国土技術政策総合研究所 研究資料

Similar documents
道路橋の耐震設計における鉄筋コンクリート橋脚の水平力 - 水平変位関係の計算例 (H24 版対応 ) ( 社 ) 日本道路協会 橋梁委員会 耐震設計小委員会 平成 24 年 5 月

05設計編-標準_目次.indd

国土技術政策総合研究所資料

IT1815.xls

PowerPoint プレゼンテーション

4) 横桁の照査位置 P.27 修正事項 横桁 No07~No18 ( 少主桁のNo01からNo06は格子計算による 断面力が発生しないので省略 ) 照査点 No 溶接部名称 継手名称 等級 1 横桁腹板上 主桁腹板 すみ肉 F H 2 横桁腹板下 主桁腹板 すみ肉 F H ただし 上記の 2 つ照

Microsoft Word - KSスラブ 論文.doc

PowerPoint プレゼンテーション


<4D F736F F D CC82E898678E77906A E DD8C7697E181698F4390B3816A312E646F63>

集水桝の構造計算(固定版編)V1-正規版.xls

鋼連続合成ラーメン 2 主鈑桁橋へのコンパクト断面設計法および二重合成構造の適用検討 東田典雅 1 西川孝一 1 登石清隆 2 脇坂哲也 2 西村治 2 田嶋一介 2 1 東日本高速道路 ( 株 ) 新潟支社 ( 新潟市中央区天神 1-1 プラーカ3 4F) 2 大日本コンサルタン

DNK0609.xls

RC単純床版橋(オルゼン解析) 出力例

計算例 5t超え~10t以下用_(補強リブ無しのタイプ)

スライド 1

参考資料 -1 補強リングの強度計算 1) 強度計算式 (2 点支持 ) * 参考文献土木学会昭和 56 年構造力学公式集 (p410) Mo = wr1 2 (1/2+cosψ+ψsinψ-πsinψ+sin 2 ψ) No = wr1 (sin 2 ψ-1/2) Ra = πr1w Rb = π

<8BC882B082A882E682D18EB297CD82F08EF382AF82E CD82E882CC90DD8C E93E7817A2E786477>

目次 1 章設計条件 形状寸法 上部工反力 設計水平震度 単位重量他 柱 使用材料 鉄筋 柱躯体自重 章柱の設計 ( レベル 1 地震

桑島濘岩 4 号線 1 号橋 上部工 数量計算書

建築支保工一部1a計算書

<4D F736F F F696E74202D E838A815B83678D5C91A295A882CC90DD8C7682CC8AEE967B F A2E707074>


Microsoft PowerPoint - 橋工学スライド.ppt

Microsoft Word - 技術資料Vol.2.docx

PC工学会第24回シンポジウム論文集.indd

<4D F736F F D F B C9A90DD8B5A8F708A4A94AD8CF097AC89EF93878DAA89EF8FEA816A2E646F63>

<8D5C91A28C768E5A8F91836C C768E5A8F A2E786C73>

スライド タイトルなし

Microsoft Word - 第6回複合構造シンポ doc

<424F58834A838B836F815B836782CC90DD8C76>

8 章橋梁補修工 8.1 橋梁地覆補修工 ( 撤去 復旧 ) 8.2 支承取替工 8.3 沓座拡幅工 8.4 桁連結工 8.5 現場溶接鋼桁補強工 8.6 ひび割れ補修工 ( 充てん工法 ) 8.7 ひび割れ補修工 ( 低圧注入工法 ) 8.8 断面修復工 ( 左官工法 ) 8.9 表面被覆工 (

コンクリート工学年次論文集 Vol.25

コンクリート実験演習 レポート

Taro-2012RC課題.jtd

Microsoft PowerPoint - zairiki_10

コンクリート工学年次論文集 Vol.28

< B795FB8C6094C28F6F97CD97E12E786477>

改訂のポイント () 主要部材と二次部材について 原則としてすべての部材について, 作用の組合せ ~ を考慮しなければならない. 道示 Ⅰ 編. ただし,) 応答値が無視できる範囲の場合,) 物理的に考えられない組合せの場合, それらの根拠を示すことで省略することができる. 中間対傾構, 横構は,

第3章 コンクリート橋

L 型擁壁 (CP-WALL) 構造図 S=1/30 CP-WALL(B タイプ ) H=1900~2500 断面図 正面 背面図 製品寸法表 適用 製品名 H H1 H2 B 各部寸法 (mm) B1 B2 T1 T2 T3 T4 T5 水抜孔位置 h1 h2 参考質量 (kg) (

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F F696E74202D208BF38D608B5A8F7095F18D9089EF BB497C C835B83938E9197BF81418DC58F4994C5816A>

第4章 鋼  橋

<4D F736F F D208E9197BF A082C68E7B8D A815B82CC8D5C91A28AEE8F C4816A2E646F63>

新日本技研 ( 株 ) 技術報告 弾性横桁で支持された床版の断面力式 仙台支店 設計部高橋眞太郎 本社 顧問倉方慶夫 元本社 顧問高尾孝二 要旨 橋梁形式は 公共事業費抑制の要求を受けてコスト縮減を図ることができる合理化形式の採用が多くなっている この流れを受けて鈑桁形式では少数鈑桁橋

FC 正面 1. 地震入力 1-1. 設計基準 準拠基準は以下による 建築設備耐震設計 施工指針 (2005 年版 ): 日本建築センター FH = KH M G KH: 設計用水平震度 KH = Z KS W : 機械重量 FV = KV M G = 機械質量 (M) 重力加速度 (G) KV =

スライド タイトルなし

<4D F736F F F696E74202D D D4F93AE89F097E D F4390B32E B93C782DD8EE682E

GEH-1011ARS-K GEH-1011BRS-K 1. 地震入力 参考 1-1. 設計基準 使用ワッシャー 準拠基準は以下による M10 Φ 30 内径 11 t2 建築設備耐震設計 施工指針 (2005 年版 ): 日本建築センター FH = KH M G KH: 設計用水平震度 KH =

Microsoft Word - 第5章.doc

耐雪型歩道柵 (P 種 )H=1.1m ランク 3 ( 基礎ブロック ) 平成年月日

(Ver.4.-L0 Ver.4.-L0) 08 年 0 月 主な項目 新設内容 複合標準第 Ⅲ 編. に準拠した 矩形断面の鋼管 (CFT 矩形断面 ) に関する断面照査機能を追加しました CFT 部材の照査項目別の適用断面 VePP-HS CFT 部材における復旧性の照査 [ 損傷 ] 変形 項

技術基準改訂による付着検討・付着割裂破壊検討の取り扱いについてわかりやすく解説

複合構造レポート 09 FRP 部材の接合および鋼と FRP の接着接合に関する先端技術 目次 第 1 部 FRP 部材接合の設計思想と強度評価 第 1 章 FRP 構造物の接合部 FRP 材料 FRP 構造物における各種接合方法の分類と典型的な部位 接合方法

出来形管理基準及び規格値 単位 :mm 編章節条枝番工種測定項目規格値測定基準測定箇所摘要 1 共通編 2 土工 3 河川 海岸 砂防土工 2 1 掘削工 法長 ç 基準高 ±50 ç<5m -200 ç 5m 法長 -4% 施工延長 40m( 測点間隔 25m の場合は 50m) につき 1 ヶ所

図 維持管理の流れと診断の位置付け 1) 22 22

国土技術政策総合研究所 研究資料

会社の経営努力による費用の縮減内容について 資料 -7 運用指針 第 2 条 3 供用までの期間を短縮したことによる費用の縮減 フネヒキミハル 磐越自動車道 コオリヤマヒカ シ ( 船引三春 IC~ 郡山東 IC) の早期 4 車線化

<4D F736F F D208D7E959A82A882E682D18F498BC78BC882B B BE98C60816A2E646F63>

改定対照表(標準単価)

出来形管理基準及び規格値 単位 :mm 編章節条枝番工種測定項目規格値測定基準測定箇所摘要 1 共通編 2 土工 3 河川 海岸 砂防土工 2 1 掘削工 基準高 ±50 法長 l l<5m -200 l 5m 法長 -4% 施工延長 40m( 測点間隔 25m の場合は 50m) につき 1 箇所

Super Build/宅造擁壁 出力例1

コンクリート工学年次論文集 Vol.31

<312D385F504382CC90DD8C7682C6899E C D335F E786477>

平成 28 年度 マスコンクリートにおける強度発現に注目した打設方法 札幌開発建設部千歳道路事務所工務課 梅津宏志札幌開発建設部千歳道路事務所大野崇株式会社砂子組名和紀貴 マスコンクリートの打設におけるひび割れ制御には 主にひび割れ指数が用いられるが 同指数は必ずしも実施工結果と一致しないのことが多

. 軸力作用時における曲げ耐力基本式の算定 ) ここでは破壊包絡線の作成を前提としているので, コンクリートは引張領域を無視した RC 断面時を考える. 圧縮域コンクリートは応力分布は簡易的に, 降伏時は線形分布, 終局時は等価応力ブロック ( 図 -2) を考えることにする. h N ε f e

<4D F736F F D B F090CD82C982C282A282C42E646F63>

PowerPoint Presentation

Microsoft PowerPoint - 01 H25年度 島根県技術講習会(PC技術の最近の動向)

液状化判定計算(道示編)V20-正規版.xls

<4E6F2E C8E B8D DCF82DD5D2E6169>

POWER-直接基礎Ⅱの出力例(表形式)

この部分の計算は 主桁本数を考慮したマトリックスの計算です 分配計算は主桁本数別に作成した別ソフト ここでは "INFSLAB5V0.xls" を使います このシートは セルの行幅の設定値が他と別仕様ですので 独立させたものです 6 シート S は 上のシートのデータを主桁単位の分配係数

1. 研究背景 目的 2. 使用機器 3. 橋梁点検システム 4. 選定橋梁 5. 安全対策 橋梁点検フロー 6. 計測結果 計測条件 7. まとめ - 2 -

建設材料 鋼 コンクリート れんが 木材 2

L 型擁壁 (CP-WALL) 構造図 S=1/30 CP-WALL(C タイプ ) H=600~700 断面図 正面 背面図 H T1 T2 T4 T3 T4 H2 H1 100 B1 B2 T5 H 連結穴 M16 背面 水抜孔 φ75 正面 水抜孔 φ90 h1 h2 製品寸法表

(校正案)

Microsoft Word - OPA M-N破壊包絡線.doc

Microsoft Word - 03_コンクリート橋編_140728

Microsoft Word - H20アップ原稿-最終(NEXCO修正版)

1

目次 章 本体縦方向計算(設計条件). 設計条件.. 基本条件.. 樋門概略側面図.. 樋門概略平面図.. 堤体形状図. 材料.. 単位重量.. コンクリート.. PC鋼材.. 鋼板(しゃ水鋼矢板). 盛土.. 堤防盛土. 地盤条件 6.. 地層条件.. 沈下量算出点. 函体形状.. スパン ブロッ

1- 擁壁断面の形状 寸法及び荷重の計算 ( 常時 ) フェンス荷重 1 kn/m 1,100 0 上載荷重 10 m kn/ 3, (1) 自重 地表面と水平面とのなす角度 α=0.00 壁背面と鉛直面とのなす角度 θ=.73 擁壁

Transcription:

3 章 PC 橋と PRC 橋の概略比較設計本章では コンクリート桁橋で一般的と考えられる支間長 80mの3 径間連続ラーメン箱桁橋をモデルケースとし PC 構造と PRC 構造それぞれで概略設計を行うことにより それぞれの構造の特性と性能に及ぼす影響や 特に疲労損傷のリスクに対する比較分析を行った なお PC 構造は従来の道路橋示方書 1) に従った設計とし PRC 構造は土木学会コンクリート標準示方書 2) に従い 計算上のひび割れ幅が特定の制限値となるようプレストレス量を決定した 3.1 設計条件 3.1.1 構造寸法 PC 構造 PRC 構造とも支間長 部材寸法は同一として設計した 対象とする橋梁の概要図を以下に示す 側面図 図 3.1.1 対象橋梁概要図 (3 径間連続ラーメン箱桁橋 ) 97

3.1.2 一般条件 試設計に際して 共通とした設計条件を以下に示す (1) 橋梁諸元 構造形式 :3 径間連続ラーメン箱桁橋 構造区分 :PC 構造 PRC 構造 架設工法 : 張出し施工 ( 側径間閉合部は固定支保工 ) 支 間 :55.0 + 80.0 + 55.0 m 橋 脚 高 :40 m 幅 員 : 全 幅 10.150 m 有効幅員 9.260 m 斜 角 : 90 00 00 平面線形 :R= 活 荷 重 :B 活荷重 衝撃係数 :i=10/(25+l) 環境条件の区分 : 一般の環境 端支点条件 : 可動 ( 橋軸方向 ) 橋脚基礎条件 : 橋脚下端にて固定 (2) 使用材料各材料の特性値は 道路橋示方書 同解説 Ⅲコンクリート橋編 に準拠して 以下のように設定する コンクリート上部工設計基準強度 40 N/mm 2 静弾性係数 3.1 10 4 N/mm 2 クリープ係数 φ = 2.6( 主桁自重作用時 ) =1.7( 橋面荷重作用時 ) 橋脚設計基準強度 27N/mm 2 静弾性係数 2.65 10 4 N/mm 2 クリープは終了していると仮定 鉄筋 種別 SD345 PC 鋼材主方向 PC 鋼材 ( 内ケーブル ) 12S12.7 SWPR7BL 主方向 PC 鋼材 ( 外ケーブル ) 19S15.2 SWPR7BL 床版横締め 1S28.6 SWPR19L 98

(3) 荷重荷重の種類については 道路橋示方書 同解説 Ⅰ 共通編 に準拠する 1 主荷重 死荷重(D) 主桁および橋脚自重 (D1) コンクリートの単位重量 γc = 24.5 kn/m 3 橋面荷重 (D2) w = 41.131 kn/m 活荷重(L) B 活荷重 衝撃 (I) i=10/(25+l) プレストレス力(PS) 有効プレストレスによる不静定力は プレストレッシング直後の不静定力に PC 鋼材引張力の有効係数を部材全体にわたって平均した値を乗じて算出する コンクリートのクリープの影響(CR) Dischingerの近似式 ( 橋脚は考慮しない ) コンクリートの収縮の影響(SH) 1.5 10-4 ( ただし クリープの影響は加算しない また 橋脚は考慮しない ) 2 従荷重 温度変化の影響(T) 温度変化 (T1) ±15 ( 橋脚も考慮する ) 温度差 (T2) 5 地震の影響(EQ) 設計水平震度 : 地盤種別 Ⅰ 種地盤橋軸方向 Kh=0.20 橋軸直角方向 Kh=0.20 3 従荷重に相当する特殊荷重 施工時荷重(ER) 移動作業車荷重中央閉合部吊支保工荷重 800 kn 550 kn 99

(4) 許容値および制限値 表 3.1.1 PC 構造の曲げ引張応力度に対する許容値 上縁 (N/mm 2 ) 下縁 (N/mm 2 ) 活荷重及び衝撃以外の主荷重作用時 0.0 0.0 ( 以下 死荷重時 と記す ) 設計荷重作用時 0.0-1.5 設計荷重 + 温度変化 + 温度差時 -2.0-2.0 ただし 架設時の引張応力度は-1.0N/mm 2 以下にする 表 3.1.2 PRC 構造のひび割れに対する制限値 死荷重時 設計荷重作用時 主桁上縁ひび割れ発生限界ひび割れ幅制御 (0.0035C) 主桁下縁ひび割れ発生限界ひび割れ幅制御 (0.005C) ただし C は最外縁鉄筋のかぶり (35mm) 表 3.1.3 割増係数 荷重の組合せ 割増し係数 (1) 主荷重 (P)+ 主荷重に相当する特殊荷重 + 温度変化の影響 (T) 1.15 (2) 活荷重及び衝撃以外の主荷重 + 地震の影響 (EQ) 1.50 (3) 架設荷重 (ER) 1.25 100

3.1.3 施工ステップ試設計で考慮した施工ステップを以下に示す 図 3.1.2 施工ステップ図 施工サイクル 張出し施工 : 10 日 /BL 中央閉合施工 : 30 日 ワーゲン撤去 : 6 日 橋面工施工 : 90 日 側径間施工 : 50 日 施工完了 : 30 日 101

3.2 設計結果 3.2.1 PC 橋の設計結果概要 (1) PC 鋼材配置 PC 構造の試設計において算出された必要 PC 鋼材の配置図を下記に示す この中で 柱頭部より階段状に配置されている架設ケーブルは 張出し施工中の応力度より決定されている また 外ケーブルは 完成系における支間中央部の応力度より決定されている 架設ケーブル 12S12.7 ( 張出し床版 ) 架設ケーブル 12S12.7 ( 中間床版 ) 外ケーブル 19S15.2 図 3.2.1 PC 構造の PC 鋼材配置図 102

(2) 主方向の応力状態 PC 構造の設計結果のうち 全断面有効とした場合の合成応力度を下記に示す 図 3.2.2 より 架設ケーブルが最大張出し時に上縁の許容値を満足するように決定されていることが分かる また 図 3.2.3 より 死荷重時にフルプレストレスの条件を満足していることが確認できる 図 3.2.4 からは 温度差時に支間中央部の下縁の許容応力度 -2.0N/mm 2 を満足するために決定されていることがわかる 合成応力度 (N/mm2) 12.0 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0.0-2.0-0.82>-1.0-0.90>-1.0 上縁下縁 図 3.2.2 最大張出状態での合成応力度 合成応力度 (N/mm2) 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0.0-2.0 4.25 上縁下縁 図 3.2.3 死荷重時の合成応力度 合成応力度 (N/mm2) 14.0 12.0 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0.0-2.0-4.0 ( 設計 + 温度 )Mmax 時上縁 ( 設計 + 温度 )Mmax 時下縁 ( 設計 + 温度 )Mmin 時上縁 ( 設計 + 温度 )Mmin 時下縁 -0.97-0.81-1.55 図 3.2.4 設計荷重時の合成応力度 103

(3) 配置鉄筋一覧試設計の結果 PC 構造で必要となる配置鉄筋の一覧を示す 終局時の曲げ破壊耐力確保のために 正の曲げモーメントが卓越する支間中央部で D13 ctc 125mm 端支点付近において D19 ctc 125mm が必要となっている 曲げ破壊で決定曲げ破壊で決定 図 3.2.5 配置鉄筋一覧 曲げ破壊で決定 104

(4) 床版の設計結果 PC 構造として設計した床版の設計結果を下記に示す この結果より 床版横締めとして 1S28.6 鋼材を 700mm 間隔で配置することにより 許容引張応力度を満足する結果が得られることが分かる この結果をもとに 床版横締めの数量を算出した 表 3.2.1 PC 床版の設計結果 支間中央部断面 柱頭部断面 断面図 使用鋼材 1S28.6 SWPR19L( グラウトタイプ ) 引張方向 片引き交互緊張 導入応力度 1280N/mm2 配置間隔 700mm 間隔 鋼材配置図 照査位置図 2-i 片持部 6-i 連続版支点部 8-i 連続版支間部 合成応力度 照査断面 2-i 6-i 8-i 2-i 6-i 8-i 上縁 下縁 上縁 下縁 上縁 下縁 上縁 下縁 上縁 下縁 上縁 下縁 導入直後 4.11-0.57 3.73-0.18 1.31 4.69 4.11-0.57 3.74-0.18 1.13 4.87 許容値 18.0<σc<-1.5 死荷重時 2.96 0.26 3.07 0.15 0.90 4.52 2.96 0.26 3.11 0.12 0.78 4.64 許容値 14.0<σc< 0.0 max 2.96 0.26 3.07 0.15 5.42 0.00 2.96 0.26 3.11 0.12 5.00 0.42 設計荷重時 (N/mm 2 ) min 0.47 2.75 0.20 3.02 0.90 4.52 0.47 2.75 0.43 2.80 0.78 4.64 許容値 14.0<σc<0 14.0<σc<0 1.361 1.256 1.115 1.361 1.337 1.220 曲げ破壊安全度 Mr/Mu>1.0 直上床版上側 D13ctc250 角上床版下側 D13ctc250 配置軸上床版下側 D16ctc125 D19ctc125 D16ctc125 D19ctc125 鉄下床版上側 D16ctc250 D13ctc250 筋直下床版下側 D13ctc250 D13ctc250 角ウェブ 18.575cm2 12.095cm2 105

3.2.2 PRC 橋の設計結果概要 (1) PC 鋼材配置 PRC 構造の試設計において算出された必要 PC 鋼材の配置図を下記に示す PC 構造と同様 架設ケーブルは張出し施工中の応力度より決まっており 本数の変化はない 一方外ケーブルは 完成系における支間中央部の応力度より決定されているが PRC 構造としたため外ケーブルが受け持つ応力度が相対的に低くなり 必要本数が減少している 架設ケーブル 12S12.7 ( 張出し床版 ) 架設ケーブル 12S12.7 ( 中間床版 ) 外ケーブル 19S15.2 図 3.2.6 PRC 構造の PC 鋼材配置図 106

(2) 主方向の応力状態 PRC 構造の設計結果のうち 全断面有効とした場合の合成応力度を下記に示す PC 構造と同様 架設ケーブルは最大張出しで決定されている ( 図 3.2.7) また PRC 構造は死荷時において 支間中央部の下縁においても発生応力度は-1.0N/mm 2 未満である ( 図 3.2.8) 設計荷重時においては 支間中央部で最大 -6.2N/mm 2 の引張応力度が発生しているが これに対しては鉄筋によってひび割れ幅を制御するように補強している ( 図 3.2.9) なお 上縁においては 死荷重時 設計荷重時とも圧縮状態を確保している 合成応力度 (N/mm2) 12.0 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0.0-2.0-0.82>-1.0-0.90>-1.0 上縁下縁 図 3.2.7 最大張出状態での合成応力度 合成応力度 (N/mm2) 12.0 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0.0-2.0-0.18>-1.27-0.97>-1.27 上縁下縁 図 3.2.8 死荷重時の合成応力度 合成応力度 (N/mm2) 16.0 12.0 8.0 4.0 0.0-4.0-8.0-4.72 側径間支間部配置鉄筋 D25 ctc125( 曲げ破壊に対する鉄筋 ) ひび割れ幅 w = 0.161 mm 許容ひび割れ幅 wa=0.175 mm -6.11 活荷重時 Mmax+ 温度 (+)( 上縁 ) 活荷重時 Mmax+ 温度 (+)( 下縁 ) 活荷重時 Mmin+ 温度 (-)( 上縁 ) 活荷重時 Mmin+ 温度 (-)( 下縁 ) 中央径間支間部配置鉄筋 D25 ctc125( ひび割れに対する鉄筋 ) ひび割れ幅 w = 0.165mm 許容ひび割れ幅 wa=0.175 mm 図 3.2.9 設計荷重時の合成応力度 107

(3) 配置鉄筋一覧下記に配置鉄筋の一覧を示す 支間中央部の下縁においては 設計荷重時においてひび割れ制御にて設計しており PC 鋼材と鉄筋の双方でひび割れ幅を制御しているため 最大 D25 ctc 125mm の鉄筋が配置されている また 外ケーブル量が減少したため 曲げ破壊安全度の確保のために鉄筋量が増加している ( 最大 D22 ctc 125mm) 部分も見られる 曲げ破壊で決定 曲げ破壊で決定曲げ破壊で決定曲げ破壊で決定曲げ破壊で決定 曲げ破壊で決定 曲げ破壊で決定 曲げ破壊で決定曲げ破壊で決定 曲げひび割れ幅制御により決定 図 3.2.10 配置鉄筋一覧 曲げ破壊で決定 108

(4) 床版の設計結果 PRC 床版は 設計荷重時においてひび割れ発生限界内となるように床版横締めを決定している 設計の結果 1S28.6 鋼材を 1000mm 間隔で配置することにより ひび割れ発生限界以内を満足する結果が得られた この結果をもとに 床版横締めの数量を算出した PRC 構造として設計した床版の設計結果を下記に示す 表 3.2.2 PRC 床版の設計結果 支間中央部断面 柱頭部断面 断面図 使用鋼材 1S28.6 SWPR19L( グラウトタイプ ) 引張方向 片引き交互緊張 導入応力度 1280N/mm2 配置間隔 1000mm 間隔 鋼材配置図 照査位置図 2-i 片持部 6-i 連続版支点部 8-i 連続版支間部 2-i 6-i 8-i 2-i 6-i 8-i 照査断面上縁下縁上縁下縁上縁下縁上縁下縁上縁下縁上縁下縁合導入直後 2.53-0.17 2.27 0.13 0.79 3.04 2.53-0.17 2.25 0.13 0.62 3.18 成応許容値 18.0<σc<-1.5 18.0<σc<-1.5 力死荷重時 1.38 0.56 1.80 0.11 0.65 2.33 1.38 0.56 1.70 0.23 0.21 2.79 度許容値 14.0<σc< 0.0 14.0<σc< 0.0 max 1.38 0.56 1.80 0.11 4.97-1.99 1.38 0.56 1.70 0.23 4.34-1.33 設計荷重時 (N/mm 2 ) min -1.05 3.00-0.93 2.85 0.65 2.33-1.05 3.00-0.91 2.85 0.21 2.79 許容値 14.0>σc>-2.10 14.0>σc>-2.46 14.0>σc>-2.10 14.0>σc>-2.46 1.21 1.18 1.03 1.21 1.21 1.14 曲げ破壊安全度 Mr/Mu>1.0 直上床版上側 D13ctc250 D13ctc250 角上床版下側 D13ctc250 D13ctc250 配置軸上床版下側 D16ctc125 D19ctc125 D16ctc125 D19ctc125 鉄下床版上側 D13ctc250 D13ctc250 筋直下床版下側 D13ctc125 D13ctc250 角ウェブ 18.719cm2 13.213cm2 109

3.2.3 数量比較概略検討結果より得られた PC 構造と PRC 構造の数量を以下に示す 表 3.2.3 数量比較一覧表 工種 単位 PC 数量 PRC 数量 差 比率 柱頭部 m 3 330 330 0 100% 片持ち架設部 m 3 785 785 0 100% コンクリート工 側径間部 m 3 208 208 0 100% 中央閉合部 m 3 16 16 0 100% 合計 m 3 1,339 1,339 0 100% 柱頭部 m 2 445 445 0 100% 片持ち架設部 m 2 1,977 1,977 0 100% 外枠 側径間部 m 2 474 474 0 100% 中央閉合部 m 2 42 42 0 100% 小計 m 2 2,938 2,938 0 100% 型枠工 桁端部 m 2 26 26 0 100% 柱頭部 m 2 188 188 0 100% 片持ち架設部 m 2 1,195 1,195 0 100% 内枠 側径間部 m 2 248 248 0 100% 中央閉合部 m 2 24 24 0 100% 横桁 m 2 82 82 0 100% 小計 m 2 1,736 1,736 0 100% 合計 m 2 4,700 4,700 0 100% 鉄筋工 t 190.612 225.072 34 118% 内ケーブル kg 20,327 20,327 0 100% PC 引張 橋軸方向 外ケーブル kg 39,996 24,607-15,389 62% 小計 kg 60,323 44,934-15,389 74% 床版横締め kg 11,414 9,956-1,458 87% 上記より コンクリート量及び型枠量は PC 構造と PRC 構造に相違はなく 鉄筋量は PC 構造に比べ PRC 構造が 18% 多くなった 一方 PC 鋼材量については PC 構造に比べ PRC 構造が 橋軸方向の PC 鋼材が 26% 床版横締め鋼材が 13% 低減する結果を示した 110

3.3 まとめ橋梁としての支間長や部材寸法を同一として PC 構造と PRC 構造それぞれで設計を行った場合 両者の相違点として PRC 構造は PC 構造に比べ鉄筋量が増加し また PC 鋼材量は橋軸方向 横方向共に減少する傾向となった PRC 構造の配置鉄筋量が PC 構造と比較して多いことは PRC 構造の終局時のじん性向上及びひび割れの分散化に寄与しているものと推察される 一方 PC 構造のように 一度発生したひび割れが閉じる程のプレストレスは導入されていないことから ひび割れが開口したままとなる可能性が想定される 設計上の目標期間である 100 年という長期間に渡る十分な耐久性を確保するためには 残留ひび割れ幅と内部鋼材の腐食に対する耐久性の関係 応力変動の繰返しや収縮及びクリープ等の時間依存性挙動の影響によるひび割れ幅の変動傾向を明らかとし それらを考慮した配置鉄筋量及びプレストレス量とすることが必要である 主方向の応力状態を比較した場合 中央径間 支間中央部の主桁下縁における引張範囲内の応力振幅は PC 構造の 1.55(N/mm 2 ) に対し PRC 構造は 5.14(N/mm 2 ) であった ( 表 3.3.1) 表 3.3.1 中央径間 支間中央部の主桁下縁応力振幅 PC 構造 PRC 構造 死荷重時 (N/mm 2 ) 4.25-0.97 設計荷重時 (Mmax) (N/mm 2 ) -1.55-6.11 応力振幅 ( 引張範囲 ) (N/mm 2 ) 1.55 5.14 PRC 構造の中央径間 支間中央部における設計荷重時主桁下縁応力は コンクリートのひび割れ発生限界を超えており ひび割れの発生を想定した配筋量の設計となっている ひび割れが発生した時点で鉄筋及び PC 鋼材へ応力が移行することから PRC 構造では鉄筋及び PC 鋼材に発生する応力変動を考慮した疲労に対する検討が必要である PC 構造と比較してより大きな引張範囲内の応力振幅を受ける PRC 構造は コンクリートと内部鋼材との付着の疲労やひび割れの進展の可能性など 部材の曲げ疲労に関する不明点は多く PC 構造と疲労損傷に対する影響の点では差がある構造であると言える 111

3 章参考文献 1) 日本道路協会 : 道路橋示方書 同解説 Ⅲコンクリート橋編 2002.3 2) 土木学会 :2007 年制定コンクリート標準示方書設計編 p.210 2007.12 112