議題 2 グループホームのユニット数について 東京都をはじめ大都市部では 土地の不足や土地価格が高いため グループホーム建設のための用地確保が困難になっています そのためグループホームの整備が事業計画どおりに進んでいない状況があります この状況を改善するため 平成 21 年 12 月 25 日に厚生労働省から 既成市街地に整備される施設に限り 市区町村の判断により 認知症高齢者グループホームの1 施設当りのユニット ( 認知症高齢者の方が共同で生活する単位のことで普通は5~9 人の方が利用されます ) 数の基準を これまでの2ユニット以下から3ユニット以下へ拡大できる とする通知がありました 本市では 概ね 東灘区から須磨区の市街地がこの既成市街地のエリアに該当します 1. 通知の概要 都市部での用地確保の困難などの実情に応じて 認知症高齢者グループホームのユニット数の上限を2ユニットから3ユニットへ拡大し グループホーム整備の促進を図り 雇用の創出に努める 指定基準に規定する 指定認知症対応型共同生活介護事業所が有する共同生活住居は1 又は2とする について 既成市街地等の範囲に限って 市区町村の判断に基づき1 施設当りのユニット数を3までとすることができる この取り扱いは既成市街地等に限り適用されます またユニット毎の職員配置基準はこれまでどおり変更はありません 2. 神戸市における整備の現状 認知症対応型共同生活介護事業所について これまでに開設済み 整備中を含め81ヶ所 1,557 人が整備されています また日常生活圏域 (7 7か所 ) のうち 48 圏域が整備され未整備圏域は29 圏域になります 平成 18 年度以降 総量規制が導入されたことに伴い 事業者の選定は公募により行っており 未整備の日常生活圏域を始め行政区間での地域偏在の解消が進んでいます 平成 21 年度の公募においても 計画目標を上回る応募があり 10 事業者 ( うち増床 2 事業者 ) 145 人分を決定しました 3.2ユニットと3ユニットの比較検討 グループホームの趣旨グループホームは 認知症の高齢者が 家庭的な環境と地域住民との交流の下 日常生活上の世話と機能訓練を行い 能力に応じ自立した日常生活を営めるようにするものです 28
2 ユニット 3 ユニット メリット グループホームの趣旨に基づき 少人数の家庭的な環境や雰囲気でサービスを受けることができる 偶数ユニットのため 夜勤などの職員配置が効率的に行うことができる 介護保険事業計画で整備数を定めているためより多くの圏域に整備できることになる 土地の活用面からは 地価が高い地域でも より効率的に整備することができる 少ない施設数で より多くの床数を確保できる 単位床あたりの建設費を低く抑えることができる デメリット 地価が高い地域では 採算性から整備が進みにくい 単位床あたりの建設費や管理者など施設ごとに配置が義務付けされている職員の人件費が 3 ユニットと比較して高くなる可能性がある より大人数の施設になり 家庭的な環境や雰囲気でのサービスを受けにくくなる 奇数ユニットのため 夜勤などの職員配置が非効率になる 土地の確保が困難な地域での提案になるので 3 階以上のグループホームとしては高層階の提案になる可能性がある 4. 比較検討結果 (1) 整備面では3ユニットがより効率的に行なえるなどの点で優れていると考えられるが 利用者のサービス面で比較すると 2ユニットは利用者のサービス面でより優れていると考えられる (2) 市内の既設施設において ユニット毎の家賃と共益費の合計額を比較すると 平均して2ユニットと3ユニットではあまり変わらず 必ずしも利用者にとって有利となっていない (3) 既存施設の設置状況を見ると 今回の対象となる既成市街地等内において開設されているものも多数あり 区域内外での差は見られない (4) 本市では介護保険事業計画の整備目標に沿って順調に整備が進んでいる また事業者の参画意欲も依然として高い (5) 該当する他都市の対応状況も 今回の通知を適用しない又は検討中がほとんどであった 以上より 本市が3ユニットの整備行なうことは 慎重に検討する必要があり 時期尚早であると考えられる したがって 当面はこれまでどおり 2 ユニット以下としてはどうか 29
グループホームとは 認知症グループホームの本旨は 認知症の方が小規模な生活の場で少人数 (5 人から 9 人 ) を単位とした共同住居の形態で 食事の支度や掃除 洗濯などをスタッフが利用者とともに共同で行い 一日中家庭的で落ち着いた雰囲気の中で生活を送ることにより 認知症状の進行を穏やかにし 家庭介護の負担軽減に資することにあります 認知症グループホームでは 認知症の方にとって生活しやすい環境を整え 少人数の中で なじみの関係 をつくり上げることによって 生活上のつまづきや行動障害を軽減し 心身の状態を穏やかに保つことができます また 認知症の方に対しては 過去に体験したことがある役割を与えるなどして 潜在的な力に働きかけます こうして 高齢者の失われかけた能力を再び引き出し 生活様式を再構築する ことが可能になります 認知症は 集団の中で 画一的にケアを受けていると 生活そのものがケアに支配され 自己が失われていくような不安を感じます そうした不安を感じさせないように 認知症の方を生活の主体者としてとらえ 個々の生活を重視し 残された能力を最大限に活用できるような環境を提供します 認知症の方は 過去に体験した 想い をその暮らしの中で展開できる 家庭に近い環境を必要とします 認知症グループホームのケアは 認知症の方が混乱しないで普通の生活を送ることができるようにすることを何よりも優先します 認知症の方が 心身の痛みを緩和し 心を癒し 生活に満足できる ように導きます 1. 慣れ親しんだ生活様式が守られる暮らしとケア ( 束縛のない家庭的な暮らし ) 2. 認知障害や行動障害を補い 自然な形でもてる力を発揮できる暮らしとケア 3. 小人数の中で 1 人 1 人が個人として理解され受け入れられる暮らしとケア ( 人としての権利と尊厳 個人の生活史と固有の感情 ) 4. 自信と感情が生まれる暮らしとケア ( 衣 食 住全般に生活者として 成人した社会人としての行動 役割を回復 ) 5. 豊かな人間関係を保ち支えあう暮らしとケア ( 家族との 擬似家族としての スタッフとの 地域社会との 入居者同士の ) 30
近畿圏整備法に基づく既成都市区域 西区 垂水区 須磨区 兵庫区 長田区 北区 中央区 灘区東灘区 既成都市区域 31
神戸市内における認知症高齢者グループホームの整備状況 1. 行政区別の 既成市街地等 での整備数 ( 平成 21 年度整備ベース H21.11 現在 ) 東灘灘中央兵庫北長田須磨垂水西合計 65 歳以上人口 40,526 29,012 27,140 30,108 50,069 30,088 41,347 54,129 42,077 344,496 圏域数 11 11 7 7 7 7 8 8 10 7 7 8 4 11 8 77 44 未整備圏域 8 8 2 2 3 3 3 3 3 2 2 2 1 4 2 29 19 32 施設数 6 5 6 5 4 4 6 6 8 8 7 11 5 13 19 81 32 1 ユニット 0 0 1 0 1 1 1 1 1 0 0 2 1 2 3 11 3 2 ユニット 4 3 3 3 2 2 5 5 3 4 3 6 3 8 8 43 19 3 ユニット以上 2 2 2 2 1 1 0 0 4 4 4 3 1 3 8 27 10 定員 124 106 117 108 69 69 99 99 150 186 168 198 84 239 375 1,557 634 7 5 9 6 8 2 3 4 1 高齢者 100 人あたり 0.31 0.40 0.25 0.33 0.30 0.62 0.48 0.44 0.89 0.45
2. これまでの整備状況 ( 全市 ) 1 ユニット 2 ユニット 3 ユニット以上 11 92 27 施設数 723 定員数 742 43 認知症高齢者グループホームの年度別開設状況 H12 年度 2 3 1 H13 年度 2 1 2 H14 年度 3 7 4 H15 年度 1 10 15 H16 年度 2 8 4 開設年度 H17 年度 1 1 1 ユニット 2 ユニット 3 ユニット以上 H18 年度 H19 年度 H20 年度 4 H21 年度 1 1 整備中 8 0 5 10 15 20 25 30 開設箇所数 33
3. ユニット別の ( 家賃 + 共益費 ) の比較 家賃 + 共益費 140,000 120,000 円 / 月 100,000 80,000 60,000 平均 68,091 平均 76,892 平均 76,721 40,000 20,000 0 0 1 2 3 4 5 ユニット数 300,000 250,000 管理費 + 共益費 ( 行政区 ユニット別 ) 1 ユニット 2 ユニット 3 ユニット 200,000 150,000 100,000 50,000 0 東灘区灘区中央区兵庫区北区長田区須磨区垂水区西区 管理費 + 共益費 ( 運営法人 ユニット別 ) 120,000 100,000 1 ユニット 2 ユニット 3 ユニット 80,000 60,000 40,000 20,000 0 社福法人医療法人 NPO 他営利団体 34
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