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解糖系でへ 解糖系でへ - リン酸 - リン酸 1,-2 リン酸 ジヒドロキシアセトンリン酸 - リン酸 - リン酸 1,-2 リン酸 ジヒドロキシアセトンリン酸 AT AT リン酸化で細胞外に AT 出られなくなる 異性化して炭素数 AT の分子に分解される AT 2 ホスホエノール AT 2 1

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第 3 回細胞膜の構造と膜輸送 生体膜 Biological membrane 教科書 :P132-134 生体膜 : 細胞と外界を隔てる細胞膜 & 真核細胞内の細胞小器官など様々な膜区画 基本構造は 脂質二重層 (Lipid bilayer: 厚さ 6~10nm) 1. 細胞 ( 生体 ) 膜の構造を理解する 2. 膜を介した物質の輸送を理解する 教科書 11 章 &12 章 両親媒性 (Amphiphilic): 親水性と疎水性両方を備えた性質 生体膜の脂質 : リン脂質とコレステロール 3 種類の生体膜脂質 ホスホグリセリド ( グリセロリン脂質 ): ほとんどがグリセロール 3- リン酸 ( 赤 ) の誘導体 スフィンゴ脂質 ( スフィンゴリン脂質 ): スフィンゴシン ( 赤 ) の誘導体 コレステロール 2 本のエステル結合した脂肪酸炭化水素鎖からなる疎水的 尾部 とリン酸基にエステル結合した親水性の 頭部 を有する PE: ホスファチジルエタノールアミン PC: フォスファチジルコリン PS: ホスファチジルセリン PI: ホスファチジルイノシトール SM: スフィンゴミエリン 糖脂質 セラミドに糖が結合 GlcCer: グルコセレブロシド 頭部にグルコース 脂質組成が二重層の厚みと曲率に及ぼす影響 生体膜を構成する主な脂質組成 (%) 部位 PC PE+PS SM コレステロール 細胞膜 ( ヒト赤血球 ) 21 29 21 26 ミエリン膜 ( ヒト神経細胞 ) 16 37 13 34 細胞膜 ( 大腸菌 ) 0 85 0 0 小胞体膜 ( ラット ) 54 26 5 7 ゴルジ膜 ( ラット ) 45 20 13 13 ミトコンドリア内膜 ( ラット ) 45 45 2 7 ミトコンドリア外膜 ( ラット ) 34 46 2 11 リーフレットの主な部位 反細胞質側面 細胞質側面 反細胞質側面 両方 PC= Phosphatidylcholine, PE=Phosphatidylethanoamine, PS=Phosphatidylserine, SM=Sphingomyelin 教科書 p75-79

生体膜 教科書 P132~134 細胞膜 教科書 p134 図 11-6 細胞外マトリックス 表在性タンパク質 膜貫通タンパク質 : 20~25 残基の疎水性アミノ酸からなる α- へリックス ドメインを有する 細胞外部 細胞質 内在性タンパク質 脂質結合 内在性タンパク質 表在性タンパク質 表在性タンパク質 液晶相では リン脂質が活発な運動 : 脂肪酸部分の屈曲運動 リン脂質の回転や移動 ( 拡散 ) 内層と外層間を移動する反転運動 炭化水素鎖の共有結合による膜タンパク質の二重構造への固定 GPI = Glycophosphatidylinositol GPI アンカー 細胞骨格 脂質二重層構成するリン脂質は 温度に依存して性質が不連続的に変化 生命活動をするためには適度の膜の流動性が必要 アシル化 プレニル化 複数回膜貫通型蛋白質 ( バクテリオロドプシン ) 1 回膜貫通型蛋白質 ( グリコホリン A) ポリン ( 三量体膜貫通タンパク質 OmpX のサブユニット構造 ) 細胞膜 教科書 p134 細胞膜を横切って輸送するしくみ 気体 透過可能 輸送のしくみ 電荷持たない小さな親水性分子電荷持たない大きな親水性分子 イオン 電荷持った親水性分子 透過可能 僅かに透過可能 透過不可 透過不可 透過不可 ATP 依存性ポンプ 単輸送 共輸送 対向輸送 細胞の重要な生理機能 : 細胞質 ph の維持 方向性を持った水の流れ 細胞膜上の輸送蛋白質の組合せに依存 性質受動拡散促進拡散能動輸送共輸送 特別な蛋白質 - + + + が必要濃度勾配に逆らって - - + + 溶質を輸送 ATP 加水分解 - - + - と共役共輸送されるイオン - - - + 濃度勾配に従った動きにより駆動 輸送される分子 O 2 CO 2 ステロイド グルコースとアミノ酸 イオン 小さな グルコースとアミノ の例 ホルモン 多くの薬物 ( 単一輸送体 ) イオンと 親水性分子 脂質 酸 ( 等方輸送体 ) 水 ( チャネル ) (ATP 依存性ポンプ ) 種々のイオンとシュクロース ( 対向輸送体 )

単輸送機構モデル (GLUT1 の場合 ) GLUT1: 赤血球細胞膜に存在するグルコース輸送体ほとんどの哺乳類細胞のグルコース取込みは GLUT1 が担う ATP 依存性ポンプ 特有の構造と機能特性を有する 4 種類の ATP 依存性ポンプが存在 P 型ポンプ F 型 H + ポンプ 一方の状態ではグルコース結合部位が外側を向いているが 他方では内向き 1 グルコースが外向きに開口した結合部位に結合する 2 輸送体に構造変化が起き グルコース結合部位が内向きになる 3 グルコースは細胞内に放出される 4 輸送体はもとに戻る構造変化起し 結合部位は再び外側を向く 細胞内グルコース濃度が外部より高い場合はこの順番が逆になり 内部のグルコースを外部に放出する V 型 H + ポンプ ABC スーパーファミリー ATP 依存性イオンポンプが膜をはさんだイオン濃度勾配をつくり 維持する ATP 依存性 P 型ポンプ 植物 菌類 細菌の細胞膜 (H + ポンプ ) 高等真核細胞の細胞膜 (Na + /K + ポンプ ) 哺乳類胃壁細胞内腔面の細胞 ( H + /K + ) 全真核細胞の細胞膜 (Ca 2+ ポンプ ) 筋細胞の筋小胞体膜 (Ca 2+ ポンプ ) ATP 依存性イオンポンプが膜をはさんだイオン濃度勾配をつくり 維持する 哺乳動物細胞における典型的な細胞内外のイオン組成 イオン細胞内 (mm) 細胞外 (mm) K + 139 4 Na + 12 145 Cl 4 116 HCO 3 12 29 X 138 9 Mg 2+ 0.8 1.5 Ca 2+ <0.0002 1.8 X - は タンパク質を示す タンパク質は ph がほぼ中性である血液中や細胞内では負の電荷をもつ ATP 依存性 P 型ポンプ (1) 単輸送 P 型ポンプでは 触媒 α サブユニットのリン酸化による構造変化が ATP 加水分解とイオン輸送を共役させるために必要 P 型ポンプの触媒 α サブユニットのみを図示

ATP 依存性 P 型ポンプ (2) 対向輸送 ATP 依存性 V 型および F 型 H + ポンプ 動物細胞のエンドソームやリソソームの膜 破骨細胞とある種の腎尿細管細胞の細胞膜 細菌の細胞膜 ミトコンドリア内膜 葉緑体のチラコイド膜 H + だけを輸送する V 型と F 型の ATPase は大きく多量体構造をもつ 膜貫通ドメインに H + が通るチャネルがあり 細胞質ドメインに ATP 結合部位がある 動物のエンドソームやリソソーム膜 植物の液胞膜に存在する V 型 H + ポンプはそれらの細胞小器官内の ph を周囲の細胞質より低くしている ( 上 b 図 ) ATP 依存性 ABC スーパーファミリー 哺乳類には約 50 種の ABC 型ポンプが存在 イオンの選択的移動による膜電位の発生 膜がどのイオンも透過させない場合膜が Na + だけを透過させる場合膜が K + だけを透過させる場合 哺乳類細胞膜 ( リン脂質 低分子の脂溶性薬物 コレステロール 他の低分子の輸送体 ) 数が多く多様性に富む ABC スーパーファミリーのタンパク質は全て 4 つの主要なドメインからなり 2 つは膜貫通ドメインで溶質の通る通路を形成し 基質特異性を決定 残り 2 つは細胞質側にある ATP 結合ドメイン 哺乳類 MDR1 と似た ABC タンパク質の大腸菌脂質フリッパーゼの構造モデル フリッパーゼモデル 動物細胞の膜電位は静止 K + チャネルに大きく依存する 動物細胞の細胞膜には常に開いた K + チャネルが多く存在するが Na + や Cl - や Ca 2+ チャネルの開いたものはほとんど存在しない その結果 細胞膜では K + だけが濃度勾配に従って内側から外側に動き 内側に負の電荷を残し 外側に正の電荷を蓄積する 植物や菌類では ATP 依存的に H + が細胞質外に放出され 膜電位が生じる すべての細胞の細胞膜には内側が負の 50~70mV の電位が存在する

K + チャネル 同一サブユニット 4 個から構成され 各サブユニットには 2 つの膜貫通 α へリックスとイオン通路を内張りする P セグメントが存在 Ca 2+ は水和水がなくても大き過ぎて K + チャネルを通れない K + が選別フィルターを通る時 配位している水を失うが ポリペプチド鎖上の8 個のカルボニル酵素がそこに配位する K + より小さいNa + はカルボニルの酸素と完璧に配位できないのでチャネルを通り抜けることはほとんどない 前室で再び8 個の水に取り囲まれる Na + 通過に必要な活性化エネルギーはK + より高くなる K + 1000 個に対してNa + は1 個しか通れない! 選別フィルター 前室 共 ( 等方 対向 ) 輸送体の作用機構細胞外部 細胞質 外向きの構造 哺乳動物の細胞質 ph を調節している膜輸送体タンパク質に対する細胞質 ph の影響 内向きの構造 外向きの構造 いくつかの対向輸送体は細胞質 ph を調節している Na + HCO 3- /Cl - 対向輸送体 : Na + が濃度勾配に従って流入すると HCO 3- が一緒に細胞質内に入り 交換に Cl - が細胞外に出る HCO 3- は carbonic anhydrase の働きで CO 2 と OH - になり CO 2 は細胞外に拡散し OH - は細胞内 H + と反応して水になり 細胞内 ph を上げる Cl - /HCO 3 - 対向輸送体 : Cl - と交換で HCO 3- ( CO 2 と OH - が一緒になったものとみなせる ) が細胞質内に入ると 細胞内 ph は上がる 水の移動 細胞内部より溶質濃度が高い ( 低い ) 液を高 ( 低 ) 張液といい ほとんど同じ液を等張液という 純粋なリン脂質二重層は水を全く通さない 水は浸透圧により複数の膜を通り抜けて移動水の出し入れをすばやく行う水チャネルが存在 水チャネルタンパク質アクアポリンの構造 4 個の同一サブユニットからなるアクアポリン四量体の構造モデル 上皮細胞を通り抜ける輸送 上皮細胞の頂端側と側底側の膜には異なる輸送蛋白質群が存在し 異なった輸送を行っている 小腸上皮細胞でのグルコース輸送 胃壁傍細胞による胃内腔の酸性化 動物細胞 等張液でも細胞外イオンが濃度勾配に従って徐々に漏入 これを出さないと 浸透による水の流入起こり 細胞は破裂動物細胞では ATP 依存性 Na + /K + ポンプ (3Na + を放出して 2 K + を取り込む ) が主要な役割 体積維持 側底膜 頂端膜 側底膜 頂端膜 各サブユニット内に膜貫通 α へリックスが 6 個存在し それらが水の通る中央孔を形成 頂端膜の Na + と共役した等方輸送体と側底膜にある Na + /K + ATPase や単一輸送体が共同して働き 小腸内腔のアミノ酸やグルコースを血液中に細胞横断輸送している 炭酸 anhydrase と 4 種類の輸送タンパク質が協同して働かせることで 胃壁の傍細胞は HCl を内腔に放出して酸性化 ( 胃酸 =0.1M の HCl 溶液 ) するが 細胞内はほぼ中性に保つことができる

細胞内での膜を介した輸送 真核細胞内での主要なタンパク質選別経路の外観核膜リボソーム核核孔 教科書 p147 分泌タンパク質の小胞体内への翻訳時輸送 N 末端のシグナル配列 ( 疎水性アミノ酸並ぶ部分を含む ) にシグナル認識粒子 (SRP) が結合 (1~2) SRPがSRP 受容体に運び結合 ( 相互作用はGTP 結合でより強固に :3) 伸長中のポリペプチド鎖がトランスコロン中に挿入されるとチャネル開口 GTPの加水分解によりSRPと受容体は次のポリペプチド鎖の挿入へ ( この加水分解エネルギーが挿入過程を駆動 :4) 小胞体内に入ったシグナル配列は内腔のシグナルペプチダーゼが切断 分解 (5) 益々伸長したポリペプチドは 小胞体内腔内に押し出される (6) ポリペプチド鎖の翻訳完了によりリボソーム離脱し トランスコロンが閉じ 分泌タンパク質が立体構造 (7~8) 小胞体へのシグナル配列 粗面小胞体 細胞質タンパク質輸送配列 ペルオキシソーム 教科書 p150 ゴルジ体 ミトコンドリア 細胞膜 リソソーム 分泌経路 四種類の膜貫通型タンパク質 教科書 p151 赤色 :αへリックス構造細胞質 Ⅰ Ⅱ 型一回膜貫通型タンパク質の合成 挿入 小胞体膜への挿入の場合 教科書 p150 反細胞質側 ( 小胞体やゴルジ体の内腔または 細胞外部 ) タイプ Ⅰ グリコホリン LDL 受容体インフルエンザ HA タンパク質インスリン受容体成長ホルモン受容体 タイプ Ⅲ シトクロム P450 タイプ Ⅱ アシアロ糖蛋白質受容体トランスフェリン受容体シュクラーゼ イソマルターゼ前駆体ゴルジガラクトシルトランスフェラーゼゴルジシアリルトランスフェラーゼインフルエンザ HN タンパク質 タイプ Ⅳ G タンパク質共役型受容体 ( アドレナリン β 受容体 ) グルコース輸送体 (GLUT1) 電圧依存性 Ca 2+ チャネル CFTR(Cl - ) チャネル Sec61 コネキシン Ⅰ 型一回膜貫通型タンパク質 輸送阻止 膜係留配列が合成されトランスコロンに入るが それ以降は小胞体内腔に入れない (3) 輸送阻止 膜係留配列がトランスコロン構成タンパク質サブユニットの間からリン脂質二重層中に出て係留される (4) ポリペプチド鎖はトランスコロンとリボソームの隙間から細胞質側に出てくる (5) 合成終わるとリボソームは細胞質に放出され 蛋白質は膜内を自由に拡散 (6) Ⅱ 型一回膜貫通型タンパク質 中央部のシグナル 膜係留配列がリボソーム上で合成されるとSRPが結合し NH 3 末端が細胞質に向くようにトランスコロンに入る (1) ペプチド鎖が小胞体内部に押し出され シグナル 膜係留配列がリン脂質二重層に入り込み ポリペプチド鎖を係留する (2) タンパク質合成完了とともにC 末端が小胞体内部に放出され リボソームも細胞質に放出 (3)

複数回膜貫通型タンパク質の空間配置は Ⅰ~Ⅲ 型一回膜貫通型タンパク質の組合せ GPI アンカーにより係留されるタンパク質 GPI の構造 : 疎水部分は脂肪酸の炭化水素鎖親水部分は炭水化物残基とリン酸基 イノシトールグルコサミンマンノース GPI 係留タンパク質は自由にリン脂質二重層の表面を動き回れるが 膜係留 α へリックスで係留されたタンパク質はあまり自由に動けない ( 細胞質側で細胞骨格と結合することが多い ) 脂肪酸炭化水素鎖 ホスホエタノールアミン 細胞質 GPI トランスアミダーゼ 疎水性 親水性 前駆体 既存の GPI 反細胞質側 ( 小胞体やゴルジ体の内腔または 細胞外部 ) GPI と結合したタンパク質 ある種の細胞表面受容体は膜上で Ⅰ 型として合成され 次にその反細胞質側のドメインが GPI に移され膜に係留される タンパク質の修飾 折りたたみと小胞体内での品質管理粗面小胞体内での N- グリコシド結合したオリゴ糖鎖の付加と初期プロセシング 予め作られた N- グリコシド結合した共通構造をもつオリゴ糖鎖が粗面小胞体内でタンパク質に付加される 教科書 p151-154 例 小胞体での赤血球凝集素前駆体 HA 0 の折りたたみと三量体形成 シャペロン (chaperone) : 他のタンパク質分子が正しく折りたたまれ機能を獲得するのを助けるタンパク質の総称 基質のアスパラギンが小胞体内に出るとGlc3Man9(GlcNAc)2 前駆体はドリコールから切り離されてそこに結合 (1) 最初に1 個のグルコース (2) 次に2 個のグルコース (3) 最後に1 個のマンノース (4) が切り離される グルコースが1 個戻されること (3a) が小胞体での多くのタンパク質の正しい折りたたみを助けている 正しく折りたたまれたタンパク質や正しく集合したサブユニットだけがゴルジ複合体に送られる ( 品質管理 ) PDI: Protein disulfide isomerase オリゴ糖鎖の付加とシャペロン BiP の結合 (1a) カルネキシンやカルレティキュリンといったレクチンのオリゴ糖鎖への結合 (1b) により近傍部位間で適切な折りたたみが実行される PDI によってジスルフィド結合が形成される 完成した HA 0 単量体は N 末端が内腔に向くように 1 個の α へリックスによって膜に係留される (2) 3 個の HA 0 単量体の膜貫通 α へリックスどうしで相互作用し より長い α へリックスからなる茎部を内腔側に形成し 球頭部が相互作用して HA 0 三量体が完成 (3)

分泌経路とエンドサイトーシス経路 トランスゴルジ網 エキソサイトーシス 分泌小胞 エンドサイトーシス N グリコシド結合した複合型糖鎖のゴルジでのプロセシング 放出 教科書 p153 教科書 p151~ 輸送小胞 トランス トランスゴルジ 中間ゴルジ シスゴルジ シスゴルジ嚢 中間 これらの糖は細胞質から取り込んだ糖ヌクレオチド前駆体を使って一度に一個ずつ特異的トランスフェラーゼによってオリゴ糖につけられていく 粗面小胞体 シス ゴルジ 典型的な哺乳類糖タンパク質がゴルジで受けるプロセシング過程 N-グリコシド結合したオリゴ糖鎖にいろいろなものが存在するのは このゴルジでのプロセシング段階の違いによる 被覆小胞の出芽 可溶性積み荷タンパク質 ドナー膜 細胞質 小胞輸送体の出芽と融合 GTP 結合タンパク質 膜内在性積み荷タンパク質 膜内在性積み荷タンパク質受容体コートタンパク質 無被覆小胞の融合 GTP 結合タンパク質が膜の一区画に結合して出芽が開始 細胞質 教科書 p 1467149 標的膜 v-snare t-snare 複合体 細胞質コートタンパク質複合体が内腔の可溶性積み荷タンパク質の受容体や膜内在性積み荷タンパク質の細胞質側部位と結合し出芽小胞内に積み荷タンパク質を集める出芽が終わり 被覆を脱ぎ捨てた小胞は対となるSNAREタンパク質の相互作用が関与する過程を経て標的膜と融合 小胞体とシスゴルジ間の小胞によるタンパク質輸送 順行性輸送はCOPII 小胞が 逆行性輸送はCOPI 小胞によって行われる それぞれ可溶性被覆タンパク質である COPIIとCOPIが小胞体膜上で重合して形成される 小胞体膜上のv-SNAREや他の積み荷タンパク質は被覆タンパク質との相互作用により小胞内に取り込まれる 可溶性積み荷タンパク質は出芽小胞膜に存在する受容体を介して小胞内に取り込まれる 被覆の解離は遊離被覆タンパク質を再生し 小胞表面にv-SNAREタンパク質を露出させる 3と6のそれぞれのv-SNAREやt- SNAREタンパク質は異なるタンパク質 教科書 p147-149

分泌経路とエンドサイトーシス経路 3 種類 (COP I, COP II, クラスリン ) の被覆タンパク質が使用 クラスリン一分子はトリスケリオンと呼ばれ 3 個の重鎖と 3 個の軽鎖からできており 小胞の周りの繊維状クラスリン被覆は 36 個のクラスリントリスケリオンからなる 教科書 p148 細胞膜細胞質側のクラスリン被覆小胞 GDP 結合可溶性 Sar1 と小胞体膜内在性タンパク質のヌクレオチド交換因子 Sec12 との相互作用で Sar1 上の GDP が GTP と交換 GTP が結合した Sar1 では疎水性 N 末端が外に広がり Sar1 を小胞体膜に係留 (1) 膜に結合した Sar1 は Sec23/sec24 被覆タンパク質複合体の結合部位になる 積み荷タンパク質は選別配列 ( 細胞質側領域の短い特異的配列 ) が Sec23/sec24 複合体上の部位と結合すると形成中の小胞体内に集められる (2) 小胞被覆が完成後 被覆サブユニット Sec23 が Sar1 による GTP 加水分解を促す (3) Sar1-GDP が小胞体から放出されると被覆は解離する (4) トランスゴルジからの出芽とエンドサイトーシス 反細胞質側 教科書 p148 核膜を通じた巨大分子の輸送 細胞質フィラメント細胞質近位フィラメント 細胞質側 繊維状クラスリンによる被覆 AP 複合体 ダイナミン 膜内在性積み荷タンパク質 可溶性積み荷タンパク質 膜内在性受容体タンパク質 小胞出芽が形成後 首のまわりにダイナミンが重合 ( その仕組みはよく分かっていない ) ダイナミンによる GTP 加水分解が小胞をもとの膜から切り離す もとの膜にあった膜タンパク質が AP 複合体との相互作用により小胞内に取り込まれる スポーク核外膜内腔核膜核内膜核質 核バスケット 核孔複合体 中央輸送体細胞質リング外部スポークリング内部スポークリング核質リング教科書 p155-157 クラスリン被覆小胞 核内で mrna のプロセシングが完了しても mrna はメッセンジャーリボ核タンパク質複合体 (mrnp) として特定の hnrnp タンパク質と結合している mrna がコードしているタンパク質に翻訳されるためには核から細胞質に輸送される mrnp trna リボソームサブユニットなどの巨大分子の核外への輸送と 細胞質で合成されたすべての核タンパク質の核内への輸送は すべて核孔 (nuclear pore) を通して行われる

積み荷タンパク質の核内輸入機構 教科書 p155-157 解離したインポーチンが積み荷タンパク質の NLSに結合し 積み荷複合体を形成 積み荷複合体はFGヌクレオポリンと相互作用してNPCを通じて拡散 核内では Ran-GTPのインポーチンとの相互作用が立体構造の変化をもたらし NLSへの親和性を低下させ積み荷を解離次回の輸送に備えて インポーチン Ran- GTP 複合体は細胞質に逆送 NPCの細胞質フィラメントに結合した GTPase 促進タンパク質 (GAP) はRanが結合したGTPの加水分解を促進し 立体構造変化によるインポーチンからの脱離をもたらす Ran-GDPは核質に戻され グアニンヌクレオチド交換因子 (GEF) がGDPの解離とGTPの再結合をもたらす 教科書 p155-156 核外輸出シグナル (NES) を含む積み荷タンパク質の核外輸出機構 核質でタンパク質エキスポーチン1はRan- GTPと協同的に輸送される積み荷タンパク質のNESに結合して積み荷複合体を形成積み荷複合体がFGヌクレオポリンのFGリピートとの一時的な相互作用でNPCから拡散した後でNPC 細胞質フィラメントと結合した Ran-GAPがRan-GTPからRan-GDPへの変換を促進し これに伴う立体構造の変化が複合体の解体につながる 積み荷タンパク質は細胞質に解離されるが エキスポーチン 1 と Ran-GDP は核内に逆送され 核質 Ran-GEF によって Ran-GTP に変換される 練習問題 1. 動物細胞で膜電位を生じさせているチャネルは何か? 2. 細胞の体積維持に重要な役割を果たしているのは 受動拡散 促進拡散 能動輸送 共輸送のうちどれか? また 哺乳動物で主要な働きをしている輸送体について述べよ 3. イオンや分子を能動輸送する ATP 依存性ポンプには 4 つのタイプがある それらの名称をあげよ それらのうちのどれがイオンだけを輸送し どれが主に低分子を輸送するのか 4. 新たに合成されたタンパク質の 品質管理 に小胞体は重要な役割を果たしている ここでいう品質管理とはどのようなことか