昨年9月、IOC総会において、東京が2020年のオリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市に決定し、日本中が歓喜の渦に包まれた

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第 2 章横断面の構成 2-1 総則 道路の横断面の基本的な考え方 必要とされる交通機能や空間機能に応じて, 構成要素の組合せ と 総幅員 総幅員 双方の観点から検討 必要とされる道路の機能の設定 通行機能 交通機能アクセス機能 滞留機能 環境空間 防災空間 空間機能 収容空間 市街地形成 横断面構

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Microsoft Word 交通渋滞(有明アーバン)_181017

1 基本的な整備内容 道路標識 専用通行帯 (327 の 4) の設置 ( 架空標識の場合の例 ) 自 転 車 ピクトグラム ( 自転車マーク等 ) の設置 始点部および中間部 道路標示 専用通行帯 (109 の 6) の設置 ( 過度な表示は行わない ) 専 用 道路標示 車両通行帯 (109)

堺市新金岡地区の自転車通行環境整備のアンケート 交通量調査結果について 堺市新金岡地区において 歩行者 自転車利用者が安心して通行できる安全なまちづく り を目指し 自転車通行環境の整備を行いました 自転車通行環境モデル地区において 平成 22 年 ~ 平成 23 年に自転車道 歩道の視覚 分離の整

Microsoft Word - H180119コンパクトシティ説明用_仙台市_.doc

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(第14回協議会100630)

8. ピンポイント渋滞対策について 資料 8

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資料 -2 国道 24 号烏丸通 歩行者 自転車通行安全協議会 国道 24 号烏丸通の概要 平成 30 年 3 月 国土交通省近畿地方整備局京都国道事務所


(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

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平成 26 年度公共事業事後評価調書 1. 事業説明シート (1) ( 区分 ) 国補 県単 事業名道路事業 [ 国道橋りょう改築事業 ( 国補 )] 事業箇所南巨摩郡身延町波高島 ~ 下山地区名国道 300 号 ( 波高島バイパス ) 事業主体山梨県 (1) 事業着手年度 H12 年度 (2) 事

北部大阪都市計画彩都地区計画 ( 案 ) 北部大阪都市計画彩都地区計画を 次のとおり変更する 1. 地区計画の方針 名称彩都地区計画 位 置 茨木市大字粟生岩阪 大字宿久庄 大字清水 大字佐保 大字泉原 大字千提寺 大字大岩 大字福井 大字大門寺 大字生保 大字安威 山手台一丁目 山手台三丁目 山手

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7-3 上田城南地域 (1) 将来像 ( 将来像 ) 水と緑と多様な都市機能が調和し快適な暮らしの環境が整ったまち ( 基本目標 ) 千曲川をはじめ産川や浦野川 小牧山や上田原古戦場 半過岩鼻など奇景や原風景の残る豊かな自然や農地を大切に保全するとともに 秩序ある都市空間づくりを進めます 良好な住環

Microsoft Word 【詳細版】.doc

速度規制の目的と現状 警察庁交通局 1

将来都市計画道路ネットワークの検証結果

幅員構成に関する規定 2 幅員構成 幅員については 車道 歩道等 をはじめとして その他に 軌道 緑化 に関する規定があり これらの組み合わせにより道路の断面構成が決定される 車道については 計画交通量 道路の区分から決定される 車線数 車線幅員 中央帯 路肩 の規定のほか 必要に応じて設置できる

Microsoft PowerPoint 飯沼交差点 接続道路に関する説明会(説明会用)

05+説明資料

区域の整備 開発及び保全に関する方針土地利用の方針 地区施設の整備の方針 地区の立地特性を踏まえ 土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るため 土地利用の方針を以下に定める 1 国際化に対応した業務 商業 宿泊等の多様な機能に加え 氷川神社と連携した江戸文化や赤坂地域の魅力を伝える歴史

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寄居町中心市街地活性化基本計画

4. 見直し検討委員会における検討方法について見直しについては 都市機能上の必要性 経済性 実現可能性を見直しの視点とし 各路線の検証を行いました 具体的には 都市計画マスタープランなどの上位計画に掲げられた都市の将来像を踏まえ 都市全体の道路ネットワークを対象とした検討を行い その必要性や効果を明

01評価調書(大柳仁豊野線)V6(路肩1.5mVer).pptx

計画的な再開発が必要な市街地 特に一体的かつ総合的に再開発を促進すべき地区 市町名 名称 再開発の目標 土地の合理的かつ健全な高度利用及び都市機能の更新に関する方針 特に整備課題の集中がみられる地域 ( 課題地域 ) 地区名 西宮市 C-4 浜脇 ( 約 175ha) 居住環境の向上 良好な都市景観

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Microsoft PowerPoint - 05_資料4-1_宇都宮市の自転車施策について【宇都宮市作成】_150203表紙番号修正

東京都市計画第一種市街地再開発事業前八重洲一丁目東地区第一種市街地再開発事業位置図 東京停車場線 W W 江戸橋 JCT 日本橋茅場町 都 道 一石橋 5.0 特別区道中日第 号線 江戸橋 15.

また, 区域外の道路部分については, 区域内の道路の整備後に, 交通量等の利用状況をみて, 検討していきます 4 常磐自動車道の側道沿いの一方通行の道路について, 一方通行の制限を解除できないのか また, この道路の交通量についても調査を実施した上で, 区域外の道路の整備をしなければならないのではな

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Microsoft PowerPoint - 【最終案】まちなか道路空間手引き_概要版

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交通結節点が備えるべき機能を整理すると 最も基本となるものとして があり これに加えて 都市機能の誘導 集積を促進させ 都市内の中心的な拠点地区を形成する 及び 都市の顔 となる 交通結節点の計画 整備の検討においては 先に示した の三種の機能がそれぞれ交通結節性 人の交流や景観等の面で役割を果たし

Microsoft Word - さいたま市都市計画道路見直し指針1/3.doc

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目次 1 1. 奈良市中心部の道路交通環境 1) 広域的な自転車利用ネットワーク P2 2) 幹線道路の交通状況 ( 交通量 ) P3 3) 幹線道路の交通状況 ( 混雑状況 ) P4 2. 自転車事故の分析結果 1) 道路種別別 ( 国道 県道 市道 ) 自転車事故発生状況 P5 2) 自動車交通

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通行禁止道路 について 道路標識又は道路標示によるもの 対象にするもの 車両通行止め道路 根拠規定道路標識 道路標示 ( 例 ) 道路交通法第 8 条第 1 項 自転車及び歩行者用道路 標識 302 同法第 8 条第 1 項 標識 325 の 3 歩行者用道路 同法第 8 条第 1 項 標識 325

本町二・四・五・六丁目地区の地区計画に関する意見交換会

都市計画図 平河町二丁目東部地区(PDF)

( 様式 -2a 調査概要 ) Ⅰ 調査概要 1 調査名称 : 平成 26 年度神埼市総合都市交通体系調査 2 報告書目次 1. 業務概要 (1) 都市計画道路見直しの必要性 (2) 都市計画道路見直しのスキーム (3) 検討結果の分類 2. 路線の抽出 (1) 都市計画道路の整理 抽出 (2) 検

3-1 道路

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バリアフリー化に対応した歩道の構造基準『歩道における段差及び勾配等に関する基準』

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部課室名 事業種目 県土整備部土木局道路街路課 投資事業評価調書 ( 新規 ) 記入責任者職氏名 ( 担当者氏名 ) 事業名事業区間総事業費 街路担当参事服部洋平内 4474 ( 街路係長細井将史 ) (4480) 内用地補償費 着手予定年度 完了予定年度 おのえ街路都市計画道路加古川市尾上町安田お

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第4章 地域を支える交通インフラの整備

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4-2

区域の整備 開発及び保全に関する方針公共施設等の整備の方針 建築物等の整備の方針 1 道路の整備方針 (1) 地区周辺の交通円滑化に資する道路ネットワークの形成及び 東西の主要な道路軸の形成を図るため 地区幹線道路を拡幅整備する (2) 開発に伴い発生する交通を円滑に処理するとともに 新駅整備に伴う


札幌市横断歩道橋横断歩道橋の撤去撤去に関するに関する考え考え方 札幌市が現在管理している横断歩道橋は48 橋あり そのほとんどは昭和 40 年代に建設されています 横断歩道橋は歩行者と車両を分離する構造となっていて 交通安全上重要な役割を果たしてきましたが 近年 周辺環境の変化等の理由により利用者が

区域の整備 開発及び保全に関する方針 地区施設の整備の方針 建築物等の整備の方針 (1) 道路の整備方針区域内外との円滑な交通ネットワークの形成と歩行者等の安全で快適な歩行環境の向上を図るため 街区幹線道路及び区画道路を整備する 生活利便施設や良質な街並みを形成する住宅等の立地を誘導し 地域拠点にふ

Microsoft Word - ●決定⑤地区計画-2.docx

PowerPoint プレゼンテーション

郊外への市街地の拡大により, 鉄道やバス等公共交通のサービスが十分受けられない地域が拡大し, その結果, 車に依存せざるを得ないまちになってきています このため, これからの人口減少時代の到来や急速な少子高齢化の進展などを踏まえ, 新たな郊外開発を抑制し, 公共交通が利用しやすい, まとまりのある市

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2. 都市計画道路にかかる事業費の推移 本市の都市計画道路にかかる事業費 街路事業費 は 過去 10 年では平均約 27.5 億円となっ ています 百万 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1, 街路事業費 決算額 の推移 H17 年度 ~H26 年

地区計画とは 地区計画とは 土地や建築物の所有者など地区の皆さんが合意を図りながら道路や公園などの配置 建築物の用途 容積率 高さ 色やデザイン等のルールをきめ細かく定め そのルールに基づいて建築行為等を行うことにより より良いまちづくりをすすめる手法のひとつです 地区の特性に応じて必要な項目を選択

資料 2-2(1) 小樽港本港地区 臨港道路整備事業 再評価原案準備書説明資料 平成 21 年度北海道開発局

資料 -1 道路構造令等の条例案および技術基準案の検討 たかさわゆうすけおがわかずやひらぎしじゅん高澤雄介 小川和也 平岸純 ( 株 ) 国土開発センター設計事業部設計 1 部 ( 石川県白山市八束穂 3-7) 地域主権一括法案の制定により道路構造や標識の大きさ等については 各自治

交通量調査結果の概要 平成 29 年 5 月 23 日 ( 火 ) 7-19 時交通量調査実施 地区内 14 地点で 自動車 自転車 歩行者の交通量を調査しました 交通量調査結果の総括図 交通量調査結果のデータは ホームページに掲載している説明会資料でご覧いただけます 緑色の区間では特に通行が集中し

01 評価調書【様式1】_国道2号(加古川橋)

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無電柱化法第12条運用勉強会資料

目 次 1 基本方針 再開発を促進すべき地区等の整備又は開発の方針... 2 別表再開発促進地区の整備又は計画の概要... 3 都市再開発方針図 ( 総括図 )... 6 都市再開発方針附図

事故及び渋滞対策の取り組み 福岡都市高速 北九州都市高速 福岡北九州高速道路公社

8略都市スライド東北(郡山市)全部 [互換モード]

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品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)に係る都市計画について

山手地区の概要 面積 約50ha 用途地域 工業地域 建ぺい率 60 容積率 200 高さの限度 第一種高度地区 最高限20m 2

道路建設事業の再評価項目調書 とのみ 事業名 一般国道 2 号 富海拡幅 事業 一般国道 事業 国土交通省 区分 主体 中国地方整備局 やまぐちしゆうなんへた 起終点自 : 山口県周南市戸田延長 3.6km 事業概要 やまぐちほうふとのみ 至 : 山口県防府市富海 おおさか きたきゅうしゅう 一般国

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(3) 国道 4 号線 ( 日光街道 昭和通り ) から国道 4 号線を進み 入谷から高速道路の下 ( 昭和通り ) を直進します 右手に JR 上野駅が見えたら 上野駅 の信号を右斜め前方向 ( 都道 437 号線中央通り ) へ進みます 前方の JR 線のガードをくぐったらすぐ右折します 正面の

神宮外苑地区計画

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Microsoft PowerPoint - 2_資料(最終訂正版1)

大谷周辺地区 及び 役場周辺地区 地区計画について 木原市街地 国道 125 号バイパス 役場周辺地区 (43.7ha) 美駒市街地 大谷周辺地区 (11.8ha) 地区計画の概要 地区計画とは住民の身近な生活空間である地区や街区を対象とする都市計画で, 道路や公園などの公共施設の配置や, 建築物の

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Microsoft Word - 【291220】北千葉構想段階評価書

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環状第 6 号線の整備について 東京都建設局道路建設部 街路課特定街路担当係結城将司 1. はじめに 環状第 6 号線 ( 山手通り以後環 6) は JR 山手線の外側 品川区から目黒区 渋谷区 新宿区 中野区 豊島区を経て 板橋区の中山道に至る全長約 20km の道路である このうち渋谷区松濤二丁目から豊島区要町一丁目までの約 8.8 kmの区間については地下に通る首都高速中央環状新宿線の関連街路として幅員 40m で整備を行った 事業開始当初は 6 車線の道路として計画していたが 事業半ばに計画変更を行い 新世紀の道路空間創出と名を打ち 高幅員の歩道を持っ図 -2 環 6( 山手通り ) た往復 4 車線の 広々した緑豊かな快適でやさしい道路 の整備を行うこととなった 以下 渋谷区松濤二丁目 ~ 豊島区要町一丁目までの 8.8 kmの区間の整備について述べる 2. 環状第 6 号線 ( 山手通り ) の概要 当初 環 6( 山手通り ) の都市計画は 昭和 21 年 3 月に品川区東品川から板橋区氷川町の全線において計画幅員 80mで都市計画決定を行い その後 昭和 25 年 3 月に同区間の全線に渡り幅員 40mへ都市計画変更を行った また 事業認可は平成 3 年 3 月と平成 6 年 3 月に 首都高速道路中央環状線 ( 首都高速道路 3 号渋谷線 ~ 首都高速道路 5 号池袋線 ) の都市計画決定に併せて取得した この約 8.8km 区間のうち 高速道路の都市計画決定および都市計画事業承認が 2 区間に分か図 -2 環 6( 山手通り ) 拡幅整備イメージれたことから 街路整備の都市計画事業の認可についても 2 分割し 渋谷区松濤二丁目 ~ 豊島区長崎一丁目までの 8.2km と 豊島区要町一丁目までの約 0.6km の 2 区間を 2 段階で取得することとなった

事業延長 L=8.8km 図 -1 環 6( 山手通り ) 事業箇所図 3. 環状第 6 号線の整備車線数について 環 6( 山手通り ) の整備計画は 事業認可の取得以降 往復 6 車線で整備する方針で 平成 9 年 3 月に交通管理者である警視庁に対し協議書を提出し 平成 11 年に協議回答を得ていた 一方で 住民より認可取消請求訴訟が提起 ( 平成 11 年 11 月 25 日付 最高裁で原告の上告を棄却 ) されたことに加え 4 件の公害調停が提起 ( 平成 4 年 11 月 27 日 平成 5 年 10 月 8 日 平成 8 年 1 月 24 日 平成 10 年 4 月 23 日付で全て打切り ) された 当時は あらゆる面で環境への意識が高まり 特に沿道に対する影響が懸念され 多車線道路の整備のあり方や 従前の自動車交通を基軸とした道路整備を歩行者や自転車の機能等にも配慮した道路整備に転換すべきとする 時代の潮流が存在していた こうした背景の中 区部では環状第 8 号線 多摩では調布保谷線や府中所沢線などが 幹線道路の整備に着手しており これらの路線は 沿道環境に配慮した道路整備のため 道路の幅員を広げる都市計画変更を行い 車道の両側に幅員 10mの環境施設帯を設置するなど 沿道環境の保全を図ることとしていた そのため 環 6( 山手通り ) においても 事業認可取得から 10 年を経過しており 街築を手がけるまでに 環境へ配慮した計画として見直しを行うタイミングを図っていた 事業認可以降に車線数を変更することは 極めて異例であるが 4 車線化への具体的な検討を進めることとした 図 -3 環 6( 山手通り ) 車線数変更 2

4. 環状第 6 号線の課題について 前述のとおり 当初の計画協議では 6 車線で回答を得ており 4 車線での整備を行うにあたって交通管理者である警視庁の十分な理解を得る必要があった そのため 道路線形及び横断構造の見直しの警視庁との事前調整を行い 警視庁 首都高速道路公団 ( 現首都高速道路 ) 東京都による合同の検討会を発足し 道路緑化など詳細な整備方針の検討を進めていった 整備前の環 6( 山手通り ) の沿道の利用状況は マンションや業務用のビルが多く建築されるなど土地利用が非常に進んでおり 停車需要も非常に多い地域であった このため 多くの箇所で駐車車両が原因で 実質片側 1 車線の通行を余儀なくされる区間が多く存在した また 車道の幅員が狭いことから 交差点に左折レーンが設置されていなかった 右折レーンについても滞留長が十分確保されておらず 直進車両の通行も阻害される状況であった 4 車線化にあたり 警視庁との事前調整を進める中で 主な調整事項は 以下の通りである 4 車線化する交通安全上のメリット等を整理すること 道路線形として 交通の円滑化や安全性が確保されるものとすること 右折レーンの滞留長の確保や必要に応じて左折レーンを確保する等の交差点における渋滞対策を 十分に行うこと 停車帯については 2mとすること 大型車混入率は 15% として交差点需要率を算定すること 自転車道は分離構造を原則とし 分離できない区間については自転車歩行者道とする等 連続性を確保すること 交差点部における張り出し等 車道幅員が変わる箇所については 路側を走行する二輪車等の安全性確保に十分配慮すること 事前調整は 平成 12 年 7 月から平成 13 年 12 月までの期間に計 24 回行ない 整備検討委員会を発足することとなった 以下 整備検討委員会の検討結果による整備方針について述べる 図 -4 環 6( 山手通り ) 工事着手前 5. 環状第 6 号線の整備について 環 6( 山手通り ) の整備は 新世紀の道路空間創出 を目指し 具体的な整備計画案を検討し 事業に反映させるため 警視庁 首都高速道路公団 ( 現首都高速道路 ) 東京都により 環状第 6 号線 ( 山手通り ) 整備検討会 を設置し 整備概念や具体的な施策についてまとめ 全 4 回の整備検討会を経て 平成 13 年 9 月に 4 車線での協議書を警視庁へ提出し 平成 14 年 11 月に回答を得た まず 車道整備については 地域の状況を鑑み 全線で停車帯及び大型車の荷卸しスペースを設置し 沿道の活性化に繋げた また 交差点の整備に併せ 交通量を予測し 交差点毎に適切な滞留長を確保した右折レーンを確保し 円滑な交通の流れに寄与した 3

図 -4 環 6( 山手通り ) 停車スペース 図 -5 環 6( 山手通り ) 右折レーン設置 次に歩道整備については 住民意見を計画に反映させる手法として地元住民協議会 ( ワークショップ ) の形に近いものとし 直接的に地元住民との懇談の場として 意見交換会 を開催することを基本とした 検討する内容として 歩道のつくりかた を検討するものとした この 山手通り地域意見交換会 を経てまとめた歩道整備の基本的考え方は 緑豊かな沿道環境に配慮した道路づくり として両側の歩道と中央分離帯に街路樹を植栽するとともに 歩行者に配慮した道路のバリアフリー化 を実現させるため 広い歩道幅員を確保し 全線で自転車通行帯を設置した さらに無電中化を図り 景観に配慮した安全で快適な歩道空間を実現した また 地下鉄の駅周辺の地下歩道と歩道上に地元区管理の駐輪スペースを設置することにより 整然とした秩序ある歩道空間を確保が行われた 図 -5 環 6( 山手通り ) 自転車通行帯 図 -5 環 6( 山手通り ) 地下駐輪施設 写真は中野坂上駅 ( 大江戸線 ) 6. 終わりに 環 6( 山手通り ) における整備効果であるが 当該事業区間の地下には全線に渡って中央環状新宿線が先行して整備されている そのため 環 6( 山手通り ) の地上街路部においては自動車需要の大幅な変化が伴っており 中央環状新宿線の整備効果を差し引くと 一般的な費用対効果の図式は成立しない しかし 新世紀の道路空間の創出 と銘を打ち 車道幅員構成を 6 車線整備から 4 車線整備へ変更したことにより 広幅員の歩道が確保でき 地元との 意見交換会 における整備形態の検討などを通じて 都心でありながら良好な環境の創出し 都市活動を支える交通を利用者本位のものに変えていくきっかけとなった 4

また この路線は 都心に集中する交通を分散 誘導することにより道路交通の円滑化をはかるとともに 副都心の整備育成や区部周辺のまちづくりのための基盤形成など重要な役割を担っている 今後も 三環状道路をはじめ 幹線道路ネットワークを形成するため 区部放射 環状道路 多摩南北道路を完成させ 渋滞がない世界初の大都市 を目指し都市活動を支える道路ネットワークの強化に取り組んでいきたい 5