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空間起磁力分布に着目した CS 駆動集中巻 PMSM のトルク脈動抑制法 学生員川井由宇正員芳賀仁上級会員近藤正示 長岡技術科学大学 oru Rppl Supprsson Mho o Currn Sourc nvrr or PMSM wh Concnra Wnng bas on Spaal MM Dsrbuon Yuu Kawa, Sun Mbr, Hosh Haga, Mbr, S Kono, Snor Mbr agaoa Unvrsy o chnology n hs papr, a oru rppl supprsson ho or PMSM wh concnra wnng bas n spaal agnoov orc MM srbuon s propos. h propos suprpos haronc ho can supprss h oru rppl copar o h convnonal -wav ho. Exprnal rsuls ar shown n h valy o h propos ho. キーワード : トルク脈動抑制, 集中巻, 空間高調波, 電流形インバータ Kywors:oru rppl supprsson, Concnra wnng, Spaal haroncs, Currn Sourc nvrr. はじめに集中巻永久磁石同期電動機 PMSM は高効率化, 小型化, コスト低減化技術として様々な産業に応用されている しかし, 分布巻に比べ空間高調波を多く含むため大きなトルク脈動が生じてしまう問題がある この集中巻 PMSM のトルク脈動抑制方法として, 電動機構造を改良する手法と追加的な制御を導入する手法が提案されている ~4 本稿では電機子巻線の空間起磁力分布 ~ に着目したトルク解析を行い, この結果から電流形インバータの指令電流に対して適切な高調波を重畳することでトルク脈動を抑制する制御法を提案する 実験により, 提案法は正弦波駆動に比べ 次のトルク脈動を抑制できる結果を得た. 電流形インバータの特徴一般的には電圧形インバータを用いて電流制御してモータ駆動している しかし, 電圧形インバータはフィードバックにより電流を制御するため応答に限界があり, 更に速度起電力による外乱の影響を受けてしまう 電流形インバータは直接電流を操作でき速度起電力による影響を受けにくい利点がある 図 回路構成 g.. Crcu conguraon 図 に電流形インバータを用いたモータ駆動システムの回路構成を示す 提案するトルク脈動抑制法は空間高調波の影響を時間高調波電流で改善する手法であり, 回転子の位置情報に対して正確な位相の時間高調波電流を重畳することでトルク脈動を抑制する 提案法には電流制御帯域を考慮する必要がなく直接電流を操作できる電流形インバータを用いる. トルク脈動の解析 空間起磁力分布電機子により回転機内に生じる起磁力分布は印加する各相の電流と対応する起磁力分布係数によって決定する この起磁力分布は電機子が作り出す磁束特性と密接な関係にあり, 起磁力の変動はトルク脈動の原因となる まず, 分布巻と集中巻の起磁力分布の違いを述べる ここで各相の電流 u,v,w はそれぞれ 式とする 以降, 表記の簡易化のために三相電流は 式に示す瞬時空間電流ベクトル で表記する u v w 分布巻と集中巻における各相の電流に対応する起磁力分布係数はそれぞれ,4 式となる ここで, は図 に示すように電機子巻線モデルに対応する 合成起磁力分布は各相の電流と対応する起磁力分布係数 Ru,Rv,Rw を用いて 式と表せる ここで, は一相あたりの巻数を意味する - 9

そして, 式に示す分布巻の Ru_DS,Rv_DS,Rw_DS と 4 式に示す集中巻の Ru,Rv,Rw はそれぞれ 式の Ru,Rv,Rw に対応する R R R R R R u_ds v_ds w_ds u v w, n n u n n n u n n n n U V W R R R v v w w 4 ここで, 一相あたりの起磁力分布について説明する 図 は図 の U 相電流に対応した起磁力分布 U 式の右辺第 項 である 図 は, 起磁力分布の空間的な変化と時間的な変化を示す 図 a に示すように分布巻の起磁力分布は空間高調波を持たないため正弦波状となり, 図 b に示すように集中巻の起磁力分布は空間高調波により歪む 次に, 三相全ての合成起磁力分布について説明する 分布巻の合成起磁力分布 DS, は 式と, 式を用いると 式のように求められる 同様に, 集中巻の合成起磁力分布, は 式と,4 式を用いて 式のように求められる 但し, 空間調波は 次以下のみを考慮している, DS 示したものである このように, 分布巻の起磁力分布は時間変化によらず同一波形であるが, 集中巻の起磁力分布は時間変化に伴い波形が変化する 以降に, これまで示してきた起磁力分布の考え方を用いて空間調波と時間調波を考慮した 軸上の電流量を考える adsrbu Wnng bconcnra Wnng 図 一相辺りの回転機内の起磁力分布 :U g.. MM srbuon o on phas adsrbu wnng bconcnra wnng 図 4 回転機内の合成起磁力分布 g.4. Synhc MM srbuon o oor 図 4 は三相電流全てに対応した合成起磁力分布を示す 但し, 図 4 は, 式の = における合成起磁力分布を示 している 図 4 のように合成起磁力分布は各相の起磁力分 adsrbu wnng adsrbu wnng bconcnra wnng 図 電機子巻線モデル g.. A ol o araur wnng b Concnra wnng 図 起磁力分布の時間変化 g.. ranson o MM srbuon -

軸に作用する起磁力一般に PMSM ではリラクタンストルクを活用するため電機子電流は 軸において位相差 を持たせる 8 式にこの電機子電流を示す したがって位相差 を考慮すると,, 式はそれぞれ 9, 式になる, 8 DS 9 adsrbu wnng bconcnra wnng 図 回転子を考慮した電機子巻線モデル g.. A ol o araur wnng wh roor そして図 は回転子を考慮した電機子巻線モデルである なお, 軸上の起磁力の位相関係はそれぞれ図 の, に示すとおりである 瞬時空間電流ベクトル 8 式の位相 + に対応する, はそれぞれ 式である 図 と 式より起磁力分布と 軸の位相関係は図 の ように示すことができる 9, 式に 式を用いると分 布巻と集中巻の 軸の起磁力は, 式となる _DS _DS DS DS, 式より, 軸上の起磁力の時間変化を図 8 に示 す 図 8 より集中巻において 軸の起磁力が 次調波で変 動していることが判る adsrbu wnng adsrbu wnng b Concnra wnng 図 起磁力分布と 軸の時間変化 g.. ranson o MM srbuon an - axs bconcnra wnng 図 8 空間調波を考慮した 軸 g.8. - axs n consraon o spaal haronc -

分布巻における 式と集中巻における 式の 軸上の起磁力より, 空間調波を含む電流量を考えると, それぞれの電流量は 4, 式と求まる _DS _DS _DS _DS 4 このように 式に生じる 次高調波は時間調波の位相差 に応じて 次係数 に対しては進み, 次係数 に対しては遅れの位相差 になる 以降,4, 式で示した空間調波を含む 軸上の電流量を用いてトルク解析する 空間調波を考慮した集中巻 PMSM のトルク 式に PMSM のトルク式を示す 右辺第一項がマグネットトルクに, 第二項がリラクタンストルクに対応する 但し,p,,, はそれぞれ極対数, 回転子磁束, 軸インダクタンス, 軸インダクタンスである p 分布巻と集中巻の空間調波を含む電流量を意味する 4, 式は相対変換値に対応する形のため, 次式 式を用いて絶対変換値にする なお, 以降は計算の簡易化のため, この絶対変換値を とする 式を適用して 4, 式を 式に代入すると分布巻と集中巻のトルクはそれぞれ 8,9 式となる DS p 8 p 9 一般的に > かつ > であることから,9 式の集中巻におけるトルク脈動の主成分は 次調波成分であり, 位相差 によって特性変化することが判る 4. 提案するトルク脈動抑制のための電流指令値 4 高調波重畳によるトルク脈動抑制法 章で集中巻におけるトルク脈動の主成分は 次調波であることを示した 9 式において 次調波のトルク脈動は右辺第 ~ 項である 本稿では,9 式に示す空間高調波によるトルク脈動を相殺するための電流指令値を提案する なお, 提案法は, 空間高調波によるトルク脈動に対して時間高調波を重畳することで抑制する そのためには, 重畳する高調波電流による空間高調波の影響も考慮する必要がある なお, 次調波のトルク脈動に対応する電流重畳項は 次調波と 次調波である 4 高調波重畳を考慮した起磁力分布 8 式に対して 次調波と 次調波を重畳した合成調波を 式に示す 式において基本波項と重畳波項に対応する起磁力分布係数はそれぞれ異なり, 基本波項に対応する起磁力分布係数 4 式を基準にとると重畳波項に対応する起磁力分布係数は位相差 が生じる これを考慮すると, 式に対応する 次と 次の 軸高調波電流量はそれぞれ, 式のように求められる r ここで, 式と, 式を比較すると 次調波を相殺できる重畳項の係数は 式と求まる, 式の値を用いて 式に, 式を重畳すると, この空間調波を含む電流量は 4 式で表される 4 式は 次と 次の時間高調波重畳で 次調波項を相殺できる 図 9 は 軸における計算結果である なお, 図 9 は図 8 と比較するために起磁力を用いて表記している 時間高調波重畳前の図 8b と重畳後の図 9 を比較すると, 重畳後は 軸上の 次調波の電流量の変動幅が小さくできている また, 次と 次の時間調波重畳のため, 重畳前より高次の高調波成分が生じているが, 元の 次脈動に比べ脈動成分は小さい つまり, 本手法はトルクに作用する電流量の空 -

間高調波成分を抑制することでトルク脈動を抑制できる SUP SUP 4 式の第 項により,+ が,8 式の第 項より が求まる 提案する制御法本稿では,, 式として明らかにしたトルク脈動抑制のための電流指令値を忠実に重畳するために, 電流形インバータを用いて実験する 図 に提案する制御ブロック図を示す ここで,CS は DC リンク電流, は電流形インバータの変調度で 9 式である は瞬時空間電流ベクトルの最大値 位相角 は最大トルク制御に使用される 式を用いて決める その後,, 式より求めた 式による演算を行うことでトルク脈動の原因となる空間調波を相殺するため時間調波を重畳した電流指令値 r が生成できる CS 9 8 4 図 9 集中巻における提案法の効果 g.9. Ec o propos ho r. トルク脈動抑制法 起磁力分布係数の測定電機子巻線による空間 調波を意味する起磁力分布係数を測定することは困難であ るが, 章で求めた集中巻のトルク 9 式を用いて 次以下 の起磁力分布係数を簡易的に測定できる 以下にその方法 を述べる 9 式を 式の条件下で 式に近似する p 式を用いると = のトルクは 式で表すことができ る 同様に, のトルクは である場合は 8 式に 近似できる p p 8 トルク測定によりそれぞれの 次成分を測定することで, 実験結果表 の回路定数で従来の正弦波駆動 と提案法を適用した高調波重畳駆動のトルク特性比較を行 った V, CS,R はそれぞれ 象限チョッパのスイッチン グ周波数, 電流形インバータのスイッチング周波数, PMSM の電機子巻線抵抗を示す 表 回路定数 abl. Crcu Consan V DC [V] p [pols] CS [H].9 [Wb] C [] R [] V [Hz] 8 [H] CS [Hz] [H] 図 は実験より求めた一相辺りの起磁力分布係数を示 し,4 式に対応する 但し, 次調波以下の空間調波しか 考慮していない 再現に用いた測定値は =.,=-., =. である 図 トルク脈動抑制の制御ブロック図 g.. Conrol bloc agra o oru Rppl Supprsson -

図 に速度を変化させたときのトルク脈動の特性を示す ここで, 図 における はトルク出力の平均値, は 次のトルク脈動成分を示す なお, 使用したモータ試験台は [rp] 付近に機械共振点がある 図 より, 速度条件が変化してもトルク脈動抑制効果を確認できた 図 に従来法と提案法による U 相電流波形とトルク出力特性を示す 図 より, 高調波重畳によるトルク脈動抑制効果を確認できる oru U phas Currn.8[/v].[A/v].[s/v] a 正弦波 asn-wav 図 実験結果より推定される起磁力分布係数 g.. Esaon MM srbuon acor oru U phas Currn.8[/v].[A/v].[s/v] a CS=[A] b 高調波重畳 bsuprpos haronc 図 U 相電流及びトルク出力特性 g.. Characrsc o U phas Currn an oru 波の影響を緩和させトルク脈動を抑制する方法を提案できた 実験では, 軸に対して位相差 が生じた場合と可変速の条件下で提案法と従来の正弦波駆動を比較して, 提案法は正弦波駆動に比べトルク脈動を抑制できることを確認できた 本稿では PMSM の回転子磁束鎖交数の着磁特性に起因する空間高調波を考慮していない 今後の課題として, 回転子側と固定子側の空間高調波を考慮した検討を行う予定である b CS=[A] 図 トルク脈動抑制効果 g.. Ec o oru Rppl Supprsson. おわりに本稿では電機子巻線の空間起磁力分布に着目したトルク解析を行い, この結果から電流形インバータの指令電流に対して適切な高調波を重畳することでトルク脈動を抑制する制御法を提案した そのために, 電機子巻線による起磁力分布に着目し, 空間高調波を含む電流量を検討した これにより空間調波を考慮したトルク特性を解析できた この結果を元に電流の時間高調波を重畳することで空間高調 文 吉川祐一 檜脇英治 玉村俊幸 舟津哲司 : 埋め込み磁石形集中巻ブラシレスモータの高効率化技術, 松下テクニカジャーナル, Vol.,o.,pp.-9 吉本貫太郎 北島康彦 塚本雅裕 篠原俊郎 : PMSM の高調波電流制御, 平成 年電気学会産業応用部門大会,o.-8 千切建史 嶋田武史 渡邊忠昭 一ノ倉理 秦泉寺敏正 : ブラシレス DC モータのゼロトルクリプル 最大効率化電流制御法, 電学論 D,Vol.,o.,pp.-899 4 大森洋一 萩原茂教 北条喜久 : 周期外乱オブザーバによる集中巻 PMSM の制御, 東洋電機技報, 第 4 号,pp.- 難波江章 金東海 高橋勲 仲村節男 山田速敏 : 基礎電気機器学, オーム社,pp.8-498 難波江章 金東海 高橋勲 仲村節男 山田速敏 : 電気機器学, オーム社,pp.4-4998 献 - 4