折は予後を考慮すると手術治療の利点が大きいが 13 神経学的脱落所見や耐え難い背部痛が生じないようにするのに 保存的治療がどれほど有益なものであるのか未だ十分な報告がない 骨粗鬆症治療に対して骨吸収抑制薬であるビスフォスフォネート製剤が第 1 選択薬であるが 近年骨形成を促進させる副甲状腺ホルモン製剤 ( テリパラチド :TPD) が重度の骨粗鬆症に用いられている 骨折の治癒を妨げないように非荷重にできる部位の骨折では骨癒合速度を促した臨床研究があるが 16,17 日常生活を送るうえで荷重や屈曲 伸展 回旋などの応力を避けることができない脊椎椎体骨折にテリパラチドがどれほど有益であるか 未だ十分な報告がなされていない 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折を治療する上で重要なことが耐え難い背部痛を生じることがある偽関節や椎体圧潰を生じて脊髄 神経根障害を生じさせないことが重要であるため 生命予後を悪化させないように脊椎椎体骨折の骨癒合率を改善することが最も重要なことである 本研究ではテリパラチドは骨粗鬆症性脊椎椎体骨折において骨癒合を促進するという仮説を立て テリパラチドが骨粗鬆症性脊椎椎体骨折の骨癒合に与える影響を調査した 椎体骨折が続発すると生命予後がさらに悪くなるため 8,9 倫理的観点からプラセボ群を比較対照にはせずに従来使用されてきたビスフォスフォネート製剤との実薬対照後ろ向き比較試験を行った 後ろ向き研究であるため テリパラチドかビスフォスフォネート製剤の薬剤選択の要素以外に 骨癒合に影響を与える因子について調査した 薬剤選択の違いが骨癒合に与えるかについて背景因子の違いを調節するために多変量解析を行った また副次項目として 骨折椎体の変形の程度 手術加療の有無も調査した 5
対象と方法 対象は 2010 年 10 月から 2012 年 3 月までに入院した 1 椎体の新鮮骨粗鬆症性脊椎椎体骨折の患者のうち テリパラチドもしくはアレンドロネートを使用して保存療法を行った 98 人 ( 男 12 女 86 歳 平均 76.7 歳 (58-94 歳 ) である ステロイド性骨粗鬆症 GFR 30ml/min/m 2 以下の慢性腎不全 悪性腫瘍の罹患 半年以内に転院 施設等に移動した後骨癒合判定されないまま脱落した症例が除外されている 骨粗鬆症治療薬としてテリパラチド (FORTEO, Eli Lilly and Company, Indianapolis, IN, USA, approved by the U.S. Food and Drug Administration)20μg 毎日皮下注を行った群 38 人 (TPD 群 ) とアレンドロネート (FOSAMAX, Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, NJ, USA, approved by the U.S. Food and Drug Administration)35mg 週 1 回経口投与 (BP 群 ) を行い TPD 群と BP 群の骨癒合率について比較検討した 新鮮椎体骨折の診断は MRI(Signa HDxt1.5T Optima Edition, GE Healthcare Japan Company, Tokyo, Japan) の T1 強調画像で低輝度 T2 強調脂肪抑制画像で高輝度変化を同定する 18 ことによって行った 骨粗鬆症は 2006 年度の骨粗鬆症の診断基準を用いて dual-energy x- ray absorptiometry (Delphy QDR system Toyo Medic Company, Tokyo, Japan) で Young adult mean (YAM) で 70% 未満の骨密度 (-2.5SD と同様 ) である場合と YAM70-80% の骨量減少状態 (-1.5SD から-2.5SD) に骨折を生じたものとした 両群とも下肢機能の温存のため両群ともプラスチック製の体幹装具を入院後 1 週間以内に作成し 装着後すぐに立位歩行訓練を行った 主要評価項目の骨癒合の判定は X 線前後屈機能撮影によって骨折部の可動性がなく CT で骨の連続性が確認されたものとし 受傷後 6 か月および最終経過観察時の調査を行った 副次項目は 骨折椎体の変形の程度として椎体高 後弯角の計測を行った 椎体圧潰の定義は受傷時から 15% 以上の椎体高の減少と 10 度以上の角度変化とした 19 また 臨床評価として手術加療を必要としたかを調査した 患者背景の年齢 (80 歳以上か 80 歳未満か ) 性別 腰椎骨密度(- 2.5SD 未満か-2.5SD 以上か ) 既存椎体骨折の有無 胸腰椎移行部( 第 11 胸椎から第 2 腰椎 ) の椎体骨折か否か 椎体の後壁骨折の有無 受傷時のビスフォスフォネート製剤の使用の有無について調査をした ( 表 1) 平均経過観察期間は 17.4 ヶ月であった 表 1. テリパラチド使用群とビスフォスフォネート使用群の患者背景 年齢 ( 平均 ± 標準偏差 ) 性別 ( 男性 : 女性 ) 腰椎骨密度 (g/cm 2 ) ( 平均 ± 標準偏差 ) TPD N=38 BP N=60 75.5±7.1 77.6±8.0 4:34 8:52 0.709±0.02 0.692±0.01 0 9 P 値 ( 検定 ) 0.205 (t 検定 ) 0.761 (Fisher 正確検定 ) 0.561 (t 検定 ) 6
既存椎体骨折 ( なし : あり ) 8: 30 15: 45 骨折椎体の高位 ( 胸腰椎移行部以外 : 胸腰椎移行部 ) 17: 21 18: 42 椎体後壁骨折 ( 損傷なし : 損傷有り ) 16: 22 28: 32 ビスフォスフォネート製剤の使用 ( 使用なし : 使用あり ) 17: 21 42: 18 *P<0.05, TPD: テリパラチド, BP: ビスフォスフォネート 0.653 (Fisher 正確検定 ) 0.138 (Fisher 正確検定 ) 0.658 (Fisher 正確検定 ) 0.021* (Fisher 正確検定 ) 統計処理は有意差を危険率 0.05 未満として 統計ソフトには JMP Pro 11(SAS Institute Incorporation, North Carolina, and America) を用いた 連続変数については t 検定を 文字変数には Fisher の正確検定を用いた 骨癒合の背景因子を考慮して多変量ロジスティック解析を用いたが 有意な変数を選択するのに変数増減法として Step Wise 法を用いた 7
結果 1. 薬剤選択が骨癒合に及ぼす影響について骨癒合率は受傷後半年で TPD 群は 89%(34/38) BP 群は 68%(41/60) で TPD 群の骨癒合が有意に良好であった (P=0.026, Fisher の正確検定 ) 最終経過観察時は TPD 群 97%(37/38) BP 群 87%(52/60) であった (P=0.147, Fisher の正確検定 )( 図 1) TPD: テリパラチド BP: ビスフォスフォネート図 1 テリパラチド群とビスフォスフォネート群の骨癒合率治療後半年後の骨癒合率はテリパラチド群 89% ビスフォスフォネート群 68% であり 有意にテリパラチド群の骨癒合率が高かった (P=0.026, Fisher 正確検定 ). 最終経過観察時にはテリパラチド群 97% ビスフォスフォネート群 87% であった (P=0.147, Fisher 正確検定 ) Kaplan-Meyer 生存曲線を骨癒合に用いると 有意に骨癒合が早くなる傾向がみられた (P<0.001, Log-rank 検定 )( 図 2) 8
図 2 骨癒合における Kaplan-Meier 生存曲線実線はテリパラチド群 破線はビスフォスフォネート群でそれぞれの骨癒合を Kaplan- Meier 曲線で表した. 細い矢印は偽関節で経過観察を終了したもの 太い矢印は手術加療が介入して保存治療期間が終了したものである テリパラチド群は有意に骨癒合期間が短いことが示された (p<0.001; Log-rank テスト ). 調節したハザード比で 1.78 (95% 信頼区間 : 1.16 2.71) であった 骨折椎体に対して外科治療を要したのは 2 例あり 1 例は神経学的脱落所見が出現しインストゥルメンテーションを用いた後方除圧固定術を もう 1 例は耐え難い背部痛が持続するために経皮的に骨セメントを充填する椎体形成術を行ったがいずれも BP 群であった 患者背景を基に多変量解析を行った結果は 骨癒合は TPD 群の BP 群に対する背景因子で調節した Odds 比は 8.15(95% 信頼区間は 2.02-43.33) ハザード比は 1.78(95% 信頼区間は 1.16-2.71) であった ( 表 2) 表 2 治療後 6 か月での骨癒合に及ぼす因子の Odds 比多変量解析 ( 変数増減法にステップワイズ法を使用 ) 骨癒合に与える因子調節したオッズ比 P 値 (95% 信頼区間 ) 9
年齢 (80 歳未満 : 80 歳以上 ) 0.205 2.21 (0.65 8.11) 性別 ( 男性 : 女性 ) 骨折椎体高位 ( 非胸腰椎移行部 : 胸腰椎移行部 ) 0.001* 11.67 腰椎骨密度 ( -2.5SD 以上 : < -2.5SD 未満 ) 既存椎体骨折 ( なし : あり ) 椎体後壁骨折 ( 損傷無し : 損傷有り ) ビスフォスフォネートの使用 ( 使用無し : 使用有り ) 治療薬剤の選択 (TPD: BP) N/A 0.001* N/A 0.001* 0.019* 0.002* N/A (2.48 83.17) 11.68 (2.48 83.17) N/A 8.53 (2.25 42.23) 4.86 (1.29 22.09) 8.15 (2.02 43.33) *P<0.05,SD: standard deviation,tpd: テリパラチド,BP: ビスフォスフォネート,N/A: 適 応外 (not applicable) 2. 骨癒合に影響を及ぼした背景因子について本研究での骨癒合に影響を与える因子は 調節した Odds 比で表すと 椎体骨折が胸腰椎移行部の場合に比較してそうでない場合には 11.67 (95% 信頼区間 : 2.48 83.17), 腰椎骨密度が標準偏差の 2.5 倍以上ある場合にはそうでない場合に比較して 11.68(95% 信頼区間 : 2.48 83.17) 椎体の後壁骨折がない場合にはある場合に比較して 8.53(95% 信頼区間 : 2.25 42.23) 受傷時にビスフォスフォネート製剤を使用していない場合には使用している場合に比較して 4.86(95% 信頼区間 : 1.29 22.09) であった ( 表 2) 3. 椎体の変形について TPD 群の骨折椎体の椎体高は受傷時 16.6 mm から最終経過観察時 13.2 mmに BP 群は 16.9 mm から 13.0 mmに変化し有意な差を認めなかった (p=0.228, paired t 検定 )( 図 3) 10
図 3 骨折椎体の椎体中央高治療前の骨折椎体の椎体中央高はテリパラチド群 16.6±0.9 mm でビスフォスフォネート群 16.9±0.7 mm であったが 治療後にはそれぞれ 13.2±0.9mm と 13.0±0.7mm であり 椎体高の変化に両群間は有意差を認めなかった (P=0.228, paired t 検定 ) 骨折椎体の後弯角について TPD 群は受傷時 8.6 から 13.2 BP 群は 10.8 から 14.6 に変化し後弯角の変化にも有意差を認めなかった (p=0.495, paired t-test)( 図 4) 11
図 4. 骨折椎体の後弯角骨折椎体の後弯角に関してテリパラチド群は 8.6±1.0 ビスフォスフォネート群は 10.8±0.8 であったが 治療後それぞれ 13.2±1.3 と 14.6±1.0 になったが 後弯角の変化に両群間で有意差を認めなかった (P=0.495, paired t 検定 ) 4. 椎体圧潰を来した場合の骨癒合について椎体圧潰を来したのは TPD 群 66%(25/38) BP 群 60%(36/60) で有意差を認めなかった (p=0.670, Fisher 正確検定 ) この椎体圧潰を来した場合の骨癒合率は TPD 群 84% (21/25) BP 群は 61% (22/36) であった (P=0.086, Fisher s exact test) Step Wise 法で変数選択をした調節 Odds 比は 7.80 (95%C.I.; 1.41-70.35, P=0.012) で椎体圧潰を来した場合でも TPD 群は有意に BP 群に比較して骨癒合が有意に高かった 12
考察 副甲状腺ホルモンは 84 個の塩基を持つ構造であるが テリパラチドはその 1 番目から 34 番目の塩基配列構造を再現し 副甲状腺ホルモンと同様の作用を示す薬剤で 日本では 2010 年 10 月から導入された 副甲状腺ホルモンは持続投与で骨吸収に作用する 20 しかし全身への間欠投与では骨芽細胞の分化増殖を促し 21,22 骨芽細胞のアポトーシスを抑制し 23 骨芽細胞の活性を増加させ 21,22 骨形成の増加を促して骨折の発生を抑制する 8,22 これらの骨形成を促進させる作用が骨折の治癒も促進することが期待される Aspenberg 17 は橈骨遠位端骨折に対して副甲状腺ホルモン製剤 20μg 毎日皮下注を使用した群とプラセボとを比較した 102 例のランダム化試験の報告があるが テリパラチドは骨折部の架橋を早く形成することを示した Peichl 16 は恥骨骨折に対して 1-84 副甲状腺ホルモンとビタミン D を使用した 2 群のランダム化比較試験で同様の事を示した また胸骨骨折や歯突起骨折の偽関節に対してテリパラチドを導入すると骨癒合が得られた報告がある 24,25 本研究では治療後半年の骨癒合率はテリパラチド群 89% ビスフォスフォネート群 68% であり 骨癒合期間もテリパラチドが有意に早かった テリパラチドはビスフォスフォネート製剤に比較して早期に骨粗鬆症性脊椎椎体骨折の骨癒合を促した しかし骨折椎体の後弯変形はビスフォスフォネート製剤を使用した場合と違いはなかった 骨折椎体の強度を得るには数か月はかかるが 椎体の変形は主に最初の数週間から数か月で変化する 26 27 そのため テリパラチドは骨癒合率や骨癒合期間を短縮させることが示されたものの 骨折椎体の変形は阻止できなかったと考えられる 椎体の圧潰を来した場合に両群とも骨癒合率は低下したが 椎体圧潰を来してもテリパラチドはビスフォスフォネートよりも有意に骨癒合率が高かった 本研究では手術を要する例はビスフォスフォネート製剤を使用した 2 例でテリパラチドを使用した場合には発生していなかった 手術に至る場合の発生率が低い為に今後更なる検討を要するが テリパラチドは椎体圧潰を起こした場合でも骨癒合率を高く保つため 激しい疼痛が持続する偽関節や神経組織を圧迫して神経障害が発生することを阻止したのではないかと考えられた 本研究の制限 : 後ろ無研究であり 患者背景を調節するために多変量解析を用いているが 前向きのランダム化試験が望ましい 臨床評価として手術治療の有無について評価したが 臨床的には椎体骨折発生後に生じる疼痛の程度とその経過も重要な指標であり これを含めた研究が望まれる 本研究の骨癒合の評価には X 線と CT を用いたが 生物学的な骨癒合過程を観察するために 骨代謝マーカーの使用や MRI での骨折椎体の信号変化などで評価するのもよいと思われる 手術症例を抑制する効果に対しては 手術症例数の発生率が少なく本研究の対象症例数では評価できない 13
第二章 脊柱骨盤アライメントが胸腰椎移行部の骨粗鬆症性椎体骨折の骨癒合に及ぼす影響 緒言 骨粗鬆症性椎体骨折とこれに関連する問題は高齢者の生活の質や予後に大きな影響を与える 28-32 椎体骨折受傷後には骨折が無い場合の 4-7 倍の椎体骨折が生じるが これは椎体骨折のカスケードと言われる 33 この椎体骨折のカスケード以外に 椎体骨折そのものも骨癒合が得られない場合には椎体が圧潰し高度の後弯変形を背景とした耐えがたい背部痛が持続し 神経障害を呈することもある 10-12,34. 耐え難い背部痛が持続する場合には椎体形成術 そして神経学的脱落所見を呈する椎体圧潰にはインストゥルメンテーションを使用した脊柱再建術が必要とされる 14,15 椎体骨折の最も優先するべきものは偽関節を防ぐことである 第一章において骨癒合に影響を与える因子は 薬剤の選択以外に椎体骨折が胸腰椎移行部の場合 腰椎骨密度が-2.5SD より低い場合 椎体の後壁骨折がない場合受傷時にビスフォスフォネート製剤を使用していない場合であった しかし この後ろ向き比較対照試験において調査した患者背景には脊柱骨盤配列については調査されていない 脊柱が前方に傾くと脊柱の荷重は増大し 35-37 新規椎体骨折の発生例には胸椎の後弯が大きいこと 38,39 を含めて脊柱配列が新規椎体骨折の発生と関与していると報告がある 40 しかし脊柱骨盤配列と骨癒合の関係については未だ報告がない 本研究は矢状面の脊柱骨盤配列が胸腰椎移行部椎体骨折の骨癒合に影響する因子であることを示したものである 14
対象と方法 対象は平成 24 年 4 月から平成 26 年 3 月までに第 10 胸椎から第 3 腰椎の新鮮な 1 椎体の胸腰椎移行部椎体骨折を受傷した患者のうち 骨粗鬆症に未治療の患者で調査に同意した 38 人 ( 女性 31 人 男性 7 人 年齢は 73.5±6.6 歳 ) である 除外診断は認知障害 パーキンソン病 腎不全 ( クレアチニンクリアランスが 30ml 毎分未満 ) ステロイド使用( プレドニゾロン換算で 5mg 毎日 ) 悪性腫瘍の罹患とした 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折の診断は軽微な外傷で生じた椎体骨折で MRI(Signa HDxt1.5T Optima Edition, GE Healthcare Japan Company, Tokyo, Japan) の T1 強調画像で低輝度および T2 強調脂肪抑制画像で高輝度変化があり 骨密度が-1.5SD より低いことであるとした 骨密度測定は二重 X 線吸収撮影 (Delphy QDR system Toyo Medic Company 東京 日本) で腰椎および大腿骨頚部で測定した 薬剤の選択はランダムにアレンドロネートを 1 週間に 1 度 35mg の経口投与と テリパラチド 20μg を 1 日 1 回皮下注射に振り分けた 入院後 1 週以内に軟性コルセットを作成し 立位歩行および下肢筋力訓練を行った 骨癒合は治療後半年で評価し 胸腰椎移行部の前後屈機能撮影で骨折部の異常可動性が無いことおよび CT で骨折部の連続性が確認されていることを条件として 3 人の脊椎外科専門医がそれぞれ独立して判定した X 線計測は立位全脊柱側面像で行った 測定項目は骨盤固有角 ( 脊柱骨盤配列で使用されるパラメーターとして大腿骨頭中心から仙骨椎体の二等分線と仙骨椎体終板と垂直に交わる線とのなす角 ) 骨盤傾斜角( 大腿骨頭中心と散骨椎体の二等分線と鉛直線とのなす角 ) 腰椎前弯角 ( 第 1 腰椎椎体と仙骨椎体終板とのなす角 ) 胸椎後弯角( 第 5 胸椎から第 1 腰椎上位終板のなす角 ) および脊柱前方偏位( 第 7 頸椎の鉛直線 (SVA 線 ) から仙椎椎体後上方までの距離 ) に加えて 本研究では DSVA(SVA 線から骨折椎体の中心までの距離 ) を定義 ( 図 5) し測定した 15
図 5 DSVA と定義した DSVA は第 7 頸椎椎体の中心から鉛直方向に作成した線から骨折椎体の中心までの距離 X 線測定項目を骨癒合群と非骨癒合群で比較検討した 正規分布とみなされる連続値は平均値 ± 標準偏差で表記した 正規分布とみなされる連続値には t 検定を用い 文字データにはフィッシャーの正確検定を用いた 薬剤選択が本研究で大きく異なる点であるので患者背景因子に薬剤選択も導入し 骨癒合群と非骨癒合群について多変量解析をした 統計は JMP Pro 11 (SAS Institute Incorporation, North Carolina, America). 統計学的有意差は危険率 0.05 未満とした 連続変数のうち有意差を生じたものについてカットオフ値を Receiver Operating Characteristic Curve (ROC 曲線 ) を用いて計算した またカットオフ値を参考に二値変数を設け 骨癒合を阻害する因子に対しても脊柱骨盤配列が有意な計測項目か多項ロジスティック解析を用いて検討した この解析にはサンプルサイズが少ないためステップワイズ法を用いた変数増減法による変数選択を併用した 16
結果 1. 患者背景について治療開始後半年で 23 例が骨癒合し ( 骨癒合群 ;11 例が TPD 使用 12 例が BP 使用 ) 15 例が非骨癒合 ( 非骨癒合群 ;7 例が TPD 使用 8 例が BP 使用 ) であった 骨癒合群と非骨癒合群の患者背景を表 1 に示す 年齢 性別 骨密度 椎体骨折の高位といった背景因子には骨癒合群と非骨癒合群に有意差を認めなかった ( 表 3) またいずれの群も手術を要しなかった 表 3. 治療開始後 6 か月の時点での骨癒合群と非骨癒合群の患者背景 骨癒合群 (N=23) 非骨癒合群 (N=15) P 値 性別 ( 女性 : 男性 ) 21:2 10:5 0.100 年齢 ( 平均 ± 標準偏差 ) 72.1±1.4 75.5±1.7 0.123 骨密度 (g/cm2) 腰椎大腿骨 0.720±0.027 0.546±0.019 0.722±0.035 0.518±0.024 0.965 0.378 治療薬剤 (BP:TPD) 12:11 8:7 1.000 椎体骨折の高位第 11 胸椎第 12 胸椎第 1 腰椎第 2 腰椎第 3 腰椎 2 3 8 5 5 2 5 5 3 0 0.264 *: P<0.05,BP: ビスフォスフォネート,TPD: テリパラチド 2. 計測値の結果 受傷時の X 線計測値を骨癒合群と非骨癒合群に分けて示す ( 表 4) 表 4. 矢状面の脊柱骨盤配列 計測項目 骨癒合群非骨癒合群 (N=23) (N=15) P 値 骨盤固有角 57.5±3.2 55.6±2.6 0.658 骨盤傾斜 27.5±2.5 22.0±2.0 0.096 腰椎前弯角 29.8±4.1 37.9±3.3 0.131 胸椎後弯角 39.7±3.5 36.4±2.8 0.476 脊柱前方偏位 67.9±11.2 45.4±9.1 0.128 17
DSVA 73.7±10.2 40.6±8.2 0.0161* DSVA: 第 7 頸椎椎体中心から引いた鉛直線と骨折椎体中央までの距離 骨盤固有角は骨癒合群 55.6+/-2.6 で遷延癒合群は 57.5+/-3.2 であった (P=0.658, t- 検定 ) 骨盤傾斜角は骨癒合群 22.0+/-2.0 で非骨癒合群は 27.5+/-2.5 であった (P=0.096, t- 検定 ) 腰椎前弯角は骨癒合群 37.9+/-3.3 で非骨癒合群 29.8+/-4.1 であった (P=0.131, t- 検定 ) 胸椎後弯角は骨癒合群 36.4+/-2.8 で非骨癒合群 40.0+/-0.4 であった (P=0.476, t- 検定 ) 脊柱前方偏位は骨癒合群 4.5+/-0.9cm で非骨癒合群 6.8+/-1.1 cm であった (P=0.128, t- 検定 ) DSVA は骨癒合群 4.1+/-0.8cm で非骨癒合群 7.4+/-1.0 cm であった (P=0.016, t- 検定 ) 薬剤選択の違いを加えて検討しても DSVA は非骨癒合群に比較して骨癒合群は有意に小さかった (P=0.014 t 検定 ) DSVA のカットオフ値は ROC 曲線 (area under the curve 0.765) を用いると 36.0 mm で このときには骨癒合は感度 0.933 特異度 0.565 であった ( 図 6) 図 6. 受傷時の DSVA に対する骨癒合率で作成した Receiver Operating Characteristic curve (ROC 曲線 ) 受傷時の DSVA に対して骨癒合率で作成した Receiver Operating Characteristic curve の area under the curve は 0.765 であった 骨癒合を示す最適な受傷時 DSVA のカットオフ値は DSVA が 36.0 mm の時で 感度 93.3% 特異度 56.5% である 18
3.DSVA の有用性について骨癒合に対する DSVA の ROC 曲線は Area Under the Curve が 0.765 カットオフ値 36mm は感度 57% で高くはなく カットオフ値としては不十分である N 数を考慮した切りの良い数値として DSVA>5 cmを採用し 他の骨癒合を阻害する因子に対して DSVA>5cm がどれほど骨癒合を阻害する影響を与えるかを解析した 年齢 性別 腰椎骨密度 骨粗鬆症薬の選択 既存椎体骨折の有無といった骨癒合を阻害する因子の中でも DSVA>5cm は有意な骨癒合を阻害する因子であった ( 表 5) 図 5. 骨癒合に影響を及ぼす因子 骨癒合に与える因子 多項ロジスティック解析 ステップワイズ法を用いた変数選択 (P<0.25) P value 調節 Odds 比 (95%CI) 年齢 <75 vs. 75 性別男性 vs. 女性腰椎骨密度 -2.5 SD vs. > -2.5 SD 薬剤選択 TPD vs. BP 0.021* 12.0 (1.4 294.9) 0.161 6.4 (0.5 192.3) p>0.25 p>0.25 既存椎体骨折 なし vs. あり 0.211 3.4 (0.5 34.5) 脊柱骨盤配列 DSVA < 5 cm vs. > 5cm 0.020* 9.2 (1.4 103.7) *: P<0.05 19
考察 本研究では 非骨癒合群は比較的小さい腰椎前弯 大きい骨盤傾斜 大きい脊柱前方偏位を示す傾向がみられたが 有意差を生じたのは DSVA であった DSVA は第 7 頸椎の鉛直線と骨折椎体中心からの水平距離であり 骨折椎体に加わる屈曲モーメントの大きさを他の計測値よりも正確に表している そして本研究では多変量解析を用いて脊柱骨盤配列の DSVA>5cm が他の骨癒合を阻害する因子と一緒に多変量解析を用いて検討しても 有意な骨癒合を妨げる因子であることを示した 我々は矢状面配列でのバランスの崩れは非骨癒合の重要な危険因子であると考えた DSVA は骨折椎体の中心から骨折部よりも上にある身体の重心までが作る屈曲モーメントの距離を脊柱前方偏位 (SVA) よりも正確に反映され 脊柱が傾いたときの骨折椎体の圧迫力と剪断力を反映することになる 脊柱の荷重は脊柱が傾くことによって増加することがすでに報告されている 35-37. 実験では椎体前方に非対称の荷重が新規椎体骨折の発生を促し 41 胸腰椎移行部の前方凸の楔状椎体の形態をとるようになる 42 ことが報告されている 脊柱の前方傾斜が直接楔椎体骨折に影響を及ぼす 臨床では 椎体骨折の発生に関しては脊柱配列と関連があると報告され 異常な脊柱配列が椎体骨折の発生を予測する因子であると報告され 40 大きな胸椎後弯角を呈していることが椎体骨折を発症した患者では多く 大きな胸椎後弯角が独立した新規椎体骨折の予測する因子であるとされている 38,39. 静止時の脊柱側面形態に加えて 脊柱が前方傾斜している患者はバランスを取るのが難しい 43 脊柱前方傾斜が大きい患者では脊柱の揺れが通常の脊柱配列の人よりも頻度や大きさが大きいことが予測され また揺れに対して体幹筋力の活動も大きくしてバランスを保つ 脊柱配列異常がある椎体骨折患者ではバランスを取ることが難しくなっていることも骨癒合を得られ難くする原因の一つと考えられる 結語 : 本研究では脊柱骨盤配列に注目して骨粗鬆症を背景とする胸腰椎移行部脊椎椎体骨折の骨癒合に影響を及ぼす因子を調査した 骨癒合に影響を及ぼすのは脊柱骨盤配列のうちでも局所の脊柱配列の異常ではなく骨折部に対する脊柱全体の前方傾斜 (DSVA) が危険因子であった DSVA>5cm は他の骨癒合を妨げる因子の中でも有意な骨癒合を阻害する因子であった 20
第三章 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折にビスフォスフォネート製剤を使用した場合の 骨代謝マーカーを用いた骨癒合予測 緒言ビスフォスフォネート製剤は安価で効果が高い第 1 選択の骨粗鬆症治療薬である ビスフォスフォネート製剤は 破骨細胞の活動を抑えて骨吸収を阻害することによって骨量を増加させ 44 新規椎体骨折の発生を防ぐ効果が高い 45-47 骨折に対しては骨折部に生じる仮骨を増加させて強度を増加させる 48-51 その一方で一次骨化も 52 二次骨化も抑制する 48 ために骨の再構築の過程を防ぐことが懸念されている 現在のところ前向きランダム化研究の meta-analysis では臨床において骨癒合を阻害していないと結論しており 53,54 臨床的には新鮮椎体骨折にビスフォスフォネート製剤を導入することは有益である 脊椎椎体骨折は非荷重にできない骨折で 屈曲 伸展 回旋運動を日常生活動作で強いられる そのため骨癒合が他の部位の骨折よりも得られにくく 第一章で示したようにビスフォスフォネート製剤の骨癒合率は最終経過観察時点で 87% であったが 半年では 68% にとどまる 椎体骨折が偽関節に陥る場合には耐えがたい背部痛を生じ 11,12 椎体圧潰が後に生じてくると神経障害を呈する場合もあり 11,12,34 椎体形成や脊柱再建術が必要とされる 13-15 第一章で骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に対して治療効果を検討したテリパラチドは骨癒合率をビスフォスフォネート製剤に比較して有意に高くするが 経口投与ではなく皮下注射の手技であること 治療費も現在のところビスフォスフォネート製剤に比較してかなり高価であることから 全例にテリパラチドを導入することは患者負担も医療経済上からも望ましくはない 経口ビスフォスフォネート製剤を投与しても骨癒合が得られない患者に テリパラチドを含めた骨癒合をより促す治療へ移行するか予め手術加療を選択する等のより強化した治療を早期に選択できるようになることが望ましい そのためには骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に対してビスフォスフォネート製剤を投与した時に骨癒合が得られないことを早期に同定できる目安が必要である 酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ (tartrate resistant acid phosphate type 5b: TRAP5b) は破骨細胞に特異的で 骨代謝のうち骨吸収の強さを示すマーカーの一つである 55-58 血清 TRAP5b はビスフォスフォネート製剤を導入した後の治療効果を表す指標になる 59 一方椎体骨折後の骨代謝マーカーの変動に関しての報告はあるものの 骨癒合を予測する十分な指標になるという報告はない 本研究では骨粗鬆症性脊椎椎体骨折後に経口ビスフォスフォネート製剤を導入した場合の骨代謝マーカーの反応を骨癒合する場合と骨癒合しない場合に分けて調査し 骨代謝マーカーが骨癒合の予測に使用可能かを検討した 21
対象と方法 対象は平成 24 年 4 月から平成 26 年 10 月までに第 10 胸椎から第 3 腰椎の 1 椎体の胸腰椎移行部椎体骨折を受傷した患者のうち 骨粗鬆症に対して未治療で 受傷時に神経障害を呈していないことが確認され 経口ビスフォスフォネート製剤を導入した患者 28 人 ( 女性 24 人 男性 4 人 年齢 74.0±7.0 歳 ) である 除外診断は認知障害 パーキンソン病 腎不全 ( クレアチニンクリアランスが 30ml 毎分未満 ) ステロイド使用( プレドニゾロン換算で 5mg 毎日 ) 担癌状態とした 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折の診断は軽微な外傷で生じた椎体骨折で MRI の T1 強調画像で低輝度および T2 強調脂肪抑制画像で高輝度変化があり 骨密度が標準偏差の-1.5 倍以下であるとした 骨密度測定は二重 X 線吸収撮影 (Delphy QDR system Toyo Medic Company 東京 日本) で腰椎および大腿骨頚部で測定した 入院後座位が可能になった段階でアレンドロネート (ALN)35mg を週 1 回経口投与し 軟性コルセットを装着して立位歩行訓練を行った 骨代謝マーカーは初診時とアレンドロネート投与後 1 か月 2 か月 3 か月 6 か月後に TRAP5b (mu/dl) および骨型アルカリフォスファターゼ (bone-specific alkaline phosphatase: BAP) (μg/ml) を測定した TRAP5b は定量的酵素免疫測定 (enzyme immunoassay: EIA) 法 (DS ファーマメディカル株式会社 大阪 ) BAP は化学発光酵素免疫測定 (chemiluminescent enzyme immunoassay: CLEIA) 法 (SRL 社 東京 ) で測定された 同時期の立位 X 線側面像における骨折椎体の椎体高と後弯角及び MRIT2 強調脂肪抑制画像 (T2FS) と T1 強調画像 (T1WI) における骨折椎体の輝度を測定した 骨癒合はアレンドロネート投与開始後 6 か月で評価し 胸腰椎移行部の前後屈機能撮影で骨折部の異常可動性が無いことおよび CT で骨折部の連続性があることを条件に 3 人の脊椎外科専門医がそれぞれ独立して判定した 骨癒合と判断された骨癒合群と骨癒合をしていないと判断された非骨癒合群に分け骨代謝マーカーと X 線および MRI での計測項目を比較検討した 正規分布とみなされる連続値は平均値 ± 標準偏差で表記した 正規分布とみなされる連続値には t 検定を用い 文字データにはフィッシャーの正確検定を用いた 統計は JMP Pro 11 (SAS Institute Incorporation, North Carolina, America). 統計学的有意差は確率 0.05 未満とした 連続変数のうち有意差を生じたものについて最適なカットオフ値を Receiver Operating Characteristic curve (ROC 曲線 ) を用いて計算した 22
結果 1. 本研究の患者背景骨癒合群は 19 人 非骨癒合群は 9 人であった この患者背景を表 4 に示す 男女比には有意差を認めなかったが 年齢は骨癒合群 71.6±1.5 歳 非骨癒合群 77.8±2.1 歳で非骨癒合群は年齢が有意に高かった (P=0.024, t 検定 ) また腰椎骨密度は骨癒合群 0.808±0.044 非骨癒合群 0.686±0.034(g/cm 2 ) で腰椎骨密度が有意に低かった (P=0.041, t 検定 ) これが本研究での椎体骨折に対してビスフォスフォネート製剤を投与したときの骨癒合を阻害する因子であった ( 表 6) 表 6. 骨癒合群と非骨癒合群の患者背景 骨癒合群 n=19 非骨癒合群 n=9 年齢 ( 平均 ± 標準偏差 ) 71.6±1.5 77.8±2.1 性別 ( 女性 : 男性 ) 17:2 7:2 腰椎骨密度 (g/cm 2 ) ( 平均 ± 標準偏差 ) 0.808±0.044 0.686±0.034 *: P<0.005 P 値 ( 検定方法 ) 0.024* (t 検定 ) 0.574 (Fisher 正確検定 ) 0.041* (t 検定 ) 2. ビスフォスフォネート製剤導入前値の比較ビスフォスフォネート製剤導入前の骨代謝マーカーの値を図 7 に示す TRACP5b は骨癒合群 432±62(mU/dL) で非骨癒合群 585±43(mU/dL) であった (P=0.053, t 検定 ) BAP の骨癒合群は 20.9±2.0(μg/ml) で非骨癒合群は 17.3±3.0(μg/ml) であった (P=0.320, t 検定 ) ( 図 7) a. b. 図 7. ビスフォスフォネート投与前の骨代謝マーカーの値 a. Tartrate-resistant acid phosphatase 測定値 b. 骨型アルカリフォスファターゼ (BAP) 測定値 TRAP5b も BAP いずれも非骨癒合群は低い傾向はあるが有意差はない 23
3. ビスフォスフォネート製剤導入後の経過ビスフォスフォネート製剤導入前の骨代謝マーカーの値を基準値として 骨代謝マーカーの推移を以下に示す TRAP5b の変化は 1 か月で骨癒合群 -39±5% に対して非骨癒合群 -1± 8% で (P<0.001,t 検定 ) 2 か月で骨癒合群 -41±5% に対して非骨癒合群 -2±8%(P<0.001, t 検定 ) 3 か月で骨癒合群 -45±6% に対して非骨癒合群 -3±9%(P<0.001, t 検定 ), 6 か月で骨癒合群 -48±6% に対して非骨癒合群 -22±9%(P=0.022, t 検定 ) であった 骨癒合群の TRAP5b は投与開始後 1 か月から速やかに減少したが 非骨癒合群は 3 か月間ほぼ減少せず 6 か月で減少し始めた TRAP5b の変化はビスフォスフォネート製剤導入 1 か月後から骨癒合群と非骨癒合群に顕著な差を呈した ( 図 8) 図 8. Tartrate-resistant acid phosphatase (TRAP5b) の経時的変化アレンドロネート導入開始前の値を基準とした tartrate-resistant acid phosphatase (TRAP5b) 値の変化を示した 投与後 1 か月で骨癒合群 -39±5% に対して非骨癒合群は-1±8% で 非骨癒合群は BP を投与しても TRAP5b が抑制されなかった (P<0.01,t 検定 ) またそれ以降も 2 か月で骨癒合群 -41±5% に対して非骨癒合群 -2±8%(P<0.01, t 検定 ) 3 か月で骨癒合群 -45±6% に対して非骨癒合群 -3±9%(P<0.01, t 検定 ), 6 か月で骨癒合群 -48±6% に対して非骨癒合群 -22±9%(P=0.022*, t 検定 ) であった 骨癒合群と非骨癒合群は異なる経時的変化を示し 骨癒合群の TRAP5b は投与開始後 1 か月から速やかに減少したが 非骨癒合群はアレンドロネート導入後でも 3 か月減少しなかった 24
BAP の受傷時からの変化は 1 か月で骨癒合群と非骨癒合群ではそれぞれ 2±9% と 34±13% (P=0.049*, t 検定 ) 2 か月で-13±7% と 5±10%(P=0.153, t 検定 ) 3 か月で-24±8% と-1 ±11%(P=0.113, t 検定 ) 6 か月で-34±7% と-25±10%(P=0.504, t 検定 ) であった BAP は BP を投与後でも一度上昇してから減少したが 非骨癒合群では骨癒合群よりもそのピークが高くそして遅れる傾向がみられたが 2 群に大きな差を認めなかった ( 図 9) 図 9. 骨型アルカリフォスファターゼの変化骨型アルカリフォスファターゼ (BAP) のアレンドロネート導入後の変化を示した BP 投与後 1 か月で骨癒合群と非骨癒合群ではそれぞれ 2±9% と 34±13% (P=0.049*, t 検定 ) 2 か月で-13±7% と 5±10%(P=0.153, t 検定 ) 3 か月で-24±8% と-1±11%(P=0.113, t 検定 ) 6 か月で-34±7% と-25±10%(P=0.504, t 検定 ) であった BAP はアレンドロネート導入後でも一度上昇してから下がる傾向があったが 非骨癒合群では骨癒合群よりもそのピークが高く遅れている傾向がみられた その後骨癒合群と非骨癒合群はほぼ同様に緩やかに減少していった ビスフォスフォネート製剤導入後 1 か月で TRAP5b も BAP のいずれも骨癒合群と非骨癒 合群に違いが有意にあり 特に TRAP5b では顕著であった ビスフォスフォネート製剤導入後 1 か月の BAP は導入後 1 か月の TRACP5b と中等度の正の相関 (R=0.451) があった 4. ビスフォスフォネート製剤導入後 1 か月の骨代謝マーカーの変化における骨癒合予測 TRAP5b がビスフォスフォネート製剤導入後 1 か月で骨癒合群が速やかに低下するが 非骨癒合群は低下しないことに対して ROC 曲線 (area under the curve=0.914) を作成した ( 図 10) カットオフ値は TRAP5b が 16% の時で TRAP5b がビスフォスフォネート製剤導入後 1 か 25
月で 16% 以下低下しない場合には感度 89.5%, 特異度 87.5% で骨癒合が得られない 図 10. 1 か月での TRAP5b の減少率に関して骨癒合の有無を示した Receiver Operating Characteristic curve (ROC 曲線 ) アレンドロネート導入後 1 か月の TRAP5b は骨癒合群が速やかに低下するが 非骨癒合群は低下しない これに対して ROC 曲線 (area under the curve=0.914) を作成した カットオフ値は 16% で アレンドロネート導入後 1 ヶ月の TRACP5b が導入時に比較して 16% 以上低下しない場合には骨癒合が得られない ( 感度 89.5%, 特異度 87.5%) 5. 骨折椎体の形態変化椎体高は 投与開始前は骨癒合群と非骨癒合群で椎体高に有意差を生じていないが ビスフォスフォネート製剤導入後 1 ヶ月で有意に低下 (P<0.01, t 検定 ) し 2 か月でも大きな有意差があった (P=0.013, t 検定 ) ( 図 11.a) 椎体高の変化は両群とも最初の 1 か月は大きいが 非骨癒合群は 2 か月でも大きかった ( 図 11.b) 26
a. b. 図 11. 骨癒合群と非骨癒合群の骨折椎体の高さの推移 a. 骨折椎体の高さ b. 骨折椎体の高さの変化アレンドロネート導入時には骨癒合群と非骨癒合群には椎体高の差を認めないが 導入後 1ケ月で非骨癒合群の椎体高の減少が骨癒合群に比較して大きく 導入後 2 カ月間でも非骨癒合群は椎体高の低下が進行している 後弯角はビスフォスフォネート製剤開始前で非骨癒合群はすでに有意に大きい (P<0.01) 27
またその後 6 か月の経過中で後弯角は非骨癒合群で有意に大きかった (P<0.01)( 図 12.a) 後弯角の変化は 骨癒合群はその変化のピークは最初の 1 か月であるが 非骨癒合群は 2 ヶ月でピークが生じており 導入後 2 ヶ月での後弯角の変化が非骨癒合群では有意に大きかった (P=0.038, t 検定 ) 導入後 3 ヶ月以降では後弯角には変化はほとんど見られなかった ( 図 12.b) a. 図 12. 骨癒合群と非骨癒合群の骨折椎体の後弯角の推移 a. 骨折椎体の後弯角 b. 骨折椎体の後弯角の変化 28
アレンドロネート導入前から後弯角に有意な差があり 骨折椎体の骨癒合を阻害する因子と考えられる 後弯角の変化に関しては 骨癒合群はアレンドロネート投与後 1 ヶ月で変化が大きいが 2 ヶ月では変化が小さくなっている しかし非骨癒合群は 2 ヶ月でも後弯の変化が大きく ビスフォスフォネート製剤導入後 1 ヶ月から 2 ヶ月の角度の変化に骨癒合群と非骨癒合群で有意差がある (P<0.05) 投与後 1 か月の TRAP5b( ビスフォスフォネート導入時を基準とした変化 ) は投与後 1 ヶ月 から 2 ヶ月での椎体高の変化と中等度の相関 (R=0.456) を認め 後弯角の 1 ヶ月から 2 ヶ月の 変化とも中程度の相関 (R=0.482) を認めた 6.MRI の輝度変化 MRI の椎体内の輝度は T1 強調画像では非骨癒合群の輝度が低下している傾向があるが 非骨癒合群では輝度の低下が回復するのが遅く 2 ヶ月 6 ヶ月の時点で有意差を生じている (P<0.01)( 図 13 a.) 一方 T2 強調脂肪抑制画像では有意な差を生じていなかった ( 図 13 b.) T1 強調画像では受傷後 1 か月の TRAP5b の変化とは相関を認めなかったが T2 強調脂肪抑制画像では中等度の相関を認めた (R=0.396) a. 29
b. 図 13. MRI 骨折椎体の輝度 a. T1 強調画像 b. T2 強調脂肪抑制画像 T1 強調画像では非骨癒合群の輝度がすべての期間で低いが 有意な差は治療開始後 2 ヶ月と 6 ヶ月で生じている T2 強調脂肪抑制画像では BP 投与開始後高くなる傾向が見られるが 6 ヶ月の経過中に有意差を生じていなかった 30
考察 骨代謝マーカーは骨折が生じたときに誘導されることはすでに報告されている 60-62 骨折の治癒過程において ミネラルが沈着する前の仮骨の増成をする時期 ( 受傷後 2 から 4 週 ) には骨代謝マーカーは高いが 仮骨にミネラルが沈着する頃 ( 受傷後 4 から 8 週 ) には骨代謝マーカーは減少する その後の骨代謝マーカーは全身の骨代謝の状態を強く反映し骨折で生じた変化はマスクされ 骨代謝マーカーの推移は骨癒合過程と相関しなくなる 62 臨床でも 椎体骨折後 2 週から 4 週で骨代謝マーカーはピークを迎え その後減少して損傷後 48 週で受傷前の値に戻る 63 つまり骨代謝マーカーの変化は骨折が生じた時に変化するが その後比較的早期に消失してしまう 本研究での骨癒合群はビスフォスフォネート導入後 1 ヶ月で BAP は増加したが その後減少に転じ TRAP5b は導入後 1 ヶ月で 40% 減少しその後ほぼ変化を認めなかった 骨癒合群の骨代謝マーカーの変化は1カ月で BAP に少し変化が確認された程度で 導入後 2 カ月移行はほぼ椎体骨折の影響を受けずアレンドロネートを導入した全身状態の骨代謝の状態を反映していると思われた これはアレンドロネートを骨粗鬆症患者に投与すると 骨吸収マーカーである TRAP5b が破骨細胞の活性を抑制して治療効果の指標となり 椎体骨折の無い骨粗鬆症患者に用いると 3 か月で 40% 減少する 59 からである 一方非骨癒合群ではアレンドロネートを導入しても TRAP5b は抑制されず 3 ヶ月は導入前程度にとどまり その後低下した 骨折椎体のアレンドロネート導入後 1 から 2 か月の間に骨癒合群と非骨癒合群で有意差を示したのは 椎体高の変化と後弯角の変化であり MRI には反映されなかった MRI は T1 強調画像で時間経過してから骨癒合群と非骨癒合群に差を生じた アレンドロネート導入後 1 ヶ月から 2 ヶ月の椎体高と後弯角の変化は TRAP5b の 1 か月の減少と中程度の相関が認められ 椎体の形態の変化が TRAP5b に反映されていた アレンドロネートを導入しても非骨癒合群で 3 か月ほど TRAP5b が抑制されなかったのは 微小な骨折を繰り返して骨折椎体の形態変化が持続していることを反映しており 非骨癒合群ではアレンドロネートを投与していてもこの微小な骨折に TRAP5b が反応して減少しなかったと推測する 本研究では受傷後 1 か月の TRAP5b が十分骨癒合群と非骨癒合群で異なり 骨癒合の予測に使用できると考えられた 本研究ではアレンドロネート導入後 1 ヶ月の TRAP5b が投与前を基準として 16% 以上減少しないものは感度 89.5%, 特異度 87.5%(area under the curve=0.914) で骨癒合が得られなかった 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折後にビスフォスフォネート製剤を投与した場合, 骨粗鬆症患者へ投与した場合とほぼ同様の経過をたどり全身の骨代謝回転を抑制し 骨代謝マーカーを減少させる. しかし, 非骨癒合群では骨折の影響と考えられる骨代謝マーカーが一過性に上昇する反応が遷延した 椎体の形態変化が持続することは椎体の圧潰を示すが 椎体圧潰は偽関節の過程である ビスフォスフォネート製剤を導入しても 1 ヶ月で TRAP5b が抑制されない症例は高率に偽関節に陥る 骨粗鬆症性椎体骨折にビスフォスフォネート製剤を導入した場合の骨癒合の予測にビスフォスフォネート投与後 1 か月の TRAP5b が有用であると考えられた 31
第四章 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に対するテリパラチドの治療効果 ( ビスフォスフォネート製剤との前向き比較対照試験 ) 緒言 第一章では 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に対してテリパラチドを使用した場合とビスフォスフォネート製剤を使用した場合の骨癒合に及ぼす影響について後ろ向きに比較検討した 骨癒合を得るのにテリパラチドを選択するとビスフォスフォネートに比較して Odds 比で 8.15(95% 信頼区間は 2.02-43.33) ハザード比で 1.78(95% 信頼区間は 1.16-2.71) が期待される また 骨癒合に影響を与える他の因子は 調節した Odds 比で表すと 椎体骨折が胸腰椎移行部の場合に比較してそうでない場合には 11.67 (95% 信頼区間 : 2.48 83.17), 腰椎骨密度が標準偏差の 2.5 倍以上ある場合にはそうでない場合に比較して 11.68(95% 信頼区間 : 2.48 83.17) 椎体の後壁骨折がない場合にはある場合に比較して 8.53(95% 信頼区間 : 2.25 42.23) 受傷時にビスフォスフォネート製剤を使用していない場合には使用している場合に比較して 4.86(95% 信頼区間 : 1.29 22.09) であった しかし後ろ向き研究には限界があり 多変量解析を行って患者背景の違いを調節して計算することができても 第二章でしめした脊柱骨盤配列の違いなど把握できていない背景因子が存在する可能性がある テリパラチドの骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に対する効果をより正確に判定するために 臨床試験第 Ⅲ 相に相当する有効性の確認を行う試験に準じて検討したい 薬価と投与経路を考慮すると 優越性の検証を行うことが必要とされる プラセボとの比較試験で行う前向きの二重盲検試験が望ましいが 骨粗鬆症性椎体骨折が生じると続発する椎体の骨折の発生は最初の 1 年で 20% になり 椎体骨折の無い人に比較して 4 から 7 倍に上昇させる 33 そして続発する椎体骨折を生じると生存率を下げる 7 対照群にプラセボではなく治療薬を使用するとその治療効果が高い場合には有意差を生じるのに必要な目標登録症例数が多くなり試験がより難しくなることから コントロール群としてはプラセボ群であることが望ましいが 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に対しては倫理的な観点から非投与群を設けられない 本研究では 骨粗鬆症に対して現在の第 1 選択となっているビスフォスフォネート製剤を標準治療と考え これに対しての優越性の検討を行う試験デザインを作成した 32
対象と方法 本研究では 1 施設内で行う実薬を用いた研究で 治療者は患者がどの薬剤を使用しているかわかること また患者は剤型からどの薬剤を選択したかわかることから二重盲検試験は不可能である 比較的症状の安定している慢性疾患ではない ( 骨折の治癒過程は時間に依存する要素が大きい ; 時期効果 ) ことや テリパラチドが骨形成を促す一方でビスフォスフォネートは骨吸収を抑制し この相反する効果のために使用する順番によって骨に与える影響が異なる ( 先にテリパラチドを使用することが有利に働く可能性が高い ; 順序効果と持越し効果 ) ためにクロスオーバー試験のデザインはふさわしくない また薬剤の投与量や投与回数の変更は厚生省の認可した治療と異なる事になり漸増法試験や用量反応試験は不可能である また相加 相乗効果がある二剤ではないため上乗せ試験も不可能である ( 却って効果を打ち消しあう可能性が高い ) 我々は本研究の試験デザインを被検薬群と対照薬群の割り当てを無作為化した一重のランダム化実薬対照試験とした サンプルサイズの計算は 後ろ向き研究での骨癒合率を用いテリパラチド 89% ビスフォスフォネート製剤 68% であった テリパラチドの投与形態は皮下注射であること 費用負担が大きいことを考慮すると ビスフォスフォネート製剤に対して非劣勢を示すものではなく優性であることを示す必要がある 検出力を 0.80 と計算すると片側 37 例 ( 両側 74 例 ) となる 目標登録症例数を 100 例に定めて平成 24 年 4 月 1 日から試験を開始した 以下にテリパラチドとビスフォスフォネート製剤の前向き無作為化実薬対照比較試験を行うにあたり作成した資料を示す 本研究は平成 27 年 10 月現在 70 例の登録であり 目標症例数 100 例に達したら解析に入る予定である 以下に作成したプロトコールと患者説明書および同意書を添付する 33
PTH 製剤の骨形成促進作用が 骨粗鬆症性椎体骨折の骨癒合におよぼす影響 研究実施計画書 34
1. 研究目的テリパラチド ( 副甲状腺ホルモン製剤 ) は 骨形成促進作用を持つ骨粗鬆症治療薬として平成 22 年より日本で臨床応用が開始された薬剤であり 従来の骨吸収抑制系薬剤と比較して強力な骨量増加作用が特徴である 動物実験ならびに臨床報告においてテリパラチドが骨癒合過程を促進させることが示されている 本研究の目的は テリパラチドが骨粗鬆症性椎体骨折の骨癒合過程におよぼす影響を調査することである 2. 目標登録症例数 調査予定期間 登録予定期間 (1) 目標登録症例数 :100 例 (2) 調査予定期間 : 平成 24 年 4 月 1 日 ~ 平成 26 年 9 月 31 日 (3) 登録予定期間 ; 平成 24 年 4 月 1 日 ~ 平成 26 年 9 月 31 日 3. 調査対象 (1) 対象症例 骨粗鬆症治療が必要な症例腰椎あるいは大腿骨頚部でYAM70% 未満 閉経後の女性でYAM80% 未満 脆弱性既存骨折のある症例 (2006 年骨粗鬆症ガイドラインより ) 第 11,12 胸椎および第 1,2,3 腰椎の範囲の圧迫骨折で1 椎体の新規骨折に限る 受傷日が明確で1カ月以内に受診された方に限る (2) 除外症例受診前よりビスフォスフォネート SERM テリパラチドにより加療中の方 85 歳以上 MRI 撮影できない方転移性 原発性脊椎腫瘍のある方 1 週間以内にビスフォスフォネートの内服を開始できなかった方テリパラチドを注射できない方過去 6ヵ月以内に脊椎以外の骨折や骨関節手術 ( 人工関節手術 脊椎手術 ) を受けている方高度骨粗鬆症例 (YAM50% 未満 高度の骨粗鬆症性圧迫骨折により画像評価が困難な場合 ) 4. 調査の方法 (1) 試験デザイン 前向きランダム化比較試験 (2) 調査実施手順 1 上記の対象基準を満たす患者に研究内容の説明を行い 同意が得られた方に対し調査を行う 2 初診時に診療外の職員がテリパラチド投与とビスフォスフォネート投与に振り分ける 35
3テリパラチド群では初診日からテリパラチド ( フォルテオ 20μg/ 日 ) の自己注射を開始する ビスフォスフォネート群では座位が可能な段階でビスフォスフォネートの内服を開始する テリパラチドとビスフォスフォネートの投与期間は6カ月間とする 3 当院外来にて調査を行う 4 受傷後半年間を調査期間とする 5. 調査を行う事項等 (1) 画像 (X 線 MRI, CT) による評価 1 骨癒合の有無と骨癒合に要した期間 2 移植骨吸収の有無 3インプラントの転位 沈下の有無 4 新規骨折の有無 (2) 骨代謝マーカーの推移 (3) 骨密度の推移 (4) 腰痛評価 6. 評価方法 (1) 単純胸腰椎移行部 X 線 (2 方向 - 正面 立位もしくは座位側面中間位 前屈位 後屈位 仰臥位側面 ) による評価以下の項目につき評価を行う 1 中間位で対象椎体の椎体高 楔状角 後弯角 2 偽関節の有無 3 新規骨折の有無撮影時期 : 初診時 2 週間 6 週間 12 週間 18 週間 24 週間 (2) 全脊柱 X 線 ( 正面 側面 ) による評価以下の項目につき評価を行う 1 C7 plumb line, Pelvic incidence, Pelvic tilt, Sacral slope 撮影時期 : 初診時 2 週間 6 週間 12 週間 18 週間 24 週間 (3)CT(3 方向 -axial,sagittal,coronal) による評価以下の項目につき評価を行う 1 骨梁の連続性の有無の評価 2 骨密度評価 3 新規骨折の有無 4 DICOM dataで後の解析に使用できるようにもっとも0.5mmスライス 0.2mm 出力, 軟部条件 骨条件で保存 (CDR 等に ) 撮影時期 - 初診時 12 週 24 週 36
(3) MRI(T1, T2, STIR, sagittalのみ ) による評価以下の項目につき評価を行う 1 椎体の等信号化 2 新規骨折の有無 3 椎体圧潰への移行撮影時期 - 初診時 12 週 24 週 (4) 骨代謝マーカーによる評価以下の項目につき評価を行う 1 骨型 ALP 2 TRACP5b 採血時期 - 初診時 2 週 6 週 12 週 24 週外注する 血清 Ca P Albumin の経時的変化は適宜監視する (6)DEXAによる骨密度の評価大腿骨による測定検査時期 - 初診時 6カ月 (7) 腰痛評価 VAS 評価時期 - 初診時 2 週 6 週 12 週 18 週 24 週 (8) 腰痛機能評価以下の項目につき評価を行う 1 Roland-Morris Questionnaire (RDQ) 2 Oswestry Disability Index (ODI)2.0 評価時期 - 初診時 2 週 6 週 12 週 18 週 24 週 7. 医療費負担 入院 外来診療費 骨粗鬆症治療に通常行う保険診療による費用は患者負担とし 保険 外診療による検査は研究費で行う 8. 費用負担 なし 9. 予期される効果および不利益 骨粗鬆症治療に関しては 確立された治療法であり 治療効果も確証されている 受傷 後の経過で生じる合併症に対しては 保険診療にて適切に対処する 10. 連絡先社会福祉法人函館厚生院函館中央病院函館市本町 33 番 2 号 TEL O138-52-1231/FAX O138-54-7520 研究分担医師 : 函館中央病院脊椎センター長金山雅弘 37
研究分担医師 : 函館中央病院診療部長 研究分担医師 : 函館中央病院整形外科科長 研究分担医師 : 函館中央病院病院長 重信恵一 大羽文博 橋本友幸 北海道大学病院札幌市北区北 15 条西 7 丁目 TEL O11-706-5936/FAX 研究分担医師 : 北海道大学病院整形外科研究分担医師 : 北海道大学病院整形外科研究分担医師 : 北海道大学病院整形外科 岩田玲 高畑雅彦 三浪明男 38
函館中央病院 PTH 製剤の骨形成促進作用が 骨粗鬆症性椎体骨折の骨癒合におよぼす影響 について 説明文書および同意文書 39
1. はじめにこの冊子は 当院にて骨粗鬆症を背景とした骨粗鬆症性椎体骨折の治療を受ける方に 当院で行う研究について説明し 研究へ参加していただけるかどうかをおたずねするためのものです 研究を担当する医師である私が この研究について説明いたしますが ご自身でもこの説明文書をよくお読みになり 分らないことやもっと詳しく聞いておきたいこと また 何か不安や心配なことがあればいつでも遠慮なく質問してください 研究の内容について十分ご理解いただいた後 この研究に参加したいかどうかをおたずねします ここで説明された内容をご自身でゆっくりとお考えいただき また ご自身で決めかねる場合には ご家族の方や友人 知人と相談してから決めていただいてかまいません この研究に参加するかどうかは自由です 研究に参加した後でもいつでも自由に止めることができます また 参加を断っても そのために不利益を受けることは一切ありません もし この研究に参加していただけるならば それを口頭で私に伝えるだけでなく 同意書に署名し 文書の形ではっきりと意思を示していただくことになります 2. 研究内容について 1) 研究目的骨粗鬆症の患者さんは骨折が起こりやすく しっかりとした骨が出来上がる ( 骨癒合といいます ) までに長い時間を必要としたり さらに脊椎が崩れてくる椎体圧潰に至る場合や しばしば骨癒合が起こらない 偽関節 と呼ばれる状態 になることがあります これらが生じると強い腰背部痛が持続したり 圧潰した骨が神経の通り道である脊柱管内に入り込んで神経の障害 ( 脚の痛みや動かしづらくなる症状 また尿を出しづらくなる症状 ) が出現することもあります それをできるかぎり防ぐためには 骨粗鬆症の状態を改善させることが有用と考えられています 骨はいつも体重を支えるように作りかえられて 骨がとかされて また骨を作ることを繰り返しておりますがご年齢とともに少しずつ骨の量が減っていきます いままでは骨が溶かされていくのを抑える効果の高い ビスフォスフォネート製剤という薬を内服していただいておりました 欧米では10 年前からですが日本では平成 22 年からテリパラチドというお薬が使えるようになりました これは注射を毎日おこなって骨を増やすようにしていくお薬です テリパラチドは副甲状腺ホルモンという 骨に作用するホルモンの成分を科学的に合成した薬剤です この薬剤は骨を作る骨芽細胞に働きかけて新しい骨を作ることで骨粗鬆症を改善し また 骨癒合が早くなることが期待されています 本研究の目的は 従来用いられてきた治療効果の高いビスフォスフォネート製剤に比較してテリパラチドが骨粗鬆症性椎体骨折の骨癒合過程にどれほど有効であるかを調査することにあります 予定している研究期間は受傷後 6カ月間で 当院において合計 100 名の方の調査を行う予定です 2) 研究の方法 40
この研究の対象となる方は 以下の1~2の基準を満たしている必要があります なお 以下の基準内容については 私から詳しく説明します 1ご本人が説明文書の内容を理解した上で 同意文書に日付を記載し 記名捺印または署名する能力のある方 2 骨粗鬆症治療が必要な方 腰椎あるいは大腿骨頚部の骨密度が成人男性平均値の70% 未満の方 閉経後の女性で成人男性平均値の80% 未満の方 脆弱性既存骨折のある方 (2006 年骨粗鬆症ガイドラインより ) 3 圧迫骨折の受傷時期がはっきりとしている方 3) 骨粗鬆症治療薬の使用初診時にビスフォスフォネート製剤を使用するかテリパラチドを使用するかくじ引きを用いて決定いたします ビスフォスフォネート製剤を飲む場合には 毎日起床後すぐにコップ1 杯の水で飲みます 飲んだ後 30 分間は飲水 食事をしないまま臥床せずに過ごしてください このため体を起こせるようになってから投薬を開始することになります 一緒に飲むものを水以外にすると薬の吸収が悪くなり効果がでないで注意をしてください テリパラチド剤であるフォルテオ ( 商品名 ) の使用を行う場合には 投与方法は自己注射です この投与方法は糖尿病などで一般的に用いられている方法で 下の図のようなペン型の簡便な注射器を使って一日一回自分で腹部に注射します 注射液はすでにキットの中に入っていますので 薬液を詰め替えたりする必要はありません 投与期間は6ヶ月です 予定の投与期間が終わった後は 他の骨粗鬆症薬に切り替えて受傷後 1 年まで内服を続けます この薬剤も同様に骨粗鬆症に対して効果があることが報告されています 4) 受傷後検査 あなたに受けていただく検査は 圧迫骨折を受傷された後の経過を確認するために受け る画像検査と 治療効果を判定するために受ける血液検査です 3. 医療費の負担について 特にありません 4. 予期される効果および不利益 骨粗鬆症治療に関しては 確立された治療法であり 治療効果も認められております も し治療中に何か不利益なことが生じた場合は 保険診療にて適切に対処いたします 5. あなたの人権保護について 41
この研究は 当院が定めた規則に従って行われ 人権の尊重と保護について厳しく審査されています あなたがこの研究への参加に同意され 同意書にご署名された後でも 同意を取り消し 研究参加を止めることができますので 私まで申し出てください この研究によって得られたあなたの情報 ( 画像 検査結果など ) は 研究依頼者に報告されます また 取りまとめられた成績は 学会発表や医学論文として公表されることもあります さらに 研究依頼者または 当院の治験委員えつらん会が 調査の目的であなたの診療録などを見る ( 閲覧 ) ことがあります しかし いずれの場合でもあなたのプライバシーの保護については十分に配慮し 特にあなたのお名前や住所電話番号などは決して公表されることはありませんのでご安心ください なお あなたがこの同意書にご署名されますと 診療録などの閲覧をお認めいただいたことになります 6. 連絡先 この研究について何か聞きたいことや分らないこと 心配なことがありま したら 遠慮なくお申し出ください いつでもご相談させていただきます 社会福祉法人函館厚生院函館中央病院 函館市本町 33 番 2 号 TEL O138-52-1231/FAX O138-54-7520 研究責任医師 : 函館中央病院脊椎センター長 金山雅弘 研究分担医師 : 函館中央病院診療部長 重信恵一 研究分担医師 : 函館中央病院整形外科 岩田玲 研究分担医師 : 函館中央病院病院長 橋本友幸 42
( 研究責任医師控え ) 同意書 私は この研究に参加するにあたり 担当医師から PTH 製剤の骨形成促進作用が骨粗鬆症性椎体骨折の骨癒合におよぼ す影響 の説明書を受け取り その内容について説明を受けました この研究の内容を十分に理解しましたので 今回の研 究に参加することについて私の自由意思により同意いたします 同意日 : 平成年月日 ご本人氏名 ( 自筆署名 ) 住所 連絡先 ( 電話番号 ) 代諾者または立会人がいる場合 同意日 : 平成年月日 氏名 ( 自筆署名 ) 住所 連絡先 ( 電話番号 ) ( ご本人との関係 : ) 説明日 : 平成年月日 研究責任 ( 分担 ) 医師 ( 自筆署名 ) 43
( 治験事務局控え ) 同意書 私は この研究に参加するにあたり 担当医師から PTH 製剤の骨形成促進作用が骨粗鬆症性椎体骨折の骨癒合におよぼ す影響 の説明書を受け取り その内容について説明を受けました この研究の内容を十分に理解しましたの で 今回の研究に参加することについて私の自由意思により同意いたします 同意日 : 平成年月日 ご本人氏名 ( 自筆署名 ) 住所 連絡先 ( 電話番号 ) 代諾者または立会人がいる場合 同意日 : 平成年月日 氏名 ( 自筆署名 ) 住所 連絡先 ( 電話番号 ) ( ご本人との関係 : ) 説明日 : 平成年月日 研究責任 ( 分担 ) 医師 ( 自筆署名 ) 44
( 本人控え ) 同意書 私は この研究に参加するにあたり 担当医師から PTH 製剤の骨形成促進作用が骨粗鬆症性椎体骨折の骨癒合におよぼ す影響 の説明書を受け取り その内容について説明を受けました この研究の内容を十分に理解しましたの で 今回の研究に参加することについて私の自由意思により同意いたします 同意日 : 平成年月日 ご本人氏名 ( 自筆署名 ) 住所 連絡先 ( 電話番号 ) 代諾者または立会人がいる場合 同意日 : 平成年月日 氏名 ( 自筆署名 ) 住所 連絡先 ( 電話番号 ) ( ご本人との関係 : ) 説明日 : 平成年月日 研究責任 ( 分担 ) 医師 ( 自筆署名 ) 45
研究全体の考察 椎体骨折の保存治療体系を考慮するときに 我々が行う主たる選択は薬剤の選択であるが 本研究は現在の骨粗鬆症治療の第 1 選択薬であるビスフォスフォネート製剤を基準とした治療体系を検討したものである テリパラチド (1-34 リコンビナント副甲状腺ホルモン ) は骨癒合に優位に働くが その投与経路と経費を考慮するとすべての症例に用いることは避けるべきであると思われ ビスフォスフォネート製剤を基準の投薬として 骨癒合を阻害する因子 そして経過中に偽関節になる経過を辿る場合に適宜テリパラチドを選択することを考慮している 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折において テリパラチドがビスフォスフォネート製剤に対して有効な薬剤であるのかを検討したのが第一章である 間欠投与で骨芽細胞の分化増殖を促し 21,22 骨芽細胞のアポトーシスを抑制し 23 骨芽細胞の活性を増加させ 21,22 骨形成の増加を促して骨折の発生を抑制する 8,22 ことにより骨折の治癒を促進することが期待される 脊椎椎体骨折以外の 16,17 24,25 ランダム化試験の研究や偽関節例を治癒させた症例報告から骨癒合に有利であることは十分推測できる しかし脊柱は荷重を避けることができず 捻じれ 軸圧 屈曲力が頻回に加わる部分で 四肢の骨折のようには安静にはできない 同部位でのテリパラチドを使用した場合にどれほど治療効果が得られるかはまだ不明である 第一章ではテリパラチドはビスフォスフォネート製剤に比較して骨癒合を有意に早めて 受傷後半年の骨癒合率を上昇させたことが示され 骨癒合が得られないために手術加療を要した症例がいなかった しかし骨折椎体の変形の程度はビスフォスフォネート製剤と差を認めなかった これは椎体の変形が受傷後数週間から数か月で生じ 26 27 薬剤の効果が十分発揮される前であるからと推測される しかし椎体が高度に変形した状態であっても 骨癒合を有意に改善した これは激しい背部痛の持続や神経障害を呈する椎体圧潰といった手術加療を要する状態になることを防ぐという観点から非常に大事な点である 第一章で明らかとなった骨癒合を阻害する因子は胸腰椎移行部の椎体骨折 腰椎骨密度が-2.5SD 未満であること 椎体の後壁骨折がある場合 受傷時にビスフォスフォネート製剤を使用している場合であった 第二章では 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折の骨癒合に及ぼす因子の検討の一つとして 第一章での多変量解析から求められた骨癒合を阻害する因子以外に 脊柱骨盤配列が骨癒合を阻害する因子になりえるかについて検討をした 脊柱の荷重は前方傾斜で増加することがすでに報告されている 35-37. 実験では椎体前方に非対称の荷重が新規椎体骨折の発生を促し 41 胸腰椎移行部の前方凸の楔状椎体の形態をとるようになる 42 ことが報告されている 臨床では 椎体骨折の発生が脊柱配列と関連があると報告され 異常な脊柱配列が椎体骨折の発生を予測する因子であると報告され 40 椎体骨折を発症した患者では大きな胸椎後弯角を呈していることが多く 大きな胸椎後弯角が独立した新規椎体骨折の予測する因子であるとされている 38,39 また動的因子の関与として 脊柱が前方傾斜している患者はバランスを取るのが難しく バランスを取るのに大きく揺れてしまう 43 本研究では DSVA というパラメーターを導入した これは第 7 頸椎の鉛直線と骨折椎体中心からの水平距離であり 骨折椎体に加わる屈曲モーメントの大きさに関して骨折部までの距離に比例しやすい値となる 骨癒合が得られなかった群で DSVA は有意に大きく DSVA>5cm は他の骨癒合を阻害する因子と多変量解析を行っても骨癒合を阻害する有意な因子であることが示された 第一章では骨粗鬆症性椎体骨折にもテリパラチドはビスフォスフォネート製剤に比較し 46
て有用であることが示されたが テリパラチドは皮下注射であること 費用負担が大きいため ビスフォスフォネート製剤を用いても骨癒合が得られない場合に使用を考慮したい 第三章では ビスフォスフォネート製剤を用いて骨粗鬆症性脊椎椎体骨折を治療した場合に骨癒合を予測する因子として骨代謝マーカーを用いることができるか検討をした研究である 骨癒合をする場合と骨癒合しない場合の骨代謝マーカーの変動が異なり 特に TRAP5b ではその差が顕著でビスフォスフォネート製剤導入後 1 か月ですでに大きな差が確認できた ビスフォスフォネート製剤導入前を基準値とし 投与後 1 か月の TRAP5b の減少が 16% 以上減少しないものは感度 89.5%, 特異度 87.5%(area under the curve=0.914) で偽関節になることが計算された 骨代謝マーカーは全身の骨代謝にマスクされて骨癒合過程では骨癒合の推移に相関しなくなる 62 が 椎体骨折では 椎体骨折後 2 週から 4 週で骨代謝マーカーにピークがあることが示されている 63 本研究ではアレンドロネートを導入することによって 全身の骨代謝マーカーを抑えることにより骨折後に短期間に生じる骨代謝マーカーの反応を顕在化させた 骨癒合しない場合には椎体の形態変化が継続 ( 微小な椎体骨折が断続 ) し椎体圧潰に至り骨癒合を得ることが難しくなっているが この微小な骨折の繰り返しが骨代謝マーカーを継続して上昇させていると考えられた 第四章は テリパラチドのビスフォスフォネート製剤に対する脊椎椎体骨折の治療効果の高さを検討する無作為化前向き比較試験についてである 薬剤の効果を正確に把握するには後ろ向き比較試験では十分比較検討できない要素がある テリパラチドの投与方法の侵襲性および薬価 テリパラチドとビスフォスフォネート製剤には相加 相乗効果が期待できないこと 椎体骨折が時間依存性の疾患であること等を加味して本研究の試験デザインを被検薬群 ( テリパラチド ) と対照薬群 ( ビスフォスフォネート製剤 ) の割り当てを無作為化した一重のランダム化実薬対照試験とした 本研究は平成 27 年 10 月現在 70 例登録された サンプルサイズの計算では 74 例必要であるが 目標症例数 100 例に達したら解析に入る予定である また後ろ向き研究の際に検討できなかった項目として疼痛の程度の把握 MRI を用いた癒合過程の評価 骨密度の推移を含めて評価をしている 受傷時にすでに神経障害を呈している骨粗鬆症性脊椎椎体骨折への保存治療には限界がある しかし受傷時に神経障害を呈していない骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に対して手術を要する状態にならないように適切な保存治療を行うことが大事である 患者背景を考慮し予め薬剤の選択を定めること 治療の経過観察中に偽関節になる特徴を見極め骨粗鬆症性脊椎椎体骨折の治療方針を再検討すること そして保存治療で治せない限界を知り適宜手術加療を遅滞なく導入することが理想的であると考える この答えを出せるように引き続き骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に対して研究を継続していきたい 47
総括および結論 我々は骨粗鬆症治療薬テリパラチドの骨形成促進作用が骨粗鬆症性脊椎椎体骨折の骨癒合に 有利に作用するか 骨粗鬆症治療薬の第 1 選択となるビスフォスフォネート製剤と比較して 検討した テリパラチドはビスフォスフォネート製剤に比較して骨粗鬆症性脊椎椎体骨折の骨癒合を早 期に促し 受傷後半年後の骨癒合率を有意に高めた 骨折椎体の変形の程度はテリパラチドを使用した場合とビスフォスフォネート製剤を使用し た場合とに差を認めなかった しかし椎体の変形が大きい場合であってもテリパラチドの骨 癒合は有意に高かった 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折を阻害する因子として骨折高位が胸腰椎移行部であること 腰椎が 低骨密度であること 椎体の後壁骨折があること 受傷時にビスフォスフォネート製剤を使 用していることが挙げられた 胸腰椎移行部の骨粗鬆症性脊椎椎体骨折の骨癒合阻害因子を 脊柱骨盤配列に注目して検討 した 第 7 頸椎椎体中央からの鉛直線から骨折椎体中央までの距離を DSVA と定義し DSVA が大き い程骨癒合が獲得できないことを示した DSVA>5cm は他の因子と比較しても有意な骨癒合 を阻害する因子であった 骨粗鬆症治療の第一選択薬であるビスフォスフォネート製剤を骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に導入した場合に 骨癒合が得られる場合と骨癒合が得られない場合に分けて骨代謝マーカーを調査した そして骨代謝マーカーの比較的早期の推移が脊椎椎体骨折の骨癒合を予測ができる検討した 骨代謝マーカーの変動は 骨癒合した場合には速やかに低下したが非骨癒合群では骨代謝マ ーカーの低下が遅れた 特に酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ (TRAP5b) で顕著であった 骨吸収マーカーの酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ (TRAP5b) がビスフォスフォネート製剤を 投与後 1 か月経過しても 16% 以上抑制されない場合には感度 89.5%, 特異度 87.5% で骨癒合 が得られないことを示した ビスフォスフォネート製剤を投与後に骨代謝マーカーが低下しない場合には椎体圧潰が生じ ていると考えられ, 偽関節に至らないように治療方法を再検討するべきであると考える 48
テリパラチドの骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に対する効果をより正確に判定するために 我々は 対照群にビスフォスフォネート製剤を用いた前向き無作為化実薬対照試験の試験デザインを 作成し 目標登録症例数を 100 例に定めて平成 24 年 4 月 1 日から試験を開始している 49
謝辞 本論文は北海道大学大学院医学研究科医学専攻機能再生医学講座整形外科学分野博士課程臨床医学コースの在学中に行った研究内容です 本研究に関して函館中央病院に於いて研究をさせていただきました北海道大学整形外科学分野教授岩崎倫政先生 函館中央病院院長 北海道大学客員教授橋本友幸先生に心より感謝いたします 本研究を行うにあたり 研究を主導し細部にわたりご指導を賜りました函館中央病院脊椎センター長 北海道大学客員准教授金山雅弘先生に深い感謝の意を表します これまでの研究課程において北海道大学整形外科の諸先生方 函館中央病院の病院スタッフの皆様に心より感謝を申し上げます 50
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