原著論文 日本生理人類学会誌 Vol.22,No , 夜の青色光と赤色光の生理作用 : 測定項目間の違いと印象評価との関連性 落合将太郎 * 1 原田和樹 * 1 李相逸 * 2 樋口重和 * 2 PHYSIOLOGICAL EFFECTS OF BLUE LIGHT A

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原著論文 日本生理人類学会誌 Vol.22,No.2 2017, 5 69-76 夜の青色光と赤色光の生理作用 : 測定項目間の違いと印象評価との関連性 落合将太郎 * 1 原田和樹 * 1 李相逸 * 2 樋口重和 * 2 PHYSIOLOGICAL EFFECTS OF BLUE LIGHT AND RED LIGHT AT NIGHT: MEASUREMENT DEPENDENCE AND CORRELATION OF SUBJECTIVE IMPRESSION Shotaro OCHIAI, Kazuki HARADA, Sang-il LEE, Shigekazu HIGUCHI Abstract The aim of the present study was to determine the measurement dependence of the effects of color light and to clarify the correlation between physiological responses and subjective impression. Seventeen male university students without color vision deficiency were exposed to blue light and red light (200 lx at eye level) at night for three hours. The effects of blue light on pupil constriction and melatonin suppression were significantly greater than the effects of red light. On the other hand, heart rate tended to be higher under the red light condition. There was no significant difference between the effects of blue light and red light on rectal temperature or alertness. Individual variations in the subjective impression of light were correlated with heart rate and rectal temperature but not with melatonin concentration or pupil constriction. The results suggest that the physiological effects of light depend on measurements and that these variations may be influenced by subjective impression. キーワード : 光の非視覚作用, メラトニン, 直腸温, 心拍数, 覚醒度 Key words: Non-visual effects of light, Melatonin, Rectal temperature, Heart rate, Alertness 1. 諸言 眼の網膜に入射した光の情報は 網膜視床下部路を 介して 体内時計の中枢である視交叉上核に伝達され 概日リズム 内分泌 自律神経 体温 覚醒度などに作用する これらは 光の明るさや色の知覚とは異なるため 光の非視覚作用 (non-visual effects ) または非撮像系作用 (non-image forming effects ) と呼ばれている 視蓋前野を介して引き起こされる瞳孔の対光反応も非視覚作用の一つである これらの光の非視覚作用の大きさは 光の量だけではなく 光の波長にも依存することが知られている 例えば 夜間の光曝露によって引き起こされる概日リズム位相の後退 メラトニン分泌の抑制 深部体温の上昇 眠気の抑制などは 短波長の青色光で強くなることが報告されている 1-4) * 1 九州大学大学院統合新領域学府 Graduate School of Integrated Frontier Sciences, Kyushu University * 2 九州大学大学院芸術工学研究院 Department of Human Science, Faculty of Design, Kyushu University この青色光による強い作用は メラノプシンと呼ばれる光感受性タンパクを含む網膜神経節細胞 ( melanopsin containing retinal ganglion cell: mrgc) が寄与している mrgc はヒトも含めた哺乳類の網膜に 桿体と錐体以外に新たに存在することが発見された光感受性細胞である 5)6) mrgc は青色光に反応のピークを持ち 脳の視交叉上核に直接投射して 様々な非視覚作用を引き起こしている メラトニン分泌抑制や瞳孔の対光反応も約 460 ~ 480nm 付近の青色光で最大となることが分かっている 1)4)7) 一方で 視覚作用とは 外側膝状体を介して脳の視覚野に伝達された光の情報によって生じる明るさや色の知覚および それに伴う心理的または生理的な作用を指す 一般的に 色から受ける主観的な印象を調べた研究では 青色は静的であり 赤色は動的である 8) 有彩色照明を用いた実験でも同様の印象評価が得られている 9) 心理的な評価だけではなく 色光の生理的な影響を調べた研究もあるが 統一的な見解は得られていない 脳波を用いた研究では 青色光で覚醒作用が強かったとする報告もあれば 10) 反対に赤色光で覚醒作用が大きかったという報告もある 11) 脳波以外に 69

日本生理人類学会誌 心拍数 血圧 皮膚温なども測定した実験では色光による生理的な影響に違いがなかったことが報告されている 9) 光の生理作用には 視交叉上核を介した光の非視覚的な作用だけでなく 視覚的な色知覚から生じる心理的な作用が何らかの形で含まれている可能性がある また 光の非視覚作用には測定項目間でのばらつきや個人差が大きいことも報告されている 12) これらが 色光の生理作用の評価が一致しない原因かもしれない したがって 本研究では赤色光と青色光に曝露したときの生理作用と印象評価を同時に行い 測定項目間での影響の現れ方の違いと印象評価の個人差と生理作用の相関を明らかにすることを目的に実験を行った 図 1 実験に用いた色光の分光放射照度 ( 眼前での実測値 ) 2. 方法 2.1. 被験者被験者は健康で色覚異常のない男子大学生 17 名 ( 平均年齢 ± 標準偏差 : 19.3±1.4 歳 ) であった 夜勤や交替制勤務に従事していないこと 1ヶ月以内に時差が 5 時間以上ある海外旅行をしていないことを被験者の条件とした 被験者には実験内容を書面と口頭で説明した後に書面で同意を得た 本研究は九州大学大学院芸術工学研究院の研究倫理審査委員会の承認を得て行った 実験に先立ち 被験者の朝型夜型指向性を日本語版の質問紙 (Morningness-Eveningness Questionnaire: MEQ) を用いて測定した 13) その結果 ほぼ夜型が2 名 中間型が 14 名 ほぼ朝型が1 名で 極端な朝型や夜型の被験者はいなかった 被験者には実験の1 週間前より 7:00 ~ 9:00 起床 23:00 ~ 1:00 就寝の睡眠統制を実施した この間の睡眠活動パターンは睡眠覚醒判定の可能な生活習慣記録機 ( ライフコーダ GS, スズケン ) によって記録された 14) 2.2. 光条件光条件は青色光と赤色光の2 条件とした 光の照射方法は天井照明で 光源にはカラー蛍光灯 ( 青色 : FPL36CB, National, 赤色 :FPL36CR, National ) を用いた 赤色蛍光灯にもわずかながら青色成分が含まれていたため 本実験では赤色のセロハンを用いて青色成分をカットした 光の測定には分光放射照度計 ( CL-500A, コニカミノルタ ) を用いた 分光放射照度については図 1に示す 本研究では光の条件を放射照度ではなく照度 ( 目の位置での鉛直面照度で200 lx) で統一した 光の非視覚的な作用を評価する際は放射照度で統一することが多いが 本研究では視覚からの心 理作用のことも考慮して心理物理量である照度で統一した なお 赤色と青色の放射照度はそれぞれ 86.9 μw/cm 2 と 191 μw/cm 2 であった 実験はクロスオーバー カウンターバランスデザインで実施した 各光条件の間には最低 1 週間の間隔を設けた なお 本実験では コントロールとして白色光 ( 色温度 5000K 照度 200lx ) での実験も行ったが 本論文の目的からずれるため分析の対象外とした また 慣れの影響を取り除くために 本実験の前に練習も兼ねて Dim Light(15 lx 以下 ) での実験を一度実施している 2.3. 測定項目各色光条件に対する生理的反応として 唾液中メラトニン濃度 心拍数 血圧 瞳孔サイズの測定を行った 唾液中のメラトニン濃度はコットン製のサリベット (51.1534J, SARSTEDT) を用いて唾液を採取し 放射免疫測定 ( Radioimmunoassay: RIA ) 法を用いて分析を行った ( RK-DSM, Buhlmann) 心拍数は 双極誘導法 ( 心電図 ) を用いて検出された R-R 間隔から算出した 心電図は小型マルチ生体アンプ ( Polyam4, ニホンサンテク ) を用いて 1000Hz のサンプリング周波数で測定した 測定中は2 秒吸気 2 秒呼気の4 秒周期で5 分間の呼吸統制を行った 血圧は電子血圧計 (HEM737, オムロン ) のカフを左上腕に装着させ 収縮期血圧と拡張期血圧をそれぞれ計測した 瞳孔径は電子瞳孔計 ( FP-10000, テイエムアイ ) を用いて右目を5 秒間測定した 測定中は被験者に前方の注視点に注目させ 瞬きをしないように教示した また 直腸温を測定するために プローブカバー ( RC5020-A, 日機装サーモ ) をかぶせた温度センサ ( LT-ST08-11, グラム ) を直腸に挿入させ データロガ (LT8A, グラム ) にて1 分単位の深部体温の記録を常時行った 70

落合将太郎他 : 夜の青色光と赤色光の生理作用 : 測定項目間の違いと印象評価との関連性 覚醒度の評価には主観的評価としてカロリンスカ眠気尺度 (Karolinska Sleepiness Scale: KSS ) を用いた 15) 客観的な評価としてはヴィジランス課題 ( Psychomotor Vigilance Task: PVT ) を行った PVT は機器のディスプレイに2~ 10 秒のランダムな時間間隔で表示される視覚刺激に対してできるだけ早くボタンを押す課題で 客観的覚醒度の指標としてよく用いられる 16) 計測は5 分間行い 反応時間の平均値を求めた また 反応時間が 500msec 以上の回数を Lapse 回数 ( 見落とし回数 ) として記録した 色光に対する心理的な印象評価は SD( Semantic Differential) 法によって行われた 質問項目は 先行 8)9) 研究を参考に 快 不快 好き 嫌い 元気が出る 疲れる 安定 不安定 自然 不自然 美しい 醜い 軽い 重い 熱 冷 陽 陰 動 静 強い 弱い 激しい 穏やか 浮ついた 落ち着いた 覚醒 鎮静 うきうき しみじみ 派手 地味 の 16 項目で VAS( Visual Analogue Scale ) 法で回答させた 2.4. 実験手順実験は7 月に行われた 実験室環境は室温 26 相対湿度 50% とし 被験者全員の服装は半袖 T シャツ トランクスに統一した 1 回の実験につき複数人の被験者 ( 平均 3~4 名 ) を同時に測定した 被験者は 19:00 に実験室に来所し 着替えや電極などの装着のための準備を行った 21:00から0:00まで Dim Light 条件で安静に過ごし その後の 0:00から 3:00まで色光曝露を行った 実験中は唾液中のメラトニン濃度 心拍数 KSS 印象評価のアンケート PVT 血圧の順で1 時間おきに測定を行った 瞳孔径の測定は 22:30 と 0:30 に2 回行った 直腸温は実験開始から終了まで記録した 実験中 被験者には椅子に座って安静状態で過ごすように指示した 光曝露前の時間帯 (21:00 ~ 0:00) では暗い画面での PC やタブレット端末の操作 読書 DVD の鑑賞などを許可したが 光曝露中の時間帯 (0:00 ~ 3:00) では視点を固定するために被験者の目の高さで 約 40 cm 前に置かれた小型の DVD プレーヤーによる映画鑑賞を義務付けた 映画の内容は感情を喚起させにくいドキュメンタリー形式の内容を選定した ディスプレイの明るさは被験者の鉛直面照度に差異が見られない程度に輝度を下げ調整した 実験終了後は実験室で睡眠をとらせた 被験者は 9:00 までに起床し その後退所した 2.5. 統計処理光曝露後の各測定値の分析には 光曝露前 (23:30) の値を基準とした変化量を用いた その理由として 被験者によって色光間で光曝露前の値が異なる場合があったことと 光の印象評価との相関を見る際に 絶対値では個人差が大きい測定項目もあり 相関関係を正確に分析できない場合があったからである 統計解析は 色光 時刻を要因とする反復測定による二元配置分散分析 または対応のある t 検定を用いた p<0.05 を有意差ありとした 印象評価の結果には光曝露後である 0:30 1:30 2:30 の印象評価の値を平均したものを用いた 主因子法を用いて バリマックス回転による因子分析を行い 固有値上位 3 位までの因子を抽出し 因子負荷量と因子得点係数行列 因子得点を求めた 因子得点と生理データの関係はピアソンの相関分析を用いた 相関分析に用いた測定項目の変化量は 曝露中 (0:30, 1:30, 2:30) の3 回の変化量の平均を個人の代表値とした 3. 結果 3.1. 生理データおよび覚醒度の結果唾液中メラトニン濃度に関して Dim Light 条件で事前に測定したデータにおいて メラトニン濃度が低いままで ( 常に3pg /ml 以下 ) 光の影響を検出できなかった1 名 夜間に上昇するはずのメラトニン濃度が逆に低下していた1 名 Dim Light 条件の方が光曝露条件よりもメラトニン濃度が低かった2 名については分析から除外した 図 2a に唾液中メラトニン濃度の変化量を示す 分析の結果 光条件の主効果 ( F=6.843, p<0.05) と時刻の主効果 (F=11.388, p<0.001) がそれぞれ認められた 両要因の有意な交互作用はなかった ( F=0.148, ns ) 両条件とも夜間にメラトニンの分泌が高まっていた 色光間の比較では青色光条件で赤色光曝露時よりも唾液中メラトニン濃度が有意に低かった 直腸温の変化量については 時刻の主効果は見られたが ( F=88.81, p<0.001) 色光の主効果はなかった ( F=0.135, ns ) 両要因の有意な交互作用もなかった ( F=0.994, ns )( 図 2b ) 両条件とも夜間に有意に直腸温が低下していた 心拍数の変化量については 時刻の主効果があった ( F=16.344, p<0.001) 光条件の主効果は有意な傾向が見られた ( F=4.307, p<0.1) 両要因の有意な交互作用はなかった ( F=1.161, ns )( 図 2c) 心拍数は夜間に有意に減少した 色光の影響としては赤色光の方が青色光よりも心拍数の低下が小さい傾向にあった KSS の変化量については 時刻の主効果があった ( F=7.078, p<0.01)( 図 2d) 光条件の主効果は見られず ( F=0.107, ns ) 両要因の有意な交互作用もなかった ( F=0.294, ns ) 71

日本生理人類学会誌 PVT の反応時間について 機器トラブルによって青色光条件で複数のデータが失われてしまった2 名と 外れ値が認められた1 名 ( スミルノフ グラブス検定にて有意差を確認 ) を分析から除外した 平均反応時間の変化量について 時刻の主効果 (F=2.263, ns ) 光条件の主効果 (F=0.468, ns ) 両要因の交互作用の全てにおいて有意ではなかった ( F=0.007, ns ) ( 図 2e) 瞳孔径の変化量は光曝露前 (22:30) の値から光曝露中 (0:30) の値の差分である ( 図 2f ) 1sample t-test の結果 両条件とも光曝露前に比べて有意に瞳孔が縮瞳していた ( 赤色光 : t=-3.77, p<0.01; 青色光 : t=-21.16, p<0.01) 色光間の違いについては 青色光で赤色光よりも縮瞳量が有意に大きかった ( t=13.47, p<0.001) 3.2. 色光の印象評価の結果色光に対する印象評価について因子分析を行った結果 三つの因子が抽出された ( 表 1) 先行研究に従って 8)9) それぞれを活動性 評価性 力量性と命名し 図 2 各色光条件における生理値の変化量の平均値と標準誤差 a: 唾液中メラトニン濃度の変化量 ( n=13) b: 直腸温の変化量 (n=17) c: 心拍数の変化量 (n=17) d: KSS 点数の変化量 (n=17) e: PVT の平均反応時間の変化量 ( n=14) f: 瞳孔径の変化量 ( n=17) ***p<0.001 **p<0.01 *p<0.05 p<0.1 72

落合将太郎他 : 夜の青色光と赤色光の生理作用 : 測定項目間の違いと印象評価との関連性 表 1 因子分析の結果 ( 因子負荷量 ) 因子 Factor1 Factor2 Factor3 陽 0.858 0.102 0.076 動 0.829 0.047 0.214 熱 0.708-0.009 0.187 浮ついた 0.698-0.062 0.213 不安定 0.684-0.380-0.245 元気 0.314 0.941-0.148 好き -0.112 0.878-0.009 快 -0.149 0.870 0.063 美しい -0.454 0.537 0.070 強い -0.064-0.154 0.921 激しい 0.219 0.214 0.711 重い -0.081-0.287 0.606 派手 0.249 0.037 0.585 覚醒 0.059 0.399 0.541 うきうき 0.387 0.286 0.446 固有値 7.563 2.746 1.129 寄与率 (%) 50.42 18.31 7.52 累積寄与率 (%) 50.42 68.73 76.26 因子の解釈 活動性 評価性 力量性 図 3 各色光条件における印象評価の平均値と標準誤差 ( n=17) ***p<0.001 **p<0.01 *p<0.05 た 印象評価の項目を因子別に並べ替えた結果を図 3 に示す 赤色光と青色光の印象評価を比較したところ 活動性の全ての形容詞 ( 陽 動 熱 浮ついた 不安定 ) と力量性の一部の形容詞 ( 強い 激しい 重い ) に関して赤色光で有意に高い値を示した 逆に 評価性の一部の形容詞 ( 好き 快 美しい ) に関して青色光で高い値を示した 3.3. 生理値と印象評価の相関色光別に生理値の変化量と各因子の得点の相関を求めた メラトニンはどの因子得点との間にも有意な相関はなかった ( 図 4a ) 直腸温は赤色光で力量性との間に有意な正の相関が見られ ( r=0.560, p<0.05) 赤色光に対して力量性が高いと感じた被験者ほど直腸温の低下が小さかった ( 図 4b) また 赤色光で直腸温と活動性との間に正の相関の傾向があった ( r=0.439, p<0.1) 心拍数は青色光で評価性との間に有意な負の相関関係があり ( r=-0.693, p<0.001) 青色光に対して評価性が高いと感じた被験者ほど心拍数の低下が大きかった ( 図 4c ) 瞳孔面積 主観的覚醒度 反応時間においてはどの因子得点とも有意な相関はなかった 4. 考察本実験で色光の生体への影響は測定項目間で異なっていた また 印象評価との相関も測定項目間で異なっていた 光の非視覚的な作用を強く受ける測定項目 言い換えると青色光の影響を強く受けるものとして 唾液中のメラトニン濃度と瞳孔があった これらの測定項目は印象評価との相関もなかった 一方で 心拍数および直腸温には青色光の非視覚的な影響は認められなかったが 印象評価との相関がみられた 以下の考察では 測定項目毎に色光の生理作用および印象評価との関連について考察する メラトニンは青色光で赤色光に比べて有意に分泌が低かった 夜間のメラトニン分泌に関しては 青色帯域の短波長光がメラトニンの分泌抑制に強く影響することが過去の先行研究からわかっており 1)4) 本研究の実験結果も過去の知見を支持するものであった また 印象評価との有意な相関は認められなかった メラトニンは光以外の影響を受けにくいことから概日リズムの有効な指標としてよく用いられている 17) また 光をイメージしても影響を受けないことも報告されている 18) 本研究でも光の色光から受ける印象はメラトニンに影響していなかった 以上のことから メラトニンは mrgc を介した非視覚的な作用に強く依存する測定項目であることが改めて示された 瞳孔もメラトニンと同様に青色光の作用が顕著であり 青色光で赤色光に比べて有意に縮瞳していた これは先行研究で報告されている通り mrgc を介した光の非視覚作用による影響が強く引き起こされたためと考えられる 7)19)20) 瞳孔は光以外でも自律神経系支配の影響を受け 交感神経の活動が高まれば散瞳し 副交感神経の活動が高まれば縮瞳する 21) したがって 何らかの印象評価と関係がでてくる可能性も考えられ 73

日本生理人類学会誌 図 4 各色光条件における生理値と印象評価の関係 a: 唾液中メラトニン濃度の変化量と評価性の相関関係 (n=13) b: 直腸温の変化量と力量性の相関関係 ( n=17) c: 心拍数の変化量と評価性の相関関係 ( n=17) ***p<0.001 *p<0.05 たが 本研究では印象評価と有意な相関は認められなかった 直腸温は夜間に概日リズムを反映して両条件とも有意に低下していたが 色光による違いはなかった 過去の青色光と緑色光で比較した実験では 青色光の方が直腸温の低下が小さいことが報告されている 2) 今回の実験でも青色で直腸温の低下が小さいことを予測していたが 赤色光と青色光で差はなかった 印象評価では赤色光で青色光と比べて活動性と力量性が高かった 相関分析でも力量性と活動性の得点が高い人ほど直腸温の低下が小さかった 以上のことから 赤色光に対する心理的な影響の大きさとその個人差が直腸温に影響を及ぼした可能性があり その結果として青色光で強く作用するはずの非視覚的な作用が明確に見られなかったと考えられる 心拍数も夜間に概日リズムを反映して両条件とも有意に低下していた 色光の影響については 有意ではないが青色光の方が赤色光に比べて低下が大きい傾向にあった この結果は 青色光で非視覚的な作用が強 2) いとする過去の研究とは逆の結果である 光の印象評価では 赤色光は活動性と力量性において青色光より高かった また 心拍数と光の印象評価では 青色光に対する評価性 ( 快 好き 美しい など) が高いほど心拍数の低下が大きかった 以上のことから 色光に対する心理作用が生理反応に影響した結果 心拍数は赤色の方が高い傾向にあった可能性が考えられる 客観的覚醒度の指標である PVT の反応時間と主観的眠気尺度である KSS はどちらも夜間に増加していたが 2:30 だけ低下していた これは実験の最後の測定で 被験者の覚醒度が一時的に増加したことが理由と思われる 色光条件による主効果は認められなかった 先行研究では夜間の青色光には緑色光と比較して主観的な覚醒度を高めていた 2) しかし 赤色光と比較した今回の実験では色光条件間で有意差が見られなかった mrgc の刺激量は青色光で大きいにも関わらず 覚醒度には差が認められなかった この結果は 赤色光の覚醒作用を報告した先行研究を支持する結果と言える 11)22)23) 主観的な印象との相関は認められなかったが 赤色光では mrgc を介さない視覚的な作用が覚醒度に影響していた可能性が考えられる 最後に 本研究では光の印象評価も同時に行ったため 過去の先行研究に従って 光の条件を心理物理量である照度で統一した 9)22) しかし 光の非視覚作用について先行研究の結果と比較するには光強度を物理量である放射照度やフォトン密度で統一した実験も必要である 1-3)10) さらに 過去の非視覚作用を調べた研究では網膜に到達する光の量を統一するために散瞳 74

落合将太郎他 : 夜の青色光と赤色光の生理作用 : 測定項目間の違いと印象評価との関連性 薬を用いた実験もある 1)3) 本研究では散瞳剤を用いていないので 青色での瞳孔の収縮が強く起こった状態で実験を行っている このことが青色光の非視覚的な作用を減じた可能性もある 色光の生理反応と心理反応の関係を明らかにするには 光の条件を心理物理量と物理量の両方の影響を網羅できるような実験を重ねていく必要がある また 本研究では測定項目の間の関連について検討していない それぞれの測定項目は相互に関連しあっている可能性も報告されている 24) ことから ( 例えば瞳孔面積とメラトニン抑制など ) それぞれの測定項目間の協関性についての検討も将来的に必要と思われる 5. 結論本研究の結果から mrgc による非視覚的な影響を受けるとされていた生理反応の中でも メラトニンや瞳孔のようにその影響を強く受ける測定項目と 心拍数や体温のように非視覚作用の影響を受けにくい測定項目があることが分かった また非視覚的な作用を受けにくい測定項目においては 光の印象評価によって反応が異なる可能性も示唆された 謝辞 本研究は JSPS 科研費 24657176 15H02426の助成を受けたものです 引用文献 1)Brainard GC, Hanifin JP, Greeson JM, Byrne B, Glickman G, Gerner E, Rollag MD. Action spectrum for melatonin regulation in humans: evidence for a novel circadian photoreceptor. J Neurosci, 21: 6405-6412, 2001 2)Cajochen C, Munch M, Kobialka S, Krauchi K, Steiner R, Oelhafen P, Orgul S, Wirz-Justice A. High sensitivity of human melatonin, alertness, thermoregulation, and heart rate to short wavelength light. J Clin Endocrinol Metab, 90: 1311-1316, 2005 3)Lockley SW, Brainard GC, Czeisler CA. High sensitivity of the human circadian melatonin rhythm to resetting by short wavelength light. J Clin Endocrinol Metab, 88: 4502-4505, 2003 4)Thapan K, Arendt J, Skene DJ. An action spectrum for melatonin suppression: evidence for a novel nonrod, non-cone photoreceptor system in humans. J Physiol, 535: 261-267, 2001 5)Berson DM, Dunn FA, Takao M. Phototransduction by retinal ganglion cells that set the circadian clock. Science (New York, NY), 295: 1070-1073, 2002 6)Provencio I, Rodriguez IR, Jiang G, Hayes WP, Moreira EF, Rollag MD. A novel human opsin in the inner retina. J Neurosci, 20: 600-605, 2000 7)Gamlin PD, McDougal DH, Pokorny J, Smith VC, Yau KW, Dacey DM. Human and macaque pupil responses driven by melanopsin-containing retinal ganglion cells. Vision Res, 47: 946-954, 2007 8) 大山正. 色彩心理学入門. 中公新書,1994 9) 久保博子, 井上容子. 有彩色光照明の生理的 心理的影響 (< 特集 > 防犯照明と青色光照明 ). 照明学会誌,92: 645-649, 2008 10) 李花子, 勝浦哲夫, 岩永光一, 下村義弘, 東洋邦, 一條隆. 単波長の光曝露に対する生理反応. 日本生理人類学会誌,13: 75-83, 2008 11)Sahin L, Figueiro MG. Alerting effects of shortwavelength (blue) and long-wavelength (red) lights in the afternoon. Physiol Behav, 116-117: 1-7, 2013 12) 樋口重和. 光の非視覚的作用と概日リズム : 生理的多型性へのアプローチ ( < 特集 > 生理人類学のキーワード " 生理的多型性 " の本質に迫る ). 日本生理人類学会誌,18: 39-43, 2013 13)Ishihara K, Saitoh T, Inoue Y, Miyata Y. Validity of the Japanese version of the Morningness-Eveningness Questionnaire. Percept Mot Skills, 59: 863-866, 1984 14)Enomoto M, Endo T, Suenaga K, Miura N, Nakano Y, Kohtoh S, Taguchi Y, Aritake S, Higuchi S, Matsuura M, Takahashi K, Mishima K. Newly developed waist actigraphy and its sleep/wake scoring algorithm. Sleep Biol Rhythms, 7: 17-22, 2009 15)Kaida K, Takahashi M, Akerstedt T, Nakata A, Otsuka Y, Haratani T, Fukasawa K. Validation of the Karolinska sleepiness scale against performance and EEG variables. Clin Neurophysiol, 117: 1574-1581, 2006 16)Dinges DF, Powell JW. Microcomputer analyses of performance on a portable, simple visual RT task during sustained operations. Behav Res Meth Instr, 17: 652-655, 1985 17)Arendt J. Melatonin and human rhythms. Chronobiol Int, 23: 21-37, 2006 18)Byrne B, Rollag MD, Hani n JP, Reed C, Brainard GC. Bright light imagery does not suppress melatonin. J Pineal Res, 29: 62-64, 2000 75

日本生理人類学会誌 19)Tsujimura S, Ukai K, Ohama D, Nuruki A, Yunokuchi K. Contribution of human melanopsin retinal ganglion cells to steady-state pupil responses. Proc Biol Sci, 277: 2485-2492, 2010 20)Lee SI, Hida A, Tsujimura S, Morita T, Mishima K, Higuchi S. Association between melanopsin gene polymorphism (I394T) and pupillary light reflex is dependent on light wavelength. J Physiol Anthropol, 32: 16, 2013 21) 石川均, 浅川賢. 瞳孔検査. 日本自律神経学会 ( 編 ). 自律神経機能検査第 4 版. 文光堂,276-280, 2007 22)Figueiro MG, Bierman A, Plitnick B, Rea MS. Preliminary evidence that both blue and red light can induce alertness at night. BMC Neurosci, 10: 105, 2009 23)Higuchi S, Fukuda T, Kozaki T, Takahashi M, Miura N. Effectiveness of a Red-visor Cap for Preventing Light-induced Melatonin Suppression during Simulated Night Work. J Physiol Anthropol, 30: 251-258, 2011 24)Higuchi S, Ishibashi K, Aritake S, Enomoto M, Hida A, Tamura M, Kozaki T, Motohashi Y, Mishima K. Inter-individual difference in pupil size correlates to suppression of melatonin by exposure to light. Neurosci Lett, 440: 23-26, 2008 連絡先 樋口重和 815-8543 福岡市南区塩原 4-9-1 九州大学大学院芸術工学研究院デザイン人間科学部門 E-mail:higu-s@design.kyushu-u.ac.jp (2016 年 12 月 15 日受付,2017 年 4 月 3 日採用決定, 討論受付期限 2018 年 5 月末日 ) 76