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演習 :3. 気体の絶縁破壊 (16.11.17) ( レポート課題 3 の解答例 ) ( 問題 3-4) タウンゼントは平行平板電極間に直流電圧を印加し, 陰極に紫外線を照射して電流 I とギ ャップ長 d の関係を調べ, 直線領域 I と直線から外れる領域 II( 図 ) を見出し, 破壊前前駆電流を理論的 に導出した 以下の問いに答えよ (1) 領域 I における電流 I が I I expd で表されることを示せ ただし,I は初期電流密度, は電 子の衝突電離係数,d はギャップ長を表す () 領域 II において, 作用 ( 電子増倍作用 ), 作用 ( 正イ オンが陰極に衝突して二次電子を放出させる作用 ) による電 流 I が I I exp d 1 exp d 1 で表されることを示せ ただし,I は初期電流密度, は二次電子放出作用を表す ( 解答 3-4) (1) ギャップ長 d の平行平板電極に電圧が印加されている 陰極からの距離 x の場所に n 個の電子が存在 しており, この電極間で dx 進む間に 個の衝突電離を引き起こすとすると, 以下の式がなりたつ dn ndx : 衝突電離係数 ( 比例定数 ) n e e e C e dn dx ln n x C n xc C x x ax 境界条件 : x = で n = n n n e ( 電子なだれ ) n n e 陽極位置 x = d に達したときの電子の総個数 ad 電流 I I Ie ただし, I en e: 電荷量 ad

() 作用 ( 電子増倍作用 ) によって電子なだれが生じ, 正イオンが発生する さらに, 作用 ( 正イオンが陰極に衝突して二次電子を放出させる作用 ) によって放出された電子が電子なだれを起こし, これを繰り返す過程をを考える この時に陽極に到達する電子の個数を計算する まず, 陰極 (x = ) において n 個の初期電子が, 作用によって陽極に到達した (x = d) ときの電子の個数 n は n ' n e d となる 極板間における電子の増加量 n は n n e n n e d d 1 となる 電子の増加量と同じ数だけの正イオンが発生すると考えると, このn の正イオンが陰極に衝突し, 作用によって 次電子 n 1 個を放出することとなる 1 n n ' n e d 1 陰極で発生した 次電子数 正イオン数 比例定数 さらに,n 1 個の電子が 作用によって陽極に到達したときの電子の個数 n 1 は n ' n e n e 1 e d d d 1 1 となる 極板間における電子の増加量 n は d d d d n n ' n n e 1 e n e 1 n e 1 1 1 1 となる 同様に電子の増加量と同じ数だけの正イオンが発生すると考えると, このn 1 の正イオンが陰極に衝突し, 作用によって 次電子 n 個を放出することとなる n n n e d 1 ' 1 さらに,n 個の電子が 作用によって陽極に到達したときの電子の個数 n は n n e n e e d d d ' 1 となり, この過程を繰り返していくこととなる 最終的に, 陰極から初期電子 n が供給, 陽極に達する総電子数 n は n n ' n ' n ' 1 d d d n e 1 e 1 e 1 ne d d 1 e 1 ただし, 1 e d 1 無限等比級数初期項 a 1 = n e d r = (e d 1) 倍の無限等比級数の和

an n n 1 a1r a1 r 1 Sn r 1 lim S n n a1 1 r よって, I Ie d d 1 e 1 I : 初期電流,d: 電極間距離 I = ne, I = n e となる 放電持続の条件は I が になるときであり, e d 1 1 をタウンゼントの火花条件と呼ぶ

( 問題 3-5) タウンゼントによって次の 3 つの式が与えられるとき, I Ie d (1) A exp B p p E () V Ed (3) ただし,I は初期電流, は衝突電離係数,p は圧力,E は電界,d は平行平板間隔,A, B は定数である 以下の式を導出せよ I I pd B pd V exp A / exp ( 解答 3-5) 式 (1)~ 式 (3) において,と E を消去する B p 式 () の両辺に p をかけると A p exp E 式 (4) V 式 (3) より E 式(5) d Bp Bpd 式 (4) を式 (5) に代入すると A pexp A pexp E V 式 (6) 式 (1) に式 (6) を代入すると, Bpd Bpd I Iexpd Iexp A p exp exp A pd / exp V V

( 問題 3-7) パッシェンの法則を説明し, パッシェン曲線を表す式を導出せよ また, パッシェンの法則で求めた式において, 火花電圧 V s が最小となる pd の値と, そのときの最小火花電圧 V min を求めよ ( 解答 3-7) パッシェンの法則 : 火花電圧は, 気体の圧力 p と電極間隔 d との積 p d で決まり, 極小値をもつ タウンゼントの火花条件 : e d 1 1 (1) Bp p E 衝突電離係数の実験式 : Aexp 火花放電時の電界 : Vs E (3) d 式 (1)~(3) より,, E を消去する () e 1 1, e 1 d ln 1 (4) 式 (1) より, d d 1 1 Bp d Bp Bp 式 () より, Aexp, Ad exp d Apd exp (5) p E p E E 式 (4) と式 (5) を比較する 式 (6) の両辺の対数をとる pd Bp 1 Apd exp ln 1 E (6) Bp 1 ln ln A ln ln 1 E Bp E 1 ln pd ln A ln ln 1 (7) 式 (7) に式 (3) を代入する pd Bpd 1 ln ln A ln ln 1 V s

V s Bpd 1 ln pd ln A ln ln 1 1 (8) ただし, C ln A ln ln 1 Bpd ln pd C である 次に,V s の極値 ( 最小値 ) をもとめる 式 (8) において pd = x とおく Vs ln Bpd Bx pd C ln x C (9) V s の極値 ( 最小値 ) をもとめるためには, 式 (9) を x で微分する ここで, 以下の関係を用いる f f ' g fg ' ' g g f Bx f ' 1 B g ln x C g ' x 式 (9) は次式となる 1 Bln x C Bx d Bx x B ln x C B (1) dx ln x C ln x C ln x C さらに, 次の関係を用いる ln x C1 ln x 1C x exp 1 C 公式 expc cd expd exp a b a ln b b ln exp a b exp ln b exp よって,dV s / dx = となる x は式 (1) より, x exp 1 C pd exp 1 C (1) のときに V s は最小となる 式 (1) を式 (9) に代入する Bexp 1 C e Vs B exp1 C B 1C C exp C となる よって, 1 exp log A A expc exp log A log log 1 1 1 exp log log 1 log 1 よって,V s min は次式となる Be 1 V min log 1 s A