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調査の概要 本調査は 788 組合を対象に平成 24 年度の特定健診の 問診回答 (22 項目 ) の状況について前年度の比較から調査したものです 対象データの概要 ( 全体 ) 年度 被保険区分 加入者 ( 人 ) 健診対象者数 ( 人 ) 健診受診者数 ( 人 ) 健診受診率 (%) 評価対象者


平成20年度厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)

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Chapter 1 Epidemiological Terminology

様式 3 論文内容の要旨 氏名 ( 神﨑光子 ) 論文題名 周産期における家族機能が母親の抑うつ 育児自己効力感 育児関連のストレス反応に及ぼす影響 論文内容の要旨 緒言 女性にとって周産期は 妊娠 分娩 産褥各期の身体的変化だけでなく 心理的 社会的にも変化が著しいため うつ病を中心とした気分障害

地域包括支援センターにおける運営形態による労働職場ストレス度等の調査 2015年6月

目 次 Ⅰ 子育てのサポート 1 妊娠前 妊娠中のサポート 1 生理休暇 2 不妊治療の受診 3 妊娠障害 ( つわり ) 休暇 4 健康診査及び保健指導に係る休暇 5 危険有害業務の就業制限 6 深夜勤務及び時間外勤務の制限 7 通勤緩和措置 8 職員の休息等 2 出産前後のサポート 1 産前 産

表 5-1 機器 設備 説明変数のカテゴリースコア, 偏相関係数, 判別的中率 属性 カテゴリー カテゴリースコア レンジ 偏相関係数 性別 女性 男性 ~20 歳台 歳台 年齢 40 歳台

論文題目 大学生のお金に対する信念が家計管理と社会参加に果たす役割 氏名 渡辺伸子 論文概要本論文では, お金に対する態度の中でも認知的な面での個人差を お金に対する信念 と呼び, お金に対する信念が家計管理および社会参加の領域でどのような役割を果たしているか明らかにすることを目指した つまり, お

す しかし 日本での検討はいまだに少なく 比較的小規模の参加者での検討や 個別の要因との関連を報告したものが殆どでした 本研究では うつ病患者と対照者を含む 1 万人以上の日本人を対象とした大規模ウェブ調査で うつ病と体格 メタボリック症候群 生活習慣の関連について総合的に検討しました 研究の内容

第 3 部食生活の状況 1 食塩食塩摂取量については 成人男性では平均 11.6g 成人女性では平均 10.1gとなっており 全国と比較すると大きな差は見られない状況にあります 図 15 食塩摂取量 ( 成人 1 日当たり ) g 男性

また リハビリテーションの種類別では 理学療法はいずれの医療圏でも 60% 以上が実施したが 作業療法 言語療法は実施状況に医療圏による差があった 病型別では 脳梗塞の合計(59.9%) 脳内出血 (51.7%) が3 日以内にリハビリテーションを開始した (6) 発症時の合併症や生活習慣 高血圧を

目次 こころの健康度 生活習慣に関する調査 支援実施報告 1. 目的 対象 支援方法 (1) 個人結果通知 (2) 電話による支援等 4. 支援対象者の選定基準 (1) 電話による支援 (2) 文書による支援 (3) パンフレ

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高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

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1 参加した事がない 2 年に 1-2 回参加 Q.5 3 年に 3 回以上参加 4 ほぼ毎回参加 Est 団体設立 年 度数 年数 71.4% 28.6%.0%.0% 100.0% 年 度数 % 35.

4 身体活動量カロリズム内に記憶されているデータを表計算ソフトに入力し, 身体活動量の分析を行った 身体活動量の測定結果から, 連続した 7 日間の平均, 学校に通っている平日平均, 学校が休みである土日平均について, 総エネルギー消費量, 活動エネルギー量, 歩数, エクササイズ量から分析を行った

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2016 年顧客満足度調査集計結果 全体 全体の集計 目次 年顧客満足度調査集計結果 全体 1 ページ 株式会社ニチイ学館 年顧客満足度評価集計表 全体 2ページ 年利用者回答結果一覧 全体 3ページ サービス名 年利用者回答詳細結果 全体 4

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研究組織 研究代表者西山哲成 日本体育大学身体動作学研究室 共同研究者野村一路 日本体育大学レクリエーション学研究室 菅伸江 日本体育大学レクリエーション学研究室 佐藤孝之 日本体育大学身体動作学研究室 大石健二 日本体育大学大学院後期博士課程院生

点検項目 点検事項 点検結果 リハビリテーションマネジメント加算 Ⅰ 計画の定期的評価 見直し 約 3 月毎に実施 リハビリテーションマネジメント加算 Ⅱ ( リハビリテーションマネジメント加算 Ⅰ の要件に加え ) 居宅介護支援事業者を通じて他のサービス事業者への情報伝達 利用者の興味 関心 身体

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Transcription:

運転労働者の腰痛特異的 QOL とその関連要因 奈良産業保健推進センター 所長産業保健相談員産業保健相談員産業保健相談員産業保健相談員 有山雄基鴻池義純車谷典男上坂聖美井上俊之 奈良県立医科大学地域健康医学教室 助教冨岡公子

はじめに 奈良県労働局調べによれば 平成 19 年の業務上疾病の発生のうち負傷による腰痛が約 6 割を占めている 一方 腰痛予防対策指針では 腰痛多発職種の一つに長時間の車両運転を挙げている わが国では323 万人 (2007 年時点 ) が運輸交通業に従事しているが 職業運転手の腰痛に関する研究はあまり多くない 特に 腰痛が職業運転手の日常生活に及ぼす影響に関する報告は少ない 運動器障害は労働者の就労活動を制限し QOLに影響を与える また QOLの障害が大きいほど運動器障害が軽快しにくく 長期化する危険性も高いことが報告されている さらに 作業関連性運動器障害と職業性ストレスとの関連が注目されている 職業性ストレスの評価モデルの中で Effort-Reward Imbalance (ERI) model は様々な職種を対象に調査がなされ ERIと健康障害との関連が報告されている しかし 運転労働者を対象にERIモデルによる職業性ストレスを調査した報告は少ない また ERI modelによる職業性ストレスは作業関連性運動器障害との関連が指摘されているが 運動器障害関連 QOLとERI modelによる職業性ストレスとの関連を調査した報告は乏しい そこで 本研究では 職業運転手の腰痛問題の改善に寄与する生活習慣や職場環境の知見を得ることを目的に 職業運転手のうち バス運転手を対象に腰痛および腰痛関連 QOLと その職業性ストレスとの関連性を検討したので報告する

対象 方法 奈良県バス協会に依頼し 協力の得られた県内 12 社の職員 1073 人にアンケートを配布し 会社単位で 調査票の配布 回収を行った 調査票の質問項目 : 1 基本属性 : 性 年齢 身長 体重 職種 2 生活習慣 : 運動 喫煙 飲酒習慣 睡眠 歩行時間 3 家庭生活 : 就学前の子供と家庭内介護の有無 4 労働要因 : 経験年数 勤務形態 体制 労働時間 休日日数 通勤時間 5 運転業務について 6 腰痛とその QOL に関する質問 7 職業性ストレスに関する質問 腰痛に関する質問 Modified Nordic Musculoskeletal Questionnaire 日本語版 腰痛関連 QOLに関する質問腰痛特異的 QOL 尺度 (Roland-Morris Disability Questionnaire) 日本語版 職業性ストレスに関する質問努力 - 報酬不均衡モデル調査票 (Effort-Reward Imbalance model Questionnaire) 日本語版

表 1 基本属性 対象者の基本属性 生活習慣 家庭生活 % Mean SD Median 年齢 ( 歳 ) 45.1 ± 9.6 45.0 身長 (cm) 169.6 ± 5.8 170.0 体重 (kg) 68.5 ± 9.6 68.0 Body Mass Index (BMI) 23.8 ± 2.9 23.5 BMI 25 34.2% 生活習慣 運動習慣 : 週 2 日以上あり 12.3% 喫煙習慣 : 現在喫煙中 55.8% 過去喫煙 現在禁煙 29.7% 喫煙経験なし 14.5% 飲酒習慣 : ほぼ毎日 23.0% 週 3~4 日 24.8% 週 1~2 日 22.6% ほとんど飲まず 29.5% 労働日の平均睡眠時間 ( 時間 ) 61 6.1 ± 09 0.9 60 6.0 家庭生活 家庭内介護あり 47% 4.7% 就学前の子供あり 18.5%

表 2 労働要因 通勤 対象者の労働要因 通勤 歩行時間 % Mean SD Median 現職の経験年数 ( 年 ) 15.7 ± 10.00 16.0 正社員 88.4% 過去 1ヶ月の週あたり実労働時間 ( 時間 ) 49.1 ± 21.8 46.0 管理職 0.8% 交替制勤務をしている 44.7% 夜間の運転業務あり 83.9% 過去 1ヶ月の夜勤回数 6.4 ± 4.6 7.0 過去 1ヶ月の休日日数 7.0 ± 2.1 7.0 通勤時間 ( 片道 ) ( 分 ) 34.4 ± 18.3 30.0 通勤で車を運転している 96.7% 歩行時間 通勤時の歩行時間 ( 往復 ) ( 分 ) 13.7 ± 16.9 10.0 通勤以外の歩行時間 ( 分 ) 37.8 ± 28.9 30.0 通勤時を含めた1 日の歩行時間 ( 分 ) 51.4 ± 36.5 40.0

表 3 運転業務 % Mean SD Median バスの種類 路線バス 78.9% 観光バス 17.4% その他 ( 高速 送迎バスなど ) 3.7% 運転時間 ( 時間 ) 車庫から出て車庫に戻るまでの時間 10.6 ± 1.9 11.0 実際に運転している時間 6.9 ± 1.7 7.0 車の中で待機している時間 20 2.0 ± 12 1.2 20 2.0 車から離れている時間 1.8 ± 1.1 1.5 最長連続運転時間 2.7 ± 1.7 2.5 運転作業中の姿勢の苦痛 感じなかった 47.0% 時々感じた 46.8% 感じることが多かった 6.3% 運転席の高さ 適切 63.6% やや適切 31.6% 適切でない 4.8% 運転席の背もたれ適切 70.5% やや適切 26.2% 2% 適切でない 33% 3.3% 車の振動 気にならない 32.2% 少し気になる 56.8% 不快 11.0% 重量物取り扱い頻度 ほとんどない 50.7% 月数回 21.9% 2~3 日に1 回 19.9% ほぼ毎日 7.5%

表 4 腰痛 腰痛 腰痛関連 QOL および職業性ストレス調査票の結果 % Median Mean SD 過去 1 週間に腰痛あり 21.1% 過去 12 ヶ月の腰痛経験日数 (n=489) 0 日 26.2% 1~7 日 44.4% 8~30 日 19.2% 31 日以上 10.2% 過去 12ヶ月の腰痛仕事を減らしたことあり 11.0% 余暇への影響あり 24.6% 過去 12ヶ月の腰痛で仕事に影響した日数 (n=488) 0 日 67.8% 1~7 日 26.8% 8~30 日 4.5% 31 日以上 0.8% 過去 12ヶ月に腰痛治療を受けたことあり 25.2% 腰痛関連 QOL 腰痛特異的 QOL 尺度 (RDQ 得点 :24 点満点 ) 0.0 1.5 3.0 職業性ストレス Effort Reward Imbalance Ratio (ERR) 0.40 0.51 0.38 ERR>1 68% 6.8% Overcommitment(OC) スコア 13.0 12.7 3.3

表 5 ー 1 NMQ による腰痛質問項目と RDQ 得点 n Mean±SD Median p Spearman の相関係数 過去 1 週間に腰痛 過去 12 ヶ月の腰痛経験日数 なし 387 0.8±2.2 0.0 あり 104 3.9 ±4.2 3.0 0 日 127 00 0.0 1-7 日 216 0.0 8-30 日 94 3.0 31 日以上 50 20 2.0 <0.001 001 *a 0.488 ** <0.001 *b 0.542 ** 過去 12ヶ月の腰痛 なし 127 0.0 経験 あり 360 00 0.0 <0.001 *a 0.358 ** 過去 12ヶ月の腰痛経験 8 日以上 過去 12ヶ月の腰痛経験 1ヶ月以上 なし 343 0.0 あり 144 20 2.0 なし 437 0.0 あり 50 2.0 <0.001 *a 0.562 ** <0.001001 *a 0.230 ** *a: Mann-Whitney test, *b: Kruskal Wallis test, **: p<0.001

表 5 ー 2 NMQ による腰痛質問項目と RDQ 得点 n Mean±SD Median p Spearman の相関係数 過去 12 ヶ月の腰痛で仕事を減らしたこと なし 439 0.0 あり 54 4.0 <0.001 *a 0.426 ** 過去 12 ヶ月の腰痛で余暇への影響 なし 370 0.0 あり 121 2.0 <0.001 *a 0.479 ** 過去 12ヶ月の腰痛で仕事に影響した日数 0 日 331 0.0 1-7 日 131 1.0 8 日以上 26 6.0 <0.001 *b 0.520 ** 過去 12 ヶ月に腰痛治療を受けたこと なし 369 0.0 あり 124 2.0 <0.001 *a 0.478 ** *a: Mann-Whitney test, *b: Kruskal Wallis test, **: p<0.001

表 6 ー 1 腰痛に関与する交絡要因と腰痛関連 QOLとの関連 ( 粗オッズ比および年齢調整オッズ比 ) 年齢 ( 歳 ) *a 独立変数 n RDQ 1 粗オッズ比 ( 95% CI ) 23-40 167 30.5% 1.0 41-50 165 43.6% 1.8 ( 1.1-2.8 ) 51-68 150 38.7% 14 1.4 ( 09 0.9-23) 2.3 年齢調整オッズ比 ( 95% CI ) BMI (kg/m 2 ) <25 318 31.4% 1.0 1.0 25 165 50.3% 2.2 ( 1.5-3.2 ) 2.2 ( 1.5-3.2 ) 運動習慣 あり 60 33.3% 3% 10 1.0 10 1.0 なし 429 38.5% 1.2 ( 0.7-2.2 ) 1.1 ( 0.6-2.0 ) 1 日の歩行時間 ( 分 ) *a 65 151 20.5% 1.0 1.0 31-64 130 41.5% 2.8 ( 1.6-4.7 ) 2.7 ( 1.6-4.6 ) 30 159 47.8% 3.5 ( 2.1-5.9 ) 3.6 ( 2.1-6.0 ) *a: 3 分位した 3 カテゴリー

表 6 ー 2 腰痛に関与する交絡要因と腰痛関連 QOLとの関連 ( 粗オッズ比および年齢調整オッズ比 ) 独立変数 n RDQ 1 粗オッズ比 ( 95% CI ) 年齢調整オッズ比 ( 95% CI ) 喫煙習慣 なし 過去あり 218 29.4% 1.0 1.0 現在喫煙中 271 44.6% 1.9 ( 1.3-2.8 ) 1.8 ( 1.2-2.6 ) 飲酒習慣 なし 時々 378 39.4% 1.0 1.0 ほぼ毎日 111 32.4% 0.7 ( 0.5-1.2 ) 0.7 ( 0.5-1.2 ) 睡眠時間 ( 時間 ) *a 6.5 174 28.7% 1.0 1.0 6.0-6.4 175 42.3% 1.8 ( 1.2-2.8 ) 2.0 ( 1.3-3.2 ) <6.0 140 43.6% 36% 1.9 ( 1.2-3.1) 2.2 ( 1.3-3.6) 36 家庭内介護 なし 467 37.5% 1.0 1.0 あり 23 47.8% 15 1.5 ( 07 0.7-35) 3.5 14 1.4 ( 06 0.6-33) 3.3 就学前の子供 なし 399 39.1% 1.0 1.0 あり 91 33.0% 08 0.8 ( 05 0.5-12) 1.2 09 0.9 ( 05 0.5-15) 1.5 *a: 3 分位した 3 カテゴリー

表 7 ー 1 労働要因と腰痛関連 QOLとの関連 ( 粗オッズ比および年齢調整オッズ比 ) 独立変数 n RDQ 1 粗オッズ比 ( 95% CI ) 年齢調整オッズ比 ( 95% CI ) 現職の経験年数 ( 年 ) *a 10 168 32.7% 1.0 1.0 11-20 165 40.6% 14 1.4 ( 09-0.9 22) 2.2 11 1.1 ( 07-0.7 19) 1.9 21 143 40.6% 1.4 ( 0.9-2.2 ) 1.1 ( 0.6-2.2 ) バスの種類 路線バス 294 39.5% 1.0 1.0 観光バスおよびその他 185 35.4% 0.8 ( 0.5-1.3) 0.9 ( 0.5-1.4 ) 過去 1ヶ月の週あたり実労働時間 ( 時間 ) <40 41 31.7% 1.0 1.0 40 h<48 246 41.5% 15 1.5 ( 08 0.8-31) 3.1 15 1.5 ( 07 0.7-30) 3.0 48 147 32.7% 1.0 ( 0.5-2.2 ) 1.1 ( 0.5-2.3 ) *a: 3 分位した 3 カテゴリー

表 7 ー 2 労働要因と腰痛関連 QOLとの関連 ( 粗オッズ比および年齢調整オッズ比 ) 独立変数 n RDQ 1 粗オッズ比 ( 95% CI ) 年齢調整オッズ比 ( 95% CI ) 過去 1ヶ月の休日日数 8 187 25.7% 1.0 1.0 6-7 188 41.0% 2.0 ( 1.3-3.1) 2.1 ( 1.3-3.3 ) 5 98 54.1% 3.4 ( 2.0-5.7) 3.6 ( 2.1-6.1 ) 過去 1ヶ月の夜勤回数 <4 144 36.8% 1.0 1.0 4-9 167 29.3% 0.7 ( 0.4-1.1) 0.7 ( 0.4-1.1 ) 10 143 47.6% 1.6 ( 0.97-2.5) 1.4 ( 0.9-2.3 ) 重量物取り扱い頻度ほとんどない 249 26.5% 1.0 1.0 時々 108 38.9% 1.8 ( 1.1-2.8) 1.7 ( 1.0-2.8 ) 常に 133 58.6% 3.9 ( 2.5-6.1) 3.5 ( 2.2-5.6 ) *a: 3 分位した 3 カテゴリー

表 8 ー 1 運転業務と腰痛関連 QOLとの関連 ( 粗オッズ比および年齢調整オッズ比 ) 独立変数 n RDQ 1 粗オッズ比 ( 95% CI ) 年齢調整オッズ比 ( 95% CI ) 車庫から出て車庫に戻るまでの時間 ( 時間 ) <10.0 114 25.4% 1.0 1.0 10.0-12.0 198 31.8% 1.4 ( 0.8-2.3 ) 1.4 ( 0.8-2.3 ) 12.0 < 160 53.1% 3.3 ( 2.0-5.6 ) 3.4 ( 2.0-5.7 ) 実際に運転している時間 ( 時間 ) < 6.0 180 20.0% 1.0 1.0 6.0-8.0 127 32.3% 1.9 ( 1.1-3.2 ) 1.9 ( 1.1-3.2 ) 80< 8.0 157 61.1% 1% 63 6.3 ( 39 3.9-10.2) 63 6.3 ( 38 3.8-10.4) 車の中で待機している時間 ( 時間 ) 2.0 < 133 25.6% 1.0 1.5-2.0 205 42.0% 2.1 ( 1.3-3.4 ) 2.0 ( 1.2-3.2 ) < 1.5 117 41.0% 2.0 ( 1.2-3.5 ) 2.0 ( 1.1-3.4 ) 車から離れている時間 ( 時間 ) 2.0 < 124 21.8% 1.0 10-20 1.0-2.0 128 42.2% 2% 26 2.6 ( 15 1.5-46) 4.6 26 2.6 ( 15-1.5 45) 4.5 <1.0 205 43.4% 2.8 ( 1.7-4.6 ) 2.6 ( 1.6-4.3 ) 最長連続運転時間 ( 時間 ) <2.0 189 34.4% 1.0 1.0 2.0-3.0 85 28.2% 0.8 ( 0.4-1.3 ) 0.7 ( 0.4-1.3 ) 3.0 < 174 45.4% 1.6 ( 1.0-2.4 ) 1.5 ( 0.99-2.3 )

表 8 ー 2 運転業務と腰痛関連 QOLとの関連 ( 粗オッズ比および年齢調整オッズ比 ) 独立変数 n RDQ 1 粗オッズ比 ( 95% CI ) 年齢調整オッズ比 ( 95% CI ) 運転作業中の姿勢の苦痛 なし 221 26.2% 2% 10 1.0 10 1.0 あり 253 48.6% 2.7 ( 1.8-3.9 ) 2.7 ( 1.8-4.1 ) 運転席の高さ適切 303 27.7% 1.0 1.0 適切でない 176 54.5% 3.1 ( 2.1-4.6 ) 2.9 ( 2.0-4.4 ) 運転席の背もたれ適切 337 28.8% 1.0 1.0 適切でない 143 58.0% 3.4 ( 2.3-5.1 ) 3.3 ( 2.2-5.0 ) 車の振動 なし 153 36.6% 1.0 1.0 あり 326 38.0% 1.1 ( 0.7-1.6 ) 1.1 ( 0.8-1.7 )

表 9 職業性ストレスと腰痛関連 QOLとの関連 ( 粗オッズ比および年齢調整オッズ比 ) 独立変数 n RDQ 1 粗オッズ比 ( 95% CI ) 年齢調整オッズ比 ( 95% CI ) Effort Reward Imbalance Ratio (ERR) 下位 3 分位 178 32.9% 1.0 1.0 中位 3 分位 152 40.4% 1.4 ( 0.9-2.2 ) 1.4 ( 0.9-2.2 ) 上位 3 分位 151 41.3% 1.4 ( 0.9-2.3 ) 1.5 ( 0.9-2.4 ) Overcommitment(OC) score 下位 3 分位 178 24.2% 1.0 1.0 中位 3 分位 152 42.8% 23 2.3 ( 15 1.5-38) 3.8 23 2.3 ( 14 1.4-38) 3.8 上位 3 分位 151 49.0% 3.0 ( 1.9-4.8 ) 3.2 ( 2.0-5.2 )

表 10 腰痛関連 QOL と労働要因 職業性ストレスとの関連 ( 多変量解析の結果 ) (n=402) 独立変数調整 OR #a Effort Reward Imbalance Ratio (ERR) 下位 3 分位 1.0 中位 3 分位 0.6 ( 0.3-1.2 ) 上位 3 分位 0.7 ( 0.3-1.3 ) Overcommitment(OC) score 下位 3 分位 1.0 中位 3 分位 20 2.0 ( 10 1.0-37) 3.7 上位 3 分位 2.6 ( 1.3-4.9 ) 実際に運転している時間 ( 時間 ) 6.0 1.0 62 6.2-7.7 77 12 1.2 ( 06 0.6-23) 2.3 8.0 3.7 ( 1.9-7.2 ) 運転作業中の姿勢の苦痛 None 1.0 Rather bad/ very bad 2.4 ( 1.4-4.3 ) 運転席の背もたれ適切 1.0 適切でない 2.2 ( 1.3-3.7 ) 重量物取り扱い頻度 ほとんどない 1.0 時々 1.0 ( 0.5-1.8 ) 常に 30 3.0 ( 15 1.5-60) 6.0 従属変数 : RDQ scale #a: 年齢調整済み 独立変数は ERR と OC は強制投入 その他の変数はステップワイズ法とした

表 11 腰痛関連 QOLと労働要因 職業性ストレスとの関連 ( 多変量解析の結果 ) (n=402) 独立変数調整 OR #a 運転席の高さ 過去 1 ヶ月の休日日数 Not selected Not selected 肥満 Not selected 喫煙習慣 Not selected 睡眠時間 Not selected 1 日の歩行時間 Not selected 従属変数 : RDQ scale #a: 年齢調整済み 独立変数はERRとOCは強制投入 その他の変数はステップワイズ法とした

まとめ 男性職業運転手の腰痛訴え率は 過去 1 週間が21.1% 過去 1 年が73.8% であった 腰痛関連 QOLについては 腰痛特異的 QOL 尺度 (RDQ 得点 ) の中央値は 0 点 平均値は1.5 点であった 腰痛関連 QOL と関連が認められた労働要因は 実際に運転している時間 運転作業中の姿勢に苦痛を感じること 運転席の背もたれが不適であること 重量物取り扱い頻度が多いことであった 腰痛関連 QOLと職業性ストレスとの関連については 努力 - 報酬不均衡とは関連がみられなかったが 仕事への過剰適応状態との間に有意な関連が認められた 結語職業運転手の腰痛関連 QOL 対策に 運転時間 運転席 および重量物取り扱いの見直しと改善 および職業性ストレス対策が必要かつ有効であることが示唆された